2014年2月15日土曜日

東海第二原発訴訟と再稼働問題

東海第二原発訴訟と再稼働問題

【関連サイト】
日本原電
東海第二発電所 新規制基準適合性確認審査申請に関する自治体への事前説明資料(概要版)の掲載について(2014年04月22日)

●「東海第二原発運転差止訴訟 ~裁判報告2013.6.6~」(水戸翔合同法律事務所)
●「さよなら原発いばらきネットワーク
●「リリウムの会
●「東海第二原発再稼働反対と廃炉を求める有志の会

東海第二の適合審査資料、HPで公開 
 市民グループ「直接説明を」
 東海村の東海第二原発の適合審査申請をめぐり、事前の説明資料を非公開にし続けてきた日本原子力発電(原電)は二十二日、資料をホームページ(HP)で公開し、方針を一転させた。
 県庁で会見した原電茨城総合事務所の大森佳軌(よしのり)副所長は「首長の要請を全く無視するわけにはいかない」と釈明。一方、市民グループは、HPでは対応は不十分として直接の説明を求めた。 (妹尾聡太、林容史)

 原電によると、資料は三月に覚書を交わした立地・周辺十一市町村に配布した概要版と同じもの。十七日の十一市町村長らとの協議で、「住民や議会への情報提供を」と口頭で要請され、HP掲載を決めた。
 大森副所長は「要請を踏まえて検討した結果、概要版の公表が一番適していた」と説明。文書などでの正式な申し入れの前に、独自に提供方法を判断したことには「まずはできるところを速やかに対応する」と述べた。
 さらに簡易な資料も作り、新聞の折り込みチラシの形式で、今週内にも原発からおよそ三十キロ圏にある十五市町村の四十万世帯に配布する。一方、市町村議会には国に正式に申請した後に説明するとした。

◆山田村長は一定の評価
 HPなどによる申請内容の事前公表に、山田修東海村長は一定の評価をし、自治体側が行った五項目の申し入れ全体の回答を待って、今後の対応を検討する考えを示した。
 申し入れのうち、以前から求めている原子力安全協定の見直しについては「見直しが避けて通れないことは原電も理解している。後は見直しの中身」と指摘。原電との再稼働協議に、東海村と県以外の周辺自治体も加われるよう、権限拡大を目指すことを、あらためて強調した。

 今回の情報提供に、脱原発を訴える市民グループ「未来への風・いちから」の荻三枝子代表(60)は
 「この程度の情報を秘密にしてきたのか。『住民に説明した』という言い訳にしかならない」と憤り、「原電は住民に面と向かって説明し、質問に答えるべきだ」と主張した。
 グループは、申請内容の事前開示と、適合審査申請に反対するよう山田村長に要請してきた。荻代表は原電に対し、
 「事故を起こした時、住民の避難を第一に考え、いち早く情報を公表する企業なのか大いに疑問。東海第二原発は東日本大震災の被災原発で、半径三十キロ圏に百万人近い住民がいることを、どれだけ真剣に考えているのか」と不信感をあらわにした。(東京

東海第2原発:再稼働申請 11市町村長、可否判断を保留
 住民へ情報開示など、5項目要請
 東海第2原発の安全審査(再稼働)申請を巡り、周辺の11市町村長は17日、住民への情報提供が不十分などとして、日本原子力発電に申請可否の判断を保留にすると伝えた。
 市町村長側は情報開示に加え、安全協定の見直しなど計5項目を要請。5項目の回答結果を待って、申請可否を判断する方針を示した。【蒔田備憲、岩嶋悟、佐久間一輝】

 この日は、原子力所在地域首長懇談会と県央地域首長懇話会を構成する11市町村長(常陸太田市は副市長)が水戸市笠原町の県市町村会館に集まり、日本原電茨城総合事務所の山本直人所長から安全審査申請の準備状況の説明を受けた。その後、市町村長で会合を開き、「保留」方針を決定した。

 両会合はいずれも非公開で開催。出席者によると、日本原電は「未確定の内容」などとして、市町村への説明内容を公表しないよう要請。これに対し、市町村長側は「住民への説明責任を果たせない」などとして、住民への説明前に可否判断をすることに難色を示す意見が相次いだという。
 このため、市町村長側は
申請前に住民に情報提供を行うことのほか、
▽申請は再稼働に直結しないことを確認する
安全協定の見直しを早急に行う
審査の状況をきちんと情報提供する
使用済み核燃料の問題に対応する−−ことを日本原電に要求した。

 東海村の山田修村長は「『首長に説明したからオーケーだ』ととらえられてしまうのは不本意」と住民への情報開示の重要性を強調。
 水戸市の高橋靖市長も「議会や住民は日本原電がやろうとしていることを何も知らない。納得する回答、資料を持ってきた時点で(申請を)了承する」と口をそろえた。
 山本所長は「出せる資料は出し、早急に回答したい」と話した。

 ◇新組織設立を UPZ圏内の自治体
 東海第2原発から半径30キロのUPZ(緊急防護措置区域)圏内に位置し、原子力所在地域首長懇談会などに加入していない4市町からは「懇談会などだけでなく、UPZ圏内の自治体全体で調整するべきだ」として、UPZ圏内の新組織設立を求める声が出ている。
 UPZ圏内の未加入は常陸大宮市▽高萩市▽鉾田市▽大子町の4市町。常陸大宮市の三次真一郎市長は「3市町長と連携し、橋本昌知事に設立を要請する」としている。大子町の益子英明町長も賛同する意向を示した。(毎日

4/17
・日本原電、来週にも申請へ 東海第2原発の審査
 日本原子力発電が、再稼働に向けて東海第2原発(茨城県東海村)の規制基準に基づいた審査を、来週にも原子力規制委員会へ申請する見通しであることが16日、関係者への取材で分かった。

 原電は17日に開く説明会で原発周辺の11市町村長から理解を得た上で、その後茨城県と東海村に新増設計画書を提出し、規制委へ申請する。申請すれば9電力会社の11原発18基目となる。
 原電が運営する3基の原発のうち、申請は初めて。東海第2原発は東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉で、大震災では、津波により非常用発電機のポンプの一部が被害を受けた。(共同)

2/25
安全審査申請前に説明 異例の覚書締結へ
 茨城県の東海第二原子力発電所について、事業者の日本原子力発電は原発の安全性を確認する国の安全審査を申請する前に内容を説明するとした覚書を、来週にも立地や周辺の11市町村と交わすことになりました。 原発の事業者が、周辺市町村とこうした覚書を交わすのは異例です。

 この覚書は、原発が立地する東海村のほか、周辺にある水戸市など合わせて11の市町村が日本原子力発電に求めていたものです。 覚書では、日本原子力発電が原子力規制委員会に原発の安全審査を申請する場合、11の市町村に内容を事前に説明し、このうち、より原発に近い6つの市と村に対しては申請に理解を得ることが盛り込まれています。
 原発の事業者が審査の申請について、立地以外の周辺市町村と覚書を交わすのは全国的にも異例で、各地の原発への影響が注目されます

 覚書によって、周辺市町村の発言力が増すことになりますが、日本原子力発電は原発の運転再開が経営の課題で、市町村側が求める覚書を断れないとみられています。
覚書の締結は来月5日を軸に調整が進められていて、日本原子力発電は市町村に説明したうえで、運転再開を目指して来月中にも審査を申請したい考えです。
しかし、東海第二原発では事故で避難する可能性がある半径30キロ圏内の人口が100万人近くと全国で最も多く、市町村の避難計画はほとんど進んでいないうえ、運転再開も見通せない状況です。(NHK

2/14
・東海第二原発訴訟 原電が安全審査申請へ 第5回弁論      
 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発をめぐり、周辺住民らが原電と国に運転差し止めなどを求めた訴訟の第五回口頭弁論が十三日、水戸地裁(新谷晋司裁判長)であった。
 原電は、原子力規制委員会が設けた津波対策の審査ガイドに従って、東海第二原発の安全審査を申請する考えを明らかにした。 (東京新聞 妹尾聡太)

 昨年十月の第四回口頭弁論で原告側は、規制委と原電の津波想定を整合させると、最大規模(マグニチュード9・6)の地震で五十メートル超の津波が起こる可能性があると指摘。高さ十七メートルの防潮堤の造成を進める原電に説明を求めていた。
 原電は今回、安全審査申請の「準備を進めている状況」とし、申請内容については規制委のガイドに「沿ったものとしたい」と回答した。想定する津波の高さや申請時期には言及しなかった

 原電が再稼働に向けて動いていることに、原告側弁護団は閉廷後に開いた会見で
 「再稼働した後に裁判の結論が出るのは我慢できない。申請を横にらみしながら裁判は進むだろう」と述べた。
   このほか今回の口頭弁論で原告側は、東海第二原発の耐震設計を行うにあたって、最大規模の地震が重視されなかったことなどを批判。「原電の想定は不十分であり、耐震安全性は確保されていない」と主張した。
 二〇一一年三月十一日の地震後、同原発が津波で一部の電源を喪失しつつ、冷温停止に至った経過を示すデータを詳細に提示することも要求した。

 一方、設置許可の無効確認などを求められている国は、これまでに実施した安全審査について「原電の申請書、添付書類に基づいて調査審議をした結果、指針類に適合するものと判断した」などとして、設置許可は適法だと主張した。次回口頭弁論は五月十五日に行われる。

・東海第二原発、再稼働申請へ…地元は了承見通し
 日本原子力発電は3日、東海第二原子力発電所(茨城県東海村、110万キロ・ワット)の再稼働に向けた安全審査について、3月末までに原子力規制委員会に申請する方針を固めた。
 原電の保有する原発3基はすべて停止しており、再稼働で経営再建を目指す考えだ。

 東海村や水戸市など地元自治体は今後の調整を経て、申請を大筋で了承する見通し。原電と地元自治体は、地元の同意を再稼働の前提とする原子力安全協定の改定について、今後協議する覚書を交わす方針だ。

 原電は、敦賀原発(福井県)1号機が運転開始から40年を経過したほか、2号機も真下を走る断層が「活断層」と規制委に指摘され、再稼働が難しくなっている。   再稼働の時期は明確に見通せないが、原電は東海第二の再稼働を目指す姿勢を明確にし、電気を購入する契約をしている東京、関西、中部、東北、北陸電力に、設備の維持費などの支払いを求める方針だ。 (読売 2月4日)

・東海第2原発:再稼働問題 原電担当者発言に県議から批判の声
 稼働35年目の日本原子力発電東海第2原発(東海村)を巡り、原電担当者が
「(再稼働を)1回申請すると、(運転期間を)20年延長できる」と発言していたことが17日、分かった。
 再稼働も決まっていない中、期間延長に触れた原電側の姿勢に対し、県議からは「大いに問題だ」と批判の声が出ている。 同日開かれた県議会防災環境商工委員会で大内久美子県議(共産)が明らかにした。

 大内県議によると、共産党県委員会が7月、再稼働を巡る要請書を提出した際、対応した原電東海事務所の担当者が発言。県が発言の有無と真意を確認したところ、原電側は発言を認め、「一般的なルールを申し上げた。再稼働については何も決まっていない」と釈明したという。
 改正原子炉等規制法などによると、原発の運転期間は原則40年としており、1回に限って20年を上限に延長できる。(毎日 2013/10/18  岩嶋悟)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒2013年5月25日 「「判断ミス」? 「軽い気持ちで」? ~「J―PARC」(東海村)の放射能漏れと被曝
⇒2012年3月20日 「東海村の「原子力センター」構想
⇒2011年10月12日 「村上東海村村長が東海第2原発の廃炉を要望
⇒2011年7月14日 「東海第2原発の再稼働中止と廃炉を求める署名」 

・・・
3/6
・安全審査申請前に理解
 日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)の原子力安全協定見直しをめぐり、周辺11市町村が参加する二つの首長会と原電は5日、協定改定までの暫定措置として覚書を締結した。
 東海第2の安全審査を国へ申請する前に、原電が周辺自治体に十分説明し、理解を得ることなどが内容。原発事業者が同様の趣旨の覚書を周辺自治体と結ぶのは異例で、東海第2の再稼働に高いハードルが設定された形だ。

 原電と覚書を結んだのは、東海村など6市村で構成する「原子力所在地域首長懇談会」(座長・山田修東海村長)と水戸市など9市町村で構成する「県央地域首長懇話会」(同・高橋靖水戸市長)。水戸市内で締結式が開かれ、山田村長や高橋市長ら各市町村の代表者と原電の浜田康男社長らが出席した。
  原電と懇談会との覚書では、安全審査申請の前に構成自治体に十分に説明し、意見を聞いて「理解を得る」と明記。「理解が申請の必須条件」(浜田社長)となった。懇話会との覚書では、申請前の説明や意見聞き取りを行い「理解を得るべく真摯(しんし)に対応する」とした。 さらに、

▽安全審査は再稼動に直結しない
▽審査申請後の審査経過や結果の説明
▽県や東海村に再稼動などの判断を求める前に安全協定を見直す
▽原発敷地内の使用済み核燃料などの安全対策の実施と報告
▽安全性確認のため市町村が現地確認できる-などが覚書の共通内容となった。

 原電は昨年12月、再稼働をめぐる事前了承権限を周辺自治体にも拡大するよう求めた首長会側の協定見直し要求に対し、回答を先送り。その一方で、当面の措置として覚書の締結を両首長会に提案した。
 覚書の条件として、懇談会は安全審査申請前に構成自治体に理解を得ること、懇話会は申請前に意見を聞くことなどを求め、原電が要求をのんだ。

 覚書締結に際し、山田村長は「これがスタート。信頼関係を築けるかはこれからの取り組みにかかっている」と強調。高橋靖市長は内容について「ハードルが設けられ、住民の安心、安全の確保につながる」と評価した。 浜田社長は「覚書にのっとって、地域の皆さまの理解が得られるよう努力したい」と話し、安全審査申請のスケジュールは未定とした。 (茨城新聞
⇒「2014年3月 脱原発全国行動

2/25
・法的拘束力ある「契約」 安全協定で平井知事
 鳥取県の平井伸治知事は24日の本会議で、中国電力と県、境港、米子両市が2011年に締結した島根原発(松江市)に関する原子力安全協定は、法的拘束力のない「紳士協定」ではなく民法上も履行が担保された「契約」との認識を示した。

 法的拘束力の有無を疑問視する稲田寿久議員(自民)の代表質問に対し、平井知事は「裁判で履行を求めることができる契約の一種」と主張。
 島根県など立地自治体と比べて協定の文言に違いはあるが、「立地自治体と同等に扱われる言質を取っている」と述べ、周辺地域の安全確保に向け「勝ち得た法的地位を武器に中電と交渉に当たる」とした。
 一方、原子力安全委員会が行う島根原発の安全審査と再稼働は「別物」と指摘し、「再稼働に至った例はまだないが、国に対し再稼働のプロセスを明確にするよう求める」と述べた。(日本海新聞

・大間差し止めの訴状要旨を提示 函館市が議会側に
 青森県大間町で電源開発(Jパワー、東京)が建設を進めている大間原発をめぐり、北海道函館市は25日、国やJパワーを相手取り原子炉設置許可の無効確認建設差し止めを求める訴状の要旨を市議会側に提示した。提訴は4月上旬の見通し。

 過酷事故が起きれば観光や水産業が壊滅的な打撃を受けるだけでなく、現在の道路網では迅速な避難も困難と訴え、市が同意するまで建設を停止するよう求めている。
 要旨では「大間原発の設置許可申請時に用いられた安全設計審査指針や、原子力規制委員会が新たに策定した新規制基準では安全性は確保できない」と指摘。(共同)