2011年6月17日金曜日

原発の「安全基準」と市民の「安心基準」(2)

原発の「安全基準」と市民の「安心基準」(2)


 明日で「3・11」から100日目を迎えようとするなか、全国各地の停止中原発の7月再稼働に向けた動きが加速している。国の狙いは、内閣府原子力安全委員会による「原発の安全設計審査指針」が策定される前に、3月のアリバイ的な「緊急安全対策」によって再稼働を強行し、ドミノ的な脱原発現象に歯止めをかけることにある。
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停止中の原発、政府が再稼働促す(毎日)
<玄海原発>佐賀知事、再開に前向き発言…慎重姿勢から一転
 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開問題で、佐賀県の古川康知事は17日の県議会一般質問で、「中部電力浜岡原発の停止要請問題を除けば、国の説明は一定程度理解できる」と述べ、国に求めていた再開条件が一部を除きクリアされた(???)との認識を明らかにした。これまで古川知事は一貫して運転再開に慎重姿勢だったが、初めて前向きな考えを示したものだ。
 一方で、古川知事は浜岡原発の停止問題について「海江田万里経産相の説明が必要だが、まだその段階ではない」と述べ、納得できていない再開条件に浜岡問題が残っていることを強調。今後、経産相との会談時期や、経産相がこの問題に関して知事にどう説明するかが焦点となる。 運転再開問題を巡り、古川知事は国に対し
(1)福島原発事故は地震による影響はなかったか
(2)なぜ浜岡原発だけに停止要請したか
(3)MOX(ウランとプルトニウムの混合酸化物)燃料を使用していたことによる環境への影響の有無--の3点について疑問を呈し、これまで2回にわたって原子力安全・保安院から説明を受けていた。
(1)について古川知事は「庁内で一定の理解はできたが、専門家の意見も聞いて判断したい」と説明、(3)は「人体への影響が出るレベルにはない」と判断したという。ただ、(2)に関しては「このままでは理解できない。最終的には経産相の説明が必要だ」と述べた。【毎日・竹花周】
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 福島第一原発のメルトスルーを受け、国は原発の「安全基準」の「抜本的見直し」をはかると一方では言いながら、他方では新「基準」をまとめる前に、再稼働に向けた対自治体工作を強めているわけである。ところが、私たちは自治体の再稼働決定/否決に対する参加権や、承認/不承認の決定権を持たない。抗議/賛同の意思をデモや集会で示し、電話・ファックス・メールなどで伝える以外に、実質的にはなす術がなく、自治体の決定に委ねるしかないのが実情だ。「3・11」以前と何も変わらないこの現実をどう変えるか。変えられるか。このことが日本の脱原発運動に、今、問われているのである。

 「レベル7」に対応するどころか、「3・11」にさえ対応できない、見せかけの「緊急安全対策」によって国と電力会社は再稼働をたくらんでいる。しかも、「原発推進の経産省の中に原発の安全規制をはかる原子力安全・保安院があるのはおかしい、分離すべきだ」という議論をしてきたはずなのに、その保安院が「安全検査」「審査」をしている矛盾を、マスコミは取り上げない。北海道庁・各県庁・知事をはじめ、すべての立地自治体が、原発推進派の資源エネ庁と原発推進派の保安院を相手にしながら、再稼働の「安全」問題を云々しているのである。何と言う茶番を、みんなこぞって演じていることか。

 この「茶番」、国と自治体が互いに責任のなすり合いをしながら互いの責任を回避し、犠牲をすべて地元住民/市民におしつけるというこの「茶番」を、現行の政党政治の枠組みではやめさせることができない。日本における脱原発の「政治的受け皿の不在」の問題である。「脱原発」を掲げる共産・社民・無所属の議員が国会と地方議会で多数派を占める、そんなことがいつか起こりうるとしても、今のこの「不安全・不安心」状態を放置することはできない。これまでがずっとそうであったように、今後もほとんど期待できそうにない、そんな遥か未来の可能性に賭ける時間と心の余裕は、少なくとも私にはない。

 この現状を何とかするには、最終的に立地自治体を利益誘導によって抱き込み、周辺市町村と道県レベルに金をばら撒き、「不安全・不安心」の原発が次から次に建設されてきた、「原発の政治経済学」をどうにかする以外にない。「脱原発」を掲げる共産・社民・無所属の議員・党員・支持者も、どうかこれを真剣に考えて欲しい。
 共産・社民のように「2020年までにすべての原発を廃炉にすることは可能だ!」と語ることは簡単だ。語るだけなら誰にでもできるし、私だって語ってもよい。語ってもよいが、実際にはそのようには動かない。申し訳ないが、「革命」でも起こるのでなければ、絶対にそのようには動かない。この国の官僚機構はもちろんのこと、民主・自民・公明にその他の小政党も、財界もその意思を持たないからである。社民党は「2020年までに廃炉」の「アクション・プログラム」を発表したが、そのための「アクション・プログラム」が必要なのだ。だから「では、どうするのか?」を考えるしかないのである。

 「原発の政治経済学」の対抗「科学」としての「脱原発の政治経済学」。それは、「原発は「安全」だから建設されてきたのではないし、「危険」だから廃止できるのでもない」ことを明らかにする「社会科学」の総称である。そして、その「テキスト」の「第一章」となるべきものが、「国策・民営」の原発建設に対する「市民の介入権right to interveneである。「戦後」の「不安全・不安心」の原発建設が可能であったのは、そういう原発建設に対する「市民の介入権」がこの国の「政治経済」によってブロックされ、否定されてきたことに根本的原因があったからである。

 私が「広域的住民投票制度の導入」を主張するのは、原発建設を始めとする「国策」の政策決定過程に対する「市民の介入権」を確立させるという問題意識に基づいている。しかしそのためには、まず現行の住民投票制度に構造的欠陥があることを、踏まえておく必要がある。つまり、日本の住民投票制度は、どれだけ市民が時間・労力・金を費やし署名を集め、投票を実施しても、開票結果の多数派の意思が行政に反映されない(住民投票に法的拘束力がない)仕組みになっているのである。
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再開問う住民投票 玄海町長、否定的
 玄海町の岸本英雄町長は13日、町議会一般質問で、九電玄海原発2、3号機の運転再開の是非を問う住民投票を実施すべきではないかとの質問に対して、「町議会の議論は住民の意見を反映している(???)」と否定的な見解を示した。 一般質問は、「玄海原発で福島のような事故が起きないという保証はない。住民投票やアンケートなどを実施して、住民の意向を確認したうえで再開の是非を決めるべきではないか」と町長の見解をただした。これに対し岸本町長は「町議会の原子力対策特別委員会の議論は住民の声を十分に反映している」と答えた。
 また、九電川内原発のある鹿児島県薩摩川内市周辺での九電などによる住民説明会と同じような説明会を、玄海町でも開くべきだとの議員の提案も退けた。 1日の特別委員会では、11人の議員のうち7人が玄海原発2、3号機の運転再開を容認する意向を表明。岸本町長はこれを受けて、再開容認の方針を固めている。岸本町長は、九電に意見を伝える時期については13日、「いつどう答えるかと、その根拠については、自分の中で消化して(???)電力会社に述べたい」と明言を避けた。(朝日・田中良和)
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 たとえば、過去の「プルサーマル」導入に反対する新潟や佐賀その他の住民投票あるいはそのイニシアチブが、県・市町村の首長・議会によって無視/覆されてきた事態に示されているように。もちろん、自治体が住民投票の結果を受け入れた場合もある。ここでのポンイトは、投票結果を受け入れる/入れないの決定権を自治体当局と議会(既成政党のパワーバランス)が握っており、投票結果そのものにない、という点である。

 しかし、「3・11」を経て、「身体と健康に明らかに影響を及ぼす放射能汚染」が原発から半径50キロ以上にまで及ぶことが明らかになった以上、再稼働をめぐる防災・避難対策およびこれらの根拠法の抜本的改正は不可避であり、それらの策定・承認にあたっては、従来その意思が問われなかった地域・自治体の市民の意思をまず問うのが筋ではないか。そのための制度改革に向けた議論を自治体レベルで始める必要があるのだが、それさえやらずに再稼働の動きを一部の自治体・議会が進めていることが問題なのである。

 どの自治体(道・県)も「再稼働一番乗り」は避けたいと考えている。しかし、新たな利益誘導策によってどこかが崩れるなら、総崩れになる可能性だって否定できない。
 停止中原発の7月再稼働問題をめぐり、今私たちが直面しているのは、脱原発という市民の多数派の意思が国と地方の行政に反映されない、この国の「かたち」や「民主主義」なるものの実態、その〈壁〉である。 「いざ」というときに、市民/住民/の「安全・安心」を守るのではなく、「国策」を優先させようとする国と、財源確保を優先させようとする「地方公共団体」間の実に生々しい姿、両者の「角逐」である。 その「角逐」の茶番劇に目を奪われることなく、市民の「安全・安心」にとって本当のイシュー/アジェンダとは何かをしっかり考える必要があると思うのである。

〈原災法と原賠法の抜本的改正問題〉
 停止中原発の再稼働問題に関連し、意図的に隠蔽されている問題がある。それは、「原子力災害対策特別措置法」の抜本的改正問題である。「「自主避難」と「風評被害」」を参照し、少し「復習」をしてほしい。

 法律上の問題として言えば、「3・11」以後、こんなすべてが無茶苦茶で、グダグダな状況になってしまった根拠は、そもそもこの「原子力災害対策特別措置法」がメルトダウン→メルトスルーを想定した法律になっていないことにある。これをまず改正すること。このことがすべてに優先されるべき国の「措置」でなければならない。少なくとも、その作業に入る前に再稼働するなどというのは、市民の「安心」上、言語道断だと言うべきである。 

 まず、稼働中原発の停止、停止中原発の再稼働延期は、「措置法」第二十六条の「八」が規定する、「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)の拡大の防止を図るための措置」であること、つまりそうすることが国の「責務」であることをはっきりさせる必要がある。この「措置」を取りながら、
①、法の抜本的改正、
②、「3・11」を引き起こしてしまった過去の「原子力行政」の総括、
③、②に伴う行政機構上の解体→再編の方針を策定するのが、国が果たすべき第一の責任と言える。
(③の問題で言えば、この間、この問題で出てきているのは保安院の「分離」のみである。保安院を経産省から「分離」させたところで、新しい官僚機構がまた一つできるだけのことである。保安院の「分離」は、国の機関から完全に独立させた、市民の「安全・安心」を保障/保証する機関の設置につながらなければ、何の意味もない。)

 現行の原災法は、その「災害」定義が「レベル7」を想定していないこと、また「レベル1」から国際基準の「レベル8」までの各レベルに対応するものになっていないところに、根本的な限界性がある。
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地震の揺れ 2、4号機「安全保てる状態」
 東京電力は17日、東日本大震災の揺れが福島第1原発2、4号機の原子炉に与えた影響についての解析結果をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に報告した。想定した最大の揺れを超えた2号機では、燃料棒が設計基準の2倍の幅でたわんだが「(制御棒を挿入でき)安全機能を保持できる状態だった」とした。4号機の揺れは想定を下回った。1、3号機は来月末までに解析する。
 同原発は3月11日の地震で最大震度6程度の揺れに見舞われた。各号機の揺れの記録をコンピューターに入力し、圧力容器や配管など、安全上重要な機器への影響を解析したところ、燃料棒以外にも圧力容器や炉心を囲む構造物で基準を上回る負荷がかかっていた。
 東電は燃料棒のたわみについて「地震の周期と燃料棒が揺れやすい周期が重なった」と説明。他の機器については「余裕を持たせた設計の範囲内で、少なくとも地震発生直後は機器の損傷はなかった」と結論付けた。 保安院は解析結果の評価作業について原子力安全基盤機構に協力を依頼する考えを示した。また、原発全体の耐震指針を見直す可能性については「(解析結果を)他の原発に応用することはない」と否定した。【毎日・八田浩輔】
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 この点を踏まえた上で、次の問題は、国の政治・行政責任が極めて不明確な点にある。一言で言えば、「原発災害」が起こったときに、国はただ「事業所」と自治体に「指導」「指示」すれば良いのであって、事業所や自治体に対処決定を丸投げし、個々の決定に責任を負わない、少なくとも訴訟になった場合に、そう主張できる(例の「法令に基づいた措置」であり、「国に責任があるとは言えない/違憲ではない」というヤツのことだ)カラクリになっている。 

 原発を「当面」は廃絶できないという客観的事実に即し、その上で市民の「安全・安心」を少しでも確保するためには、こういう原災法の抜本的改正が最初に取り組むべきイシュー/アジェンダとなる。

⇒「脱源派の試練」
⇒「原発の「安全基準」と市民の「安心基準」」より
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福島第1原発:80キロ以遠の放射線マップ公表…文科省
放射性セシウム:汚泥、9都県で1万トン超
保安院:各原発に立ち入り検査 過酷事故対策を評価へ
 経済産業省原子力安全・保安院は15日、福島第1原発事故のような設計基準を超える過酷事故対策について、全国の電力会社など11事業者が進捗(しんちょく)状況を報告したのを受け、各原発への立ち入り検査を始めた。検査結果を基に、早ければ週内にも対策が妥当かどうかの評価結果をまとめる。 立ち入り検査は15、16両日の予定で、15日は関西電力大飯・美浜・高浜(いずれも福井)、北陸電力志賀(石川)、中部電力浜岡(静岡)、九州電力玄海(佐賀)、同川内(鹿児島)など、16日は北海道電力泊、東北電力東通(青森)、日本原子力研究開発機構「もんじゅ」(福井)など。
 保安院は福島の事故の教訓(???)から、停電時の備えや水素爆発の防止策などの進捗状況の報告を指示。各社は14日、停電でも使える通信手段の確保や防護服の配備、水素爆発を防ぐため建屋の屋根に穴を開ける機材の配備などの具体策を報告した。(毎日)

九電「原発再開させたい」 住民に回答
 福島第1原発の事故を受け、九州内の原発の稼働停止などを求めた県内の住民らからの要望に対し、九州電力は15日、「引き続き安全対策に取り組み、現在、停止中の原発は再開させてもらいたい」として、原発の稼働に理解を求めた。 要望は4月26日、脱原発大分ネットワークのメンバーらが出した。この日、九電大分支店(大分市金池町)を訪れた約20人に対し、九電側は「福島の事故で新たに事故原因などが分かれば、迅速、適切に対応する」と強調。原子力から自然エネルギーへの転換については「自然エネルギーの導入に後ろ向きなわけではないが、一足飛びに転換するのは難しい」と伝えた。 住民側からは「今、止めなければ、いつ原発を止めるのか」「可能性の段階であっても原発の危険性について住民に説明するべきだ」「大地震があれば九州でも同じような事故が起きるのではないか」などの声が出た。(佐賀新聞)

「脱原発」の意見書可決 福岡県糸島市議会
 福岡県糸島市議会は16日、福島第1原発事故を受け、原子力エネルギーから自然エネルギーへの転換を推進するよう国に求める意見書を全会一致で可決した。糸島市の一部は九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)から20キロ圏内に位置している。 意見書は、原子力エネルギーから太陽光などの自然エネルギーへの転換を国策として推進することや、EPZ(防災対策の重点地域)の拡大など、国の防災指針見直しの必要性を指摘。
 また、玄海原発2、3号機をはじめ現在休止中の原発の運転再開に当たっては、万全の防災体制の確立を前提に対応するよう求めている。(共同通信)

泊原発の対策検査 保安院(06/16 17:30)
 東京電力福島第1原発の事故を受け、原子炉の炉心損傷などの重大事故を想定した安全対策の実施状況を確認するため、経済産業省原子力安全・保安院は16日、北電泊原発(後志管内泊村)を立ち入り検査した。 保安院は、政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した福島第1原発事故の報告書に基づき、7日に重大事故防止の安全対策を電力各社に指示。北電が14日に対策を保安院に提出したことを受け、検査を行った。 検査に入った泊原子力保安検査官事務所の高橋正裕所長ら3人は、津波で構内の道路に散乱したがれきを撤去するため配備された重機の動作を確認。全電源喪失時でも連絡用の構内電話を使えるようにする小型発電機の起動テストを行った。(北海道新聞)

MOX燃料製造 来月にも 泊プルサーマル 北電、国に申請
 北海道電力は20日、泊原発3号機(後志管内泊村、出力91・2万キロワット)で計画中のプルサーマル発電で使用するプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料体製造のため、経済産業省原子力安全・保安院に輸入燃料体の検査を申請した。6月下旬以降、委託先のフランス・メロックス社で製造を始める予定。 国は電力会社に、輸入MOX燃料の製造開始1カ月前までに申請を行うことを義務づけており、経産省が仕様や性能を書類で審査する。経産省によると東日本大震災後、MOX燃料製造のための検査申請は初めて。(北海道新聞5月21日)

保安院が伊方原発立ち入り検査
 四国電力が伊方原発(伊方町)のシビアアクシデント(過酷事故)対策をまとめたことを受け、経済産業省原子力安全・保安院は16日、実施状況を確認するため現地を立ち入り検査した。福島第1原発事故では水素爆発で高い放射線量のがれきが飛散したことから、撤去作業に使うショベルカーの配置状況などを見て回った。  検査は伊方原子力保安検査官事務所の宮本典明所長ら3人が担当し、津波の影響を受けない海抜84メートルの高台に置かれたショベルカーを確認した。事務所内では、線量計の保管状況について質問。四電社員は「緊急時にすぐに取り出せるよう鍵はかけていない」と説明した。
 すべての電源を喪失し、既設の通信設備が機能しなくなった場合を想定して配備したトランシーバーなどの通信テストも実施した。  福島の事故を受け、保安院は電力各社に、炉心損傷などの過酷事故への対応策をまとめるよう指示。四電が14日、国に報告書を提出していた。  四電は今後、高濃度の放射性物質を遮断する防護服10着(!!)を配備するほか、約3年後をめどに(!!)水素爆発を防ぐ装置を格納容器内に設置するとしている。  保安院は今後、立ち入り検査などを基に評価結果をまとめる。(愛媛新聞)
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 「線量計」「トランシーバー」「防護服10着」・・・。そういう「レベル」の問題? 「水素爆発を防ぐ装置」の格納容器内への設置が「3年後」になるなら、最低それまでは停止すべきなのではないか。

川内原発再開 保安院が薩摩川内市に対策説明
 原子力安全・保安院は13日、薩摩川内市議会全員協議会で、川内原子力発電所の津波に対する緊急安全対策の妥当性を説明した。8月中旬の運転再開を目指し定期検査中の川内原発1号機について、県への説明(6日)と同様に、「再開は安全上支障ない」とした。 同市議会への説明は福島第1原発事故後初めて。協議会には、同市の全34議員や岩切秀雄市長、保安院の山本哲也原子力発電検査課長らが出席した。(南日本新聞)
川内原発再稼働問題(南日本新聞)
中部電力社長、福井県知事にインタビュー(毎日)

原発廃炉で法整備検討=冷温停止、年内にも―菅首相
 菅直人首相は17日の参院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第1原発の廃炉に向けた作業に関し「(期間は)何年単位、費用も場合によっては相当になる」と指摘した上で、「特別な法律体系を作って最後まで責任を持つ体制が必要なのか検討を始めた」と述べ、廃炉への国の関わり方を明確にするための法整備の検討に入ったことを明らかにした。
 原子炉の安定(???)時期について、首相は「大量の水を循環させられるようになれば、比較的早い時期に温度が下がってくるのは間違いない。(来年)1月を待たずして冷温停止状態になり得る条件が出てきている」と述べ、年内にも実現できるとの見方を示した。民主党の増子輝彦氏への答弁。東電が同日発表した事故収束に向けた工程表の改訂版でも、4月を起点に「6~9カ月後」に原子炉を安定させるステップ2を堅持している。(時事)
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①「脱原発」を打ち出した福島県の「復興ビジョン」を尊重し、第一原発・第二原発すべての廃炉・解体方針を国として早急に宣言すべきである。
②私にはどうしても理解できないのだが、廃炉にかかる年数、「相当になる」費用の実態が明らかになっていないのに、どうしてそのための法律を「整備」することができるのか。少なくとも試算・概算がなければ不可能なはずだ。ということは、ここでもまた菅内閣は情報を隠蔽している公算が強い、ということになる。
③それと、「大量の水の循環」→「水温の温度低下」→「原子炉の安定」→「冷温停止」というシェーマの「科学的根拠」も、未だに私には理解することができない。「安定」と「停止」の定義が科学の常識を超えているのか、それとも奇跡の秘策、あるいは隠蔽している情報がまだあるのか。あるなら早く、きちんと開示してほしいものだ。 

「高濃度汚泥」保管に限界 最終処分の明示求める
 国が16日に汚泥の処分基準を示したことに対して、県は1キロ当たり10万ベクレル以上の放射性セシウムが検出された「高濃度汚泥」について具体的な処分方法が示されなかったことに「各施設で限界に近づいている。はっきりしてほしい」と早期の明示を求めた。県内の各処理施設を管理する自治体も、国がさらに明確な基準を示すよう求めている。
 汚泥から1キロ当たり40万ベクレル以上の放射性セシウムが検出された堀河町終末処理場を管理する福島市は現在、汚染された汚泥を施設内のコンクリート製の反応槽に一時保管している。いずれは保管場所も満杯になるため、「国に対して、具体的な処理について対応を求めていきたい」としている。

2水系の魚が基準超え 県、捕獲自粛を要請
 県と政府の原子力災害現地対策本部は16日、海水と河川・湖沼の内水面の21種36検体の放射性物資測定検査結果を発表した。 いわき市沖の魚介類4種と、真野川水系(南相馬市、飯舘村)と阿武隈川水系(福島、伊達市)の淡水魚4種8検体から、食品衛生法の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムを検出。県は、福島市の阿武隈川水系のイワナと、真野川水系のヤマメ、ウグイの捕獲自粛を要請した。魚介類は出漁しておらず、市場には出回っていない。(福島民友ニュース)

浜岡原発で細管43本が損傷 再循環配管から水噴出
 浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で先月発生した海水漏れトラブルで、中部電力は17日、タービンを回した蒸気を冷やして水に戻す「復水器」内で、冷却用海水を流す細管(直径約3センチ)43本が損傷、2本が変形していたと発表した。 中部電によると、復水器には約2万1千本の細管がある。損傷した細管から約90センチ離れた位置に再循環配管の金属製ふたがあり、ふた近くの溶接部分が破断、外れていた。さらに溶接部分の周辺に、小さな傷があるのが確認された。
 中部電は配管の溶接の際に、誤ってできた傷が金属疲労から破断、この部分から噴き出した水と蒸気が細管を損傷したとみて、詳しい原因を調べている。 トラブルは先月14日夕、政府の要請を受けた原子炉の停止後に発生。海水約400トンが復水器内に流入し、原子炉に約5トンが流れ込んだとみられる。当時、再循環配管には1時間当たり約530トンの水が流れていた。 中部電は近く、再発防止策をまとめ、本年度中に海水の除去作業を終えるとしている。(共同)

環境省、再生エネ導入に半額補助 普及加速へ提言
 環境省は17日、風力や太陽光など再生可能エネルギーの普及加速に向けた政策提言をまとめた。地域で大規模導入を図る民間事業者に経費の半額を補助する事業の12年度からの実施などが柱。全国数カ所のモデル地域を公募する方針で、12年度予算の概算要求に数十億円を盛り込む。
 東北地方での普及拡大に向け、東日本大震災の被災自治体が学校や公民館などの指定避難所や自治体庁舎に太陽光パネルなどを導入する際、全額を国が負担する制度の新設も検討。11年度補正予算案に必要経費を盛り込む方向で調整する。【共同通信】
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 省庁「共管」かつ「縦割り」の「エネルギー行政」では何も変わらない。この認識が基本になければならないだろう。