2013年5月25日土曜日

「判断ミス」? 「軽い気持ちで」? ~「J―PARC」(東海村)の放射能漏れと被曝

「判断ミス」? 「軽い気持ちで」? ~「J―PARC」(東海村)の放射能漏れと被曝


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・放射能漏れ事故の実験施設、被曝30人に 東海村
 茨城県東海村の加速器実験施設「J―PARC)」の原子核素粒子実験施設で放射性物質が漏れ、研究者らが被曝した事故で、高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構は26日、新たに研究者ら24人が被曝していたことがわかったと発表した。
 最大の被曝量は1・7ミリシーベルト。被曝者は計30人になった。事故当時、実験装置付近にいたのは55人。その半数以上が被曝したことになる。 ・・・。」(朝日

★大強度陽子加速器施設「J-PARC」
 直径約500メートルの大型加速器など3台の加速器を組み合わせた最先端の実験施設。日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構でつくるJ-PARCセンターが運営。加速器の中で陽子のビームをほぼ光速にまで加速し、金などの標的にぶつけて飛び出る中性子やニュートリノを研究に利用する。
 金などの原子核に強いエネルギーの陽子がぶつかると放射性物質になる。事故のあった建物は幅約60メートル、長さ約50メートルで、陽子ビームを使って特殊な原子核や素粒子の性質を調べる実験が行われている。(茨城新聞

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被ばく事故 警報作動後も実験継続・
装置の異常を知らせる警報が作動したにもかかわらず、担当者がリセットして実験を続けていた
●金に特殊なビームを当てて素粒子を発生させる実験中に装置が誤作動し、想定を超える放射性物質が発生
●少なくとも6人の研究者が被ばく、一時(??)、施設の外にも放射性物質が漏れ出した
●装置が誤作動した午前11時55分に異常を知らせる警報が鳴り、装置が自動停止したが、担当者は原因が分からないにもかかわらず警報をリセットし、実験を再開
●さらに、1時間半後の午後1時30分ごろには、施設内の放射線量が上昇したため装置の運転を停止したが、換気用のファンを回して放射線量を下げたうえで実験を続け、最終的に実験を中止したのは放射線量がさらに高くなった午後4時過ぎになってから

●ところが、この時は周辺の放射線量を調べておらず、翌24日に隣の施設のモニタリングポストを調べた結果、午後5時半になって換気用のファンを回した時間帯に放射線量が上昇していたことが分かり、ようやく放射性物質の漏えいに気付いた
●警報の作動にもかかわらず実験を継続したことや、周辺の放射線量の調査を怠っていたことについて、原子力機構は不適切な対応(?)だったと認めた(NHK

<放射能漏れ>電磁石の故障が原因か 被ばく6人に
 茨城県東海村の加速器実験施設「J−PARC(ジェイパーク)」で起きた放射能漏れ事故は、加速した陽子の流れを制御する電磁石の電源トラブルが原因である可能性が高いことが分かった。このことで、実験材料の金から想定以上の放射性物質が発生したとみられる。運営主体の一つの高エネルギー加速器研究機構の理事が取材に明らかにした。
 日本原子力研究開発機構によると、25日になって事故でさらに2人が被ばくしていたことが判明し、被ばく者は計6人となった。2人は高エネ研の45歳の職員(被ばく量は1.0ミリシーベルト)と23歳の大学院生(同1.4ミリシーベルト)。

 J−PARCは地下の三つの加速器をつなぎ、陽子を光速の最大99・98%にまで加速する。事故は円形加速器(1周約1600メートル)につながる「ハドロン実験施設」で23日に起きた。
 高エネ研の峠暢一(とうげ・のぶかず)理事によるとハドロン実験施設では、円形加速器を周回しながら加速される陽子のうち、実験施設への取り出し口に漏れ出る陽子線を利用
 しかし、陽子の流れをコントロールする電磁石が突然作動しなくなり金199、施設への陽子の流れが一気に強まったという。
 このため、陽子を衝突させる標的の金が高温となり、細かな粒子状や別の放射性核種に変換された。一部が金属製のパイプや遮蔽材を突き抜けて実験室内を汚染した。室内からは、ナトリウム24(半減期15時間)、ヨウ素123(半減期13時間)、金199(半減期3.1日)などの放射性物質が見つかったという。

 原子力機構は、おおむね南西方向に1000億ベクレルの放射性物質が放出されたとする推定値を明らかにした。年間の放出管理目標の100分の1に相当する。職員が23日午後3時半ごろ、実験室内の空気をサンプル採取し、排気ファンで既に外部へ放出された分も加味し放出量を推計した。
 事故当時、施設の南西方向にある三つのモニタリングポストでは平均毎時3ナノグレイの放射性物質が検出されたが、機構は「3ナノグレイは(年間公衆被ばく限度の)1ミリシーベルトの30万分の1に相当し、健康への影響は少ない」としている。
 J−PARCの池田裕二郎センター長は県などの立ち入り調査の際、「安心してセンターが稼働できるように努力する」と述べ、早期の運転再開に意欲を示した。(毎日、西川拓、中西拓司)

放射能漏れ:排気「軽い気持ちで」
  茨城県東海村の加速器実験施設「J−PARC(ジェイパーク)」での放射能漏れ事故で、担当者は放射性物質の種類を把握しないまま、施設の排気ファンを回していたことが25日、分かった。
 放射性物質の量が半分になる半減期は元素の種類で異なる。半減期が長い物質ほど汚染が長期化する。原子力機構から国などへの報告遅れを含め、危機意識の低さやずさんな管理が露呈した。

 事故が起きた23日午前11時55分から約1時間半後、施設内で放射線量が上昇。現場では低減を図ろうと、排気ファンを回した。放射性物質の漏れを防ぐフィルターは未装着だった。
 担当者は「放射性物質の正体を突き止めようとしないまま、軽い気持ちでファンを操作した」(!!)
と打ち明ける。
 さらに「汚染が管理区域内にとどまっている」(幹部)と信じ(??)、国の法令で報告対象となる施設外漏えいを確認したのは、24日午後6時ごろ。国への報告はさらに約3時間後で、発生から1日半近くたっていた。(毎日 岡田英、大場あい)

・東海村実験施設放射能漏れ 「教訓生かされてない」 茨城
 ■周辺住民、募る不満と不安
 日本原子力研究開発機構の加速器実験施設「J-PARC」(東海村)で23日起きた放射性物質漏洩(ろうえい)事故で、通報の遅れに県や東海村は不満を募らせた。機構では健康への影響はないとするが、周辺住民の表情には不安が浮かんだ。                   
 県と周辺7市町村は、25日午後1時から、事故が起きた実験施設の立ち入り調査を実施。調査に先立ち、東海研究開発センター原子力科学研究所の近藤悟所長が「大変申し訳なく思う。原因究明とともに、周囲への影響調査を最優先して取り組みたい」と陳謝した。
 その後、関係者らは施設内部で漏洩のあったビーム照射設備や排気を行ったファンなどを約1時間にわたり調査。県原子力安全対策課の松本周一技佐は「原因についてしっかり検証していく必要がある。放射性物質を外部に漏洩させた経緯について詳細に報告を求めたい」と強調した。
 一方、東海村ではこの日、原子力安全対策課の職員ら3人が情報を収集。住民には同日正午ごろ、事故発生と村内のモニタリングポスト観測値に変化がないことを防災無線で伝えた。

 村上達也村長は産経新聞の取材に、連絡の遅れを批判した上で「相談もなく、建屋の換気を行うなど周辺環境の汚染につながるような措置をとったことも問題だ」と指摘し、原子力機構にただす考えを示した。
 「報告が遅れたことに驚いている。外部への漏れなど不安があるのに、本当に困る」。
 2歳の長女を抱えたJR東海駅近くに住む主婦(33)は困惑した様子。
 同駅近くで理髪店を経営する男性(62)は「危険なものを取り扱っているという認識があるのか。東京電力福島第1原発事故の教訓が生かされていない」と声を落とした。
 J-PARC近くでイチゴ農園を営む男性(67)は「何かあったらすぐに報告するのは社会では当たり前のこと。安易な気持ちや甘えがあったのではないか」と語気を強めた。(産経

・判断ミス重ね放射能漏れ…新たに2人の被曝確認
 茨城県東海村の加速器実験施設「J―PARC」の原子核素粒子実験施設で放射性物質が漏れた事故で、日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構は25日、新たに男性2人の被曝(ひばく)が判明したと発表した。
 これで被曝したのは6人となった。同日午後には、茨城県などが同施設の立ち入り調査を実施した。国の原子力規制委員会も原子力機構の担当者を呼んで、事故後の対応などについて事情を聞いている。

 発表によると、被曝していたのは23歳と45歳の男性。被曝量はそれぞれ1・4ミリ・シーベルト、1ミリ・シーベルトだった。ほかに14人が検査を受けたが、被曝していなかった。このほか、男性4人(22~34歳)が0・6~1・7ミリ・シーベルト被曝したことがわかっている。J―PARCの安全管理を担当する原子力機構は、事故当時に施設にいた残る35人について被曝の有無を調べている。
 高エネ機構によると、23日に、同施設のビーム装置の誤作動で放射性物質漏れが発生した際、異常を示す警報が鳴ったが、研究チームは、誤警報と判断(??)したり、フィルターの付いていない換気扇を回して建物の外に排気(??)したりして、実験を続けたという。
 排気の判断は、研究管理を担当する高エネ機構側の責任で行われた。
 こうした判断ミス(??)が重なり、漏れに気づいたのは24日夕だった。(読売

5/25
茨城、10人以上内部被ばくか
 原子力規制庁は25日未明、茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の加速器実験施設で23日に放射性物質が管理区域の外に漏えいしたと発表した。
 施設内の装置周辺で作業していた研究者10人以上が、放射性物質を吸い込み内部被ばくした可能性があり、漏えい量や被ばく量を調べている。敷地外への影響はない(??)という。原子力機構から原子力規制庁への報告は発生から1日以上経過していた。
 茨城県によると、発生は23日午前11時55分。当時、施設内では約30人の研究者が実験や作業をしており、複数が内部被ばくした。現時点で検査を終えた4人のうち、最大の被ばくは1・7ミリシーベルト。(共同)

原子力機構で放射能漏れ 研究員最大55人被曝か
 原子力規制庁は25日、茨城県東海村の日本原子力研究開発機構J-PARC加速度(ハドロン)実験施設で放射性物質の漏(ろう)洩(えい)が起き、少なくとも研究者4人が内部被(ひ)曝(ばく)した可能性があると発表した。敷地外部への影響はないといしている。
 施設周辺には漏洩当日に55人が立ち入っており、最大で55人が被曝した可能性があるとして、今後被曝量を調査する。漏洩はすでに停止しているが、茨城県は同日午後、同施設を立ち入り調査し事故状況について詳しく調べる。

 漏洩事故は23日昼に起きていたが、原子力機構は丸1日以上が経過した24日夜に規制庁に報告していた。原子力機構は高速増殖原型炉「もんじゅ」で約1万件に上る点検漏れが発覚し鈴木篤之理事長が引責辞任したばかり。規制庁は報告が遅れた経緯についても事情を聴く。
 規制庁によると、23日午前11時55分ごろ、金でできた標的に陽子ビームを照射して素粒子を発生させる実験中に装置が誤作動。ビームの出力が通常の400倍に上がり、放射性物質化した金の一部が蒸発し、放射線管理区域外に漏洩した。

 内部被曝した4人は22~34歳の研究者で、それぞれ1・7、1・1、0・7、0・6ミリシーベルトだった。機構は健康への影響はないとしている。
 機構によると、隣接する施設のモニタリングポストでは、23日午後4~6時ごろにかけ、通常1時間当たり70~130ナノグレイ(1ナノグレイは0・0008マイクロシーベルト)の値が、一時的に10ナノグレイ程度上がった。建屋は閉鎖され立ち入り禁止となっている。(産経

原子力機構、過小評価で報告遅れ 被ばく50人超か
 茨城県東海村の加速器実験施設「J―PARC」の放射性物質漏れ事故で、日本原子力研究開発機構は25日未明、都内で記者会見し、国への報告が1日以上遅れた原因を、放射性物質の漏えいが施設内にとどまっていると過小評価していたため(??)と発表。
 「意識と連絡態勢が十分に機能していなかった」(!!)と謝罪した。

 実験装置付近にいた55人のうち大学院生2人を含む22~34歳の男性4人が1・6~0・6ミリシーベルトの内部被ばくをしていたことが確認された。原子力機構は残る51人も被ばくしている可能性があるとみて検査を急ぐ。(共同)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
東海村の「原子力センター」構想

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東電、地下水放出で地元説明へ 福島第1原発
 東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水を減らすため、敷地内の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」計画で、東電が30日と6月7日、福島県いわき市と相馬市でそれぞれ地元漁業関係者向けに説明会を開くことが23日、分かった。東電は計画実施に向け、地元漁業関係者の理解が不可欠としている。
 東電は5月13日、いわき市内で開かれた県漁業協同組合連合会の組合長会議で計画を説明したが、海洋汚染や風評被害への関係者の懸念は根強く、結論が持ち越された。県漁連は東電や国に地元説明会の開催を求めていた。(共同)