2014年2月22日土曜日

「集団的自衛権」行使の5要件? 個別法で対処? 秋の臨時国会で?

「集団的自衛権」行使の5要件? 個別法で対処? 秋の臨時国会で?

集団自衛権行使で5条件=有識者会議、提言明記へ
 政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は22日、現行憲法の解釈変更に向けた提言に「密接な関係にある国が攻撃される」など集団的自衛権の行使が可能になる5条件を明記する方針を固めた。
 政府は4月にも提言を受け、その後速やかに与党との調整に入り、今国会中に解釈変更の閣議決定を目指す。 

 このほかの条件は、
(1)放置すれば日本の安全に大きな影響を与える
(2)攻撃された国からの明示的な支援要請がある
(3)首相が総合的に判断して国会承認を受ける
(4)第三国の領海などを通過する際は許可を得る-の四つ。

 行使の基準を明確にすることで、できるだけ恣意(しい)的な運用を排し、集団的自衛権の行使に懸念を持つ国民や諸外国の理解を得る狙いがあるとみられる。(j時事

・集団自衛権、個別法改正で対処=「安保基本法」には固執せず-安倍首相
 集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の見直しに絡み、安倍晋三首相が解釈変更後の自衛隊の行動を規定する法整備で「国家安全保障基本法」の制定にこだわらない姿勢を示している。
 基本法を目指せば与党内調整の難航が予想されるため、自衛隊法や周辺事態法など個別法の改正で対処する構えだ。ただ、基本法は自民党が2012年の衆院選で公約に掲げており、同党内では公約との整合性から制定を求める声も根強い。

 自民党が12年の衆院選に先立ち決定した基本法の概要は、「国連憲章に定められた自衛権の行使については、必要最小限度とする」との表現で、個別的自衛権と区別せず集団的自衛権が行使できる内容となっている。

 20日の衆院予算委員会では、結いの党の柿沢未途氏が基本法に関して首相の見解をただしたが、首相は「野党時代に法案を出してしっかりと審議を願おうと考えた」と述べるにとどめた。
 その一方、「法的担保が必要だから自衛隊法などを改正していかなければいけないのは当然だ」と強調、同法などを手直しして態勢を整える意向を鮮明にした。

 政府関係者によると、基本法を避けて個別法改正で対応するのは、菅義偉官房長官の進言を受けたものだという。憲法解釈の変更だけでも公明党と折り合いを付けるのは容易ではない中、基本法制定まで踏み込めば政権の体力を奪いかねないとの判断があるとみられる。
 日米両政府が年末までに見直すことにしている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に集団的自衛権の行使を反映させるためには、秋の臨時国会で関連の法整備を行う必要があり、基本法の制定は日程的に困難という事情もある。

 一方、自民党の石破茂幹事長は20日発行の著書で「安全保障の基本方針の根拠が内閣による決定のみというのは、安定性や透明性に欠ける」と訴えており、基本法の制定が必要との立場。周囲にも「安保基本法を掲げて政権を取った」と語っており、官邸サイドと認識ギャップが生じている。(時事

安保法制懇骨子明らかに 集団的自衛権行使は「密接な国への攻撃」を想定
 政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の北岡伸一座長代理は21日、都内の日本記者クラブで記者会見し、4月に提出予定の報告書の骨格を明らかにした。
 日本が集団的自衛権を行使するケースの要件として「日本と密接な関係にある国が攻撃を受け、放置すれば日本の安全に大きな影響が出る場合」と例示した。
 実際の行使に際しては、
▽当該国から明示の要請があった場合
▽第三国の領域通過には許可を得る
▽首相が総合的に判断し、国会の承認を受ける-を条件に挙げ、「国際標準よりも抑制的」に運用する方針も示した。「実際に行使するかどうかは慎重に判断すべきだ」と述べた。

 報告書は
(1)在外邦人の救出を含む個別的自衛権
(2)集団的自衛権
(3)集団安全保障-の3本柱で構成。
 漁民に偽装した武装集団が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に上陸した場合といった武力攻撃に至らない「グレーゾーン」の事態に対する領域警備法制の必要性にも言及する。

 報告書提出後のプロセスについては、政府が行使容認を閣議決定し、自衛隊の行動を定める自衛隊法や朝鮮半島有事などへの対応を定めた周辺事態法国連平和維持活動協力法(PKO法)の改正に着手するとした。
 集団的自衛権の行使を法的に担保するため自民党が選挙公約に掲げた国家安全保障基本法の制定については「二度手間になる」と述べ、個別法改正を急ぐべきだと訴えた。(産経

・・・
3/17
・憲法解釈変更先送りで検討 与党に配慮、夏以降か
 政府は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定時期に関し、従来方針だった6月22日までの今国会中にこだわらず、夏以降に先送りする方向で検討に入った。
 慎重な議論を求める与党に配慮した。安倍晋三首相が今月6日の石破茂自民党幹事長らとの会談で、決定を急ぐべきではないとの認識で一致。公明党幹部にも伝えられた。政府、与党関係者が16日明らかにした。
 自衛隊と米軍の役割分担を定める日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定に行使容認を反映させるため、秋の臨時国会で自衛隊法などの関連法改正を目指す基本方針は維持する。(共同)

3/1
集団的自衛権で個別法10超改正 政府方針、秋の臨時国会で
 政府は、集団的自衛権の行使を可能にするため、秋の臨時国会で有事に備える武力攻撃事態法や自衛隊法など10本を超える既存の個別法を改正する方向で調整に入った。
 行使容認の理念を盛り込む新法として想定していた「国家安全保障基本法」の制定は当面先送りする方針だ。政府関係者が1日、明らかにした。

 安倍政権は4月に安全保障に関する有識者懇談会(安保法制懇)から集団的自衛権の行使容認に向けた報告書を受け取り、6月22日の今国会会期末までに行使できないとしてきた従来の憲法解釈変更を閣議決定。その後、必要な法整備を図る段取りを描いている。(共同)

2/25
・PKO武器使用緩和提案へ 安保法制懇、9条解釈変更
 「安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の北岡伸一座長代理(国際大学長)は24日、朝日新聞のインタビューに応じ、憲法9条1項の「国際紛争」の解釈を変更するよう、首相への報告書に盛り込む考えを明らかにした。
 海外での国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊員の武器使用について、憲法上の制約を解消する狙いがある。

 9条1項は、国際紛争を解決する手段としての武力行使を永久に放棄すると定める。
 北岡氏はこの「国際紛争」について「『すべての国際紛争』と解釈されている」と指摘。「国際法の歴史を踏まえれば『日本が当事者である国際紛争』と(限定的に)解するべきだ」(???)との考えを示した。

 北岡氏は「国際紛争」の解釈を変えた場合、PKOでの武器使用について「日本が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力の行使ではなくなる」(???)と主張。
 国連がPKOで認める二つのタイプの武器使用のうち、「任務遂行に対する妨害を排除するための武器使用」(Bタイプ)も自衛隊に認められるとした。
 日本は武器使用については、9条の禁ずる武力行使にあたる恐れがあるとして「要員を防護するための武器使用」(Aタイプ)しか認めてこなかった。・・・」(朝日

・内閣法制局長官:公務に復帰 「首相の方針に従ってやる」 
 体調不良で入院していた小松一郎内閣法制局長官が24日、公務に復帰した。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更を閣議決定で行う考えを示したことについて、小松氏は「内閣法制局は内閣の一部局なので、首相の方針に従ってやるべきことはやる」と述べ、首相を支える考えを強調した。・・・。

 
 小松氏は今後、国会での答弁に加え、首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が4月にも報告書をまとめるのを受けて、新たな憲法解釈に関する政府原案の作成などを主導する。・・・。」(毎日 朝日弘行) 

野中氏「危険で偏った政治」  安倍政権を批判
 野中広務元官房長官は19日、参院の統治機構調査会に参考人として出席し、安倍晋三首相の政権運営を「議会制民主主義が相当に危険な状態だ」と批判した。
 集団的自衛権の行使容認を検討する政権の有識者懇談会について「偏ったブレーンを集めている」と指摘した。
 首相が集団的自衛権の行使容認をめぐる憲法解釈に関し「私が責任を持っている」と国会で答弁したことに対しては「非常に誤った道を歩みつつある。内閣は自分たちの行動に高揚している」と非難した。
 安倍政権には与党や国会の議論を軽視する傾向があるとして「最後には内閣と与党に大きな亀裂を呼ぶ不安を持っている」と述べた。(岩手日報

安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会有識者
・岩間陽子 政策研究大学院大学教授
岡崎久彦 特定非営利活動法人岡崎研究所所長・理事長
・葛西敬之 東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
北岡伸一 国際大学学長・政策研究大学院大学教授
・坂元一哉 大阪大学大学院教授
・佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授
・佐藤謙 公益財団法人世界平和研究所理事長(元防衛事務次官)
田中明彦 独立行政法人国際協力機構理事長
中西寛 京都大学大学院教授
・西修 駒澤大学名誉教授
・西元徹也 公益社団法人隊友会会長(元統合幕僚会議議長)
・細谷雄一 慶應義塾大学教授
・村瀬信也 上智大学教授
・柳井俊二 国際海洋法裁判所長(元外務事務次官)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒2013年9月11日 「憲法九条と集団的自衛権の行使が共存する時代
⇒2014年2月11日 「武器輸出大国への道
⇒2009年3月30日 「永遠の安保、永遠の米軍基地、そして永遠のテロル


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・武器輸出緩和に66%反対 TPP譲歩容認65%
 共同通信社が22、23両日に実施した全国電話世論調査によると、武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」の緩和に反対するとの回答は66・8%に上り、賛成の25・7%を大きく上回った。緩和する方向で新たな原則を策定する方針の安倍政権に対し、多くの有権者が慎重な対応を迫った形だ。

 TPP交渉の妥結のため、コメ、麦など重要5項目の一部品目について関税引き下げに応じるのはやむを得ないとしたのは65・6%で、応じるべきではないは26・2%だった。
 政府、与党が自治体首長の権限を強化する教育委員会改革を検討していることに肯定的な回答は62・4%。(共同)