地域・エネルギー・自立---島根の人々の挑戦
日本の脱原発社会への転換は、これまでの国の「エネルギー基本計画」の<ゼロベースからの見直し>を通じた、新たな基本計画の策定とともに、地方から原発に依存しない「エネルギーの自立」に向けた取り組みを進めていくことが不可欠である。
こうした問題意識のもとで、昨年3月より、島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人・北川泉島根大学元学長)が、「県エネルギー自立地域推進基本条例」制定運動を展開し、今月7日、溝口善兵衛知事に直接請求した。
●「 「島根県エネルギー自立地域推進基本条例」制定の直接請求の議会への付議 」
しかし溝口知事は、島根県民の14%もの人々の署名によって請求されたこの条例案に対し、早くも「否定的見解」を示し、条例案を握り潰す動きを見せている。
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・市民団体直接請求のエネ条例案 知事、否定的見解
日本の脱原発社会への転換は、これまでの国の「エネルギー基本計画」の<ゼロベースからの見直し>を通じた、新たな基本計画の策定とともに、地方から原発に依存しない「エネルギーの自立」に向けた取り組みを進めていくことが不可欠である。
こうした問題意識のもとで、昨年3月より、島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人・北川泉島根大学元学長)が、「県エネルギー自立地域推進基本条例」制定運動を展開し、今月7日、溝口善兵衛知事に直接請求した。
●「 「島根県エネルギー自立地域推進基本条例」制定の直接請求の議会への付議 」
しかし溝口知事は、島根県民の14%もの人々の署名によって請求されたこの条例案に対し、早くも「否定的見解」を示し、条例案を握り潰す動きを見せている。
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・市民団体直接請求のエネ条例案 知事、否定的見解
溝口善兵衛島根県知事は12日の県議会本会議で、原発に依存しない社会の実現に向けて市民団体から直接請求された「県エネルギー自立地域推進基本条例」案を提案した。
条例案は再生可能エネルギーの積極導入と普及を図る基本計画の策定を求めているが、「現実的で実効ある策定、実施は困難」(???)と否定的な見解を示し、条例案について「慎重な対応が必要」と述べた。
直接請求したのは、県内有権者8万3323人分の署名を集めた島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人・北川泉島根大学元学長)。
条例案は省エネや原発からの計画的脱却を目指すことを規定。エネルギー政策を議論する審議会の設置や基本計画の策定を県に求めている。
溝口知事は省エネ推進や再生可能エネルギーの導入を重要な政策課題とする一方、県の再生可能エネルギーの割合はわずかで、全域への普及には財源、用地の確保など国の関与や対応が必要と説明した。
北川代表世話人は意見陳述で「安倍内閣の省エネ、再生可能エネルギー推進や原発依存度を減らす方針と矛盾がない」と訴えた。
報道陣に対し、議会過半数を占める最大会派自民党議員連盟(22人)の大屋俊弘幹事長は
「知事の思いを重く受け止め、適切な審議をしたい」、民主県民クラブ(9人)の和田章一郎会長は「再生可能エネへの関心は高く、署名の重みを感じなければ」と話した。(日本海新聞)
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●「《資料》 全国の自治体で進む「エネルギー条例」の制定」(2014/2/3) (島根原発・エネルギー問題県民連絡会のサイトより)
これらの条例の批判的検討に基づく、対案的条例案の策定力が脱原発運動に求められている。
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・島根県「脱原発」条例案 本議会も賛成少数で否決
島根県内の市民団体が8万3千人を超える有効署名を添えて島根県に直接請求した「県エネルギー自立地域推進基本条例」案について、同県議会は11日の本会議で、賛成少数で否決した。「実効ある計画を策定するのは困難」と否定的な意見を付した県知事の考えに沿う結果に、市民団体側は「答えありき」と憤った。
条例案は島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人、北川泉・元島根大学長)が提出。原発からの計画的脱却、省エネルギー化と再生可能エネルギーの普及などを掲げ県にエネルギー自立地域の形成に向けた基本計画の策定、実施を求めた。
この日の本会議では、5日の総務委員会(9人)で否決した審議結果について大屋俊弘委員長が報告。賛成討論のみがあり、共産党と民主県民クラブの2議員が「正確な指標で慎重な審議が必要」「署名の思いを尊重するなら、可決すべき」などと訴えたが、議長を除く出席議員34人中7人と賛成少数で否決となった。
閉会後、溝口善兵衛知事は「国の動きを注視しながら、県民や市町村などの意見をよく聞き(???)、再生可能エネルギーの導入促進、省エネ推進に努力したい」と述べた。
一方、県民連絡会の保母武彦事務局長は「県民世論の中で歓迎、理解されたが否決された。なぜ否決したのか、必ずしも明確でなかったのは大きな問題」と指摘。
北川代表世話人は「できないという数字ばかりだして否決し、答えありきという感じ。こんなことでは島根県の自立はないだろう」と批判した。(日本海新聞)
・脱原発条例案を否決 島根県議会総務委
市民団体が8万3千人を超える署名を添えて島根県に直接請求した「県エネルギー自立地域推進基本条例」案が(3月)5日、島根県議会総務委員会(大屋俊弘委員長、9人)で賛成少数で否決された。11日の本会議でも否決される見通し。
条例案は島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人、北川泉・元島根大学長)が提出。原発からの計画的脱却、省エネルギー化と再生可能エネルギーの普及などを掲げ、県にエネルギー自立地域の形成に向けた基本計画の策定、実施を求めている。(日本海新聞)
・「エネルギー計画は3月決定」 自民・高市政調会長
自民党の高市早苗政調会長は(2月)16日のNHK番組で、原発政策を含む中長期的指針となる「エネルギー基本計画」について、近く政府案が提示されるとした上で、3月中に政府、与党の決定を目指す考えを表明した。原発再稼働については「環境づくりに努力する。電源の多様化は大事だ」(??)と前向きな姿勢を示した。
公明党の石井啓一政調会長は「原発再稼働を否定するわけでないが、安全性確保が第一だ」と指摘。「将来的に(原発)ゼロを目指す」と述べた。
民主党の桜井充政調会長は「国民理解が得られない限り原発再稼働できない」と政府に説明責任を尽くすよう注文した。(共同)
・大間原発差し止め訴訟を後押し 函館市民らがデモ行進
北海道函館市の市民団体などが16日、青森県大間町で建設中の電源開発(Jパワー)大間原発の建設差し止め訴訟を起こすと表明した市を後押ししようと、市役所周辺でデモ行進した。参加者は約70人。
集会では、既に国とJパワーに大間原発の建設差し止めなどを求める訴訟を起こしている市民団体「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表(65)が「市の大間原発凍結宣言を世の中に広めたい」と訴えた。
函館市は大間原発から最短約23キロにあり、国とJパワーに対し、建設差し止めや原子炉設置許可の無効確認を求める訴訟を4月に起こすと表明している。(共同)
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・東芝社長「インドを輸出拠点に」 発電事業有望視
【ニューデリー=岩城聡】 インドを訪問中の東芝の田中久雄社長は日本経済新聞の取材に応じ、「発電や水事業の海外展開で、インドを中東やアフリカなどへの製造・輸出のハブ(中核拠点)にしていく」と語った。
同社はインドのインフラ事業の売上高を2017年度に12年度比約7倍の3千億円にする目標を掲げており、このうち海外売上高を約2割の600億円程度にまで拡大する考えを示した。
田中社長は「東芝の技術と、インドのコスト競争力と印僑の人的ネットワークで、インドから西の世界を攻めることが可能」と強調した。火力発電設備や変電設備のほか、水処理設備を軸にインドから海外市場の開拓を急ぐ。
インドでの原発事業についても言及。昨年、東芝傘下の米ウエスチングハウスによる原発建設開始で日米両政府が合意したが「日印の原子力協定の交渉進展に期待している」と語った。(日経電子版)
条例案は再生可能エネルギーの積極導入と普及を図る基本計画の策定を求めているが、「現実的で実効ある策定、実施は困難」(???)と否定的な見解を示し、条例案について「慎重な対応が必要」と述べた。
直接請求したのは、県内有権者8万3323人分の署名を集めた島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人・北川泉島根大学元学長)。
条例案は省エネや原発からの計画的脱却を目指すことを規定。エネルギー政策を議論する審議会の設置や基本計画の策定を県に求めている。
溝口知事は省エネ推進や再生可能エネルギーの導入を重要な政策課題とする一方、県の再生可能エネルギーの割合はわずかで、全域への普及には財源、用地の確保など国の関与や対応が必要と説明した。
北川代表世話人は意見陳述で「安倍内閣の省エネ、再生可能エネルギー推進や原発依存度を減らす方針と矛盾がない」と訴えた。
報道陣に対し、議会過半数を占める最大会派自民党議員連盟(22人)の大屋俊弘幹事長は
「知事の思いを重く受け止め、適切な審議をしたい」、民主県民クラブ(9人)の和田章一郎会長は「再生可能エネへの関心は高く、署名の重みを感じなければ」と話した。(日本海新聞)
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原発建設、再稼働などをめぐる住民投票の実施請求が自治体の首長や地方議会によって否定され、さらに今回のような条例制定請求まで、ろくな審議もなされぬまま、「最初に結論ありき」で事実上、葬り去られてしまう・・・。
これが、日本の「民主主義」と「地方自治」の実態である。〈エネルギーの自治と自立〉を願う県民の思いより、それを望まない知事の思いを「重く受け止め」る地方議員や議会に、はたして存在理由があるのだろうか?
「地域からのエネルギーの自立」「エネルギーの地産地消」については、これまでドイツや海外の事例の紹介をはじめ、日本でも議論が深まり、様々な試行が進んできた。しかし、まだまだ全般的な関心は低く、議論も理論的問題に偏りがちである。
これからの脱原発運動に問われているのは、再稼働に反対する取り組みとともに、国と地方の原発推進行政を、政策と法のレベルからいかに変えて行くか、そのビジョンだろう。やはり、今でも「そこが弱い」のではないか、という印象を個人的には強く持っている。
エネルギー生産とその供給システムの構造改革問題については、新「エネルギー基本計画」(素案)の検討の中でも追々触れることになるが、島根の人々の条例制定運動は、東京をはじめとする大都市圏や、福島をはじめとする原発立地自治体において、もっと学ばれ、その経験が生かされるべきである。そして、こうした取り組みがまだ起こっていない全国各地で、行動を起こすべきときを迎えていると思う。
●「《資料》 全国の自治体で進む「エネルギー条例」の制定」(2014/2/3) (島根原発・エネルギー問題県民連絡会のサイトより)
これらの条例の批判的検討に基づく、対案的条例案の策定力が脱原発運動に求められている。
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・島根県「脱原発」条例案 本議会も賛成少数で否決
島根県内の市民団体が8万3千人を超える有効署名を添えて島根県に直接請求した「県エネルギー自立地域推進基本条例」案について、同県議会は11日の本会議で、賛成少数で否決した。「実効ある計画を策定するのは困難」と否定的な意見を付した県知事の考えに沿う結果に、市民団体側は「答えありき」と憤った。
条例案は島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人、北川泉・元島根大学長)が提出。原発からの計画的脱却、省エネルギー化と再生可能エネルギーの普及などを掲げ県にエネルギー自立地域の形成に向けた基本計画の策定、実施を求めた。
この日の本会議では、5日の総務委員会(9人)で否決した審議結果について大屋俊弘委員長が報告。賛成討論のみがあり、共産党と民主県民クラブの2議員が「正確な指標で慎重な審議が必要」「署名の思いを尊重するなら、可決すべき」などと訴えたが、議長を除く出席議員34人中7人と賛成少数で否決となった。
閉会後、溝口善兵衛知事は「国の動きを注視しながら、県民や市町村などの意見をよく聞き(???)、再生可能エネルギーの導入促進、省エネ推進に努力したい」と述べた。
一方、県民連絡会の保母武彦事務局長は「県民世論の中で歓迎、理解されたが否決された。なぜ否決したのか、必ずしも明確でなかったのは大きな問題」と指摘。
北川代表世話人は「できないという数字ばかりだして否決し、答えありきという感じ。こんなことでは島根県の自立はないだろう」と批判した。(日本海新聞)
・脱原発条例案を否決 島根県議会総務委
市民団体が8万3千人を超える署名を添えて島根県に直接請求した「県エネルギー自立地域推進基本条例」案が(3月)5日、島根県議会総務委員会(大屋俊弘委員長、9人)で賛成少数で否決された。11日の本会議でも否決される見通し。
条例案は島根原発・エネルギー問題県民連絡会(代表世話人、北川泉・元島根大学長)が提出。原発からの計画的脱却、省エネルギー化と再生可能エネルギーの普及などを掲げ、県にエネルギー自立地域の形成に向けた基本計画の策定、実施を求めている。(日本海新聞)
・「エネルギー計画は3月決定」 自民・高市政調会長
自民党の高市早苗政調会長は(2月)16日のNHK番組で、原発政策を含む中長期的指針となる「エネルギー基本計画」について、近く政府案が提示されるとした上で、3月中に政府、与党の決定を目指す考えを表明した。原発再稼働については「環境づくりに努力する。電源の多様化は大事だ」(??)と前向きな姿勢を示した。
公明党の石井啓一政調会長は「原発再稼働を否定するわけでないが、安全性確保が第一だ」と指摘。「将来的に(原発)ゼロを目指す」と述べた。
民主党の桜井充政調会長は「国民理解が得られない限り原発再稼働できない」と政府に説明責任を尽くすよう注文した。(共同)
・大間原発差し止め訴訟を後押し 函館市民らがデモ行進
北海道函館市の市民団体などが16日、青森県大間町で建設中の電源開発(Jパワー)大間原発の建設差し止め訴訟を起こすと表明した市を後押ししようと、市役所周辺でデモ行進した。参加者は約70人。
集会では、既に国とJパワーに大間原発の建設差し止めなどを求める訴訟を起こしている市民団体「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表(65)が「市の大間原発凍結宣言を世の中に広めたい」と訴えた。
函館市は大間原発から最短約23キロにあり、国とJパワーに対し、建設差し止めや原子炉設置許可の無効確認を求める訴訟を4月に起こすと表明している。(共同)
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・東芝社長「インドを輸出拠点に」 発電事業有望視
【ニューデリー=岩城聡】 インドを訪問中の東芝の田中久雄社長は日本経済新聞の取材に応じ、「発電や水事業の海外展開で、インドを中東やアフリカなどへの製造・輸出のハブ(中核拠点)にしていく」と語った。
同社はインドのインフラ事業の売上高を2017年度に12年度比約7倍の3千億円にする目標を掲げており、このうち海外売上高を約2割の600億円程度にまで拡大する考えを示した。
田中社長は「東芝の技術と、インドのコスト競争力と印僑の人的ネットワークで、インドから西の世界を攻めることが可能」と強調した。火力発電設備や変電設備のほか、水処理設備を軸にインドから海外市場の開拓を急ぐ。
インドでの原発事業についても言及。昨年、東芝傘下の米ウエスチングハウスによる原発建設開始で日米両政府が合意したが「日印の原子力協定の交渉進展に期待している」と語った。(日経電子版)