2011年7月14日木曜日

「脱原発依存社会」宣言をどう評価するか?

「脱原発依存社会」宣言をどう評価するか?

 枝野官房長官が、14日午前の記者会見で、菅首相の「原発に依存しない社会」宣言に関し、「より高い安全性で(当面)原子力を活用していくことを(首相発言は)含んでいる」と説明した。政府の方針は「「脱原発」と一線を画している」、と強調したらしい。
 極めつけは、官房長官の職にある者が、「「脱原発」社会については「遠い将来の首相の思い」などと説明したことである(時事通信より)。
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菅内閣支持、最低の12%=68%「退陣不明確に納得せず」―時事世論調査
 時事通信が7~10日に実施した世論調査によると、菅内閣の支持率は前月から9.4ポイント急落し12.5%となった。2月の17.8%を下回り、2009年9月の民主党政権発足以降、最低を更新した。不支持率は11.6ポイント増の71.2%だった。退陣を表明しながら時期を明確にしない菅直人首相への不信に加え、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐる政府内の混乱などが響いたとみられる。首相の一段の求心力低下は必至だ。
 調査は全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は66.1%。
 7月の内閣支持率は、01年4月の森内閣の10.8%に次ぐ低水準。東日本大震災の被災地での発言で批判を受け、松本龍前復興担当相が就任直後に辞任したことも支持率の大幅下落を招いた。不支持率も民主党政権で最悪。 首相が退陣時期を明らかにしていないことについて、「納得できない」が68.7%で、「納得できる」の18.6%を大きく上回った。
 今後首相に望む行動については「直ちに退陣」が37.6%で最多。以下、「11年度第2次補正予算案の成立後」の退陣が22.6%、「早期の衆院解散・総選挙」が11.5%、「引き続き政権運営に当たる」が11.4%、「再生可能エネルギー促進法案の成立後」の退陣が10.5%だった。
 一方、政党支持率は、自民党が15.0%(前月14.6%)、民主党が10.0%(同12.8%)。以下、公明党3.3%、共産党とみんなの党1.1%、社民党0.3%、たちあがれ日本0.2%。国民新党0.1%。支持政党なしは67.4%(同63.1%)だった。
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 何か、痛いほどの虚しさを禁じえないのだが、以下、書きかけの文章である。
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 昨日の菅首相の「脱原発依存社会」宣言をどう評価するか?
 私の知人の中にも、「脱原発」を首相が打ち出したこと自体は評価できるのではないか、と首相と内閣の退陣を求める私の主張に異論を唱える人がいる。むしろ、そういう人の方が多いかも知れない。

 「脱原発依存社会」宣言を考える参考資料として、全国紙三紙と地方紙の社説を取りあげることにした。
 とり急ぎ、毎日、朝日、読売新聞と新潟日報、北海道新聞の社説を紹介しておこう。私の意見は、新潟日報の社説の基調に最も近く、全国紙三紙のどの社説にも同意できなかったのだが、その理由は追って説明したい。

 一方、北海道新聞は、菅首相の「個人的表明」には深追いをせず、道民に対して脱原発の呼びかけを行っている。非常に「ポジティブ・シンキング」な社説で、私は好きだ。読者は、どの社説を好むだろうか。

〈新潟日報〉
「脱原発依存」 首相の提起に誠はあるか
 菅直人首相が13日夕、記者会見し、「原発に依存しない社会を目指す」と表明した。 福島第1原発の事故を通して「原子力のリスクの大きさと、安全確保という考え方だけでは律することが困難な技術であることを痛感した」と語り、原発への依存度を計画的、段階的に下げ、将来、原発ゼロとする方針を示した。 脱原発を求める世論と、電力の安定供給を望む産業界の両方を見据えた、現実的な判断といえよう。
 福島原発事故による放射能汚染の拡大と収束の長期化が明らかになるにつれ、脱原発の世論が急速な高まりを見せている。 6月に実施された全国世論調査では、原発の「廃炉推進」賛成が82%にも上っている。 原発の新増設などは国民感情からいって無理な状況にある。稼働中の原発も老朽化したものから順次、廃炉にしていかざるを得ない。 首相の「脱原発依存」宣言は、こうした現状を踏まえたものであろう。

 しかし、なぜか釈然としない。「宣言」に心がこもっていないと感じるのである。確たる信念と展望の裏付けを示さなかったのが、その理由だ。 首相の言動を振り返ると、節操のなさばかりが浮かび上がる。
 原発輸出を新成長戦略の柱に掲げ、ベトナムでトップセールスを行って得々としていたのは昨秋のことだ。 福島原発の事故が起きると「原発に詳しい」と言いだし、事故収束で一刻を争う時に現地視察を強行し、結果として事態の悪化を招いた。 「原発サミット」と呼ばれた5月の主要国(G8)首脳会議のころは、原発を日本のエネルギー政策の4本柱の一つに位置付けていた。 海江田万里経済産業相が全国の原発の安全宣言をすると、首相も「同じ考え」と語る。ところが突如、ストレステスト(耐性評価)を持ち出した。 場当たり主義も極まれりだ。世論をうかがいながら「脱原発」をパフォーマンス、延命の道具にしているとしか思えないのである。
 エネルギー政策をどうするかは、今後の日本の生き方を左右する国家的な課題である。そのための真摯(しんし)な議論を妨げているのは「首相の進退」という壁である。 廃炉時期などの数値目標も設定されず、脱原発を埋めていく再生可能エネルギー導入などの具体策も明らかにされなかった。 首相が「脱原発依存」を唱えるのなら、それを実現する土俵を整えるのが先である。 菅首相は、自らの提起の重さに気付くべきだ

・フクシマに学んで 脱原発社会へ踏み出そう
 菅直人首相は、原発のない社会を目指す考えを表明したものの、閣内の合意も具体策もなく、反発を受けると、腰砕けになった。 「菅おろし」の政局も絡み、原発政策の行方はいまだに不透明だ。  しかし、私たちは福島第1原発事故の過酷な被害を目の当たりにした。故郷を追われた福島県民は数万に上り、広範な地域で住民が放射能という見えない恐怖に脅かされている。
 汚染された環境は復元できないかもしれない。被害は甚大で長期に及び、見積もることさえ不可能だ。 人間の技術では制御しきれない原子力エネルギーに依存し続けることはもはやできない。  原発をなくす道筋を真剣に探る時が来ている。
*廃炉の工程表早急に
 電力供給の約3割を占める原発を直ちに全面停止すれば、混乱が予想される。段階的に進めざるを得ない。廃炉の手順を示す工程表を早急に作る必要がある。  当然、新設はしない。事故を起こした福島第1原発の1号機は運転40年目の老朽機だった。最長40年をルールとし、運転年数30年以上の原発の廃炉の検討から始め、活断層に近いものなどは繰り上げてはどうか。  代替電源として、自然エネルギーの普及を急ぐ。とりわけ現状で電源の1%にすぎない風力、太陽光、バイオマス、地熱などの育成に全力を注ぎたい。
 首相は、大型水力を含めて総電力の9%になる自然エネルギーの割合を、2020年代の早い時期に20%に高める目標を打ち出した。これを達成すべきだ。  風力などの電気を電力会社に買い取るよう義務づける再生エネルギー特別措置法案が、実現への第一歩となる。今国会で成立を望む。

*定着させたい省エネ
 自然エネルギーは世界的な成長産業で、現在は割高なコストも低下していくだろう。政策を総動員して、開発を加速させることが肝心だ。  原発が安上がりなエネルギーに見えたのは、国から陰に陽に支援を受けているからだ。  電気料金に上乗せされる電源開発促進税は、年間約3500億円に上る。これが電源立地交付金のほか、原子力政策の基本方針である核燃料サイクルの研究開発費に充てられている。
 使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、高速増殖炉やプルサーマル発電で使う核燃サイクルは、ほとんど破綻している。もう見切りをつけよう。  これまで先送りされてきた使用済み核燃料の最終処分も、避けて通れない問題だ。 再処理がもたつく間に、使用済み核燃料は各地の原発敷地内にたまり続けている。  万年単位の保管が必要な核のごみは処分候補地すらなく、技術も確立されていない。サイクルを放棄すると同時に、最終処分問題の論議を急がねばならない。
 既存電力会社の地域独占体制の見直しも検討課題だ。 発送電分離は新たな電力事業者の参入を促し、自然エネルギー普及のカギを握る。 送配電網は公共財だ。国有化も選択肢の一つではないか。  広まりつつある節電を一時の我慢ではなく、ライフスタイルとして定着させていきたい。生活が変われば、家電製品などの省エネ化も進み、産業界も活気づく。 「原子力が温室効果ガスを排出しないクリーンエネルギー」という言い方は、福島の大惨事の後では何の意味も持たない。結局、温暖化対策の王道も省エネだ。

*北海道こそ先進の地
 北海道も脱原発と自然エネルギーの振興に向けた独自の未来図を描くべきだ。 北海道電力の発電量のうち泊原発が占める割合は38%と高い。一方、道内の風力発電の潜在能力は全国一とも言われる。  家畜のふん尿や間伐材を使ったバイオマス、広大な土地を生かした太陽光など自然エネルギーの先進地となる可能性を秘めている。
 分散型の発電設備は、地域活性化にも役立つ。  泊原発で万一の事態が起きれば、1次産業と観光を振興の軸に据える北海道は立ち直れまい。脱原発の方針は、豊かな自然をアピールする武器ともなるのではないか。
 北電には、自然エネルギーの受け入れに最大限の配慮を求めたい。送電網の強化が必要な場合は、自治体や事業者と費用負担について誠実に話し合う姿勢が求められる。  脱原発が克服すべき課題は多岐にわたる。省エネや環境ビジネスの起爆剤となり得る半面、技術革新など不確定な要素も前提にしている。  「脱原発は非現実的」という声は根強い。しかし、破局におびえながら暮らす現実を受け入れるわけにはいかない。原発のない未来は、挑戦しがいのある選択だ。(北海道新聞)

〈毎日新聞〉
「脱原発」表明 目指す方向は評価する
 菅直人首相が13日、記者会見し、原発への依存度を今後、計画的、段階的に下げていき、将来的には原発がなくてもやっていける社会の実現を目指すと表明した。国のエネルギー政策を抜本的に見直す「脱原発」表明である。
 原発への依存を減らしていくこと、そして現実的にもそうした方向にならざるを得ないことは、私たちもこれまで何度も指摘してきたところだ。その考え方については基本的に支持し、評価したい。
 しかし、首相のこの日の会見ではあまりに具体性が乏しい。将来とは一体、いつごろを考えているのか。代替エネルギーをどうやって促進していくのか。何より、菅首相が「私自身の考えを明確にしたい」と前置きしたように、これは内閣、あるいは民主党も含めた政権としての方針なのか、はなはだ心もとない。 いずれ遠くない時期に退陣するであろう首相だ。まず、政府・与党としての考えをまとめる作業を急いでもらいたい。
 菅内閣では九州電力玄海原発の再稼働問題をめぐり、首相と海江田万里経済産業相との間で「不一致」が問題になったばかりだ。一連の経過に対し、首相は会見で「私の指示が遅れ迷惑をかけた」と改めて陳謝したが、今回の「脱原発」表明についても、早くも「どこまで閣内で議論をしているのか」という疑問の声が出ている。 もちろん、首相のリーダーシップで進めていくことは必要だ。しかし、民主党の執行部でさえ菅首相と距離を置き始め、絶えず退陣時期が焦点となっている現状を考えれば、個人的な意見の言いっぱなしで終わる心配がある。

 一方、菅首相は、企業や各家庭の節電の努力の結果、今年の夏から冬にかけては「十分に必要な電力供給は可能」と明言したが、もっと具体的な数字を挙げて説明しないと説得力を欠く。 さらに来年夏以降に関しては、天然ガスを使う火力発電所の活用などを挙げたが、「計画を立てていきたい」と語るだけだった。これでは、ただでさえ方針が二転三転する菅内閣に不信感を強めている産業界などは納得しない。
 国民の安全と暮らし、経済活動をどう保っていくか。確かに首相がいうように国民が選択すべき政治課題である。いずれは総選挙の大きな争点ともなるだろう。だからこそ、政権与党の責任として民主党の考えをまとめることが必要だ。 首相はこの日も退陣時期を明確にしなかったが、まさか「脱原発」を自らの延命の材料にするつもりはなかろう。次期代表を決める代表選でもきちんと論議すべきである。

〈朝日新聞〉
脱原発―政治全体で取り組もう
 菅直人首相がきのう記者会見し、「脱原発」をめざす方針を明確にした。「将来は原発がない社会を実現する」と初めて言い切った。  国策として進めてきた原発を計画的、段階的になくしていくという政策の大転換である。
 私たちは13日付の社説特集で、20~30年後をめどに「原発ゼロ社会」をつくろうと呼びかけた。首相は目標年次こそ示さなかったが方向性は同じだ。首相の方針を歓迎し、支持する。
 退陣を表明した首相が、国の根幹となり、社会のあり方を決めるエネルギー政策の今後を方向づけていいのかという意見はあろう。  確かに最終目標として原発廃に踏み切れるのか、何年かけて実現するのかといった点は、そう簡単に国民的な合意は得られまい。  だが、自然エネルギーを飛躍的に普及させ、原発への依存を減らしていく方針への異論は少ないはずだ。誰が首相であっても進めなければならない、焦眉(しょうび)の政治課題なのだ。  ただ、首相の今回の方針も、例によって内閣や民主党内の論議を積み重ねたものではない。脱原発の具体策を示したわけでもない。そのぶん、発言の唐突さは否めない。

 民主党はかつて原子力を「過渡的エネルギー」としていたが、政権をとった一昨年の衆院選で原子力利用に「着実に取り組む」と方針を転換している。菅首相も原発依存を高める計画を閣議決定し、原発の海外輸出を成長戦略に位置づけていた。 こうした経緯を総括し、まず民主党としての考え方を明確にしなければ、首相発言は絵空事になりかねない。 自民党は過去の原子力政策を検証する特命委員会を設けて議論を始めている。電力業界や経済産業省とともに経済性を重視し、安全性を犠牲にしてこなかったか。真摯(しんし)な反省が不可欠だ。それなくして、新しい政策は説得力を持たないだろう。
 エネルギー政策の転換を探る超党派の議員による勉強会も発足した。脱原発への機運は確実に高まっている。  だからこそ首相が交代した後も、この流れが変わらぬような道筋をつけてほしい。  最悪の原発事故が現実のものとなった以上、もはやスローガンを唱えるだけでなく、脱原発への具体的な手法と政策を真剣に検討しなければならない。  いまこそ、与野党を問わず、政治全体として脱原発という大目標を共有して、具体化へ走り出そう。

〈読売新聞〉
脱原発宣言 看板だけ掲げるのは無責任だ
 深刻な電力不足が予想される中で、脱原子力発電の“看板”だけを掲げるのは無責任だ。
 菅首相は13日の記者会見で、「原発に依存しない社会を目指すべきだ。計画的、段階的に依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現する」と述べた。 日本のエネルギー政策を大転換する方針を示したものだが、原発をどのように減らしていくのか、肝心の具体策は示さなかった。
 原子力発電を補う代替エネルギーの確保策が、不透明なままだったことも問題である。 首相は、太陽光や風力などの自然エネルギーを「ポスト原発」の有力候補と考えているようだ。 自然エネルギーの普及は促進すべきだが、現時点では総電力の1%にとどまり、発電量は天候などで変動する。コストも高い。
 量と価格の両面で難題を抱えており、近い将来、原発に代わる基幹電力の役割を担えるほど見通しは甘くない。 火力発電で急場をしのげても、燃料費がかさんで電力料金が上がれば、産業の競争力低下を招く。工場の海外移転による空洞化も加速して、日本経済は窮地に立たされかねない。 安全確保を徹底しつつ、原発利用を続けることが、経済の衰退を防ぐためには欠かせない

 首相はまた、当面の電力不足について、節電などで「この夏と冬に必要な電力供給は可能だ」との見通しを述べたが、その根拠についての言及はなかった。 企業の自家発電など「埋蔵電力」も活用できると見ているようだが、どの程度の供給余力があるのか、手探りの状態にある。 代替電力の展望もないまま原発からの脱却ばかりを強調するのは、あまりにも非現実的だ。
 原発のストレステスト(耐性検査)を巡る閣内不一致によって、九州電力玄海原発など、定期検査で停止している原発の再稼働に見通しが立たなくなっている。 首相が、ストレステストの判断が妥当なら「再稼働を認めることは十分にある」と述べたのは、当然のことである。 ただし、脱原発を掲げる政府が運転再開を求めても、地元自治体は戸惑うだろう。 首相には、福島第一原発の事故に伴う国民の不安に乗じ、脱原発を唱えることで、政権延命を図る思惑もあったのではないか。場当たり的言動が、多くの混乱を引き起こしている。首相は、そのことを自覚すべきだ。
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汚染水配管、完全にちぎれる…修理見通し立たず
 東京電力は14日、福島第一原子力発電所の汚染水処理システムが配管からの漏水で停止している問題で、ポリ塩化ビニール製の配管接続部が完全にちぎれていたと発表した。
 破損部周辺は、放射線量が毎時100~150ミリ・シーベルトと非常に高く、作業員1人あたり1~2分程度しか作業を続けられない。東電では同日中に稼働を再開したいとするが、放射線の遮蔽や作業方法について慎重な検討が必要で、修理の見通しは立っていない。 水漏れは13日、仏アレバ社製の放射性物質の凝集・沈殿装置で、薬液を汚染水に注入する配管で起きた。(読売)

浜岡原発再開は別検査で判断 官房長官「統一見解と違う次元」
 枝野幸男官房長官は14日午前の記者会見で、菅直人首相の要請を受けて運転を停止した中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)について、原発の再稼働に関する政府統一見解の枠外との認識を示した。政府統一見解では停止中の原発の再稼働には、比較的簡易な1次評価による安全確認をした後としているが、浜岡原発の再稼働にはさらに慎重に判断する考えだ。 枝野氏は浜岡原発について「停止要請したのは、地震の発生確率が高いためだ。それを前提にした対応が図られているのか。(政府統一見解とは)少し違う次元で検討する必要がある」と指摘。 浜岡原発の再稼働にあたっては、1次評価に加えて、別の検査によって安全を確認することが必要との考えを示した。(中日新聞より

関電、高浜原発4号機のプルサーマル発電見合わせへ
 関西電力は13日、高浜原発4号機(福井県高浜町、87万キロワット)で、プルサーマル発電を見合わせる検討に入った。7月下旬までに始まる定期検査が終わり次第、始める予定だった。国の原子力政策が揺れ、通常の定期検査中の原発の運転再開すら見通せない中、地元の同意が得られないと判断した。
 使用済み核燃料を再処理してリサイクルするプルサーマル発電は、毒性の高いプルトニウムを扱うことから反対論も根強い。プルサーマル計画の見合わせは、他電力会社の取り組みや国の核燃料サイクル政策にも影響がありそうだ。
 今回の定期検査ではプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を新たに装填(そうてん)する予定だったが、関電は従来のウラン燃料のままとする方向。高浜町でも懸念の声があり、関電幹部は「地元も判断を留保せざるをえない状況だ。無理はしないということだ」としている。(朝日)

脱原発 国は一貫戦略を/三村知事
 菅直人首相の「脱原発」表明を受け、三村申吾知事は14日午前、「首相個人の発言か、内閣で統一した見解か真意が分かりかねる。水、食料、エネルギーなど国家の基幹に関わる問題は、政府として具体的、一貫した戦略を示してほしい」との見解を示した。青森市の青森国際ホテルで行われた、県内原子力施設に関する安全対策の最終回の県民説明会で、参加者の質問に答えた。
 2番目に発言を求めた六ケ所村の男性は「豊かな生活を守るのが知事の役目だが、原子力の火を消したら本県はどうなるか慎重に考えてほしい」とし、知事の見解を求めた。三村知事は「首相の真意がぶれ、その場の思い付きなのか、意思決定の重要な機関である内閣の話なのか、分かりにくい」と述べ、二転三転する国の方針に疑問を呈した。 続いて発言した女性は「知事に脱原発をお願いしたい。経済よりも命」と発言、会場からは拍手が起こった。 県民説明会は、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、県内原子力施設の安全対策について県民の意見を聞くため県が主催した。(東奥日報