2011年7月9日土曜日

各地の脱原発運動

各地の脱原発運動

〈柏崎刈羽〉
1号機で放射性物質の汚染確認 柏崎刈羽原発
 東京電力は12日、柏崎刈羽原発1号機の原子炉建屋で社内基準値を超す放射性物質の汚染を確認したと発表した。放射性液体廃棄物を流すラインの排水口付近で確認され、汚染濃度は1平方センチ当たり最大33ベクレル(基準値は4ベクレル)。汚染の拡大はなく、濃度はラドン温泉3cc分としている。
 東電によると、汚染が確認されたのは残留熱除去系配管スペース室(管理区域)。11日午前0時半ごろ、巡視中の社員に放射性物質が付着したことが分かった。調査の結果、12時間後に同室の排水口2カ所で確認した。社員の内部被ばくはないという。 室内の他の場所は汚染されず、水の流れた跡がないため、排水口内部に付着するなどした放射性物質が拡散した可能性があるとみて、原因を調べている。
 また、東電は柏崎刈羽原発5号機原子炉建屋にある送風機を設置した区画(非管理区域)で12日午前1時前、空調で結露した水を排水するポンプが故障し、床にあふれた約375リットルの水を発見したと発表。放射性物質は含まれず、外部への影響はないとしている。 同区画では排水管が詰まったため、先月17日に仮設ポンプを設置、別ルートで排水していた。5号機では同23日にも別の場所の排水管が詰まり、結露した水約10トンが床にあふれたため、社員が3時間おきに排水状況を確認していたという。 同原発で結露した水があふれたのは今夏3回目。原因を究明し、再発を防止するよう、県は東電に2回目の要請をした。 (新潟日報

柏崎で原子力防災勉強会初会合 26市町村が参加
 東京電力福島第1原発事故を受けて、柏崎刈羽原発から半径50キロ圏内の市町村を中心とした原子力防災に関する勉強会の初会合が12日、柏崎市で開かれた。50キロ圏内の全19市町村のほか、圏外の7市町から計約70人が参加。本県の新しい原子力防災の在り方を考える基礎となる情報を共有する取り組みが始まった。
 勉強会は、県が福島事故を受けた地域防災計画の見直しを進める中で、市町村の要望で開催。見直しを論議する県防災会議原子力防災部会では、原子力防災を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)を現行の半径10キロからどこまで拡大するかが焦点となる。県は勉強会で市町村と情報共有を図るとともに、意見交換を通して防災計画に反映させる方針だ。
 初会合は柏崎市の県柏崎地域振興局で開かれ、飯沼克英・県防災局長が「福島の事故を見ると、かなり広い範囲での原子力防災が必要で知識の共有化を図りたい」とあいさつ。参加者は、県と東電担当者から放射能の基礎知識や柏崎刈羽原発の防災体制などの説明を受けたほか、隣接する県柏崎刈羽原子力防災センターを見学し、原子力災害時の対応や放射線監視業務も学んだ。 50キロ圏外の聖籠町から参加した安達行法・生活環境課長は「福島のような事態になったとき、県がどう対応し、町へはどう影響するのか知りたくて参加した。まだ不明な点が多いので続けて参加したい」と語った。 県は9月まで、勉強会を5、6回開く予定。次回は27日に上越市で開く。(新潟日報)

新潟市も安全協定の締結検討
 新潟市の篠田昭市長は11日の定例会見で、東京電力福島第1原発事故を受け、柏崎刈羽原発について「いずれは東電との安全協定締結も視野に入れている」と述べ、協定締結に前向きな姿勢を示した。同原発から半径50キロ圏内の19市町村を対象にした県主催の原子力防災に関する勉強会の中で「新潟市を含む主な自治体が共同歩調を取り、締結できないかなどをテーマにしてほしい」と求めた。 篠田市長が東電との安全協定締結に前向きな考えを述べたのは初めて。市長は原子力政策をめぐる国の迷走ぶりを挙げ「この状況では当事者として行動、発言していかないと市民に対する責任が取れない」と強調。「東電からも当事者として認識してもらうには、安全協定が一つの有効な手段」とした。(新潟日報)

〈島根〉
知事「島根は玄海とは別」
 佐賀県玄海町の岸本英雄町長が九州電力玄海原子力発電所2、3号機の運転再開に同意したことについて、島根県の溝口善兵衛知事は4日、「それぞれ事情が違い、県としての考え方を整理する必要がある」と述べ、中国電力島根原発(松江市鹿島町)1号機の運転再開を判断する状況にないとの考えをあらためて強調した。
 溝口知事は、電力の最大需要に対する供給力が電力会社と地域で異なる点を指摘。中電管内では供給力に余裕があるとした上で「再開をすぐ判断しなければいけない状況ではない」とした。 福島第1原発事故の原因究明や新たな安全対策について「国から十分な説明がない」と指摘。引き続き国に説明を要請し、運転再開の判断材料とする考えを示した。(中国新聞)

島根県知事、ストレステストが「最低条件」
 島根県の溝口善兵衛知事は11日の定例会見で、政府が打ち出した原発のストレステスト(耐性評価)で安全性が担保されることが、定期検査で停止中の島根原発1号機(松江市鹿島町)を運転再開する場合の「最低条件」になるとの認識を示した。その上で、最終的な可否判断は、
①福島第1原発事故の原因究明や
②島根原発の周辺住民、県議会の理解、
③専門家の意見などを踏まえて「総合的に判断する」とした。(山陰中央新報より

〈志賀原発〉
廃炉求める集会 24日金沢で
 志賀原子力発電所(石川県志賀町)の廃炉を求める集会が24日、金沢市広坂2丁目の中央公園で開かれる。呼びかけ人らが7日、県庁で会見し、広く県民に参加を呼びかけた。
 集会の名称は「7・24 さよなら!志賀原発」。24日午前10時から参加者が自由に脱原発のアピールをしたあと、11時から集会を開催。正午からは約1時間、周辺をパレードする。 呼びかけ人は24人。堂下健一・志賀町議や北野進・珠洲市議ら自治体の議員のほか、市民団体の代表などが名を連ねる。実行委員長は、志賀原発の運転差し止め訴訟で原告側弁護団長を務めた岩淵正明弁護士。 会見で岩淵氏は「訴訟で万が一の被害を訴えてきた我々にとっても、福島の事故は衝撃的だった。10万人もの人が避難を強いられ、汚染度が高い地域は数十年は戻れないといわれる。これほど深刻な被害を及ぼした原発は廃炉にすべきだ」と訴えた。(朝日・生田大介)

〈川内原発〉
川内原発全停止へ 市長再開判断、秋以降
 薩摩川内市の岩切秀雄市長は7日の記者会見で、九州電力・川内原発1号機の運転再開の判断について「9月議会での表明を考えていたが、時期を延ばさざるを得ない」と述べた。川内原発は9月上旬に2号機も定期検査入りするため、全2基停止は避けられない情勢になった。
 6日、九電社員が玄海原発(佐賀県)の説明番組宛てに「やらせメール」の送信を子会社などに依頼した問題が発覚、さらに国が原発の安全性を総合的に判断する「ストレステスト」の実施を表明。これらが再開判断に及ぼす影響について「いずれも重大な問題。二つの課題が重なり遅れるだろう」と答えた。(南日本新聞)

〈伊方原発〉
伊方3号機再開見送り 四国電力が正式発表
 四国電力は8日、10日に予定していた定期検査中の伊方原発3号機(伊方町)の再稼働について、「現段階では地域の皆さまの理解をいただける状況にないと判断し、運転再開を見送る」と正式発表した。  伊方3号機は4月29日に定検入り。6月26日にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料16体を含む核燃料157体の装塡を終えていた。
 四電は、運転再開時に県や伊方町の同意を得るとしているが、見通しが立っていない。「独自の取り組みを含め、伊方発電所の一連の安全対策の実施状況などを引き続き、地元自治体や地域の皆さまに丁寧に説明し、理解してもらえるよう最大限努力し、一日でも早く運転再開できるよう最善を尽くす」としている。(愛媛新聞
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浜岡原発:「班目氏再尋問を」控訴審で住民側求める
 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市、全面停止中)の周辺住民らが1~4号機の運転差し止めを求めた訴訟の控訴審第12回口頭弁論が(7月)6日、東京高裁(岡久幸治裁判長)であった。住民側は東京電力福島第1原発事故を受けて津波に対する安全性を争点に加えるよう求めるとともに、1審で中部電側証人として出廷した原子力安全委員会の班目春樹委員長への再尋問の必要があるとの考えを示した。
 班目氏は07年2月の静岡地裁の口頭弁論で、複数の非常用発電機が起動しない可能性を問われ、「想定していない」と証言。しかし福島原発事故後に参院予算委でこの証言をただされた際は「割り切らなければ設計ができないのは事実。割り切り方が正しくなかったことも十分反省している」と答弁した。 こうした経緯を踏まえて住民側は「安全指針の誤りを認めた班目氏の再尋問は欠かせない」としている。
 一方、中部電側は「緊急安全対策や津波対策の内容、福島事故の原因究明なども踏まえて浜岡原発の安全性について主張・立証を行う」との意見を述べた。閉廷後の会見で中部電の寺田修一法務部長は「浜岡は安全性が十分確保されていると確信している。裁判所に理解してもらうようにしたい」と話した。【毎日・和田武士】

原発停止求め全国弁護団結成へ、秋にも一斉提訴
 東京電力福島第一原発事故を受け、国や電力会社に原発の運転停止を求める全国弁護団が7月に結成されることが(6月)15日、分かった。 弁護団は今秋にも、地元住民を原告とした訴訟を各地の地裁に一斉に起こす。原発の安全性を巡り、全国的な弁護団が結成されるのは初めて。 関係者によると、原発関連訴訟を手掛けた経験のある弁護士ら約40人が弁護団に参加する意向を示しているという。
 原発を巡っては、これまで周辺住民が国に設置許可の取り消しなどを求める訴訟を起こしてきたが、原告側の勝訴が確定したケースはない。2003年に名古屋高裁金沢支部で旧核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分を無効とする判決や、06年に金沢地裁で北陸電力志賀原発2号機の運転差し止めを命じる判が出たが、いずれも最終的には原告側が敗訴している。(読売)

「脱原発」へ1000万人署名開始=9月に5万人集会、澤地さんら呼び掛け
 福島第1原発事故を受け、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)などが結成した「さようなら原発1000万人アクション実行委員会」は(6月)15日、国内にある全原発の廃炉に向けて、1000万人を目標とした署名活動を開始すると発表した。9月19日には5万人規模の「脱原発」集会を開催したいとしている。
 呼び掛け人の一人である作家の澤地久枝さん(80)は記者会見で「1000万人が『原発は嫌だ』と署名したら政治家も無視できないだろう。各地で同様の活動をしている団体とも連携していきたい」と語った。
 作家の大江健三郎さん(76)や瀬戸内寂聴さん(89)、音楽家の坂本龍一さん(59)らも呼び掛け人に名を連ねた。(時事)