東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言
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3/19付の毎日新聞によると、岩手、宮城、福島3県から県外に避難した被災者が3万人近くに上る、という。全都道府県が避難者受け入れの準備を整えたことも判明し、福島第1原発がある福島県双葉町の住民約1200人が「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市中央区)に避難し、町役場の機能も移転した。
「今後の受け入れ準備も進む。秋田県は2万4000人、山形県は2万9000人、神奈川県は最終的に6万5000人を受け入れるなど、全都道府県が取り組む姿勢を見せた。ただし、原発事故の沈静化の見通しが立たず、被災地の復興にも時間がかかることから、避難先での被災者のケアや住宅探しなどが今後の課題」・・・。
ちょっと待って欲しい。いったい何が起こっているのか?
大震災発生から丸一週間が過ぎ、そして9日目を迎えようとしている今、私たちは国の被災地支援、原発「事故」対策と事故被災者支援のあり方を全面的に見直し、その政策的転換を国に対して、はっきりと迫るべきなのではないか?
政府が公式に避難域20キロ内・「自宅避難」域20-30キロを変更していないにもかかわらず、「19日は福島県南相馬市と飯舘村の住民計約1070人も新潟、栃木の両県の避難所に入った。原発から30キロ圏で屋内退避指示が出ている地域の住民を対象に、国と県が希望者を対象に(?!)実施している県外退避支援計画に基づく最初の例となった」。ワケが分からぬ事態が進行しているのだ。
20-30キロ圏内の人々は、自ら「希望」しなければ国と県の「避難支援」を受けることができないのか? 「希望」を申し出なくとも、むしろ国が避難域の拡大を公式に発表することによって、〈住民避難に関する行政責任を国がきちんと持つ〉ことを明確にすべきではないのか? NHK、毎日新聞をはじめ、既存の新聞・TVメディアは、いったい何を「報道」しているのか?
避難する/しない、その最終的意思決定は、もちろん住民諸個人が下すものだ。しかし国が避難を「指示」した地域の住民の避難は、国が責任を持って行わねばならない。そのためには当然、金=税金がかかる。20キロから30キロ、30キロから40キロへと地域が拡大するにつれて、国の行政的責任と財政的負担は、より重くなる。
「希望者を対象に」というのは、必ずしも国は住民避難に責任を負うものではないが、住民が「希望」するのであれば、国の好意・配慮で避難を「支援」することは「やぶさかではない」、という理屈である。国や県は諸々の事情、理由から「希望」することができない人々を、事実上、見棄てる/見殺しにするということだ。お決まりの〈棄民〉である。 国はまず、公的に避難区域30キロ宣言を行い、国と県の責任を明確にすること、それと同時に区域拡大の具体的検討に入ること。その措置を早急にとるべきだ。
今回の原発事故のような事態が起こったとき、国は自らが負うべき行政責任と財政負担を銭勘定しながら、「避難・屋内避難」に分けたエリア指定を行う。できるだけ責任と負担が小さくなるように。今回の場合、その基準はただ単にチェルノブイリの「前例」でしかなかったわけだが、そのことをも含めて私たちは、国の住民避難対策の問題点を洗い直す必要に迫られている。
NHKをはじめとした、既存の新聞・TVメディアの「報道」はひどすぎる。はっきり言って、政府の事故対応策もマスコミ報道も無茶苦茶だ。 書こうとしていた愛媛大学の問題にも絡めながら、ポイントを整理しておこう。
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マスコミの事故報道の最大の問題点は、この「事故」がいつまで続き、どういう形で決着をみるのか、何も現実的な展望がないにもかかわらず、なにかしら「冷却機能の回復」が「事態収拾」へと発展するするかのような幻想を振りまいていることだ。東大を始めとする各大学の「専門家」連中が、そうしたデマキャンペーンの尖兵として「国民の不安」の、科学的・現実的根拠に裏打ちされない解消役、なだめ役を果たしているのである。
では、もしもありうるとして、どういう形で「事態収拾」をはかることができるのか? 私の理解では、
①福島第一原発の全号機(「プール」を含む)の自動冷却機能を回復した後に、
②水素爆発で破壊された「建屋」の外側から、
③起こってしまった今回の地震と津波の規模=破壊力に耐ええる、15mあるいはそれ以上の厚さのコンクリート壁で、丸ごとすっぽりと閉鎖する、ことくらいしか考えられない。「海洋投棄」することもできなければ、理論的には可能でも現実的には地底に丸ごと埋めることも困難だ。(スペースシャトルとロケットで地球に影響を及ぼさないところにまで持って行き、爆破するのも「妙案」ではある)。
問題は、福島第一・第二原発すべての事業体としての廃止⇒「廃棄処分」をどうするかであって、最初に政府・東電が決めねばならない/私たちが知っておかねばならないのはその方法と工程である。
「安全に廃棄する」ために、「自動冷却機能」の回復が必要なのだ。まずこの点を全国民的・全世界的にはっきりさせ、確認することだ。この最終工程との関係で、その時その時の作業の「到達段階」を確認できれば、それでよい。
東電経営陣・技術者集団に求められていた/いるのは、まず腹を括って「その工程・方法」を考案し、その全貌を政府と全国民に情報公開することにあった/ある。
私自身は、自動冷却機能の回復が、果たして可能なのかどうかも訝っている。何か具体的根拠があるからそう思うのではなく、具体的なことを判断できる材料・情報が何も政府・東電から提供されていないから懐疑的にならざるをえない。 私たちはこれまで、原子炉については無傷だと知らされている。しかし、地震・爆発による各号機の格納容器および「プール」の損傷程度については何も分からない。内部の映像は一部流されているが、損傷・欠損・破損、全体としての破壊程度については、現に損傷・欠損・破損があり、放射能漏れが「一部」で起こっているという以上に、何も判断することができない。報道をすべて信じるとするなら、東電自体が把握できていないという(⇒果たして、ほんとうにそうか?)。
しかし、私たちの置かれている状況は、実際どの号機のどこの何が、どれだけ破壊されていようがいまいが、そして何がどうなろうと、自動冷却機能の回復に向けて、ひたすら突き進むことしかできない、それだけ絶望的なものなのだ。そしてこの機能が回復されるまで、私たちにできることと言えば、半永久的に、何がどうなろうと、ひたすら給水・放水活動を続ける、それだけだ。それ以外には何の「打つ手」もない。避難地域を拡大し、できるだけ多くの住民の安全を確保する行政措置を除いて。
願わくば、東電の現場の技術者が地震によって(つまり「建屋」が内部の水素爆発で破壊される前に)、「プール」が損壊し、外部に溢れ出した放射能水を現場労働者が浴びるという事態が確認された段階で事態の深刻さを予測し、直ちに欧米の研究者・技術者をも招聘し、国際対策プロジェクトチームを早期に結成していてほしかった、と私は思う。そうすれば、少なくともいま私たちが直面しているような混乱は起こらなかったからだ。
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東北・関東地域に生きる、「一定の科学的知識」を持つ私たちの多くは、避難するか否かの二者択一ではなく、いつ、どのような状況になったら避難を考えるべきか、その判断の基準をめぐって悩んでいる。マスコミ報道と「専門家」の「解説」は、こうした私たちの切実な悩みに何も応えようとしない。
まず、各定点の各定時における放射線量値は、知っておくべき情報ではあるが、何の「基準」にもならない。
私が「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」の冒頭で述べたように、放射能は「微量」ずつではあっても、確実に大気・土壌-水系、海を汚染し続けているからだし、直近では昨夜(3/19)の茨城県北部沖の震度5以上の地震にみられるように、いつ現作業の中止・完全放棄を迫るような地震・津波が再発するか、いっさい予測不可能であるからだ。「人体に直ちに影響を与えるものではない」という「報道」を聞いた直後に、原発沖でM7,8,9の地震が起こるかもしれないし、現場作業員が作業を継続できないほどの放射能が出るような事態が起こるかもしれないのである。
たとえば、福島市内の人々は、もはや毎日安心して水を飲める状況にはない。県や都、市や町から、毎日、定刻に「水の安全」を確認してから、私たちは水を飲んだり、料理をしたりするだろうか? 私が福島市民であるなら、関西以西への、少なくとも家族の避難は、もう決断しているはずである。 また、茨城県北部で採れた野菜の放射能汚染も確認されている。野菜が汚染されるということは、水系が汚染されているということであり、国がその地域を避難地域に指定しようがしまいが、遅かれ早かれ、農業はできなくなり、生活水問題に直面するようになり、人々は避難⇒転出を余儀なくされるだろう。「風評被害」がどうとかこうとかいう問題ではない。人間の口に入るものが一度放射能で汚染されてしまった、そのこと自体においてもうその地域は「アウト」なのだ。
「専門家」は、今回のケースの場合、土壌汚染や水汚染は「一時的」なものであり、いずれは影響はなくなる=原状回復する、という。「いずれ」とはいつのことか? 「自動冷却機能」の回復まで? 第一原発をコンクリートで囲い込んでしまうまで?
「人体/健康に直ちに影響を与えるレベルではない」論は、誰に対しても、何の慰め、安心保証にもなっていないのである。東大を始めとする各大学・研究機関の理論物理学者や「原発屋」は、そのことを自覚した上で「街角紙芝居」に出るべきである。(⇒米国の科学者たちの関心は、今回の事故の影響が米国国内に及ぶか否かにあるのであって、福島県民や私たちがどういう影響を受けるかにあるのではない。海外の関心はすべて自国・自国民への影響という、至極当然のことに限定されていることを理解しておく必要がある)
⇒「保安院審議官」、これは無知なのか犯罪なのか?
⇒「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ
ポイントは、第一に、第一原発の損壊状況や放出される放射線量の値は、福島県民をはじめ隣接する宮城県民や茨城県民の放射能汚染の危険度を尺度する判断基準になりえないということ、それは私たちにとっても同じだというところにある。
第二に、東電は事故が起こるまでに、原子炉をはじめ施設・設備の整備・点検を怠っており、実際に各号機が事故以前にどういう問題を抱えていたのかについても、震災後の現状についても私たちには何もわからない、という点。つまり、各号機が正常な状態で稼動することを前提にしたあれやこれやの「科学的」「予想」や「見識」は、何の意味も持たない、ということだ。成就されてしまった結果は、あらゆる前提を廃棄してしまったのである。
「あってはならないこと」が起こってしまった現実を踏まえ、「何が起こるかわからない」ことを自明とした「対処」を私たちは考えざるをえない。もしも自分自身や身近にいる子どもたち、家族を被曝から守ることを第一に考えるのであるなら。国や自治体は何も保証しない。判断と選択は、私たち自身が自ら下す以外にないのである。
いまこの文章を読んでいる人は、福島県民、北茨城と南宮城の人々がまさにそういう判断と選択を迫られていることを理解するだろう。突発的事態が何も起こらないという、想定すべきではない条件を考慮に入れたとしても、エリアは徐々にではあれ確実に、同心円的に拡大しているのである。
あるべき「事故報道」の内容
まず、放水作業の現場中継や、何時から始めて何時に終わるか、読売と産経にありがちな自衛隊・機動隊英雄視などは、いっさい無意味で無駄な「情報」である。また、「専門家」による「作業解説」も必要ない。
よく思い出して欲しいのだが、私たちはこの9日間、基本的に同じ性格の、とりたてて何の前進も確認できない「注水・放水」作業をめぐる「ニュース」を観、「解説」なるものを聞かされ続けてきた。そこでの焦点は、「放射能水蒸気が出た/出ない」「水がどの程度張っているか」「冷却効果があったか否か」等々という、これから果てしなく続く工程から言えば、きわめて「低次元」のレベルにずっと停滞したままなのだ。
現場の作業めぐる中継や報道は、作業が次のレベル、すなわち破損/破壊された格納容器や「プール」、電気系統その他の修復段階に移行するときに行えばよい。では、何が必要なのか。
私は、四日前に「最も深刻なのは、1号機から6号機までの燃料棒と使用済み燃料の露出状態を私たちがまったく把握できないことです。政府の情報公開とマスコミの事故報道に求められていた/いるのは、まず何よりも警戒レベルと対処マニュアルを定めた上で、毎日数回にわたり各号機の露出/非露出状態を明らかにすることです。最低限の説明責任と情報公開です」
「私たちに必要なのは、どれだけ「空焚き」状態が続いているのか/いないのか、そして発火→火災→爆発がいつ起こる可能性があるのか/ないのか、これらに関する具体的で科学(実証)的な分析と情報です」と書いた。
これらの内容に加え、必要なのは、これから確実に拡大してゆく各地の水・農作物・鶏や豚・牛などの食品関係の汚染情報である。これらをすべてパッケージ化し、「お天気情報・予報」とセットとなった「第一原発情報・放射能汚染予報」の放送を、できるだけ早く開始することだ。人々の恐怖を煽るような、感情を逆撫でするような、仰々しい「速報」や深刻ぶった「報道」はいっさい必要ない。必要なのは、正確な場所と精確な数値の変動のみである。
毎日、定時にそうしたきわめて事務的な情報を確認しながら、その日をどうするか、その後どうするかを考える日常に、私たちは慣れなければならない。そして、政府は政府で避難地域を順次拡大しながら、私たちは私たちで、いつ、どこまで避難するかを各自が判断する。
そういう「レベル」に、私たちは到達してしまったのである。
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・廃炉に言及の「段階じゃない」…東電副社長
第1原発の事故を受けて、東電の武藤栄副社長(60)が21日夜、東京都千代田区の東電本店で記者会見。武藤副社長は、枝野幸男官房長官が20日、福島第1原発の廃炉に言及したことについて、「まずは事態を収束させて原子炉を安全な状態にするのが第一で、それ以降のことを申し上げる段階じゃない」と述べた。
武藤副社長は「未曽有の津波を経験し、結果としてこういう事態に至った(?)ことは大変申し訳なく思っている」と陳謝。海水注入のタイミングが遅かったのではとの質問には、「全体の事象が収束したわけじゃないのでよく見てみる必要があるが、最大限の努力を払って冷却してきた」と述べるにとどめた。 また、武藤副社長は、東電独自に放射能汚染のシミュレーションを実施していることを明らかにしたが、「(事故により)放射線量の基礎データが確かじゃない」との理由で、すぐに公表する考えはないという。【毎日・袴田貴行】
・国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判
住民の被曝量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、研究者らから批判が出ている。文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明。 予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)。原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。日本全域を250メートル四方に区切り、それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。
同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、東京電力・福島第一原発について計算を始めた。放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない(?)」と説明している。
一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、対応を決めるのが原則ではないか」と話している。 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」と注釈つきで公表。米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画をホームページなどで公開している。(朝日新聞・木村俊介)
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私が言っているのは、上の「被曝予測」をTVやラジオ、ネット等で「お天気情報・予報」とともに放送すること。
それを原発現場の数値とともに、各地の土壌・水質・食品関連汚染の情報と併せて、私たちはできるだけ早く、毎日定刻にチェックできるようにならなければならない。パニックにならず、タンタンとそういう〈日常〉が送れるように「慣れる」。それしかない。
・農産物出荷停止 風評被害拡大抑える狙い
東京電力福島第1原発から放出された放射性物質による農産物の汚染が懸念される中、政府は21日、福島県など4県という広範な地域を対象とした異例の出荷停止に踏み切った。対象の品目と地域を明確にすることで、対象外の農産品に対する風評被害の拡大を抑える狙いがあり、急きょ規制値を暫定的に設けるなどの「政治決断」で対応を急いだ。しかし、今後出荷停止の対象が広がる事態も予想され、流通量の確保や被害農家への補償が難題として待ち構える。
食品添加物などの規制値は食品衛生法に基づいて定められるが、原発事故を想定した放射性物質の規制値はなかった。今回適用された暫定規制値は、原子力安全委員会が「指標」を示し、厚生労働省食品安全部長名で17日、全国の都道府県知事に通知された。大塚耕平副厚労相は「大気中で放射能が検出されている中で暫定的な規制を導入せざるを得ない。店頭に流通しているものは安全だということを示すことが風評被害を防ぐために重要だ」と説明していた。
放射性物質の被害は広域に広がる。だが、食品衛生法では規制値を超えていない農産物の出荷規制まではできず、広域の規制が難しい。このため、原子力災害対策特別措置法を適用した。福島第1、2原発の事故に対しては同法に基づく原子力緊急事態宣言が発令されており、首相は原子力災害対策本部長として関係自治体の首長に「必要な指示」を出すことができる。食品衛生法で急きょ規制値を設けたうえで、原子力災害対策特措法の首相指示によって広域の出荷停止を可能とする非常措置に踏み切った。
しかし、こうした措置は流通の混乱や出荷停止の拡大という危険と背中合わせだ。枝野幸男官房長官は21日の記者会見で「国の権限で出荷規制の指示をする以上は、補償について当然、国が対応する」と約束したものの、事故の長期化も懸念される中、被害額が大きく膨らむ可能性もある。復興対策に関する国の財政負担が過去に例のない巨額に上るのは必至で、枝野長官は「一義的には東京電力に責任を持っていただく」とも強調。【毎日・平田崇浩】
・福島県沖を震源、二本松など震度4
21日午前4時54分頃、福島県沖を震源とする地震があり、福島県二本松市などで震度4を観測。気象庁によると震源の深さは約30キロで、マグニチュードは4.7と推定。津波の心配はないという。
・燃料プール上は100度以下=1~6号機、「水入っている状態」―防衛省
北沢俊美防衛相は20日の記者会見で、陸上自衛隊のCH47ヘリコプターが同日午後、福島第1原発の上空約900メートルから温度測定した結果、1~6号機とも、使用済み核燃料プール上の温度が19日と同様に100度未満だったことを明らかにした。
北沢防衛相によると、原子力安全・保安院の専門家はこれらの結果について「プールには水が入っている状態」と分析。3号機の原子炉格納容器の上部は128度と高めだったが、保安院は「炉心の上なので想定の範囲内」(?)と指摘したという。
防衛省によると、温度測定は20日午後1時8分~42分、CH47に搭載した赤外線温度測定装置(サーモグラフィー)で、1基当たり最大5回にわたり計測した。
それによると、各基の最高温度は、1号機が58度、2号機が35度、4号機が42度、5号機が24度、6号機が25度。3号機については、格納容器の上は128度あったが、次に高温の使用済み核燃料プールの上は62度と、ほかと比べて極端に(?)高温ではなかった。(⇒5,6号機の温度と「プール」の温度、1,4号機の温度の差に注意)
次の温度測定は23日で、その後は火、金曜日に測定、データを政府内で共有する。(時事)
・福島県飯舘村で水道水から基準の3倍の放射性物質、飲用控えるよう要請
厚生労働省は21日、福島県飯舘村の水道水から1キロ当たり965ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。原子力安全委員会が定めた摂取制限基準の3倍超にあたる。
厚労省は同日、水道水を飲むことを控えるよう、同村に要請した。一方で、「手洗い、入浴などの生活用水としては利用可能。他に水がない場合は飲んでも差し支えない」と冷静な対応を呼びかけている。
・北茨城市と高萩市の水道から放射性物質を検出 微量で「人体影響なし」
茨城県は20日、同県北部の北茨城市と高萩市の浄水場の水道水から微量の放射性ヨウ素とセシウムを検出したと発表した。 福島第1原発事故の影響とみられる。いずれも国の基準値以下で、橋本昌知事は「人体に与える影響は考えられない」としている。
県によると、19日に採取した水道水を測定した結果、北茨城市で水1キログラム当たり10ベクレルのヨウ素と1.117ベクレルのセシウムを、高萩市で8.4ベクレルのヨウ素と1.26ベクレルのセシウムをそれぞれ検出。
国の原子力安全委員会が定める摂取制限の基準は、水1キログラム当たりヨウ素が300ベクレルで、セシウムが200ベクレル。(産経)
・野菜の放射能測定めぐり「事実誤認」 福島県が訂正へ
福島県は21日、「日本分析センター」(千葉市)による県産野菜の放射能測定方法が正確でなかったと20日に発表した内容について、事実誤認だったとして撤回、訂正する方針を決めた。22日に発表。
福島県産ホウレンソウなどの放射能測定をめぐっては、県の依頼を受けた文部科学省が19日、野菜中の環境放射能の測定・分析を同センターに依頼。センター側は20日、同省のマニュアルに従って測定した結果を同省に提出した。
ただ、この検査は環境放射能を測定するもので、野菜を洗浄せずに測定するのが原則。厚生労働省が所管する食品衛生法に基づく放射能測定については、洗浄してから野菜を測定する必要があるため、県が改めてセンターに野菜を送り、再度測定をしているという。
福島県の鈴木義仁・農林水産部長は20日夜の会見で、野菜の放射能測定について「(日本分析)センターに手違いがあった」などと発言していた。しかし、政府やセンター側から指摘を受け、発表内容を訂正する。
3/20
・福島、基準超すヨウ素含む水道水
厚生労働省は19日、福島第1原発から約40キロ離れた福島県川俣町の水道水から、原子力安全委員会が定めた飲食物の摂取制限の指標、1キロ当たり300ベクレルを超える1キロ当たり308ベクレルのヨウ素を検出したと発表。福島、宮城、茨城の被災地3県は文科省の調査の対象外。
・福島第一原発、収束後も再稼働困難との見通し
枝野幸男官房長官は20日夕の記者会見で、事故が相次ぐ福島第一原子力発電所の廃炉の可能性について「客観的な状況として、再び稼働できるような状況であるのかどうかははっきりしている」と述べ、事故が収束(?)しても再稼働は困難との見通しを示した。(⇒こんなことは最初から自明のことではないか。こんなことを丸9日間を経て云々していること自体が狂気の沙汰ではないだろうか)
・福島第一3号機格納容器、圧力降下策で蒸気放出
東京電力は20日、福島第一原子力発電所3号機の原子炉格納容器の圧力が再び上昇を始めたとして、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を再度行うと発表した。 圧力は同日午前1時10分には約2.8気圧だったが、同4時30分には約3.4気圧になった。現在、所内で行われている電源の復旧作業や放水作業などは中断する。
3号機は13日午前8時41分から蒸気を放出する弁を開けたままで、圧力が再び上昇した理由は不明。この弁が閉じてしまっている可能性があるため、復旧作業員などが退避した後、弁を開ける操作を試みる。 それでも圧力が下がらなければ、別の弁を開けるが、冷却水を通さずに排気するため、強い放射能を帯びた物質が外部に放出される可能性がある。(読売新聞)
(⇒その後読売は、東電が「3号機の原子炉格納容器の圧力が安定したため、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を当面見合わせ」たことを報じた。一事が万事だが、「なぜ圧力が「安定」したのか、気圧の数値はいくらか」などを報道しない。「当面」とはいつまでなのかも分からない。また、放射線量の数値の変動、電源の復旧作業の再開如何についても、私たちは別の記事を調べることを余儀なくされる。
上の記事によって私たちは、格納容器の圧力が約3.4気圧程度になれば、東電が「器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作」を検討し、それによって「強い放射能を帯びた物質が外部に放出される可能性」が高まることがわかる。では、この「操作」の検討を東電は何気圧になれば行うのか、それを記者は東電に確認しなければならない。そして公開すべき情報項目の一覧を作成し、見やすく、理解しやすい一定地域の一定時間域の「危険・警戒レベル」を報道すればよい。
これが容易なことではないのは、誰だってわかっている。「科学者」や「専門家」は、批判を覚悟の上でそういう情報公開のために責任を果たすという使命感を持つべきなのだ)
・取り残される災害弱者 原発30キロラインの避難所
福島第1原発から34キロ。福島県いわき市の県立四倉高校に200人以上の避難者がいる。約1キロ原発寄りの避難所にいた人たちは市のチャーターバスで移動した。四倉高校にいるのは車がないか、ガソリンが尽きて身動きできないお年寄りら災害弱者だ。
11日、震災直後から家を失った約1200人が逃げ込んだが、翌日に福島原発の事故情報が広まると、大半はすぐに立ち去った。残されたのはほとんどがお年寄りで自力で歩けない人が10人以上。ミルクやおむつが必要な幼児もいる。食料と水は市の配給だけが頼り。感染性胃腸炎とみられる症状も広がっている。
屋内退避指示が出ている半径20~30キロ圏内について行政側は「自主的避難」を支援。四倉高校の避難住民らは繰り返し県や市に再避難の手配を求めているが、県は「再避難の予定はない」とする。「半径30キロから少しでも外にいれば安全なのか」。1人の男性が大声を上げた。
・被災地と認識されず…「見捨てられた」地域
東日本大震災で津波による犠牲者を出し、家屋が流されるなど大きな被害を受けた茨城県の県北地域。福島第1原発事故による放射性物質の漏洩(ろうえい)が住民の不安をさらに高めている。一方、深刻な被害を受けた東北地方に比べ、全国的には被災地として認識されておらず支援も十分ではない。住民からは「見捨てられた」と声が漏れた。(前田明彦)
◆六角堂が消失
北茨城市大津町の大津漁港。茨城の冬の味覚、アンコウが揚がることでも知られている。だが、地震発生後の津波に襲われ、漁船や沿岸の家屋も押し流された。その後、住民が戻ると、津波が運んだ茶色の泥とがれきが道路を埋め尽くしていた。
近くには日本美術界の大家、岡倉天心が自ら設計した「六角堂」があったはずだが、津波で流され、今は土台だけが残る。太平洋の海の青色とのコントラストが映える風景が一変していた。
同市のシンボルだった「二ツ島」も木々が流されて岩の表面がむき出しとなり、かつての面影はない。風光明媚(めいび)な場所として知られた北茨城市は壊滅的な打撃を受けた。
◆動くに動けぬ
市内全域で停電していたが電気もようやく回復し、浄水場が復旧して通水も始まった。だが、水道管の破損による漏水などで思うように復旧が進まない。JR常磐線は運休したまま再開のめどは立たず、常磐道も閉鎖。避難所には物資が供給されているが、自分で取りに行けない高齢者やガソリンがないため乗用車を動かせない世帯も多く、生活に必要な物資が十分に行きわたっていないのが現状だ。
同市関係者や市議らは「北茨城市など県内市町村が、国に被災地域として十分に認識されておらず、一部物資は市内から福島県への支援に回された」と口をそろえる。同市内で飲料水や子供用オムツを配っていたボランティアの女性は「国に見捨てられたという思いがある。メディアでも取り上げられず、ここも被災地ということが分かってもらえない」と嘆く。
津波で家財道具が流されたという大津港近くに住む50代の女性も「母と娘の3人暮らしだが、食料も水も十分にない。避難所にはあるみたいだが、ガソリンがなく取りに行けない。家の片付けも進まないし、どうしたらいいのか」と、目を潤ませて訴えた。
◆原発不安も
また、福島第1原発事故も市民の不安を高めている。同市では16日午前11時40分に1時間当たりの放射線量が県内で最も高い15.8マイクロシーベルトを観測。健康に影響はない値とされるが、報道では「通常の300倍」と強調され、住民の不安はピークに達した。親族が原子力施設で働くという女性(46)は「健康に影響はないと分かっているが、いろんな情報を聞くと不安に思う。何かあっても年寄りの父母が家にいて、すぐに逃げることもできない」と嘆く。「健康に影響がないなら市長が『大丈夫です』と広報するだけでみんな安心するのに…」。情報の混乱も地域に深刻な影響を与えている。(産経新聞)
・新たにホウレンソウ・牛乳から放射性物質
枝野官房長官は20日夕の記者会見で、茨城県内でホウレンソウ1検体から、福島県内で牛乳4検体から、食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質を新たに検出したと発表。ただ、「ただちに健康に影響を及ぼすとは考えられない」とも強調した。 菅内閣は東京電力福島第一原子力発電所の事故と関連があるとみており、枝野氏は会見で「国として一定地域における摂取制限や出荷制限(?)などの対応が必要かどうか、明日中には結論を出したい」と述べた。(⇒このまま放置すれば、福島県民や茨城県民は、私たちはこの国の政府に・・・・)
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・事故対応「場当たり的」…政府、東電を世界中が非難
震災と原発事故に対する日本政府、東京電力の対応に、海外メディアなどから批判が相次いだ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、計画停電実施に際して事前情報が少なく、市民の不安が増大した、とし「菅直人首相や官僚は一切、計画にタッチせず、東京電力に任せきり」「指導力の欠如」と非難。
中国紙、21世紀経済報道は東電について「原発トラブルのデータを改ざんした“前科”があり、今回の対応の伏線になっている」と批判。東京から中継した米CNNテレビの看板キャスター、アンダーソン・クーパー氏も、02年に原発トラブル隠しが発覚した東電を「国民を欺いた過去がある」と紹介した。
危機対応に関し、国際原子力機関(IAEA)高官は「日本の協力不足」を指摘。欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は日本の対応について「信じられないほど場当たり的。原発は制御不能に陥っている」と切り捨てた。
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人間とは、不器用な生きものだ。
私たちは、二つの感情を同時に持つことができない。竹中直人の「笑いながら怒る/怒りながら笑うオジサン」は、生物学的に存在しえないからこそ意外性があり、芸としても面白いのである。
私たちは、いまこの瞬間に、福島原発から大気中に排出され、土壌を侵蝕し、太平洋へと垂れ流されつづけている放射能に脅えながら、日本政府や東電に対して怒る、という感情を同時に持つことができない。
脅えと怒りは交互に襲ってくる。そして脅えすぎると人間は怒りの感情を失い、怒りすぎると脅えることを忘れてしまう。
笑いすぎて、脅えも怒りも忘れられる日を、いつか私たちは迎えることができるだろうか。
私たちはいま、疲れすぎて、感情そのものを失いつつある。
一番、危険な状態だ。
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疲れすぎて、感情の襞(ひだ)がノッペリしてくると、私たちは他者から自分がどう映るかなんて、どうでもよくなってしまう。
今日のニューヨーク・タイムズの記事。Frantic Repairs Go On at Plant as Japan Raises Severity of Crisis この写真。何とも異様な写真だ。何かに似てはいないだろうか。そう、「オウム」の「サリン事件」があった直後の東京の地下鉄の風景だ。
「あの時」と同じ事を、いま私たちは国をあげてやっている。その光景が「狂気の沙汰」だということを私たちは決して忘れてはならないだろう。
frantic repairs. 私たちがやっていることは"frantic"と米国のメディア、世界のメディア、人々から観られている。「死にもの「狂い」の」、もっと一般的には「必死の」「決死の」とでも訳すべきだろうが、異様な写真とともにこの言葉が使われると、一種言いようのない病的なニュアンスが漂う。
もちろん、米国人が、世界の誰が何をどう感じ、私たちをどう見ようがが知ったことじゃない。私たちはどれだけ常軌を逸していようと、「死にもの「狂い」」で、「決死の」覚悟で水をかけ続ける以外に何の方策もないからだ。私たちは、いまを生き延びなければならないからである。
しかし少なくとも、私たちは次のことを自覚しておく必要がある。
日本はいま、国家的に常軌を逸したこと、常識的・「科学的」理性を超絶したことを死にもの「狂い」で、franticに行っている、ということ。憐憫の思いとともに、全世界からそのように見られている、ということ。Harakiri, Kamikaze, B29を竹槍で落とそうとしていた国、そんな目で見られていること、日本は世界の諸々の問題を解決する、それに「貢献」する国ではなく、日本そのものが世界のおぞましいお荷物、解決すべき〈問題〉になってしまったということを。
そして、原発は、常軌を逸したことを私たちに強いる化け物だということを。
どんなに疲れても、このことだけは自覚しておこう。
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・1~3号機、炉心は冷却状態…東電会見
東京電力は19日午後7時頃から広報担当者が記者会見し、「福島第一原発1号機から3号機については炉心を冷却するための海水の注入が続いている」として、炉心が冷却された状態であるとの見方を示した。 また、復旧に当たっている作業員のうち、6人が100ミリ・シーベルトを超える放射線量を浴びたことも明らかにした。(⇒東電は6人が浴びた具体的数値を公表せよ)
厚労省が定める作業員の緊急作業時の被曝(ひばく)限度量は、これまで100ミリ・シーベルトだったが、今回の事故に限り、250ミリ・シーベルトに引き上げられており、限度の中に収まっている(!!)。(⇒この記事のグロテスクさを感受する理性を失わないように、私は必死でもがいている)。このほか、農産物から規制値を超える放射線量が検出されたことについて「心よりおわび申し上げる。今後お客様から損害賠償などの申し出があれば、国とも相談しながらしっかり準備を進めていきたい」とも語った。 (⇒そういう問題か?)
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経産省原子力安全・保安院は21日午後、福島第1原発の事故で、作業員1人の被ばく量が150ミリシーベルトを超えたと発表。(⇒これでも具体的数値は明らかにされない)
3/15付の以下の読売の記事に注意
放射線を浴びた時の人体への影響についての明確なデータはないものの、一般的に(?)、健康に明らかな影響が出る被曝(ひばく)量は、およそ100ミリ・シーベルトと言われている。(⇒では、なぜ自衛隊は50ミリ・シーベルトだったのか? 現場作業員の250、国際「基準」の500という値の根拠は何か? 「6人が100ミリ・シーベルトを超える放射線量を浴びた」のは、「健康に明らかな影響が出る」値ではないか?) これより低い場合は妊娠中でも胎児への影響も出ないとされる。
福島第一原発の事故現場付近では、400ミリ・シーベルトの放射線が観測されたが、この付近にいると白血球の一時的な減少などの急性症状が出るとされる。2000ミリ・シーベルト以上の放射線を浴びると、被曝後10日から3週間の間に、免疫力の低下や皮膚からの点状出血、腸管の損傷による下痢などの急性症状が出る(1ミリ・シーベルトは1000イクロ・シーベルト)。
.豪州の緊急援助隊、帰国へ
【シドニー時事】オーストラリア政府は19日、東日本大震災で日本に派遣していた72人の緊急援助隊が活動を終え、帰国すると発表。豪州チームは宮城県南三陸町での被災者の捜索・救助活動を行ってきた。 声明によると、生存者救助の役目は終了したと判断。「現時点で安全性に問題はないが、援助隊を不必要なリスクにさらすつもりはない」として撤収を決めた。豪政府は、福島原発事故の状況が不透明だとして、本州北部からの避難勧告を出している。 ニュージーランド通信によると、ニュージーランドのほか、米英独やスイスのチームも救助活動を終了。
・日本への渡航制限「必要なし」 WHO
【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)は18日、福島第1原発の放射能漏れ事故に関連し、原発から半径30キロ圏内を除けば、現時点で東京都内を含め日本への渡航を制限する必要はないとの見解を公表した。東京からの「避難」や、日本から輸出された食品への「警戒」も不要だと指摘した。WHOはインターネットのホームページに「渡航制限勧告」とは反対の「渡航安全勧告」を掲載する予定だ。
国連欧州本部で記者会見したハートル広報官は、東京周辺で検出された放射線の数値が微増したとはいえ「健康に悪影響を及ぼすには程遠いレベルだ」と強調。「日本に旅行する人は放射線を恐れる理由はない」と述べた。 一部の外国大使館や外国人などが東京から西へ「避難」している対応については「感情的な問題だ。それぞれの危機対応なので、気持ちは理解はできるが、現時点で公衆衛生上、東京に滞在するのに健康への危険は低い」と指摘した。
・東京、「健康上の危険ない」 IAEA
【ベルリン小谷守彦】国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)のグラハム・アンドリュー科学技術担当補佐官は18日、同機関の専門家チームによる放射線量計測の結果、「東京都内で健康上の危険はない」との評価を明らかにした。専門家チームはさらに福島第1原発周辺に現地入りし、活動を続ける。 都内の計測は同日、来日した専門家チームが行った。アンドリュー補佐官は、原子炉に通常含まれる放射性ヨウ素や放射性セシウムは確認できなかったとしている。(毎日)
・東京消防庁は、19日未明に東京電力福島第1原発3号機への放水作業に当たったハイパーレスキューなど緊急消防援助隊員らの被曝(ひばく)線量を検査した結果、「健康上の影響が出るレベルではなかった」と明らかにした。 隊員らは放水後、いったん放射線の影響が少ない活動拠点に退避。ここで被曝線量の検査を受けたが、健康上の影響が出るレベルの放射線は検出されなかったという。 また、未明の放水では3号機に計60トンの海水が放出されたが、同庁は「放水の効果がどれだけあったのかは分からない」としている。
3/18
・電源復旧、19日以降に作業ずれ込む
・福島第一原発「廃炉」を検討 東電常務が福島で謝罪会見
東京電力の小森明生常務は18日、福島市内の福島県災害対策本部で記者会見し、福島第1原子力発電所の爆発や放射能漏れ事故について「このような事態を招き痛恨の極みです。福島県民におわびします」と県民に初めて謝罪。 小森常務は第1原発の廃炉について「幹部と議論したことはないが、今後はそういうことも含めて検討していく」と述べた。
放射能汚染への不安と怒りが福島県民には広がっているが、「厳しい状況が続いているが、あらゆる手だてを講じて、安全確保に努めたい」と事態収束に全力を尽くす構えを表明した。 放射能汚染を避けるために、避難所を転々としている周辺住民に向けて「誠に申し訳ない」と涙ながらに謝罪。今後の補償については「国と相談して考えていく」と語った。
今後、原発事業の継続に関しては「経営判断があり、今答えられない」とした。 記者団からは「原発の安全性をPRしてきたのは正しかったか」「福島県民に希望はあるのか」といった質問が相次いだが、「イエスかノーかで答えられない」と言葉を失っていた。(産経新聞)
・使用済み燃料、共用プールにあと6400本
東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっていることが、17日わかった(!)。(⇒なぜ、こういう企業を日本社会が生み出してしまったのか、もしも笑える日が来たら、みんなで話し合う必要がある)
すでに数年以上かけて冷却されているため、ただちに爆発する危険は少ない(?)とみられるが、政府と東電でつくる福島原発事故対策統合本部は、共用プールへの対応も迫られている。
共用プールは、4号機の西約50メートルの建物内にあり、縦29メートル、横12メートル、深さ11メートル。使用済み燃料を6840本収容できる。現在、1~6号機の原子炉建屋のプールに保管されている燃料集合体の1.4倍にあたる6375本が貯蔵されている。(⇒試しに、笑いながら、総計でいくらの核燃料棒が「保管」されているのか、各自で計算してみよう)
東電によると、10日までは水温が30度に保たれていたが、11日の地震後、水温や水位も測定できなくなった。プールへの給水は自動的に行われているとみられるが、その水から熱をとるための冷却システムは故障しており、十分な冷却はできていないとみられる。爆発事故を起こした3号機、4号機に近いため周囲の放射線量が多く、状況を把握できていないという。
・「教訓生かされず」チェルノブイリ被害者団体が東電を批判
チェルノブイリ原発事故の被害者団体「チェルノブイリ同盟ウクライナ」(キエフ)代表で、元同原発技師のユーリー・アンドレエフ氏(61)は17日、共同通信に対し、東日本大震災により福島第1原発が放射能漏れを起こしたことについて「チェルノブイリの教訓が生かされていない」とし、東京電力の情報公開が不十分だと批判した。
1986年4月のチェルノブイリ事故では、4号機の爆発の影響で漏れた冷却水が隣の2号機に入り込み、福島第1原発と同様に冷却装置や電源のバックアップシステムが故障したものの、辛うじて連鎖事故を回避した。 アンドレエフ氏は「福島第1原発は電源装置がチェルノブイリ同様、原子炉の直下にあり、津波などの水が入り込めば電気供給やバックアップシステムが壊れる」と話し、チェルノブイリ事故後も、電源供給体制を見直さなかったことを残念がった。(共同)
・原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る
東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、米政府が原子炉冷却に関する技術的な支援を申し入れたのに対し、日本政府が断っていたことを民主党幹部が17日明らかにした。
この幹部によると、米政府の支援の打診は、11日に東日本巨大地震が発生し、福島第一原発の被害が判明した直後に行われた。米側の支援申し入れは、原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、日本政府や東京電力は冷却機能の回復は可能で、「米側の提案は時期尚早」などとして、提案を受け入れなかったとみられる。
政府・与党内では、この段階で菅首相が米側の提案採用に踏み切っていれば、原発で爆発が発生し、高濃度の放射性物質が周辺に漏れるといった、現在の深刻な事態を回避できたとの指摘も出ている。
福島第一原発の事故については、クリントン米国務長官が11日(米国時間)にホワイトハウスで開かれた会合で「日本の技術水準は高いが、冷却材が不足している。在日米空軍を使って冷却材を空輸した」と発言し、その後、国務省が否定した経緯がある。(読売新聞)(⇒枝野官房長官、18日午前の記者会見で「少なくとも政府、官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定。つまり、「政府、官邸として」「認識」していなくとも「そうした事実」があったということ)
・政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判
東京電力福島第一原子力発電所で起きた事故で、米政府が申し出た技術的な支援を日本政府が断った理由について、政府筋は18日、「当初は東電が『自分のところで出来る』と言っていた」と述べ、東電側が諸外国の協力は不要と判断していたことを明らかにした。
政府関係者によると、米政府は11日の東日本巨大地震発生直後、米軍のヘリを提供することなどを申し入れたという。政府は、各国からの支援申し出は被災地での具体的な支援内容を調整したうえで受け入れており、「(断ったのではなく)いったん留め置いた」と釈明する声も出ている。枝野官房長官は18日午前の記者会見で「政府、首相官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定する一方、米政府からの原子炉冷却材提供の申し入れなどについて「詳細は把握していない。確認してみたい」と述べ、事実関係を調査する考えを示した。
政府・与党内では、政府の初動対応について、「米側は早々に原子炉の廃炉はやむを得ないと判断し、日本に支援を申し入れたのだろう。最終的には廃炉覚悟で海水を注入したのに、菅首相が米国の支援を受け入れる決断をしなかったために対応が数日遅れた」(民主党幹部)と批判する声が出ている。 高木文部科学相は18日午前の閣議後の記者会見で「事実関係は把握していない。しかし、姿勢としてはあらゆることを受け入れるのは当然だ。内外の声をしっかり聞くことは非常に重要だ」と語った。
一方、自衛隊が17日午前に行った大型輸送ヘリによる海水投下の背景には、米側の強い要請があったことも新たに分かった。 日米関係筋によると、自衛隊の大型輸送ヘリによる海水投下に先立ち、今回の事故を「最大級の危機」ととらえる米側は、「まず日本側がやるべきことをやるべきだ」などとして、再三にわたり日本側の行動を強く要請していた。17日午前に予定されていた菅首相とオバマ米大統領の電話会談でも、大統領からの要請があると予想されたため、首相は防衛省・自衛隊に会談前の海水投下実施を求めたという。
日本政府への懸念や不満は、米国以外からも出ている。 今回の事故に関する情報収集や日本政府との意思疎通のため、急きょ来日した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、「(日本政府は)情報伝達を質量ともに改善して欲しい。改善の余地はある」と述べており、18日午後に行われる松本外相との会談などでも、こうした問題が取り上げられる可能性がある。(読売)
・「原子力推進、難しい状況」 谷垣氏、政策転換を示唆
自民党の谷垣禎一総裁は17日の記者会見で「原子力政策を推進していくことはなかなか難しい状況になっていることは事実だ」と述べ、自民党が一貫して進めてきた原子力推進政策の転換は避けられないとの考えを示した。
福島第一原子力発電所の制御が困難になっていることについて「こういうことが起きると、この後の原発立地が非常に困難になることは間違いない。福島原発の代替をどこに求めるかも簡単な話ではない」と指摘。「今回の事故を速やかに総括、分析し、新しい対応を打ち出していかなければならない」と語った。 谷垣氏は科学技術庁長官として原子力委員長を務めたことがある。今度の原発事故について「地震にはだいたい対応できていたと思うが、あれだけの津波を想定していなかった」(?)と分析した。(⇒ここにも自然、natureに責任転嫁をはかる政治家/政党がいる)
自民党は1979年の第2次石油危機などを契機に原子力を「経済性、安定性に優れたエネルギー」と位置づけ、推進政策を主導してきた。野党転落後も温暖化ガス排出量の削減のため、原発の新設や高速増殖炉サイクルの早期実現を目指す「低炭素社会づくり推進基本法案」を提出。谷垣氏の発言はそうした路線の大幅修正を意味する。民主党政権へもこうした姿勢が影響することは必至で、日本の原子力政策の大転換につながる可能性が出てきた。(朝日)
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状況は絶望的です。
東北、関東在住の方で、北海道あるいは関西以西への避難が可能な方々は、真剣に避難の検討を始められたほうがよいでしょう。できるだけ早く、遠く。海外に避難できる人はそれが最も望ましいでしょう。少なくとも、一時的避難場所の確保は必要です。もちろん、大震災で被災・避難されている方々を含みます。
政府(民主党執行部・経産省担当官僚)・東電は責任追及と社会的パニックを恐れるあまり、事態がいかに深刻で絶望的であるかを明確にしません。この期に及ぶその情報操作・隠蔽の体質は、もはや糾弾や弾劾の域を超えています。また、東大の「原子力屋」連中は最悪で、原発事故の恐怖、その基礎知識さえ持っていないとしか考えられない記者、キャスターたちも共犯者だと言わざるをえません。
すでに公表されている情報から判断して、福島第一原発は遅くとも3月12日時点からメルトダウンが始まっていることは明白です。露出→発火→爆発をくい止めるための冷却措置として、半永久的に給水・放水活動を行わねばならないわけですが、この間それができない状態が続いており、「打つ手がない」のが今の状況です。
私たちが直視しなければならないのは、東電の現場責任者が今後何が起こるか、事態の推移を制御する術を持たないことです。震度7の地震が現場を襲ったとしたら、防波堤を越える津波にのみ込まれたとしたら、どうなるのか? 惨劇が起こっていないのは、たまたままだ起こっていないという単なる偶然、僥倖でしかありません。
最悪の事態になろうとしていることを、冷静かつ客観的に分析することが必要です。
そして最悪の事態を想定した対処を考え、その準備を始めるべき段階にきてしまった、と私は考えています。みなさんも決してパニックに陥らず、冷静かつ客観的に判断し、対処を考えてください。
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何を基準に避難を考えるべきか
最も深刻なのは、1号機から6号機までの燃料棒と使用済み燃料の露出状態を私たちがまったく把握できないことです。政府の情報公開とマスコミの事故報道に求められていた/いるのは、まず何よりも警戒レベルと対処マニュアルを定めた上で、毎日数回にわたり各号機の露出/非露出状態を明らかにすることです。最低限の説明責任と情報公開です。
この点に関連して言えば、各地における大気中の放射性物質のモ二タリングと数値の公表は必要ではあっても、それ自体は、近辺の人々を含め、何も被爆からの身の安全を保証するものではありません。私たちに必要なのは、どれだけ「空焚き」状態が続いているのか/いないのか、そして発火→火災→爆発がいつ起こる可能性があるのか/ないのか、これらに関する具体的で科学(実証)的な分析と情報です。
現在、3号機の原子炉格納容器は破損したままです。14日午前の水素爆発で天井が飛び、燃料プールも露出した状態ですが、中性子を吸収するホウ酸注入の作業は、現場付近の放射線量が高く、近づけない状況が続き、何も行われていません。
また、1~4号機の燃料プールの温度や水位も、停電のため確認できていません。15日午後4時から16日午後2時にかけ、東電は5号機のプール水温が57.3度から62.7度、6号機で56度から60度(いずれも通常時は40度前後)と上昇したことを明らかにしましたが、その後の情報公開はありません。
2号機の圧力容器の圧力についても、16日午前1時以降、大幅に低下しています。東電担当者は「格納容器や圧力容器の気密性が失われた可能性を否定できない」と説明しています。3号機のプール沸騰に伴って放射性物質を含んだ蒸気が放出されたか、2号機炉内の放射性物質が外部に放出された「恐れ」のいずれかが原因とされています。
「臨界」が起こる可能性は低いかもしれません。しかし、全号機の核燃料棒と使用済み核燃料の完璧な冷却体制と放射能漏れの封殺体制が確立されるまで、大気・土壌・海の放射能汚染は続きます。私たちは、まず「冷やして、閉じ込める」という当初の東電の作業方針が失敗に終わったこと、その現実にきちんと向き合う必要があるでしょう。そして、なぜこうなってしまったのか、その原因と要因を客観的に分析し、今後起こりうる事態を想定した上で、いつどのように行動するかを判断するしか道はありません。
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「人体に影響はないレベル」?
16日午前、福島第1原発から約60キロ北西にある福島県庁付近で、1時間当たり18~20マイクロシーベルトの放射線量が観測されました。通常の約400倍に相当します。24時間屋外にいた場合、2日間で、1年間に「人体に影響が出るかもしれないレベル」である1000マイクロシーベルトに達する計算です。
時事通信によると、原発から約50キロの地点では13~17マイクロシーベルト(最大で通常の344倍)、約30キロ地点は14~18マイクロシーベルト(同350倍)。約20キロ地点は15日午後9時ごろの時点で、195~330マイクロシーベルト(同6600倍)でした。そして1都9県で通常より高い値を記録したとされています。
私が驚くのは、「人体に影響が出るレベル」とその基準を明確にしないまま、これらの数値に対して警戒心を持たず、一般社会・視聴者にも警戒を促そうとしない政府とマスコミの姿勢です。「人体」とは壮健な青年男子のことをさしているのか? 乳幼児はどうか? 妊婦、子ども、高齢者、病気を患っている人は?
福島原発で爆発が起こるたびに、その影響が東京や新潟、静岡にまで及ぶこと自体が脅威ではないのか?
すでに福島市では、水道水からの胎内被爆の可能性を示す、水の放射能汚染が明らかになっています。
パニックになる必要はないし、なってはならない。しかし、警戒心を私たちが持たない限り、身近にいる子どもたち、家族を被爆から守ることはできないのです。
2011/3/16
⇒「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)」
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⇒森住卓のフォトブログ
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・外部電源復旧18日以降
・自衛隊の地上からの放水効果、「結果を見てから」
・警視庁機動隊 放水するも届かず退避
・「日本の原発耐震基準は時代遅れ」=IAEAが08年に警告か―ウィキリークス
【ベルリン時事】英紙デーリー・テレグラフは17日までに、内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した米外交公電の内容として、国際原子力機関(IAEA)が2008年12月、日本の原発の耐震基準は時代遅れで、大規模な地震が発生した場合、「深刻な問題」が生じる恐れがあると警告していたと伝えた。
同紙が引用した公電によると、東京で開かれた原子力安全保障に関する主要8カ国(G8)会合で、IAEA当局者は日本の原発耐震指針は過去35年間で3回しか更新されておらず、IAEAが指針を再調査していると説明したという。IAEAの天野之弥事務局長は16日の記者会見で、「ウィキリークスで伝えられたことにはコメントしない。原発の耐震基準は常に更新するよう取り組んできた」と述べた。
・韓国、豪も80キロ圏避難勧告 シンガポールは100キロ
【ソウル、シドニー、クライストチャーチ、シンガポール共同】米原子力規制委員会(NRC)が福島第1原発の半径80キロ以内に住む米国民に避難を勧告したのに続き、韓国、オーストラリア、ニュージーランドも17日、自国民に同様の勧告を行った。シンガポール外務省は半径100キロ以内の在住国民に勧告。
韓国の金星煥外交通商相は17日の定例記者会見で、避難が困難な場合は屋内に退避するよう求めた。韓国人の旅行者や企業駐在員、留学生らのほか、在日韓国人も対象。
日本政府は半径20キロ圏内に避難、20~30キロ圏内に屋内退避を指示しているが、金外交通商相は「米国などの措置を準用している」と説明。今後の対応も準備中で「状況の展開具合によって実行する」とし、さらに広範囲の避難勧告や韓国人の本国への帰国なども検討していることを示唆した。
オーストラリアの放射線防護・原子力安全庁は「この圏内の現在の危険に基づいたものではなく、不確実な状況のための予防的措置」と指摘。ニュージーランドのマカリー外相は「ニュージーランド政府としても国立研究所が注意深く放射性物質のレベルを監視している」と説明。
・燃料プール、4号機は水張る…3号機は不明
東電によると、自衛隊のヘリが16日に3、4号機の上空から観察したところ、4号機は燃料棒が見えないほど燃料プールに水が張っていたが、3号機は湯気のような白煙が立ちこめており、中の様子は不明。蒸発して水位が下がっていることが予想され、緊迫性が高い3号機への放水を優先したという。
3号機のプールには5514本の燃料棒が保管され、放射性物質が漏れ出す危険性が高まっている。3号機に隣接する4号機のプールには1331本の燃料棒が保管されているが、この中には定期検査で一時的に原子炉から移した燃料も含まれている。1~3号機の原子炉内の燃料棒は、依然として水面から一部が露出した状態。
また、東電は17日、緊急炉心冷却装置(ECCS)やプールの冷却水循環を復旧させるため、近くを通る東北電力の送電線から仮設ケーブルを敷設する工事を終えた。この電力を、電源を喪失している各原子炉建屋へと送る作業の準備を進めている。 経産省原子力安全・保安院によると、3号機から約1キロ・メートル離れた福島第一原発の西門付近で17日に観測された放射線量は、毎時300マイクロ・シーベルト台で推移。同日午後3時30分は同309.7マイクロ・シーベルト。(読売新聞)
・2号機の電源復旧作業は17日午前から、東電職員ら30人の手で始まった。被ばく人数を抑えるため平時より少ない態勢だ。
非常用電源が失われた1~4号機のうち、唯一配電盤が水没しなかった2号機の電気系統回復が頼みの綱。作業では放射線量の比較的低い海側に変電盤を仮設し、建屋の各機器などと接続していった。担当者は「少ない工事量で復帰するよう計画している。(電源復旧の)実現性はかなり高い」と強調する。
ただし、電源復旧は原子炉冷却のための入り口に過ぎない。まずは海水を送り込むポンプの作動試験をする必要があるが、16日夕には東京・内幸町の本店との連絡回線を切断するミスも起きた。7時間後の復旧までの間、水位計などのデータのやり取りは衛星携帯での通話でしのいだ。
東電は2号機との間の回線が生きている1号機も、近く電源復旧が可能とみる。しかし、3、4号機は新たな外部電源をひく必要があり、復旧には時間がかかる見通し。また、使用済み核燃料プールの水温が上昇している5、6号機では、5号機の非常用電源が機能していない。6号機の電源を5号機につないでいるものの、東電は「この状態が長く続けば1~4号機のように温度が上昇する」と焦燥感を募らせる。
◇本格注水へのつなぎ
東京電力福島第1原発3号機に向けた17日の放水は、低下しているとみられる使用済み核燃料プールの水位を回復するほどの量は期待できず、むしろ外部電源復旧後の本格的な注水をにらんだ「つなぎ」の要素が濃い。
この日、陸上自衛隊のヘリから4回にわたって投下された海水は、最大でも約30トン。だが、上空からの散水は拡散し、どの程度がプールに入ったのかは不明だ。地上から高圧消防車も活用されているが、放水で約1200立方メートル(1200トン)のプールを満たすことは相当難しいとみられる。
3号機のプールでは16日以降、大量の水蒸気が立ち上るのが観察され、プールの水が沸騰しているとみられている。このままの状態が続くと、燃料棒のジルコニウム製の被覆管が劣化し、中の放射性物質が出やすくなるので、対策が急務になった。空と海からの放水は、政府と東電のひねり出した「窮余の策」だ。
放水した水でプールの水位が回復できなくても、霧状の水滴が燃料棒にかかるだけで熱を奪って蒸発し、燃料棒を冷やす効果が期待できる。この仕組みは、真夏に市民が水をまいて涼を取る「打ち水」と基本的に同じだ。また、プールから立ちのぼった水蒸気に含まれた水滴も同様に燃料棒を冷やしていく。
吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉安全工学)は「被覆管が壊れないよう、とにかく水をかけ続けること以外、今はやるべきことはない」と話す。(毎日新聞、「綱渡りの放水作戦 被ばく基準、急きょ変更」【須田桃子】より一部抜粋)
・放水開始から30分後、放射線量変化なし
自衛隊のヘリコプターによる放水が行われた3号機の北西百数10メートル離れた地点の数値は、放水前の午前9時40分で3782マイクロシーベルト、放水後の同10時20分で3754マイクロシーベルト。大きな変化なし。⇒1年間累算で「人体に影響がでるかもしれないレベル」は何シーベルト? 自衛隊の累積被ばく総量限度は通常時の50ミリシーベルトから100ミリシーベルトに。因みに現場作業員は250ミリシーベルト。この差、そしてグロテスクさはいったい何だ?
・使用済み核燃料と原子炉内…3号機、二重の危機
17日午前、自衛隊ヘリによる放水作業が行われた福島第一原子力発電所3号機は、使用済み核燃料を貯蔵するプールと原子炉を冷やす機能がともに失われている。14日に水素爆発を起こし、建屋は大きく崩れたままだ。
3号機では16日朝、白煙が確認された。貯蔵プールの水温は測定できない状態になっているが、原子力災害対策本部は、原子炉に隣接するプールの水温が上がり、湯気が白煙のように見えている可能性が高いと判断していた。
貯蔵プールは、厳重に燃料を封じ込めている原子炉と異なり、建屋がなくなれば放射性物質を屋内に閉じこめる防護壁がない。水の蒸発が進めば、冷却効果が低下した使用済み核燃料から放射性物質が拡散する恐れがある。3号機では、使用済み核燃料と原子炉内の燃料棒がいずれも高温になるという、二つの危機が同時進行している。
地震発生時に定期検査で運転を止めていた4号機では、15日午前4時、通常は20~40度の貯蔵プールの水温が84度まで上がったことが確認された。建屋の壁に激しい損傷が見つかっている。火災も発生した。
5号機と6号機も地震発生当時は定期検査中で、今のところ、建屋の損傷は確認されていない。しかし貯蔵プールの冷却機能は低下し、16日午前4時には、水温は約60度に上昇している。東電は、冷却機能を回復させるため、送電復旧に向けた作業を行っている。 水素爆発で12日に建屋が吹き飛んだ1号機と、15日に格納容器の一部である圧力抑制室に損傷が起きたと考えられる2号機では、引き続き、原子炉の中に海水を注入して燃料を冷やす作業が続いている。(読売)
・「放射線量、限界に近い」 4号機元作業員が証言 「現場は相当の覚悟」
危機的状況が続く東京電力福島第1原発。使用済み燃料貯蔵プールの水温が上昇、2度にわたる火災を起こした4号機で、かつて定期検査の作業員として携わった元プラント工事会社社員の男性(66)は「きっと作業員たちが受けている放射線量は限界に近いだろう」と、危険な任務に就く後輩たちを思いやる。
第1原発では16日現在、約70人の作業員たちが1~3号機への注水を管理。敷地内の放射線レベルは上昇しており、作業をより困難にしている。放射線量の高いエリアでの作業は、短時間で退避する。男性は「こんなことが起こるとは想像もできなかった」と話す。 作業員たちは防護服に身を包み、線量計を携帯。線量が許容限度に近づくと警告音が鳴る。男性もかつて鳴ったことがあるといい「恐怖心に包まれた」と振り返る。
国内では、平成11年に茨城県東海村で起きたJOCの臨界事故以来の大事故だが「JOCで最初に作業していた作業員は突然、放射線を浴びた。今回は浴びるのを覚悟して作業をしなければならない。相当覚悟のいる状況だ」と、沈痛な面持ちで語った。(産経)
・「少しでも遠くへ、遠くへ」──。住民の県外避難、17日、本格化
・福島からの県外避難6000人に。
・さいたま市の「さいたまスーパーアリーナ」に福島からの避難者が次々に。避難受け入れは31日までの予定。埼玉県は各市町村に避難所確保を要請。
・山形県米沢市は3か所の避難所で600人以上受け入れ。その他山形では、山形市の施設「山形まなび館」、山形市総合スポーツセンターなど。
・茨城県つくば市の洞峰公園体育館は17日午前、200人以上を受け入れ。
・新潟県新発田市カルチャーセンター、同県上越市の体育館など。(読売新聞より)
3/16
・「レベル7」到達の恐れ=福島原発事故-米シンクタンク
米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、声明を出し、福島第1原発事故の状況が国際原子力事故評価尺度(INES)で2番目に深刻な「レベル6」に近く、最悪の「レベル7」に達する可能性もあるとの見方を示した。
日本の経済産業省原子力安全・保安院は先に、今回の事故の暫定値を「レベル4」と発表していた。
ISISは声明で、福島第1原発の1~3号機で爆発があったことや、4号機の原子炉建屋で火災が起きたことを踏まえ、「この事故はもはや(局所的な影響を伴う)レベル4とはみなせない」と指摘。緊急措置と広範な放射能汚染対策で国際社会の支援が必要だと強調。INESは、安全上の懸念がないレベル0から8段階で評価。1986年の旧ソ連のチェルノブイリの原発事故を「7」、1979年の米スリーマイル島原発事故を「5」としている。(【ワシントン時事】より)
・福島市の水道水からセシウムとヨウ素 国の基準は下回る
福島県災害対策本部は、16日午前8時に採取した福島市内の水道水から、通常なら検出されない放射性物質のヨウ素が水1キロあたり177ベクレル、セシウムが58ベクレル検出されたと発表。原子力災害時の飲食物摂取制限に関する国の基準(ヨウ素300ベクレル、セシウム200ベクレル)は下回っている。 同本部によると同日午後2時半に改めて採取したらヨウ素、セシウムとも検出されなかった。(朝日新聞)
・福島第一原発から放出された可能性のある放射性物質の検出、各地で相次ぐ
中部電力は16日、浜岡原発がある静岡県御前崎市で、空中のちりやほこりからヨウ素131やセシウム134など5種の放射性物質を検出したと発表。浜岡原発は安定して運転中で、周囲に異常な放射線量の変動がないことから、同原発によるものではない、としている。福島第一原発と浜岡原発は直線距離で約400キロ離れている。
新潟県も16日、同県南魚沼市でヨウ素131やセシウム137などを検出したと発表。東京都世田谷区でもヨウ素131などが検出。(⇒もちろん、これらはすべて「人体に影響はないレベル」)
・東京にある大使館、一時閉鎖・機能移転相次ぐ
外務省に入った連絡によると、イラク、バーレーン、アンゴラの東京の在日大使館が一時閉鎖することになった。福島第一原発の事故で退避したとみられる。 同省によると、イラク大使館については16日付で連絡があり、17日に閉鎖すると伝えられた。バーレーン、アンゴラの両大使館は15日付で連絡があった。在東京のパナマ大使館も神戸市に大使館の機能を移したという。
東京のオーストリア大使館も15日、大使はじめ館員の大半が東京を離れ、大使館機能を大阪市内の名誉総領事館に移した。 大阪で勤務を始めたシュテファンバストル大使は16日、朝日新聞の電話取材に「東京の停電や交通事情のほか、万が一の時の空港の利便性も考えた。原発の状況が不透明なので本国と協議して大阪に移った」と述べた。
福島第一原発の事故について、外務省は連日、東京にある各国の大使館を対象に非公開の説明会を開き、冷静な対応を呼びかけている。15日の省内での説明会には約60カ国の大使、公使、書記官ら約120人が詰めかけた。約1時間にわたる質疑では、関心は原発事故に集中し、「大丈夫なのか」「不安だ」「こんな報道があったが」との質問が相次いだという。 (⇒日本も政府機能の一部移転・分散化を真剣に検討すべき)
・建屋大破、白煙も=福島第1原発の現場写真―周囲に破片散乱・東電公開
骨組みだけ残り、崩れかけた原子炉建屋、立ち上る白煙―。東電は16日午後、社員が15日朝に撮影した1~4号機の写真を公開。1、3号機の建屋が水素爆発で大破した様子が目立ち、周囲の建物屋上などには吹き飛んだ破片らしい物が散乱。散乱物の一部は津波で運ばれた物の可能性もあるという。
写真は16日午前に公開された3、4号機の写真と同じ15日午前7時33分、4号機から約500メートル離れた高台から撮影。撮影時は2号機と4号機で爆発音が相次ぎ、2号機では原子炉格納容器の一部が損傷、4号機では建屋の外壁2カ所に大きな穴が開いた直後。
島根原発3号機、運転開始延期も=日立系企業の被災で-中国電
中国電力の清水希茂・島根原子力本部長は16日、島根県庁で記者会見し、松江市で建設中の島根原発3号機の制御棒駆動機構を分解点検している日立GEニュークリア・エナジーの工場(茨城県日立市)が東日本大震災で被災したことについて、「点検は当然遅れる。場合によっては(運転開始に)影響がある」と述べ、営業運転開始がさらに遅れる可能性に言及。
同社は日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社。3号機の運転開始予定は当初2011年12月とされていたが、制御棒駆動機構に不具合が見つかったため、12年3月に延期されている。これがさらに遅れると、島根県が11年度当初予算案に計上した核燃料税約43億円の納付が翌年度にずれ込む可能性がある。(時事通信より)
・自衛隊ヘリ 水投下を断念 18時10分 ⇒ナンノコッチャ?!
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作業員は被曝線量合わせて250ミリシーベルトまでの新基準で働かされているのに、自衛隊は50ミリシーベルト?
3号機上空の放射能値はいくらだったのか? ⇒情報公開なし。今日上空からできなかったものが、明日陸上から放水することが可能なのか? 「健康被害を受けずに作業できること」が放水の条件になってはいるが、放水任務につく機動隊員たちは、どれだけの放射能を浴びることになるのか? ともあれ、「国を衛る」べき自衛隊は、一般「国民」・労働者よりも、はるかに国に守られているわけだ。
・3号機 自衛隊ヘリで注水準備 (⇒4号機ではないことに注意)
使用済み燃料を保管している3号機のプールが冷却できない状態。放射能汚染水が蒸発し燃料露出の「おそれ」。自衛隊は、ヘリコプターで上空から大量の水を投下する作業の準備を開始。仙台市内の霞目駐屯地に展開している陸上自衛隊の第1ヘリコプター団のCH47ヘリコプター。
大量の水を入れた容器をヘリコプターからつり下げ、3号機の上空を何度も通過しながら水を投下する計画。現在、別のヘリコプターを出し、放射線量を測定中。その結果を確認してから作業を開始するかどうかを最終的に判断。
・3、4号機冷却のため米軍の放水車による放水が行われる模様
北澤防衛大臣「午前中にアメリカ軍の横田基地で操作のしかたを教わった東京電力の職員が、今、現地に向かっている」「地上から放水を行い、その効果を見ながら、より強力な放水が必要であればヘリコプターからの放水に切り替える」。
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自衛隊ヘリによる注水、米軍放水車による放水を行わねばならないこと自体が絶望的。そしてその持続可能性は?
・福島第1原発3号機から白煙 格納容器の一部から放射能汚染された水蒸気放出
午前10時過ぎから放射線量急激に上昇 作業員一時退避
・福島第1原発 4号機燃料プール沸騰 米軍にヘリ散水要請へ
「(燃料プールの水が沸騰して)どんどん減ってくるので(海江田万里)大臣が(水の注入を)命令した」(経済産業省・西山英彦審議官)
・5階の使用済み核燃料貯蔵プール、線量が高すぎて先に進めず。プールの損傷状態未確認。
・4号機は構内だけでなく、周辺でも毎時100ミリシーベルトの放射線量。
〈4号機の危機〉
・プールは原子炉圧力容器や格納容器の外にあり、外部と隔てるのは鉄筋コンクリート製の建屋しかなく、それに8m四方の穴が爆発で開いた⇒高濃度の放射性物質が大気中に大量に放出される「恐れ」。
・使用済み燃料は熱を帯びており、1時間あたり数トンの放射能汚染水が蒸発⇒常に水を補充し、使用済み燃料を冷ます必要。しかし電源切れで水の補充が止まり、汚染水が蒸発。
・1~3号機、海水を注入し原子炉内を冷やす作業が続いている。核燃料が冷却水から露出した「可能性」。ただ、格納容器が損傷しているおそれは「低い」とされている。⇒根拠なし。
・水の注入はできている5、6号機、海水による熱交換器の電源がないため温度が少しずつ上昇。
・1号機 核燃料棒の7割に損傷
東電は15日、福島第1原発1号機の炉心にある核燃料棒の70%に損傷があると国と福島県に報告。同2号機も同様に33%が損傷。核燃料を覆い、外部への放射性物質放出を防ぐ被覆管が冷却水不足による過熱で損傷し、ひびや穴が開いている。
ただ、「被覆管が完全に破れて、中のウラン燃料が溶け出す状況にはない」⇒根拠なし。
・製造元の米GE 発電機輸送へ
1号機と2号機の製造元であるアメリカの複合企業、GE=ゼネラル・エレクトリックは、電力を供給するためのガスタービン発電機10基を急きょ日本に送ることを発表。GEが15日、明らかにした。このうち3基はすでにフロリダ州に運び、日本への空輸の準備を整えているとしている。
・独、原発7基を一時停止 福島事故で政策再検討
【ベルリン共同】ドイツのメルケル首相は15日、1980年までに建設された同国内の原発計7基を3カ月間、一時停止すると発表。東日本大震災での福島第1原発事故を受けた政策見直しの一環で、安全対策などの検査が当面の目的となる。
首相は「脱原発」政策を先送りして原発の稼働年数を延長する計画について、3カ月間凍結し再検討すると14日に発表したばかり。 一時停止される原発は国内計17基のうち「古いタイプ」の7基。検査後の対応については「結果を待つ」としているが、与党内にはこのうち2基を早期に廃炉とし、結果次第では7基を廃炉にするべきだとの意見も浮上。ドイツの原発政策は大幅な見直しの可能性が出てきた。
メルケル首相は15日、電力会社の代表らと会談。「原発の安全性を最優先する」と強調する一方で、再生可能エネルギーの拡大に意欲を示した。 緊急世論調査では「早期の全面脱原発」への賛成が53%となった。 首相は15日、フランスのサルコジ大統領と14日に電話会談し、20カ国・地域(G20)の枠組みで原発の国際的な安全基準について協議することで一致したとの声明を発表。
3/15
・福島1、3号機も危険 専門家指摘
高濃度の放射能が漏れた今回の事故の影響はどこまで及ぶのか。京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)は「既に米スリーマイル島の事故(79年)をはるかに超えている。もし福島第1原発2号機の炉心が溶け落ちてしまえば、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)になりかねない。1、3号機もその危険を抱えている」と指摘。
スリーマイル島の事故では、半径80キロ圏内の住民約200万人が被ばくしたが、健康への影響は小さかったとされる。一方、史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故では、北半球全体で放射能が検出され、原発従業員や半径30キロの範囲内の住民ら数百万人が被ばくした。世界保健機関(WHO)によると、事故に起因するがんで約9000人が死亡したほか、ウクライナでは甲状腺がんを発症する人が出るなど、現在も被害が続いている。
小出さんは「風向きや地形も考慮しないといけないが、チェルノブイリの場合で想定すると、放射性物質が日本列島をほぼ覆ってしまうことになる。住民は被ばくをしないように逃げることしかできない。(政府や東京電力は)海水でも、泥水でもとにかく原子炉に入れて燃料棒が溶け落ちることを防ぐ一方、時々刻々知っている情報を国民に開示しないといけない」と話す。
原子力施設の安全に詳しい技術評論家の桜井淳さんによると、米国には70年代、出力100万キロワットの原発が炉心溶融事故を起こした場合の被害想定データがある。放射性物質が上空1500メートルまで上がったとの想定で被害状況を予測した結果、快晴で風速10メートルの場合、約800キロ先まで放射性物質が拡散する恐れがあるとの結果が出たという。
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(A 1997 study by the Brookhaven National Laboratory on Long Island described a worst-case disaster from uncovered spent fuel in a reactor cooling pool. It estimated 100 quick deaths would occur within a range of 500 miles and 138,000 eventual deaths. The study also found that land over 2,170 miles would be contaminated and damages would hit $546 billion. That section of the Brookhaven study focused on boiling water reactors — the kind at the heart of the Japanese crisis. ---In Stricken Fuel-Cooling Pools, a Danger for the Longer Term/ The New York Times )
桜井さんはこのデータを踏まえ、2号機で炉心が完全に溶けてしまうような事故が起きた場合について、「半径20キロは多数の死者が出るなど致命的な被害が出る。50~100キロでは健康面の被害は少ないかもしれないが、交通制限などさまざまな障害が生じ、社会的機能は損なわれる。放射性物質は1000キロ以上先にも飛ぶので社会は大混乱し、何兆円という規模の損害が出るのでは」と指摘。
さらに、今回は隣接した複数の原発で事故が起きていることから「86年のチェルノブイリ原発事故は一つの原子炉の事故だったが、今回は複数の原子炉で連鎖的に起きている。今後2号機に加えて1~6号機に保管された使用済み核燃料でも問題が起きると、悲惨な事態になりかねない」と話す。(毎日新聞【樋岡徹也、堀智行、福永方人】)
・菅首相 冷却水投下を指示 自衛隊は困難視
菅直人首相は15日、福島第1原発4号機で放射性物質(放射能)が漏れ出したことを受け、北沢俊美防衛相に原子炉を冷却するため上空からの冷却水投下を検討するよう指示。大型輸送ヘリCH47での投下が想定されるが、防衛省内では、困難だとの見方が広がっている。 首相の指示を受けて、陸自は
(1)核分裂を抑えるためホウ酸を投下
(2)ピストン輸送で冷却水を投下-する形で、東電による注水作業や警察、消防が地上で行う放水作業の支援を検討。
しかし、防衛省関係者によると空中からの投下は、原子炉本体を破損する可能性や被爆の危険性があるという。このため、北沢防衛相は記者団に対し「まだ上空から落とす段階に至っていない。地上からの放水の成果を見極める」と慎重な考えを示した。 一方、陸自は15日に予定していた原子炉を冷却するための地上での注水支援作業を取りやめた。陸自「中央特殊武器防護隊」の隊員が着用している化学防護衣では、高レベル放射線を防げないと判断したものとみられる。
同隊の約180人は14日深夜に現地からいったん退避し、第1原発からほぼ西方に約60キロ離れた陸自郡山駐屯地(福島県郡山市)に移動。第2原発への注水ポンプ用の燃料輸送は実施。 陸自は15日、東部方面衛生隊の救急車など8台で、福島県大熊町の病院に取り残された患者らを避難所に移送、2人の死亡を確認。(産経)
・福島第一原発作業員の被曝線量上限引き上げ 厚労省など
厚生労働省と経済産業省は15日、福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を、現在の計100ミリシーベルトから同250ミリシーベルトに引き上げた。1人当たりができる作業時間を長くすることで作業効率を上げる狙いだ。
1990年に国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた国際基準では、重大事故時の緊急作業での被曝線量の上限を計500ミリシーベルトとしている。厚労省によると、「250ミリシーベルト以下では白血球数の減少などの臨床症状が出ない」という専門家の知見を踏まえたという。厚労省は「やむを得ない非常事態に限った措置」としている。
復旧にあたる作業員は計測器を持ち、放射線量をモニターしながら作業している。福島第一原発の作業員は今後、1回きりの作業でも断続的な作業の場合でも、被曝線量が合わせて250ミリシーベルトに達した時点で、作業には一切、従事できなくなる。
14日午後、官邸の要請を受け厚労省と経産省が検討。文部科学省の放射線審議会に諮問し、妥当との答申を受けた。経産省が原子炉等規制法に基づく新たな告示を定め、厚労省は労働安全衛生法の電離放射線障害予防規則を省令で改正した。
・気象庁は15日、東日本大震災の余震活動がきわめて活発な状況と発表。M7.0以上の強い揺れを伴う余震3回、6.0以上45回発生。余震は岩手県沖から茨城県沖までの長さ約500キロ、幅約200キロの広い範囲で発生。今後も震源地に近いところで最大震度5弱以上となる可能性が。「場合によっては、震度6弱~6強となる余震が発生する可能性もある。警戒してほしい」
福島第1原発5号、6号機(稼動停止、使用済み核燃料保管)温度上昇中
(枝野官房長官、午後4時半)
・東電、4号機の燃料棒露出の「可能性」示唆
東電は、4号機で使用済み核燃料を入れているプールの水がなくなり、燃料棒が露出し、水素爆発が起きた「可能性」を示唆。原因はいまだ特定できず。そして現在も4号機の使用済み核燃料のプールに水があるかどうか、確認できていないという。
また、15日午前10時22分現在、3号機付近で1時間当たり400ミリシーベルトの高い放射線量が確認されたことについて、水素爆発した原子炉建屋の一部が飛び散って高い値が出た「可能性」に言及。爆発の際、8メートル四方の穴が2カ所開いたことが判明。
・福島第1原発から20~30キロ 屋内待機通告発令
・福島第1原発4号機、燃料プールの水温上昇
・前橋で10倍の放射線
群馬県は、前橋市で午前11時から午後1時にかけ最大で通常の10倍前後の放射線量観測と発表
⇒左は チェルノブイリ事故の範囲との比較地図
⇒福島第一・第二原子力発電所からの距離
・福島第1原発3号機付近で放射線量400ミリシーベルトが確認。
・2号機と3号機の間では30ミリシーベルト、4号機付近で100ミリシーベルトが検出。
・人が短時間に極めて高い放射線を浴びると細胞が破壊されたり、DNAが壊れるなど、深刻な健康被害が出る。
今回記録された400ミリシーベルトという放射線量は、原発作業員の年間被ばく限度量の8倍。
250ミリシーベルト程度で白血球の一時的な減少が起きるとされる。
・枝野長官「従来のマイクロの単位とは一つ違っている。人体に影響を及ぼす可能性のある数値であるのは間違いない」。
・福島第1原発4号機で火災=原子炉建屋4階で爆発か
15日午前6時ごろ、大きな音がして原子炉建屋5階屋根が損傷。同9時40分ごろには同建屋4階北西部付近で火が出ているのを確認。4階で爆発が起きた可能性も。4号機は11日の地震発生当時、定期検査のため運転停止中。
東電は、福島第1原子力発電所4号機の使用済み燃料プールの水温が、通常の摂氏40度から84度に上昇したことを確認。4号機は定期検査中で783体の燃料をプールに入れていたが、水を循環させる装置が被災で動かなくなったため。水温がさらに上がると蒸発し、燃料が露出する可能性。そうなった場合、「燃料が損傷する可能性は否定できない」。
4号機は昨年11月に定期検査入り。12月上旬に炉内の燃料をプールに移した。このため他の原子炉内にある燃料と比べると熱は下がっているものの、できるだけ早く冷却する必要がある。(⇒冷却は事実上不可能ではないのか?)
・3号機核燃料プール 覆いなし
15日午前7時5分ごろ、福島第一原子力発電所3号機の原子炉が入っている建物の上部に、蒸気のようなものが漂っていることが明らかに。また3号機で、格納容器の中にある使用済みの核燃料を保管するプールが、14日午前に発生した水素爆発によって、格納容器の上にある原子炉建屋の屋根が吹き飛んだことから、プールの上を覆うものがなくなっている状態。
このプールは、原子炉で燃焼させて使い終わった使用済み核燃料を移動させて冷やすために設けられた設備。通常の状態では、プールの水を循環させて核燃料を冷やしているが、福島第一原発では停電が起きていることなどから、冷やす機能が失われている可能性大。東電は、3号機の原子炉が入っている建物の上部に蒸気のようなものが漂っていることについて、「現時点では明確な答えはできない」。
・15日午前6時10分、福島第1原発2号機で爆発音 圧力抑制室が「損傷」
保安院によると、福島第一原発の正門では午前7時時点で、毎時965マイクロシーベルトの放射線を観測。この量は「自然界で1年間で浴びる放射線の半分ぐらいを、1時間で浴びる量」。
だが、午前8時31分には同じ場所で毎時8217マイクロシーベルトまで上昇。
・福島第1原発2号機、再び燃料が全露出
14日午後11時、福島第1原発2号機の燃料が再び全て露出。原子炉内の蒸気を逃す弁が閉じ、炉の圧力が高まり、炉内に水を送れなくなったという。そして15日午前0時過ぎ圧力を下げるため、外側の格納容器の弁が開放された。
・全国の放射線量、毎日公表へ=福島第1原発の爆発受け-文科省
福島第1原発で相次いで起きた爆発事故を受け、文部科学省は15日、全国各地で大気中の放射線量を測定している「モニタリングポスト」の値を同日から毎日公表すると発表。モニタリングポストは自治体や原子力関連施設が設置。大気中の放射線量を測定。同省は可能な限り頻繁に報告するよう自治体などに要請。報告を集計し、1日2回、全国の値を集計して公表する。
・放射性物質観測 「健康影響なし」?
福島第一原発から、原子炉の圧力を下げるための作業などにより周辺に放射性物質が放出。東京などでも微量の放射性物質が観測。NHKによると「いずれも健康に影響が出るレベルの数値ではない」。
第一原発から40キロ余り離れたいわき市では15日午前4時、1時間当たり23.72マイクロシーベルトと通常の470倍に当たる放射線量を観測。その2時間後には「通常」のおよそ80倍の毎時3.94マイクロシーベルトに。
南に110キロ余り離れた茨城県東海村では、午前7時46分、放射線の値が毎時5マイクロシーベルトを観測。国に対して「異常事態」を通報をするも、正午現在の放射線量は微量の1時間当たり2マイクロシーベルトに。「いずれも、直ちに健康に影響が出るレベルの数値ではない」。東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木でも早朝を中心に通常の数倍から数10倍程度の放射線量を観測。「いずれも直ちに健康に影響が出るレベルではない」。東京では「ヨウ素やセシウムなどの放射性物質も観測」。
これらの地域で計測された1時間当たりの放射線の量は「高い数値でも一般の人が年間に浴びても許容されるレベルの100分の1以下で、それぞれの自治体ではいずれも直ちに健康に影響が出る数値ではない」。宮城、山形、秋田、青森・新潟・群馬では放射線の数値に「大きな変化は見られない」。
放射線医療専門の東京大学医学部の中川恵一准教授。「福島の原子力発電所から漏れ出たものだと考えられ、都内でも検出されることは十分ありえることだ。ただ、量は極めて微量なので健康への影響は全くない。今の状況であれば、今後も健康に影響が出るレベルに達するとは考えにくいので、安心してほしい」。
・Japan Faces Potential Nuclear Disaster as Radiation Levels Rise/ The NY Times, By HIROKO TABUCHI, DAVID E. SANGER and KEITH BRADSHER 3/15/2011より。"Japan’s nuclear crisis verged toward catastrophe"というように、日本政府およびマスコミ報道と危機意識のあり方がまったく違うことがわかる。
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「1~3号機すべてで炉心溶融が起きている可能性が高い」にもかかわらず、「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリ(原発事故)と同じようにはならない」(枝野官房長官)と断言する科学的根拠は何か?
日本政府・東電は、作業の失敗を全国民に謝罪し、被爆避難地域の拡大を宣言すべきではないのか?
各自が状況を判断し、決断しなければならない時が迫っている。
⇒「原発事故サバイバルブック」
・福島原発付近の人々は「外出を控え、雨にぬれないように」
放射能漏れが起きた地域に雨が降った場合、大気中の放射性物質が雨水に付着し、遠くに飛散せずに地上に落下する。そのため、遠隔地に被害が及びにくくなる一方、付近の地域の放射能汚染度が強まる傾向にある。
避難などでやむを得ず外出する際は、傘やレインコート、マスクなどで身を守り、屋内に戻ったらシャワーで体を洗い流すなどして、放射性物質の体内への吸収を避けることが重要。
原子力資料情報室は「雨にぬれたコートなどは玄関などの決められた場所に置き、不用意に屋内に持ち込まないことも大切だ」としている。
・前川和彦・東大名誉教授
「核爆発ではなく、現在は放射能が含まれる霧が漂っている状態で、その霧が通りすぎるのを待つ。今の状態では、花粉症と同様の対応をとればよい」。「屋内に入り窓を閉め、外気をいれないようにすること。できるだけ肌を露出する部分を少なくし長袖、ゴーグルをつけることもよい」。「自らできる除染としては着衣はビニール袋にいれ封をする、シャワーを浴びることが有用」。
放射性物質の一つであるヨウソは甲状腺にとりこまれ、甲状腺ガンにかかるリスクが高まるため、予防的治療として安定ヨウソ剤を飲めば、ヨウソが甲状腺にとりこまれるのをブロックできる。前川教授「できれば被曝より6時間前、被曝24時間以内に飲むのがよい。ただ、ヨウソを求めて外出したりするのは全く意味がない。チェルノブイリ事故で、被曝した子供が後に甲状腺ガンを発症した。40歳以下の場合、早急に飲むことが重要。なにより副作用もあるため、自治体や関係機関の指示に従うこと」。
⇒「被災者の方へ低体温対策情報」「地震被災地で注意する水・感染症」(日本登山医学界)
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皆様、福島原発は破局的事故に向かって進んでいます。
冷却機能を何とか回復して欲しいと願ってきましたが、できないままここまで来てしまいました。現状を見ると打てる手はもうないように見えます。後は炉心溶融が進行するはずと思います。それにしたがって放射能が環境に出てくると思います。
その場合、放射能は風に乗って流れます。西向きの風であれば、放射能は太平洋に流れますので、日本としては幸いでしょう。でも、風が北から吹けば東京が、南から吹けば仙台方面が汚染されます。今後、気象条件の情報を注意深く収集し、風下に入らないようにすることがなによりも大切です。周辺のお住まいの方々は、避難できる覚悟を決め、情報を集めてください。
2011/3/12 小出裕章(京都大学原子炉実験所)
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反原発団体「恐れていた通り」 各地で非難の声
東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)で燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が起きたことを受け、各地の反原発市民団体からは「恐れていた通りの状況だ」「被害があってからでは遅い」などと非難の声が上がった。 中国電力が山口県上関町で進める上関原発計画に反対する市民団体代表の山戸貞夫さん(60)は「地震大国の日本で原発を建てる危険性を30年以上訴えてきたが、恐れていた通りの状況だ」と話した。
四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)に反対する市民団体「愛媛の活断層と防災を学ぶ会」代表古茂田知子さん(71)は「多重の安全対策をしていても、それを機能させるものが災害で駄目になると意味がない」と指摘。「想定外のことは必ず起こる。被害があってから対応していては遅い」と厳しい口調で話した。
中国電力の島根原発がある松江市の市民団体「島根原発増設反対運動」の芦原康江代表は「最悪の事態。今回のようなトラブルが起きる危険性を主張してきたのに、電力会社も国も無視し続けた結果だ」と批判。 日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)に反対する市民団体「反原子力茨城共同行動」の男性スタッフは「起こるべくして起こった。(原電や国が)『大丈夫だ』と言っていても、結局こうなる」と話した。(3/12 共同)
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⇒「3号機爆発を受けた知人への避難勧告」(合原亮一の「電脳自然生活」)
⇒福島第一原発 JVJADAYSJAPAN プレスリリース
⇒原子力資料情報室 記者会見
⇒原子力資料情報室・資料
⇒Radioactive Releases in Japan Could Last Months, Experts Say/ The NY Times
"Feed and Bleed" Syndrome
・Pentagon officials reported Sunday that helicopters flying 60 miles from the plant picked up small amounts of radioactive particulates — still being analyzed, but presumed to include cesium-137 and iodine-121 — suggesting widening environmental contamination.
・“under the best scenarios, this isn’t going to end anytime soon.”
・When the nuclear chain reaction is stopped and the reactor shuts down, the fuel is still producing about 6 percent as much heat as it did when it was running, caused by continuing radioactivity, the release of subatomic particles and of gamma rays.
・the operators are dumping seawater into the vessel and letting it cool the fuel by boiling. But as it boils, pressure rises too high to pump in more water, so they have to vent the vessel to the atmosphere, and feed in more water, a procedure known as “feed and bleed.”
・the situation a reactor No. 3 was being closely watched for another reason. That reactor uses a special mix of nuclear fuel known as MOX fuel. MOX is considered contentious because it is made with reprocessed plutonium and uranium oxides. Any radioactive plume from that fuel would be more dangerous than ordinary nuclear fuel, experts say, because inhaling plutonium even in very small quantities is considered lethal.
(Mixed Oxide Fuel=混合酸化物燃料。ウランとプルトニウムを酸化物の形で混合した燃料。従来のウラン燃料は天然ウランの中の核分裂しやすい濃縮ウランを使うが、MOXはプルトニウムをウランに混ぜて使う)
3/15
・福島第一原発2号機に欠損…枝野官房長官
枝野官房長官は15日朝、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所2号機について、原子炉格納容器につながる「サプレッション・プール」と呼ばれる部位に欠損が見つかったと発表。 サプレッション・プールは水蒸気を水に変える部分で、枝野氏は「周辺の放射線濃度の測定値に急激な上昇などはなく、健康に被害を及ぼす数値は示していないが、迅速な対応を取りたい」と強調。
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1,「サプレッション・プール」の「欠損」とはどのような欠損で、どのように「迅速な対応」を取るのか?
2,「周辺の放射線濃度の測定値」はいくら「上昇」したのか?
3,「健康に被害を及ぼす数値」を明らかにせよ。(⇒15日16時過ぎの会見で、枝野長官、政府見解を明らかにせず)
・福島原発事故、スリーマイル以上=深刻さは「レベル6」か―仏核安全局
【パリ時事】仏核安全局(ASN)のラコスト局長は14日の記者会見で、福島第1原発の事故の深刻さについて、史上最悪とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)ほどではないものの、米スリーマイル島原発事故(79年)を上回るとの見方を示した。AFP通信が伝えた。
事故の深刻さを示す国際原子力事故評価尺度(INES)のレベルで、チェルノブイリ事故は最も重い「7」、スリーマイル島事故は「5」。ラコスト局長は会見で「日本の関係者と話した」とした上で、福島原発の事故は「レベル5を上回り恐らくレベル6に当たる感覚だ」と述べた。
・米政府にも支援要請=原子炉の冷却事故で―日本政府
米原子力規制委員会(NRC)は14日声明を出し、福島原発の事故への対応で日本政府から正式に支援の要請を受けたことを明らかにした。 声明は原子炉の冷却系統が機能しなくなった問題に関連して支援要請を受けたとした上で、対応を検討中としている。
・全米104基の原子炉にも不安の声、対策強化の提言も
1, マーキー民主党議員、オバマ政権と原子力規制委員会(NRC)に対し、
・断層近くに位置する原発の安全対策強化、
・複数の災害が同時に発生した場合を想定した緊急対策訓練、
・原子炉から半径20マイル(約32キロ)以内に住む住民全員へのヨウ化カリウム剤の配布――などの対策を取るよう提言。ヨウ化カリウムには放射性物質が体内に蓄積されるのを防ぐ効果がある。
2, 米国内では現在、65カ所の原発で原子炉104基が稼働。それ以外にも国防関連で数十カ所の原子炉、兵器研究所といった核施設がある。原発の大半は人口集中地帯の近くにあり、現在米国の電力の約20%を供給。
3, 1979年にペンシルベニア州で起きたスリーマイル島原発の炉心溶融事故以来、新規に稼働を開始した原発はない。しかし、最近では電力使用量の増大を受け、地球温暖化対策の一環として二酸化炭素を排出しない原子力発電への関心が高まっていた。
4, 米政府は新規の原発建設費用として180億ドルを計上し、オバマ大統領はさらに360億ドルを計上したい意向。連邦当局は原発建設計画の申請20件について審査を進めており、既存の原発も数カ所が拡張を申請。
5, 米国で最も懸念が大きいのは、サンアンドレアス断層に近いカリフォルニア州の太平洋沿岸にある2基。専門家によると、いずれもマグニチュード(M)7.5までの地震に耐えられる設計だが、サンフランシスコでは1906年にM8.3の地震が発生。
6, カリフォルニア州の原発を運営する電力会社PG&Eおよび南カリフォルニアエディソンの広報は13日、原発は付近一帯で想定される最大規模、つまりM6.5の地震に対応できる設計になっていると説明。M6.5を超す地震が同地で起きるとは考えられていないという。
専門家は、地震のほか航空機を使ったテロによって原発のインフラが破壊される恐れもあると指摘するが、業界団体の原子力エネルギー協会広報は、米国の原発は航空機の衝撃にも耐えられると強調。マーキー提案については、米国の原発の安全システムは既に強固だとし、さらに現在の半径10マイルの範囲を超えてヨウ化カリウム剤を配布する必要がないことは研究で実証済みとしている。 CNN 3/14
・独、「脱原発」先送り凍結も 首相が日本の事故受け表明
【ベルリン共同】ドイツのメルケル首相は14日、緊急記者会見し、同国与党が決めた「脱原発」政策を先送りし原発の稼働年数を延長する計画について、3カ月間凍結し再検討すると発表。福島第1原発の事故が影響。 連立相手の自由民主党(FDP)党首のウェスターウェレ副首相兼外相も同日、凍結の見解を示していた。ドイツ与党の原発政策が全面的な見直しとなりそうだ。
メルケル首相は、日本の原発事故は「世界や欧州、ドイツに影響を与える。現在の状況は以前と大きく変わっている」と強調。原発を輸出しているドイツの動きは、世界的に原発導入国が拡大しているこれまでの国際的な流れに大きな影響を与える可能性がある。 ドイツでは、左派のシュレーダー政権時代の2002年、全ての原発の運転停止を義務付ける脱原発法を制定。しかし、メルケル保守中道政権は昨年秋、22年までに全原発の運転を停止する予定だった脱原発政策を先送りし、国内原発の稼働年数を平均で12年間延長することを決定した。
「日本の原発の安全対策は世界最高水準」として、これまでドイツ政府内で日本への評価が高かったことから、今回の大事故にドイツは衝撃を受けている。 ドイツでは3月下旬に与党側の牙城であるバーデン・ビュルテンベルク州の議会選を控えているが、脱原発を掲げる野党の攻勢で与党は苦戦している。
・福島第1原発爆発 世界各国に衝撃 日本技術の信頼低下も
東京電力福島第1原発の相次ぐ水素爆発や燃料棒の露出は、世界各国に衝撃を与え、技術大国日本の「安全神話」を揺るがす事態に。
1, 米CNNや英BBCはじめ欧米メディアは「(旧ソ連で86年に起きた)チェルノブイリ原発事故の再発を防げるのか」などと日本政府の対応に批判的な論調を強めている。スイス紙NZZ・アム・ゾンタークは、ビルディ・ジュネーブ大教授の話として「日本政府は事故の重要性を低く見積もっている。被ばくの危険性を低レベルに公表しているが、半径20キロ圏外に住民を避難させた事実は原発を制御できていない証拠」と伝えた。
2, インドでは日印原子力協定交渉への影響を懸念する声が広がっている。ニューデリーのシンクタンク「エネルギー資源研究所」のダディッチ上席研究員は「世論が(日本の原発技術に)厳しい目を向ける可能性が高い」と指摘。シン首相は14日、国内20カ所の原発で安全対策の再点検を命じたことを明らかにした。
3, 韓国の青瓦台(大統領府)は任太熙(イム・テヒ)大統領室長が緊急会議を開催し、放射性物質の周辺国への影響などが論議された。聯合ニュースによると、2月に放射能漏れ事故を起こした大田市の研究用原子炉の再稼働が14日、「安全に万全を期す」という当局の判断で、15日に延期。
4, 英国も中断していた原発建設を再開し、25年までに原発10基を新設、電力供給量の4割を原発がまかなう政策を推進しているが、政府は今回の事故を機に、安全面を中心に原発懐疑論が高まることを警戒。
5, オーストラリアのギラード首相やイスラエルのネタニヤフ首相は自国での原発建設に反対する姿勢を表明。
6, フィリピンの大統領府副報道官も凍結中の原発の再稼働を否定。
7, 20年に初の原発の操業開始を目指していたタイのアピシット首相「(原発に消極的な)私の意見は皆知っている。日本の出来事がわが国の意思決定にどう影響を与えるか、検討している」。
8, 中国「第一財経日報」は「中国の新型原発では冷却をめぐる問題は生じない」と報道。原発専門家の話として、中国の新型原発は原子炉の上部に数千トンの水をためるようになっており、非常時には動力なしでも重力で水が落下して冷却する仕組みのため問題は起きないとしている。
9, ロシア国営原子力企業ロスアトムの当局者は、旧ソ連で86年に起きたチェルノブイリ原発事故では炉心溶融から爆発につながった点を取り上げ、現時点では福島第1原発の原子炉が爆発する可能性は小さいと指摘。ただロシアは1月に日本との原子力協定を批准したばかりで、日本企業の技術に着目してきたが、事故を受けて、日本製技術の安全性について再考する可能性も。
10, 中東初となるブシェール原発を近く稼働予定のイランは計画を続行する方針。国営通信によると、原子力庁のラストハ副長官は福島第1原発のケースについて「(原子炉が入る)金属製の構造物自体は破壊されておらず、放出された放射性物質は少ない」とし、似た構造のブシェール原発の安全性を強調。(毎日新聞より)
3/14
・燃料棒露出、水注入ポンプ燃料切れ見逃しか
福島第一原発2号機で原子炉の燃料棒が完全露出し、一時的にせよ「空だき」状態となった原因について、14日午後9時すぎに記者会見した枝野官房長官は「水を注入して冷却する作業に入っていたが、一時(注入用の)ポンプの燃料不足で、想定より時間がかかった」と説明。 初歩的な作業ミスによって重大な事態を引き起こした可能性を示唆。
東電などによると、2号機では当時、港から直接海水を取水しポンプで原子炉内へ送り込んでいた。1、3号機でも同様の注水作業を行っており、作業員が1、3号機用のポンプの見回り後に、2号機用のポンプを確認した際、燃料切れで停止しているのを見つけたという。 ある東電幹部は「想定外の大地震による作業員の不足と、深刻な事故が重なったことで(原発の『命綱』である)注水ポンプから目を離す事態が生じた」と漏らした。(読売新聞)
・「1~3号機すべてで炉心溶融の可能性高い」枝野長官
枝野幸男官房長官は14日午後9時過ぎの記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所のトラブルについて、1~3号機すべてで炉心溶融が起きている可能性が高いとの見方を示した。「可能性は高い。三つとも」と述べた。また「地震そのものは一瞬だが、その後の対応は一定の管理のもとで、今なお安定化に向けた方向性に、現時点で進んでいる。最悪の事態を想定しても、チェルノブイリ(原発事故)と同じようにはならないとみている」。
・米空母のヘリ要員17人が被曝 福島第1原発の影響か
米海軍第7艦隊は14日、東日本大震災の救援のため三陸沖に展開中の原子力空母「ロナルド・レーガン」搭載のヘリコプターの要員17人から低レベルの放射線を検知したと発表した。 日時は不明だが、同空母は福島第1原発の北東約160キロを航行しており、被曝(ひばく)した要員はヘリ3機に分乗し、仙台市付近で救助活動を行った後、同空母に戻ったという。米海軍はこれを受け、同空母など展開中の艦船を福島第1原発の風下から離脱させた。
一方、フィールド在日米軍司令官は沖縄の第31海兵遠征部隊(31MEU)が支援物資を載せた強襲揚陸艦「エセックス」に乗艦し、16日にも被災地沖に到着することを明らかにした。ドック型揚陸艦「トーテュガ」も15日朝、北海道の苫小牧港に入港。陸自第5旅団(帯広市)の約250人を青森に輸送する方向で検討している。在日米軍は支援活動を「トモダチ作戦」と命名した。 自衛隊と米軍による日米共同対応では、14日に設置された自衛隊の統合任務部隊司令部に、米軍も連絡官を派遣する。三陸沖に展開中の米海軍の駆逐艦などのうち、4隻以上が同日も捜索・救難活動を実施したほか、米軍のヘリ計5機が米空軍横田基地から仙台市などへ救援物資を輸送した。(産経)
・自衛隊員が被曝、福島第1原発3号機付近で負傷 東電社員も
福島第1原発3号機の爆発事故で、文部科学省は14日、近くで作業中に負傷した30歳前後の男性自衛隊員の被曝が確認されたと発表。けが自体は重傷ではなく、意識もあるという。 文科省によると、自衛隊員は爆発の際に飛び散ったコンクリート片で、膝のうえに裂傷を負った。簡易放射線測定を行ったところ、一定程度の被曝が確認されたという。 傷口などから体内に放射性物質を取り込んだ「内部被曝」の可能性があるため、千葉市にある放射線医学総合研究所(放医研)で、治療することが決まった。ヘリコプターで放医研に向け搬送。
東電は14日、福島第1原発3号機の爆発事故で男性社員(23)が被曝をして除染できていないと発表。社員の被曝放射線量は不明だが、意識はあるという。 この男性は、ほかの社員や協力会社の作業員、自衛隊員らとともに、冷却機能が下がった炉心に海水を供給する作業に当たっていた。 ていねいな除染を施してもなお放射線が検出される場合は、放射性物質を吸い込むなどしている恐れがあるため、慎重に検査をしている。
(⇒枝野官房長官は14日午後4時15分からの記者会見で、福島第1原発3号機の水素爆発での負傷者のうち、自衛隊関係の4人はけがの程度は軽く隊に戻ったと発表。また、東京電力関係の7人のうち、重傷を負った1人について「意識はある、との報告からその後の情報はない」と述べた。
・原発爆発、警察官2人被爆 福島第1原発で避難誘導中
警察庁は14日、福島第1原発の周辺の医療機関で避難誘導中だった福島県警の警察官2人が被曝(ひばく)したと発表。2人のうち1人は3万4千カウント(CPM)、もう1人からは2万8千CPMの放射線量が測定された。ほかにも12人の警察官が被曝した可能性。 福島県は放射線測定器(サーベイメーター)で1万3千カウンター(CPM)以上の値が測定された人をシャワーで全身を洗い流す除染が必要な被曝の対象としてきたが、14日以降は「10万CPM以上」と基準を引き上げた。被曝した警察官2人に対しては除染が行われているが、健康への影響はないとみられる。
警察庁によると、2人は12日、同原発1号機で放射線漏れの危険性が高まったことから周辺の医療機関で避難誘導中に建屋が爆発、被曝。 避難指示が出ている同原発から半径20キロ圏内には約440人(14日午後1時現在)が残っており、今後、自衛隊のヘリコプターやバスなどで避難させる。 今回の地震では、住民の避難誘導中に津波に巻き込まれるなどして警察官3人が死亡したほか、33人の行方が分からなくなっている。(産経新聞)
・日本の原発迷走状態 幾重の防御策不能
福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。
2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生。 その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。
これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態。 国内では、日本の原発運用はあらゆる危険性を排除する幾重もの防御策が整備されているため、米国で起きたスリーマイル島原発事故のような事態は起きないとされてきた。 元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは「もし空だきが続けば燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底に向かってしまう」と指摘。 炉の床は合金製で、1500~1600度の温度で溶け出すため、「最悪の場合は炉床が抜ける危険性もあった。水が注入できない状態は(それができた)スリーマイル島原発事故より深刻な事態」と危惧する。
小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)は「水がなくなって、核燃料が融点を超えると、周囲も高圧になって水が入りにくくなる。今回のように電源がなくなり緊急炉心冷却装置も作動していない場合は、とにかくあらゆる手段で注水し、燃料棒を冠水させていくしかない」と指摘。 一方、有冨正憲・東工大原子炉工学研究所教授(原子力熱工学)は「空だきの状態が2時間20分も続いた場合、燃料棒の一部が溶けている恐れがある。ただしその後、圧力容器内に水が満たされていれば、溶けた燃料が水の中で固まるため、圧力容器が損傷する心配はまずないと考えていい」と話す。
◇陸への影響「限定的」(?)
14日起きた3号機での水素爆発によって、原子炉建屋の上部外壁が吹き飛んだ。建屋から飛散した放射性物質はどんな影響を及ぼす可能性があるのか。 東電によると爆発当時、西~北西の風が吹いていた。豊橋技術科学大の北田敏廣教授(大気環境工学)は「今日のような雲の多い日は海陸風があまり目立たず、大部分は太平洋方向に流れたと考えられる。陸地への影響は少なく、健康に影響が出ることはないだろう」と見る。一方「放射性物質が付着した微粒子の大きさにもよるが、1000分の1ミリ以下だと滞空時間はかなり長くなり100~200キロ運ばれることも珍しくない」と話す。
実際、1号機で水素爆発が起きた12日午後に放出された放射性物質は南風に運ばれ、13日未明、約120キロ北にある東北電力女川(おながわ)原発で基準値を超える21マイクロシーベルト(1時間当たり)放射線量が観測された。 北田教授は「晴れた日の昼間は海から陸へ風が吹く。それまでに何とか(放出する事態を)終息させてほしい」と話した。
原子炉内の燃料棒は通常水中にあり、水を循環させて水温をコントロールしている。しかし震災で循環が止まったため、熱で水が蒸発し、水位が下がった。露出した燃料棒は過熱状態となり、燃料棒を覆う管のジルコニウムが水と反応して水素が発生した。水素は高温になるほど多く発生するため、爆発の危険性も高まる。 3号機の爆発は、1号機より大規模だったとみられる。NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは「(1号機より)燃料棒の溶融が進んだため水素が大量発生したか、格納容器内から建屋への水素漏えいが想定以上なのではないか」と話す。(毎日新聞)
・2号機“炉心溶けた可能性”(NHK)
・2号機、燃料棒すべて露出=炉心溶融否定できず―東電福島第1原発
東京電力は14日午後7時45分、福島第1原発2号機の冷却水が大幅に減少し、約4メートルある燃料棒がすべて露出したと福島県に通報。核燃料の一部が溶ける炉心溶融も否定できないとしている。 仮に、冷却水がすべて失われたとすると、極めて深刻な状態。 東電によると、炉内に海水を入れるためのポンプの燃料が切れていたといい、燃料を入れた上で作業を再開する。
・福島第二原発1・2号機、冷却システム回復(⇒夕方のこの報道はいったい何だったのか?)
・福島第一原発2号機でも14日午後1時25分、原子炉の冷却機能が停止
・IAEAが調査団派遣へ 原発事故、放射能漏れなど調査
外務省に14日までに入った連絡によると、東日本巨大地震に伴う福島第1原子力発電所で起きた爆発事故などを受け、国際原子力機関(IAEA)が近く調査団を日本に派遣することが分かった。放射能漏れの実態や安全確認をするほか、事故の詳しい原因なども調査するとみられる。
・福島第1原発1号機爆発で2警官被曝 12人も可能性
中野寛成国家公安委員長は14日の記者会見で、避難途中の住民らが被曝(ひばく)した12日の福島第1原発1号機の爆発で、福島県警の男性警察官2人も被曝したことを明らかにした。除染を行い、現段階で目立った健康被害はない。このほかに12人の警察官も被曝した恐れがあるという。
被曝した2人は爆発時、避難範囲だった半径10キロ以内の病院で避難誘導に当たっていた。別の医療機関で測定を受けた結果、1人は3万4千cpm(1分間に検出される放射線の数)、もう1人は2万8千cpmが検出されたという。原発の建屋内で1日作業した場合は多くても5~10cpmとされている。(日経)
・14日午前11時1分、福島第一原子力発電所の3号機で爆発が起きて煙が大量に上がり、原発の作業員と自衛隊の隊員のあわせて11人がけがをした。経済産業省原子力安全・保安院では、12日の1号機に続いて水素爆発が起きたとみて、原発から半径20キロの中に残っているおよそ600人の住民に対して屋内退避を指示。これまでのところ、敷地周辺の放射線の値に異常な上昇はなく、原子炉を覆う格納容器の健全性は保たれているとみられている。
・経済産業省原子力安全・保安院では、水素爆発が起きたものとみている。東電によると、この爆発で東京電力の社員4人とや協力会社の従業員3人、それに自衛隊の隊員4人のあわせて11人がけがをした。詳しいけがの程度などは分かっていない。
・福島第一原発から半径20キロには、病院や施設などにいる615人の住民が残っている。原子力安全・保安院は、屋外にいる人に対し、できるだけ早く建物の中に入るよう屋内退避を指示。このうちのおよそ100人は、20キロの外に避難するために施設を出たということで、残るおよそ500人についても、圏外に避難させるかどうか検討中。
・枝野官房長官は、記者会見で「3号機の格納容器は爆発のあとも内部の圧力が保たれているほか、施設周辺で観測された放射線の値も比較的低いことを考えると、爆発によって放射性物質が外部に大量に出ていることは考えにくく、格納容器の健全性は保たれている」と説明。
・水素爆発は12日、福島第1原発1号機でも起きて、建屋の上部が吹き飛んだ。3号機でも原子炉の水位が下がり、燃料棒が露出したため、水蒸気と反応して水素が大量に発生したことが分かっており、水素爆発の起きることが心配されていた。(NHK)
・福島第一原発3号機で水素爆発 屋内待避呼びかけ
福島第一原子力発電所(福島県大熊町)の3号機で14日午前11時ごろ、大きな爆発が起きた。経済産業省原子力安全・保安院によると、水素爆発が起きたことを確認した。保安院は、原子炉格納容器が損傷した可能性は低いとみている。東電はこの爆発で、3人が負傷し、7人が行方不明、と発表。 保安院は、20キロ圏内にいる住民には屋内待避を呼びかけている。ここには、少なくとも約600人の住民がいると保安院はみている。
東電によると、圧力容器、格納容器とも壊れていないことを確認、としている。周辺で中性子線は確認されておらず、連続した核反応は起きていないとみられる。 原子炉は、内側から圧力容器、格納容器、原子炉建屋の三つの「壁」で守られている。12日に福島第一原発1号機で起きた爆発では、損壊は原子炉建屋にとどまり、格納容器と圧力容器に異常は確認されていなかった。今回の3号機の爆発も、原子炉建屋が爆発して壊れた可能性が高い。 原子炉を守る「最後のとりで」となる圧力容器や格納容器が壊れていれば、チェルノブイリ事故に匹敵する重大事故となる。
東電によると、爆発で作業員が負傷したことを確認したという。人数は不明。救急車を要請中。 東電福島事務所によると、午前11時37分現在、福島第1原発の敷地内で検出された放射線量は、1時間あたり50マイクロシーベルト、中性子は検出最下限値。47分には20マイクロシーベルトに低下。(朝日新聞)
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報道によれば、東電は、福島第1原発1号機の燃料棒が1.7メートル、3号機が2メートル露出しており、海水注入後も水位に大きな変化が見られないことを明らかにした。 また、福島第一原発の1号機と3号機で、燃料の最上部より水位が低い状態が続いていることで、炉心溶融が進んでいる可能性があることを示唆した・・・。
これが13日を終える段階の「原子力緊急事態」の現実だ。14日から「輪番停電」制が敷かれ、私を含むその影響を受ける人々は、13日夜からその準備に追われている/いたはずである。
一部では、今回の事態は「震災規模が予想をはるかに上回った」(保安院)部分が大きい、とされている。また、津波による原子炉に電気を供給するディーゼル発電機の故障、さらに交通が寸断され復旧のための電源車両が到着しなかったことなども大きな要因となった、と指摘されている。
しかし、「震災規模が予想をはるかに上回った」ことや津波被害で問題がすまされるはずがない。本ページ末尾の3月2日付毎日新聞の記事にあるように、2月までの段階で中国電力、中部電力など「各地の原発で機器の検査漏れが見つかっ」ており、経産省原子力安全・保安院は、新潟県と福島県の3原発で検査漏れが見つかった東京電力を「注意処分」(!)にしていたのである。
東電にいたっては、「柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器の検査漏れがあったと保安院に報告」していたという。 保安院は、「すべての発電所で点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していたとして保安規定に違反すると判断。同社に再発防止策の策定を指示」していたのである。
点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していた・・・。
絶句するようなこの事実、この現実を、私たちはどのように受け止めればよいのか?
東電の企業責任、保安院の監督責任はどこに消えたのか?
現在、日本列島で稼動しているすべての原発が、耐震・耐久予想をはるかに下回る状態で運転を継続している、この身が凍るような現実に私たちは直面している。M9.0以上の大地震、10mを越える大津波(奥尻島を襲った大津波は30mだった)の再来を現実的に想定した原発施設の安全対策、緊急避難施設の確保、早期避難体制の確立等々が、早急に求められている。
いまだに省庁縦割りで、政治や行政の不作為が問われず、誰も責任を取らない日本の原子力行政を、これからどうするのか。中長期的な日本の「エネルギー行政」をどうするのか・・・。
そういう議論をこの国の政治家たちがいつ始めるか。そのことに注目しながら、私たちは今後の政府や政党の言動、挙動を厳しく監視する必要がある。
原発問題に限らない。
〈3・11〉は、この国のあらゆることを見つめ直し、考え直すことを強いたのである。
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第1原発の10キロ内に80人 20キロ内には6万人が残っている
東京電力福島第1原発の周辺で約160人が被曝(ひばく)した可能性。国の避難指示を受け原発から10キロ圏内を出るために双葉厚生病院から移動して、同原発から約3・7キロ離れた県立双葉高校のグラウンドで救助のヘリを待っていた約60人と、原発での爆発後に福島県外にバスで避難した約100人。⇒15日現在、避難完了との報道。
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・福島第二原発も蒸気放出へ備え 柏崎刈羽からポンプ調達 23時34分
東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第二原発1、2、4号機について、原子炉の冷却機能を回復するため、同電力柏崎刈羽原発からポンプを取り寄せて取り付けていることがわかった。東京電力から連絡を受けた福島県が13日、明らかにした。 冷却機能の回復がうまくいかない場合、原子炉格納容器の損傷を防ぐため、容器内の放射性物質を含む蒸気を、高さ150メートルの排気筒から放出するという。予定時刻は1号機が14日午前3時、2号機は14日午前6時、4号機は16日午前5時。(朝日新聞)
・「どこへ逃げたら」原発被曝、住民不安極限に
地震が起きても安全とされていた原子力発電所が、周辺住民にまで牙をむいた。
13日午前、福島県などは東京電力福島第一原子力発電所の周辺住民ら最大190人が被曝(ひばく)した可能性があることを明らかにしたが、半径10キロの地域にはなお80人が取り残されたまま。「病院に閉じこめられ、動けない」と、電話で懸命に訴える人もいるなど、地域の不安は極限まで高まっている。
「警察も消防もいない。閉じこめられていることを誰かに伝えて」。同原発から近い大熊町から同県川俣町に避難してきた女性(21)は、看護師の母親から電話でそう助けを求められた。母親は同原発から20キロ圏内の病院で、被曝を避けるため、患者とともに外に出られない状況が続いていて、女性は「どうしたらいいんだろう……」とうつむく。
同原発から北に約40キロ離れた同県相馬市。13日朝、同原発3号機の冷却装置の機能が失われたとの報道が流れ、市役所内は不安に包まれた。テレビ報道で知ったという市職員は「公式な情報が遅すぎるし、政府の会見内容にも不信感が募っている。本当に大丈夫なのか」と憤った。 同市の避難所では、避難指示が出た近隣の南相馬市などからも避難者が相次いでいる。避難所となった相馬市立中村第一小学校の受付担当職員は「各避難所に他市からの避難者が来ていて、混乱状態になっている」と話す。
警察庁によると、13日午前8時現在、当初の避難指示が出た半径10キロ圏内で住民80人が残っている。大半が寝たきりの高齢者などで、同日朝からヘリコプターなどでの搬送を行っている。また、20キロ圏内にも約6万人が残る。 一方、福島県庁でも、県幹部が相次ぐ事態に表情をくもらせた。3号機の冷却機能が働かなくなったことは、13日午前6時半に開かれた福島県原子力災害対策本部の会議で報告されたが、東電側は、原発周辺の放射線量の正確な値を把握しておらず、出席した幹部は「まだか」といらだちをあらわにした。 松本友作副知事は「こういう状況なので、しっかりと情報収集を」と呼び掛け、別の県幹部は「まったく終わりが見えない。どうすればいいのかわからない」とつぶやいた。
・地震で自動停止の原発、安定停止は3基のみ
東日本巨大地震では、東京電力福島第一原発1~3号機、同第二原発の全4基、東北電力女川原発の全3基、日本原子力発電東海第二原発の計11基が、強い揺れにより自動停止した。 経済産業省原子力安全・保安院や各電力会社によると、11基のうち、原子炉内の温度が100度以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、福島第二3号機と女川1、3号機の3基だけだ。
原子炉を停止する場合は、炉内の核分裂反応を抑制する「制御棒」を挿入する。しかし、反応を止めても核燃料は高い余熱を持っているため、安全で安定した状態にするには、さらに冷却を続ける必要がある。 保安院によると、地震による停電で外部からの電力供給が失われたことや、冷却水をさらに冷やす海水を取り込み、動かすポンプが津波で被害を受けたことなどから、福島第一原発2号機や、同第二原発1、2、4号機などでは、冷温停止までに時間がかかっているという。同3号機は12日正午過ぎ、冷温停止が確認された。
13日に記者会見した保安院の根井寿規審議官は、自動停止した原発の多くでは炉心の冷却機能が保持されていると説明。「とりあえず給水を継続すれば大丈夫だと認識している」と述べた。 また、炉心冷却機能を失った福島第一3号機では、通常の原発で使うウラン燃料とは異なり、毒性の強いプルトニウムを混ぜた核燃料を入れていることについては、「冷却する方法に違いがあるわけではない。特別な対応は念頭に置いていない」とした。 3号機では13日朝から、冷却を促進するホウ酸水を炉内に注入する作業が行われている。1号機では緊急措置として海水も注入したが、今回は原子炉のダメージを抑えて再使用を容易にするため、ホウ酸水のみの注入を選択したとみられる。 (読売新聞)
・3号機も水素爆発のおそれ 枝野長官「健康に影響ない」 18時31分
枝野幸男官房長官は13日午後、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に原子炉から漏れた水素がたまり、爆発するおそれがあると発表。東電は原子炉の容器の損傷を防ぐため、1号機に続き、微量の放射性物質を含む内部の蒸気を抜き、容器内を冷やすため海水の注入を始めた。同原発周辺の放射線の観測値は午後1時52分、これまでで最高の1時間あたり1557.5マイクロシーベルトに達したという。
枝野氏は万一、1号機のように爆発した場合でも、原子炉の格納容器には影響なく、大量の放射性物質は放出されないとみられると説明。また、放射線の観測値も「一番高い数値のところでも、1時間その場にいて、胃のX線検診3回分弱」とし、「健康に影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。観測値は午後2時42分、184.1マイクロシーベルトに下がったという。
東電によると、地震の影響で自動停止した3号機は、外部からの送電も非常用発電機も止まり、原子炉内を冷やせなくなり、冷却水が蒸発して水位が低下。13日午前9時過ぎ、原子炉内に外部からホウ酸水を入れて冷やす作業を始めたところ、水位は上昇した。 だがその後、ポンプにトラブルが発生して作業が中断。別の方法に切り替えて海水の注水を始めたが、水位は下がり、ウラン燃料をおさめた燃料棒の上部が冷却水から露出した。この際、原子炉内の蒸気と反応して大量の水素が発生した可能性があるという。
水素が原子炉の外に漏れて原子炉建屋内にたまれば、酸素と混じって爆発するおそれがある。 また、爆発のあった1号機では、冷却水から露出した燃料が高温になって溶け出す「炉心溶融」が起きたとみられるが、枝野氏は3号機でも同じことが起きた可能性に言及した。 東電は13日、同原発2号機でも、格納容器の損傷を防ぐため、微量の放射性物質を含む蒸気を抜いて原子炉の容器内の圧力を下げる作業を始めると発表した。(朝日新聞)
・福島第一3号機建屋も爆発の恐れ…枝野長官
枝野官房長官は13日午後3時半頃に会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に水素がたまり、爆発する恐れがあると発表。 枝野長官によると、3号機は同日午前8時41分、格納容器内から放射能を含んだ蒸気の放出を開始し、同9時過ぎには容器内の圧力が低下し始めた。
これに伴っていったんは原子炉内の水位が回復する傾向が出たが、正午頃から再び低下を始め、午後零時55分には、燃料棒の上部1.9メートルが冷却水から露出。その際炉内で大量の水素が発生し、建屋内の上部にたまっている可能性があるという。 核燃料の一部が溶融する恐れが出たため、東電は同日午後1時12分から、3号機の原子炉に海水の注入を始めた。海水の注入は、爆発した同1号機に続いて2基目。(読売新聞)
・女川原発で4倍の放射線観測 福島第一から120キロ北
東北電力女川原発(宮城県石巻市、女川町)で12日午後9時ごろ、施設周辺の放射線を観測しているモニタリングポスト6台すべてが通常の4倍以上の放射線を観測。数値は2時間ほどで平常に戻り、線量もごく少ないことから、東北電力は健康に影響はないという。 女川の3基の原子炉に異常はないため東北電力は、約120キロ南にある、東京電力福島第一原発1号機で同日午後3時半ごろあった爆発で飛散した放射性物質をとらえた可能性があるとみている。 (朝日新聞)
・福島第一3号機も原子炉に海水注入開始
東京電力は13日午後1時12分から、水位低下で核燃料が露出して溶融する恐れが出ていた福島第一原子力発電所3号機の原子炉に海水の注入を始めた。 海水の注入は、爆発した同1号機に続いて2基目。 東電によると、同日午前8時41分、格納容器内から放射能を含んだ蒸気の放出を開始し、同9時すぎには容器内の圧力が低下し始めた。これに伴っていったんは水位が回復する傾向が出たが、正午頃から再び低下を始め、午後零時55分には、燃料棒の上部1.9メートルが冷却水から露出したため、海水注入に踏み切った。(読売新聞)
・福島第1原発3号機も冷却機能喪失 東電が緊急事態を通報 産経新聞
東京電力は13日早朝、福島第1原発3号機が冷却機能を喪失したため、緊急事態として法に基づき国に通報した。冷却機能喪失は、第1原発1、2号機、第2原発1、2、4号機に次ぐ6機目。 原子力安全・保安院は13日午前5時35分からの会見で、東日本大震災の被害を受けた東京電力福島第1原発3号機へのすべての給水ができなくなり、原子炉の冷却機能がストップしたことを明らかにした。東京電力は同日5時10分に、原子力災害対策特別措置法15条に基づき、政府に緊急事態を通報した。
原子力安全・保安院によると、3号機は炉心を冷却するために、外部から水をくみ上げる高圧式の注水装置を使っていたが、冷却効果が働き圧力が低下。この装置は使えなくなった。通常ならば低圧式の注水装置に切り替えるが、バッテリー切れとなり給水が全面的に停止した。 地震の影響で原子炉は自動停止したものの、核燃料の熱が出続けているため、炉心の冷却が止まると、放射能漏れの可能性が出てくる。東電福島第1原発1号機は水位が下がったことで炉心が露出し、溶融を始めている可能性が浮上。付近で放射性物質が検出された。廃炉も視野に原子炉への海水の注水に踏み切ったばかりだ。
ただ、原子力・安全保安院の根井寿規審議官は「3号機は水位が安定し炉内の圧力が低いことで、ただちに危険な状況になるわけではない(?!)次の手立てを考える」と話している。東電福島原発は新たな火種を抱えることになった。
・福島第一原発周辺、70人以上が被曝した恐れ 保安院 9時0分
原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第一原発の周辺で、約70人以上が放射能を被曝(ひばく)した恐れにあることを明らかにした。保安院が福島県などから受けた報告をまとめると、福島県双葉町の住民9人から放射能を計測。そのほかに、双葉高校のグラウンドで移動に利用したヘリコプターを待機している際に被曝した可能性があるのが約60人いるという。 放射能を浴びた経路や時間は調査中としている。(朝日新聞)
・福島原発で爆発 初の炉心溶融 病院の3人 被ばく 07時34分
12日午後3時36分、東日本大震災で自動停止した東京電力福島第一原発1号機の原子炉建屋とタービン建屋の周辺で激しい縦揺れとともに爆発が起き、白い煙が上がった。この爆発で、作業員ら四人がけがをして病院に搬送された。東電によると、いずれも意識はあるが、うち一人は骨折している。 枝野幸男官房長官は会見で「建屋の壁の崩壊で、中の格納容器が爆発したものではない」と述べ、原子炉の損傷を否定した。ただ、格納容器から漏れ出た水素が建屋内の酸素と化学反応して爆発した可能性があり、不安定な状態が続いている。
福島県によると、爆発当時、半径10キロ圏内の高校グラウンドで双葉厚生病院の入院患者と職員の計約90人のうち3人が、ヘリの救助を待っていた際に被ばくしたという。 また、爆発の直前に福島第一原発1号機周辺で、放射性物質のセシウムとヨウ素を検出。いずれも炉心のウラン核燃料が分裂した際にできる物質で、経済産業省原子力安全・保安院は燃料棒の一部が溶ける「炉心溶融」が起きた可能性があるとしているが「進行していることはない」としている。
福島県は同日夜、首相官邸の指示を受け、福島第1、第2原発の周辺10キロ圏内だった避難指示の対象範囲を、第1原発のみ同20キロ圏内に拡大。 同原発は自動停止後、高温の燃料棒を冷やす給水装置が故障。燃料が水面から露出し、冷却できずにこもった熱で溶けた可能性が出ている。 燃料棒の周辺は1200度以上に達し、燃料を覆う特殊金属の被覆管が溶けたらしい。 日本の原発で炉心溶融は初めて。1979年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故に匹敵する国内最悪の原発事故となった。
東電は12日午後2時、原子炉格納容器内の圧力が高まり、容器が耐えられずに破損するのを防ぐため、容器内の蒸気を外部に放出。放射性物質を含んだ蒸気が周辺に放出され、原発の敷地内で測定した放射線量は一時、1時間に1015マイクロシーベルトと、一般人が一年間に受ける放射線量の限度と同等の値を示したが、その後低下。 東電は午後8時20分から容器内に消防ポンプを使って海水と核分裂を抑制するホウ酸を直接注入して炉心の冷却を始めた。(東京新聞)
・福島第一3号機、冷却機能働かず…燃料棒を露出
東京電力は13日、福島第一原子力発電所の3号機について、原子炉内を冷却する機能が働かなくなり、冷却水の水位が下がって燃料棒が露出し始めたと発表した。 炉心の燃料棒が過熱して溶け出し、燃料中の放射性物質が外部へ漏れ出す危険もあるため、同日午前5時10分に原子力災害対策特別措置法15条に基づく通報を行った。3号機は、ウラン・プルトニウム混合(MOX)燃料を使用している。
3号機は地震後、通常の冷却ができなくなり、蓄電池を使った別系統の冷却装置を使っていたが、同日午前2時44分にこの装置も停止、原子炉内に冷却水を注入できなくなった。冷却水が沸騰して水位が下がり、同4時15分から燃料棒が露出し始めた。 12日に爆発が起きた同原発1号機と同様に、格納容器内の圧力が高まるため、東電では放射性物質が混じった蒸気を外部に放出する準備を進めている。(読売新聞)
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東電によると、12日午前8時現在、東北大震災の発生後に東電の協力会社社員3人が死亡し、2人が意識不明となっている。 死亡したのは福島第2原発で作業中だった協力会社「国勇工業」の社員、ハヤカワオサムさん(54)のほか、常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)で煙突工事中だった「アサジマ組」のハネシロさん、「フジモト工業」のモトシゲリョウヤさんで、いずれも年齢不明。常陸那珂ではアサジマ組のアサジマタカヒロさん、フジモト工業のオリタコウキさんも意識不明の重体。
一方、福島第1原発では東電社員で当直勤務に当たっていた小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)が地震発生直後から行方不明になっている。このほか、同日朝までに東電関連施設で5人が重傷、7人が軽いけがをした。
枝野幸男官房長官12日夜、首相官邸で記者会見。東京電力福島第一原子力発電所1号機の爆発について、原子炉本体ではなく建屋の崩壊であり、「東電からは(炉心を入れる圧力容器を守る)格納容器が破損してないことが確認されたと報告を受けた」と述べた。
・福島第一原発1号機で爆発音と白煙、けが人も
福島県警によると、福島第一原子力発電所1号機で12日午後、爆発音が聞こえ、煙のようなものが出ている。県警は半径10キロ圏内から至急避難するよう要請。 東電によるとけが人が数人いる模様。 煙は一時、発電所全体を覆う勢い。これによって社員が数人負傷した。原因ははっきりせず、影響も不明。 (Explosion Rocks Japan Nuclear Plant After Quake/ The New York Times By MATTHEW L. WALD)
・第1原発避難指示 半径20キロに拡大へ 19時14分
福島県が、12日午後6時半から開いた原子力災害対策本部会議の中で、担当職員が午後6時25分に総理大臣官邸から指示を受け、福島第一原発から半径20キロの範囲を新たに避難指示の対象に。福島県は、現在、具体的な市町村やエリアを調べている。
・福島第2原発、半径10キロ退避に拡大 官房長官会見
福島第1原発1号機で12日午後3時36分ごろ爆発。枝野幸男官房長官は同日午後会見し、第2原発について半径3キロ以内に出されていた退避指示を10キロ以内に拡大したと発表。枝野長官「周辺住民の安全には万全を期している」。
・福島第一原発、弁開放し「格納容器」の圧力低下
原子力安全・保安院は12日午後3時すぎ、東京電力福島第一原発の1号機の配管の弁を開放した結果、炉心の圧力容器を覆う「格納容器」の圧力が低下し始めた、と発表した。格納容器内は通常、400キロパスカル(約4気圧)で運転されているが、1号機は大地震による自動停止後、800キロパスカル超の圧力を記録し、損傷の恐れがあった。 ただ、弁を開けたことで放射性物質のセシウムが外部に漏れるなど、周辺の放射線濃度が高まった。
・福島第1原発で炉心溶融か=付近でセシウム検出―保安院
時事通信 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機で、核燃料棒が高温で溶ける「炉心溶融」が起きている可能性が高いと発表。
保安院によると、1号機周辺で放射線医学総合研究所のチームが放射性物質のセシウムを検出。セシウムは核燃料棒に含まれており、融点が高いことから、炉心溶融を起こしている可能性が高いと推測される。 保安院などによると、同原発1号機は12日午前から原子炉冷却水の水位が低下。一時は核燃料棒が冷却水の水面から露出し、核燃料の損傷が懸念されていた。
・原発の脆弱性浮き彫りに 福島原発トラブル
今回の地震によって、東京電力福島第1原発や同第2原発で、トラブルが相次いだ。第1原発1号機では、放射能を閉じ込める上で重要な格納容器の損傷を防ぐため、格納容器の弁を開けて圧力を下げる一方、微量の放射性物質を外部に出すという苦しい立場に追い込まれた。蒸気放出は緊急避難的な措置。
福島第1原発1号機の格納容器内の圧力が上昇し、容器の破損につながる懸念が生じている。経済産業省原子力安全・保安院は「地震によって圧力容器と配管の間などから放射能を含んだ微量の水分が格納容器内に漏れ出た結果、圧力が上昇した可能性がある」と推測する。すでに作業員が手作業で格納容器の圧力を逃がす弁を開ける作業をしている。
また、福島第1原発の敷地境界の正門で、放射線量を測定する敷地内のモニタリングが通常の8倍などを観測。初めての放射能漏れとなった。原因として、地震によって福島第1原発1号機の電源が失われ、外部に比べて原子炉内の圧力を下げる機能が失われた結果、微量の放射性物質が漏れ出た可能性があるという。
今回の地震は、国内最大の規模ではあるが、東電柏崎刈羽原発を襲った07年の中越沖地震に続き、地震に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて示した格好だ。保安院によると、今のところ、一般住民の健康被害は出ていないが、トラブルはさらに増えている。今後も予断を許さない厳しい状況が続く恐れがある。【関東晋慈】
◇炉心溶融
原子炉の温度が上がりすぎ、燃料棒が溶けて破損する事故。冷却水が失われて炉心の水位が下がり、燃料棒が水面上に露出した場合、燃料棒中の放射性物質の崩壊熱が除去できず、温度上昇が続くために起きる。想定されている事故の中でも最悪の事態。1979年の米国のスリーマイルアイランド原発事故で起きた。
◇セシウム137
原子力発電の燃料として使われるウランが核分裂した際に生じる放射性物質。人体に取り込まれやすく、体内では消化器や筋肉に影響を与えてがんなどの原因となる。半減期は30年と長く、土壌粒子と結合しやすいため、農作物を通して体内被ばくの原因ともなる。核実験などの結果生じる「死の灰」の一つ。1979年の米スリーマイル島原発事故や、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後も大気中から検出された。
◇福島第1原発
東京電力初の原発として計画され、1号機が1971年3月、営業運転を始めた。福島県大熊町と双葉町にまたがる約350万平方メートルの敷地に、現在6基の原子炉が稼働する。燃料の核分裂反応によって生じた熱で水を沸騰させ、そこから生じた高温の蒸気でタービンを回して発電する「沸騰水型原子炉」で、総発電量は約470万キロワット。1号機は今年、営業運転開始からちょうど40年を迎える「高経年化原発」だ。。(毎日新聞)
・放射能含む蒸気の放出決定 福島第一原発1号機 東電
東京電力は、福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるため、容器内の蒸気を逃がすと発表。蒸気には放射能が含まれており、外部に放出されることになる。2011年3月12日9時21分
・福島・第1原発に陸自の特殊武器防護隊が到着
防衛省によると、12日午前、放射能漏れの際に除染作業などを行う専門部隊である陸上自衛隊「中央特殊武器防護隊」の要員が東京電力福島第1原発に到着した。また第2原発には、陸自のヘリコプターがケーブルなどの資材を空輸する作業を始めた。
・防衛省、福島・原発に除染専門部隊主力も派遣へ 海自も続々集結
防衛省は12日、東京電力福島第1原発に向け、除染作業などの専門部隊である陸上自衛隊「中央特殊武器防護隊」の主力要員約90人を派遣させる準備に入った。派遣されれば、放射能が漏れていないかモニタリング調査を行う。同隊の先遣隊22人はすでに福島県に向かっている。 午前3時半ごろには同隊の副隊長ら2人が原発近くの緊急対策拠点「オフサイトセンター」に到着。防衛省によると、周辺3キロ四方の住民約3千人の避難は終了したが、5キロ四方の約5万人の避難が終わっていないため、福島駐屯地の第44連隊とともに避難支援にあたる。
一方、米海軍は佐世保基地(長崎県)から輸送艦を三陸沖に派遣させることを日本側に打診してきた。陸自北部方面隊の人員約900人と車両約250両を輸送するよう自衛隊と調整している。また、横須賀基地(神奈川県)からも艦艇を出し、海自と共同捜索救難活動を実施するという。これまでに海自艦艇は三陸沖などに29隻が到着。
・不安抱え「とにかく西へ」 福島原発周辺4万人超避難
大熊町の西隣の田村市は被害が少なかったため、公共施設20カ所を大熊町民の滞在先として開放することを決めた。 大熊町の北に隣接する双葉町も、放射能漏れの危険を避けるため、全町民約6800人が町外に避難することになった。町役場によると、午前6時に防災無線で避難するよう放送をした。 同9時ごろから希望者には内陸の川俣町にマイクロバスでのピストン輸送を開始。自力で町外に出る住民もいるという。職員の一人は「どれぐらいの住民がバスに乗るのかも、住民がどうやって町外に行くのかも分からない」と慌てた様子で話した。
福島第二原発がある楢葉町役場では、午前8時ごろから南のいわき市に向けて町民の避難が始まった。
同町の町民は約7800人。町では放送のほか、消防団が町内を回って避難を呼びかけた。前日の夜から町が把握している集合場所にいた約1500人はバスで、そのほかの町民には自家用車などで、いわき市内の学校施設に避難するよう呼びかけた。現在、避難中という。 同じく福島第二原発がある富岡町も、全町民約1万6千人が町外へ退避することになった。町役場によると、隣の川内村に避難先を確保し、防災無線で避難を呼びかけた。町内外からかき集めたバスで朝から避難所に輸送している。
東京電力は12日未明、福島第二原発で協力会社の作業員が死亡し、第一原発で社員2人が行方不明になっていると発表した。 死亡したのは国勇(こくゆう)工業(同県相馬市)の男性作業員ハヤカワオサムさん(54)とみられる。クレーンで排気筒の耐震工事中に操縦室に閉じこめられたという。行方不明の2人は第一原発第一運転管理部の社員で小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)。第一原発4号機から蒸気を受けて電気をおこすタービン(羽根車)の建屋にいたらしい。(朝日新聞)
・相次ぐ原発緊急事態、想定外と見通しの甘さ
福島第一原子力発電所、第二発電所で相次いで出された原子力緊急事態宣言は、日本の原発防災の巨大地震に対する見通しの甘さを露呈させた。 東電によると、建屋の震度など実際の揺れのデータをまだ評価していないものの、今回の地震のマグニチュード8.8は同発電所の想定(最大マグニチュード7.9)を上回る規模。
緊急時に水を注入して炉心を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が電源も含めて停止。くみ上げた冷却水(海水)を回すポンプも止まった。このため、原子炉の冷却が不十分になり、格納容器内の圧力が上昇、容器が崩壊する危機が高まった。 ポンプ停止の原因は、福島第一の場合、1~6号機の非常用ディーゼル発電機計13機がすべて、地震約1時間後に故障停止したこと。想定では、地震が起きても各機が非常用発電機を融通しあって復旧するとしていたが全滅。
福島第二では、被害状況が確認できない、として海水を通すポンプなどが止まったまま。さらに福島第二では、放射線監視装置も3台のうち2台が停止。このため監視装置を積んだ車などを動かして放射線監視に当たっている。 東電は電源を確保して原子炉の温度を下げるため、保有する発電機車51台を現地に集め、発電の準備を進めている。(読売新聞)
・福島第2原発もトラブル=圧力抑制室の温度上昇
東電は12日、運転停止中の福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)の1、2、4号機で、圧力抑制室の温度が100度を超え、原子炉の圧力抑制機能が失われたと発表。現時点では、原子炉冷却水の水位は維持されており、外部への放射能の影響は確認されていないという。
・制御室1千倍の放射線量 正門付近は8倍 福島第一原発
経済産業省の原子力安全・保安院は12日朝に記者会見し、福島第一発電所の1号機(福島県億大熊町)で、原子炉建屋内にある中央制御室の放射線量が、通常の約1千倍に達していることを明らかにした。正門付近では、通常の約8倍となっているという。
保安院によると、中央制御室の通常の放射線量は1時間あたり0.16マイクロシーベルトだが、12日早朝の時点で150マイクロシーベルトに達していた。一方、正門付近では通常0.07マイクロシーベルトが0.59マイクロシーベルトだった。 通常、原発では建屋内にある原子炉格納容器から建屋に放射能が漏れ出ないように、建屋内より格納容器側の気圧を下げている。保安院は、この機能が失われているか、放射性物質が漏れ出ている可能性もあるとみている。
東電によると、1号機の原子炉内の水位は保たれており、炉内で想定外の核反応が起きている可能性は低いとしているが、政府は原発から半径3キロ以内としていた避難指示を半径10キロに拡大した。 一方、東電によると、福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)の1、2、4号機の圧力抑制室の温度が100度を超えていることがわかった。同室では冷却用の水で炉内の蒸気を冷やす機能があるが、これがうまく働いていないとみられる。原子力災害特別措置法に基づく緊急事態が発生したと判断。(朝日新聞)
・福島第一原発、中央制御室で1千倍の放射線量
自動停止した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の正門前で、放射線量が通常時の約8倍、1号機の中央制御室では、同約1000倍に達していることがわかった。 経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が12日午前6時過ぎ、記者会会見して明らかにした。 制御室の線量は毎時150マイクロ・シーベルト。そこに1時間いた場合の線量は、胃のレントゲン検診の約4分の1程度に当たる。
同原発1号機では、格納容器内(建屋)の圧力が異常に上昇し、同日午前6時現在、設計値の約2倍に達している。経済産業省原子力安全・保安院によると、この圧力の異常上昇は、圧力容器(原子炉)から放射性物質を含んだ水蒸気が建屋内に漏れたことで起きていると見られる。圧力の高まった水蒸気が建屋から漏れ出し、施設外建屋外の放射能レベルを上げている可能性が高い。 東京電力は、建屋の弁を開けて外に水蒸気を逃し、圧力を下げる方針だが、電源系のトラブルで実施できていない。 これを受け、政府は、午前5時44分、周辺住民の避難指示範囲をそれまでの半径3キロから10キロにまで拡大。(2011年3月12日 読売新聞)
・東電が電力不足 管内で停電の可能性 発電所停止相次ぐ
東電は、東日本大地震で発電所の停止が相次いでいるため、12日夕刻に、電力供給が需要に追いつかなくなるとの見通しを発表。 ほかの電力会社などから電力をゆずってもらうなどの対策をとるが、最悪の場合、東電管内の一部地域が停電になる可能性がある。 12日午後6時から午後7時の予想需要は3800万キロワット。これに対し、供給できるのは3500万キロワットで、300万キロワット足りなくなるという。
今回の地震以前の事件
・原発検査漏れ:東電に注意処分 保安院
各地の原発で機器の検査漏れが見つかった問題で、経済産業省原子力安全・保安院は2日、新潟県と福島県の3原発で検査漏れが見つかった東京電力に注意処分をした。 中国電力や中部電力での同様の問題を受け、東電は柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器の検査漏れがあったと保安院に報告していた。
保安院は、すべての発電所で点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していたとして保安規定に違反すると判断。同社に再発防止策の策定を指示した。(毎日新聞 2011年3月2日)
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3/19付の毎日新聞によると、岩手、宮城、福島3県から県外に避難した被災者が3万人近くに上る、という。全都道府県が避難者受け入れの準備を整えたことも判明し、福島第1原発がある福島県双葉町の住民約1200人が「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市中央区)に避難し、町役場の機能も移転した。
「今後の受け入れ準備も進む。秋田県は2万4000人、山形県は2万9000人、神奈川県は最終的に6万5000人を受け入れるなど、全都道府県が取り組む姿勢を見せた。ただし、原発事故の沈静化の見通しが立たず、被災地の復興にも時間がかかることから、避難先での被災者のケアや住宅探しなどが今後の課題」・・・。
ちょっと待って欲しい。いったい何が起こっているのか?
大震災発生から丸一週間が過ぎ、そして9日目を迎えようとしている今、私たちは国の被災地支援、原発「事故」対策と事故被災者支援のあり方を全面的に見直し、その政策的転換を国に対して、はっきりと迫るべきなのではないか?
政府が公式に避難域20キロ内・「自宅避難」域20-30キロを変更していないにもかかわらず、「19日は福島県南相馬市と飯舘村の住民計約1070人も新潟、栃木の両県の避難所に入った。原発から30キロ圏で屋内退避指示が出ている地域の住民を対象に、国と県が希望者を対象に(?!)実施している県外退避支援計画に基づく最初の例となった」。ワケが分からぬ事態が進行しているのだ。
20-30キロ圏内の人々は、自ら「希望」しなければ国と県の「避難支援」を受けることができないのか? 「希望」を申し出なくとも、むしろ国が避難域の拡大を公式に発表することによって、〈住民避難に関する行政責任を国がきちんと持つ〉ことを明確にすべきではないのか? NHK、毎日新聞をはじめ、既存の新聞・TVメディアは、いったい何を「報道」しているのか?
避難する/しない、その最終的意思決定は、もちろん住民諸個人が下すものだ。しかし国が避難を「指示」した地域の住民の避難は、国が責任を持って行わねばならない。そのためには当然、金=税金がかかる。20キロから30キロ、30キロから40キロへと地域が拡大するにつれて、国の行政的責任と財政的負担は、より重くなる。
「希望者を対象に」というのは、必ずしも国は住民避難に責任を負うものではないが、住民が「希望」するのであれば、国の好意・配慮で避難を「支援」することは「やぶさかではない」、という理屈である。国や県は諸々の事情、理由から「希望」することができない人々を、事実上、見棄てる/見殺しにするということだ。お決まりの〈棄民〉である。 国はまず、公的に避難区域30キロ宣言を行い、国と県の責任を明確にすること、それと同時に区域拡大の具体的検討に入ること。その措置を早急にとるべきだ。
今回の原発事故のような事態が起こったとき、国は自らが負うべき行政責任と財政負担を銭勘定しながら、「避難・屋内避難」に分けたエリア指定を行う。できるだけ責任と負担が小さくなるように。今回の場合、その基準はただ単にチェルノブイリの「前例」でしかなかったわけだが、そのことをも含めて私たちは、国の住民避難対策の問題点を洗い直す必要に迫られている。
NHKをはじめとした、既存の新聞・TVメディアの「報道」はひどすぎる。はっきり言って、政府の事故対応策もマスコミ報道も無茶苦茶だ。 書こうとしていた愛媛大学の問題にも絡めながら、ポイントを整理しておこう。
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マスコミの事故報道の最大の問題点は、この「事故」がいつまで続き、どういう形で決着をみるのか、何も現実的な展望がないにもかかわらず、なにかしら「冷却機能の回復」が「事態収拾」へと発展するするかのような幻想を振りまいていることだ。東大を始めとする各大学の「専門家」連中が、そうしたデマキャンペーンの尖兵として「国民の不安」の、科学的・現実的根拠に裏打ちされない解消役、なだめ役を果たしているのである。
では、もしもありうるとして、どういう形で「事態収拾」をはかることができるのか? 私の理解では、
①福島第一原発の全号機(「プール」を含む)の自動冷却機能を回復した後に、
②水素爆発で破壊された「建屋」の外側から、
③起こってしまった今回の地震と津波の規模=破壊力に耐ええる、15mあるいはそれ以上の厚さのコンクリート壁で、丸ごとすっぽりと閉鎖する、ことくらいしか考えられない。「海洋投棄」することもできなければ、理論的には可能でも現実的には地底に丸ごと埋めることも困難だ。(スペースシャトルとロケットで地球に影響を及ぼさないところにまで持って行き、爆破するのも「妙案」ではある)。
問題は、福島第一・第二原発すべての事業体としての廃止⇒「廃棄処分」をどうするかであって、最初に政府・東電が決めねばならない/私たちが知っておかねばならないのはその方法と工程である。
「安全に廃棄する」ために、「自動冷却機能」の回復が必要なのだ。まずこの点を全国民的・全世界的にはっきりさせ、確認することだ。この最終工程との関係で、その時その時の作業の「到達段階」を確認できれば、それでよい。
東電経営陣・技術者集団に求められていた/いるのは、まず腹を括って「その工程・方法」を考案し、その全貌を政府と全国民に情報公開することにあった/ある。
私自身は、自動冷却機能の回復が、果たして可能なのかどうかも訝っている。何か具体的根拠があるからそう思うのではなく、具体的なことを判断できる材料・情報が何も政府・東電から提供されていないから懐疑的にならざるをえない。 私たちはこれまで、原子炉については無傷だと知らされている。しかし、地震・爆発による各号機の格納容器および「プール」の損傷程度については何も分からない。内部の映像は一部流されているが、損傷・欠損・破損、全体としての破壊程度については、現に損傷・欠損・破損があり、放射能漏れが「一部」で起こっているという以上に、何も判断することができない。報道をすべて信じるとするなら、東電自体が把握できていないという(⇒果たして、ほんとうにそうか?)。
しかし、私たちの置かれている状況は、実際どの号機のどこの何が、どれだけ破壊されていようがいまいが、そして何がどうなろうと、自動冷却機能の回復に向けて、ひたすら突き進むことしかできない、それだけ絶望的なものなのだ。そしてこの機能が回復されるまで、私たちにできることと言えば、半永久的に、何がどうなろうと、ひたすら給水・放水活動を続ける、それだけだ。それ以外には何の「打つ手」もない。避難地域を拡大し、できるだけ多くの住民の安全を確保する行政措置を除いて。
願わくば、東電の現場の技術者が地震によって(つまり「建屋」が内部の水素爆発で破壊される前に)、「プール」が損壊し、外部に溢れ出した放射能水を現場労働者が浴びるという事態が確認された段階で事態の深刻さを予測し、直ちに欧米の研究者・技術者をも招聘し、国際対策プロジェクトチームを早期に結成していてほしかった、と私は思う。そうすれば、少なくともいま私たちが直面しているような混乱は起こらなかったからだ。
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東北・関東地域に生きる、「一定の科学的知識」を持つ私たちの多くは、避難するか否かの二者択一ではなく、いつ、どのような状況になったら避難を考えるべきか、その判断の基準をめぐって悩んでいる。マスコミ報道と「専門家」の「解説」は、こうした私たちの切実な悩みに何も応えようとしない。
まず、各定点の各定時における放射線量値は、知っておくべき情報ではあるが、何の「基準」にもならない。
私が「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」の冒頭で述べたように、放射能は「微量」ずつではあっても、確実に大気・土壌-水系、海を汚染し続けているからだし、直近では昨夜(3/19)の茨城県北部沖の震度5以上の地震にみられるように、いつ現作業の中止・完全放棄を迫るような地震・津波が再発するか、いっさい予測不可能であるからだ。「人体に直ちに影響を与えるものではない」という「報道」を聞いた直後に、原発沖でM7,8,9の地震が起こるかもしれないし、現場作業員が作業を継続できないほどの放射能が出るような事態が起こるかもしれないのである。
たとえば、福島市内の人々は、もはや毎日安心して水を飲める状況にはない。県や都、市や町から、毎日、定刻に「水の安全」を確認してから、私たちは水を飲んだり、料理をしたりするだろうか? 私が福島市民であるなら、関西以西への、少なくとも家族の避難は、もう決断しているはずである。 また、茨城県北部で採れた野菜の放射能汚染も確認されている。野菜が汚染されるということは、水系が汚染されているということであり、国がその地域を避難地域に指定しようがしまいが、遅かれ早かれ、農業はできなくなり、生活水問題に直面するようになり、人々は避難⇒転出を余儀なくされるだろう。「風評被害」がどうとかこうとかいう問題ではない。人間の口に入るものが一度放射能で汚染されてしまった、そのこと自体においてもうその地域は「アウト」なのだ。
「専門家」は、今回のケースの場合、土壌汚染や水汚染は「一時的」なものであり、いずれは影響はなくなる=原状回復する、という。「いずれ」とはいつのことか? 「自動冷却機能」の回復まで? 第一原発をコンクリートで囲い込んでしまうまで?
「人体/健康に直ちに影響を与えるレベルではない」論は、誰に対しても、何の慰め、安心保証にもなっていないのである。東大を始めとする各大学・研究機関の理論物理学者や「原発屋」は、そのことを自覚した上で「街角紙芝居」に出るべきである。(⇒米国の科学者たちの関心は、今回の事故の影響が米国国内に及ぶか否かにあるのであって、福島県民や私たちがどういう影響を受けるかにあるのではない。海外の関心はすべて自国・自国民への影響という、至極当然のことに限定されていることを理解しておく必要がある)
⇒「保安院審議官」、これは無知なのか犯罪なのか?
⇒「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ
ポイントは、第一に、第一原発の損壊状況や放出される放射線量の値は、福島県民をはじめ隣接する宮城県民や茨城県民の放射能汚染の危険度を尺度する判断基準になりえないということ、それは私たちにとっても同じだというところにある。
第二に、東電は事故が起こるまでに、原子炉をはじめ施設・設備の整備・点検を怠っており、実際に各号機が事故以前にどういう問題を抱えていたのかについても、震災後の現状についても私たちには何もわからない、という点。つまり、各号機が正常な状態で稼動することを前提にしたあれやこれやの「科学的」「予想」や「見識」は、何の意味も持たない、ということだ。成就されてしまった結果は、あらゆる前提を廃棄してしまったのである。
「あってはならないこと」が起こってしまった現実を踏まえ、「何が起こるかわからない」ことを自明とした「対処」を私たちは考えざるをえない。もしも自分自身や身近にいる子どもたち、家族を被曝から守ることを第一に考えるのであるなら。国や自治体は何も保証しない。判断と選択は、私たち自身が自ら下す以外にないのである。
いまこの文章を読んでいる人は、福島県民、北茨城と南宮城の人々がまさにそういう判断と選択を迫られていることを理解するだろう。突発的事態が何も起こらないという、想定すべきではない条件を考慮に入れたとしても、エリアは徐々にではあれ確実に、同心円的に拡大しているのである。
あるべき「事故報道」の内容
まず、放水作業の現場中継や、何時から始めて何時に終わるか、読売と産経にありがちな自衛隊・機動隊英雄視などは、いっさい無意味で無駄な「情報」である。また、「専門家」による「作業解説」も必要ない。
よく思い出して欲しいのだが、私たちはこの9日間、基本的に同じ性格の、とりたてて何の前進も確認できない「注水・放水」作業をめぐる「ニュース」を観、「解説」なるものを聞かされ続けてきた。そこでの焦点は、「放射能水蒸気が出た/出ない」「水がどの程度張っているか」「冷却効果があったか否か」等々という、これから果てしなく続く工程から言えば、きわめて「低次元」のレベルにずっと停滞したままなのだ。
現場の作業めぐる中継や報道は、作業が次のレベル、すなわち破損/破壊された格納容器や「プール」、電気系統その他の修復段階に移行するときに行えばよい。では、何が必要なのか。
私は、四日前に「最も深刻なのは、1号機から6号機までの燃料棒と使用済み燃料の露出状態を私たちがまったく把握できないことです。政府の情報公開とマスコミの事故報道に求められていた/いるのは、まず何よりも警戒レベルと対処マニュアルを定めた上で、毎日数回にわたり各号機の露出/非露出状態を明らかにすることです。最低限の説明責任と情報公開です」
「私たちに必要なのは、どれだけ「空焚き」状態が続いているのか/いないのか、そして発火→火災→爆発がいつ起こる可能性があるのか/ないのか、これらに関する具体的で科学(実証)的な分析と情報です」と書いた。
これらの内容に加え、必要なのは、これから確実に拡大してゆく各地の水・農作物・鶏や豚・牛などの食品関係の汚染情報である。これらをすべてパッケージ化し、「お天気情報・予報」とセットとなった「第一原発情報・放射能汚染予報」の放送を、できるだけ早く開始することだ。人々の恐怖を煽るような、感情を逆撫でするような、仰々しい「速報」や深刻ぶった「報道」はいっさい必要ない。必要なのは、正確な場所と精確な数値の変動のみである。
毎日、定時にそうしたきわめて事務的な情報を確認しながら、その日をどうするか、その後どうするかを考える日常に、私たちは慣れなければならない。そして、政府は政府で避難地域を順次拡大しながら、私たちは私たちで、いつ、どこまで避難するかを各自が判断する。
そういう「レベル」に、私たちは到達してしまったのである。
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・廃炉に言及の「段階じゃない」…東電副社長
第1原発の事故を受けて、東電の武藤栄副社長(60)が21日夜、東京都千代田区の東電本店で記者会見。武藤副社長は、枝野幸男官房長官が20日、福島第1原発の廃炉に言及したことについて、「まずは事態を収束させて原子炉を安全な状態にするのが第一で、それ以降のことを申し上げる段階じゃない」と述べた。
武藤副社長は「未曽有の津波を経験し、結果としてこういう事態に至った(?)ことは大変申し訳なく思っている」と陳謝。海水注入のタイミングが遅かったのではとの質問には、「全体の事象が収束したわけじゃないのでよく見てみる必要があるが、最大限の努力を払って冷却してきた」と述べるにとどめた。 また、武藤副社長は、東電独自に放射能汚染のシミュレーションを実施していることを明らかにしたが、「(事故により)放射線量の基礎データが確かじゃない」との理由で、すぐに公表する考えはないという。【毎日・袴田貴行】
・国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判
住民の被曝量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、研究者らから批判が出ている。文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明。 予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)。原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。日本全域を250メートル四方に区切り、それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。
同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、東京電力・福島第一原発について計算を始めた。放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない(?)」と説明している。
一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、対応を決めるのが原則ではないか」と話している。 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」と注釈つきで公表。米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画をホームページなどで公開している。(朝日新聞・木村俊介)
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私が言っているのは、上の「被曝予測」をTVやラジオ、ネット等で「お天気情報・予報」とともに放送すること。
それを原発現場の数値とともに、各地の土壌・水質・食品関連汚染の情報と併せて、私たちはできるだけ早く、毎日定刻にチェックできるようにならなければならない。パニックにならず、タンタンとそういう〈日常〉が送れるように「慣れる」。それしかない。
・農産物出荷停止 風評被害拡大抑える狙い
東京電力福島第1原発から放出された放射性物質による農産物の汚染が懸念される中、政府は21日、福島県など4県という広範な地域を対象とした異例の出荷停止に踏み切った。対象の品目と地域を明確にすることで、対象外の農産品に対する風評被害の拡大を抑える狙いがあり、急きょ規制値を暫定的に設けるなどの「政治決断」で対応を急いだ。しかし、今後出荷停止の対象が広がる事態も予想され、流通量の確保や被害農家への補償が難題として待ち構える。
食品添加物などの規制値は食品衛生法に基づいて定められるが、原発事故を想定した放射性物質の規制値はなかった。今回適用された暫定規制値は、原子力安全委員会が「指標」を示し、厚生労働省食品安全部長名で17日、全国の都道府県知事に通知された。大塚耕平副厚労相は「大気中で放射能が検出されている中で暫定的な規制を導入せざるを得ない。店頭に流通しているものは安全だということを示すことが風評被害を防ぐために重要だ」と説明していた。
放射性物質の被害は広域に広がる。だが、食品衛生法では規制値を超えていない農産物の出荷規制まではできず、広域の規制が難しい。このため、原子力災害対策特別措置法を適用した。福島第1、2原発の事故に対しては同法に基づく原子力緊急事態宣言が発令されており、首相は原子力災害対策本部長として関係自治体の首長に「必要な指示」を出すことができる。食品衛生法で急きょ規制値を設けたうえで、原子力災害対策特措法の首相指示によって広域の出荷停止を可能とする非常措置に踏み切った。
しかし、こうした措置は流通の混乱や出荷停止の拡大という危険と背中合わせだ。枝野幸男官房長官は21日の記者会見で「国の権限で出荷規制の指示をする以上は、補償について当然、国が対応する」と約束したものの、事故の長期化も懸念される中、被害額が大きく膨らむ可能性もある。復興対策に関する国の財政負担が過去に例のない巨額に上るのは必至で、枝野長官は「一義的には東京電力に責任を持っていただく」とも強調。【毎日・平田崇浩】
・福島県沖を震源、二本松など震度4
21日午前4時54分頃、福島県沖を震源とする地震があり、福島県二本松市などで震度4を観測。気象庁によると震源の深さは約30キロで、マグニチュードは4.7と推定。津波の心配はないという。
・燃料プール上は100度以下=1~6号機、「水入っている状態」―防衛省
北沢俊美防衛相は20日の記者会見で、陸上自衛隊のCH47ヘリコプターが同日午後、福島第1原発の上空約900メートルから温度測定した結果、1~6号機とも、使用済み核燃料プール上の温度が19日と同様に100度未満だったことを明らかにした。
北沢防衛相によると、原子力安全・保安院の専門家はこれらの結果について「プールには水が入っている状態」と分析。3号機の原子炉格納容器の上部は128度と高めだったが、保安院は「炉心の上なので想定の範囲内」(?)と指摘したという。
防衛省によると、温度測定は20日午後1時8分~42分、CH47に搭載した赤外線温度測定装置(サーモグラフィー)で、1基当たり最大5回にわたり計測した。
それによると、各基の最高温度は、1号機が58度、2号機が35度、4号機が42度、5号機が24度、6号機が25度。3号機については、格納容器の上は128度あったが、次に高温の使用済み核燃料プールの上は62度と、ほかと比べて極端に(?)高温ではなかった。(⇒5,6号機の温度と「プール」の温度、1,4号機の温度の差に注意)
次の温度測定は23日で、その後は火、金曜日に測定、データを政府内で共有する。(時事)
・福島県飯舘村で水道水から基準の3倍の放射性物質、飲用控えるよう要請
厚生労働省は21日、福島県飯舘村の水道水から1キロ当たり965ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。原子力安全委員会が定めた摂取制限基準の3倍超にあたる。
厚労省は同日、水道水を飲むことを控えるよう、同村に要請した。一方で、「手洗い、入浴などの生活用水としては利用可能。他に水がない場合は飲んでも差し支えない」と冷静な対応を呼びかけている。
・北茨城市と高萩市の水道から放射性物質を検出 微量で「人体影響なし」
茨城県は20日、同県北部の北茨城市と高萩市の浄水場の水道水から微量の放射性ヨウ素とセシウムを検出したと発表した。 福島第1原発事故の影響とみられる。いずれも国の基準値以下で、橋本昌知事は「人体に与える影響は考えられない」としている。
県によると、19日に採取した水道水を測定した結果、北茨城市で水1キログラム当たり10ベクレルのヨウ素と1.117ベクレルのセシウムを、高萩市で8.4ベクレルのヨウ素と1.26ベクレルのセシウムをそれぞれ検出。
国の原子力安全委員会が定める摂取制限の基準は、水1キログラム当たりヨウ素が300ベクレルで、セシウムが200ベクレル。(産経)
・野菜の放射能測定めぐり「事実誤認」 福島県が訂正へ
福島県は21日、「日本分析センター」(千葉市)による県産野菜の放射能測定方法が正確でなかったと20日に発表した内容について、事実誤認だったとして撤回、訂正する方針を決めた。22日に発表。
福島県産ホウレンソウなどの放射能測定をめぐっては、県の依頼を受けた文部科学省が19日、野菜中の環境放射能の測定・分析を同センターに依頼。センター側は20日、同省のマニュアルに従って測定した結果を同省に提出した。
ただ、この検査は環境放射能を測定するもので、野菜を洗浄せずに測定するのが原則。厚生労働省が所管する食品衛生法に基づく放射能測定については、洗浄してから野菜を測定する必要があるため、県が改めてセンターに野菜を送り、再度測定をしているという。
福島県の鈴木義仁・農林水産部長は20日夜の会見で、野菜の放射能測定について「(日本分析)センターに手違いがあった」などと発言していた。しかし、政府やセンター側から指摘を受け、発表内容を訂正する。
3/20
・福島、基準超すヨウ素含む水道水
厚生労働省は19日、福島第1原発から約40キロ離れた福島県川俣町の水道水から、原子力安全委員会が定めた飲食物の摂取制限の指標、1キロ当たり300ベクレルを超える1キロ当たり308ベクレルのヨウ素を検出したと発表。福島、宮城、茨城の被災地3県は文科省の調査の対象外。
・福島第一原発、収束後も再稼働困難との見通し
枝野幸男官房長官は20日夕の記者会見で、事故が相次ぐ福島第一原子力発電所の廃炉の可能性について「客観的な状況として、再び稼働できるような状況であるのかどうかははっきりしている」と述べ、事故が収束(?)しても再稼働は困難との見通しを示した。(⇒こんなことは最初から自明のことではないか。こんなことを丸9日間を経て云々していること自体が狂気の沙汰ではないだろうか)
・福島第一3号機格納容器、圧力降下策で蒸気放出
東京電力は20日、福島第一原子力発電所3号機の原子炉格納容器の圧力が再び上昇を始めたとして、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を再度行うと発表した。 圧力は同日午前1時10分には約2.8気圧だったが、同4時30分には約3.4気圧になった。現在、所内で行われている電源の復旧作業や放水作業などは中断する。
3号機は13日午前8時41分から蒸気を放出する弁を開けたままで、圧力が再び上昇した理由は不明。この弁が閉じてしまっている可能性があるため、復旧作業員などが退避した後、弁を開ける操作を試みる。 それでも圧力が下がらなければ、別の弁を開けるが、冷却水を通さずに排気するため、強い放射能を帯びた物質が外部に放出される可能性がある。(読売新聞)
(⇒その後読売は、東電が「3号機の原子炉格納容器の圧力が安定したため、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を当面見合わせ」たことを報じた。一事が万事だが、「なぜ圧力が「安定」したのか、気圧の数値はいくらか」などを報道しない。「当面」とはいつまでなのかも分からない。また、放射線量の数値の変動、電源の復旧作業の再開如何についても、私たちは別の記事を調べることを余儀なくされる。
上の記事によって私たちは、格納容器の圧力が約3.4気圧程度になれば、東電が「器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作」を検討し、それによって「強い放射能を帯びた物質が外部に放出される可能性」が高まることがわかる。では、この「操作」の検討を東電は何気圧になれば行うのか、それを記者は東電に確認しなければならない。そして公開すべき情報項目の一覧を作成し、見やすく、理解しやすい一定地域の一定時間域の「危険・警戒レベル」を報道すればよい。
これが容易なことではないのは、誰だってわかっている。「科学者」や「専門家」は、批判を覚悟の上でそういう情報公開のために責任を果たすという使命感を持つべきなのだ)
・取り残される災害弱者 原発30キロラインの避難所
福島第1原発から34キロ。福島県いわき市の県立四倉高校に200人以上の避難者がいる。約1キロ原発寄りの避難所にいた人たちは市のチャーターバスで移動した。四倉高校にいるのは車がないか、ガソリンが尽きて身動きできないお年寄りら災害弱者だ。
11日、震災直後から家を失った約1200人が逃げ込んだが、翌日に福島原発の事故情報が広まると、大半はすぐに立ち去った。残されたのはほとんどがお年寄りで自力で歩けない人が10人以上。ミルクやおむつが必要な幼児もいる。食料と水は市の配給だけが頼り。感染性胃腸炎とみられる症状も広がっている。
屋内退避指示が出ている半径20~30キロ圏内について行政側は「自主的避難」を支援。四倉高校の避難住民らは繰り返し県や市に再避難の手配を求めているが、県は「再避難の予定はない」とする。「半径30キロから少しでも外にいれば安全なのか」。1人の男性が大声を上げた。
・被災地と認識されず…「見捨てられた」地域
東日本大震災で津波による犠牲者を出し、家屋が流されるなど大きな被害を受けた茨城県の県北地域。福島第1原発事故による放射性物質の漏洩(ろうえい)が住民の不安をさらに高めている。一方、深刻な被害を受けた東北地方に比べ、全国的には被災地として認識されておらず支援も十分ではない。住民からは「見捨てられた」と声が漏れた。(前田明彦)
◆六角堂が消失
北茨城市大津町の大津漁港。茨城の冬の味覚、アンコウが揚がることでも知られている。だが、地震発生後の津波に襲われ、漁船や沿岸の家屋も押し流された。その後、住民が戻ると、津波が運んだ茶色の泥とがれきが道路を埋め尽くしていた。
近くには日本美術界の大家、岡倉天心が自ら設計した「六角堂」があったはずだが、津波で流され、今は土台だけが残る。太平洋の海の青色とのコントラストが映える風景が一変していた。
同市のシンボルだった「二ツ島」も木々が流されて岩の表面がむき出しとなり、かつての面影はない。風光明媚(めいび)な場所として知られた北茨城市は壊滅的な打撃を受けた。
◆動くに動けぬ
市内全域で停電していたが電気もようやく回復し、浄水場が復旧して通水も始まった。だが、水道管の破損による漏水などで思うように復旧が進まない。JR常磐線は運休したまま再開のめどは立たず、常磐道も閉鎖。避難所には物資が供給されているが、自分で取りに行けない高齢者やガソリンがないため乗用車を動かせない世帯も多く、生活に必要な物資が十分に行きわたっていないのが現状だ。
同市関係者や市議らは「北茨城市など県内市町村が、国に被災地域として十分に認識されておらず、一部物資は市内から福島県への支援に回された」と口をそろえる。同市内で飲料水や子供用オムツを配っていたボランティアの女性は「国に見捨てられたという思いがある。メディアでも取り上げられず、ここも被災地ということが分かってもらえない」と嘆く。
津波で家財道具が流されたという大津港近くに住む50代の女性も「母と娘の3人暮らしだが、食料も水も十分にない。避難所にはあるみたいだが、ガソリンがなく取りに行けない。家の片付けも進まないし、どうしたらいいのか」と、目を潤ませて訴えた。
◆原発不安も
また、福島第1原発事故も市民の不安を高めている。同市では16日午前11時40分に1時間当たりの放射線量が県内で最も高い15.8マイクロシーベルトを観測。健康に影響はない値とされるが、報道では「通常の300倍」と強調され、住民の不安はピークに達した。親族が原子力施設で働くという女性(46)は「健康に影響はないと分かっているが、いろんな情報を聞くと不安に思う。何かあっても年寄りの父母が家にいて、すぐに逃げることもできない」と嘆く。「健康に影響がないなら市長が『大丈夫です』と広報するだけでみんな安心するのに…」。情報の混乱も地域に深刻な影響を与えている。(産経新聞)
・新たにホウレンソウ・牛乳から放射性物質
枝野官房長官は20日夕の記者会見で、茨城県内でホウレンソウ1検体から、福島県内で牛乳4検体から、食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質を新たに検出したと発表。ただ、「ただちに健康に影響を及ぼすとは考えられない」とも強調した。 菅内閣は東京電力福島第一原子力発電所の事故と関連があるとみており、枝野氏は会見で「国として一定地域における摂取制限や出荷制限(?)などの対応が必要かどうか、明日中には結論を出したい」と述べた。(⇒このまま放置すれば、福島県民や茨城県民は、私たちはこの国の政府に・・・・)
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・事故対応「場当たり的」…政府、東電を世界中が非難
震災と原発事故に対する日本政府、東京電力の対応に、海外メディアなどから批判が相次いだ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、計画停電実施に際して事前情報が少なく、市民の不安が増大した、とし「菅直人首相や官僚は一切、計画にタッチせず、東京電力に任せきり」「指導力の欠如」と非難。
中国紙、21世紀経済報道は東電について「原発トラブルのデータを改ざんした“前科”があり、今回の対応の伏線になっている」と批判。東京から中継した米CNNテレビの看板キャスター、アンダーソン・クーパー氏も、02年に原発トラブル隠しが発覚した東電を「国民を欺いた過去がある」と紹介した。
危機対応に関し、国際原子力機関(IAEA)高官は「日本の協力不足」を指摘。欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は日本の対応について「信じられないほど場当たり的。原発は制御不能に陥っている」と切り捨てた。
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3/16
1
人間とは、不器用な生きものだ。
私たちは、二つの感情を同時に持つことができない。竹中直人の「笑いながら怒る/怒りながら笑うオジサン」は、生物学的に存在しえないからこそ意外性があり、芸としても面白いのである。
私たちは、いまこの瞬間に、福島原発から大気中に排出され、土壌を侵蝕し、太平洋へと垂れ流されつづけている放射能に脅えながら、日本政府や東電に対して怒る、という感情を同時に持つことができない。
脅えと怒りは交互に襲ってくる。そして脅えすぎると人間は怒りの感情を失い、怒りすぎると脅えることを忘れてしまう。
笑いすぎて、脅えも怒りも忘れられる日を、いつか私たちは迎えることができるだろうか。
私たちはいま、疲れすぎて、感情そのものを失いつつある。
一番、危険な状態だ。
2
疲れすぎて、感情の襞(ひだ)がノッペリしてくると、私たちは他者から自分がどう映るかなんて、どうでもよくなってしまう。
今日のニューヨーク・タイムズの記事。Frantic Repairs Go On at Plant as Japan Raises Severity of Crisis この写真。何とも異様な写真だ。何かに似てはいないだろうか。そう、「オウム」の「サリン事件」があった直後の東京の地下鉄の風景だ。
「あの時」と同じ事を、いま私たちは国をあげてやっている。その光景が「狂気の沙汰」だということを私たちは決して忘れてはならないだろう。
frantic repairs. 私たちがやっていることは"frantic"と米国のメディア、世界のメディア、人々から観られている。「死にもの「狂い」の」、もっと一般的には「必死の」「決死の」とでも訳すべきだろうが、異様な写真とともにこの言葉が使われると、一種言いようのない病的なニュアンスが漂う。
もちろん、米国人が、世界の誰が何をどう感じ、私たちをどう見ようがが知ったことじゃない。私たちはどれだけ常軌を逸していようと、「死にもの「狂い」」で、「決死の」覚悟で水をかけ続ける以外に何の方策もないからだ。私たちは、いまを生き延びなければならないからである。
しかし少なくとも、私たちは次のことを自覚しておく必要がある。
日本はいま、国家的に常軌を逸したこと、常識的・「科学的」理性を超絶したことを死にもの「狂い」で、franticに行っている、ということ。憐憫の思いとともに、全世界からそのように見られている、ということ。Harakiri, Kamikaze, B29を竹槍で落とそうとしていた国、そんな目で見られていること、日本は世界の諸々の問題を解決する、それに「貢献」する国ではなく、日本そのものが世界のおぞましいお荷物、解決すべき〈問題〉になってしまったということを。
そして、原発は、常軌を逸したことを私たちに強いる化け物だということを。
どんなに疲れても、このことだけは自覚しておこう。
3/19
・1~3号機、炉心は冷却状態…東電会見
東京電力は19日午後7時頃から広報担当者が記者会見し、「福島第一原発1号機から3号機については炉心を冷却するための海水の注入が続いている」として、炉心が冷却された状態であるとの見方を示した。 また、復旧に当たっている作業員のうち、6人が100ミリ・シーベルトを超える放射線量を浴びたことも明らかにした。(⇒東電は6人が浴びた具体的数値を公表せよ)
厚労省が定める作業員の緊急作業時の被曝(ひばく)限度量は、これまで100ミリ・シーベルトだったが、今回の事故に限り、250ミリ・シーベルトに引き上げられており、限度の中に収まっている(!!)。(⇒この記事のグロテスクさを感受する理性を失わないように、私は必死でもがいている)。このほか、農産物から規制値を超える放射線量が検出されたことについて「心よりおわび申し上げる。今後お客様から損害賠償などの申し出があれば、国とも相談しながらしっかり準備を進めていきたい」とも語った。 (⇒そういう問題か?)
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経産省原子力安全・保安院は21日午後、福島第1原発の事故で、作業員1人の被ばく量が150ミリシーベルトを超えたと発表。(⇒これでも具体的数値は明らかにされない)
3/15付の以下の読売の記事に注意
放射線を浴びた時の人体への影響についての明確なデータはないものの、一般的に(?)、健康に明らかな影響が出る被曝(ひばく)量は、およそ100ミリ・シーベルトと言われている。(⇒では、なぜ自衛隊は50ミリ・シーベルトだったのか? 現場作業員の250、国際「基準」の500という値の根拠は何か? 「6人が100ミリ・シーベルトを超える放射線量を浴びた」のは、「健康に明らかな影響が出る」値ではないか?) これより低い場合は妊娠中でも胎児への影響も出ないとされる。
福島第一原発の事故現場付近では、400ミリ・シーベルトの放射線が観測されたが、この付近にいると白血球の一時的な減少などの急性症状が出るとされる。2000ミリ・シーベルト以上の放射線を浴びると、被曝後10日から3週間の間に、免疫力の低下や皮膚からの点状出血、腸管の損傷による下痢などの急性症状が出る(1ミリ・シーベルトは1000イクロ・シーベルト)。
.豪州の緊急援助隊、帰国へ
【シドニー時事】オーストラリア政府は19日、東日本大震災で日本に派遣していた72人の緊急援助隊が活動を終え、帰国すると発表。豪州チームは宮城県南三陸町での被災者の捜索・救助活動を行ってきた。 声明によると、生存者救助の役目は終了したと判断。「現時点で安全性に問題はないが、援助隊を不必要なリスクにさらすつもりはない」として撤収を決めた。豪政府は、福島原発事故の状況が不透明だとして、本州北部からの避難勧告を出している。 ニュージーランド通信によると、ニュージーランドのほか、米英独やスイスのチームも救助活動を終了。
・日本への渡航制限「必要なし」 WHO
【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)は18日、福島第1原発の放射能漏れ事故に関連し、原発から半径30キロ圏内を除けば、現時点で東京都内を含め日本への渡航を制限する必要はないとの見解を公表した。東京からの「避難」や、日本から輸出された食品への「警戒」も不要だと指摘した。WHOはインターネットのホームページに「渡航制限勧告」とは反対の「渡航安全勧告」を掲載する予定だ。
国連欧州本部で記者会見したハートル広報官は、東京周辺で検出された放射線の数値が微増したとはいえ「健康に悪影響を及ぼすには程遠いレベルだ」と強調。「日本に旅行する人は放射線を恐れる理由はない」と述べた。 一部の外国大使館や外国人などが東京から西へ「避難」している対応については「感情的な問題だ。それぞれの危機対応なので、気持ちは理解はできるが、現時点で公衆衛生上、東京に滞在するのに健康への危険は低い」と指摘した。
・東京、「健康上の危険ない」 IAEA
【ベルリン小谷守彦】国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)のグラハム・アンドリュー科学技術担当補佐官は18日、同機関の専門家チームによる放射線量計測の結果、「東京都内で健康上の危険はない」との評価を明らかにした。専門家チームはさらに福島第1原発周辺に現地入りし、活動を続ける。 都内の計測は同日、来日した専門家チームが行った。アンドリュー補佐官は、原子炉に通常含まれる放射性ヨウ素や放射性セシウムは確認できなかったとしている。(毎日)
・東京消防庁は、19日未明に東京電力福島第1原発3号機への放水作業に当たったハイパーレスキューなど緊急消防援助隊員らの被曝(ひばく)線量を検査した結果、「健康上の影響が出るレベルではなかった」と明らかにした。 隊員らは放水後、いったん放射線の影響が少ない活動拠点に退避。ここで被曝線量の検査を受けたが、健康上の影響が出るレベルの放射線は検出されなかったという。 また、未明の放水では3号機に計60トンの海水が放出されたが、同庁は「放水の効果がどれだけあったのかは分からない」としている。
3/18
・電源復旧、19日以降に作業ずれ込む
・福島第一原発「廃炉」を検討 東電常務が福島で謝罪会見
東京電力の小森明生常務は18日、福島市内の福島県災害対策本部で記者会見し、福島第1原子力発電所の爆発や放射能漏れ事故について「このような事態を招き痛恨の極みです。福島県民におわびします」と県民に初めて謝罪。 小森常務は第1原発の廃炉について「幹部と議論したことはないが、今後はそういうことも含めて検討していく」と述べた。
放射能汚染への不安と怒りが福島県民には広がっているが、「厳しい状況が続いているが、あらゆる手だてを講じて、安全確保に努めたい」と事態収束に全力を尽くす構えを表明した。 放射能汚染を避けるために、避難所を転々としている周辺住民に向けて「誠に申し訳ない」と涙ながらに謝罪。今後の補償については「国と相談して考えていく」と語った。
今後、原発事業の継続に関しては「経営判断があり、今答えられない」とした。 記者団からは「原発の安全性をPRしてきたのは正しかったか」「福島県民に希望はあるのか」といった質問が相次いだが、「イエスかノーかで答えられない」と言葉を失っていた。(産経新聞)
・使用済み燃料、共用プールにあと6400本
東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっていることが、17日わかった(!)。(⇒なぜ、こういう企業を日本社会が生み出してしまったのか、もしも笑える日が来たら、みんなで話し合う必要がある)
すでに数年以上かけて冷却されているため、ただちに爆発する危険は少ない(?)とみられるが、政府と東電でつくる福島原発事故対策統合本部は、共用プールへの対応も迫られている。
共用プールは、4号機の西約50メートルの建物内にあり、縦29メートル、横12メートル、深さ11メートル。使用済み燃料を6840本収容できる。現在、1~6号機の原子炉建屋のプールに保管されている燃料集合体の1.4倍にあたる6375本が貯蔵されている。(⇒試しに、笑いながら、総計でいくらの核燃料棒が「保管」されているのか、各自で計算してみよう)
東電によると、10日までは水温が30度に保たれていたが、11日の地震後、水温や水位も測定できなくなった。プールへの給水は自動的に行われているとみられるが、その水から熱をとるための冷却システムは故障しており、十分な冷却はできていないとみられる。爆発事故を起こした3号機、4号機に近いため周囲の放射線量が多く、状況を把握できていないという。
・「教訓生かされず」チェルノブイリ被害者団体が東電を批判
チェルノブイリ原発事故の被害者団体「チェルノブイリ同盟ウクライナ」(キエフ)代表で、元同原発技師のユーリー・アンドレエフ氏(61)は17日、共同通信に対し、東日本大震災により福島第1原発が放射能漏れを起こしたことについて「チェルノブイリの教訓が生かされていない」とし、東京電力の情報公開が不十分だと批判した。
1986年4月のチェルノブイリ事故では、4号機の爆発の影響で漏れた冷却水が隣の2号機に入り込み、福島第1原発と同様に冷却装置や電源のバックアップシステムが故障したものの、辛うじて連鎖事故を回避した。 アンドレエフ氏は「福島第1原発は電源装置がチェルノブイリ同様、原子炉の直下にあり、津波などの水が入り込めば電気供給やバックアップシステムが壊れる」と話し、チェルノブイリ事故後も、電源供給体制を見直さなかったことを残念がった。(共同)
・原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る
東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、米政府が原子炉冷却に関する技術的な支援を申し入れたのに対し、日本政府が断っていたことを民主党幹部が17日明らかにした。
この幹部によると、米政府の支援の打診は、11日に東日本巨大地震が発生し、福島第一原発の被害が判明した直後に行われた。米側の支援申し入れは、原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、日本政府や東京電力は冷却機能の回復は可能で、「米側の提案は時期尚早」などとして、提案を受け入れなかったとみられる。
政府・与党内では、この段階で菅首相が米側の提案採用に踏み切っていれば、原発で爆発が発生し、高濃度の放射性物質が周辺に漏れるといった、現在の深刻な事態を回避できたとの指摘も出ている。
福島第一原発の事故については、クリントン米国務長官が11日(米国時間)にホワイトハウスで開かれた会合で「日本の技術水準は高いが、冷却材が不足している。在日米空軍を使って冷却材を空輸した」と発言し、その後、国務省が否定した経緯がある。(読売新聞)(⇒枝野官房長官、18日午前の記者会見で「少なくとも政府、官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定。つまり、「政府、官邸として」「認識」していなくとも「そうした事実」があったということ)
・政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判
東京電力福島第一原子力発電所で起きた事故で、米政府が申し出た技術的な支援を日本政府が断った理由について、政府筋は18日、「当初は東電が『自分のところで出来る』と言っていた」と述べ、東電側が諸外国の協力は不要と判断していたことを明らかにした。
政府関係者によると、米政府は11日の東日本巨大地震発生直後、米軍のヘリを提供することなどを申し入れたという。政府は、各国からの支援申し出は被災地での具体的な支援内容を調整したうえで受け入れており、「(断ったのではなく)いったん留め置いた」と釈明する声も出ている。枝野官房長官は18日午前の記者会見で「政府、首相官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定する一方、米政府からの原子炉冷却材提供の申し入れなどについて「詳細は把握していない。確認してみたい」と述べ、事実関係を調査する考えを示した。
政府・与党内では、政府の初動対応について、「米側は早々に原子炉の廃炉はやむを得ないと判断し、日本に支援を申し入れたのだろう。最終的には廃炉覚悟で海水を注入したのに、菅首相が米国の支援を受け入れる決断をしなかったために対応が数日遅れた」(民主党幹部)と批判する声が出ている。 高木文部科学相は18日午前の閣議後の記者会見で「事実関係は把握していない。しかし、姿勢としてはあらゆることを受け入れるのは当然だ。内外の声をしっかり聞くことは非常に重要だ」と語った。
一方、自衛隊が17日午前に行った大型輸送ヘリによる海水投下の背景には、米側の強い要請があったことも新たに分かった。 日米関係筋によると、自衛隊の大型輸送ヘリによる海水投下に先立ち、今回の事故を「最大級の危機」ととらえる米側は、「まず日本側がやるべきことをやるべきだ」などとして、再三にわたり日本側の行動を強く要請していた。17日午前に予定されていた菅首相とオバマ米大統領の電話会談でも、大統領からの要請があると予想されたため、首相は防衛省・自衛隊に会談前の海水投下実施を求めたという。
日本政府への懸念や不満は、米国以外からも出ている。 今回の事故に関する情報収集や日本政府との意思疎通のため、急きょ来日した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、「(日本政府は)情報伝達を質量ともに改善して欲しい。改善の余地はある」と述べており、18日午後に行われる松本外相との会談などでも、こうした問題が取り上げられる可能性がある。(読売)
・「原子力推進、難しい状況」 谷垣氏、政策転換を示唆
自民党の谷垣禎一総裁は17日の記者会見で「原子力政策を推進していくことはなかなか難しい状況になっていることは事実だ」と述べ、自民党が一貫して進めてきた原子力推進政策の転換は避けられないとの考えを示した。
福島第一原子力発電所の制御が困難になっていることについて「こういうことが起きると、この後の原発立地が非常に困難になることは間違いない。福島原発の代替をどこに求めるかも簡単な話ではない」と指摘。「今回の事故を速やかに総括、分析し、新しい対応を打ち出していかなければならない」と語った。 谷垣氏は科学技術庁長官として原子力委員長を務めたことがある。今度の原発事故について「地震にはだいたい対応できていたと思うが、あれだけの津波を想定していなかった」(?)と分析した。(⇒ここにも自然、natureに責任転嫁をはかる政治家/政党がいる)
自民党は1979年の第2次石油危機などを契機に原子力を「経済性、安定性に優れたエネルギー」と位置づけ、推進政策を主導してきた。野党転落後も温暖化ガス排出量の削減のため、原発の新設や高速増殖炉サイクルの早期実現を目指す「低炭素社会づくり推進基本法案」を提出。谷垣氏の発言はそうした路線の大幅修正を意味する。民主党政権へもこうした姿勢が影響することは必至で、日本の原子力政策の大転換につながる可能性が出てきた。(朝日)
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状況は絶望的です。
東北、関東在住の方で、北海道あるいは関西以西への避難が可能な方々は、真剣に避難の検討を始められたほうがよいでしょう。できるだけ早く、遠く。海外に避難できる人はそれが最も望ましいでしょう。少なくとも、一時的避難場所の確保は必要です。もちろん、大震災で被災・避難されている方々を含みます。
政府(民主党執行部・経産省担当官僚)・東電は責任追及と社会的パニックを恐れるあまり、事態がいかに深刻で絶望的であるかを明確にしません。この期に及ぶその情報操作・隠蔽の体質は、もはや糾弾や弾劾の域を超えています。また、東大の「原子力屋」連中は最悪で、原発事故の恐怖、その基礎知識さえ持っていないとしか考えられない記者、キャスターたちも共犯者だと言わざるをえません。
すでに公表されている情報から判断して、福島第一原発は遅くとも3月12日時点からメルトダウンが始まっていることは明白です。露出→発火→爆発をくい止めるための冷却措置として、半永久的に給水・放水活動を行わねばならないわけですが、この間それができない状態が続いており、「打つ手がない」のが今の状況です。
私たちが直視しなければならないのは、東電の現場責任者が今後何が起こるか、事態の推移を制御する術を持たないことです。震度7の地震が現場を襲ったとしたら、防波堤を越える津波にのみ込まれたとしたら、どうなるのか? 惨劇が起こっていないのは、たまたままだ起こっていないという単なる偶然、僥倖でしかありません。
最悪の事態になろうとしていることを、冷静かつ客観的に分析することが必要です。
そして最悪の事態を想定した対処を考え、その準備を始めるべき段階にきてしまった、と私は考えています。みなさんも決してパニックに陥らず、冷静かつ客観的に判断し、対処を考えてください。
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何を基準に避難を考えるべきか
最も深刻なのは、1号機から6号機までの燃料棒と使用済み燃料の露出状態を私たちがまったく把握できないことです。政府の情報公開とマスコミの事故報道に求められていた/いるのは、まず何よりも警戒レベルと対処マニュアルを定めた上で、毎日数回にわたり各号機の露出/非露出状態を明らかにすることです。最低限の説明責任と情報公開です。
この点に関連して言えば、各地における大気中の放射性物質のモ二タリングと数値の公表は必要ではあっても、それ自体は、近辺の人々を含め、何も被爆からの身の安全を保証するものではありません。私たちに必要なのは、どれだけ「空焚き」状態が続いているのか/いないのか、そして発火→火災→爆発がいつ起こる可能性があるのか/ないのか、これらに関する具体的で科学(実証)的な分析と情報です。
現在、3号機の原子炉格納容器は破損したままです。14日午前の水素爆発で天井が飛び、燃料プールも露出した状態ですが、中性子を吸収するホウ酸注入の作業は、現場付近の放射線量が高く、近づけない状況が続き、何も行われていません。
また、1~4号機の燃料プールの温度や水位も、停電のため確認できていません。15日午後4時から16日午後2時にかけ、東電は5号機のプール水温が57.3度から62.7度、6号機で56度から60度(いずれも通常時は40度前後)と上昇したことを明らかにしましたが、その後の情報公開はありません。
2号機の圧力容器の圧力についても、16日午前1時以降、大幅に低下しています。東電担当者は「格納容器や圧力容器の気密性が失われた可能性を否定できない」と説明しています。3号機のプール沸騰に伴って放射性物質を含んだ蒸気が放出されたか、2号機炉内の放射性物質が外部に放出された「恐れ」のいずれかが原因とされています。
「臨界」が起こる可能性は低いかもしれません。しかし、全号機の核燃料棒と使用済み核燃料の完璧な冷却体制と放射能漏れの封殺体制が確立されるまで、大気・土壌・海の放射能汚染は続きます。私たちは、まず「冷やして、閉じ込める」という当初の東電の作業方針が失敗に終わったこと、その現実にきちんと向き合う必要があるでしょう。そして、なぜこうなってしまったのか、その原因と要因を客観的に分析し、今後起こりうる事態を想定した上で、いつどのように行動するかを判断するしか道はありません。
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「人体に影響はないレベル」?
16日午前、福島第1原発から約60キロ北西にある福島県庁付近で、1時間当たり18~20マイクロシーベルトの放射線量が観測されました。通常の約400倍に相当します。24時間屋外にいた場合、2日間で、1年間に「人体に影響が出るかもしれないレベル」である1000マイクロシーベルトに達する計算です。
時事通信によると、原発から約50キロの地点では13~17マイクロシーベルト(最大で通常の344倍)、約30キロ地点は14~18マイクロシーベルト(同350倍)。約20キロ地点は15日午後9時ごろの時点で、195~330マイクロシーベルト(同6600倍)でした。そして1都9県で通常より高い値を記録したとされています。
私が驚くのは、「人体に影響が出るレベル」とその基準を明確にしないまま、これらの数値に対して警戒心を持たず、一般社会・視聴者にも警戒を促そうとしない政府とマスコミの姿勢です。「人体」とは壮健な青年男子のことをさしているのか? 乳幼児はどうか? 妊婦、子ども、高齢者、病気を患っている人は?
福島原発で爆発が起こるたびに、その影響が東京や新潟、静岡にまで及ぶこと自体が脅威ではないのか?
すでに福島市では、水道水からの胎内被爆の可能性を示す、水の放射能汚染が明らかになっています。
パニックになる必要はないし、なってはならない。しかし、警戒心を私たちが持たない限り、身近にいる子どもたち、家族を被爆から守ることはできないのです。
2011/3/16
⇒「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)」
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⇒森住卓のフォトブログ
3/17
・外部電源復旧18日以降
・自衛隊の地上からの放水効果、「結果を見てから」
・警視庁機動隊 放水するも届かず退避
・「日本の原発耐震基準は時代遅れ」=IAEAが08年に警告か―ウィキリークス
【ベルリン時事】英紙デーリー・テレグラフは17日までに、内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した米外交公電の内容として、国際原子力機関(IAEA)が2008年12月、日本の原発の耐震基準は時代遅れで、大規模な地震が発生した場合、「深刻な問題」が生じる恐れがあると警告していたと伝えた。
同紙が引用した公電によると、東京で開かれた原子力安全保障に関する主要8カ国(G8)会合で、IAEA当局者は日本の原発耐震指針は過去35年間で3回しか更新されておらず、IAEAが指針を再調査していると説明したという。IAEAの天野之弥事務局長は16日の記者会見で、「ウィキリークスで伝えられたことにはコメントしない。原発の耐震基準は常に更新するよう取り組んできた」と述べた。
・韓国、豪も80キロ圏避難勧告 シンガポールは100キロ
【ソウル、シドニー、クライストチャーチ、シンガポール共同】米原子力規制委員会(NRC)が福島第1原発の半径80キロ以内に住む米国民に避難を勧告したのに続き、韓国、オーストラリア、ニュージーランドも17日、自国民に同様の勧告を行った。シンガポール外務省は半径100キロ以内の在住国民に勧告。
韓国の金星煥外交通商相は17日の定例記者会見で、避難が困難な場合は屋内に退避するよう求めた。韓国人の旅行者や企業駐在員、留学生らのほか、在日韓国人も対象。
日本政府は半径20キロ圏内に避難、20~30キロ圏内に屋内退避を指示しているが、金外交通商相は「米国などの措置を準用している」と説明。今後の対応も準備中で「状況の展開具合によって実行する」とし、さらに広範囲の避難勧告や韓国人の本国への帰国なども検討していることを示唆した。
オーストラリアの放射線防護・原子力安全庁は「この圏内の現在の危険に基づいたものではなく、不確実な状況のための予防的措置」と指摘。ニュージーランドのマカリー外相は「ニュージーランド政府としても国立研究所が注意深く放射性物質のレベルを監視している」と説明。
・燃料プール、4号機は水張る…3号機は不明
東電によると、自衛隊のヘリが16日に3、4号機の上空から観察したところ、4号機は燃料棒が見えないほど燃料プールに水が張っていたが、3号機は湯気のような白煙が立ちこめており、中の様子は不明。蒸発して水位が下がっていることが予想され、緊迫性が高い3号機への放水を優先したという。
3号機のプールには5514本の燃料棒が保管され、放射性物質が漏れ出す危険性が高まっている。3号機に隣接する4号機のプールには1331本の燃料棒が保管されているが、この中には定期検査で一時的に原子炉から移した燃料も含まれている。1~3号機の原子炉内の燃料棒は、依然として水面から一部が露出した状態。
また、東電は17日、緊急炉心冷却装置(ECCS)やプールの冷却水循環を復旧させるため、近くを通る東北電力の送電線から仮設ケーブルを敷設する工事を終えた。この電力を、電源を喪失している各原子炉建屋へと送る作業の準備を進めている。 経産省原子力安全・保安院によると、3号機から約1キロ・メートル離れた福島第一原発の西門付近で17日に観測された放射線量は、毎時300マイクロ・シーベルト台で推移。同日午後3時30分は同309.7マイクロ・シーベルト。(読売新聞)
・2号機の電源復旧作業は17日午前から、東電職員ら30人の手で始まった。被ばく人数を抑えるため平時より少ない態勢だ。
非常用電源が失われた1~4号機のうち、唯一配電盤が水没しなかった2号機の電気系統回復が頼みの綱。作業では放射線量の比較的低い海側に変電盤を仮設し、建屋の各機器などと接続していった。担当者は「少ない工事量で復帰するよう計画している。(電源復旧の)実現性はかなり高い」と強調する。
ただし、電源復旧は原子炉冷却のための入り口に過ぎない。まずは海水を送り込むポンプの作動試験をする必要があるが、16日夕には東京・内幸町の本店との連絡回線を切断するミスも起きた。7時間後の復旧までの間、水位計などのデータのやり取りは衛星携帯での通話でしのいだ。
東電は2号機との間の回線が生きている1号機も、近く電源復旧が可能とみる。しかし、3、4号機は新たな外部電源をひく必要があり、復旧には時間がかかる見通し。また、使用済み核燃料プールの水温が上昇している5、6号機では、5号機の非常用電源が機能していない。6号機の電源を5号機につないでいるものの、東電は「この状態が長く続けば1~4号機のように温度が上昇する」と焦燥感を募らせる。
◇本格注水へのつなぎ
東京電力福島第1原発3号機に向けた17日の放水は、低下しているとみられる使用済み核燃料プールの水位を回復するほどの量は期待できず、むしろ外部電源復旧後の本格的な注水をにらんだ「つなぎ」の要素が濃い。
この日、陸上自衛隊のヘリから4回にわたって投下された海水は、最大でも約30トン。だが、上空からの散水は拡散し、どの程度がプールに入ったのかは不明だ。地上から高圧消防車も活用されているが、放水で約1200立方メートル(1200トン)のプールを満たすことは相当難しいとみられる。
3号機のプールでは16日以降、大量の水蒸気が立ち上るのが観察され、プールの水が沸騰しているとみられている。このままの状態が続くと、燃料棒のジルコニウム製の被覆管が劣化し、中の放射性物質が出やすくなるので、対策が急務になった。空と海からの放水は、政府と東電のひねり出した「窮余の策」だ。
放水した水でプールの水位が回復できなくても、霧状の水滴が燃料棒にかかるだけで熱を奪って蒸発し、燃料棒を冷やす効果が期待できる。この仕組みは、真夏に市民が水をまいて涼を取る「打ち水」と基本的に同じだ。また、プールから立ちのぼった水蒸気に含まれた水滴も同様に燃料棒を冷やしていく。
吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉安全工学)は「被覆管が壊れないよう、とにかく水をかけ続けること以外、今はやるべきことはない」と話す。(毎日新聞、「綱渡りの放水作戦 被ばく基準、急きょ変更」【須田桃子】より一部抜粋)
・放水開始から30分後、放射線量変化なし
自衛隊のヘリコプターによる放水が行われた3号機の北西百数10メートル離れた地点の数値は、放水前の午前9時40分で3782マイクロシーベルト、放水後の同10時20分で3754マイクロシーベルト。大きな変化なし。⇒1年間累算で「人体に影響がでるかもしれないレベル」は何シーベルト? 自衛隊の累積被ばく総量限度は通常時の50ミリシーベルトから100ミリシーベルトに。因みに現場作業員は250ミリシーベルト。この差、そしてグロテスクさはいったい何だ?
・使用済み核燃料と原子炉内…3号機、二重の危機
17日午前、自衛隊ヘリによる放水作業が行われた福島第一原子力発電所3号機は、使用済み核燃料を貯蔵するプールと原子炉を冷やす機能がともに失われている。14日に水素爆発を起こし、建屋は大きく崩れたままだ。
3号機では16日朝、白煙が確認された。貯蔵プールの水温は測定できない状態になっているが、原子力災害対策本部は、原子炉に隣接するプールの水温が上がり、湯気が白煙のように見えている可能性が高いと判断していた。
貯蔵プールは、厳重に燃料を封じ込めている原子炉と異なり、建屋がなくなれば放射性物質を屋内に閉じこめる防護壁がない。水の蒸発が進めば、冷却効果が低下した使用済み核燃料から放射性物質が拡散する恐れがある。3号機では、使用済み核燃料と原子炉内の燃料棒がいずれも高温になるという、二つの危機が同時進行している。
地震発生時に定期検査で運転を止めていた4号機では、15日午前4時、通常は20~40度の貯蔵プールの水温が84度まで上がったことが確認された。建屋の壁に激しい損傷が見つかっている。火災も発生した。
5号機と6号機も地震発生当時は定期検査中で、今のところ、建屋の損傷は確認されていない。しかし貯蔵プールの冷却機能は低下し、16日午前4時には、水温は約60度に上昇している。東電は、冷却機能を回復させるため、送電復旧に向けた作業を行っている。 水素爆発で12日に建屋が吹き飛んだ1号機と、15日に格納容器の一部である圧力抑制室に損傷が起きたと考えられる2号機では、引き続き、原子炉の中に海水を注入して燃料を冷やす作業が続いている。(読売)
・「放射線量、限界に近い」 4号機元作業員が証言 「現場は相当の覚悟」
危機的状況が続く東京電力福島第1原発。使用済み燃料貯蔵プールの水温が上昇、2度にわたる火災を起こした4号機で、かつて定期検査の作業員として携わった元プラント工事会社社員の男性(66)は「きっと作業員たちが受けている放射線量は限界に近いだろう」と、危険な任務に就く後輩たちを思いやる。
第1原発では16日現在、約70人の作業員たちが1~3号機への注水を管理。敷地内の放射線レベルは上昇しており、作業をより困難にしている。放射線量の高いエリアでの作業は、短時間で退避する。男性は「こんなことが起こるとは想像もできなかった」と話す。 作業員たちは防護服に身を包み、線量計を携帯。線量が許容限度に近づくと警告音が鳴る。男性もかつて鳴ったことがあるといい「恐怖心に包まれた」と振り返る。
国内では、平成11年に茨城県東海村で起きたJOCの臨界事故以来の大事故だが「JOCで最初に作業していた作業員は突然、放射線を浴びた。今回は浴びるのを覚悟して作業をしなければならない。相当覚悟のいる状況だ」と、沈痛な面持ちで語った。(産経)
・「少しでも遠くへ、遠くへ」──。住民の県外避難、17日、本格化
・福島からの県外避難6000人に。
・さいたま市の「さいたまスーパーアリーナ」に福島からの避難者が次々に。避難受け入れは31日までの予定。埼玉県は各市町村に避難所確保を要請。
・山形県米沢市は3か所の避難所で600人以上受け入れ。その他山形では、山形市の施設「山形まなび館」、山形市総合スポーツセンターなど。
・茨城県つくば市の洞峰公園体育館は17日午前、200人以上を受け入れ。
・新潟県新発田市カルチャーセンター、同県上越市の体育館など。(読売新聞より)
3/16
・「レベル7」到達の恐れ=福島原発事故-米シンクタンク
米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、声明を出し、福島第1原発事故の状況が国際原子力事故評価尺度(INES)で2番目に深刻な「レベル6」に近く、最悪の「レベル7」に達する可能性もあるとの見方を示した。
日本の経済産業省原子力安全・保安院は先に、今回の事故の暫定値を「レベル4」と発表していた。
ISISは声明で、福島第1原発の1~3号機で爆発があったことや、4号機の原子炉建屋で火災が起きたことを踏まえ、「この事故はもはや(局所的な影響を伴う)レベル4とはみなせない」と指摘。緊急措置と広範な放射能汚染対策で国際社会の支援が必要だと強調。INESは、安全上の懸念がないレベル0から8段階で評価。1986年の旧ソ連のチェルノブイリの原発事故を「7」、1979年の米スリーマイル島原発事故を「5」としている。(【ワシントン時事】より)
・福島市の水道水からセシウムとヨウ素 国の基準は下回る
福島県災害対策本部は、16日午前8時に採取した福島市内の水道水から、通常なら検出されない放射性物質のヨウ素が水1キロあたり177ベクレル、セシウムが58ベクレル検出されたと発表。原子力災害時の飲食物摂取制限に関する国の基準(ヨウ素300ベクレル、セシウム200ベクレル)は下回っている。 同本部によると同日午後2時半に改めて採取したらヨウ素、セシウムとも検出されなかった。(朝日新聞)
・福島第一原発から放出された可能性のある放射性物質の検出、各地で相次ぐ
中部電力は16日、浜岡原発がある静岡県御前崎市で、空中のちりやほこりからヨウ素131やセシウム134など5種の放射性物質を検出したと発表。浜岡原発は安定して運転中で、周囲に異常な放射線量の変動がないことから、同原発によるものではない、としている。福島第一原発と浜岡原発は直線距離で約400キロ離れている。
新潟県も16日、同県南魚沼市でヨウ素131やセシウム137などを検出したと発表。東京都世田谷区でもヨウ素131などが検出。(⇒もちろん、これらはすべて「人体に影響はないレベル」)
・東京にある大使館、一時閉鎖・機能移転相次ぐ
外務省に入った連絡によると、イラク、バーレーン、アンゴラの東京の在日大使館が一時閉鎖することになった。福島第一原発の事故で退避したとみられる。 同省によると、イラク大使館については16日付で連絡があり、17日に閉鎖すると伝えられた。バーレーン、アンゴラの両大使館は15日付で連絡があった。在東京のパナマ大使館も神戸市に大使館の機能を移したという。
東京のオーストリア大使館も15日、大使はじめ館員の大半が東京を離れ、大使館機能を大阪市内の名誉総領事館に移した。 大阪で勤務を始めたシュテファンバストル大使は16日、朝日新聞の電話取材に「東京の停電や交通事情のほか、万が一の時の空港の利便性も考えた。原発の状況が不透明なので本国と協議して大阪に移った」と述べた。
福島第一原発の事故について、外務省は連日、東京にある各国の大使館を対象に非公開の説明会を開き、冷静な対応を呼びかけている。15日の省内での説明会には約60カ国の大使、公使、書記官ら約120人が詰めかけた。約1時間にわたる質疑では、関心は原発事故に集中し、「大丈夫なのか」「不安だ」「こんな報道があったが」との質問が相次いだという。 (⇒日本も政府機能の一部移転・分散化を真剣に検討すべき)
・建屋大破、白煙も=福島第1原発の現場写真―周囲に破片散乱・東電公開
骨組みだけ残り、崩れかけた原子炉建屋、立ち上る白煙―。東電は16日午後、社員が15日朝に撮影した1~4号機の写真を公開。1、3号機の建屋が水素爆発で大破した様子が目立ち、周囲の建物屋上などには吹き飛んだ破片らしい物が散乱。散乱物の一部は津波で運ばれた物の可能性もあるという。
写真は16日午前に公開された3、4号機の写真と同じ15日午前7時33分、4号機から約500メートル離れた高台から撮影。撮影時は2号機と4号機で爆発音が相次ぎ、2号機では原子炉格納容器の一部が損傷、4号機では建屋の外壁2カ所に大きな穴が開いた直後。
島根原発3号機、運転開始延期も=日立系企業の被災で-中国電
中国電力の清水希茂・島根原子力本部長は16日、島根県庁で記者会見し、松江市で建設中の島根原発3号機の制御棒駆動機構を分解点検している日立GEニュークリア・エナジーの工場(茨城県日立市)が東日本大震災で被災したことについて、「点検は当然遅れる。場合によっては(運転開始に)影響がある」と述べ、営業運転開始がさらに遅れる可能性に言及。
同社は日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社。3号機の運転開始予定は当初2011年12月とされていたが、制御棒駆動機構に不具合が見つかったため、12年3月に延期されている。これがさらに遅れると、島根県が11年度当初予算案に計上した核燃料税約43億円の納付が翌年度にずれ込む可能性がある。(時事通信より)
・自衛隊ヘリ 水投下を断念 18時10分 ⇒ナンノコッチャ?!
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作業員は被曝線量合わせて250ミリシーベルトまでの新基準で働かされているのに、自衛隊は50ミリシーベルト?
3号機上空の放射能値はいくらだったのか? ⇒情報公開なし。今日上空からできなかったものが、明日陸上から放水することが可能なのか? 「健康被害を受けずに作業できること」が放水の条件になってはいるが、放水任務につく機動隊員たちは、どれだけの放射能を浴びることになるのか? ともあれ、「国を衛る」べき自衛隊は、一般「国民」・労働者よりも、はるかに国に守られているわけだ。
・3号機 自衛隊ヘリで注水準備 (⇒4号機ではないことに注意)
使用済み燃料を保管している3号機のプールが冷却できない状態。放射能汚染水が蒸発し燃料露出の「おそれ」。自衛隊は、ヘリコプターで上空から大量の水を投下する作業の準備を開始。仙台市内の霞目駐屯地に展開している陸上自衛隊の第1ヘリコプター団のCH47ヘリコプター。
大量の水を入れた容器をヘリコプターからつり下げ、3号機の上空を何度も通過しながら水を投下する計画。現在、別のヘリコプターを出し、放射線量を測定中。その結果を確認してから作業を開始するかどうかを最終的に判断。
・3、4号機冷却のため米軍の放水車による放水が行われる模様
北澤防衛大臣「午前中にアメリカ軍の横田基地で操作のしかたを教わった東京電力の職員が、今、現地に向かっている」「地上から放水を行い、その効果を見ながら、より強力な放水が必要であればヘリコプターからの放水に切り替える」。
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自衛隊ヘリによる注水、米軍放水車による放水を行わねばならないこと自体が絶望的。そしてその持続可能性は?
・福島第1原発3号機から白煙 格納容器の一部から放射能汚染された水蒸気放出
午前10時過ぎから放射線量急激に上昇 作業員一時退避
・福島第1原発 4号機燃料プール沸騰 米軍にヘリ散水要請へ
「(燃料プールの水が沸騰して)どんどん減ってくるので(海江田万里)大臣が(水の注入を)命令した」(経済産業省・西山英彦審議官)
・5階の使用済み核燃料貯蔵プール、線量が高すぎて先に進めず。プールの損傷状態未確認。
・4号機は構内だけでなく、周辺でも毎時100ミリシーベルトの放射線量。
〈4号機の危機〉
・プールは原子炉圧力容器や格納容器の外にあり、外部と隔てるのは鉄筋コンクリート製の建屋しかなく、それに8m四方の穴が爆発で開いた⇒高濃度の放射性物質が大気中に大量に放出される「恐れ」。
・使用済み燃料は熱を帯びており、1時間あたり数トンの放射能汚染水が蒸発⇒常に水を補充し、使用済み燃料を冷ます必要。しかし電源切れで水の補充が止まり、汚染水が蒸発。
・1~3号機、海水を注入し原子炉内を冷やす作業が続いている。核燃料が冷却水から露出した「可能性」。ただ、格納容器が損傷しているおそれは「低い」とされている。⇒根拠なし。
・水の注入はできている5、6号機、海水による熱交換器の電源がないため温度が少しずつ上昇。
・1号機 核燃料棒の7割に損傷
東電は15日、福島第1原発1号機の炉心にある核燃料棒の70%に損傷があると国と福島県に報告。同2号機も同様に33%が損傷。核燃料を覆い、外部への放射性物質放出を防ぐ被覆管が冷却水不足による過熱で損傷し、ひびや穴が開いている。
ただ、「被覆管が完全に破れて、中のウラン燃料が溶け出す状況にはない」⇒根拠なし。
・製造元の米GE 発電機輸送へ
1号機と2号機の製造元であるアメリカの複合企業、GE=ゼネラル・エレクトリックは、電力を供給するためのガスタービン発電機10基を急きょ日本に送ることを発表。GEが15日、明らかにした。このうち3基はすでにフロリダ州に運び、日本への空輸の準備を整えているとしている。
・独、原発7基を一時停止 福島事故で政策再検討
【ベルリン共同】ドイツのメルケル首相は15日、1980年までに建設された同国内の原発計7基を3カ月間、一時停止すると発表。東日本大震災での福島第1原発事故を受けた政策見直しの一環で、安全対策などの検査が当面の目的となる。
首相は「脱原発」政策を先送りして原発の稼働年数を延長する計画について、3カ月間凍結し再検討すると14日に発表したばかり。 一時停止される原発は国内計17基のうち「古いタイプ」の7基。検査後の対応については「結果を待つ」としているが、与党内にはこのうち2基を早期に廃炉とし、結果次第では7基を廃炉にするべきだとの意見も浮上。ドイツの原発政策は大幅な見直しの可能性が出てきた。
メルケル首相は15日、電力会社の代表らと会談。「原発の安全性を最優先する」と強調する一方で、再生可能エネルギーの拡大に意欲を示した。 緊急世論調査では「早期の全面脱原発」への賛成が53%となった。 首相は15日、フランスのサルコジ大統領と14日に電話会談し、20カ国・地域(G20)の枠組みで原発の国際的な安全基準について協議することで一致したとの声明を発表。
3/15
・福島1、3号機も危険 専門家指摘
高濃度の放射能が漏れた今回の事故の影響はどこまで及ぶのか。京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)は「既に米スリーマイル島の事故(79年)をはるかに超えている。もし福島第1原発2号機の炉心が溶け落ちてしまえば、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)になりかねない。1、3号機もその危険を抱えている」と指摘。
スリーマイル島の事故では、半径80キロ圏内の住民約200万人が被ばくしたが、健康への影響は小さかったとされる。一方、史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故では、北半球全体で放射能が検出され、原発従業員や半径30キロの範囲内の住民ら数百万人が被ばくした。世界保健機関(WHO)によると、事故に起因するがんで約9000人が死亡したほか、ウクライナでは甲状腺がんを発症する人が出るなど、現在も被害が続いている。
小出さんは「風向きや地形も考慮しないといけないが、チェルノブイリの場合で想定すると、放射性物質が日本列島をほぼ覆ってしまうことになる。住民は被ばくをしないように逃げることしかできない。(政府や東京電力は)海水でも、泥水でもとにかく原子炉に入れて燃料棒が溶け落ちることを防ぐ一方、時々刻々知っている情報を国民に開示しないといけない」と話す。
原子力施設の安全に詳しい技術評論家の桜井淳さんによると、米国には70年代、出力100万キロワットの原発が炉心溶融事故を起こした場合の被害想定データがある。放射性物質が上空1500メートルまで上がったとの想定で被害状況を予測した結果、快晴で風速10メートルの場合、約800キロ先まで放射性物質が拡散する恐れがあるとの結果が出たという。
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(A 1997 study by the Brookhaven National Laboratory on Long Island described a worst-case disaster from uncovered spent fuel in a reactor cooling pool. It estimated 100 quick deaths would occur within a range of 500 miles and 138,000 eventual deaths. The study also found that land over 2,170 miles would be contaminated and damages would hit $546 billion. That section of the Brookhaven study focused on boiling water reactors — the kind at the heart of the Japanese crisis. ---In Stricken Fuel-Cooling Pools, a Danger for the Longer Term/ The New York Times )
桜井さんはこのデータを踏まえ、2号機で炉心が完全に溶けてしまうような事故が起きた場合について、「半径20キロは多数の死者が出るなど致命的な被害が出る。50~100キロでは健康面の被害は少ないかもしれないが、交通制限などさまざまな障害が生じ、社会的機能は損なわれる。放射性物質は1000キロ以上先にも飛ぶので社会は大混乱し、何兆円という規模の損害が出るのでは」と指摘。
さらに、今回は隣接した複数の原発で事故が起きていることから「86年のチェルノブイリ原発事故は一つの原子炉の事故だったが、今回は複数の原子炉で連鎖的に起きている。今後2号機に加えて1~6号機に保管された使用済み核燃料でも問題が起きると、悲惨な事態になりかねない」と話す。(毎日新聞【樋岡徹也、堀智行、福永方人】)
・菅首相 冷却水投下を指示 自衛隊は困難視
菅直人首相は15日、福島第1原発4号機で放射性物質(放射能)が漏れ出したことを受け、北沢俊美防衛相に原子炉を冷却するため上空からの冷却水投下を検討するよう指示。大型輸送ヘリCH47での投下が想定されるが、防衛省内では、困難だとの見方が広がっている。 首相の指示を受けて、陸自は
(1)核分裂を抑えるためホウ酸を投下
(2)ピストン輸送で冷却水を投下-する形で、東電による注水作業や警察、消防が地上で行う放水作業の支援を検討。
しかし、防衛省関係者によると空中からの投下は、原子炉本体を破損する可能性や被爆の危険性があるという。このため、北沢防衛相は記者団に対し「まだ上空から落とす段階に至っていない。地上からの放水の成果を見極める」と慎重な考えを示した。 一方、陸自は15日に予定していた原子炉を冷却するための地上での注水支援作業を取りやめた。陸自「中央特殊武器防護隊」の隊員が着用している化学防護衣では、高レベル放射線を防げないと判断したものとみられる。
同隊の約180人は14日深夜に現地からいったん退避し、第1原発からほぼ西方に約60キロ離れた陸自郡山駐屯地(福島県郡山市)に移動。第2原発への注水ポンプ用の燃料輸送は実施。 陸自は15日、東部方面衛生隊の救急車など8台で、福島県大熊町の病院に取り残された患者らを避難所に移送、2人の死亡を確認。(産経)
・福島第一原発作業員の被曝線量上限引き上げ 厚労省など
厚生労働省と経済産業省は15日、福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を、現在の計100ミリシーベルトから同250ミリシーベルトに引き上げた。1人当たりができる作業時間を長くすることで作業効率を上げる狙いだ。
1990年に国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた国際基準では、重大事故時の緊急作業での被曝線量の上限を計500ミリシーベルトとしている。厚労省によると、「250ミリシーベルト以下では白血球数の減少などの臨床症状が出ない」という専門家の知見を踏まえたという。厚労省は「やむを得ない非常事態に限った措置」としている。
復旧にあたる作業員は計測器を持ち、放射線量をモニターしながら作業している。福島第一原発の作業員は今後、1回きりの作業でも断続的な作業の場合でも、被曝線量が合わせて250ミリシーベルトに達した時点で、作業には一切、従事できなくなる。
14日午後、官邸の要請を受け厚労省と経産省が検討。文部科学省の放射線審議会に諮問し、妥当との答申を受けた。経産省が原子炉等規制法に基づく新たな告示を定め、厚労省は労働安全衛生法の電離放射線障害予防規則を省令で改正した。
・気象庁は15日、東日本大震災の余震活動がきわめて活発な状況と発表。M7.0以上の強い揺れを伴う余震3回、6.0以上45回発生。余震は岩手県沖から茨城県沖までの長さ約500キロ、幅約200キロの広い範囲で発生。今後も震源地に近いところで最大震度5弱以上となる可能性が。「場合によっては、震度6弱~6強となる余震が発生する可能性もある。警戒してほしい」
福島第1原発5号、6号機(稼動停止、使用済み核燃料保管)温度上昇中
(枝野官房長官、午後4時半)
・東電、4号機の燃料棒露出の「可能性」示唆
東電は、4号機で使用済み核燃料を入れているプールの水がなくなり、燃料棒が露出し、水素爆発が起きた「可能性」を示唆。原因はいまだ特定できず。そして現在も4号機の使用済み核燃料のプールに水があるかどうか、確認できていないという。
また、15日午前10時22分現在、3号機付近で1時間当たり400ミリシーベルトの高い放射線量が確認されたことについて、水素爆発した原子炉建屋の一部が飛び散って高い値が出た「可能性」に言及。爆発の際、8メートル四方の穴が2カ所開いたことが判明。
・福島第1原発から20~30キロ 屋内待機通告発令
・福島第1原発4号機、燃料プールの水温上昇
・前橋で10倍の放射線
群馬県は、前橋市で午前11時から午後1時にかけ最大で通常の10倍前後の放射線量観測と発表
⇒左は チェルノブイリ事故の範囲との比較地図
⇒福島第一・第二原子力発電所からの距離
・福島第1原発3号機付近で放射線量400ミリシーベルトが確認。
・2号機と3号機の間では30ミリシーベルト、4号機付近で100ミリシーベルトが検出。
・人が短時間に極めて高い放射線を浴びると細胞が破壊されたり、DNAが壊れるなど、深刻な健康被害が出る。
今回記録された400ミリシーベルトという放射線量は、原発作業員の年間被ばく限度量の8倍。
250ミリシーベルト程度で白血球の一時的な減少が起きるとされる。
・枝野長官「従来のマイクロの単位とは一つ違っている。人体に影響を及ぼす可能性のある数値であるのは間違いない」。
・福島第1原発4号機で火災=原子炉建屋4階で爆発か
15日午前6時ごろ、大きな音がして原子炉建屋5階屋根が損傷。同9時40分ごろには同建屋4階北西部付近で火が出ているのを確認。4階で爆発が起きた可能性も。4号機は11日の地震発生当時、定期検査のため運転停止中。
東電は、福島第1原子力発電所4号機の使用済み燃料プールの水温が、通常の摂氏40度から84度に上昇したことを確認。4号機は定期検査中で783体の燃料をプールに入れていたが、水を循環させる装置が被災で動かなくなったため。水温がさらに上がると蒸発し、燃料が露出する可能性。そうなった場合、「燃料が損傷する可能性は否定できない」。
4号機は昨年11月に定期検査入り。12月上旬に炉内の燃料をプールに移した。このため他の原子炉内にある燃料と比べると熱は下がっているものの、できるだけ早く冷却する必要がある。(⇒冷却は事実上不可能ではないのか?)
・3号機核燃料プール 覆いなし
15日午前7時5分ごろ、福島第一原子力発電所3号機の原子炉が入っている建物の上部に、蒸気のようなものが漂っていることが明らかに。また3号機で、格納容器の中にある使用済みの核燃料を保管するプールが、14日午前に発生した水素爆発によって、格納容器の上にある原子炉建屋の屋根が吹き飛んだことから、プールの上を覆うものがなくなっている状態。
このプールは、原子炉で燃焼させて使い終わった使用済み核燃料を移動させて冷やすために設けられた設備。通常の状態では、プールの水を循環させて核燃料を冷やしているが、福島第一原発では停電が起きていることなどから、冷やす機能が失われている可能性大。東電は、3号機の原子炉が入っている建物の上部に蒸気のようなものが漂っていることについて、「現時点では明確な答えはできない」。
・15日午前6時10分、福島第1原発2号機で爆発音 圧力抑制室が「損傷」
保安院によると、福島第一原発の正門では午前7時時点で、毎時965マイクロシーベルトの放射線を観測。この量は「自然界で1年間で浴びる放射線の半分ぐらいを、1時間で浴びる量」。
だが、午前8時31分には同じ場所で毎時8217マイクロシーベルトまで上昇。
・福島第1原発2号機、再び燃料が全露出
14日午後11時、福島第1原発2号機の燃料が再び全て露出。原子炉内の蒸気を逃す弁が閉じ、炉の圧力が高まり、炉内に水を送れなくなったという。そして15日午前0時過ぎ圧力を下げるため、外側の格納容器の弁が開放された。
・全国の放射線量、毎日公表へ=福島第1原発の爆発受け-文科省
福島第1原発で相次いで起きた爆発事故を受け、文部科学省は15日、全国各地で大気中の放射線量を測定している「モニタリングポスト」の値を同日から毎日公表すると発表。モニタリングポストは自治体や原子力関連施設が設置。大気中の放射線量を測定。同省は可能な限り頻繁に報告するよう自治体などに要請。報告を集計し、1日2回、全国の値を集計して公表する。
・放射性物質観測 「健康影響なし」?
福島第一原発から、原子炉の圧力を下げるための作業などにより周辺に放射性物質が放出。東京などでも微量の放射性物質が観測。NHKによると「いずれも健康に影響が出るレベルの数値ではない」。
第一原発から40キロ余り離れたいわき市では15日午前4時、1時間当たり23.72マイクロシーベルトと通常の470倍に当たる放射線量を観測。その2時間後には「通常」のおよそ80倍の毎時3.94マイクロシーベルトに。
南に110キロ余り離れた茨城県東海村では、午前7時46分、放射線の値が毎時5マイクロシーベルトを観測。国に対して「異常事態」を通報をするも、正午現在の放射線量は微量の1時間当たり2マイクロシーベルトに。「いずれも、直ちに健康に影響が出るレベルの数値ではない」。東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木でも早朝を中心に通常の数倍から数10倍程度の放射線量を観測。「いずれも直ちに健康に影響が出るレベルではない」。東京では「ヨウ素やセシウムなどの放射性物質も観測」。
これらの地域で計測された1時間当たりの放射線の量は「高い数値でも一般の人が年間に浴びても許容されるレベルの100分の1以下で、それぞれの自治体ではいずれも直ちに健康に影響が出る数値ではない」。宮城、山形、秋田、青森・新潟・群馬では放射線の数値に「大きな変化は見られない」。
放射線医療専門の東京大学医学部の中川恵一准教授。「福島の原子力発電所から漏れ出たものだと考えられ、都内でも検出されることは十分ありえることだ。ただ、量は極めて微量なので健康への影響は全くない。今の状況であれば、今後も健康に影響が出るレベルに達するとは考えにくいので、安心してほしい」。
・Japan Faces Potential Nuclear Disaster as Radiation Levels Rise/ The NY Times, By HIROKO TABUCHI, DAVID E. SANGER and KEITH BRADSHER 3/15/2011より。"Japan’s nuclear crisis verged toward catastrophe"というように、日本政府およびマスコミ報道と危機意識のあり方がまったく違うことがわかる。
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「1~3号機すべてで炉心溶融が起きている可能性が高い」にもかかわらず、「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリ(原発事故)と同じようにはならない」(枝野官房長官)と断言する科学的根拠は何か?
日本政府・東電は、作業の失敗を全国民に謝罪し、被爆避難地域の拡大を宣言すべきではないのか?
各自が状況を判断し、決断しなければならない時が迫っている。
⇒「原発事故サバイバルブック」
・福島原発付近の人々は「外出を控え、雨にぬれないように」
放射能漏れが起きた地域に雨が降った場合、大気中の放射性物質が雨水に付着し、遠くに飛散せずに地上に落下する。そのため、遠隔地に被害が及びにくくなる一方、付近の地域の放射能汚染度が強まる傾向にある。
避難などでやむを得ず外出する際は、傘やレインコート、マスクなどで身を守り、屋内に戻ったらシャワーで体を洗い流すなどして、放射性物質の体内への吸収を避けることが重要。
原子力資料情報室は「雨にぬれたコートなどは玄関などの決められた場所に置き、不用意に屋内に持ち込まないことも大切だ」としている。
・前川和彦・東大名誉教授
「核爆発ではなく、現在は放射能が含まれる霧が漂っている状態で、その霧が通りすぎるのを待つ。今の状態では、花粉症と同様の対応をとればよい」。「屋内に入り窓を閉め、外気をいれないようにすること。できるだけ肌を露出する部分を少なくし長袖、ゴーグルをつけることもよい」。「自らできる除染としては着衣はビニール袋にいれ封をする、シャワーを浴びることが有用」。
放射性物質の一つであるヨウソは甲状腺にとりこまれ、甲状腺ガンにかかるリスクが高まるため、予防的治療として安定ヨウソ剤を飲めば、ヨウソが甲状腺にとりこまれるのをブロックできる。前川教授「できれば被曝より6時間前、被曝24時間以内に飲むのがよい。ただ、ヨウソを求めて外出したりするのは全く意味がない。チェルノブイリ事故で、被曝した子供が後に甲状腺ガンを発症した。40歳以下の場合、早急に飲むことが重要。なにより副作用もあるため、自治体や関係機関の指示に従うこと」。
⇒「被災者の方へ低体温対策情報」「地震被災地で注意する水・感染症」(日本登山医学界)
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皆様、福島原発は破局的事故に向かって進んでいます。
冷却機能を何とか回復して欲しいと願ってきましたが、できないままここまで来てしまいました。現状を見ると打てる手はもうないように見えます。後は炉心溶融が進行するはずと思います。それにしたがって放射能が環境に出てくると思います。
その場合、放射能は風に乗って流れます。西向きの風であれば、放射能は太平洋に流れますので、日本としては幸いでしょう。でも、風が北から吹けば東京が、南から吹けば仙台方面が汚染されます。今後、気象条件の情報を注意深く収集し、風下に入らないようにすることがなによりも大切です。周辺のお住まいの方々は、避難できる覚悟を決め、情報を集めてください。
2011/3/12 小出裕章(京都大学原子炉実験所)
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反原発団体「恐れていた通り」 各地で非難の声
東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)で燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が起きたことを受け、各地の反原発市民団体からは「恐れていた通りの状況だ」「被害があってからでは遅い」などと非難の声が上がった。 中国電力が山口県上関町で進める上関原発計画に反対する市民団体代表の山戸貞夫さん(60)は「地震大国の日本で原発を建てる危険性を30年以上訴えてきたが、恐れていた通りの状況だ」と話した。
四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)に反対する市民団体「愛媛の活断層と防災を学ぶ会」代表古茂田知子さん(71)は「多重の安全対策をしていても、それを機能させるものが災害で駄目になると意味がない」と指摘。「想定外のことは必ず起こる。被害があってから対応していては遅い」と厳しい口調で話した。
中国電力の島根原発がある松江市の市民団体「島根原発増設反対運動」の芦原康江代表は「最悪の事態。今回のようなトラブルが起きる危険性を主張してきたのに、電力会社も国も無視し続けた結果だ」と批判。 日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)に反対する市民団体「反原子力茨城共同行動」の男性スタッフは「起こるべくして起こった。(原電や国が)『大丈夫だ』と言っていても、結局こうなる」と話した。(3/12 共同)
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⇒「3号機爆発を受けた知人への避難勧告」(合原亮一の「電脳自然生活」)
⇒福島第一原発 JVJADAYSJAPAN プレスリリース
⇒原子力資料情報室 記者会見
⇒原子力資料情報室・資料
⇒Radioactive Releases in Japan Could Last Months, Experts Say/ The NY Times
"Feed and Bleed" Syndrome
・Pentagon officials reported Sunday that helicopters flying 60 miles from the plant picked up small amounts of radioactive particulates — still being analyzed, but presumed to include cesium-137 and iodine-121 — suggesting widening environmental contamination.
・“under the best scenarios, this isn’t going to end anytime soon.”
・When the nuclear chain reaction is stopped and the reactor shuts down, the fuel is still producing about 6 percent as much heat as it did when it was running, caused by continuing radioactivity, the release of subatomic particles and of gamma rays.
・the operators are dumping seawater into the vessel and letting it cool the fuel by boiling. But as it boils, pressure rises too high to pump in more water, so they have to vent the vessel to the atmosphere, and feed in more water, a procedure known as “feed and bleed.”
・the situation a reactor No. 3 was being closely watched for another reason. That reactor uses a special mix of nuclear fuel known as MOX fuel. MOX is considered contentious because it is made with reprocessed plutonium and uranium oxides. Any radioactive plume from that fuel would be more dangerous than ordinary nuclear fuel, experts say, because inhaling plutonium even in very small quantities is considered lethal.
(Mixed Oxide Fuel=混合酸化物燃料。ウランとプルトニウムを酸化物の形で混合した燃料。従来のウラン燃料は天然ウランの中の核分裂しやすい濃縮ウランを使うが、MOXはプルトニウムをウランに混ぜて使う)
3/15
・福島第一原発2号機に欠損…枝野官房長官
枝野官房長官は15日朝、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所2号機について、原子炉格納容器につながる「サプレッション・プール」と呼ばれる部位に欠損が見つかったと発表。 サプレッション・プールは水蒸気を水に変える部分で、枝野氏は「周辺の放射線濃度の測定値に急激な上昇などはなく、健康に被害を及ぼす数値は示していないが、迅速な対応を取りたい」と強調。
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1,「サプレッション・プール」の「欠損」とはどのような欠損で、どのように「迅速な対応」を取るのか?
2,「周辺の放射線濃度の測定値」はいくら「上昇」したのか?
3,「健康に被害を及ぼす数値」を明らかにせよ。(⇒15日16時過ぎの会見で、枝野長官、政府見解を明らかにせず)
・福島原発事故、スリーマイル以上=深刻さは「レベル6」か―仏核安全局
【パリ時事】仏核安全局(ASN)のラコスト局長は14日の記者会見で、福島第1原発の事故の深刻さについて、史上最悪とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)ほどではないものの、米スリーマイル島原発事故(79年)を上回るとの見方を示した。AFP通信が伝えた。
事故の深刻さを示す国際原子力事故評価尺度(INES)のレベルで、チェルノブイリ事故は最も重い「7」、スリーマイル島事故は「5」。ラコスト局長は会見で「日本の関係者と話した」とした上で、福島原発の事故は「レベル5を上回り恐らくレベル6に当たる感覚だ」と述べた。
・米政府にも支援要請=原子炉の冷却事故で―日本政府
米原子力規制委員会(NRC)は14日声明を出し、福島原発の事故への対応で日本政府から正式に支援の要請を受けたことを明らかにした。 声明は原子炉の冷却系統が機能しなくなった問題に関連して支援要請を受けたとした上で、対応を検討中としている。
・全米104基の原子炉にも不安の声、対策強化の提言も
1, マーキー民主党議員、オバマ政権と原子力規制委員会(NRC)に対し、
・断層近くに位置する原発の安全対策強化、
・複数の災害が同時に発生した場合を想定した緊急対策訓練、
・原子炉から半径20マイル(約32キロ)以内に住む住民全員へのヨウ化カリウム剤の配布――などの対策を取るよう提言。ヨウ化カリウムには放射性物質が体内に蓄積されるのを防ぐ効果がある。
2, 米国内では現在、65カ所の原発で原子炉104基が稼働。それ以外にも国防関連で数十カ所の原子炉、兵器研究所といった核施設がある。原発の大半は人口集中地帯の近くにあり、現在米国の電力の約20%を供給。
3, 1979年にペンシルベニア州で起きたスリーマイル島原発の炉心溶融事故以来、新規に稼働を開始した原発はない。しかし、最近では電力使用量の増大を受け、地球温暖化対策の一環として二酸化炭素を排出しない原子力発電への関心が高まっていた。
4, 米政府は新規の原発建設費用として180億ドルを計上し、オバマ大統領はさらに360億ドルを計上したい意向。連邦当局は原発建設計画の申請20件について審査を進めており、既存の原発も数カ所が拡張を申請。
5, 米国で最も懸念が大きいのは、サンアンドレアス断層に近いカリフォルニア州の太平洋沿岸にある2基。専門家によると、いずれもマグニチュード(M)7.5までの地震に耐えられる設計だが、サンフランシスコでは1906年にM8.3の地震が発生。
6, カリフォルニア州の原発を運営する電力会社PG&Eおよび南カリフォルニアエディソンの広報は13日、原発は付近一帯で想定される最大規模、つまりM6.5の地震に対応できる設計になっていると説明。M6.5を超す地震が同地で起きるとは考えられていないという。
専門家は、地震のほか航空機を使ったテロによって原発のインフラが破壊される恐れもあると指摘するが、業界団体の原子力エネルギー協会広報は、米国の原発は航空機の衝撃にも耐えられると強調。マーキー提案については、米国の原発の安全システムは既に強固だとし、さらに現在の半径10マイルの範囲を超えてヨウ化カリウム剤を配布する必要がないことは研究で実証済みとしている。 CNN 3/14
・独、「脱原発」先送り凍結も 首相が日本の事故受け表明
【ベルリン共同】ドイツのメルケル首相は14日、緊急記者会見し、同国与党が決めた「脱原発」政策を先送りし原発の稼働年数を延長する計画について、3カ月間凍結し再検討すると発表。福島第1原発の事故が影響。 連立相手の自由民主党(FDP)党首のウェスターウェレ副首相兼外相も同日、凍結の見解を示していた。ドイツ与党の原発政策が全面的な見直しとなりそうだ。
メルケル首相は、日本の原発事故は「世界や欧州、ドイツに影響を与える。現在の状況は以前と大きく変わっている」と強調。原発を輸出しているドイツの動きは、世界的に原発導入国が拡大しているこれまでの国際的な流れに大きな影響を与える可能性がある。 ドイツでは、左派のシュレーダー政権時代の2002年、全ての原発の運転停止を義務付ける脱原発法を制定。しかし、メルケル保守中道政権は昨年秋、22年までに全原発の運転を停止する予定だった脱原発政策を先送りし、国内原発の稼働年数を平均で12年間延長することを決定した。
「日本の原発の安全対策は世界最高水準」として、これまでドイツ政府内で日本への評価が高かったことから、今回の大事故にドイツは衝撃を受けている。 ドイツでは3月下旬に与党側の牙城であるバーデン・ビュルテンベルク州の議会選を控えているが、脱原発を掲げる野党の攻勢で与党は苦戦している。
・福島第1原発爆発 世界各国に衝撃 日本技術の信頼低下も
東京電力福島第1原発の相次ぐ水素爆発や燃料棒の露出は、世界各国に衝撃を与え、技術大国日本の「安全神話」を揺るがす事態に。
1, 米CNNや英BBCはじめ欧米メディアは「(旧ソ連で86年に起きた)チェルノブイリ原発事故の再発を防げるのか」などと日本政府の対応に批判的な論調を強めている。スイス紙NZZ・アム・ゾンタークは、ビルディ・ジュネーブ大教授の話として「日本政府は事故の重要性を低く見積もっている。被ばくの危険性を低レベルに公表しているが、半径20キロ圏外に住民を避難させた事実は原発を制御できていない証拠」と伝えた。
2, インドでは日印原子力協定交渉への影響を懸念する声が広がっている。ニューデリーのシンクタンク「エネルギー資源研究所」のダディッチ上席研究員は「世論が(日本の原発技術に)厳しい目を向ける可能性が高い」と指摘。シン首相は14日、国内20カ所の原発で安全対策の再点検を命じたことを明らかにした。
3, 韓国の青瓦台(大統領府)は任太熙(イム・テヒ)大統領室長が緊急会議を開催し、放射性物質の周辺国への影響などが論議された。聯合ニュースによると、2月に放射能漏れ事故を起こした大田市の研究用原子炉の再稼働が14日、「安全に万全を期す」という当局の判断で、15日に延期。
4, 英国も中断していた原発建設を再開し、25年までに原発10基を新設、電力供給量の4割を原発がまかなう政策を推進しているが、政府は今回の事故を機に、安全面を中心に原発懐疑論が高まることを警戒。
5, オーストラリアのギラード首相やイスラエルのネタニヤフ首相は自国での原発建設に反対する姿勢を表明。
6, フィリピンの大統領府副報道官も凍結中の原発の再稼働を否定。
7, 20年に初の原発の操業開始を目指していたタイのアピシット首相「(原発に消極的な)私の意見は皆知っている。日本の出来事がわが国の意思決定にどう影響を与えるか、検討している」。
8, 中国「第一財経日報」は「中国の新型原発では冷却をめぐる問題は生じない」と報道。原発専門家の話として、中国の新型原発は原子炉の上部に数千トンの水をためるようになっており、非常時には動力なしでも重力で水が落下して冷却する仕組みのため問題は起きないとしている。
9, ロシア国営原子力企業ロスアトムの当局者は、旧ソ連で86年に起きたチェルノブイリ原発事故では炉心溶融から爆発につながった点を取り上げ、現時点では福島第1原発の原子炉が爆発する可能性は小さいと指摘。ただロシアは1月に日本との原子力協定を批准したばかりで、日本企業の技術に着目してきたが、事故を受けて、日本製技術の安全性について再考する可能性も。
10, 中東初となるブシェール原発を近く稼働予定のイランは計画を続行する方針。国営通信によると、原子力庁のラストハ副長官は福島第1原発のケースについて「(原子炉が入る)金属製の構造物自体は破壊されておらず、放出された放射性物質は少ない」とし、似た構造のブシェール原発の安全性を強調。(毎日新聞より)
3/14
・燃料棒露出、水注入ポンプ燃料切れ見逃しか
福島第一原発2号機で原子炉の燃料棒が完全露出し、一時的にせよ「空だき」状態となった原因について、14日午後9時すぎに記者会見した枝野官房長官は「水を注入して冷却する作業に入っていたが、一時(注入用の)ポンプの燃料不足で、想定より時間がかかった」と説明。 初歩的な作業ミスによって重大な事態を引き起こした可能性を示唆。
東電などによると、2号機では当時、港から直接海水を取水しポンプで原子炉内へ送り込んでいた。1、3号機でも同様の注水作業を行っており、作業員が1、3号機用のポンプの見回り後に、2号機用のポンプを確認した際、燃料切れで停止しているのを見つけたという。 ある東電幹部は「想定外の大地震による作業員の不足と、深刻な事故が重なったことで(原発の『命綱』である)注水ポンプから目を離す事態が生じた」と漏らした。(読売新聞)
・「1~3号機すべてで炉心溶融の可能性高い」枝野長官
枝野幸男官房長官は14日午後9時過ぎの記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所のトラブルについて、1~3号機すべてで炉心溶融が起きている可能性が高いとの見方を示した。「可能性は高い。三つとも」と述べた。また「地震そのものは一瞬だが、その後の対応は一定の管理のもとで、今なお安定化に向けた方向性に、現時点で進んでいる。最悪の事態を想定しても、チェルノブイリ(原発事故)と同じようにはならないとみている」。
・米空母のヘリ要員17人が被曝 福島第1原発の影響か
米海軍第7艦隊は14日、東日本大震災の救援のため三陸沖に展開中の原子力空母「ロナルド・レーガン」搭載のヘリコプターの要員17人から低レベルの放射線を検知したと発表した。 日時は不明だが、同空母は福島第1原発の北東約160キロを航行しており、被曝(ひばく)した要員はヘリ3機に分乗し、仙台市付近で救助活動を行った後、同空母に戻ったという。米海軍はこれを受け、同空母など展開中の艦船を福島第1原発の風下から離脱させた。
一方、フィールド在日米軍司令官は沖縄の第31海兵遠征部隊(31MEU)が支援物資を載せた強襲揚陸艦「エセックス」に乗艦し、16日にも被災地沖に到着することを明らかにした。ドック型揚陸艦「トーテュガ」も15日朝、北海道の苫小牧港に入港。陸自第5旅団(帯広市)の約250人を青森に輸送する方向で検討している。在日米軍は支援活動を「トモダチ作戦」と命名した。 自衛隊と米軍による日米共同対応では、14日に設置された自衛隊の統合任務部隊司令部に、米軍も連絡官を派遣する。三陸沖に展開中の米海軍の駆逐艦などのうち、4隻以上が同日も捜索・救難活動を実施したほか、米軍のヘリ計5機が米空軍横田基地から仙台市などへ救援物資を輸送した。(産経)
・自衛隊員が被曝、福島第1原発3号機付近で負傷 東電社員も
福島第1原発3号機の爆発事故で、文部科学省は14日、近くで作業中に負傷した30歳前後の男性自衛隊員の被曝が確認されたと発表。けが自体は重傷ではなく、意識もあるという。 文科省によると、自衛隊員は爆発の際に飛び散ったコンクリート片で、膝のうえに裂傷を負った。簡易放射線測定を行ったところ、一定程度の被曝が確認されたという。 傷口などから体内に放射性物質を取り込んだ「内部被曝」の可能性があるため、千葉市にある放射線医学総合研究所(放医研)で、治療することが決まった。ヘリコプターで放医研に向け搬送。
東電は14日、福島第1原発3号機の爆発事故で男性社員(23)が被曝をして除染できていないと発表。社員の被曝放射線量は不明だが、意識はあるという。 この男性は、ほかの社員や協力会社の作業員、自衛隊員らとともに、冷却機能が下がった炉心に海水を供給する作業に当たっていた。 ていねいな除染を施してもなお放射線が検出される場合は、放射性物質を吸い込むなどしている恐れがあるため、慎重に検査をしている。
(⇒枝野官房長官は14日午後4時15分からの記者会見で、福島第1原発3号機の水素爆発での負傷者のうち、自衛隊関係の4人はけがの程度は軽く隊に戻ったと発表。また、東京電力関係の7人のうち、重傷を負った1人について「意識はある、との報告からその後の情報はない」と述べた。
・原発爆発、警察官2人被爆 福島第1原発で避難誘導中
警察庁は14日、福島第1原発の周辺の医療機関で避難誘導中だった福島県警の警察官2人が被曝(ひばく)したと発表。2人のうち1人は3万4千カウント(CPM)、もう1人からは2万8千CPMの放射線量が測定された。ほかにも12人の警察官が被曝した可能性。 福島県は放射線測定器(サーベイメーター)で1万3千カウンター(CPM)以上の値が測定された人をシャワーで全身を洗い流す除染が必要な被曝の対象としてきたが、14日以降は「10万CPM以上」と基準を引き上げた。被曝した警察官2人に対しては除染が行われているが、健康への影響はないとみられる。
警察庁によると、2人は12日、同原発1号機で放射線漏れの危険性が高まったことから周辺の医療機関で避難誘導中に建屋が爆発、被曝。 避難指示が出ている同原発から半径20キロ圏内には約440人(14日午後1時現在)が残っており、今後、自衛隊のヘリコプターやバスなどで避難させる。 今回の地震では、住民の避難誘導中に津波に巻き込まれるなどして警察官3人が死亡したほか、33人の行方が分からなくなっている。(産経新聞)
・日本の原発迷走状態 幾重の防御策不能
福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。
2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生。 その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。
これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態。 国内では、日本の原発運用はあらゆる危険性を排除する幾重もの防御策が整備されているため、米国で起きたスリーマイル島原発事故のような事態は起きないとされてきた。 元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは「もし空だきが続けば燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底に向かってしまう」と指摘。 炉の床は合金製で、1500~1600度の温度で溶け出すため、「最悪の場合は炉床が抜ける危険性もあった。水が注入できない状態は(それができた)スリーマイル島原発事故より深刻な事態」と危惧する。
小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)は「水がなくなって、核燃料が融点を超えると、周囲も高圧になって水が入りにくくなる。今回のように電源がなくなり緊急炉心冷却装置も作動していない場合は、とにかくあらゆる手段で注水し、燃料棒を冠水させていくしかない」と指摘。 一方、有冨正憲・東工大原子炉工学研究所教授(原子力熱工学)は「空だきの状態が2時間20分も続いた場合、燃料棒の一部が溶けている恐れがある。ただしその後、圧力容器内に水が満たされていれば、溶けた燃料が水の中で固まるため、圧力容器が損傷する心配はまずないと考えていい」と話す。
◇陸への影響「限定的」(?)
14日起きた3号機での水素爆発によって、原子炉建屋の上部外壁が吹き飛んだ。建屋から飛散した放射性物質はどんな影響を及ぼす可能性があるのか。 東電によると爆発当時、西~北西の風が吹いていた。豊橋技術科学大の北田敏廣教授(大気環境工学)は「今日のような雲の多い日は海陸風があまり目立たず、大部分は太平洋方向に流れたと考えられる。陸地への影響は少なく、健康に影響が出ることはないだろう」と見る。一方「放射性物質が付着した微粒子の大きさにもよるが、1000分の1ミリ以下だと滞空時間はかなり長くなり100~200キロ運ばれることも珍しくない」と話す。
実際、1号機で水素爆発が起きた12日午後に放出された放射性物質は南風に運ばれ、13日未明、約120キロ北にある東北電力女川(おながわ)原発で基準値を超える21マイクロシーベルト(1時間当たり)放射線量が観測された。 北田教授は「晴れた日の昼間は海から陸へ風が吹く。それまでに何とか(放出する事態を)終息させてほしい」と話した。
原子炉内の燃料棒は通常水中にあり、水を循環させて水温をコントロールしている。しかし震災で循環が止まったため、熱で水が蒸発し、水位が下がった。露出した燃料棒は過熱状態となり、燃料棒を覆う管のジルコニウムが水と反応して水素が発生した。水素は高温になるほど多く発生するため、爆発の危険性も高まる。 3号機の爆発は、1号機より大規模だったとみられる。NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは「(1号機より)燃料棒の溶融が進んだため水素が大量発生したか、格納容器内から建屋への水素漏えいが想定以上なのではないか」と話す。(毎日新聞)
・2号機“炉心溶けた可能性”(NHK)
・2号機、燃料棒すべて露出=炉心溶融否定できず―東電福島第1原発
東京電力は14日午後7時45分、福島第1原発2号機の冷却水が大幅に減少し、約4メートルある燃料棒がすべて露出したと福島県に通報。核燃料の一部が溶ける炉心溶融も否定できないとしている。 仮に、冷却水がすべて失われたとすると、極めて深刻な状態。 東電によると、炉内に海水を入れるためのポンプの燃料が切れていたといい、燃料を入れた上で作業を再開する。
・福島第二原発1・2号機、冷却システム回復(⇒夕方のこの報道はいったい何だったのか?)
・福島第一原発2号機でも14日午後1時25分、原子炉の冷却機能が停止
・IAEAが調査団派遣へ 原発事故、放射能漏れなど調査
外務省に14日までに入った連絡によると、東日本巨大地震に伴う福島第1原子力発電所で起きた爆発事故などを受け、国際原子力機関(IAEA)が近く調査団を日本に派遣することが分かった。放射能漏れの実態や安全確認をするほか、事故の詳しい原因なども調査するとみられる。
・福島第1原発1号機爆発で2警官被曝 12人も可能性
中野寛成国家公安委員長は14日の記者会見で、避難途中の住民らが被曝(ひばく)した12日の福島第1原発1号機の爆発で、福島県警の男性警察官2人も被曝したことを明らかにした。除染を行い、現段階で目立った健康被害はない。このほかに12人の警察官も被曝した恐れがあるという。
被曝した2人は爆発時、避難範囲だった半径10キロ以内の病院で避難誘導に当たっていた。別の医療機関で測定を受けた結果、1人は3万4千cpm(1分間に検出される放射線の数)、もう1人は2万8千cpmが検出されたという。原発の建屋内で1日作業した場合は多くても5~10cpmとされている。(日経)
・14日午前11時1分、福島第一原子力発電所の3号機で爆発が起きて煙が大量に上がり、原発の作業員と自衛隊の隊員のあわせて11人がけがをした。経済産業省原子力安全・保安院では、12日の1号機に続いて水素爆発が起きたとみて、原発から半径20キロの中に残っているおよそ600人の住民に対して屋内退避を指示。これまでのところ、敷地周辺の放射線の値に異常な上昇はなく、原子炉を覆う格納容器の健全性は保たれているとみられている。
・経済産業省原子力安全・保安院では、水素爆発が起きたものとみている。東電によると、この爆発で東京電力の社員4人とや協力会社の従業員3人、それに自衛隊の隊員4人のあわせて11人がけがをした。詳しいけがの程度などは分かっていない。
・福島第一原発から半径20キロには、病院や施設などにいる615人の住民が残っている。原子力安全・保安院は、屋外にいる人に対し、できるだけ早く建物の中に入るよう屋内退避を指示。このうちのおよそ100人は、20キロの外に避難するために施設を出たということで、残るおよそ500人についても、圏外に避難させるかどうか検討中。
・枝野官房長官は、記者会見で「3号機の格納容器は爆発のあとも内部の圧力が保たれているほか、施設周辺で観測された放射線の値も比較的低いことを考えると、爆発によって放射性物質が外部に大量に出ていることは考えにくく、格納容器の健全性は保たれている」と説明。
・水素爆発は12日、福島第1原発1号機でも起きて、建屋の上部が吹き飛んだ。3号機でも原子炉の水位が下がり、燃料棒が露出したため、水蒸気と反応して水素が大量に発生したことが分かっており、水素爆発の起きることが心配されていた。(NHK)
・福島第一原発3号機で水素爆発 屋内待避呼びかけ
福島第一原子力発電所(福島県大熊町)の3号機で14日午前11時ごろ、大きな爆発が起きた。経済産業省原子力安全・保安院によると、水素爆発が起きたことを確認した。保安院は、原子炉格納容器が損傷した可能性は低いとみている。東電はこの爆発で、3人が負傷し、7人が行方不明、と発表。 保安院は、20キロ圏内にいる住民には屋内待避を呼びかけている。ここには、少なくとも約600人の住民がいると保安院はみている。
東電によると、圧力容器、格納容器とも壊れていないことを確認、としている。周辺で中性子線は確認されておらず、連続した核反応は起きていないとみられる。 原子炉は、内側から圧力容器、格納容器、原子炉建屋の三つの「壁」で守られている。12日に福島第一原発1号機で起きた爆発では、損壊は原子炉建屋にとどまり、格納容器と圧力容器に異常は確認されていなかった。今回の3号機の爆発も、原子炉建屋が爆発して壊れた可能性が高い。 原子炉を守る「最後のとりで」となる圧力容器や格納容器が壊れていれば、チェルノブイリ事故に匹敵する重大事故となる。
東電によると、爆発で作業員が負傷したことを確認したという。人数は不明。救急車を要請中。 東電福島事務所によると、午前11時37分現在、福島第1原発の敷地内で検出された放射線量は、1時間あたり50マイクロシーベルト、中性子は検出最下限値。47分には20マイクロシーベルトに低下。(朝日新聞)
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報道によれば、東電は、福島第1原発1号機の燃料棒が1.7メートル、3号機が2メートル露出しており、海水注入後も水位に大きな変化が見られないことを明らかにした。 また、福島第一原発の1号機と3号機で、燃料の最上部より水位が低い状態が続いていることで、炉心溶融が進んでいる可能性があることを示唆した・・・。
これが13日を終える段階の「原子力緊急事態」の現実だ。14日から「輪番停電」制が敷かれ、私を含むその影響を受ける人々は、13日夜からその準備に追われている/いたはずである。
一部では、今回の事態は「震災規模が予想をはるかに上回った」(保安院)部分が大きい、とされている。また、津波による原子炉に電気を供給するディーゼル発電機の故障、さらに交通が寸断され復旧のための電源車両が到着しなかったことなども大きな要因となった、と指摘されている。
しかし、「震災規模が予想をはるかに上回った」ことや津波被害で問題がすまされるはずがない。本ページ末尾の3月2日付毎日新聞の記事にあるように、2月までの段階で中国電力、中部電力など「各地の原発で機器の検査漏れが見つかっ」ており、経産省原子力安全・保安院は、新潟県と福島県の3原発で検査漏れが見つかった東京電力を「注意処分」(!)にしていたのである。
東電にいたっては、「柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器の検査漏れがあったと保安院に報告」していたという。 保安院は、「すべての発電所で点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していたとして保安規定に違反すると判断。同社に再発防止策の策定を指示」していたのである。
点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していた・・・。
絶句するようなこの事実、この現実を、私たちはどのように受け止めればよいのか?
東電の企業責任、保安院の監督責任はどこに消えたのか?
現在、日本列島で稼動しているすべての原発が、耐震・耐久予想をはるかに下回る状態で運転を継続している、この身が凍るような現実に私たちは直面している。M9.0以上の大地震、10mを越える大津波(奥尻島を襲った大津波は30mだった)の再来を現実的に想定した原発施設の安全対策、緊急避難施設の確保、早期避難体制の確立等々が、早急に求められている。
いまだに省庁縦割りで、政治や行政の不作為が問われず、誰も責任を取らない日本の原子力行政を、これからどうするのか。中長期的な日本の「エネルギー行政」をどうするのか・・・。
そういう議論をこの国の政治家たちがいつ始めるか。そのことに注目しながら、私たちは今後の政府や政党の言動、挙動を厳しく監視する必要がある。
原発問題に限らない。
〈3・11〉は、この国のあらゆることを見つめ直し、考え直すことを強いたのである。
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第1原発の10キロ内に80人 20キロ内には6万人が残っている
東京電力福島第1原発の周辺で約160人が被曝(ひばく)した可能性。国の避難指示を受け原発から10キロ圏内を出るために双葉厚生病院から移動して、同原発から約3・7キロ離れた県立双葉高校のグラウンドで救助のヘリを待っていた約60人と、原発での爆発後に福島県外にバスで避難した約100人。⇒15日現在、避難完了との報道。
3/13
・福島第二原発も蒸気放出へ備え 柏崎刈羽からポンプ調達 23時34分
東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第二原発1、2、4号機について、原子炉の冷却機能を回復するため、同電力柏崎刈羽原発からポンプを取り寄せて取り付けていることがわかった。東京電力から連絡を受けた福島県が13日、明らかにした。 冷却機能の回復がうまくいかない場合、原子炉格納容器の損傷を防ぐため、容器内の放射性物質を含む蒸気を、高さ150メートルの排気筒から放出するという。予定時刻は1号機が14日午前3時、2号機は14日午前6時、4号機は16日午前5時。(朝日新聞)
・「どこへ逃げたら」原発被曝、住民不安極限に
地震が起きても安全とされていた原子力発電所が、周辺住民にまで牙をむいた。
13日午前、福島県などは東京電力福島第一原子力発電所の周辺住民ら最大190人が被曝(ひばく)した可能性があることを明らかにしたが、半径10キロの地域にはなお80人が取り残されたまま。「病院に閉じこめられ、動けない」と、電話で懸命に訴える人もいるなど、地域の不安は極限まで高まっている。
「警察も消防もいない。閉じこめられていることを誰かに伝えて」。同原発から近い大熊町から同県川俣町に避難してきた女性(21)は、看護師の母親から電話でそう助けを求められた。母親は同原発から20キロ圏内の病院で、被曝を避けるため、患者とともに外に出られない状況が続いていて、女性は「どうしたらいいんだろう……」とうつむく。
同原発から北に約40キロ離れた同県相馬市。13日朝、同原発3号機の冷却装置の機能が失われたとの報道が流れ、市役所内は不安に包まれた。テレビ報道で知ったという市職員は「公式な情報が遅すぎるし、政府の会見内容にも不信感が募っている。本当に大丈夫なのか」と憤った。 同市の避難所では、避難指示が出た近隣の南相馬市などからも避難者が相次いでいる。避難所となった相馬市立中村第一小学校の受付担当職員は「各避難所に他市からの避難者が来ていて、混乱状態になっている」と話す。
警察庁によると、13日午前8時現在、当初の避難指示が出た半径10キロ圏内で住民80人が残っている。大半が寝たきりの高齢者などで、同日朝からヘリコプターなどでの搬送を行っている。また、20キロ圏内にも約6万人が残る。 一方、福島県庁でも、県幹部が相次ぐ事態に表情をくもらせた。3号機の冷却機能が働かなくなったことは、13日午前6時半に開かれた福島県原子力災害対策本部の会議で報告されたが、東電側は、原発周辺の放射線量の正確な値を把握しておらず、出席した幹部は「まだか」といらだちをあらわにした。 松本友作副知事は「こういう状況なので、しっかりと情報収集を」と呼び掛け、別の県幹部は「まったく終わりが見えない。どうすればいいのかわからない」とつぶやいた。
・地震で自動停止の原発、安定停止は3基のみ
東日本巨大地震では、東京電力福島第一原発1~3号機、同第二原発の全4基、東北電力女川原発の全3基、日本原子力発電東海第二原発の計11基が、強い揺れにより自動停止した。 経済産業省原子力安全・保安院や各電力会社によると、11基のうち、原子炉内の温度が100度以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、福島第二3号機と女川1、3号機の3基だけだ。
原子炉を停止する場合は、炉内の核分裂反応を抑制する「制御棒」を挿入する。しかし、反応を止めても核燃料は高い余熱を持っているため、安全で安定した状態にするには、さらに冷却を続ける必要がある。 保安院によると、地震による停電で外部からの電力供給が失われたことや、冷却水をさらに冷やす海水を取り込み、動かすポンプが津波で被害を受けたことなどから、福島第一原発2号機や、同第二原発1、2、4号機などでは、冷温停止までに時間がかかっているという。同3号機は12日正午過ぎ、冷温停止が確認された。
13日に記者会見した保安院の根井寿規審議官は、自動停止した原発の多くでは炉心の冷却機能が保持されていると説明。「とりあえず給水を継続すれば大丈夫だと認識している」と述べた。 また、炉心冷却機能を失った福島第一3号機では、通常の原発で使うウラン燃料とは異なり、毒性の強いプルトニウムを混ぜた核燃料を入れていることについては、「冷却する方法に違いがあるわけではない。特別な対応は念頭に置いていない」とした。 3号機では13日朝から、冷却を促進するホウ酸水を炉内に注入する作業が行われている。1号機では緊急措置として海水も注入したが、今回は原子炉のダメージを抑えて再使用を容易にするため、ホウ酸水のみの注入を選択したとみられる。 (読売新聞)
・3号機も水素爆発のおそれ 枝野長官「健康に影響ない」 18時31分
枝野幸男官房長官は13日午後、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に原子炉から漏れた水素がたまり、爆発するおそれがあると発表。東電は原子炉の容器の損傷を防ぐため、1号機に続き、微量の放射性物質を含む内部の蒸気を抜き、容器内を冷やすため海水の注入を始めた。同原発周辺の放射線の観測値は午後1時52分、これまでで最高の1時間あたり1557.5マイクロシーベルトに達したという。
枝野氏は万一、1号機のように爆発した場合でも、原子炉の格納容器には影響なく、大量の放射性物質は放出されないとみられると説明。また、放射線の観測値も「一番高い数値のところでも、1時間その場にいて、胃のX線検診3回分弱」とし、「健康に影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。観測値は午後2時42分、184.1マイクロシーベルトに下がったという。
東電によると、地震の影響で自動停止した3号機は、外部からの送電も非常用発電機も止まり、原子炉内を冷やせなくなり、冷却水が蒸発して水位が低下。13日午前9時過ぎ、原子炉内に外部からホウ酸水を入れて冷やす作業を始めたところ、水位は上昇した。 だがその後、ポンプにトラブルが発生して作業が中断。別の方法に切り替えて海水の注水を始めたが、水位は下がり、ウラン燃料をおさめた燃料棒の上部が冷却水から露出した。この際、原子炉内の蒸気と反応して大量の水素が発生した可能性があるという。
水素が原子炉の外に漏れて原子炉建屋内にたまれば、酸素と混じって爆発するおそれがある。 また、爆発のあった1号機では、冷却水から露出した燃料が高温になって溶け出す「炉心溶融」が起きたとみられるが、枝野氏は3号機でも同じことが起きた可能性に言及した。 東電は13日、同原発2号機でも、格納容器の損傷を防ぐため、微量の放射性物質を含む蒸気を抜いて原子炉の容器内の圧力を下げる作業を始めると発表した。(朝日新聞)
・福島第一3号機建屋も爆発の恐れ…枝野長官
枝野官房長官は13日午後3時半頃に会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に水素がたまり、爆発する恐れがあると発表。 枝野長官によると、3号機は同日午前8時41分、格納容器内から放射能を含んだ蒸気の放出を開始し、同9時過ぎには容器内の圧力が低下し始めた。
これに伴っていったんは原子炉内の水位が回復する傾向が出たが、正午頃から再び低下を始め、午後零時55分には、燃料棒の上部1.9メートルが冷却水から露出。その際炉内で大量の水素が発生し、建屋内の上部にたまっている可能性があるという。 核燃料の一部が溶融する恐れが出たため、東電は同日午後1時12分から、3号機の原子炉に海水の注入を始めた。海水の注入は、爆発した同1号機に続いて2基目。(読売新聞)
・女川原発で4倍の放射線観測 福島第一から120キロ北
東北電力女川原発(宮城県石巻市、女川町)で12日午後9時ごろ、施設周辺の放射線を観測しているモニタリングポスト6台すべてが通常の4倍以上の放射線を観測。数値は2時間ほどで平常に戻り、線量もごく少ないことから、東北電力は健康に影響はないという。 女川の3基の原子炉に異常はないため東北電力は、約120キロ南にある、東京電力福島第一原発1号機で同日午後3時半ごろあった爆発で飛散した放射性物質をとらえた可能性があるとみている。 (朝日新聞)
・福島第一3号機も原子炉に海水注入開始
東京電力は13日午後1時12分から、水位低下で核燃料が露出して溶融する恐れが出ていた福島第一原子力発電所3号機の原子炉に海水の注入を始めた。 海水の注入は、爆発した同1号機に続いて2基目。 東電によると、同日午前8時41分、格納容器内から放射能を含んだ蒸気の放出を開始し、同9時すぎには容器内の圧力が低下し始めた。これに伴っていったんは水位が回復する傾向が出たが、正午頃から再び低下を始め、午後零時55分には、燃料棒の上部1.9メートルが冷却水から露出したため、海水注入に踏み切った。(読売新聞)
・福島第1原発3号機も冷却機能喪失 東電が緊急事態を通報 産経新聞
東京電力は13日早朝、福島第1原発3号機が冷却機能を喪失したため、緊急事態として法に基づき国に通報した。冷却機能喪失は、第1原発1、2号機、第2原発1、2、4号機に次ぐ6機目。 原子力安全・保安院は13日午前5時35分からの会見で、東日本大震災の被害を受けた東京電力福島第1原発3号機へのすべての給水ができなくなり、原子炉の冷却機能がストップしたことを明らかにした。東京電力は同日5時10分に、原子力災害対策特別措置法15条に基づき、政府に緊急事態を通報した。
原子力安全・保安院によると、3号機は炉心を冷却するために、外部から水をくみ上げる高圧式の注水装置を使っていたが、冷却効果が働き圧力が低下。この装置は使えなくなった。通常ならば低圧式の注水装置に切り替えるが、バッテリー切れとなり給水が全面的に停止した。 地震の影響で原子炉は自動停止したものの、核燃料の熱が出続けているため、炉心の冷却が止まると、放射能漏れの可能性が出てくる。東電福島第1原発1号機は水位が下がったことで炉心が露出し、溶融を始めている可能性が浮上。付近で放射性物質が検出された。廃炉も視野に原子炉への海水の注水に踏み切ったばかりだ。
ただ、原子力・安全保安院の根井寿規審議官は「3号機は水位が安定し炉内の圧力が低いことで、ただちに危険な状況になるわけではない(?!)次の手立てを考える」と話している。東電福島原発は新たな火種を抱えることになった。
・福島第一原発周辺、70人以上が被曝した恐れ 保安院 9時0分
原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第一原発の周辺で、約70人以上が放射能を被曝(ひばく)した恐れにあることを明らかにした。保安院が福島県などから受けた報告をまとめると、福島県双葉町の住民9人から放射能を計測。そのほかに、双葉高校のグラウンドで移動に利用したヘリコプターを待機している際に被曝した可能性があるのが約60人いるという。 放射能を浴びた経路や時間は調査中としている。(朝日新聞)
・福島原発で爆発 初の炉心溶融 病院の3人 被ばく 07時34分
12日午後3時36分、東日本大震災で自動停止した東京電力福島第一原発1号機の原子炉建屋とタービン建屋の周辺で激しい縦揺れとともに爆発が起き、白い煙が上がった。この爆発で、作業員ら四人がけがをして病院に搬送された。東電によると、いずれも意識はあるが、うち一人は骨折している。 枝野幸男官房長官は会見で「建屋の壁の崩壊で、中の格納容器が爆発したものではない」と述べ、原子炉の損傷を否定した。ただ、格納容器から漏れ出た水素が建屋内の酸素と化学反応して爆発した可能性があり、不安定な状態が続いている。
福島県によると、爆発当時、半径10キロ圏内の高校グラウンドで双葉厚生病院の入院患者と職員の計約90人のうち3人が、ヘリの救助を待っていた際に被ばくしたという。 また、爆発の直前に福島第一原発1号機周辺で、放射性物質のセシウムとヨウ素を検出。いずれも炉心のウラン核燃料が分裂した際にできる物質で、経済産業省原子力安全・保安院は燃料棒の一部が溶ける「炉心溶融」が起きた可能性があるとしているが「進行していることはない」としている。
福島県は同日夜、首相官邸の指示を受け、福島第1、第2原発の周辺10キロ圏内だった避難指示の対象範囲を、第1原発のみ同20キロ圏内に拡大。 同原発は自動停止後、高温の燃料棒を冷やす給水装置が故障。燃料が水面から露出し、冷却できずにこもった熱で溶けた可能性が出ている。 燃料棒の周辺は1200度以上に達し、燃料を覆う特殊金属の被覆管が溶けたらしい。 日本の原発で炉心溶融は初めて。1979年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故に匹敵する国内最悪の原発事故となった。
東電は12日午後2時、原子炉格納容器内の圧力が高まり、容器が耐えられずに破損するのを防ぐため、容器内の蒸気を外部に放出。放射性物質を含んだ蒸気が周辺に放出され、原発の敷地内で測定した放射線量は一時、1時間に1015マイクロシーベルトと、一般人が一年間に受ける放射線量の限度と同等の値を示したが、その後低下。 東電は午後8時20分から容器内に消防ポンプを使って海水と核分裂を抑制するホウ酸を直接注入して炉心の冷却を始めた。(東京新聞)
・福島第一3号機、冷却機能働かず…燃料棒を露出
東京電力は13日、福島第一原子力発電所の3号機について、原子炉内を冷却する機能が働かなくなり、冷却水の水位が下がって燃料棒が露出し始めたと発表した。 炉心の燃料棒が過熱して溶け出し、燃料中の放射性物質が外部へ漏れ出す危険もあるため、同日午前5時10分に原子力災害対策特別措置法15条に基づく通報を行った。3号機は、ウラン・プルトニウム混合(MOX)燃料を使用している。
3号機は地震後、通常の冷却ができなくなり、蓄電池を使った別系統の冷却装置を使っていたが、同日午前2時44分にこの装置も停止、原子炉内に冷却水を注入できなくなった。冷却水が沸騰して水位が下がり、同4時15分から燃料棒が露出し始めた。 12日に爆発が起きた同原発1号機と同様に、格納容器内の圧力が高まるため、東電では放射性物質が混じった蒸気を外部に放出する準備を進めている。(読売新聞)
3/12
東電によると、12日午前8時現在、東北大震災の発生後に東電の協力会社社員3人が死亡し、2人が意識不明となっている。 死亡したのは福島第2原発で作業中だった協力会社「国勇工業」の社員、ハヤカワオサムさん(54)のほか、常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)で煙突工事中だった「アサジマ組」のハネシロさん、「フジモト工業」のモトシゲリョウヤさんで、いずれも年齢不明。常陸那珂ではアサジマ組のアサジマタカヒロさん、フジモト工業のオリタコウキさんも意識不明の重体。
一方、福島第1原発では東電社員で当直勤務に当たっていた小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)が地震発生直後から行方不明になっている。このほか、同日朝までに東電関連施設で5人が重傷、7人が軽いけがをした。
枝野幸男官房長官12日夜、首相官邸で記者会見。東京電力福島第一原子力発電所1号機の爆発について、原子炉本体ではなく建屋の崩壊であり、「東電からは(炉心を入れる圧力容器を守る)格納容器が破損してないことが確認されたと報告を受けた」と述べた。
・福島第一原発1号機で爆発音と白煙、けが人も
福島県警によると、福島第一原子力発電所1号機で12日午後、爆発音が聞こえ、煙のようなものが出ている。県警は半径10キロ圏内から至急避難するよう要請。 東電によるとけが人が数人いる模様。 煙は一時、発電所全体を覆う勢い。これによって社員が数人負傷した。原因ははっきりせず、影響も不明。 (Explosion Rocks Japan Nuclear Plant After Quake/ The New York Times By MATTHEW L. WALD)
・第1原発避難指示 半径20キロに拡大へ 19時14分
福島県が、12日午後6時半から開いた原子力災害対策本部会議の中で、担当職員が午後6時25分に総理大臣官邸から指示を受け、福島第一原発から半径20キロの範囲を新たに避難指示の対象に。福島県は、現在、具体的な市町村やエリアを調べている。
・福島第2原発、半径10キロ退避に拡大 官房長官会見
福島第1原発1号機で12日午後3時36分ごろ爆発。枝野幸男官房長官は同日午後会見し、第2原発について半径3キロ以内に出されていた退避指示を10キロ以内に拡大したと発表。枝野長官「周辺住民の安全には万全を期している」。
・福島第一原発、弁開放し「格納容器」の圧力低下
原子力安全・保安院は12日午後3時すぎ、東京電力福島第一原発の1号機の配管の弁を開放した結果、炉心の圧力容器を覆う「格納容器」の圧力が低下し始めた、と発表した。格納容器内は通常、400キロパスカル(約4気圧)で運転されているが、1号機は大地震による自動停止後、800キロパスカル超の圧力を記録し、損傷の恐れがあった。 ただ、弁を開けたことで放射性物質のセシウムが外部に漏れるなど、周辺の放射線濃度が高まった。
・福島第1原発で炉心溶融か=付近でセシウム検出―保安院
時事通信 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機で、核燃料棒が高温で溶ける「炉心溶融」が起きている可能性が高いと発表。
保安院によると、1号機周辺で放射線医学総合研究所のチームが放射性物質のセシウムを検出。セシウムは核燃料棒に含まれており、融点が高いことから、炉心溶融を起こしている可能性が高いと推測される。 保安院などによると、同原発1号機は12日午前から原子炉冷却水の水位が低下。一時は核燃料棒が冷却水の水面から露出し、核燃料の損傷が懸念されていた。
・原発の脆弱性浮き彫りに 福島原発トラブル
今回の地震によって、東京電力福島第1原発や同第2原発で、トラブルが相次いだ。第1原発1号機では、放射能を閉じ込める上で重要な格納容器の損傷を防ぐため、格納容器の弁を開けて圧力を下げる一方、微量の放射性物質を外部に出すという苦しい立場に追い込まれた。蒸気放出は緊急避難的な措置。
福島第1原発1号機の格納容器内の圧力が上昇し、容器の破損につながる懸念が生じている。経済産業省原子力安全・保安院は「地震によって圧力容器と配管の間などから放射能を含んだ微量の水分が格納容器内に漏れ出た結果、圧力が上昇した可能性がある」と推測する。すでに作業員が手作業で格納容器の圧力を逃がす弁を開ける作業をしている。
また、福島第1原発の敷地境界の正門で、放射線量を測定する敷地内のモニタリングが通常の8倍などを観測。初めての放射能漏れとなった。原因として、地震によって福島第1原発1号機の電源が失われ、外部に比べて原子炉内の圧力を下げる機能が失われた結果、微量の放射性物質が漏れ出た可能性があるという。
今回の地震は、国内最大の規模ではあるが、東電柏崎刈羽原発を襲った07年の中越沖地震に続き、地震に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて示した格好だ。保安院によると、今のところ、一般住民の健康被害は出ていないが、トラブルはさらに増えている。今後も予断を許さない厳しい状況が続く恐れがある。【関東晋慈】
◇炉心溶融
原子炉の温度が上がりすぎ、燃料棒が溶けて破損する事故。冷却水が失われて炉心の水位が下がり、燃料棒が水面上に露出した場合、燃料棒中の放射性物質の崩壊熱が除去できず、温度上昇が続くために起きる。想定されている事故の中でも最悪の事態。1979年の米国のスリーマイルアイランド原発事故で起きた。
◇セシウム137
原子力発電の燃料として使われるウランが核分裂した際に生じる放射性物質。人体に取り込まれやすく、体内では消化器や筋肉に影響を与えてがんなどの原因となる。半減期は30年と長く、土壌粒子と結合しやすいため、農作物を通して体内被ばくの原因ともなる。核実験などの結果生じる「死の灰」の一つ。1979年の米スリーマイル島原発事故や、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後も大気中から検出された。
◇福島第1原発
東京電力初の原発として計画され、1号機が1971年3月、営業運転を始めた。福島県大熊町と双葉町にまたがる約350万平方メートルの敷地に、現在6基の原子炉が稼働する。燃料の核分裂反応によって生じた熱で水を沸騰させ、そこから生じた高温の蒸気でタービンを回して発電する「沸騰水型原子炉」で、総発電量は約470万キロワット。1号機は今年、営業運転開始からちょうど40年を迎える「高経年化原発」だ。。(毎日新聞)
・放射能含む蒸気の放出決定 福島第一原発1号機 東電
東京電力は、福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるため、容器内の蒸気を逃がすと発表。蒸気には放射能が含まれており、外部に放出されることになる。2011年3月12日9時21分
・福島・第1原発に陸自の特殊武器防護隊が到着
防衛省によると、12日午前、放射能漏れの際に除染作業などを行う専門部隊である陸上自衛隊「中央特殊武器防護隊」の要員が東京電力福島第1原発に到着した。また第2原発には、陸自のヘリコプターがケーブルなどの資材を空輸する作業を始めた。
・防衛省、福島・原発に除染専門部隊主力も派遣へ 海自も続々集結
防衛省は12日、東京電力福島第1原発に向け、除染作業などの専門部隊である陸上自衛隊「中央特殊武器防護隊」の主力要員約90人を派遣させる準備に入った。派遣されれば、放射能が漏れていないかモニタリング調査を行う。同隊の先遣隊22人はすでに福島県に向かっている。 午前3時半ごろには同隊の副隊長ら2人が原発近くの緊急対策拠点「オフサイトセンター」に到着。防衛省によると、周辺3キロ四方の住民約3千人の避難は終了したが、5キロ四方の約5万人の避難が終わっていないため、福島駐屯地の第44連隊とともに避難支援にあたる。
一方、米海軍は佐世保基地(長崎県)から輸送艦を三陸沖に派遣させることを日本側に打診してきた。陸自北部方面隊の人員約900人と車両約250両を輸送するよう自衛隊と調整している。また、横須賀基地(神奈川県)からも艦艇を出し、海自と共同捜索救難活動を実施するという。これまでに海自艦艇は三陸沖などに29隻が到着。
・不安抱え「とにかく西へ」 福島原発周辺4万人超避難
大熊町の西隣の田村市は被害が少なかったため、公共施設20カ所を大熊町民の滞在先として開放することを決めた。 大熊町の北に隣接する双葉町も、放射能漏れの危険を避けるため、全町民約6800人が町外に避難することになった。町役場によると、午前6時に防災無線で避難するよう放送をした。 同9時ごろから希望者には内陸の川俣町にマイクロバスでのピストン輸送を開始。自力で町外に出る住民もいるという。職員の一人は「どれぐらいの住民がバスに乗るのかも、住民がどうやって町外に行くのかも分からない」と慌てた様子で話した。
福島第二原発がある楢葉町役場では、午前8時ごろから南のいわき市に向けて町民の避難が始まった。
同町の町民は約7800人。町では放送のほか、消防団が町内を回って避難を呼びかけた。前日の夜から町が把握している集合場所にいた約1500人はバスで、そのほかの町民には自家用車などで、いわき市内の学校施設に避難するよう呼びかけた。現在、避難中という。 同じく福島第二原発がある富岡町も、全町民約1万6千人が町外へ退避することになった。町役場によると、隣の川内村に避難先を確保し、防災無線で避難を呼びかけた。町内外からかき集めたバスで朝から避難所に輸送している。
東京電力は12日未明、福島第二原発で協力会社の作業員が死亡し、第一原発で社員2人が行方不明になっていると発表した。 死亡したのは国勇(こくゆう)工業(同県相馬市)の男性作業員ハヤカワオサムさん(54)とみられる。クレーンで排気筒の耐震工事中に操縦室に閉じこめられたという。行方不明の2人は第一原発第一運転管理部の社員で小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)。第一原発4号機から蒸気を受けて電気をおこすタービン(羽根車)の建屋にいたらしい。(朝日新聞)
・相次ぐ原発緊急事態、想定外と見通しの甘さ
福島第一原子力発電所、第二発電所で相次いで出された原子力緊急事態宣言は、日本の原発防災の巨大地震に対する見通しの甘さを露呈させた。 東電によると、建屋の震度など実際の揺れのデータをまだ評価していないものの、今回の地震のマグニチュード8.8は同発電所の想定(最大マグニチュード7.9)を上回る規模。
緊急時に水を注入して炉心を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が電源も含めて停止。くみ上げた冷却水(海水)を回すポンプも止まった。このため、原子炉の冷却が不十分になり、格納容器内の圧力が上昇、容器が崩壊する危機が高まった。 ポンプ停止の原因は、福島第一の場合、1~6号機の非常用ディーゼル発電機計13機がすべて、地震約1時間後に故障停止したこと。想定では、地震が起きても各機が非常用発電機を融通しあって復旧するとしていたが全滅。
福島第二では、被害状況が確認できない、として海水を通すポンプなどが止まったまま。さらに福島第二では、放射線監視装置も3台のうち2台が停止。このため監視装置を積んだ車などを動かして放射線監視に当たっている。 東電は電源を確保して原子炉の温度を下げるため、保有する発電機車51台を現地に集め、発電の準備を進めている。(読売新聞)
・福島第2原発もトラブル=圧力抑制室の温度上昇
東電は12日、運転停止中の福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)の1、2、4号機で、圧力抑制室の温度が100度を超え、原子炉の圧力抑制機能が失われたと発表。現時点では、原子炉冷却水の水位は維持されており、外部への放射能の影響は確認されていないという。
・制御室1千倍の放射線量 正門付近は8倍 福島第一原発
経済産業省の原子力安全・保安院は12日朝に記者会見し、福島第一発電所の1号機(福島県億大熊町)で、原子炉建屋内にある中央制御室の放射線量が、通常の約1千倍に達していることを明らかにした。正門付近では、通常の約8倍となっているという。
保安院によると、中央制御室の通常の放射線量は1時間あたり0.16マイクロシーベルトだが、12日早朝の時点で150マイクロシーベルトに達していた。一方、正門付近では通常0.07マイクロシーベルトが0.59マイクロシーベルトだった。 通常、原発では建屋内にある原子炉格納容器から建屋に放射能が漏れ出ないように、建屋内より格納容器側の気圧を下げている。保安院は、この機能が失われているか、放射性物質が漏れ出ている可能性もあるとみている。
東電によると、1号機の原子炉内の水位は保たれており、炉内で想定外の核反応が起きている可能性は低いとしているが、政府は原発から半径3キロ以内としていた避難指示を半径10キロに拡大した。 一方、東電によると、福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)の1、2、4号機の圧力抑制室の温度が100度を超えていることがわかった。同室では冷却用の水で炉内の蒸気を冷やす機能があるが、これがうまく働いていないとみられる。原子力災害特別措置法に基づく緊急事態が発生したと判断。(朝日新聞)
・福島第一原発、中央制御室で1千倍の放射線量
自動停止した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の正門前で、放射線量が通常時の約8倍、1号機の中央制御室では、同約1000倍に達していることがわかった。 経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が12日午前6時過ぎ、記者会会見して明らかにした。 制御室の線量は毎時150マイクロ・シーベルト。そこに1時間いた場合の線量は、胃のレントゲン検診の約4分の1程度に当たる。
同原発1号機では、格納容器内(建屋)の圧力が異常に上昇し、同日午前6時現在、設計値の約2倍に達している。経済産業省原子力安全・保安院によると、この圧力の異常上昇は、圧力容器(原子炉)から放射性物質を含んだ水蒸気が建屋内に漏れたことで起きていると見られる。圧力の高まった水蒸気が建屋から漏れ出し、施設外建屋外の放射能レベルを上げている可能性が高い。 東京電力は、建屋の弁を開けて外に水蒸気を逃し、圧力を下げる方針だが、電源系のトラブルで実施できていない。 これを受け、政府は、午前5時44分、周辺住民の避難指示範囲をそれまでの半径3キロから10キロにまで拡大。(2011年3月12日 読売新聞)
・東電が電力不足 管内で停電の可能性 発電所停止相次ぐ
東電は、東日本大地震で発電所の停止が相次いでいるため、12日夕刻に、電力供給が需要に追いつかなくなるとの見通しを発表。 ほかの電力会社などから電力をゆずってもらうなどの対策をとるが、最悪の場合、東電管内の一部地域が停電になる可能性がある。 12日午後6時から午後7時の予想需要は3800万キロワット。これに対し、供給できるのは3500万キロワットで、300万キロワット足りなくなるという。
今回の地震以前の事件
・原発検査漏れ:東電に注意処分 保安院
各地の原発で機器の検査漏れが見つかった問題で、経済産業省原子力安全・保安院は2日、新潟県と福島県の3原発で検査漏れが見つかった東京電力に注意処分をした。 中国電力や中部電力での同様の問題を受け、東電は柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器の検査漏れがあったと保安院に報告していた。
保安院は、すべての発電所で点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していたとして保安規定に違反すると判断。同社に再発防止策の策定を指示した。(毎日新聞 2011年3月2日)