2014年2月20日木曜日

福島: 超高濃度汚染水漏水問題

福島: 超高濃度汚染水漏水問題

3/24
・福島第一のALPS故障、原因はフィルター 
 東京電力福島第一原発で汚染水を処理する多核種除去設備ALPS(アルプス)が故障した問題で、東電は24日、3系統あるうち1系統のフィルターが働かず、放射性物質を含む泥が取れていなかったと発表した。残り2系統は問題ないとして同日午後1時に運転を再開。
 しかし、その後タンクから水漏れが見つかり、同日午後7時前に再び汚染水の処理を止めた

 ALPSは、高濃度の汚染水からストロンチウムなど62種類の放射性物質を取り除くとされる設備。前処理として、薬品を入れて吸着を妨げる物質を泥状にしてフィルターでこし取った後、吸着材で放射性物質を取り除く仕組み。東電によると、フィルターが機能せず、泥がそのまま吸着材に流れ込んでいたという。
 その結果、処理できなかった汚染水がタンク21基に送られた。タンクの汚染を調べたところ、このうち9基で6300トン分が汚染されたという。
 このほか、ALPSとタンクをつなぐ配管も汚染された。東電は運転再開した2系統で処理した水を配管などに流し、汚染を洗い流せるかどうか調べる。配管を通した水は、汚染された9基のタンクにためる。(朝日

・福島原発:「地下水バイパス」実施へ 解決遠い汚染水問題
 東京電力福島第1原発の汚染水対策で、原子炉建屋に流れ込む前の汚染されていない地下水をくみ上げ海に放出する「地下水バイパス」計画が実施される見通しとなった。
 東京電力の今泉典之原子力・立地本部長代理は24日の記者会見で「汚染水の発生を抑制する大切な施策で、25日の組合長会議で(最終的な)理解が得られるよう努めたい」と期待した。
 しかし、19日現在で貯蔵タンクに保管されている44万トンの汚染水浄化など、汚染水問題の解決はほど遠い

 地下水バイパスでは、原子炉建屋の西80〜200メートルに掘った井戸12本から汚染前の地下水をくみ上げて海に放出する。しかし、地下水の流れは複雑で、政府の汚染水処理対策委員会は昨年5月の報告書で「想定通りに流入量が低減しないリスクがある」との懸念を表明。
 対策委はバイパスに加え、建屋周りの地中を凍らせ壁を造って地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の建設が有効とし、地下水バイパスが抜本策にならないことを認めている。その凍土遮水壁も2015年度の完成を目指して実証試験が始まったばかりだ。

さらに、多核種除去装置「ALPS(アルプス)」は62種類の放射性物質を取り除くことが可能だが、19日にも全3系統が停止するなど不安定さが目立つ。浄化しても最終的に残るトリチウム水については、「海洋への放出は避けられない」(原子力規制委員会の田中俊一委員長)とし、漁協の理解が得られるかどうか微妙だ。
 今泉氏も「地下水バイパスだけでなく他の対策と合わせることで威力を発揮する」と認めたように、他の取り組みも着実にこなすことが引き続き求められている。【毎日 鳥井真平】

・地下水放出を容認へ=福島県漁連、25日決定—汚染水対策「苦渋の決断」
 福島県の相馬双葉漁業協同組合(相双漁協)は24日、東京電力が福島第1原発で汚染される前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス計画」を容認する方針を決めた。
 地下水の放射性物質検査の強化や、風評被害が発生した場合の補償などを条件とする。

 地下水バイパスは放射能汚染水の増加対策の一つで、県内では、いわき市漁協も受け入れる意向を示している。県漁業協同組合連合会(県漁連)は25日の組合長会議で容認方針を決定し、政府と東電に対し、相双漁協とは別に風評対策の実施などを盛り込んだ要望書を提出する見通しだ。[時事]

3/20
・浄化水タンクに汚染水流入か ALPSの4月本格稼働、困難
 東京電力福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去装置(ALPS=アルプス)」で汚染水を浄化できていなかった問題で、東電は19日、処理後の水を保管していたタンク21基に、処理前の高濃度汚染水が流入した疑いがあると発表した。
 浄化機能が失われた原因は依然不明で、全3系統で処理を停止している。ALPSは4月の本格稼働を目指し試験運転中だが、本格稼働が難しくなる可能性が出てきた。

 東電によると、本来、タンクにはALPSで除去できないトリチウムだけを含む水が保管されることになるが、ストロンチウムなどを含んだ汚染水が混ざったとみられる。タンクには計約1万3千トンの水が保管されていたため、今後これらを再び浄化し、タンク本体の除染も必要となる。
 18日にA~Cの3系統あるうち、B系統の出口で採取した水からベータ線を出す放射性物質が検出された。これら未浄化の汚染水が21基に流れた疑いがある。(産経

3/9
・原発作業員1.5万人、5ミリ超被曝 汚染水対策で増加
「東京電力福島第一原発で事故後3年間に働いた約3万人のうち、約1万5千人が5ミリシーベルト超の被曝(ひばく)をしていたことがわかった。作業員の被曝は徐々に減ってきていたが、汚染水問題が発覚した昨夏以降に再び増加。厚生労働省は昨年末に東電を指導したが、被曝対策は今も不十分だ。
 福島第一原発では1日約3千人が働く。「年50ミリ超、5年で100ミリ超」の被曝で働くことが禁止されるが、この限度内でも健康被害が出ないとは限らない。白血病の労災認定基準は「年5ミリ以上」、放射線管理区域は「年5ミリ超」で、「5ミリ」は被曝管理上の一つの目安だ。

 東電の集計によると、2011年3月の事故から今年1月までに働いた3万2034人中、累積で50ミリ超を被曝したのは1751人、うち100ミリ超は173人。5ミリ超は半数近い1万5363人に上った。作業員は数カ月単位で働くことが多く、「累積5ミリ」の人の大半は「年5ミリ」の白血病労災認定基準を満たすとみられる。・・・」(朝日

36
浄化装置再び停止=福島第1、前回と別系統―東電
 東京電力は5日、福島第1原発で汚染水から放射性物質を大幅に減らす装置「ALPS(アルプス)」で警報が鳴り、試運転中の3系統のうち1系統の処理が停止したと発表した。
 2月下旬にも今回と別系統で処理が一時止まっており、東電が詳しい状況を調べている。

 東電によると、5日午後5時40分ごろ、汚染水を送るポンプの電源機器で故障警報が発生、処理が止まった。2月26日、別系統の同じ電源機器で漏電が発生。機器を交換し、翌日に運転を再開したが、詳しい原因は分かっていない
 アルプスは、汚染水から62種類の放射性物質を大幅に減らすことができ、汚染水対策の「切り札」と位置付けられているが、トラブルが相次ぎ安定的な運用はできていない。 (時事)

・東電 「汚染水タンク満水…改善は当面困難」
 「東京電力は5日、福島第1原発で発生した汚染水をためる貯蔵タンクがほぼ満水になっている状態を改善するのは当面困難との見解を明らかにした。満水状態が水漏れリスクを高めている。
 原子力規制委員会は同日、新たな保管場所として、昨年4月の汚染水漏れを受け使用を中止した地下貯水槽の対策を強化し、再利用を検討するよう指示した。同日の規制委の作業部会で報告された。

 先月、タンクから約100トンの高濃度汚染水が外部に漏れた。水位が96.3%に達して警報が鳴ったが、東電は「容量切迫」を理由に手動で汚染水を入れ続けた。このため、規制委は東電に対し、水位を95%程度に抑えるよう要請した。

 作業部会で、東電はタンクの増設工程などを踏まえ、「現状で水位引き下げは難しい12月末までに(!!!)下げることを検討する」と応じた。・・・。
 地下貯水槽をめぐっては、茂木敏充経済産業相が使用を禁止する方針を示しているため、経産省の担当者は「茂木経産相に相談する」と述べた。
 一方、東電は、タンクの監視を担当する協力会社に異常時の報告を指示するのみで、監視方法を指導していなかったことや、弁の開閉を記録していなかったことを明らかにした。(毎日 鳥井真平)

3/4
・福島第一の汚染水保管 満タン運用横行
 (写真は100トン超の処理水が漏れたタンク周辺。汚染された土壌は掘削して除去
 東京電力が、福島第一原発で処理水を保管しているほとんどのタンクで、ほぼ満水になって送水するポンプが自動停止した後も、警報を解除してさらに水を入れ続けるという、危うい運用をしていたことが分かった。あふれる寸前にもう一度警報が出るが、この際はポンプは自動停止しない設定にしていた。
 一般的な液体とは大きく異なり、処理水には超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれている。海に流出すれば魚介類を汚染するほか、周辺の土壌も汚染し、作業員らは土の除去作業を迫られる。厳重な管理が不可欠な水だ。

 福島第一では、日々約四百トンもの汚染された冷却水の処理に追われ、タンクはぎりぎりの状態が続いている。東電は、最初の警報が出る96%の水位でタンクへの注入をやめると貯蔵が間に合わないため、手動でポンプを動かし、二度目の警報が鳴る水位99%の直前まで水を入れていた。地震などで水面が揺れれば、天板の点検口からあふれ出る恐れのある水位だ。
 原子力規制委員会は、タンクの水位は95%程度までが限界とみている。

 もう一つの問題は、東電はあふれる一歩手前の二度目の警報が出ても、ポンプが自動停止しない設定にしていた点。二度目の警報に即座に対応しないと、今回のようにタンク上部からの水漏れにつながる。
 さらなる問題が、超高濃度の処理水が約百トン漏れた先月十九日の事故で明らかになった。この事故では、誤操作で弁が開きっぱなしになっており、本来の移送先タンクとは別のタンクに水が送られていた。このため、別のタンクで満水警報が出ても、ポンプ側では異常を検知できず、送水が続く状態だった。(東京新聞 小倉貞俊、清水祐樹)

2/28
⇒「 IWJ Ch2(東電会見)17:30
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・汚染水漏れも「事象」 規制委事務局「事故」と呼ばず
 東京電力福島第一原発の地上タンクから処理水百トンがあふれた問題で、原子力規制委員会の委員はこの件を明確に「事故」と呼んでいるのに、事務局は単なる出来事を指す「事象」と呼んでいる。事務局への取材によると、同委には事故と事象を使い分ける基準はないという。

 三年前の事故発生当初、国も東電も会見などで「事象」を連発。福島第一で水素爆発が起きても、「何らかの爆発的事象が起きた」といった具合だった。国民に「事態を小さく見せようとしているのではないか」との疑念を抱かせた。

 今回の水漏れは超高濃度の放射性ストロンチウムを含む大量の処理水が敷地にあふれ、コントロールできない状態になった明らかな事故だ。田中俊一委員長は「今回の漏えいは明らかに事故。事象という言葉でごまかして何かということなら、それは間違いだ」と断言。同委は今回、原因究明にとどまらず、東電の安全管理体制にまで踏み込んで調査する方針だが、事務局は事故の経過をまとめた報告書の中でも、定例会合でも「事象」を繰り返した

 各委員が「事故」と呼んでいるのに、事務局が「事象」と呼び替える是非について、事務局に取材すると、担当者は「広い意味の言葉で、使い慣れているから」。どう呼ぶか基準はないことを明らかにした上で、「事故と言い換えるのもやぶさかではない(???)。処理水漏れを過小評価するつもりは毛頭ない」と強調した。 (東京 大野孝志)

福島第1原発:経産省がトリチウム対策で7案
 東京電力福島第1原発の汚染水問題で、経済産業省の専門部会は27日、多核種除去装置「ALPS(アルプス)」を使っても除去できない放射性トリチウム(三重水素)の対策案を示した。
 海洋放出を含む7項目ある。各項目について、環境や健康への影響、実現性などを議論し、年度内に報告書をまとめる。 海洋放出以外に提示された選択肢案は、
▽固化・ゲル化して地下に埋没廃棄
▽地層に注入廃棄
▽水蒸気化
▽水素ガスに還元し大気放出
▽大量貯蔵
▽減量化して貯蔵・廃棄。
 部会では、海外の有識者らを含む幅広い知見が必要との提案もあった。(毎日 鳥井真平)

・地盤安全性再評価を 汚染水タンクで日本科学者会議が国、東電などに提言
 全国の大学や研究機関、企業の研究者らでつくる日本科学者会議は27日、東京電力福島第一原発事故に伴う汚染水問題と除染に関する提言を発表した。
 汚染水問題は「汚染水タンク敷地地盤の安全性の再評価」、除染は「被災者の生活再建と除染の位置付けの明確化」などを求めた。

 汚染水問題については、政府と東電の対策で地質や地盤、地下水流動の分野の実態把握や調査、解析が不十分とし、緊急提言と位置付けた。汚染水タンク敷地地盤の安全性の再評価の他、海への地表汚染水流出防止対策の実施、汚染地下水流出の厳格な監視などを求めた。原発敷地内の地下水位観測地点数が不十分と指摘し、観測体制の強化も訴えた。

 除染については、定義や方法、評価に統一基準がなく、地域により効果に差が出ているなど課題を指摘。被災者の生活再建と除染の位置付けの明確化、除染と放射性廃棄物の管理に関する国民的討議、除染の計画・実施・評価を管理する第三者機関の設置などを求めた。

 提言は、日本科学者会議の原発汚染水問題プロジェクトチームの柴崎直明代表(福島大共生システム理工学類教授)、除染問題検討チームの石井秀樹代表(福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任准教授)が県庁で発表した。国の関係省庁や東電、県などに送付した。

【日本科学者会議が提言した項目】
◆「原発汚染水問題」に関わる 緊急提言
・汚染水タンク敷地地盤の安全性の再評価
・微地形と排水路系統の詳細な把握と海への地表汚染水流出防止対策の実施
・原子炉建屋から海側での地下地質状況と汚染地下水流出実態の詳細な把握
・敷地周辺や港湾外を含む汚染地下水流出の厳格な監視・詳細で実態に合った三次元地下水流動解析の実施

◆「除染」に関わる提言
・被災者の生活再建と除染の位置づけの明確化
・国の責任下での詳細な汚染実態の把握とその公表
・除染と放射性廃棄物の管理に関する国民的討議
・除染は国の責任で行うことの明確化、ならびに除染に関わる法令の体系化
・除染の計画・実施・評価を管理する、国および地方自治体から独立した第三者機関の設置
・国の支援による除染技術の研究・開発の促進 (福島民報

・「ノドグロ」110ベクレル いわき沖、出荷自粛し重点検査
 県漁連は27日、いわき沖で同日実施した底引き網漁の試験操業で、ユメカサゴ(ノドグロ)から食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える110ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。試験操業で漁獲した魚が基準値を上回ったのは初めて。県漁連はユメカサゴの出荷を自粛、市場には流通していない。県や水産庁などと対応を検討する。

  底引き網漁の試験操業はいわき地区、相馬双葉の各漁協が行っているが、産地の表記は本県沖として統一。このため相馬沖で26日に漁獲したユメカサゴは検出限界値未満だったが、自主回収を進めている。いわき地区の漁協による自主検査で112ベクレルを検出。県水産試験場で詳しく調べた。
  県によると、ユメカサゴはこれまで検査した272点のうち225点が検出限界値未満で最高値は72ベクレルだった。県と県漁連は重点的に検査して原因を調べる。 (福島民友

2/25
・汚染水100トン漏れ 新たに不備判明
 東京電力福島第一原発で起きたタンクからの約100トンの処理水漏れ事故で、処理水を送る配管の弁を開けたまま1年近くも放置したほか、弁が誤操作で開かないよう鍵をかける穴を活用しないなど、新たに4点の東電のずさんな危機管理が浮かび上がった。 (小倉貞俊)

 問題のタンクには、三つの弁がある。昨年四月、地下貯水池からの処理水漏れ事故で、地上タンクに緊急移送することになり、東電は二つの弁を開け、残る一つの弁を開ければすぐ処理水を入れられるようにした。ところが東電は、タンクがほぼ満水になったのに、二つの弁を閉じずに放置していた。

 次の問題は、せっかく弁のメーカーが弁の操作部に南京錠などを取り付けて誤操作を防ぐ穴を開けていたのに東電は活用しようとしなかった。二十四日の原子力規制委員会の作業部会では「重要な弁はロックするのがプラント管理の常識だ」との批判が出た。
 さらに問題なのが、水位管理のあり方。漏れたタンクには水位計は付いていたものの、水位の変化で水漏れを検知し警報を発する機能はなかった。千基を超すタンクの水位を人力で監視するのは不可能なのに、満水かほとんど空にならないと警報が出ない仕組みのままタンクを使っていた
 もう一つ、別のタンク群に処理水を移送していたのに、そのタンクの水位が上がってこないことを確認していなかったことも明確になった。記録では、移送ポンプは動いているのに、水位計の値は横ばい。まともに監視していれば、すぐ異常に気づけた。作業部会で、東電の担当者は「水位が上がらないことに疑念は持ったが、具体的な行動は取らなかった」と話した。(東京

2/24
・汚染水100トン漏れ、作業効率優先しバルブ開けたまま運用    
 
福島第一原発で汚染水が保管用のタンクから漏れ出した問題で、東京電力は本来閉じておくべきバルブを、作業効率を優先し開いたままにして運用していたことを明らかにしました。   この問題は先週、福島第一原発の汚染水を保管するタンクから、高濃度の汚染水およそ100トンがせきの外に漏れだしたものです。

 汚染水は本来使用されるはずのタンクではなく、ほぼ満水の別のタンクに送られて溢れ出しましたが、これまでにタンクへの水の流れを管理するバルブ2つが開いていたことが分かっています。このバルブは本来、閉じておくべきでしたが、東京電力は作業効率を優先するとして去年4月以降、バルブを開いたままにしておくよう運用していたことを明らかにしました。
 また、これとは別のバルブ2つが2回にわたって無断で操作されていて、東京電力は社員や作業員らおよそ100人に聞き取り調査を行うなどバルブが操作された経緯について調べています。(毎日放送

2/22
汚染水流出 誰かが配管の弁を開けたかNHK

2/21
お粗末な対応に怒り 汚染水漏れ、あきれる避難住民
 東京電力福島第1原発で汚染水をためているタンクから1リットル当たり2億4000万ベクレルと極めて高い濃度の放射性物質の汚染水が漏れ出たことが発覚した20日、原発立地町などの避難住民からは度重なる汚染水漏れに批判の声が上がった。
 「東電は一体、何をやっているのか」「放射性物質の濃度が高過ぎる」。
 汚染水漏れが発覚するたびに「防止に万全を期す」としてきた東電に対して、住民はいら立ち、発見が遅れたお粗末な対応にあきれた。

 双葉町から、いわき市の仮設住宅に避難する自営業松本正道さん(50)は「これまでは汚染水が漏れていたと知るたびに何をやっているのだか、と思っていたが、今回はあまりにも(放射性物質濃度の)桁が違い過ぎる」と怒りとあきれが入り交じった表情を浮かべた。
 「またか、という思い。あきれ返るしかない」。楢葉町から、いわき市の仮設住宅に避難する主婦(70)は怒りを込め、「これだけ期待を裏切られると、本当はもっと漏れているのではないかと疑いたくなる」と東電への不信感を口にした。 (福島民友

・福島第1原発: 高濃度汚染水漏れ 東電不信さらに増幅 温度計故障も
 −−県が緊急部長会議 
 東京電力福島第1原発構内で極めて高濃度の汚染水約100トンがタンクから漏れた問題で、県は20日、緊急の関係部長会議を開催した。また19日には2号機原子炉圧力容器下部の温度計が人的ミスで故障していたことも判明。たび重なるトラブルや人的ミスの発覚に、東電への批判の声が上がった。

 県は20日午前、県庁で緊急の関係部長会議を招集。「本来閉じているはずの配管の弁が開いていた」との報告を聞いた佐藤雄平知事は「考えられない話ばかり。何度も危機管理をしっかりするように言ってきたが、それに対して東電が真摯(しんし)に対応しているかどうかだ」と話した。

 同日、県や原発周辺自治体などで作る「廃炉安全監視協議会」も開催され、急きょこれらのトラブルが議題に上った。汚染水漏れトラブルについて「普通の水ではなく、放射性物質を含んだ水を扱っているということを認識することが必要」との意見が出た。
 また、「平均的な注意力でトラブルを防げないのであればシステムに誤りがある」と、マニュアルの充実を説く声もあった。
 温度計の故障について東電側は、点検の際に誤った電圧をかけ、ショートさせたことが原因とみられることを報告。「初歩的なミスで壊すのはもってのほか。ラベルをつけたり、手順書に書いたりするのは当然」などと、厳しい指摘が集中した。
 ◇
 東電の新妻常正常務は同日午後、急きょ県漁連の組合長らが出席する県地域漁業復興協議会で経緯を説明。「汚染水の海洋への流出はないが、(試験操業を実施している)重要な時期にこのような問題を起こし、大変申し訳ない。汚染された土壌を回収するなど速やかに対応したい」と陳謝した。
 これに対し、いわき市漁協の矢吹正一組合長は「100トンもの汚染水が漏れ出したというのはあってはならない話。消費者の不安や風評被害を助長しないか心配だ」と話した。
 また、相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「こうも物理的、人為的なミスが続いては漁業者は納得できない」と憤りをあらわにした。(毎日 高橋隆輔、蓬田正志、中尾卓英)

・<福島第1原発>配管の弁、すべて開く…汚染水漏れ
 東京電力福島第1原発で極めて高濃度の汚染水約100トンが漏れた事故で、東電は21日、汚染水貯蔵タンクにつながる三つの弁のうち、「閉まっていた」と発表していた一つの弁が一時的に開いていたと発表した。通常は、汚染水を移送する時以外、すべて閉まっている。今回のトラブルは、弁を誤って開いたことによる人為的なミスだった可能性が強まった。

◇人為的ミスか
 東電によると、弁が開いていたのは「H6エリア」と呼ばれるタンク群へ汚染水を流す配管。三つの弁がすべて開くと汚染水がタンクへ送られる。東電は20日、「一つは閉じていた」と説明したが、21日に再調査した結果、一時的にすべて開いていたことが分かった。
  東電は17日から、H6と配管を共有する「Eエリア」のタンクへ汚染水を流す作業をしていた。
 しかしH6側の三つの弁がいずれも開いていた一方、E側へ流れる弁が閉まっていたため、満杯だったH6のタンクに汚染水が流れ込み、大量にあふれたとみられる。

  漏れる前の19日午前に撮影した弁の写真では、弁を操作する器具が接続されたまま開いており、作業員が何らかの原因で弁を開いたとみられる。一方、事故発覚前後の同日夜から、翌日未明に弁が閉じられた形跡があり、作業員が閉め直した疑いが出ている。
  弁が意図的に操作された可能性について、東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は21日の記者会見で「先入観を持たずに調べる」と述べた。(毎日 河内敏康、中西拓司)

・閉まっているはずの弁開いていた経緯調査
「・・・ 原因について東京電力は、汚染水を処理設備からタンクに移送する配管の途中にある、本来閉まっているはずの3つの弁のうち、1つは故障していた疑いがあり、別の2つの弁も開いていたため、予定していなかったタンクに汚染水が入りすぎ、あふれた(???)と説明。・・・。

・また漏えいが見つかる9時間以上前の19日午後2時すぎ、タンクの水位が高まっていることを示す警報が鳴っていた。しかしその後、タンクの水位計のデータは反対に水位が急に低下したことを示したため、警報は水位計の故障によるものと判断しタンク周辺のパトロールはしたものの、タンク内の確認はしなかった(???)

相次ぐタンクからの汚染水漏れ
・去年8月には、4号機の山側にあるタンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水300トン余りが漏れ。これついて原子力規制庁は、漏れた汚染水に含まれる放射性物質の推定量などから国際的な原子力事故の評価基準に基づく評価を、8段階あるうちの上から5番目の「レベル3」とした。

・去年10月には、4号機の山側にある別のタンクの上部から高濃度の汚染水が漏れ、調査の結果、傾斜のある場所のタンクに水を入れすぎたのが原因と分かった。汚染水は今回と同じようにタンクの天井部分から漏れて点検用の足場を伝って「せき」の外に漏れていた。

・こうした汚染水漏れが相次いだことを受けて、東京電力は異常をいち早く発見するためのパトロールの強化やタンクを監視する水位計や警報機の設置といった対策を進めてきたが、今回はこうした対策が生かされなかった

・また、今回漏れ出した汚染水はタンクの周りに取り付けられた雨どいを伝ってタンクを囲うせきの外に流れ出した。この雨どいは、せきの中にたまった汚染水を雨水によって増やさないよう取り付けられたものだが、今回のように雨どいの上の部分で汚染水が漏れると、せきの外への流出につながるため東京電力は対応を検討するとしている。(NHK

・福島第1原発汚染水漏れ 故障と人為ミス競合か 後手に回る東電
 東京電力福島第1原発の地上タンクから20日、高濃度の・汚染水がまたも漏(ろう)洩(えい)した。本来閉まっているべき弁が開いていたなど、人為的ミスの疑いがある。閉まっていた弁でも水を通したり、水位計の故障も指摘されるなど、複合要因が事態を深刻にした構図が浮かぶ。福島第1原発ではミスによるトラブルが相次いでおり、東電の汚染水対策が改めて問題視されそうだ。

 今回の汚染水漏れは、弁の開閉により管理している移水作業の根幹を揺るがすトラブルだ。本来は閉じられているはずだった3カ所の弁のうち2カ所は、原因は不明だが「開」となっていた。残り1カ所は「閉」であったにもかかわらず、約100トンもの水を通した。東電は「故障していた」とみている。
 弁の開閉は手作業で行われており、確認不足など人為ミスの疑いがある。仮に1カ所でも正常な状態ならば、多量の漏洩を防ぐことができたとみられる。

 さらに、東電は「漏洩のあったタンクの水位計が故障していた」と説明する。漏洩発覚前の19日午後2時すぎにタンクの水位が急激に減少し、再び上昇するといった異常な振れ幅を計器が示した。水位計が正常に機能していれば、漏洩を防げないまでも早期に発見できた可能性が高い。

 福島第1原発での度重なるミスについて、昨年10月には原子力規制委員会の田中俊一委員長が東電の広瀬直己社長に対策を要請。東電は再三にわたり汚染水の保管体制の強化を進めてきたが、対策は後手に回っているのが現状だ。
 今回は、堰(せき)内に雨水がたまり汚染水となることを防ぐため新設された天板部の雨どいをつたい流出した。「雨どいがなければ、汚染水が堰内にとどまったかもしれない」と東電。対策が裏目に出た可能性もある。(産経 原子力取材班)

・福島原発でタンクから漏水、2億3000万ベクレル検出
 2月20日(ブルームバーグ): 東京電力は20日、福島第一原発で汚染水をためているタンクの上部から水が漏れたと発表した。20日採取分の雨どい水でベータ線を放出する放射性物質の濃度が1リットル当たり2億3000万ベクレルを検出した。海への流出は確認されていない。 .

 東電によると、19日夜、「H6」エリアのタンク上部から水が漏れているのが見つかった。タンク上部天板部のフランジ部から水が漏れ、雨どいを伝ってタンクを取り囲むせきの外側へ流出した。 .
 都内で会見した尾野昌之原子力・立地本部長代理によると、タンクからせきの外に漏れた汚染水の量は約100トン。別のタンクに水を移送していたところ、弁に不具合があり、水が漏れだしたタンクに移送中の水が入り込みあふれた。弁を閉めたところ、漏水は止まった。
.
記事についての記者への問い合わせ先:
東京 岡田雄至 ,yokada6@bloomberg.net .
記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Alexander wiatkowski ,akwiatkowsk2@bloomberg.net

・福島第1原発のタンクから汚染水漏れ、東電は「海への流出ない」
[東京 20日 ロイター] -「・・・ 東電は、漏えいした汚染水は現在回収中で、漏えい箇所の土壌回収作業を始めたという。
  新たに汚染水が漏れたのは、「H6」と呼ばれる場所に設置されている汚染水貯蔵タンク。
 19日午後11時25分ごろ見回りをしていた協力会社作業員が、タンク上部から汚染水が漏れているのを発見。現場確認の結果、タンク上部天板部のフランジ部から雨どいを伝わって、堰外に漏れていることを確認したという」

・福島第1原発タンクからまた汚染水漏えい 一部は地中に染み込む
「・・・・  一部は、雨水対策で設置した雨どいを通じ、地中に染み込んだという。タンクは、汚染水で満水だったということで、東電は、タンクに汚染水を入れすぎた可能性もあるとみて、原因の特定と漏えい量の調査を進めている。」 (FNN)
 

・2号機の温度計が故障 圧力容器下部を計測 
 東京電力は19日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の温度を計測している温度計2個のうち1個が故障したと発表した。温度計は原子炉の冷温停止状態を確認する上で欠かせない。19日午前11時現在の温度は24度。東電は「傾向は周辺の温度計でも把握できる」として、当面は残りの1個で監視するとともに、交換を急ぐ。

  問題の温度計は18日午後、点検中に電気抵抗がゼロを示し、温度が測れなくなった。原因について、東電は「作業ミスで電圧を加えすぎた可能性がある」とみている。  2号機では事故後にも圧力容器下部で温度計の故障が相次ぎ、2012年に増設したもの。(毎日 西川拓)


・【福島第1原発の現状】 過小評価、事故直後からか 第1原発の汚染水濃度
 東京電力が福島第1原発の事故直後から昨年10月まで、汚染水の測定でストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質の濃度を過小評価して公表していた可能性があることが判明し、信頼性を損ないかねないなどと批判の声が出ている。
  田中俊一 原子力規制委員長は会見で「東電には測定に関する基本的な知識が欠けている。指導、監督を強めていく」と語った。

 東電は6日、昨年夏に採取した汚染水で濃度の過小評価があったと公表。14日には汚染水や土壌などの試料167体で過小評価した可能性があることを明かした。
 昨年8月に発覚した地上タンクからの約300トンの汚染水漏れに関する試料も含まれており、最高8千万ベクレル検出という数値はさらに大きくなる可能性がある。

 東電は昨年7月、事故直後に高濃度汚染水の流出があった2号機海側で新たに掘った観測用井戸の水から、ストロンチウム90を含むベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり90万ベクレル検出されたと発表した。 その後、9月にはストロンチウム90だけで同500万ベクレルを検出したが、5カ月後の今月6日まで公表しなかった。

 原子力規制庁が昨年、分析結果の報告を求めたが、東電はデータに疑義があり調査のため公表を見合わせると説明。
 今年1月の規制委作業部会で東電が「ストロンチウム90を過大評価している可能性がある」と報告すると、「説明の付かないデータが出たから公表しないというのはおかしい」「ベータ線を出す放射性物質の方が低く出ている可能性もある」と批判が相次いだ。
 調査の結果、3カ所ある分析施設の一つではストロンチウム90を過大評価していたが、別の施設ではベータ線を出す放射性物質を過小評価していたことが判明した。

 都合の悪いデータを隠していたとも受け取られかねない(???)一連の経緯に、東電の 尾野昌之 (おの・まさゆき) 原子力・立地本部長代理は会見で「違う対応もあり得た。反省したい」と陳謝した。
 過小評価の原因は誤った測定方法だった。高濃度の汚染水の場合、薄めて測らないと検出器に入る放射線が多すぎて数え切れなくなるが、昨年10月に手順書を整えるまで対応が徹底されていなかったという。(共同 2/17)

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・福島第1原発:汚染水処理装置、3系統9月増設
 東京電力は(2月)13日、福島第1原発の汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS(アルプス)」を3系統増設すると原子力規制委員会に12日に申請したと発表した。増設で計6系統になり、1日の汚染水の最大処理容量は750トンから1500トンになる。9月の運用開始を目指す。
 東電によると、新設分は除去効率を上げるため前処理を一部省略し、本処理での放射性物質の吸着能力を増強するという。アルプスは汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、トリチウム以外の62種類を除去する。
 国も最大処理容量500トンの「高性能アルプス」を導入し、処理能力を計2000トンに高め来年度中にすべての汚染水の処理を終える予定。(毎日 高橋隆輔)

福島第1原発:貯蔵タンクの汚染水、トリチウム800兆ベクレル
 東京電力福島第1原発の汚染水問題で、東電は15日、貯蔵タンクに保管している汚染水に含まれる放射性トリチウム(三重水素)が、800兆ベクレル以上に上るとの試算を明らかにした。
 国が定める1基当たりの年間放出基準(3・7兆ベクレル)の200倍以上に相当する。

 東電は政府のトリチウム対策を考える部会で、敷地内に設置された貯蔵タンクに現在、汚染水約40万トンが保管され、この汚染水中に817兆ベクレルのトリチウムが含まれると説明した。福島第1原発では、原子炉建屋やタービン建屋内にも汚染水が残されており、タンク以外にも58兆ベクレル存在すると試算した。
 東電は、多核種除去装置「ALPS(アルプス)」などを使い、2015年4月までにタンク内の汚染水を全て浄化する計画だが、トリチウムは取り除けない。(毎日 1/6 鳥井真平)

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・脱原発団体の施設利用拒否 愛媛・伊方町
 四国電力伊方原発のある愛媛県伊方町が1月、脱原発を訴える市民団体から講演会の施設利用を求められ、政府の原発政策が定まっていないとして拒否していたことが20日、関係者への取材で分かった。
 同町産業振興課の担当者は事実関係を認め、取材に「賛成、反対にかかわらず原発がらみの講演会は施設の使用を遠慮してほしい」と説明した。一方、四国電への配慮については否定した。
 講演会は、東京電力福島第1原発事故当時、福島県双葉町長だった井戸川克隆氏を招いて福島の現状を話してもらおうと、「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」(愛媛県八幡浜市)が企画した。(河北新報