2011年7月15日金曜日

2011年7月14-15日の原発ニュース

2011年7月14-15日の原発ニュース

〈美浜〉
原発40年超運転、関電が手続きへ 福井の美浜2号機
 関西電力の八木誠社長は15日の記者会見で、2012年7月に運転40年となる美浜原子力発電所(福井県美浜町)2号機について、運転延長に必要な手続きを進める考えを明らかにした。原発の長期運転は40年を超す場合、1年前までに国に長期保全計画を提出する。美浜2号機の提出期限は今月25日で、八木社長は「22日ごろに出す方向で進めている」と述べた。
 原発の安全性を巡り、長期運転の影響が問われるなか、40年超運転の手続きを進めることは関連自治体などの反発を招く可能性もありそうだ。関電は10年11月、国内2例目として美浜1号機の40年超運転に入った経緯がある。ただ美浜2号機の運転を実際に続けるかどうかは、関電も態度を明確にしていない。

美浜原発1号機の後継計画先送り 関電社長「表明は難しい」
 関西電力の八木誠社長は15日、都内で開いた電気事業連合会の会見で、今秋メドとしていた美浜原子力発電所1号機(出力34万キロワット)の後継機計画は「現状で表明するのは難しい」と先送りする考えを明らかにした。 美浜1号機は昨年11月、国内2例目の40年超運転に移行。最長50年の運転で廃炉にする一方、同じ福井県美浜町に後継機を設けるかどうか、今秋に計画を示す方針だった。八木社長は判断延期の理由として、東日本大震災で後継機計画に向けた地質調査などを中止したうえ、「国のエネルギー政策の方針など状況が流動的」と説明した。
 原発の長期運転では、来年7月に40年超となる美浜2号機(出力50万キロワット)の運転継続に必要な長期保全計画を「国に出す方向」とも述べた。実際に2号機を40年超運転に進めるかは改めて判断する。 関電の原発運転の可否に影響力を持つ福井県の西川一誠知事は、1970年代に稼働した東京電力・福島第1原発の事故について、長期運転の影響を詳細に調べるよう国に求めている。関電は福井県はじめ地元自治体の意向を慎重に確かめながら、原発の長期運転計画を練る必要に迫られる。(日経)

〈福島第一関連〉
地域振興「脱原発」に 県復興ビジョン案まとめる
 県は15日、東日本大震災復旧・復興本部会議を開き、「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を基本理念に掲げた県復興ビジョン案をまとめた。県民10万人が避難を強いられた東京電力福島第1原発事故からの復興に向け、地域振興政策の基本方針をこれまでの「原発との共生」から「脱原発」に転換する。県民や県内全市町村、各種団体からビジョン案に対する意見を募り、8月8日に開く同本部会議で策定する。
 復興ビジョン案は7項目の主要施策で構成、「再生可能エネルギーの飛躍的推進による新たな社会づくり」を掲げ、各家庭や企業、団体への普及を促進する一方、再生可能エネルギーや分散型発電に適した高性能の次世代送電網(スマートグリッド)などによるエネルギーの「地産地消モデル」の確立を目指すとした。(福島民友)

福島県「脱原発」を宣言 被害拡大、共存を転換
 東日本大震災で被災し、東京電力福島第1原発事故による甚大な被害が続いている福島県は15日、東日本大震災復旧・復興本部会議を開き「脱原発」を基本理念に掲げた「復興ビジョン」を取りまとめた。1971年の第1原発1号機の営業運転以来、第2原発を含め10基と共存してきた福島県が正式に原発との決別を宣言した。
 菅直人首相も「脱原発」を表明してエネルギー政策の転換を主張。福島の復興ビジョンは国の原子力政策や原発関連施設を抱える他の自治体にも影響を与えそうだ。 資源エネルギー庁の立地担当者は「原発立地の自治体が脱原発を掲げたのは聞いたことがない」と話した。【共同通信】

福島第1原発:浄水システム一時停止 処理量は改善せず
 東京電力は15日、福島第1原発の汚染水浄化システムで、処理量が想定の7割程度にとどまっていることを受け、調査のためにシステムを一時停止し、配管を変えるなどの対策をした。約9時間後に再開したが、大幅な改善はみられなかった。 東電によると、システムの定格処理量は毎時50立方メートルだが、再開後も同39立方メートルにとどまっている。配管に高低差があって空気がたまっていたり、流れに抵抗が生じている可能性があるという。
 また、14~15日にかけて同原発2号機の使用済み核燃料プールの冷却機能が一時低下し、水温が5度程度上昇するトラブルがあった。調査の結果、冷却に使う配管にある手動バルブが閉まっていたことが分かり、原因を調べている。15日は作業員2人が熱中症と診断された。【毎日・八田浩輔】

来月9日に総決起大会 原発事故被災市町村議会連絡協議会 
 警戒区域や計画的避難区域、緊急時避難準備区域の自治体と伊達市の計13市町村議会でつくる福島原発事故被災市町村議会連絡協議会(会長・菅野善一田村市議会議長)は8月9日午後1時半から田村市文化センターで総決起大会を開く。14日に田村市議会で役員会を開き、決めた。
 当日は各議会の議員らが集い、各市町村の被災状況などを報告する。三春町在住で政府の復興構想会議委員を務める玄侑宗久氏(福聚寺住職、芥川賞作家)が講演する。国や東京電力に対し、福島第一原発事故の早期収束や風評被害の打開を求める大会決議を採択する。 各自治体の首長や国会議員などにも参加を呼び掛ける。(福島民友)

福島第1原発:野党の賠償金仮払い法案、参院本会議で可決
 福島第1原発事故の被害者への賠償金を東京電力に代わって国が仮払いする自民、公明など野党5党提出の「原子力事故被害緊急措置法案」は15日午前の参院本会議で、野党の賛成多数で可決された。民主、国民新、共産各党は反対した。 同法案は被害者を早期救済するため、東電が支払うべき損害賠償額の半分以上を国が仮払いし、後で東電に請求する内容。民主党は国に仮払いを義務付ける規定に難色を示しており、衆院で可決、成立するには与野党の修正協議が焦点になる。 地元自治体が「原子力被害応急対策基金」を創設した場合、国が財源を補助する規定も盛り込んだ。必要経費を総額約5000億円と見込んでいる。【毎日・岡崎大輔】

枝野氏、ステップ1「期限内に」 避難準備区域の縮小検討
 東京電力は14日、福島第1原発3号機の原子炉格納容器に、水素爆発を防ぐための窒素ガスの注入を始めた。17日に期限を迎える事故収束の工程表「ステップ1」には、原子炉の一定の冷却や放射性物質の放出抑制が盛り込まれていたが、枝野官房長官は14日の会見で、期限内に達成できるとの見通しを示した。 枝野長官は、事態の急変時に速やかに避難できるよう備えを求める「緊急時避難準備区域」の縮小(???)していることを明らかにしたが、具体的時期は言及しなかった。 一方、原子力安全委員会は同準備区域を縮小する前に、原子炉の冷却が長時間止まった場合の影響評価が必要との見方を示した。(共同)

福島第1原発:避難区域解除の条件「循環注水冷却」の安定
 班目春樹・原子力安全委員会委員長 内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は14日、臨時会議後の会見で東京電力福島第1原発から半径20~30キロの範囲に定められている緊急時避難準備区域解除の条件として、浄化した汚染水で原子炉を冷却する「循環注水冷却」のシステムが安定稼働する必要があるとの見解を示した。
 班目委員長は、水漏れなどで再三、運転が中断している冷却システムについて「普通の原子力施設の装置と比べるとはるかに脆弱(ぜいじゃく)」と指摘。「内的要因か地震などの外的要因で一定時間失われる可能性があり、そういう時でも本当に緊急時避難準備区域を解除していいのかしっかりとした説明が行われるべきだ」と述べた。 同区域については、細野豪志原発事故担当相が事故収束に向けた東電の工程表のステップ1が終了する7月17日の段階で「原子炉の冷却機能が安定し、水素爆発の危険性がない」ことを条件に解除できるとの見通し(???)を示している。

 また、原子炉から半径8~10キロを原発事故の「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)」と定めている防災指針を見直す原子力安全委の防災専門部会が14日、開かれた。EPZ外に放射性物質が拡散した今回の事故を踏まえ、部会では設定範囲を拡大する方向で見直し、今年度中に結論を出す方針。中込良広部会長は「早く結論を出せるものは前倒しで出したい」と述べた。部会の委員からは「範囲を一律に広げればいいのではなく、地方ごとに対応できる基準を設定(???)だ」との意見が出た。【毎日・比嘉洋】

3号機にも窒素封入開始 福島第一原発関連トピックス東京電力 原子力発電所
 東京電力は14日夜、水素爆発の事故を起こした福島第一原子力発電所3号機の格納容器への窒素の封入を始めた。窒素を入れ、水素を追い出すことで、再び爆発が起きる危険を減らす措置。(→つまり、1~3号機は「再び爆発が起きる危険」が、ずっとあったし、これからもある、ということ)。
 東電は事故収束に向けた工程表で、爆発事故を起こした1~3号機への窒素封入を7月中旬までに実施することを目標にしていた。 窒素封入は4月7日に1号機で始めて以降、2号機に続いて3基目。3号機は7月12日に、窒素の発生装置からホースを原子炉建屋に引き込み、格納容器を貫通する配管につないだ。
 窒素封入をした場合、格納容器内の放射性物質が外部に漏れるおそれがある。東電は発電所周辺への影響はほとんどないとしているが、窒素封入に先立って福島県や周辺の市町村に説明した。東電の実施計画について、経済産業省原子力安全・保安院は14日午前、安全性や外部への放射能影響に問題なしと判断した。 (朝日)
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 「保安院の独立・分離」を主張する首相・内閣の下で、これまでずっと、そして少なくとも今後も1年近く、保安院主導の原発「安全規制」が行われることに対し、なぜ政党や朝日を含む主要メディアは沈黙を決め込んでいるのか?

〈高浜・大飯〉
原発2基、21~22日に停止 関電の高浜4号と大飯4号
 関西電力は14日、高浜原発4号機(福井県高浜町、87万キロワット)が21日に、大飯原発4号機(同県おおい町、118万キロワット)が22日にそれぞれ運転を停止し、定期検査に入ることを明らかにした。関電の原発11基中、半数以上の6基が止まることになる。 高浜4号機などの停止は夏場の電力需給計画に織り込み済みだが、年末までにさらに3基が検査のため止まる見通し。関電は火力発電の増強などで不足分をカバーするが、燃料費高騰で発電コストの大幅増は避けられず、経営を圧迫しそうだ。(共同)

〈その他〉
東芝が汚染水処理装置納入へ 8月に稼働
 東芝は14日、東京電力福島第1原発の汚染水浄化システム向けに、放射性物質を取り除く装置を納入することを明らかにした。8月上旬から稼働する予定。装置の相次ぐトラブルで汚染水処理は難航しており、東電は新たな装置の導入で対策を強化する。 処理装置は直径1.4メートル、高さ3.6メートルの吸着装置を14本備え、汚染水の処理能力は1日当たり1200立方メートル。吸着装置内部の合成ゼオライトやチタンケイ酸塩が、汚染水から放射性物質のセシウムなどを除去する。
 東芝はこの日、京浜事業所(横浜市)で吸着装置の製造過程を報道陣に公開。駆動用のポンプを少なくすることで故障のリスクを抑えたという。 福島第1原発の汚染水処理は、水漏れでフランスのアレバと米キュリオンの2社の装置が停止するなどたびたびトラブルに見舞われている。 東芝の吸着装置は鉛を詰めた厚さ二十数センチの壁を設けることで放射能漏れを防ぎ、放射性物質を大量にためられるのも特徴。開発担当者は「キュリオン製に比べて交換頻度を5分の1程度にできる」と説明している。(毎日)

放射能汚染焼却灰、埋め立て基準緩和を検討 環境省
 環境省は14日、放射能に汚染された福島県内のがれきの処理方針を緩和する方向で検討を始めた。現在は、焼却灰に含まれる放射性セシウムが、1キログラム当たり8千ベクレル以下の場合だけに最終処分場での埋め立てを認めているが、10万ベクレル以下なら埋め立てられるようにする
 同省は「10万ベクレル以下なら安全性は高く(???)、有識者の意見を参考に早期に結論を出す」としている。同時に、周辺住民の年間被曝(ひばく)量が10マイクロシーベルトを下回るような対策も検討する。これまで8千ベクレルを超えた場合は、最終処分場などでの一時保管を求めてきたが、放射能に汚染された下水汚泥埋め立て後の周辺住民の被曝量について、政府が出した試算などをもとに判断した。 (朝日)

・リトアニアの新規原発、日立が優先交渉権 震災後初の新設案件進展
 日立製作所は14日、リトアニア政府から同国に新設する原子力発電所について、受注に向けた優先交渉権を獲得したと発表した。2011年末までの合意を目指す。受注が正式に決まれば、日立にとって海外で初めての原発プラント建設となる。また3月11日の福島第1原発の事故以来、世界で原発の新設案件が進展するのは初めてで、各国での原発建設再開に向けた動きに影響を与えそうだ。
 日立が優先交渉権を獲得したのは、同国北東部のビサギナスに新設する原発プラント。運転開始は20年の予定で、日立は130万キロワット級の最新型の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を提案する。日立と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社、日立GEニュークリア・エナジーと共同で事業を進める。
 これまでビサギナス原発の受注をめぐっては日立陣営と、東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)の2陣営が競ってきた。6月中旬には日立とWHの首脳がリトアニアを訪れ、受注獲得に向けた大詰めの交渉をしていた。
 リトアニアは旧ソビエト連邦時代に建設されたイグナリナ原発を09年末に閉鎖した。ロシアからのエネルギー供給依存の脱却を目指し、10年に新たな原発建設計画を表明。韓国電力公社だけが応札していたが、その後に取り下げていた。リトアニアは20年までに原発を新設するため、原発プラントメーカーと資金調達先を探していた。(日経)

原子力協定締結交渉見合わせ ブラジルなど5カ国と
 政府は14日、菅首相の「脱原発」表明を受け、ブラジルなど5カ国と進めてきた原子力協定の締結交渉を当面見合わせざるを得ないとの判断を固めた。原発輸出の前提となる協定締結を急げば「首相の方針と矛盾しかねない」(政府筋)ためだ。国際受注レースからの撤退だけでなく、国際的信用性の低下につながる可能性もある。民主党政権の「日の丸原発」輸出戦略は大きな岐路に立った形だ。
 交渉相手国はほかにインド、南アフリカ、トルコ、アラブ首長国連邦で、いずれの国との交渉も首相官邸からの明確な指示が出ない限りは、高官級協議の日程を入れない方向。(共同)
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 これは単に「ポスト菅まで一時凍結」ということでしかない。

九電 組織的やらせ謝罪 メール問題調査報告 3幹部相談し指示 投稿141人 賛成例文も配布 社長は続投の意向(西日本新聞)
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菅政権、リビアの反体制派承認へ 唯一の対話相手として 菅政権は、リビア北東部ベンガジに拠点を置く反体制派の代表組織「国民評議会」を「リビア国民を代表する唯一の正統な対話相手」として承認する方針を固めた。15日にトルコで開かれるリビア問題の「連絡調整グループ」会議で表明する見通し。
 外務省によると、現在もカダフィ政権が国家として存続しているため、反体制派組織を別の国家として承認するのは難しい。ただ、すでに米国、フランス、イタリア、カタールなど欧米や中東の主要国を中心に国民評議会を「唯一の正統な組織」と認める国が相次いでおり、日本政府も政治的な支持表明を通じ、「カダフィ後」の国づくりを後押しする構えだ。(朝日・松村愛)

・サイバー攻撃に軍事報復、米国防総省が戦略発表
 米国防総省は14日、外国からのサイバー攻撃への対応方針を示す「サイバー軍事戦略」を発表した。 サイバー空間を、陸、海、空、宇宙と並ぶ5番目の軍事作戦領域と定義し、攻撃に対応する「戦力」の強化を提言している。
 戦略を発表したリン国防副長官は、3月にサイバー攻撃によって軍需企業から2万4000点のファイルが流出する過去最大規模の被害があったことを明らかにして、「外国の諜報(ちょうほう)機関の仕業と思う」と指摘。「高度なサイバー能力はほぼ例外なく国家に属するものだ」(???)とも語って、新戦略が国家によるサイバー攻撃に対応したものであることを強調した。さらに、「米国は深刻なサイバー攻撃に軍事的に対応する権利を有する」と述べ、通常戦力による報復も辞さない方針を明言した。 【読売・ワシントン=山口香子】

・アフガン民間人犠牲最悪ペース 11年上半期1462人
アフガニスタンの政府当局者は14日、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)が南東部コスト州で夜襲を行った際に、民間人6人を殺害した、と語った。AP通信などが報じた。同州では市民ら約1千人が抗議デモを行った。  また、南部カンダハル州のモスクで同日、何者かが自爆し、内務省によると、5人が死亡、15人が負傷した。モスクでは12日に殺害されたカルザイ大統領の弟アフマド・ワリ・カルザイ氏の追悼式が行われており、同省は式を狙ったテロと見ている。  国連は14日、アフガンで今年上半期に戦闘などに巻き込まれて死亡した民間人が1462人に上り、2001年以降最悪だった昨年の同期に比べ15%増加したとの報告書を発表した。(カブール=五十嵐誠)

⇒「ポスト「3・11」の世界と平和構築」(6/19)
⇒「ポスト「3・11」の世界と平和構築(2) ~自衛隊よ、どこへゆく?」(7/7)