2011年7月12日火曜日

福島県が核燃料最終処分場に?

福島県が核燃料最終処分場に?

 停止中原発の再稼働を前提にした「ストレステスト」問題もさることながら、今日、とても気になる記事を読んだ。細野原発相が、福島第一原発の廃炉計画に触れ、福島県を取り出した核燃料の最終処分場にする可能性を示唆する発言をしたのである。
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・廃炉検討チーム、原子力委に設置方針…原発相
 細野原発相は12日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた中長期的な対策を検討するチームを、内閣府原子力委員会に設置する方針を明らかにした。 連休明けの19日に詳細を公表し、政府として具体的な計画作りに乗り出す。
 同原発の廃炉を巡っては、原子力委の近藤駿介委員長を中心に東電、プラントメーカーなどの関係者でつくる勉強会が中長期的な工程表の原案を作成。10年後に溶融燃料を取り出し、廃炉には数十年かかるとの見通しを示している。細野原発相は近藤委員長に新組織の設置を要請した。 取り出した燃料の処分場については、細野原発相は「福島県を最終処分場にすることは、慎重にしなければならないし、そうでない方法を模索しなければならない」と述べた。(読売)
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 「福島県を最終処分場にすることは、慎重にしなければならない」とはどういう意味か?
 「そうでない方法を模索」とは、「そうなる」可能性がある、ということではないか。
 脱原発宣言をした福島県に、核燃料最終処分場を建設する?
 これは「ストレステスト」に優るとも劣らない、重大発言である。
 細野原発相に発言撤回を求めると同時に、①溶融燃料、②使用済みおよび未使用の核燃料の処理問題に関する、菅政権の立場を明確にさせる必要があるだろう。
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 「福島第一原発:「今後10年間で処理費最大20兆円」?」より。
 ・・・はっきりしたことが二つある。
 一つは、原発はつくるのは簡単だが、今回のようなメルトダウン→廃炉という事態を引き起こしてしまえば、原発「先進国」たる米仏、そして東芝・日立製作所などの日本の原子力産業のテクノロジーの粋を結集しても手に負えなくなるということだ。
 とりわけ廃炉過程で浮上する、再処理もできず、「地層」にも「処分」できない使用済み核燃料と溶融した核燃料の「処理」については、その「工程表」を東電と国(原子力委員会および安全委員会)は打ち出し、この問題をめぐる国内外の不安と恐怖を早急に解消すべきである。(この問題は、同委員会の責任問題、また委員会「設置法」の抜本的改正問題を含めた今後の検討の中で、再度触れることにしたい)。

 もう一つは、原子力産業+ゼネコンにとり、メルトダウンした原発は建設時の数十倍も儲かる「金のなる樹」だということである。原発の建設費は一基3000億から5000億程度と言われているが、一市民にとっての原発が建設から廃炉まで半永久的に税金を食いつぶし、国の社会経済基盤を溶融しかねない代物であることが明白になった。

 青天井の「収束」→「廃炉」コストの「試算」に、ただただ私たちは青ざめて絶句し、思考停止に陥りがちになるが、「原子力緊急事態」とその後始末から逃げることができない以上、向き合わざるを得ない。長い、陰鬱な日常が始まろうとしている。
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原子力発電環境整備機構
地層処分事業について」「全国各地で展開された「地層処分」キャンペーン」知らぬ間に、あなたの街/町にも来ていたかもしれない。
⇒「原子力の廃棄物の安全な最終処分のために」日本原子力研究開発機構 
⇒「埋め捨てにしていいの?原発のゴミ」地層処分問題研究グループ
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リトアニア原発建設、日立と東芝の2陣営が応札
 リトアニア政府は1日(6/1)、同国の原子力発電所建設計画に、日立製作所と米GEの合弁会社であるGE日立ニュークリア・エナジー、および東芝傘下のウエスチングハウス(WH)の2社が応札したと発表した。リトアニア政府は応札条件を近隣のラトビア、エストニア、ポーランド、および欧州委員会と共に精査し、夏までに発注業者を選定する。
 計画している原子力発電所の発電能力は2200─3400メガワットとなる見通しで、リトアニア政府は2018─2020年までの建設を目指している。リトアニアは、旧ソビエト時代に建設されたイグナリナ原子力発電所を2009年末に閉鎖。その後2010年に新たな原子力発電所の建設に向け入札を行ったが、唯一応札した韓国電力公社(KEPCO)が応札を取り下げ、建設計画は宙に浮いていた。(ロイター)
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〈再録〉
福島第1原発:廃炉計画、東電や経産省に提案 東芝社長 (2011年4月14日)
 東日本大震災で被災した福島第1原発1~4号機の廃炉について、同原発の建設に携わった東芝の佐々木則夫社長は14日、「最短10年で撤去し、更地に戻す」との廃炉計画を東京電力や経済産業省に提案したことを明らかにした。米スリーマイル島の原発事故処理の経験を持つ米原発機器メーカー「バブコック&ウィルコックス(B&W)」や、東芝子会社である米ウェスチングハウス(WH)、米電力会社エクセロンなどとともに計画をまとめた。
 計画案によると、今年10月ごろまでに原子炉を安定的な冷却状態に持ち込み、外部施設や周辺のがれき撤去などを行う。最短で5年後に原子炉圧力容器内の破損した燃料棒の取り出し作業に着手。その後、建屋や圧力容器も撤去し、最短で10年後の20年に更地に戻せるとしている。原子炉内の状態も踏まえ、東電などと連携し詳細を詰める。
 東芝はWHやB&Wなどから技術者派遣を受け、1400人体制で福島第1原発の事故処理支援にあたっており、廃炉計画も共同で策定した。 原発の廃炉には20~30年程度かかることも珍しくないが、佐々木社長は「工程の進み方で16年程度に伸びる可能性はあるが、米国では同規模の原発を7年で解体した実績もある」と強調した。
 福島第1原発については、東芝と同じく建設を手がけた日立製作所も、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米ベクテルなど原子力関連企業と廃炉計画作りを進めている。【毎日・弘田恭子】
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「批評する工房のパレット」内関連ページ
⇒「福島第一原発の「廃炉工程表」はどうなったのか?」(5/26)