「エネルギー基本計画」(素案)を読む(1)
昨年12月6日、資源エネルギ―庁の「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」で、「エネルギー基本計画」(事務局原案)が公表された。原発を「重要な」「ベース電源」としたこの事務局原案に対しては、公表以来、さまざまな批判がなされてきた。
● 「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
● 「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見(案)」
「素案」は、
「第2章 エネルギー政策の新たな視点」 「第2節 各エネルギー源の位置付けと政策の時間軸 」の、「1.一次エネルギー構造における各エネルギー源の位置付けと政策の基本的な方向」の
(5) 「原子力」において原発に関し、次のように述べている。
・・
(5)原子力
①位置付け
燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である。
②政策の方向性
原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。
安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める。
また、万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。 さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠である。
・・
この事務局原案に対する批判のポイントは、「避難の権利」ブログがいち早くまとめた、以下の内容に集約される。私も同意見である。
・・
1)昨年夏の国民的議論の結果の「原発ゼロ」の方向性をまったく無視
2)原発を、「準国産エネルギー」としているが根拠が不明(p.16、p.21)
3)「福島原発事故の真摯な反省」と書いてあるのにも関わらず、その分析をきちんと行っていません。
4) 原子力は重要なベース電源(p.16)。理由は安定供給、コストが安いなど
5) 「世界最高水準の新規制基準の下で安全性が確認された原発については、再稼働を進める」(p.16)
6)「核燃料サイクルの着実な実施」(p.25)
(【カンパ募集中】 FoE Japan原発チームは「避難の権利」、支援法、子どもたちの保養、秘密保護法の廃止、脱原発に取り組んでいます。資金が不足しており、活動の継続がピンチです。
ぜひご支援を!http://www.foejapan.org/join/donation.html#01 ※通信欄に、「原発チーム」と明記してください。)
・・
以上の6点を踏まえたうえで、ここではまず、「そもそも論」として、「エネルギー基本計画」(素案)そのものがはらんでいる問題点を考えてみたいと思う。 その次に、この「素案」が、
1、「原子力ムラ」を構成する経産官僚(そこから脱しようとしている、ごく一部の人々が存在することを忘れないようにしたい)と、発送電の「地域独占」と既得権を死守しようとする既存電力大企業の、いわば「戦略的願望」を示したに過ぎないものであること、そして、
2、原発を「重要な」「ベース電源」とするかどうかを含め、これからの日本の「エネルギー計画」の詳細については、現在に至るも何も確定していない、という点についてみていきたいと思う。
Ⅰ 原子力委員会と「経産省・総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」
――で、原子力委員会をどうするのか?
根本的な話からはじめたい。
「3・11」後の日本の「原子力政策」、およびそれを踏まえた「エネルギー」計画の原案を作成するのはどこなのか? どこであるべきなのか?
①首相官邸か、②与党のプロジェクトチームか、③国会のそれか、④なぜいまだに存在するのか、私には意味がさっぱりわからない、内閣府に設置され続けている原子力委員会か、それとも⑤経産省・総合資源エネルギー調査会か?
日本の政治システムによると、答えは⑤になるらしい。
しかし、これって正しい答えなのだろうか?
では、④の原子力委員会、自らの定義によると、「将来のエネルギー源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与するこ とを目指」す、「国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図る」ことを設立目的とする、原子力安全委員会は今、何をしているのか? よくわからないが、のぞいてみよう。
これをみると、委員会は毎月の定例会議でいろんな「研究会」を行い、各委員は税金を使った「海外出張」にと、毎月毎月、実に多忙であるらしいことがわかる。
で、「素案」の発表から一カ月余りが経った、新年最初の定例会、1月9日。この定例会において、原子力委員会としての「「エネルギー基本計画に対する意見」について(見解)」なるものが公表された。
委員会付きの事務局官僚がドラフトを書き、「とりまとめた」その「見解」なるものを読んでみる。
こんなことが書かれている。
・・
原子力委員会は平成25年12月20日(金)に開催した臨時会議で、経済産業省から、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取り纏めた「エネルギー基本計画に対する意見」(以下では、「意見」という。)について、原子力発電に関する内容を中心に説明を受けた。
・・
で、「説明を受け」て、原子力委員会はどうしたのか? これから、この「素案」に対し、何をどうするのか?
・・
・「これに基づいて制定されるエネルギー基本計画を実施していくに際しては、次の点に留意することを期待する」
・ 「特に原子力発電については、その利用は即刻やめるべき、できれば原発を全廃したい、我が国に原子力等の大規模集中電源は不要であるなど、否定的な立場からの意見も多く表明されている。
政府はこうした状況を正面から真摯に受け止め、・・・、今後 20年間程度の期間においては原発依存度をできる限り低減させていくという方針の下で、原子力発電を重要なベース電源に位置づけるとしたことについて、この判断に至った熟慮の内容を国民に丁寧に説明するべきである」
・「電力システム改革により、原子力発電を巡る経営環境が変化することや、今後の原子力発電規模が従来想定されてきたところと異なると予想されることから、従来の原子力発電の運営体制は、こうした新しい環境において重要なベース電源としてこれを維持・活用していく観点から最適とはいえないので、維持するべきところと変更するべきところを明らかにして見直していくべきである・・・」 (以下、略)。
・・
これが、官僚が作文した「素案」に対する、官僚がとりまとめた原子力委員会の「見解」である。
しかしこれが、日本の「将来のエネルギー源を確保」し、原子力政策に関する「国の施策を計画的に遂行」すると、今でもなっている組織の「見解」だといえるだろうか?
どこか他人事のような、没主体的な無責任さ、を感じるのは私だけだろうか?
結局、原子力委員会は「3・11」の責任を何も取らなかった。
委員長を含め、事務局はもちろん、誰も、何も責任を取らなかった。
誰ひとりとして、何らの法的・政治的・行政的・個人的責任を取らなかったのである。
こんな組織がこれからも温存され、「研究会」と海外旅行を繰り返し続けていくことを、私たちは傍観したままでよいのだろうか? 「無用の長物」とは、原子力委員会にこそ、ふさわしい言葉ではないだろうか?
原子力委員会は解体すべきだ。 はっきり言って、簡単に解散させることができる。
これが、かねてからの私の意見だが、読者は原子力委員会に対し、どのような見解をもっているだろう。
・・・
2/14
・衆参:原子力委員長に岡芳明氏承認
参院は14日午前の本会議で、原子力委員会委員長に早大理工学術院特任教授の岡芳明氏を充てるなど11機関26人の政府人事案を自民、公明両党などの賛成多数や全会一致で可決した。衆院も午後の本会議で同意し、正式承認された。東京電力福島第1原発事故対応に携わった近藤駿介委員長は4月にも退任する。
岡氏は原子力工学が専門で過去に日本原子力学会会長を務めた。民主党など野党の多くは反対した。
原子力利用を推進してきた原子力委は原発事故後に在り方が見直され、機能や人数を縮小して存続する。政府は、今国会に原子力委員会設置法改正案の提出を予定している。(共同)
・原子力委員会 政策調整機能に問題はないか(2月6日付・読売社説)
原子力政策を俯瞰ふかんし、調整する組織が政府には不可欠である。
政府は、原子力の利用・開発を担ってきた内閣府原子力委員会を改組する法案を今国会に提出する。 法案は、昨年末に政府の有識者会議がまとめた方針に沿って策定される。
骨子によると、委員を5人から3人に減らし、任務についても、原子力の平和利用と核不拡散、放射性廃棄物の処分のような重要施策に絞り込む。
だが、こうした新体制で原子力政策を円滑に推進できるのだろうか。大いに疑問である。
原子力政策は、原子力発電所の輸出や、より安全な次世代原発の研究、放射性廃棄物の処分、専門家の育成など多岐にわたる。関係省庁や研究機関、産業界の連携が欠かせない。
原子力委は、日本の原子力開発が始まった1956年以来、原子力政策を取りまとめてきた(!!)が、福島第一原発の事故後は、民主党政権に権限を削そがれ、存在感が薄れた(???)。法案骨子も、その方向性を引きずったままだと言えよう。
安倍政権には、原子力委が、必要な施策の実現に資する組織として再生(???)するよう、法案の内容を練り直す議論が求められる。
法案骨子が原子力委の任務を絞り込んだのは、すでに担当省庁が施策に取り組んでいることが理由という。例えば、
・原子力の人材育成は文部科学省だ。
・経済産業省は原子力の利用をエネルギー政策の中で検討(!)している。
各省庁に任せるだけでは、効率的な遂行は困難ではないか。新生原子力委には、政策の課題について、的確に助言できる機能を持たせることが肝要である。
無論、法案骨子が原子力委の任務に挙げている平和利用や放射性廃棄物の問題は大切だ。
政府が先導する原発の輸出に関しては、平和利用の観点から国内外に丁寧な説明が求められる。廃棄物問題では、都道府県との意思疎通が欠かせない。 原子力委だけでなく、政府一体となって進めねばならない。
その際、必要なのは、原子力委の見解が政府内で尊重されるよう、法案に勧告権を盛り込むことだ。 幅広い議論のためには、関係省庁から報告を聴取できる権限も法案に明記すべきだろう。
↓
(「勧告権」さえなかった「原子力委員会」とは何だったのか、何であるのか?
「権限」さえなかった「原子力委員会」とは何だったのか、何であるのか?
こういう問いを、これまで一度も自らに発することのなかった原子力委員会の歴代委員長以下の各委員、現委員、また読売新聞などの原発推進派のマスコミ、研究者が私には不思議でたまらない)
こうした役割を果たせる委員の任命や、事務局の職員確保といった体制整備も重要である。大学の研究者を参与に招く(!!)など、専門家の知見を幅広く活用できる仕組みも検討してもらいたい。→(原子力ムラの「焼け太り」にしかならない、単なる税金の無駄使いである)
Ⅱ 「エネルギー基本計画」(素案)の問題点と論点
1 安倍政権の政権公約にさえも矛盾する「素案」
ここではまず、冒頭にリンクを張った「素案の骨子」と「意見」にざっと目を通した上で、昨12月9日の「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革小委員会 制度設計ワーキンググループ(第4回)」において、事務局より「資料5-6 今後の検討作業について」と題され提出された、次の資料を見てほしい。
上の二つの資料に示された、る昨年11月に次ぎ、本年と来年に構想されている全3弾にわたる「電気事業法」の「改正」を通じて実行される(と、原子力ムラが望んでいる)、新「エネルギー基本計画」(素案)の問題点と論点を理解するためには、「素案」策定にいたる、
①「基本政策分科会」における一連の議論と、
②「電力システム改革小委員会」に設置された「制度設計ワーキンググループ」のそれとを合わせて押さえておく必要がある。
そこで、問題の所在の全体像を理解するために、、新「エネルギー基本計画」の原案をとりまとめるにあたり、この「基本政策分科会」が、昨年7月の第一回会合より、どのような基本方針のもとに議論を進めてきたのか、をみておくことにしたい。
⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (2) 」につづく
【参考資料】
◎ 「3.11以降の一連の電気料金値上げ審査を通して・・・私たち消費者が気 づいたこと」(一般社団法人 全国消費者団体連絡会提出資料)
・「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 (第1回会合 2014年7月24日)」
○3.11以降の エネルギーの在り方について
・想定外の事態が起こりうることから、安全性の確保、将来世代に とっての 安心が 優先課題 で、それを踏まえて の安定供給、コスト問題 の検討が必要
・ベース電源として 原発の再稼働を前提として 原発の再稼働を前提きたが ・ ・ ・ 福島第 1原発事故とその後の対応から多くの消費者実感は、原子力発電は安くない! エコでもない !安全でもない!
○電力システム改革への期待
・60 年以上 続いた 地域別独占市場からの 開放 を実現し 、公正な競争が働く環境を整えるこ とで、 小売の自由化~発送電分離 へと 早期 の転換 を!!
・消費者にとっては、電気の購入先を選択できる第一歩で、仕組みとメニュー の充実が課題
・家庭にある電気機器 の制御 を通して HEMSHEMS HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)などと 組み合わせた 各種 サービスへの期待
◎「電力システムに関する改革方針」(2013年4月2日 閣議決定) (4月16日、「 3段階の改革実施」について、官僚が補足修正)
「低廉で安定的な電力供給は、国民生活を支える基盤である。
東日本大震災とこれに伴う原子力事故を契機に、電気料金の値上げや、需給ひっ迫下での需給調整、多様な電源の活用の必要性が増すとともに、従来の電力システムの抱える様々な限界が明らかになった。
こうした現状にかんがみ、政府として、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減の観点も含め、これまでのエネルギー政策をゼロベースで見直し、現在及び将来の国民生活に責任あるエネルギー政策を構築していく一環として、再生可能エネルギーの導入等を進めるとともに、以下の目的に向けた電力システム改革に、政府を挙げて取り組む。 (前文より)」
Ⅰ 電力システムの改革の目的
1.安定供給を確保する 2.電気料金を最大限抑制する
3.需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する
Ⅱ 主な改革内容
1.広域系統運用の拡大
①需給計画・系統計画を取りまとめ、周波数変換設備、地域間連系線等の送電インフラの増強
や区域(エリア)を越えた全国大での系統運用等を図る。
②平常時において、各区域(エリア)の送配電事業者による需給バランス・周波数調整に関し、広
域的な運用の調整を行う。
③災害等による需給ひっ迫時において、電源の焚き増しや電力融通を指示することで、需給調
整を行う。
④中立的に新規電源の接続の受付や系統情報の公開に係る業務を行う。
2.小売及び発電の全面自由化
(小売全面自由化)/ (適正な料金の確保)/ (発電全面自由化等)
3.法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保
(中立性確保の方式)/ (安定供給の確保)
Ⅲ 関連する制度整備
1.関係法令の見直し 2.行政の監視機能の強化
Ⅳ 改革を進める上での留意事項
1.一般電気事業者の資金調達環境との関係 2.他の政策との関係
Ⅴ 改革プログラム
1.第1段階:広域系統運用機関の設立
2.第2段階:電気の小売業への参入の全面自由化
3.第3段階:法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由
化
・・・
・首相、もんじゅ見直し示唆 「エネ基本計画を議論」
安倍晋三首相は13日の衆院予算委員会で、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の実用化に向けた政府目標を見直す考えを示唆した。「様々なトラブルがあり開発が順調に進んでいないことも事実だ。反省すべき点はしっかり反省し、エネルギー基本計画を議論したい」と語った。
政府は新たなエネルギー基本計画を早期にとりまとめる方針だ。現行計画は実用化目標について「2025年ごろまでの実証炉の実現、50年より前の商業炉の導入」と明記。政府は目標期限などの文言を削除する方向で調整している。首相は具体的な内容は「与党ともしっかり調整したうえで検討したい」と述べるにとどめた。みんなの党の三谷英弘氏への答弁。
首相はインドと交渉中の原子力協定の締結には積極的な姿勢を示した。インドは核拡散防止条約(NPT)に未加盟だが「協定は技術の不拡散を法的に確保する枠組みでもあり、締結は国際的な不拡散体制の強化に資する」(→何でもアリ?)と語った。共産党の塩川鉄也氏への答弁。
・原発「重要電源」修正を 自民議連、官房長官に申し入れ
自民党で脱原発を主張する議員でつくる「エネルギー政策議員連盟」の河野太郎代表世話人らは12日、首相官邸で菅義偉官房長官と会い、原発を「重要なベース電源」と位置付けたエネルギー基本計画の政府原案(???)を修正するよう求めた。 菅長官は「与党としっかり議論しながら進めていく」と述べた。
・脱原発の自民議連が提言 再稼働、30キロ圏合意を条件に
自民党で脱原発を掲げるエネルギー政策議員連盟(代表世話人・河野太郎副幹事長)は23日、政府が2月以降の閣議決定を目指すエネルギー基本計画に向けた提言をまとめた。原発を「過渡期の電源」と位置づけ、核燃料サイクルからの撤退を主張。原発の再稼働は30キロメートル圏内の地元自治体の合意を条件とするよう求めた。近く党執行部と政府に申し入れをする。
河野氏は記者団に、原発政策が争点の一つである東京都知事選について「関係ない」と述べ、一線を画す姿勢を示した。議連は約50人。河野氏のほか、柴山昌彦前総務副大臣、当選1回の秋本真利衆院議員が中心だ。
提言では原発依存度を下げる工程表を示すべきだと訴えた。運転開始後40年を経過した原発は廃炉とし、商業用原発は新増設しない方針を基本計画に明記するよう促した。再生可能エネルギーと省エネの達成目標を盛り込むことも提起した。
・原発再稼働、なお綱渡り エネ基本計画の2月中決定目指す
東京都知事選で舛添要一氏が当選し、中長期的な政府の戦略を定めるエネルギー基本計画の議論が再開する。自民・公明両党の要望や国民の意見を反映して政府は2月中の閣議決定を目指す。政府は今後、原発の再稼働に向けて安全確認を急ぐ。
ただ、実際の再稼働や長期的な原発の活用については、地元自治体との難しい調整が続く。
経済産業省は当初、エネルギー計画の閣議決定を「2013年内」としていた。それを同年末以降の内部文書では「14年1月下旬以降」に書き換えていた。表向きには「パブリックコメントが1万9000件集まり、その精査に時間がかかるため」とされたが、都知事選で原発が重要な争点の一つとなり、エネルギー政策を決めにくくなったのが実情だ。
・原発「重要」の文言削除へ エネルギー基本計画で政府
政府は(1月)24日、国の中長期的なエネルギー政策の方向を示すエネルギー基本計画で原発の位置付けを弱める検討を始めた。「基盤となる重要なベース電源」としている計画の原案から「重要な」の文言を削除する方向で調整する。約1万9千件も寄せられた国民の声や、与党内の原発の活用に慎重な意見を反映して表現に修正を加える必要があると判断した。
昨年12月に経済産業省の総合資源エネルギー調査会が計画案を了承した。政府は月内のとりまとめを予定していたが、原発の活用を推進する文案に批判が集まって調整が難航していた。「脱原発」が一つの争点となっている来月9日の東京都知事選の結果も踏まえた上で表現を固め、2月中の閣議決定を目指す。
将来の原発比率は「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」とした計画案の表現の修正を検討する。
茂木敏充経済産業相は24日の閣議後の記者会見で、計画案での原発の位置付けを巡り「量的に非常に多いとか優先順位が高いと捉えられるようであれば、全体の脈絡は変更することも考えたい」と述べ、表現の修正を示唆した。一方で「ベース電源の言葉そのものは変えない」と語った。(以上、日経より)
・・・
・原発の海側井戸でセシウム最高値 福島第1、7万6千ベクレル
東京電力は13日、福島第1原発2号機建屋の海側に新たに掘った観測用井戸の地下水から、放射性セシウムが1リットル当たり7万6千ベクレル検出されたと発表した。第1原発海側敷地の観測用井戸で検出されたセシウムとしては過去最高値。
東電によると、水は12日に採取した。放射性セシウムの内訳はセシウム134が2万2千ベクレル、セシウム137が5万4千ベクレルで、いずれも最高値だった。
この井戸の近くには2011年の事故直後に極めて高濃度の汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)がある。(共同)
・基準の600倍のセシウム検出 福島第1観測井戸
東京電力は13日、福島第1原発の護岸近くにある観測用井戸の地下水から、法定基準の600倍に当たる過去最高濃度の放射性セシウムが検出されたと発表した。
水は12日に採取した。放射性セシウム137(法定基準1リットル当たり90ベクレル)が5万4000ベクレル、同134(60ベクレル)が2万2000ベクレルの濃度で検出された。ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質は26万ベクレルだった。
井戸は2号機タービン建屋近くで護岸から約60メートル先。2011年3月の事故直後に超高濃度汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルの通る地下道)の約3メートル先にある。東電は12日、汚染源を特定する調査を始めた。
原発では使用済み核燃料の冷却水と原子炉建屋地下に流れ込んだ地下水が混ざり、大量の汚染水が発生している。汚染水は原子炉建屋に隣接するタービン建屋地下を通ってトレンチに達しており、新たな汚染水漏れの可能性も否定できない。
東電福島広報部は「今後の傾向を注視したい」と話している。(河北新報)
昨年12月6日、資源エネルギ―庁の「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」で、「エネルギー基本計画」(事務局原案)が公表された。原発を「重要な」「ベース電源」としたこの事務局原案に対しては、公表以来、さまざまな批判がなされてきた。
● 「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
● 「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見(案)」
「素案」は、
「第2章 エネルギー政策の新たな視点」 「第2節 各エネルギー源の位置付けと政策の時間軸 」の、「1.一次エネルギー構造における各エネルギー源の位置付けと政策の基本的な方向」の
(5) 「原子力」において原発に関し、次のように述べている。
・・
(5)原子力
①位置付け
燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である。
②政策の方向性
原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。
安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める。
また、万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。 さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠である。
・・
この事務局原案に対する批判のポイントは、「避難の権利」ブログがいち早くまとめた、以下の内容に集約される。私も同意見である。
・・
1)昨年夏の国民的議論の結果の「原発ゼロ」の方向性をまったく無視
2)原発を、「準国産エネルギー」としているが根拠が不明(p.16、p.21)
3)「福島原発事故の真摯な反省」と書いてあるのにも関わらず、その分析をきちんと行っていません。
4) 原子力は重要なベース電源(p.16)。理由は安定供給、コストが安いなど
5) 「世界最高水準の新規制基準の下で安全性が確認された原発については、再稼働を進める」(p.16)
6)「核燃料サイクルの着実な実施」(p.25)
(【カンパ募集中】 FoE Japan原発チームは「避難の権利」、支援法、子どもたちの保養、秘密保護法の廃止、脱原発に取り組んでいます。資金が不足しており、活動の継続がピンチです。
ぜひご支援を!http://www.foejapan.org/join/donation.html#01 ※通信欄に、「原発チーム」と明記してください。)
・・
以上の6点を踏まえたうえで、ここではまず、「そもそも論」として、「エネルギー基本計画」(素案)そのものがはらんでいる問題点を考えてみたいと思う。 その次に、この「素案」が、
1、「原子力ムラ」を構成する経産官僚(そこから脱しようとしている、ごく一部の人々が存在することを忘れないようにしたい)と、発送電の「地域独占」と既得権を死守しようとする既存電力大企業の、いわば「戦略的願望」を示したに過ぎないものであること、そして、
2、原発を「重要な」「ベース電源」とするかどうかを含め、これからの日本の「エネルギー計画」の詳細については、現在に至るも何も確定していない、という点についてみていきたいと思う。
Ⅰ 原子力委員会と「経産省・総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」
――で、原子力委員会をどうするのか?
根本的な話からはじめたい。
「3・11」後の日本の「原子力政策」、およびそれを踏まえた「エネルギー」計画の原案を作成するのはどこなのか? どこであるべきなのか?
①首相官邸か、②与党のプロジェクトチームか、③国会のそれか、④なぜいまだに存在するのか、私には意味がさっぱりわからない、内閣府に設置され続けている原子力委員会か、それとも⑤経産省・総合資源エネルギー調査会か?
日本の政治システムによると、答えは⑤になるらしい。
しかし、これって正しい答えなのだろうか?
では、④の原子力委員会、自らの定義によると、「将来のエネルギー源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与するこ とを目指」す、「国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営を図る」ことを設立目的とする、原子力安全委員会は今、何をしているのか? よくわからないが、のぞいてみよう。
これをみると、委員会は毎月の定例会議でいろんな「研究会」を行い、各委員は税金を使った「海外出張」にと、毎月毎月、実に多忙であるらしいことがわかる。
で、「素案」の発表から一カ月余りが経った、新年最初の定例会、1月9日。この定例会において、原子力委員会としての「「エネルギー基本計画に対する意見」について(見解)」なるものが公表された。
委員会付きの事務局官僚がドラフトを書き、「とりまとめた」その「見解」なるものを読んでみる。
こんなことが書かれている。
・・
原子力委員会は平成25年12月20日(金)に開催した臨時会議で、経済産業省から、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取り纏めた「エネルギー基本計画に対する意見」(以下では、「意見」という。)について、原子力発電に関する内容を中心に説明を受けた。
・・
で、「説明を受け」て、原子力委員会はどうしたのか? これから、この「素案」に対し、何をどうするのか?
・・
・「これに基づいて制定されるエネルギー基本計画を実施していくに際しては、次の点に留意することを期待する」
・ 「特に原子力発電については、その利用は即刻やめるべき、できれば原発を全廃したい、我が国に原子力等の大規模集中電源は不要であるなど、否定的な立場からの意見も多く表明されている。
政府はこうした状況を正面から真摯に受け止め、・・・、今後 20年間程度の期間においては原発依存度をできる限り低減させていくという方針の下で、原子力発電を重要なベース電源に位置づけるとしたことについて、この判断に至った熟慮の内容を国民に丁寧に説明するべきである」
・「電力システム改革により、原子力発電を巡る経営環境が変化することや、今後の原子力発電規模が従来想定されてきたところと異なると予想されることから、従来の原子力発電の運営体制は、こうした新しい環境において重要なベース電源としてこれを維持・活用していく観点から最適とはいえないので、維持するべきところと変更するべきところを明らかにして見直していくべきである・・・」 (以下、略)。
・・
これが、官僚が作文した「素案」に対する、官僚がとりまとめた原子力委員会の「見解」である。
しかしこれが、日本の「将来のエネルギー源を確保」し、原子力政策に関する「国の施策を計画的に遂行」すると、今でもなっている組織の「見解」だといえるだろうか?
どこか他人事のような、没主体的な無責任さ、を感じるのは私だけだろうか?
結局、原子力委員会は「3・11」の責任を何も取らなかった。
委員長を含め、事務局はもちろん、誰も、何も責任を取らなかった。
誰ひとりとして、何らの法的・政治的・行政的・個人的責任を取らなかったのである。
こんな組織がこれからも温存され、「研究会」と海外旅行を繰り返し続けていくことを、私たちは傍観したままでよいのだろうか? 「無用の長物」とは、原子力委員会にこそ、ふさわしい言葉ではないだろうか?
原子力委員会は解体すべきだ。 はっきり言って、簡単に解散させることができる。
これが、かねてからの私の意見だが、読者は原子力委員会に対し、どのような見解をもっているだろう。
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2/14
・衆参:原子力委員長に岡芳明氏承認
参院は14日午前の本会議で、原子力委員会委員長に早大理工学術院特任教授の岡芳明氏を充てるなど11機関26人の政府人事案を自民、公明両党などの賛成多数や全会一致で可決した。衆院も午後の本会議で同意し、正式承認された。東京電力福島第1原発事故対応に携わった近藤駿介委員長は4月にも退任する。
岡氏は原子力工学が専門で過去に日本原子力学会会長を務めた。民主党など野党の多くは反対した。
原子力利用を推進してきた原子力委は原発事故後に在り方が見直され、機能や人数を縮小して存続する。政府は、今国会に原子力委員会設置法改正案の提出を予定している。(共同)
・原子力委員会 政策調整機能に問題はないか(2月6日付・読売社説)
原子力政策を俯瞰ふかんし、調整する組織が政府には不可欠である。
政府は、原子力の利用・開発を担ってきた内閣府原子力委員会を改組する法案を今国会に提出する。 法案は、昨年末に政府の有識者会議がまとめた方針に沿って策定される。
骨子によると、委員を5人から3人に減らし、任務についても、原子力の平和利用と核不拡散、放射性廃棄物の処分のような重要施策に絞り込む。
だが、こうした新体制で原子力政策を円滑に推進できるのだろうか。大いに疑問である。
原子力政策は、原子力発電所の輸出や、より安全な次世代原発の研究、放射性廃棄物の処分、専門家の育成など多岐にわたる。関係省庁や研究機関、産業界の連携が欠かせない。
原子力委は、日本の原子力開発が始まった1956年以来、原子力政策を取りまとめてきた(!!)が、福島第一原発の事故後は、民主党政権に権限を削そがれ、存在感が薄れた(???)。法案骨子も、その方向性を引きずったままだと言えよう。
安倍政権には、原子力委が、必要な施策の実現に資する組織として再生(???)するよう、法案の内容を練り直す議論が求められる。
法案骨子が原子力委の任務を絞り込んだのは、すでに担当省庁が施策に取り組んでいることが理由という。例えば、
・原子力の人材育成は文部科学省だ。
・経済産業省は原子力の利用をエネルギー政策の中で検討(!)している。
各省庁に任せるだけでは、効率的な遂行は困難ではないか。新生原子力委には、政策の課題について、的確に助言できる機能を持たせることが肝要である。
無論、法案骨子が原子力委の任務に挙げている平和利用や放射性廃棄物の問題は大切だ。
政府が先導する原発の輸出に関しては、平和利用の観点から国内外に丁寧な説明が求められる。廃棄物問題では、都道府県との意思疎通が欠かせない。 原子力委だけでなく、政府一体となって進めねばならない。
その際、必要なのは、原子力委の見解が政府内で尊重されるよう、法案に勧告権を盛り込むことだ。 幅広い議論のためには、関係省庁から報告を聴取できる権限も法案に明記すべきだろう。
↓
(「勧告権」さえなかった「原子力委員会」とは何だったのか、何であるのか?
「権限」さえなかった「原子力委員会」とは何だったのか、何であるのか?
こういう問いを、これまで一度も自らに発することのなかった原子力委員会の歴代委員長以下の各委員、現委員、また読売新聞などの原発推進派のマスコミ、研究者が私には不思議でたまらない)
こうした役割を果たせる委員の任命や、事務局の職員確保といった体制整備も重要である。大学の研究者を参与に招く(!!)など、専門家の知見を幅広く活用できる仕組みも検討してもらいたい。→(原子力ムラの「焼け太り」にしかならない、単なる税金の無駄使いである)
Ⅱ 「エネルギー基本計画」(素案)の問題点と論点
1 安倍政権の政権公約にさえも矛盾する「素案」
ここではまず、冒頭にリンクを張った「素案の骨子」と「意見」にざっと目を通した上で、昨12月9日の「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革小委員会 制度設計ワーキンググループ(第4回)」において、事務局より「資料5-6 今後の検討作業について」と題され提出された、次の資料を見てほしい。
上の二つの資料に示された、る昨年11月に次ぎ、本年と来年に構想されている全3弾にわたる「電気事業法」の「改正」を通じて実行される(と、原子力ムラが望んでいる)、新「エネルギー基本計画」(素案)の問題点と論点を理解するためには、「素案」策定にいたる、
①「基本政策分科会」における一連の議論と、
②「電力システム改革小委員会」に設置された「制度設計ワーキンググループ」のそれとを合わせて押さえておく必要がある。
そこで、問題の所在の全体像を理解するために、、新「エネルギー基本計画」の原案をとりまとめるにあたり、この「基本政策分科会」が、昨年7月の第一回会合より、どのような基本方針のもとに議論を進めてきたのか、をみておくことにしたい。
⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (2) 」につづく
【参考資料】
◎ 「3.11以降の一連の電気料金値上げ審査を通して・・・私たち消費者が気 づいたこと」(一般社団法人 全国消費者団体連絡会提出資料)
・「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 (第1回会合 2014年7月24日)」
○3.11以降の エネルギーの在り方について
・想定外の事態が起こりうることから、安全性の確保、将来世代に とっての 安心が 優先課題 で、それを踏まえて の安定供給、コスト問題 の検討が必要
・ベース電源として 原発の再稼働を前提として 原発の再稼働を前提きたが ・ ・ ・ 福島第 1原発事故とその後の対応から多くの消費者実感は、原子力発電は安くない! エコでもない !安全でもない!
○電力システム改革への期待
・60 年以上 続いた 地域別独占市場からの 開放 を実現し 、公正な競争が働く環境を整えるこ とで、 小売の自由化~発送電分離 へと 早期 の転換 を!!
・消費者にとっては、電気の購入先を選択できる第一歩で、仕組みとメニュー の充実が課題
・家庭にある電気機器 の制御 を通して HEMSHEMS HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)などと 組み合わせた 各種 サービスへの期待
◎「電力システムに関する改革方針」(2013年4月2日 閣議決定) (4月16日、「 3段階の改革実施」について、官僚が補足修正)
「低廉で安定的な電力供給は、国民生活を支える基盤である。
東日本大震災とこれに伴う原子力事故を契機に、電気料金の値上げや、需給ひっ迫下での需給調整、多様な電源の活用の必要性が増すとともに、従来の電力システムの抱える様々な限界が明らかになった。
こうした現状にかんがみ、政府として、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減の観点も含め、これまでのエネルギー政策をゼロベースで見直し、現在及び将来の国民生活に責任あるエネルギー政策を構築していく一環として、再生可能エネルギーの導入等を進めるとともに、以下の目的に向けた電力システム改革に、政府を挙げて取り組む。 (前文より)」
Ⅰ 電力システムの改革の目的
1.安定供給を確保する 2.電気料金を最大限抑制する
3.需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する
Ⅱ 主な改革内容
1.広域系統運用の拡大
①需給計画・系統計画を取りまとめ、周波数変換設備、地域間連系線等の送電インフラの増強
や区域(エリア)を越えた全国大での系統運用等を図る。
②平常時において、各区域(エリア)の送配電事業者による需給バランス・周波数調整に関し、広
域的な運用の調整を行う。
③災害等による需給ひっ迫時において、電源の焚き増しや電力融通を指示することで、需給調
整を行う。
④中立的に新規電源の接続の受付や系統情報の公開に係る業務を行う。
2.小売及び発電の全面自由化
(小売全面自由化)/ (適正な料金の確保)/ (発電全面自由化等)
3.法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保
(中立性確保の方式)/ (安定供給の確保)
Ⅲ 関連する制度整備
1.関係法令の見直し 2.行政の監視機能の強化
Ⅳ 改革を進める上での留意事項
1.一般電気事業者の資金調達環境との関係 2.他の政策との関係
Ⅴ 改革プログラム
1.第1段階:広域系統運用機関の設立
2.第2段階:電気の小売業への参入の全面自由化
3.第3段階:法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由
化
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・首相、もんじゅ見直し示唆 「エネ基本計画を議論」
安倍晋三首相は13日の衆院予算委員会で、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の実用化に向けた政府目標を見直す考えを示唆した。「様々なトラブルがあり開発が順調に進んでいないことも事実だ。反省すべき点はしっかり反省し、エネルギー基本計画を議論したい」と語った。
政府は新たなエネルギー基本計画を早期にとりまとめる方針だ。現行計画は実用化目標について「2025年ごろまでの実証炉の実現、50年より前の商業炉の導入」と明記。政府は目標期限などの文言を削除する方向で調整している。首相は具体的な内容は「与党ともしっかり調整したうえで検討したい」と述べるにとどめた。みんなの党の三谷英弘氏への答弁。
首相はインドと交渉中の原子力協定の締結には積極的な姿勢を示した。インドは核拡散防止条約(NPT)に未加盟だが「協定は技術の不拡散を法的に確保する枠組みでもあり、締結は国際的な不拡散体制の強化に資する」(→何でもアリ?)と語った。共産党の塩川鉄也氏への答弁。
・原発「重要電源」修正を 自民議連、官房長官に申し入れ
自民党で脱原発を主張する議員でつくる「エネルギー政策議員連盟」の河野太郎代表世話人らは12日、首相官邸で菅義偉官房長官と会い、原発を「重要なベース電源」と位置付けたエネルギー基本計画の政府原案(???)を修正するよう求めた。 菅長官は「与党としっかり議論しながら進めていく」と述べた。
・脱原発の自民議連が提言 再稼働、30キロ圏合意を条件に
自民党で脱原発を掲げるエネルギー政策議員連盟(代表世話人・河野太郎副幹事長)は23日、政府が2月以降の閣議決定を目指すエネルギー基本計画に向けた提言をまとめた。原発を「過渡期の電源」と位置づけ、核燃料サイクルからの撤退を主張。原発の再稼働は30キロメートル圏内の地元自治体の合意を条件とするよう求めた。近く党執行部と政府に申し入れをする。
河野氏は記者団に、原発政策が争点の一つである東京都知事選について「関係ない」と述べ、一線を画す姿勢を示した。議連は約50人。河野氏のほか、柴山昌彦前総務副大臣、当選1回の秋本真利衆院議員が中心だ。
提言では原発依存度を下げる工程表を示すべきだと訴えた。運転開始後40年を経過した原発は廃炉とし、商業用原発は新増設しない方針を基本計画に明記するよう促した。再生可能エネルギーと省エネの達成目標を盛り込むことも提起した。
・原発再稼働、なお綱渡り エネ基本計画の2月中決定目指す
東京都知事選で舛添要一氏が当選し、中長期的な政府の戦略を定めるエネルギー基本計画の議論が再開する。自民・公明両党の要望や国民の意見を反映して政府は2月中の閣議決定を目指す。政府は今後、原発の再稼働に向けて安全確認を急ぐ。
ただ、実際の再稼働や長期的な原発の活用については、地元自治体との難しい調整が続く。
経済産業省は当初、エネルギー計画の閣議決定を「2013年内」としていた。それを同年末以降の内部文書では「14年1月下旬以降」に書き換えていた。表向きには「パブリックコメントが1万9000件集まり、その精査に時間がかかるため」とされたが、都知事選で原発が重要な争点の一つとなり、エネルギー政策を決めにくくなったのが実情だ。
・原発「重要」の文言削除へ エネルギー基本計画で政府
政府は(1月)24日、国の中長期的なエネルギー政策の方向を示すエネルギー基本計画で原発の位置付けを弱める検討を始めた。「基盤となる重要なベース電源」としている計画の原案から「重要な」の文言を削除する方向で調整する。約1万9千件も寄せられた国民の声や、与党内の原発の活用に慎重な意見を反映して表現に修正を加える必要があると判断した。
昨年12月に経済産業省の総合資源エネルギー調査会が計画案を了承した。政府は月内のとりまとめを予定していたが、原発の活用を推進する文案に批判が集まって調整が難航していた。「脱原発」が一つの争点となっている来月9日の東京都知事選の結果も踏まえた上で表現を固め、2月中の閣議決定を目指す。
将来の原発比率は「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」とした計画案の表現の修正を検討する。
茂木敏充経済産業相は24日の閣議後の記者会見で、計画案での原発の位置付けを巡り「量的に非常に多いとか優先順位が高いと捉えられるようであれば、全体の脈絡は変更することも考えたい」と述べ、表現の修正を示唆した。一方で「ベース電源の言葉そのものは変えない」と語った。(以上、日経より)
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・原発の海側井戸でセシウム最高値 福島第1、7万6千ベクレル
東京電力は13日、福島第1原発2号機建屋の海側に新たに掘った観測用井戸の地下水から、放射性セシウムが1リットル当たり7万6千ベクレル検出されたと発表した。第1原発海側敷地の観測用井戸で検出されたセシウムとしては過去最高値。
東電によると、水は12日に採取した。放射性セシウムの内訳はセシウム134が2万2千ベクレル、セシウム137が5万4千ベクレルで、いずれも最高値だった。
この井戸の近くには2011年の事故直後に極めて高濃度の汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)がある。(共同)
・基準の600倍のセシウム検出 福島第1観測井戸
東京電力は13日、福島第1原発の護岸近くにある観測用井戸の地下水から、法定基準の600倍に当たる過去最高濃度の放射性セシウムが検出されたと発表した。
水は12日に採取した。放射性セシウム137(法定基準1リットル当たり90ベクレル)が5万4000ベクレル、同134(60ベクレル)が2万2000ベクレルの濃度で検出された。ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質は26万ベクレルだった。
井戸は2号機タービン建屋近くで護岸から約60メートル先。2011年3月の事故直後に超高濃度汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルの通る地下道)の約3メートル先にある。東電は12日、汚染源を特定する調査を始めた。
原発では使用済み核燃料の冷却水と原子炉建屋地下に流れ込んだ地下水が混ざり、大量の汚染水が発生している。汚染水は原子炉建屋に隣接するタービン建屋地下を通ってトレンチに達しており、新たな汚染水漏れの可能性も否定できない。
東電福島広報部は「今後の傾向を注視したい」と話している。(河北新報)