2014年2月10日月曜日

福島: 損害賠償紛争問題

福島: 損賠賠償紛争問題

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・福島第1原発事故:東電が独自賠償基準 転居時に打ち切り
 「福島第1原発事故の被災者に対し、東京電力が立ち入り制限区域から転居した時点で賠償を打ち切る独自の基準を作成していることが、毎日新聞が入手した内部文書で分かった。
 国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が定めた指針では、転居後も賠償を継続し「立ち入り制限の解除から約1年後」まで支払うとしており、基準はこれに反する
 東電は一般には公表していないこの基準を経済産業省資源エネルギー庁に提出。エネ庁は内容を容認しており、不当な賠償額の減額に「お墨付き」を与えている実態が明らかになった。【毎日 高島博之、神足俊輔】

 指針に反する基準の作成が発覚したのは初めて。毎日新聞の報道で、東電は少なくとも15人の社員に対し、いったん支払った賠償金を返還請求している実態が明らかになっているが、この基準を適用したためとみられる。
 内部文書は2012年12月作成の「本賠償の終期の考え方」。A4判3枚で、事故前の居住形態を(1)持ち家(2)借家(3)実家に同居−−で3分類し、それぞれの精神的損害に対する賠償(1人当たり月10万円)の終了時期を示している。(1)の場合は国の指針通りだが、(2)と(3)は、転居した時点ですぐに賠償を打ち切る独自の基準になっている。

 エネ庁原子力損害対応室によると、東電は13年1月、この文書を同室に持参し内容を説明した。同室は毎日新聞の取材に「(基準は)避難生活を余儀なくされた期間の考え方を整理したもので、内容に納得している」と話す。
 一方、原賠審の委員の一人は「文書の存在は知らないし、東電から説明も受けていない。賠償を避難指示の解除前に打ち切ることや、居住形態で被災者を区別することは指針に反する」と批判した。
 東電はこれまで一般の被災者に関しては、社員に対するような賠償金の返還請求はしていない。しかし関係者によると、東電はエネ庁に対し「基準は社員だけを対象にしたものではない」と説明しているという。原賠審を所管する文部科学省原子力損害賠償対策室は「一般の被災者も(社員同様)後になってから返還を求められると、大変な騒ぎになる」と懸念を示した。・・・。」
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・被ばく不安賠償へ 伊達と飯舘・長泥 東電
 伊達市の住民約1000人と飯舘村長泥地区の住民約180人がそれぞれ東京電力に損害賠償を求めた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電は原子力損害賠償紛争解決センターが示した被ばくによる不安への慰謝料を含む賠償金を支払う和解案を受諾した。7日、両地区住民の弁護団が明らかにした。いずれも今後、正式に和解手続きを始める。

 弁護団によると、ADRの集団申し立てで、東電が被ばく不安への慰謝料を支払うのは初めてという。伊達側の弁護団によると、東電は回答書で科学的見地から低線量被ばくの健康被害は認められないとして、不安感に対する賠償は本来、受諾することができないとした。
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(「低線量」被ばくの「健康被害」を東電に認めさせることが、今後も重要な焦点の一つとなる)

 しかし、伊達の場合、申立人の住居が特定避難勧奨地点に指定された世帯と極めて近接している点を特殊事情と認め、例外的に賠償するとした。
 

 伊達市でADRを申し立てたのは、同市霊山町小国地区などの330世帯、約1008人。
 センターは昨年12月、1人当たり月額7万円として、平成23年6月末から25年3月末までの計約150万円の支払いを東電に求めた。
 一方、帰還困難区域に指定された飯舘村長泥地区は申し立てから1年半が経過していることを踏まえ、迅速に解決する必要があるとした。 センターは、被ばく不安への慰謝料として、1人当たり50万円(子どもと妊婦は100万円)を提示。
 東電は今年1月、一部世帯に拒否する書面を出して、センターが再回答を求めていた。
 東電は回答書で今回の賠償金について「解決金的性格を有する」としている。(福島放送 2/8)
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 「低線量」被ばくの「健康被害」を東電に認めさせることが、今後も重要な焦点の一つとなるだろう。
 「特定避難勧奨地点」に「極めて近接」していない地域に住む人々の、「低線量被ばく」は誰が補償を保証するのか? 東電か、それとも国か?
 「審査会」は、この問題をめぐり、新たな指針を策定することが求められている。

・賠償迅速に 福島県など東電に要求書
・東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償を迅速に行うべきだとして、6日、福島県や県内の市町村の関係者が東京電力を訪れ、廣瀬社長に対し、事故の責任を最後まで果たすよう求める要求書を手渡した。
・東京電力を訪れたのは、「福島県原子力損害対策協議会」で、福島県の村田文雄副知事のほか、県内の市町村や、農林水産業、商工業団体などの代表者ら。
 村田副知事らは、東京電力の廣瀬社長と会い、この中で、去年12月、国の原子力損害賠償紛争審査会の新たな指針がまとまったことを受け、「賠償を的確かつ、迅速に行い、事故の責任を最後まで果たすよう求める」などとした要求書を手渡した。

・そのうえで、村田副知事は避難指示区域内で働いていた人たちなどに対し、給与収入に相当する金額を賠償する「就労不能損害」について、今月までとされている期間の延長などを求めた。
 これに対して、廣瀬社長は「就労不能損害については要望を踏まえて、来月以降の支払いのあり方について近日中に示したい」と述べ、延長に前向きな方針を示しました。村田副知事はこれを評価する考えを示しましたが、大半の回答はこれまでと変わらないとして誠意を持って対応するよう東京電力に改めて強く求めた。
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東電 十分な対応できていない
 要求書を受け取った東京電力の廣瀬社長は、記者団に対し、「去年、賠償に関する新たな指針が出た事を受けて、われわれとしてスピード感を持ってやらないといけないが、まだまだたくさんの項目で、十分でない、スピード感が遅いといった要望が出たと受けとめていて、十分な対応ができていないと改めて感じている。これからもしっかりとやっていきたい」と述べた。(NHK


【参考資料】
原子力損害賠償紛争審査会(第39回) 議事録 (2013/12/26)
・「本審査会の指針において示されなかったものが直ちに賠償の対象とならないというものではなく、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められるものは、指針で示されていないものも賠償の対象となる

・「また、本指針で示す損害額の算定方法が他の合理的な算定方法の採用を排除するものではない

・「個別のところだけに書くと、反対解釈も生まれるということを踏まえまして、基本的考え方の本体の方に明記をした

・「本件事故による被害は極めて広範かつ多様であり、被害者一人一人の損害が賠償されたとしても、被災地における生活環境、産業・雇用等の復旧・復興がなければ、被害者の生活再建を図ることは困難である」

・「本審査会としても、東京電力株式会社の誠実な対応による迅速、公平かつ適正な賠償の実施に加え、被害者が帰還した地域や移住先における生活や事業の再建に向け、就業機会の増加や就労支援、農林漁業を含む事業の再開や転業等のための支援、被災地における医療、福祉サービス等の充実など、政府等による復興施策等が着実に実施されることを求める」

・避難費用及び精神的損害
1 帰還困難区域又は大熊町若しくは双葉町居住制限区域若しくは避難指示解除準備区域
 「第二次追補で帰還困難区域について示した一人600万円に一人、ここは委員の皆様のところには手書きで「1,000万円」と書いてありますが、を加算し、右600万円を月額に換算した場合の将来分の合計額を控除した金額を目安とする
 具体的には、第3期の始期が平成24年6月の場合は、加算額から将来分を控除した後の額は700万円とする。
 1以外の地域については、引き続き一人月額10万円を目安とする」

2  住居に係る損害の賠償を受ける者の避難費用  具体的には生活費増加費用及び宿泊費
 「賠償の対象となる期間は、特段の事情がない限り、住居確保に係る損害の賠償を受けることが可能になった後、他所で住居を取得又は賃借し、転居する時期までとする。
 ただし、合理的な時期までに他所で住居を取得又は賃借し、転居しない者については、合理的な時期までとする。(今までは単に「転居が可能になる時期」と書いてございましたが、意味を明確化するため、ただし書として追加)」

3 相当期間
 「中間指針において避難費用及び精神的損害が特段の事情がある場合を除き賠償の対象とはならないとしている「避難指示等の解除等から相当期間経過後」の「相当期間」は、避難指示区域については、1年間を当面の目安とし、個別の事情も踏まえ柔軟に判断するものとする」(田口原子力損害賠償対策室室長代理)

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・【東京都知事選】 「脱原発」に思い複雑 東京で暮らす福島県民
 「東京都知事選(9日投開票)を、東京電力福島第1原発事故のため福島から東京へ避難した人たちが見つめている。「脱原発は当然」「投票はできないけれど…」。それぞれの避難生活が重なり合い、複雑な思いが交錯する。
 「避難者にとって『脱原発』は当たり前。本当に当事者の苦しみ、悲しみに向き合ってくれているのか
  福島市から自主避難し、東京都武蔵野市の都営住宅で暮らす主婦 (31)は、脱原発の議論が争点になることに「いまさら」という違和感が拭えない。「うわべだけのファッションになっているような気もする」という。

 「避難者は置いてきぼり。生活再建など次のステップを話し合ってほしいのに」と冷めた目で見る。・・・。
  知らない土地での出産、子育て。この3年近く不安な思いで生活してきた。
 「原発が原因で避難しているのに」と東電に電気代を払うのも悔しかった。「都知事には、避難者や女性、子どもなど弱者に目を向ける人を選びたい」。そんな思いで1月下旬、期日前投票で一票を投じた。・・・」 (共同)