2011年7月11日月曜日

「ストレステスト」のマヤカシ---2段階で再稼働判断?

「ストレステスト」のマヤカシ---2段階で再稼働判断?


 政府が「ストレステスト」と停止中原発の再稼働問題について「統一見解」を発表した。 とり急ぎ、その内容を伝えておこう。
 以下の記事を読み、①菅内閣流「ストレステスト」を〈原発の耐性〉を検査するものと理解し、②菅内閣が何か日本政府としての「統一」した「見解」を打ち出したと納得できる人がいれば、どうか私に知らせて欲しい。ぜひ、講義を受けさせていただきたい。
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原発耐性調査2段階で、再稼働を判断 政府統一見解
 政府は11日午前、原子力発電所の再稼働を巡る統一見解を発表した。新たな安全評価を2段階でする。九州電力玄海原発など定期点検を終えた原発から順次、想定を上回る地震や津波にどの程度耐えられるかを調べ、可否を判断する。さらに欧州連合(EU)を参考にした総合的な安全評価を2次評価をし、運転中の原発の運転継続、中止を決める

 菅直人首相は11日午前、首相官邸で枝野幸男官房長官、海江田万里経済産業相、細野豪志原発事故担当相の3閣僚と約20分間会談した。この後、枝野長官が記者会見で発表した。 ストレステストは、
(1)第1段階で津波や地震にどこまで耐えられるかを測るテスト(???)を定期検査で停止中の原発からはじめる
(2)第2段階では半年かけて検査する欧州連合を参考にした総合的な安全評価も実施する
――の2段階実施になる。
 原発の安全性確保を重視する首相(???)の意向を踏まえ、第1次段階で停止中の原発の再稼働条件にするとともに、第2段階では運転中の原発を停止するかどうかも判断する目安になる。原発相は10日のフジテレビ番組で「テストの結果と再稼働が全く別だとは考えにくい。再稼働の条件になってくる」と表明した。
 第1段階のテストは、半年かけて実施するEUのストレステストと異なり、比較的短期間で実施する調査を想定している。玄海原発など、定期点検を終えた原発から新たな視点も加味して安全性を確認していく。電力不足に陥る懸念から経産省が強く反対していた。
 枝野長官は記者会見でストレステストをいつまでに終えるのかについて「安全、安心の観点から確認していく作業だ。期限を区切っていつまでにやってくれ(???)とは言っていない」と述べた。(日経)


 〈「ストレステスト」の項目・方法・主体〉
 私は、「原発の「安全基準」と市民の「安心基準」(2)」(6/17)で次のように書いた。

 「レベル7」に対応するどころか、「3・11」にさえ対応できない、見せかけの「緊急安全対策」によって国と電力会社は再稼働をたくらんでいる。しかも、「原発推進の経産省の中に原発の安全規制をはかる原子力安全・保安院があるのはおかしい、分離すべきだ」という議論をしてきたはずなのに、その保安院が「安全検査」「審査」をしている矛盾を、マスコミは取り上げない。北海道庁・各県庁・知事をはじめ、すべての立地自治体が、原発推進派の資源エネ庁と原発推進派の保安院を相手にしながら、再稼働の「安全」問題を云々しているのである。何と言う茶番を、みんなこぞって演じていることか。
 この「茶番」、国と自治体が互いに責任のなすり合いをしながら互いの責任を回避し、犠牲をすべて地元住民/市民におしつけるというこの「茶番」を、現行の政党政治の枠組みではやめさせることができない。日本における脱原発の「政治的受け皿の不在」の問題である。「脱原発」を掲げる共産・社民・無所属の議員が国会と地方議会で多数派を占める、そんなことがいつか起こりうるとしても、今のこの「不安全・不安心」状態を放置することはできない。これまでがずっとそうであったように、今後もほとんど期待できそうにない、そんな遥か未来の可能性に賭ける時間と心の余裕は、少なくとも私にはない」

 菅内閣が、まず明確にすべきは、
①「ストレステスト」の項目と実施方法の決定責任主体(保安院か原子力安全委員会か、それとも第三者機関か)と、
②「テスト」を実施し、その結果に責任を負う主体である。
 具体的に言えば、原発の「安全規制」の機能と役割を果たしていない、原発推進機関・保安院をこの「ストレステスト」から「分離」することが、すべてに優先されるべき先決事項になる。「ストレステスト」の内容以前の問題として、保安院の「分離」なくして「テスト」の信頼性を担保することは不可能なのだ。原発立地自治体の市民から見ても、私たちの眼から見ても、保安院は「3・11」以前から、とっくに「アウト」なのだが、そのことは「3・11」以後の保安院の言動の評価において、全国民的に共有できる認識ではないだろうか。

 朝日新聞は、「政府統一見解」に関し、このように報じている
 「統一見解は「我が国原子力発電所の安全性の確認について」で、枝野、海江田、細野3氏の署名で発表した。現状認識として「(原発事故後の)緊急安全対策の実施について(経産省)原子力安全・保安院による確認がなされ、従来以上に慎重に安全性の確認が行われている」(???)と指摘する一方、問題点として「保安院による安全性の確認に理解を示す声もある一方、疑問を呈する声も多く、国民・住民に十分な理解が得られているとは言い難い状況にある」とした。

 この認識をもとに解決方法として「欧州諸国で導入されたストレステストを参考に新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」と表明。ストレステストの内容は、
1)内閣府原子力安全委員会の確認の下で(???)評価項目や評価実施計画を作成し、(→誰が「作成」するのか、誰が計画内容に最終的責任を取るのか?)
2)各電力会社が実施する(→意味無し)。その上で、
3)結果を、原子力安全・保安院が確認し(→意味無し)、さらに
4)原子力安全委員会が妥当性を確認する」(???)・・・。

 これは、実態的にはともかく、形式的には、従来の「定期検査」の手続きと何らかわらない。これでは、「ストレステスト」の内容、および結果の責任の所在がどこにあるのか、従来通り、何も明確にならない。
 原子力安全委員会の責任の所在の不明瞭さについては後述する。 それより何より、「政府統一見解」からこの国の内閣総理大臣の姿が見えてこないは、いったいどうしたことか?

①責任回避を続ける菅首相
 「東電が福島第一原発2、3号機のメルトダウンを認めた日」(5/24)の中で、私はこのように書いた。

「1号機についても言えることだが、私は原発のメルトダウンの公表は、東電や電力企業任せにするのでなく、報告を受けた上で政府が政府として、つまり「対策本部」本部長たる内閣総理大臣が記者会見を開き、国内外に向けて公表すべき性格のことだと考えている。
 大震災以降、原発事故をめぐる政府・東電の情報隠蔽・操作が問題になり、私もそのことを何度も指摘してきたが、原発のメルトダウンという国家的/国際的重大・非常事態の公表を民間企業に行わせるという日本の「原子力行政」の在りかた、その無責任さ加減を私たちは改めて深刻に受け止める必要があると思うのだ。
 この間の国・東電の記者会見をみていると、自国の原発がメルトダウンするという事態を、国も東電も何か他人事のように、またそんなに大した事でないかのように捉えている、そう思えてならないのである。「怒り」や「憤激」というより、凍りつくような恐怖を覚えてしまう」・・・。

 これとまったく同じことが、「再稼働要請」問題についても、今回の「政府統一見解」についても言える。菅直人という人物は、内閣総理大臣というこの国の最高責任者としての〈職責〉をまっとうしようしない。
 「象徴天皇制」という言葉があるが、菅内閣は「象徴内閣総理大臣制」と言うべき、非常に特異な内閣だ。内閣総理大臣が「君臨」も、「統治」もせず、ゆえに「責任」も取らず、居座り続けるという。「象徴天皇制」であれば、まだ「国民統合」という機能があるのかも知れないが、「象徴内閣総理大臣制」の方は「国民」そっちのけで、税金ばかり喰らう制度である。菅直人という人は何かを決定的にカン違いしている。

 「政府統一見解」のどこに問題があるのか?
 これも非常に意図的な、政治的作為が透けて見えるのだが、「統一見解」に対する首相や閣僚の政治責任が不明瞭である点である。
 「統一見解」は、枝野官房長官、海江田経産相、細野原発相の3閣僚「連名」の「統一見解」を首相が「了承」する形で、しかも首相ではなく、官房長官が発表したものだ。
①原発史上最低最悪の、三つの原子炉のメルトダウン→メルトスルーを引き起こした内閣としての責任を取らず、
②浜岡のみの停止要請に関する説明責任を果たさず、さらに
③国としての7月再稼働要請の事実上の撤回宣言に関する責任も取らない内閣と内閣総理大臣が、この「政府統一見解」に関しては責任を取る、と考える方が無理がある、と言わねばならないだろう。

②責任回避を続ける原子力安全委員会
 3月13日、私は次のように書いた

 「現在、日本列島で稼動しているすべての原発が、[「第二の3・11」に備える]耐震・耐久予想をはるかに下回る状態で運転を継続している、この身が凍るような現実に私たちは直面している。M9.0以上の大地震、10mを越える大津波(奥尻島を襲った大津波は30mだった)の再来を現実的に想定した原発施設の安全対策、緊急避難施設の確保、早期避難体制の確立等々が、早急に求められている。
 いまだに省庁縦割りで、政治や行政の不作為が問われず、誰も責任を取らない日本の原子力行政を、これからどうするのか。中長期的な日本の「エネルギー行政」をどうするのか・・・。
 そういう議論をこの国の政治家たちがいつ始めるか。そのことに注目しながら、私たちは今後の政府や政党の言動、挙動を厳しく監視する必要がある。
 原発問題に限らない。
〈3・11〉は、この国のあらゆることを見つめ直し、考え直すことを強いたのである」・・・。

 「日本の原子力行政」の「安全責任」を担ってきたのは原子力安全委員会、ということに一応なっている。2007年の浜岡原発訴訟・静岡地裁の口頭弁論で、複数の非常用発電機が起動しない可能性を「想定していない」と証言し、「割り切らなければ[原発は]設計ができないのは事実。割り切り方が正しくなかったことも十分反省している」と答弁した委員長自身が、「権限がない」と言ってきた原子力安全委員会ということに。

 権原も権限もない原子力安全委員会が、①保安院が青写真を描く、②「定期検査」と「緊急安全対策」に毛がはえたような「ストレステスト」策定過程に、③「参加」し、その内容を「確認」したところで、まったく意味がない。
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原発統一見解:班目委員長「再開は政府が決めること」
 定期検査で停止中の原発の再稼働を巡る政府統一見解について、経済産業省原子力安全・保安院に新しい安全評価の計画策定を要請している内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は11日、「(安全評価の結果を)再稼働の条件にするかは政府が決めること」(???)との見解を示した。再稼働の検査に安全委を関与させ、政府判断の信頼性を高める担保にしようとする政府に水を差した形だ。
 班目委員長は「保安院が行った確認行為への妥当性については何らかの判断を示す」(???)とした一方で、「運転再開とかそういう話とは無関係」と発言。安全委の判断は再稼働問題から独立していると強調し、「結果をどう使うかは政府に任されている」とした。
 政府の統一見解は「欧州諸国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」とし、再稼働前に比較的短期間で行う「1次評価」を実施すると明記。手順は、保安院が作成した評価の項目や計画に基づいて、電力事業者が安全評価を実施。これに対し保安院がチェックし、安全委が保安院の判断の妥当性について吟味する。
 しかし、新たに2段階で安全評価を導入することに対して班目委員長は「方法は保安院に任せている了解するも何もそれが出てきたら評価する。(枝野幸男官房)長官の今朝の発表だけでは何ともコメントできない」と話した。【毎日・岡田英】
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 要するに、「まったく話にならない」。この一言に尽きる。 

7/12
 毎日新聞は、今日の社説、「原発安全評価 2段階の意味を明確に」の中で、こう述べている。
◎「定期検査中の原発に対する「1次評価」と、運転中の原発に対する「2次評価」の2段階で評価するというが、わかりにくい」。
◎「1次評価は、もともと「再開ありき」と受け取られかねない」「枝野幸男官房長官は、1次が2次より簡易になるわけではない(???)との見方を示しているが、不信を招かない明確な説明が必要」。
◎「経済産業省に属する保安院に対する人々の信頼感は著しく低下している。最低限、独立した機関の評価が必要であり、安全委の役割は重要」「ただ、安全委に対する信頼も揺らいでいることを思えば、さらなる独立性や信頼性を確保することも考慮した方がいい」「日本も外国人などを含めた専門家チームで判断するなど、工夫が必要」。
◎「再稼働の可否については、政府が責任を持って判断すべき事項」。

 「1次が2次より簡易になるわけではない」のに、なぜ「1次」と「2次」に分けるのか? おそらく、「明確な説明」は不可能である。経産・保安院官僚が「簡易」なものにしようと考えているからだし、そうせずして再稼働にゴーサインは出せないからである。
 
 菅内閣は、「ストレステスト」の論理的整合性を追及しようとすればするほど、2段階に分けた理由を説明できなくなり、そうなれば再度の再稼働承認を政府として打ち出すことが、ますます困難になる。もちろんそれは、あくまでも菅政権が、論理や理性を重んじようとするのであれば、の話ではあるのだが・・・。

 定期検査や緊急対策の単なる延長ではない、どのような「ストレステスト」の項目が出てくるか。
 今しばらくそれを待つことにして、話をこの国の「原子力行政」の二つの推進翼、原子力委員会と原子力安全委員会の存在(無)意義に、進めることにしよう。
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ストレステスト 作業が進まず(NHK, 7/14)
 政府が原子力発電所での導入を目指すいわゆる「ストレステスト」を巡って、国の原子力安全委員会は、経済産業省の原子力安全・保安院に対し、評価方法や計画を1週間程度で報告するよう要請しましたが、1週間たった13日、原子力安全・保安院は報告していないことが分かりました。菅総理大臣が打ち出した「ストレステスト」は、現場の作業が進んでいないうえ、原発の地元自治体から批判的な声が相次ぎ、政府の対応が問われています。
 政府は、今月6日、原発の運転を巡る新たな安全評価、いわゆる「ストレステスト」を導入する方針を打ち出し、その後、2段階に分けて行うことなどが明らかにされました。国の原子力安全委員会は、原子力安全・保安院に対し、具体的な評価の方法や計画を1週間程度でまとめ報告するよう要請していました。これに対し、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、13日の記者会見で、「いつ出すかを今言える状態にない」と述べ、要請から1週間がたった13日、まだ報告していないことを明らかにしました。
 「ストレステスト」は、コンピューター上でのシミュレーションを使った安全評価で、大きな地震や津波などで機器や設備がどこまで耐えられるかを想定していきます。菅総理大臣が打ち出して、原発での導入が進むストレステストは、現場の原子力安全・保安院の作業が進んでいないうえ、12日、秋田市で開かれた全国知事会議では、原発の地元自治体から批判的な声が相次ぎ、政府の対応が問われています。

原発安全評価5項目で検討 保安院、週内にも報
 原発の再稼働や運転継続の基準として政府が打ち出した安全性評価について経済産業省原子力安全・保安院が「地震」「津波」「地震と津波の同時発生」など5項目を対象とし、安全性の余裕がどれぐらいあるのか調べる方式を検討していることが政府関係者の話で13日、分かった。週内にもまとめ、原子力安全委員会に報告する。 政府は安全評価を2段階で実施する方針。1次評価は定期検査のため停止している原発が対象で、評価結果の判明後に再開の可否を判断し、地元自治体に協力を求める。(河北新報)
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⇒「「問題棚上げ・解決先送り内閣」は退陣すべきである」
⇒「「ストレステスト」のマヤカシ---工学的耐性と社会的耐性

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〈九電やらせメール〉問題
九州電力:やらせメール「部下の独断」強調…副本部長
 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る「やらせメール」で、子会社4社にメールを送るよう指示した原子力発電本部の当時の部長(執行役員)、中村明・現原子力発電本部副本部長が11日、鹿児島県議会原子力安全対策等特別委員会に参考人として出席し、部下への指示を公に認めた
 中村副本部長は「メールで(番組周知を)依頼したのは原子力管理部の課長」と答弁。県議に「指示したのは誰か」と追及され「私でございます」と答え、番組周知のメール依頼を認めながらも「部下が軽い気持ちで意見を発信するように書いた」と述べるなど、番組への投稿を求めるなどの具体的な指示は部下による独断だったと強調(!!!)した。また、中村副本部長に対して指示した人物については「上司」(???)と述べるにとどめた。中村副本部長は4日の同特別委でやらせメールを否定していた。【毎日・福岡静哉】

九電、答弁拒否を連発 「やらせメール」問題 鹿児島県議会審議
 「信頼回復に努めたい」の言葉がむなしく響いた。
 九州電力の「やらせメール」問題。九電幹部が参考人招致された11日の鹿児島県議会原子力安全対策等特別委員会で、山元春義副社長は「国民、県民にご心配を掛けた」と謝罪する一方、事実関係に関しては「国への報告前で言えない」と答弁拒否を繰り返した。議員の追及にぶぜんとした表情で語気を強める場面もあった。
 午前10時すぎ。出席した山元副社長と中村明原子力発電本部副本部長の2人は、ともに硬い表情で頭を2度下げて特別委の会場に入室した。2人は冒頭、それぞれ起立し「国の説明会の信用性を損なう結果になった。おわびする」と深々と頭を下げた。 だが、その後はやらせに至った詳しい経緯を聞かれても「現段階では言えない」を連発。4日の特別委で「やらせメール」の事実そのものを完全否定していた中村副本部長は「上司の指示で、私が番組の周知をするよう部下の課長に命じた。しかし、賛成の立場から意見を表明するよう要請しているとは知らなかった」(???)と自身の関与を重ねて否定。「上司が誰かは回答を控える」と隠し通した。審議は紛糾、わずか15分で2度も休憩をはさんだ。
 審議では、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)のトップである川内原子力総合事務所長を兼任する山元副社長が「事前にメールの内容を知っていたのでは」とされる疑惑にも追及が相次いだ。 山元副社長は、ときおり中村副本部長とヒソヒソと小声で相談しながら「メールは受信していない。問題発覚時には信じられない思いだった」と声を震わせて否定した。 「国への報告後に事実関係を明らかにし、再発防止策(???)も講じる。それが何万人もいる九電社員と協力会社員の思いだ」
 審議の終盤、突然、開き直るかのように言葉に力を込めた山元副社長。県議や20人の傍聴人は納得できない様子で首をかしげた。

九電元副社長の責任明記へ やらせ問題、調査報告書に
 原発運転再開に向けた政府の説明番組をめぐり、やらせメール問題が発覚した九州電力は11日、番組を周知するよう指示して問題の発端をつくった段上守元副社長=6月末で退任=の責任を調査報告書に明記する方針を固めた。九電関係者が明らかにした。 九電の依頼に応じ、佐賀・玄海原発の運転再開に賛成する意見をメールやファクスで番組に送った社員や子会社社員らは60人以上で、さらに大幅に膨らむ可能性があることも分かった。 調査結果は、真部利応社長が近く経済産業省に報告する方向で調整している。
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原発マネー配当問題 玄海町長「再開判断に影響なし」
 九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長(58)の実弟が経営する建設会社「岸本組」(同県唐津市)が町長就任後の約5年間で総額約17億円の“原発マネー”を財源にする工事を受注し、町長も約1千万円の株の配当などを得ていた問題で、岸本町長は11日朝、記者団に対し、工事受注の事実を認める一方で、「玄海原発2、3号機の再稼働の判断には一切影響していない」と主張。就任後の同社株の売却益や配当金に関する調査を岸本組に依頼したことを明らかにした。
 岸本町長は町長室で記者団の取材に応じ、「岸本組は法令にのっとって入札を行って工事を受注してきた。町長として、やましい関与は一切ない」と強調。2、3号機の再稼働容認への影響について問われると、「議会の示唆を受け、直に原発の安全対策を見た。海江田万里経済産業相から『国が安全に責任を持つ』との言葉もいただいた。私の中で着実にステップを踏み、冷静に判断した」と述べた。 首長や議員の親族企業による自治体工事の受注を禁じる政治倫理条例の制定については、「悪事を行うことを前提とした条例と考えており、私自身、違法行為などは一切行っていない。自ら制定する気はない」と説明。その上で「町議会で制定しようという動きがあれば従う」と語った。

安全委・班目氏、調整運転に苦言 泊原発と大飯原発
 原子力安全委員会の班目春樹委員長は11日、調整運転を異例の長さで続けている北海道電力泊原発3号機と関西電力大飯原発1号機について「明らかにいいことではない」と苦言(???)を呈した。 調整運転は、13カ月に1回行う定期検査で原子炉をいったん停止後、営業運転の再開が可能かどうかを判断する国の最終検査前に行う試験運転。実際には営業運転と同じ出力で外部に供給もする。
 泊3号機と大飯1号機の調整運転長期化は「運転再開に対して地元などの理解が得られない」(北電担当者)との理由から、電力会社側が検査を受けるのを先延ばしにしているのが原因だ。(以上、西日本新聞より

玄海原発再開、62%が消極的 市民団体がネット調査
 佐賀県の市民団体「NO!プルサーマル佐賀ん会」が11日発表した佐賀県民に対するインターネット調査によると、停止中の九州電力玄海原発2、3号機の運転再開に消極的な声が62・0%に上った。
 再稼働について消極的な回答は「もうちょっと待った方がいい」が29・8%、「稼働しない方がいい」は17・8%、「稼働はしないとはっきり言うべき」が14・4%。「稼働するとはっきり言うべき」「稼働してもいい」はそれぞれ5・3%、32・7%だった。 海江田万里経済産業相が6月に出した「原発安全宣言」に対しても、50・0%が「安全だとは全く思えない」とした。【共同通信】