2011年7月22日金曜日

原発の国民投票・・・

原発の国民投票・・・

 支持率10%余りの首相と政権与党の下で、停止中原発の再稼働に向けた準備が粛々と行われている。圧倒的多数の有権者が支持しない首相と内閣が、憲法と法令で保障された権限を行使しながら、退陣を引きのばし、今後数十年におよぶ日本の未来を規定する、さまざまな法案を通そうとしているのである。
 日本社会を包み込んでいる、この奇妙な政治状況は、いったいどうすれば打開できるのか。

 かなり前になるが、『自由と権利』(ジョセフ・ラズ著)を読んだことがある。「人が自律的であるためには、ある選択を与えられるだけでなく、十分な一群の選択を与えられなければならない」という一文がたびたび引用される本である。

 日本の「議会制民主主義」は、私たちに「十分な一群の選択」を与えない。政党政治も同じである。「国民」、有権者の圧倒的多数派たる〈私たち〉無党派は、「十分」どころか、ほとんど「選択肢」を持たない、と言っても過言ではない。いわゆる「間接民主制の弊害」と呼ばれてきたものが、ポスト「3・11」において最悪の形で現出しているのが今の情況と言ってよいだろう。

 こうした中で、昨日、一部民主党議員の呼びかけで「原発に関する国民投票を実現する議員連盟」が設立され、「設立総会」が開催された(「総会」の模様はネットでも放映されているので、関心のある人は参照してほしい

 以前にも書いたが、私は一般論として言えば、原発の国民投票に賛成である。原発のみならず「国の専権事項」とされている安保・米軍基地問題や「国策」一般に対する国民投票制度の導入は、いずれは実現されなければならない課題だと考えている。そのために『日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構』も書いた。

 しかし、「3・11」後の状況の中で、私たちが第一に考えなければならないのは、国民投票よりもむしろ、原発の「防災対策」の見直しを通じた、原発から50キロ圏内程度の自治体を網羅する、「広域的住民投票制度」の導入だと考えている。中央-地方の政治家・既成政党・議会・議員に、〈私たち〉の意志を「代表」できるとは、とても思えないからである。

 要は、国と自治体の政策決定に対し、〈私たち〉が、「ある選択」だけでなく、「十分な一群の選択」を獲得するためには、何がどうなればよいか、という問題に行き着くことになる。
 〈私たち〉は、日々、とても忙しい。やるべきこと、考えるべきことが山のようにある。そのほとんどは、仕事・私事・趣味に関することだ。そういう〈私たち〉が、政策上の「十分な一群の選択」を獲得するには、どのような政治のシステムが必要なのか。読者も暇をみつけて、ぜひ考えてほしい。

 それにしても。「設立総会」の何と低調なことか。民主党の未来が私にはどうしても見えないのだが・・・。

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福島第1原発事故 3、4号機の電源喪失
 東京電力は22日、福島第1原発の3、4号機への電力供給が停止するトラブルが発生したと発表した。外部電源の喪失は東日本大震災による復旧後初めて。3号機の使用済み核燃料プールの冷却機能は、供給回路の一部が復旧したため4時間40分後に復旧した。21日に水位計の電源が落ちて自動停止した汚染水処理システムは22日未明に復旧したが、この影響で再び止まったままだ。
 外部電源が機能を失ったのは22日午前7時10分。外部電源の回路を多重化する工事に伴い、21日夕から3、4号機などの電源回路をいったん停止。別の回路から電源を確保していたが、回路の遮断機が何らかの原因で作動したため、供給が止まった。原因を調べている。 電源喪失に伴い、3、4号機の原子炉内の圧力計と温度計も一時計測できなくなったほか、免震重要棟の電源も一時失われた
 原子炉への注水は、これまでに汚染水を浄化した水が残っていたため継続した。1~3号機の窒素注入は別の電源のため継続している。このトラブルによる外部への放射性物質の漏れはないという。【毎日・蓬田正志、比嘉洋】
福島第1原発:東電がベント不調を報告 会見では認めず(毎日)

原発再稼働、耐性評価が鍵 高浜4号定検で野瀬町長
 福井県高浜町の野瀬豊町長は21日、同町役場で記者会見した。関西電力高浜原発4号機の同日からの定期検査入りに関連し、逼迫(ひっぱく)する電力需給の改善には定検後の原発再稼働が必要と指摘した上で、「(再稼働には)ストレステスト(耐性評価)が大きな判断材料になる。国は早急にテストの手順、行程、スケジュールを示し、(自治体が)判断できる状況にしてほしい」と求めた。
 ストレステストが終了し、国から再稼働の要請があった場合の町としての対応については「その段階で、以前から町が求めているアクセス道路や避難道路などへの一定の回答があることが前提」としながらも、「一定の安全対策のロードマップを明確にしてもらえれば(再稼働に)理解はできる」と述べた。 さらに、県が求めている暫定的な安全基準と、町が求める条件はすべて同じではないとし「町の(再稼働への)判断が、県より早くなることも可能性としてないわけではない」と述べた。 関西圏の電力需給に関しては「厳しい電力需給になると危惧している」と受け止める一方「図らずも、福井県が関西の“血液”を供給する場所で、社会システム全体を動かす拠点であったことが顕在化した」と述べた。 町長は政府の姿勢に関しても「国はエネルギー基本計画や将来的な代替電源など、先々のことに視点が移り過ぎているのでは」と苦言を呈し、「足元をしっかり見た対応を早急にとるべきだ」と強調した。 (福井新聞)

美浜原発2号機、40年超運転に向け技術評価書
 関西電力は22日、美浜原子力発電所2号機(福井県美浜町、出力50万キロ・ワット)を40年を超えて運転するため、経済産業省原子力安全・保安院に保安規定の変更を申請し、設備は健全で40年超の運転にも耐えられるとする「技術評価書」を提出した。 東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故が起こって以来、40年超運転に向けた申請は初めて
 40年を超えて運転する場合は、その1年前までに、さらに10年間運転しても問題はないとする「技術評価書」を国に提出する必要がある。美浜2号機は1972年の運転開始で、25日にちょうど39年となる。 一方、福井県の満田誉副知事は22日、県庁を訪れた関電の豊松秀己副社長に対し、原発の40年を超す運転について、「(福島第一原発)事故の前後で同じ安全基準では理解は得られない。国が真摯(しんし)に取り組まないと運転は難しい」と話し、国が新たな審査基準を示さなければ40年超の運転を認めない方針を伝えた。(読売)

玄海原発の耐震評価でミス 3号機、安全評価に遅れも
 経済産業省原子力安全・保安院は22日、九州電力が2009年に提出した耐震安全性評価(バックチェック)の最終報告で、玄海原発(佐賀県玄海町)3号機で誤ったデータ入力が2件あったことを明らかにした。結果に大きな影響はないとみられるが再評価の必要性があり、福島第1原発事故を受けて実施予定の安全評価に遅れが出る可能性もある。
 保安院の森山善範原子力災害対策監は記者会見で「(評価結果は)ほとんど変わらない数字だが、ミスがあってはいけないので直してもらう」と述べた。  また玄海原発のほかの号機や、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で実施した耐震安全性評価についても再確認が必要となるとの見解を示した。 保安院がクロスチェックを依頼している原子力安全基盤機構がデータに不自然な点があることに気付き、保安院に知らせた。保安院は今月6日に九電に再確認を指示した。 (佐賀新聞)
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原発輸出、見直しが必要…参院予算委で首相
 菅首相は21日の参院予算委員会で、政府が推進する原子力発電所の海外輸出について、「もう一度、きちんとした議論がなされなければならない段階に来ている。(政府が昨年6月に決定した)新成長戦略の見直しの検討の中で議論する」と述べ、見直しが必要との考えを示した。
 政府は新成長戦略で、原発や高速鉄道などのインフラ輸出を柱の一つに位置づけていた。ただ、菅首相がベトナムへの原発輸出を推進した経緯もあるため、「(ベトナムとの)信頼関係を損なわないような対応の在り方も含めて議論したい」とも語った。将来的な「脱原発」方針を争点にした衆院解散・総選挙については「私の頭の中には全くない」と、改めて否定した。
 一方、海江田経済産業相は同委員会で、自らの進退に関し、「(原子力損害賠償支援機構法案の)一日も早い成立を願っている。そういうことに対しては責任を果たす」と述べた。原発再稼働問題をめぐる混乱の責任を取り、関連法案の成立後に辞任する可能性に改めて言及したものだ。(読売)

豪エネ相、ウランの需要・開発「さらに拡大」
 20日まで来日していたオーストラリアのファーガソン資源・エネルギー相兼観光相は、東日本大震災後に減速感をみせた世界の原子力発電市場の動向について、今後は力強い成長を回復するとの見方を示した。同国が世界最大とされる埋蔵量を持つ原発燃料ウランへの「需要と開発投資はさらに拡大する」と指摘。原発増設に積極的なインド向けに、現在の禁輸措置を解除する方向であることも示唆した。
 日本滞在中に都内で日本経済新聞の取材に答えた。原発の展望に関しては「クリーンエネルギーの一つで、発電手段の多様化の一翼を担い続ける」と強調。「(発電規模・効率の観点から)他の再生可能エネルギーとの代替は難しい」とも分析した。 核拡散防止条約(NPT)に非加盟であることを理由に豪政府が禁じてきたインド向けウラン輸出の扱いは「(供給の可否は他国と同様)商業ベースの問題だ」と説明した。既に米印原子力協定を支持する立場を表明している豪政府が国内の政治的な調整を終え、禁輸解除にメドをつけつつあることをにじませたとみられる。

 豪州はカザフスタン、カナダに次ぐ世界3位のウラン生産国。ウランの国際価格は東京電力福島第1原子力発電所事故前の1ポンド70ドル超から足元で同50ドル台に下落したが、カザフは増産姿勢を堅持している。豪も新興国需要をテコにウラン開発・輸出を促進する構えだ。 豪政府がこのほど2012年7月の導入を発表した二酸化炭素(CO2)排出や資源開発を巡る企業税制にも触れ「(国民・企業の反発があっても)予定通り導入する」と言明した。影響として「製造業では(税負担の影響への)対応策を求められる」と述べる一方「石炭は需要・市場価格ともに好調で、収益の機会は豊富だ」と主張。資源分野では税負担を上回る恩恵が得られるとアピールした。
 新税制で「再生可能エネルギーなどの活用が一段と重要になる」との見通しも示した。そのうえで「太陽・地熱発電やCO2の地下貯留(CCS)で日本の技術革新は強みになる」と評価し、日本政府・企業と緊密に連携したい考えを表明した。
 国際石油開発帝石が主導する豪北部の大型液化天然ガス(LNG)生産・輸出プロジェクト「イクシス」にも言及。「同社だけでなく震災後の日本の資源調達の助けになるだろう」「(同社などが年内に予定する)最終投資決定に備え、豪政府は近く生産ライセンスを発給する」などとして、豪政府として後押しする姿勢を示した。(日経)