2011年7月11日月曜日

青森と脱原発

青森と脱原発

7/20
大間原発凍結の意見書案を可決 函館市議会
 【函館】函館市議会は20日、大間原発(青森県大間町)の建設の無期限凍結と原発依存からの脱却を政府と国会に求める意見書案を全会一致で原案通り可決した。近く菅直人首相や衆参両院議長などに送付する。
 意見書は、福島第1原発の事故で「原発の安全神話は崩れた」と指摘。大間原発は函館から最短で23キロにあり、このまま建設した場合、風評被害で基幹産業の水産や観光が甚大な影響を受けるほか、福島と同様の事故が起これば、函館は存亡を左右する危機にさらされると訴えている。(北海道新聞)
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〈むつ市・市長選〉
 今日から停止中原発の再稼働にむけた「県民説明会」が開催される青森県。
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県内原子力施設の安全策 11日から県民説明会
 福島第1原発事故を受けた県内原子力施設の安全対策について、県は11日から14日まで、県内延べ7カ所で県民説明会を開く。東北電力・東通原発1号機日本原燃・六ケ所再処理工場など各事業者が示した安全対策と国の評価結果などについて説明する予定。日程は次の通り。
◇11日▽午前9時~11時半 青森国際ホテル▽午後2時~4時半 六ケ所村文化交流プラザ「スワニー」
◇12日▽午前9時~11時半 プラザホテルむつ▽午後2時半~5時 八戸グランドホテル
◇13日▽午前9時半~正午 プラザマリュウ五所川原▽午後2時~4時半 ホテルニューキャッスル(弘前)
◇14日▽午前10時半~正午 青森国際ホテル(質疑応答のみ)(東奥日報
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 その青森で、昨日、むつ市の市長選の開票が行われ、自公推薦の現職市長が再選を果たした。
 問題は、投票率だ。過去最低だったのだ。
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下氏が再選/むつ市長選
当選 18,224 宮下順一郎(59)無現
5,192 新谷泰造(61)無新
▽有権者数 51,785
▽投票者数 23,809
▽有効投票 23,416
▽無効・その他 393
▽投票率 45.98%
 任期満了に伴うむつ市長選は10日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属現職の宮下順一郎氏(59)=自民党、公明党推薦=が1万8224票を獲得、無所属新人で前市議の新谷泰造氏(61)の5192票に大差をつけ、再選を果たした。投票率は45.98%で、前回58.17%を12.19ポイント下回り、過去最低だった。(東奥日報
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 「10日投票・むつ市長選 原子力政策、争点にならず」(河北新報)は、このように報じていた。「立候補した2陣営は原子力政策について「国の対応を待ちたい」とし、熱い論戦にはなっていない。福島第1原発事故を受け、原子力施設への対応は大きな焦点に浮上。政府の迷走を不安視する有権者からは「自分の主張を持つべきだ」との批判も上がる」・・・。
 記事の内容を拾ってみる。
当選した宮下氏
 「市内に建設中の使用済み核燃料中間貯蔵施設に推進の立場を取ってきた。施設立地に伴い、国から入る電源交付金を活用した事業などには前向きだ。 選挙戦で宮下氏は「原発事故で価値観が変わった。慎重にならざるを得ない」と強調するが、貯蔵施設に対する姿勢は「安全性や計画の可否は国の議論を見守りたい」と明確にしていない」
落選した新谷氏
 「将来の自治体運営について原子力依存からの脱却を訴えるが、「基本的には菅直人首相に従うむつ市での即時計画中止は、経済への影響を考えると現実的ではない原子力はメーンの争点になりにくい」と言う。演説でも原子力に多くの時間を割かない」
建設を請け負う土木工事会社社員の男性(32)。
 「貯蔵施設があるのは不安だが、今の生活を守らないといけない」。「事故があって子どもが被ばくしたらと思うと泣きたくなる。候補者は、市民を守る指針を示すべきではないか」
漁業男性(61)。
 「1981年に原子力船「むつ」の母港がむつ市関根浜となったことを振り返って言う」。「あれ以来、むつ市は国の施策に従ってきた。待ちの姿勢ではなく、下北半島の中心市としてどうするのかを真剣に考えてもらいたい」・・・。

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六ケ所で原子力安全対策説明会
 県内原子力施設の安全対策に関し、11日から始まった説明会では、参加者が、事後対策の安全性を強調する国や事業者に強い不安、不信感を訴えた。説明会が平日の開催質疑応答が1時間余りに限られたこともあり、原発の賛否を問う県民アンケート実施を求める意見も出た。(東奥日報より)

原子力施設の安全性説明会が開かれる 青森
 青森県は11日、東京電力福島第1原発事故を受け、県内の原子力施設の安全対策にかかわる県民説明会を青森市のホテルで開いた。説明会では東北電力の東通原発(東通村)や日本原燃の核燃料再処理工場(六ケ所村)の安全性などについて質問が相次いだ。
 説明会には県民約150人が参加し、経済産業省原子力安全・保安院や資源エネルギー庁の担当者、それに5事業者が福島第1原発事故を踏まえた安全対策を説明した。
 質疑では、県内の原子力施設の安全性への疑問の声や最大震度の想定に関する質問のほか、菅直人首相が突如打ち出した原発の安全性を総合評価するストレステスト(耐性検査)の実施についての国、県の見解を問う意見、質問が出された。このうち、ストレステストに関して同庁の担当者は「いきなりこの話が出てきて混乱とご迷惑をかけ、おわびしたい」と陳謝し、原子力安全・保安院でテストの手法を検討していることなどを説明した。 県民向けの説明会は14日まで六ケ所村、むつ市、八戸市、五所川原市、弘前市で開かれる。(産経)

「原子力行政変わらず」 青森の第三者委で批判
 青森県内の原子力施設の安全性を検証する県の第三者委員会が10日、東京都内で開かれ、経済産業省原子力安全・保安院の説明について、一部委員が「原子力は安全と言ってきたこれまでと全く変わっていない」と批判した。
 委員会では日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の緊急安全対策などについて審議。八戸工大教授の滝田貢委員が最悪の事故が起こった際の被害想定を尋ねると、保安院の担当者は「火災爆発が起きても周辺に影響を及ばさない設計をしている」などと答えた。
 滝田委員はまた、同工場付近に活断層があり、大地震が発生する可能性があるとの専門家の論文に言及。原燃は耐震設計上、考慮する必要がないと国が認めているとしたが、滝田委員は「国と事業者間での結論でしかない。科学的事実としては(活断層の有無は)結論が出ておらず、評価は不適当」と指摘した。(産経)

エネ庁と保安院「連携」に批判も
 夏場に予想される電力需給逼迫(ひっぱく)を受けて、経済産業省資源エネルギー庁と同省原子力安全・保安院が、定期検査で停止中の全国の原発の再稼働に向けて足並みをそろえている保安院が、規制官庁としての任務を自ら放棄したかのようだ。東京電力・福島第1原発事故では、エネ庁と保安院との“なれ合い”による安全規制の不備が事故の要因の一つとして指摘されたばかり。県内の首長からもエネ庁と保安院の早期分離を求める声が上がっているほか、経産省幹部からは「狂っている。原発再起動のために動いているこの組織(保安院)はもう終わった」との内部批判が出ている。

 6月29日、県議会原子力・エネルギー対策特別委員会。保安院の担当課長とエネ庁の担当課長が説明役として机を並べていた。エネ庁の担当課長が原発を再稼働できない場合、東日本だけでなく西日本の電力需給も逼迫する状況を説明し「わが国発展のためにも原発の再稼働をお願いしたい」と頭を下げると、保安院の担当課長は「事故を踏まえ、必要な安全性は確保されている」と補足した。原子力推進官庁と規制庁の役割は本来相反するはずだが、東通原発1号機の再稼働に向けて連携したかのような奇妙な光景だった。 原発再稼働に向けたエネ庁と保安院の連携は佐賀県でも見られた。6月26日、経産省主催の県民向け説明番組が佐賀市内のスタジオで撮影され、ネットなどで中継された。エネ庁と保安院の幹部らが九州電力・玄海原発の安全性を強調した。狙いは、玄海原発の再稼働に一定の理解を示していた佐賀県、玄海町の判断を促すこと。

 経産省幹部によると、こうしたエネ庁と保安院の連携の背景には、夏場の電力不足を懸念した海江田万里経産相の意を受けた経産省幹部からの指示があった。電力確保は本来、保安院の所管外だが、保安院の人事権は経産省に握られているため、同院職員は「原発再稼働に協力を」との指示に従わざるを得なかったという。推進のエネ庁と規制側の保安院が経産省内に同居する弊害がここでも露呈した格好だ。
 経産省のある幹部は「(組織が独立している)米国のNRC(原子力規制委員会)に対し、エネルギー省長官が原発再稼働への協力をお願いすることはあり得ない。保安院の任務は、原子力施設の安全性を確保することなのに…」とぶぜんとした表情。
 規制官庁の独立を求める声は県内首長からも出ている。同じ経産省の中に、政策推進のエネ庁と、検証する保安院が同居していることに、国民の1人としてとてもではないが納得できない」。8日に開かれた市町村長会議で、東北町の斗賀壽一町長は痛烈に批判した。県内原子力施設の緊急安全対策を説明し、県民から意見を聴取する「県民説明会」(県主催、県内6カ所)が11日に始まるが、ここでもエネ庁の担当者と保安院の担当者が同席する予定だ。 (東奥日報

知事 判断時期不透明/原子力施設
 国が原発の追加安全対策「ストレステスト(耐性評価)」の実施を表明したことで、東北電力・東通原発1号機など県内原子力施設の再稼働・工事再開の是非を判断する三村申吾知事のスケジュールに影響が出てきそうだ。県は、県原子力安全対策検証委員会の作業と並行する形で県民説明会などの意見聴取も7月に終了し、「早ければ8月中」(県関係者)に知事が最終判断するもくろみだった。しかし、原発の安全対策に関する国の方針は二転三転。県幹部は「国の方針が定まっていないこの時期に意見聴取する意味があるのか」と頭を抱えており、スケジュール見直し論も浮上している。(東奥日報)

政府対応に不満続出 原子力安全対策で市町村長会議
 青森県は8日、福島第1原発事故を受け、県内にある原子力施設の緊急安全対策について、市町村長から意見を聞く会議を青森市で開いた。原発立地自治体の首長からは国の対応への不満エネルギー政策の先行きを不安視する声が相次いだ。
 福島の事故後、電力事業者が講じた緊急安全対策への評価を原子力安全・保安院が説明したのに続き、8市町村の首長らが発言した。 計画段階を含め原発4基を抱える青森県東通村の越善靖夫村長は、追加の安全対策「ストレステスト」(耐性評価)の実施が6日に突然発表されたことを「政府の一連の言動には一貫性が感じられない」と批判。さらに、「原発誘致に40年以上かけた地域をないがしろにし、何の説明もないまま進むことに不信感を抱いた」と語った。
 着工済みの原発がある大間町の金沢満春町長は「日本の電力を担い、地球環境の保護に寄与するために協力してきた。今後も原発の必要性が揺らぐことはないので、地域の思いをくんでほしい」と強調した。 会議は、県内の原子力施設の再稼働や工事再開の可否の判断材料にするために開催された。(河北新報)

東通原発の安全策に評価 青森県検証委「設計に余裕」
 青森県の原子力安全対策検証委員会(委員長・田中知東大大学院教授)の4回目の会合が(7月)3日、東京・新橋で開かれた。東北電力東通原発1号機(東通村)の安全対策などが審議され、委員は東北電の説明におおむね好意的な見解を示した。
 東通原発で想定される津波の高さは8.8メートルで、敷地標高(13メートル)を下回っているが、東北電は東京電力福島第1原発の津波が約15メートルだったため高さ2メートルの防潮壁を築くと説明。北海道大大学院教授の杉山憲一郎委員は「余裕を持った設計だ」述べた。 前回会合では、「15メートルの根拠が不明確」と指摘されていた。
 田中委員長は終了後、「東北電はさまざまな対策をしており、一定の評価ができる。委員にも好意的な受け止めが多かった」と話した。 県は同日、これまでの議論を踏まえ、三村申吾知事に提出する報告書の構成案を委員会に提示。委員会は次回以降、構成案を基に議論する。(河北新報)

六ケ所村再処理工場の試験再開「青森県の判断が大前提」
 日本原燃(青森県六ケ所村)の川井吉彦社長は(6月)28日会見し、使用済み核燃料再処理工場の完成に向けた試験再開は「(再開に同意する)県の判断が大前提」と述べた。2012年10月に再処理工場を完成させる計画が遅れる可能性もある。川井社長は「工程はタイトだが、努力していきたい」と語った。 再処理工場は高レベル放射性廃液をガラスで封じ込める固化試験が最後の関門だが、過去のトラブルや東日本大震災などで試験が遅れている。原燃は暑さが一段落して節電の必要性が薄れる可能性がある8月中旬以降に向けて試験再開を準備している。
 東京電力福島第1原子力発電所事故を受けて、青森県は学者による検証委員会を設けて県内原子力施設の安全性を再点検している。ただ電力や技術面で固化試験の準備が整っても、専門家の検証を経て県や住民の同意を早期に得るのは難しい情勢だ。(日経)