2014年2月8日土曜日

福島: 汚染土中間貯蔵施設問題

福島: 汚染土中間貯蔵施設問題

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中間貯蔵施設に不満の声 双葉町議会と町民 加須で懇談会
 福島県双葉町議会が東京電力福島第一原発事故で各地に避難する町民の意見を聞く懇談会が十二日、加須市内で開かれた。除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設予定地を双葉、大熊の二町に集約する福島県の案について、町民に説明がないことへの不満などが相次いだ。

 懇談会は、震災三年を前に町民の意見を把握しようと六日から各地で開催。この日は町議四人と、加須市などで暮らす町民約四十人が参加した。
 中間貯蔵施設の二町集約案には、町民から「報道で知った。議会はどう考えるのか」「町は町民の意見を聞くというが、どのような機会を設けるのか」などの声が上がった。ある女性は「住民投票をしたらどうか。町に何を言っても仕方ない、という町民も多い」と不満をぶつけた。 (東京新聞 石井宏昌)

・中間貯蔵施設の集約を 福島知事、見直し申し入れ
 福島県内の除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設を巡り、同県の佐藤雄平知事は12日、東京都内で石原伸晃環境相、根本匠復興相と会談した。
 佐藤知事は「双葉郡の復興のためには施設の規模はできる限り小さくすることが望ましい」と述べ、現在の配置計画を見直し、建設地を双葉、大熊両町に集約することなどを要請した。
 これに対し、石原環境相は「県と双葉郡の総意と受け止める。大変だがしっかりと検討したい」と表明した。環境省は施設の新たな配置案を速やかに提示する方針。

 県の見直し案は
(1)中間貯蔵施設は楢葉町を建設地から外し双葉、大熊両町に集約する
(2)楢葉町には廃棄物の焼却灰の固化処理施設を設置する――の2点が柱。
 具体的な地域振興策を早期に示すことや、用地の買収ではなく賃借を希望する地権者への対応も求めた。
 県は双葉、大熊両町の施設面積は広げないことを要望。石原環境相は会談後、廃棄物の総量の圧縮について「この3年間で減容化技術はかなり進んでおり、どの程度のことができるか精査していく」と語った。(日経

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・汚染土中間貯蔵施設: 福島県知事が2町集約案…双葉郡了承
 「東京電力福島第1原発事故の除染で出た高濃度放射性物質に汚染された土(1キロ当たり10万ベクレル超)などを保管する中間貯蔵施設について、福島県の佐藤雄平知事は7日、大熊、双葉の2町に施設を集約し、楢葉町に汚染土より低レベルな廃棄物(同10万ベクレル以下)の中間処理施設を建設する案を双葉郡の8町村長に示し、了承を得た。

 国は楢葉町を含めた3町に中間貯蔵施設の建設を要請しており、県は近く国に計画案の見直しを求める。 
 集約案は、・廃棄物の減容化などを前提に、国が計画する施設面積
(▽大熊町11平方キロ ▽双葉町5平方キロ ▽楢葉町3平方キロ)
 を変更せず、大熊、双葉の2町に収容する。

 比較的放射線量の低い楢葉町には、放射性廃棄物の焼却灰を固める中間処理施設を設置。
 処理した廃棄物については、富岡町の既存の民間処分場を活用して埋め立て処分する方針を国が示している。・・・・」(毎日、喜浦遊、中尾卓英
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双葉町の地権者ら中間貯蔵施設反対へ団体結成
 除染で出た廃棄物を保管する中間貯蔵施設建設計画で、用地を買い上げる国の方針に反対し、福島県双葉町の地権者有志らが1日、まとまって交渉するための任意団体をつくった。
 「先祖伝来の土地を手放せない。最終処分場にしないなら土地を返せるはずだ」などと賃貸借を求めている。
 環境省は昨年12月、福島県の双葉、大熊、楢葉の3町に、廃棄物を30年間保管する中間貯蔵施設の建設受け入れを要請した。「借地にすると、長期にわたる管理が難しい」として、用地は買い取って国有化する方針を示している。

 団体をつくったのは候補地の地権者を含む双葉町民7世帯で、同県郡山市内で設立総会を開いた。 東京電力福島第一原発の北西約2キロの場所に自宅があり、会長に就いた遠藤浩幸さん(48)は「国有化されると、地域のつながりがなくなる。子孫の帰る場所をなくすわけにはいかない」と話している。(朝日 木村俊介

・中間貯蔵施設、住民投票条例案を否決 楢葉町議会
 東京電力福島第1原子力発電所事故で出た除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、福島県楢葉町議会は(1月)29日、建設の是非を問う住民投票を実施するための条例案を否決した。条例案は住民の請求を受け松本幸英町長が提出した。

 同町は1キログラム当たり10万ベクレルを超える高濃度の汚染物の受け入れを拒否しており、国に建設計画の再検討を求めている。住民投票が実施されなくなったことで、今後は同町の施設が受け入れる汚染物の範囲などを巡る県や国との調整協議が焦点になるとみられる。
 議会は役場機能がある福島県いわき市内で開催。松本町長は条例案を説明し「双葉郡、福島県全体で議論を進めるべきで、町のみの問題として住民投票を行うことは適当ではない」(??)と反対を表明。採決では、出席議員で議長を除く10人のうち条例案に賛成が4人、反対が6人で否決した。

 条例制定を求めたのは住民有志でつくる「住民投票を実現させる会」。町の人口の約3割に当たる2151人の署名を集め1月、松本町長に条例制定を直接請求した。 請求理由として
(1)立地候補地となった理由が示されていない
(2)最終処分場になるおそれがある
(3)施設の建設で若い世代の帰還意識が低下する――などと指摘。建設受け入れの可否は町民判断に基づくべきだとした。

 同施設の建設を巡る住民投票条例案は昨年9月の議会にも「実現させる会」共同代表の結城政重町議が提出。この際も否決された。
 楢葉町は町内で出た1キログラム当たり10万ベクレル以下の汚染物に限って受け入れる「保管庫」であれば建設を検討する方針。しかし国は他の自治体で出た1キログラム当たり10万ベクレルを超える汚染物も保管する施設の建設を求めた。松本町長は今月27日、同県の佐藤雄平知事に「施設の配置の再検討」を求める考えを伝えている。(日経

・中間貯蔵で住民投票を 楢葉町民有志が2151人の署名
「・・・ 松本町長は「厳粛に受け止めた。中間貯蔵施設、保管庫の現在の情勢をしっかり踏まえ慎重に検討したい」と述べた。・・・」(福島民友 1月11日

・中間貯蔵施設 押し付けは許されない
「・・・ 貯蔵施設を確保することで除染作業が加速し避難住民の帰郷が進む、と国は説明する。住民の側には、施設ができることで環境への不安が増し、若い世代が戻らなくなるとの懸念が強い。
 政府は2015年1月の施設使用開始を目指している。押し付けるのではなく、地元の人たちが抱えている不安に丁寧に向き合う姿勢が求められる。
 国有化を予定するのは第1原発の周囲16平方キロと、第2原発近くの3平方キロ。政府は昨年12月、福島県と関係する双葉郡4町に方針を伝え、同意を要請した。

 第2原発近くが楢葉町波倉地区に当たる。町はこれまで、町内の除染で出る比較的濃度の低い廃棄物に限ることを前提に、受け入れを検討するとしてきた。
 一方の政府は貯蔵施設を、福島県内で出る高濃度の放射性廃棄物を含む保管場所と位置付ける。町の見解と食い違う。住民グループが意思表示の機会を求めたのは当然といえる。

 国有化を要請する際、政府は「30年以内に福島県外で最終処分する」と約束した。
 が、どこに、どんな方法で処分するのかという肝心の議論は進んでいない。
 貯蔵施設がそのまま最終処分場になることを住民は疑っている。
 「何の説明もないまま計画が進んでいる」「先祖代々の墓や田畑を失う悔しさが分かるのか」といった住民の憤りが聞かれる。
 除染作業は復興に欠かせないけれど、避難者の帰還や住民の生活再建につながらなければ意義は薄らぐ。双葉郡の復興への道のりを具体的に描いた上で、貯蔵施設の在り方を詰めるべきだ。
 被災者への支援方針の遅れ、除染に伴う汚染水の垂れ流し、後手に回った第1原発の汚染水漏れへの対応…。国の不手際に、福島の人たちは不信を募らせている。・・・・」(信濃毎日 社説 1月12日)

中間貯蔵用地を国有化 政府、15年稼働めざす (日経 2013/12/11)
 東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設が動き出す。政府は11日、東電任せで遅れている除染の加速へ、原発周辺の土地を国有化するため、来年度予算に約1000億円を計上する方針を固めた。国が前面に出る姿勢を打ち出し、2015年1月の稼働を目指す。地元自治体から同意を得るには、用地の買収価格と地域振興対策がカギとなる。

 石原伸晃環境相が同日、安倍晋三首相に具体案を説明した。最終候補地は福島県大熊町、双葉町、楢葉町を南北につなぐ国道6号より太平洋側の約20平方キロメートルの地域。
 除染で出た土や廃棄物を保管する施設のほか、比較的高い放射性廃棄物の保管庫、草木や汚泥を焼却して容積を減らす施設などを建設。
 最大で東京ドーム23個分に当たる2800万立方メートルを30年ほど保管する。総事業費は1兆円を見込む。

 広大な土地を確保することで、住民の不安を減らす緩衝地帯にするほか、施設完成までの仮置き場として活用する。一帯を買い上げることで住民間の補償格差が縮小し、施設ごとに飛び地で土地を購入するよりも用地取得が進むとみている。
 石原環境相と根本匠復興相が14日に、福島県の佐藤雄平知事や3町長らと福島市内で会い、建設への同意を要請する。福島県と3町は受け入れるかの検討に入り、町議会や住民説明会などで、国に詳しい説明を求める。
 地元が関心を寄せるのは、用地の買収価格と地域振興対策だ。土地代金は避難者の生活再建の原資になる。東電が賠償済みの土地をどう評価するかなどが焦点になる。
 3町は施設の建設が住民の帰還断念につながり、復興の足かせになることを懸念している。建設予定地の周辺住民の反発もあり、振興策が求められることは必至だ。
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「批評する工房のパレット」内の関連ページ
『福島と生きる』 メールマガジン特別号 No.5-2 黒田節子さん(原発いらない福島の女たちの会)インタビュー(2)  2014年2月1日

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●「手賀沼終末処理場」(千葉)問題

・「汚染焼却灰の撤去を」 周辺住民、県を提訴
 放射性物質に汚染された焼却灰が県の手賀沼終末処理場(我孫子、印西両市)内の施設に一時保管されている問題で、施設は安全性を欠き健康を害する恐れがあるとして、両市の住民32人が(1月)7日、県を相手取り焼却灰の撤去を求める訴訟を地裁松戸支部に起こした。
 県は同処理場で、国の埋め立て基準を超えた1キログラム当たり8千ベクレル超の放射性セシウムを含む焼却灰を管理。一時保管施設は鉄骨造りのテント型倉庫で、訴状では「利根川の氾濫や強風で浸水、倒壊の恐れがあり、放射性物質が流出する危険性もある」と主張している。

 また、原告団は住民の合意なく施設の設置を決めた県の対応も問題視。 原告代理人の及川智志弁護士は同日、松戸市の県弁護士会松戸支部会館で記者会見し、
 「県は住民の意思を無視している。県民の健康と安全を預かる行政として失格」と批判した。

 原告団事務局長の小林博三津さん(63)=我孫子市=は「本来、焼却灰は各自治体で保管すべきもの」と指摘。計約526トンの焼却灰を施設に搬入した松戸、柏、流山の3市に対して、今後も焼却灰の持ち帰りを求めて働き掛けを続けていくという。
 周辺住民は焼却灰の搬入直前の2012年12月、施設の安全性が確保されるまでの運び込み停止を訴え、国の公害等調整委員会に調停を申し立てたが、県は安全性を繰り返し強調
 昨年12月に調停が打ち切られたため、周辺住民が提訴に踏み切った。
 県資源循環推進課は「訴状が届いておらず、コメントできない」としている。(ちばとぴ

・汚泥焼却灰、不安の声根強くコンテナを密閉−−手賀沼処理場
 手賀沼終末処理場(我孫子市・印西市境)で保管されている指定廃棄物の汚泥焼却灰について、県は飛散や流出を防ぐ措置を強化する。周辺住民に不安の声が根強いことから、保管容器を接着剤で密閉し、安全性を高めるという。

 同処理場では、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル超の焼却灰約380トンを、折りたたみができる柔軟性のある材料で袋状に造られたフレキシブルコンテナ800袋に分けて、それぞれ口をひもで縛り、仮設倉庫で一時保管している。今後はフレキシブルコンテナの口部分を接着剤で密閉する。
 県は今年の台風シーズン前の夏には全作業を終わらせたいとして、4月から作業を開始するという。 同処理場では、建屋内でも8000ベクレル超の焼却灰約170トン(339袋)を保管しているが、仮設倉庫より頑丈なため現状のまま保管する。(毎日 1月20日 宮地佳那子
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・高レベル放射性廃棄物:ガラス固化体、英から132本返還 六ケ所村に4月到着
 電気事業連合会と日本原燃は5日、使用済み核燃料の再処理を委託したイギリスから、ガラス固化体132本が近く返還されると発表した。海路で輸送され、4月に六ケ所村のむつ小川原港に到着する見込み。返還は昨年2月以来となる。
 ガラス固化体はフランス1310本、英国で約900本が再処理されていて、フランスからはすべて返還され、イギリスからは132本が返還されている。(毎日新聞 2月06日 地方版 酒造唯