2011年3月12日土曜日

東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言

東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言

3/20

 3/19付の毎日新聞によると、岩手、宮城、福島3県から県外に避難した被災者が3万人近くに上る、という。全都道府県が避難者受け入れの準備を整えたことも判明し、福島第1原発がある福島県双葉町の住民約1200人が「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市中央区)に避難し、町役場の機能も移転した。
 「今後の受け入れ準備も進む。秋田県は2万4000人、山形県は2万9000人、神奈川県は最終的に6万5000人を受け入れるなど、全都道府県が取り組む姿勢を見せた。ただし、原発事故の沈静化の見通しが立たず、被災地の復興にも時間がかかることから、避難先での被災者のケアや住宅探しなどが今後の課題」・・・。

 ちょっと待って欲しい。いったい何が起こっているのか?
 大震災発生から丸一週間が過ぎ、そして9日目を迎えようとしている今、私たちは国の被災地支援、原発「事故」対策と事故被災者支援のあり方を全面的に見直し、その政策的転換を国に対して、はっきりと迫るべきなのではないか?
 政府が公式に避難域20キロ内・「自宅避難」域20-30キロを変更していないにもかかわらず、「19日は福島県南相馬市と飯舘村の住民計約1070人も新潟、栃木の両県の避難所に入った。原発から30キロ圏で屋内退避指示が出ている地域の住民を対象に、国と県が希望者を対象に(?!)実施している県外退避支援計画に基づく最初の例となった」。ワケが分からぬ事態が進行しているのだ。

 20-30キロ圏内の人々は、自ら「希望」しなければ国と県の「避難支援」を受けることができないのか? 「希望」を申し出なくとも、むしろ国が避難域の拡大を公式に発表することによって、〈住民避難に関する行政責任を国がきちんと持つ〉ことを明確にすべきではないのか? NHK、毎日新聞をはじめ、既存の新聞・TVメディアは、いったい何を「報道」しているのか?

 避難する/しない、その最終的意思決定は、もちろん住民諸個人が下すものだ。しかし国が避難を「指示」した地域の住民の避難は、国が責任を持って行わねばならない。そのためには当然、金=税金がかかる。20キロから30キロ、30キロから40キロへと地域が拡大するにつれて、国の行政的責任と財政的負担は、より重くなる
 「希望者を対象に」というのは、必ずしも国は住民避難に責任を負うものではないが、住民が「希望」するのであれば、国の好意・配慮で避難を「支援」することは「やぶさかではない」、という理屈である。国や県は諸々の事情、理由から「希望」することができない人々を、事実上、見棄てる/見殺しにするということだ。お決まりの〈棄民〉である。 国はまず、公的に避難区域30キロ宣言を行い、国と県の責任を明確にすること、それと同時に区域拡大の具体的検討に入ること。その措置を早急にとるべきだ。

 今回の原発事故のような事態が起こったとき、国は自らが負うべき行政責任と財政負担を銭勘定しながら、「避難・屋内避難」に分けたエリア指定を行う。できるだけ責任と負担が小さくなるように。今回の場合、その基準はただ単にチェルノブイリの「前例」でしかなかったわけだが、そのことをも含めて私たちは、国の住民避難対策の問題点を洗い直す必要に迫られている。
 NHKをはじめとした、既存の新聞・TVメディアの「報道」はひどすぎる。はっきり言って、政府の事故対応策もマスコミ報道も無茶苦茶だ。 書こうとしていた愛媛大学の問題にも絡めながら、ポイントを整理しておこう。


 マスコミの事故報道の最大の問題点は、この「事故」がいつまで続き、どういう形で決着をみるのか、何も現実的な展望がないにもかかわらず、なにかしら「冷却機能の回復」が「事態収拾」へと発展するするかのような幻想を振りまいていることだ。東大を始めとする各大学の「専門家」連中が、そうしたデマキャンペーンの尖兵として「国民の不安」の、科学的・現実的根拠に裏打ちされない解消役、なだめ役を果たしているのである。
 では、もしもありうるとして、どういう形で「事態収拾」をはかることができるのか? 私の理解では、
①福島第一原発の全号機(「プール」を含む)の自動冷却機能を回復した後に
②水素爆発で破壊された「建屋」の外側から
③起こってしまった今回の地震と津波の規模=破壊力に耐ええる、15mあるいはそれ以上の厚さのコンクリート壁で、丸ごとすっぽりと閉鎖する、ことくらいしか考えられない。「海洋投棄」することもできなければ、理論的には可能でも現実的には地底に丸ごと埋めることも困難だ。(スペースシャトルとロケットで地球に影響を及ぼさないところにまで持って行き、爆破するのも「妙案」ではある)。
 
 問題は、福島第一・第二原発すべての事業体としての廃止⇒「廃棄処分」をどうするかであって、最初に政府・東電が決めねばならない/私たちが知っておかねばならないのはその方法と工程である。
 「安全に廃棄する」ために、「自動冷却機能」の回復が必要なのだ。まずこの点を全国民的・全世界的にはっきりさせ、確認することだ。この最終工程との関係で、その時その時の作業の「到達段階」を確認できれば、それでよい。
 東電経営陣・技術者集団に求められていた/いるのは、まず腹を括って「その工程・方法」を考案し、その全貌を政府と全国民に情報公開することにあった/ある。

 私自身は、自動冷却機能の回復が、果たして可能なのかどうかも訝っている。何か具体的根拠があるからそう思うのではなく、具体的なことを判断できる材料・情報が何も政府・東電から提供されていないから懐疑的にならざるをえない。 私たちはこれまで、原子炉については無傷だと知らされている。しかし、地震・爆発による各号機の格納容器および「プール」の損傷程度については何も分からない。内部の映像は一部流されているが、損傷・欠損・破損、全体としての破壊程度については、現に損傷・欠損・破損があり、放射能漏れが「一部」で起こっているという以上に、何も判断することができない。報道をすべて信じるとするなら、東電自体が把握できていないという(⇒果たして、ほんとうにそうか?)。

 しかし、私たちの置かれている状況は、実際どの号機のどこの何が、どれだけ破壊されていようがいまいが、そして何がどうなろうと、自動冷却機能の回復に向けて、ひたすら突き進むことしかできない、それだけ絶望的なものなのだ。そしてこの機能が回復されるまで、私たちにできることと言えば、半永久的に、何がどうなろうと、ひたすら給水・放水活動を続ける、それだけだ。それ以外には何の「打つ手」もない。避難地域を拡大し、できるだけ多くの住民の安全を確保する行政措置を除いて。 
 願わくば、東電の現場の技術者が地震によって(つまり「建屋」が内部の水素爆発で破壊される前に)、「プール」が損壊し、外部に溢れ出した放射能水を現場労働者が浴びるという事態が確認された段階で事態の深刻さを予測し、直ちに欧米の研究者・技術者をも招聘し、国際対策プロジェクトチームを早期に結成していてほしかった、と私は思う。そうすれば、少なくともいま私たちが直面しているような混乱は起こらなかったからだ。


 東北・関東地域に生きる、「一定の科学的知識」を持つ私たちの多くは、避難するか否かの二者択一ではなく、いつ、どのような状況になったら避難を考えるべきか、その判断の基準をめぐって悩んでいる。マスコミ報道と「専門家」の「解説」は、こうした私たちの切実な悩みに何も応えようとしない。

 まず、各定点の各定時における放射線量値は、知っておくべき情報ではあるが、何の「基準」にもならない。
 私が「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」の冒頭で述べたように、放射能は「微量」ずつではあっても、確実に大気・土壌-水系、海を汚染し続けているからだし、直近では昨夜(3/19)の茨城県北部沖の震度5以上の地震にみられるように、いつ現作業の中止・完全放棄を迫るような地震・津波が再発するか、いっさい予測不可能であるからだ。「人体に直ちに影響を与えるものではない」という「報道」を聞いた直後に、原発沖でM7,8,9の地震が起こるかもしれないし、現場作業員が作業を継続できないほどの放射能が出るような事態が起こるかもしれないのである。

 たとえば、福島市内の人々は、もはや毎日安心して水を飲める状況にはない。県や都、市や町から、毎日、定刻に「水の安全」を確認してから、私たちは水を飲んだり、料理をしたりするだろうか? 私が福島市民であるなら、関西以西への、少なくとも家族の避難は、もう決断しているはずである。 また、茨城県北部で採れた野菜の放射能汚染も確認されている。野菜が汚染されるということは、水系が汚染されているということであり、国がその地域を避難地域に指定しようがしまいが、遅かれ早かれ、農業はできなくなり、生活水問題に直面するようになり、人々は避難⇒転出を余儀なくされるだろう。「風評被害」がどうとかこうとかいう問題ではない。人間の口に入るものが一度放射能で汚染されてしまった、そのこと自体においてもうその地域は「アウト」なのだ。

 「専門家」は、今回のケースの場合、土壌汚染や水汚染は「一時的」なものであり、いずれは影響はなくなる=原状回復する、という。「いずれ」とはいつのことか? 「自動冷却機能」の回復まで? 第一原発をコンクリートで囲い込んでしまうまで? 
 「人体/健康に直ちに影響を与えるレベルではない」論は、誰に対しても、何の慰め、安心保証にもなっていないのである。東大を始めとする各大学・研究機関の理論物理学者や「原発屋」は、そのことを自覚した上で「街角紙芝居」に出るべきである。(⇒米国の科学者たちの関心は、今回の事故の影響が米国国内に及ぶか否かにあるのであって、福島県民や私たちがどういう影響を受けるかにあるのではない。海外の関心はすべて自国・自国民への影響という、至極当然のことに限定されていることを理解しておく必要がある)

「保安院審議官」、これは無知なのか犯罪なのか?
「退避すべきかとどまるべきか」放射線被ばくを深く心配されている方々へ

 ポイントは、第一に、第一原発の損壊状況や放出される放射線量の値は、福島県民をはじめ隣接する宮城県民や茨城県民の放射能汚染の危険度を尺度する判断基準になりえないということ、それは私たちにとっても同じだというところにある。
 第二に、東電は事故が起こるまでに、原子炉をはじめ施設・設備の整備・点検を怠っており、実際に各号機が事故以前にどういう問題を抱えていたのかについても、震災後の現状についても私たちには何もわからない、という点。つまり、各号機が正常な状態で稼動することを前提にしたあれやこれやの「科学的」「予想」や「見識」は、何の意味も持たない、ということだ。成就されてしまった結果は、あらゆる前提を廃棄してしまったのである。

 「あってはならないこと」が起こってしまった現実を踏まえ、「何が起こるかわからない」ことを自明とした「対処」を私たちは考えざるをえない。もしも自分自身や身近にいる子どもたち、家族を被曝から守ることを第一に考えるのであるなら。国や自治体は何も保証しない。判断と選択は、私たち自身が自ら下す以外にないのである。
 いまこの文章を読んでいる人は、福島県民、北茨城と南宮城の人々がまさにそういう判断と選択を迫られていることを理解するだろう。突発的事態が何も起こらないという、想定すべきではない条件を考慮に入れたとしても、エリアは徐々にではあれ確実に、同心円的に拡大しているのである。

 あるべき「事故報道」の内容
 まず、放水作業の現場中継や、何時から始めて何時に終わるか、読売と産経にありがちな自衛隊・機動隊英雄視などは、いっさい無意味で無駄な「情報」である。また、「専門家」による「作業解説」も必要ない。
 よく思い出して欲しいのだが、私たちはこの9日間、基本的に同じ性格の、とりたてて何の前進も確認できない「注水・放水」作業をめぐる「ニュース」を観、「解説」なるものを聞かされ続けてきた。そこでの焦点は、「放射能水蒸気が出た/出ない」「水がどの程度張っているか」「冷却効果があったか否か」等々という、これから果てしなく続く工程から言えば、きわめて「低次元」のレベルにずっと停滞したままなのだ。
 現場の作業めぐる中継や報道は、作業が次のレベル、すなわち破損/破壊された格納容器や「プール」、電気系統その他の修復段階に移行するときに行えばよい。では、何が必要なのか。

 私は、四日前に「最も深刻なのは、1号機から6号機までの燃料棒と使用済み燃料の露出状態を私たちがまったく把握できないことです。政府の情報公開とマスコミの事故報道に求められていた/いるのは、まず何よりも警戒レベルと対処マニュアルを定めた上で、毎日数回にわたり各号機の露出/非露出状態を明らかにすることです。最低限の説明責任と情報公開です」
 「私たちに必要なのは、どれだけ「空焚き」状態が続いているのか/いないのか、そして発火→火災→爆発がいつ起こる可能性があるのか/ないのか、これらに関する具体的で科学(実証)的な分析と情報です」と書いた。

 これらの内容に加え、必要なのは、これから確実に拡大してゆく各地の水・農作物・鶏や豚・牛などの食品関係の汚染情報である。これらをすべてパッケージ化し、「お天気情報・予報」とセットとなった「第一原発情報・放射能汚染予報」の放送を、できるだけ早く開始することだ。人々の恐怖を煽るような、感情を逆撫でするような、仰々しい「速報」や深刻ぶった「報道」はいっさい必要ない。必要なのは、正確な場所と精確な数値の変動のみである。
 毎日、定時にそうしたきわめて事務的な情報を確認しながら、その日をどうするか、その後どうするかを考える日常に、私たちは慣れなければならない。そして、政府は政府で避難地域を順次拡大しながら、私たちは私たちで、いつ、どこまで避難するかを各自が判断する。
 そういう「レベル」に、私たちは到達してしまったのである。

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3/21
廃炉に言及の「段階じゃない」…東電副社長
 第1原発の事故を受けて、東電の武藤栄副社長(60)が21日夜、東京都千代田区の東電本店で記者会見。武藤副社長は、枝野幸男官房長官が20日、福島第1原発の廃炉に言及したことについて、「まずは事態を収束させて原子炉を安全な状態にするのが第一で、それ以降のことを申し上げる段階じゃない」と述べた。

 武藤副社長は「未曽有の津波を経験し結果としてこういう事態に至った(?)ことは大変申し訳なく思っている」と陳謝。海水注入のタイミングが遅かったのではとの質問には、「全体の事象が収束したわけじゃないのでよく見てみる必要があるが、最大限の努力を払って冷却してきた」と述べるにとどめた。 また、武藤副社長は、東電独自に放射能汚染のシミュレーションを実施していることを明らかにしたが、「(事故により)放射線量の基礎データが確かじゃない」との理由で、すぐに公表する考えはないという。【毎日・袴田貴行】

国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判
 住民の被曝量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、研究者らから批判が出ている。文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明。 予測システムはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)。原子力安全技術センター(東京)が、原発の位置、放射性物質の種類や量、放出される高さ、地形などを元に、最新の風向きや風速のデータを加えて計算。日本全域を250メートル四方に区切り、それぞれの場所にすむ人が吸入などで被曝する量を予測する。
 同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、東京電力・福島第一原発について計算を始めた。放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない(?)」と説明している。
 一方、長瀧重信・長崎大名誉教授(被曝医療)は「条件がそろわないと予測できないというのはおかしい。国は持っているデータをすべて公開することが大事だ。根拠をもとに住民と相談して、対応を決めるのが原則ではないか」と話している。 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」と注釈つきで公表。米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画をホームページなどで公開している。(朝日新聞・木村俊介)

 私が言っているのは、上の「被曝予測」をTVやラジオ、ネット等で「お天気情報・予報」とともに放送すること。
 それを原発現場の数値とともに、各地の土壌・水質・食品関連汚染の情報と併せて、私たちはできるだけ早く、毎日定刻にチェックできるようにならなければならない。パニックにならず、タンタンとそういう〈日常〉が送れるように「慣れる」。それしかない。

農産物出荷停止 風評被害拡大抑える狙い
 東京電力福島第1原発から放出された放射性物質による農産物の汚染が懸念される中、政府は21日、福島県など4県という広範な地域を対象とした異例の出荷停止に踏み切った。対象の品目と地域を明確にすることで、対象外の農産品に対する風評被害の拡大を抑える狙いがあり、急きょ規制値を暫定的に設けるなどの「政治決断」で対応を急いだ。しかし、今後出荷停止の対象が広がる事態も予想され、流通量の確保や被害農家への補償が難題として待ち構える。
 食品添加物などの規制値は食品衛生法に基づいて定められるが、原発事故を想定した放射性物質の規制値はなかった。今回適用された暫定規制値は、原子力安全委員会が「指標」を示し、厚生労働省食品安全部長名で17日、全国の都道府県知事に通知された。大塚耕平副厚労相は「大気中で放射能が検出されている中で暫定的な規制を導入せざるを得ない。店頭に流通しているものは安全だということを示すことが風評被害を防ぐために重要だ」と説明していた。

 放射性物質の被害は広域に広がる。だが、食品衛生法では規制値を超えていない農産物の出荷規制まではできず、広域の規制が難しい。このため、原子力災害対策特別措置法を適用した。福島第1、2原発の事故に対しては同法に基づく原子力緊急事態宣言が発令されており、首相は原子力災害対策本部長として関係自治体の首長に「必要な指示」を出すことができる。食品衛生法で急きょ規制値を設けたうえで、原子力災害対策特措法の首相指示によって広域の出荷停止を可能とする非常措置に踏み切った。
 しかし、こうした措置は流通の混乱や出荷停止の拡大という危険と背中合わせだ。枝野幸男官房長官は21日の記者会見で「国の権限で出荷規制の指示をする以上は、補償について当然、国が対応する」と約束したものの、事故の長期化も懸念される中、被害額が大きく膨らむ可能性もある。復興対策に関する国の財政負担が過去に例のない巨額に上るのは必至で、枝野長官は「一義的には東京電力に責任を持っていただく」とも強調。【毎日・平田崇浩】

福島県沖を震源、二本松など震度4
 21日午前4時54分頃、福島県沖を震源とする地震があり、福島県二本松市などで震度4を観測。気象庁によると震源の深さは約30キロで、マグニチュードは4.7と推定。津波の心配はないという。

燃料プール上は100度以下=1~6号機、「水入っている状態」―防衛省
 北沢俊美防衛相は20日の記者会見で、陸上自衛隊のCH47ヘリコプターが同日午後、福島第1原発の上空約900メートルから温度測定した結果、1~6号機とも、使用済み核燃料プール上の温度が19日と同様に100度未満だったことを明らかにした。
 北沢防衛相によると、原子力安全・保安院の専門家はこれらの結果について「プールには水が入っている状態」と分析。3号機の原子炉格納容器の上部は128度と高めだったが、保安院は「炉心の上なので想定の範囲内」(?)と指摘したという。
 防衛省によると、温度測定は20日午後1時8分~42分、CH47に搭載した赤外線温度測定装置(サーモグラフィー)で、1基当たり最大5回にわたり計測した。
 それによると、各基の最高温度は、1号機が58度、2号機が35度、4号機が42度、5号機が24度、6号機が25度。3号機については、格納容器の上は128度あったが、次に高温の使用済み核燃料プールの上は62度と、ほかと比べて極端に(?)高温ではなかった。(⇒5,6号機の温度と「プール」の温度、1,4号機の温度の差に注意)
 次の温度測定は23日で、その後は火、金曜日に測定、データを政府内で共有する。(時事)

福島県飯舘村で水道水から基準の3倍の放射性物質、飲用控えるよう要請 
 厚生労働省は21日、福島県飯舘村の水道水から1キロ当たり965ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。原子力安全委員会が定めた摂取制限基準の3倍超にあたる。
 厚労省は同日、水道水を飲むことを控えるよう、同村に要請した。一方で、「手洗い、入浴などの生活用水としては利用可能。他に水がない場合は飲んでも差し支えない」と冷静な対応を呼びかけている。

北茨城市と高萩市の水道から放射性物質を検出 微量で「人体影響なし」
 茨城県は20日、同県北部の北茨城市と高萩市の浄水場の水道水から微量の放射性ヨウ素とセシウムを検出したと発表した。 福島第1原発事故の影響とみられる。いずれも国の基準値以下で、橋本昌知事は「人体に与える影響は考えられない」としている。
 県によると、19日に採取した水道水を測定した結果、北茨城市で水1キログラム当たり10ベクレルのヨウ素と1.117ベクレルのセシウムを、高萩市で8.4ベクレルのヨウ素と1.26ベクレルのセシウムをそれぞれ検出。
 国の原子力安全委員会が定める摂取制限の基準は、水1キログラム当たりヨウ素が300ベクレルで、セシウムが200ベクレル。(産経)

野菜の放射能測定めぐり「事実誤認」 福島県が訂正へ
 福島県は21日、「日本分析センター」(千葉市)による県産野菜の放射能測定方法が正確でなかったと20日に発表した内容について、事実誤認だったとして撤回、訂正する方針を決めた。22日に発表。
 福島県産ホウレンソウなどの放射能測定をめぐっては、県の依頼を受けた文部科学省が19日、野菜中の環境放射能の測定・分析を同センターに依頼。センター側は20日、同省のマニュアルに従って測定した結果を同省に提出した。

 ただ、この検査は環境放射能を測定するもので、野菜を洗浄せずに測定するのが原則。厚生労働省が所管する食品衛生法に基づく放射能測定については、洗浄してから野菜を測定する必要があるため、県が改めてセンターに野菜を送り、再度測定をしているという。
 福島県の鈴木義仁・農林水産部長は20日夜の会見で、野菜の放射能測定について「(日本分析)センターに手違いがあった」などと発言していた。しかし、政府やセンター側から指摘を受け、発表内容を訂正する。
 
3/20
福島、基準超すヨウ素含む水道水
 厚生労働省は19日、福島第1原発から約40キロ離れた福島県川俣町の水道水から、原子力安全委員会が定めた飲食物の摂取制限の指標、1キロ当たり300ベクレルを超える1キロ当たり308ベクレルのヨウ素を検出したと発表。福島、宮城、茨城の被災地3県は文科省の調査の対象外。

福島第一原発、収束後も再稼働困難との見通し 
 枝野幸男官房長官は20日夕の記者会見で、事故が相次ぐ福島第一原子力発電所の廃炉の可能性について「客観的な状況として、再び稼働できるような状況であるのかどうかははっきりしている」と述べ、事故が収束(?)しても再稼働は困難との見通しを示した。(⇒こんなことは最初から自明のことではないか。こんなことを丸9日間を経て云々していること自体が狂気の沙汰ではないだろうか)

福島第一3号機格納容器、圧力降下策で蒸気放出
 東京電力は20日、福島第一原子力発電所3号機の原子炉格納容器の圧力が再び上昇を始めたとして、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を再度行うと発表した。 圧力は同日午前1時10分には約2.8気圧だったが、同4時30分には約3.4気圧になった。現在、所内で行われている電源の復旧作業や放水作業などは中断する。
 3号機は13日午前8時41分から蒸気を放出する弁を開けたままで、圧力が再び上昇した理由は不明。この弁が閉じてしまっている可能性があるため、復旧作業員などが退避した後、弁を開ける操作を試みる。 それでも圧力が下がらなければ、別の弁を開けるが、冷却水を通さずに排気するため、強い放射能を帯びた物質が外部に放出される可能性がある。(読売新聞)

(⇒その後読売は、東電が「3号機の原子炉格納容器の圧力が安定したため、格納容器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作を当面見合わせ」たことを報じた。一事が万事だが、「なぜ圧力が「安定」したのか、気圧の数値はいくらか」などを報道しない。「当面」とはいつまでなのかも分からない。また、放射線量の数値の変動、電源の復旧作業の再開如何についても、私たちは別の記事を調べることを余儀なくされる。

 上の記事によって私たちは、格納容器の圧力が約3.4気圧程度になれば、東電が「器内の蒸気を外部に放出して圧力を下げる操作」を検討し、それによって「強い放射能を帯びた物質が外部に放出される可能性」が高まることがわかる。では、この「操作」の検討を東電は何気圧になれば行うのか、それを記者は東電に確認しなければならない。そして公開すべき情報項目の一覧を作成し、見やすく、理解しやすい一定地域の一定時間域の「危険・警戒レベル」を報道すればよい。
 これが容易なことではないのは、誰だってわかっている。「科学者」や「専門家」は、批判を覚悟の上でそういう情報公開のために責任を果たすという使命感を持つべきなのだ)

取り残される災害弱者 原発30キロラインの避難所
 福島第1原発から34キロ。福島県いわき市の県立四倉高校に200人以上の避難者がいる。約1キロ原発寄りの避難所にいた人たちは市のチャーターバスで移動した。四倉高校にいるのは車がないか、ガソリンが尽きて身動きできないお年寄りら災害弱者だ。
 11日、震災直後から家を失った約1200人が逃げ込んだが、翌日に福島原発の事故情報が広まると、大半はすぐに立ち去った。残されたのはほとんどがお年寄りで自力で歩けない人が10人以上。ミルクやおむつが必要な幼児もいる。食料と水は市の配給だけが頼り。感染性胃腸炎とみられる症状も広がっている。
 屋内退避指示が出ている半径20~30キロ圏内について行政側は「自主的避難」を支援。四倉高校の避難住民らは繰り返し県や市に再避難の手配を求めているが、県は「再避難の予定はない」とする。「半径30キロから少しでも外にいれば安全なのか」。1人の男性が大声を上げた。

被災地と認識されず…「見捨てられた」地域
 東日本大震災で津波による犠牲者を出し、家屋が流されるなど大きな被害を受けた茨城県の県北地域。福島第1原発事故による放射性物質の漏洩(ろうえい)が住民の不安をさらに高めている。一方、深刻な被害を受けた東北地方に比べ、全国的には被災地として認識されておらず支援も十分ではない。住民からは「見捨てられた」と声が漏れた。(前田明彦)

◆六角堂が消失
 北茨城市大津町の大津漁港。茨城の冬の味覚、アンコウが揚がることでも知られている。だが、地震発生後の津波に襲われ、漁船や沿岸の家屋も押し流された。その後、住民が戻ると、津波が運んだ茶色の泥とがれきが道路を埋め尽くしていた。
 近くには日本美術界の大家、岡倉天心が自ら設計した「六角堂」があったはずだが、津波で流され、今は土台だけが残る。太平洋の海の青色とのコントラストが映える風景が一変していた。
 同市のシンボルだった「二ツ島」も木々が流されて岩の表面がむき出しとなり、かつての面影はない。風光明媚(めいび)な場所として知られた北茨城市は壊滅的な打撃を受けた。

 ◆動くに動けぬ
 市内全域で停電していたが電気もようやく回復し、浄水場が復旧して通水も始まった。だが、水道管の破損による漏水などで思うように復旧が進まない。JR常磐線は運休したまま再開のめどは立たず、常磐道も閉鎖。避難所には物資が供給されているが、自分で取りに行けない高齢者やガソリンがないため乗用車を動かせない世帯も多く、生活に必要な物資が十分に行きわたっていないのが現状だ。
 同市関係者や市議らは「北茨城市など県内市町村が、国に被災地域として十分に認識されておらず、一部物資は市内から福島県への支援に回された」と口をそろえる。同市内で飲料水や子供用オムツを配っていたボランティアの女性は「国に見捨てられたという思いがある。メディアでも取り上げられず、ここも被災地ということが分かってもらえない」と嘆く。
 津波で家財道具が流されたという大津港近くに住む50代の女性も「母と娘の3人暮らしだが、食料も水も十分にない。避難所にはあるみたいだが、ガソリンがなく取りに行けない。家の片付けも進まないし、どうしたらいいのか」と、目を潤ませて訴えた。

 ◆原発不安も
 また、福島第1原発事故も市民の不安を高めている。同市では16日午前11時40分に1時間当たりの放射線量が県内で最も高い15.8マイクロシーベルトを観測。健康に影響はない値とされるが、報道では「通常の300倍」と強調され、住民の不安はピークに達した。親族が原子力施設で働くという女性(46)は「健康に影響はないと分かっているが、いろんな情報を聞くと不安に思う。何かあっても年寄りの父母が家にいて、すぐに逃げることもできない」と嘆く。「健康に影響がないなら市長が『大丈夫です』と広報するだけでみんな安心するのに…」。情報の混乱も地域に深刻な影響を与えている。(産経新聞)

新たにホウレンソウ・牛乳から放射性物質
 枝野官房長官は20日夕の記者会見で、茨城県内でホウレンソウ1検体から、福島県内で牛乳4検体から、食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質を新たに検出したと発表。ただ、「ただちに健康に影響を及ぼすとは考えられない」とも強調した。 菅内閣は東京電力福島第一原子力発電所の事故と関連があるとみており、枝野氏は会見で「国として一定地域における摂取制限や出荷制限(?)などの対応が必要かどうか、明日中には結論を出したい」と述べた。(⇒このまま放置すれば、福島県民や茨城県民は、私たちはこの国の政府に・・・・)

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事故対応「場当たり的」…政府、東電を世界中が非難
 震災と原発事故に対する日本政府、東京電力の対応に、海外メディアなどから批判が相次いだ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、計画停電実施に際して事前情報が少なく、市民の不安が増大した、とし「菅直人首相や官僚は一切、計画にタッチせず、東京電力に任せきり」「指導力の欠如」と非難。

 中国紙、21世紀経済報道は東電について「原発トラブルのデータを改ざんした“前科”があり、今回の対応の伏線になっている」と批判。東京から中継した米CNNテレビの看板キャスター、アンダーソン・クーパー氏も、02年に原発トラブル隠しが発覚した東電を「国民を欺いた過去がある」と紹介した。
 危機対応に関し、国際原子力機関(IAEA)高官は「日本の協力不足」を指摘。欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は日本の対応について「信じられないほど場当たり的。原発は制御不能に陥っている」と切り捨てた。
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3/16

 人間とは、不器用な生きものだ。
 私たちは、二つの感情を同時に持つことができない。竹中直人の「笑いながら怒る/怒りながら笑うオジサン」は、生物学的に存在しえないからこそ意外性があり、芸としても面白いのである。

 私たちは、いまこの瞬間に、福島原発から大気中に排出され、土壌を侵蝕し、太平洋へと垂れ流されつづけている放射能に脅えながら、日本政府や東電に対して怒る、という感情を同時に持つことができない。
 脅えと怒りは交互に襲ってくる。そして脅えすぎると人間は怒りの感情を失い、怒りすぎると脅えることを忘れてしまう。

 笑いすぎて、脅えも怒りも忘れられる日を、いつか私たちは迎えることができるだろうか。
 私たちはいま、疲れすぎて、感情そのものを失いつつある。
 一番、危険な状態だ。


 疲れすぎて、感情の襞(ひだ)がノッペリしてくると、私たちは他者から自分がどう映るかなんて、どうでもよくなってしまう。
 今日のニューヨーク・タイムズの記事。Frantic Repairs Go On at Plant as Japan Raises Severity of Crisis この写真。何とも異様な写真だ。何かに似てはいないだろうか。そう、「オウム」の「サリン事件」があった直後の東京の地下鉄の風景だ。
 「あの時」と同じ事を、いま私たちは国をあげてやっている。その光景が「狂気の沙汰」だということを私たちは決して忘れてはならないだろう。

 frantic repairs. 私たちがやっていることは"frantic"と米国のメディア、世界のメディア、人々から観られている。「死にもの「狂い」の」、もっと一般的には「必死の」「決死の」とでも訳すべきだろうが、異様な写真とともにこの言葉が使われると、一種言いようのない病的なニュアンスが漂う。
 もちろん、米国人が、世界の誰が何をどう感じ、私たちをどう見ようがが知ったことじゃない。私たちはどれだけ常軌を逸していようと、「死にもの「狂い」」で、「決死の」覚悟で水をかけ続ける以外に何の方策もないからだ。私たちは、いまを生き延びなければならないからである。

 しかし少なくとも、私たちは次のことを自覚しておく必要がある。
 日本はいま、国家的に常軌を逸したこと、常識的・「科学的」理性を超絶したことを死にもの「狂い」で、franticに行っている、ということ。憐憫の思いとともに、全世界からそのように見られている、ということ。Harakiri, Kamikaze, B29を竹槍で落とそうとしていた国、そんな目で見られていること、日本は世界の諸々の問題を解決する、それに「貢献」する国ではなく、日本そのものが世界のおぞましいお荷物、解決すべき〈問題〉になってしまったということを。

 そして、原発は、常軌を逸したことを私たちに強いる化け物だということを。
 どんなに疲れても、このことだけは自覚しておこう。

3/19
1~3号機、炉心は冷却状態…東電会見
 東京電力は19日午後7時頃から広報担当者が記者会見し、「福島第一原発1号機から3号機については炉心を冷却するための海水の注入が続いている」として、炉心が冷却された状態であるとの見方を示した。 また、復旧に当たっている作業員のうち、6人が100ミリ・シーベルトを超える放射線量を浴びたことも明らかにした。(⇒東電は6人が浴びた具体的数値を公表せよ)

 厚労省が定める作業員の緊急作業時の被曝(ひばく)限度量は、これまで100ミリ・シーベルトだったが、今回の事故に限り、250ミリ・シーベルトに引き上げられており、限度の中に収まっている(!!)。(⇒この記事のグロテスクさを感受する理性を失わないように、私は必死でもがいている)。このほか、農産物から規制値を超える放射線量が検出されたことについて「心よりおわび申し上げる。今後お客様から損害賠償などの申し出があれば、国とも相談しながらしっかり準備を進めていきたい」とも語った。 (⇒そういう問題か?)

 経産省原子力安全・保安院は21日午後、福島第1原発の事故で、作業員1人の被ばく量が150ミリシーベルトを超えたと発表。(⇒これでも具体的数値は明らかにされない)

 3/15付の以下の読売の記事に注意
 放射線を浴びた時の人体への影響についての明確なデータはないものの、一般的に(?)、健康に明らかな影響が出る被曝(ひばく)量は、およそ100ミリ・シーベルトと言われている。(⇒では、なぜ自衛隊は50ミリ・シーベルトだったのか? 現場作業員の250、国際「基準」の500という値の根拠は何か? 「6人が100ミリ・シーベルトを超える放射線量を浴びた」のは、「健康に明らかな影響が出る」値ではないか?) これより低い場合は妊娠中でも胎児への影響も出ないとされる。
 福島第一原発の事故現場付近では、400ミリ・シーベルトの放射線が観測されたが、この付近にいると白血球の一時的な減少などの急性症状が出るとされる。2000ミリ・シーベルト以上の放射線を浴びると、被曝後10日から3週間の間に、免疫力の低下や皮膚からの点状出血、腸管の損傷による下痢などの急性症状が出る(1ミリ・シーベルトは1000イクロ・シーベルト)。

.豪州の緊急援助隊、帰国へ
【シドニー時事】オーストラリア政府は19日、東日本大震災で日本に派遣していた72人の緊急援助隊が活動を終え、帰国すると発表。豪州チームは宮城県南三陸町での被災者の捜索・救助活動を行ってきた。 声明によると、生存者救助の役目は終了したと判断。「現時点で安全性に問題はないが、援助隊を不必要なリスクにさらすつもりはない」として撤収を決めた。豪政府は、福島原発事故の状況が不透明だとして、本州北部からの避難勧告を出している。 ニュージーランド通信によると、ニュージーランドのほか、米英独やスイスのチームも救助活動を終了。

日本への渡航制限「必要なし」 WHO
【ジュネーブ伊藤智永】世界保健機関(WHO)は18日、福島第1原発の放射能漏れ事故に関連し、原発から半径30キロ圏内を除けば、現時点で東京都内を含め日本への渡航を制限する必要はないとの見解を公表した。東京からの「避難」や、日本から輸出された食品への「警戒」も不要だと指摘した。WHOはインターネットのホームページに「渡航制限勧告」とは反対の「渡航安全勧告」を掲載する予定だ。

 国連欧州本部で記者会見したハートル広報官は、東京周辺で検出された放射線の数値が微増したとはいえ「健康に悪影響を及ぼすには程遠いレベルだ」と強調。「日本に旅行する人は放射線を恐れる理由はない」と述べた。 一部の外国大使館や外国人などが東京から西へ「避難」している対応については「感情的な問題だ。それぞれの危機対応なので、気持ちは理解はできるが、現時点で公衆衛生上、東京に滞在するのに健康への危険は低い」と指摘した。

東京、「健康上の危険ない」 IAEA
【ベルリン小谷守彦】国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)のグラハム・アンドリュー科学技術担当補佐官は18日、同機関の専門家チームによる放射線量計測の結果、「東京都内で健康上の危険はない」との評価を明らかにした。専門家チームはさらに福島第1原発周辺に現地入りし、活動を続ける。 都内の計測は同日、来日した専門家チームが行った。アンドリュー補佐官は、原子炉に通常含まれる放射性ヨウ素や放射性セシウムは確認できなかったとしている。(毎日)

・東京消防庁は、19日未明に東京電力福島第1原発3号機への放水作業に当たったハイパーレスキューなど緊急消防援助隊員らの被曝(ひばく)線量を検査した結果、「健康上の影響が出るレベルではなかった」と明らかにした。 隊員らは放水後、いったん放射線の影響が少ない活動拠点に退避。ここで被曝線量の検査を受けたが、健康上の影響が出るレベルの放射線は検出されなかったという。 また、未明の放水では3号機に計60トンの海水が放出されたが、同庁は「放水の効果がどれだけあったのかは分からない」としている。

3/18
電源復旧、19日以降に作業ずれ込む

福島第一原発「廃炉」を検討 東電常務が福島で謝罪会見
 東京電力の小森明生常務は18日、福島市内の福島県災害対策本部で記者会見し、福島第1原子力発電所の爆発や放射能漏れ事故について「このような事態を招き痛恨の極みです。福島県民におわびします」と県民初めて謝罪。 小森常務は第1原発の廃炉について「幹部と議論したことはないが、今後はそういうことも含めて検討していく」と述べた。

 放射能汚染への不安と怒りが福島県民には広がっているが、「厳しい状況が続いているが、あらゆる手だてを講じて、安全確保に努めたい」と事態収束に全力を尽くす構えを表明した。 放射能汚染を避けるために、避難所を転々としている周辺住民に向けて「誠に申し訳ない」と涙ながらに謝罪。今後の補償については「国と相談して考えていく」と語った。
 今後、原発事業の継続に関しては「経営判断があり、今答えられない」とした。 記者団からは「原発の安全性をPRしてきたのは正しかったか」「福島県民に希望はあるのか」といった質問が相次いだが、「イエスかノーかで答えられない」と言葉を失っていた。(産経新聞)

使用済み燃料、共用プールにあと6400本
 東京電力福島第一原発には、6基ある原子炉建屋の使用済み燃料プールとは別に、約6400本もの使用済み燃料を貯蔵した共用プールがあり、津波で冷却装置が故障したまま、水温や水位の変化を把握できなくなっていることが、17日わかった(!)。(⇒なぜ、こういう企業を日本社会が生み出してしまったのか、もしも笑える日が来たら、みんなで話し合う必要がある)

 すでに数年以上かけて冷却されているため、ただちに爆発する危険は少ない(?)とみられるが、政府と東電でつくる福島原発事故対策統合本部は、共用プールへの対応も迫られている。

 共用プールは、4号機の西約50メートルの建物内にあり、縦29メートル、横12メートル、深さ11メートル。使用済み燃料を6840本収容できる。現在、1~6号機の原子炉建屋のプールに保管されている燃料集合体の1.4倍にあたる6375本が貯蔵されている。(⇒試しに、笑いながら、総計でいくらの核燃料棒が「保管」されているのか、各自で計算してみよう)

 東電によると、10日までは水温が30度に保たれていたが、11日の地震後、水温や水位も測定できなくなった。プールへの給水は自動的に行われているとみられるが、その水から熱をとるための冷却システムは故障しており、十分な冷却はできていないとみられる。爆発事故を起こした3号機、4号機に近いため周囲の放射線量が多く、状況を把握できていないという。

「教訓生かされず」チェルノブイリ被害者団体が東電を批判
 チェルノブイリ原発事故の被害者団体「チェルノブイリ同盟ウクライナ」(キエフ)代表で、元同原発技師のユーリー・アンドレエフ氏(61)は17日、共同通信に対し、東日本大震災により福島第1原発が放射能漏れを起こしたことについて「チェルノブイリの教訓が生かされていない」とし、東京電力の情報公開が不十分だと批判した。

 1986年4月のチェルノブイリ事故では、4号機の爆発の影響で漏れた冷却水が隣の2号機に入り込み、福島第1原発と同様に冷却装置や電源のバックアップシステムが故障したものの、辛うじて連鎖事故を回避した。 アンドレエフ氏は「福島第1原発は電源装置がチェルノブイリ同様、原子炉の直下にあり、津波などの水が入り込めば電気供給やバックアップシステムが壊れる」と話し、チェルノブイリ事故後も、電源供給体制を見直さなかったことを残念がった。(共同)

原発事故直後、日本政府が米の支援申し入れ断る
 東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡り、米政府が原子炉冷却に関する技術的な支援を申し入れたのに対し、日本政府が断っていたことを民主党幹部が17日明らかにした。
 この幹部によると、米政府の支援の打診は、11日に東日本巨大地震が発生し、福島第一原発の被害が判明した直後に行われた。米側の支援申し入れは、原子炉の廃炉を前提にしたものだったため、日本政府や東京電力は冷却機能の回復は可能で、「米側の提案は時期尚早」などとして、提案を受け入れなかったとみられる。

 政府・与党内では、この段階で菅首相が米側の提案採用に踏み切っていれば、原発で爆発が発生し、高濃度の放射性物質が周辺に漏れるといった、現在の深刻な事態を回避できたとの指摘も出ている。
 福島第一原発の事故については、クリントン米国務長官が11日(米国時間)にホワイトハウスで開かれた会合で「日本の技術水準は高いが、冷却材が不足している。在日米空軍を使って冷却材を空輸した」と発言し、その後、国務省が否定した経緯がある。(読売新聞)(⇒枝野官房長官、18日午前の記者会見で「少なくとも政府、官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定。つまり、「政府、官邸として」「認識」していなくとも「そうした事実」があったということ)

政府筋「東電が米支援は不要と」…判断遅れ批判
 東京電力福島第一原子力発電所で起きた事故で、米政府が申し出た技術的な支援を日本政府が断った理由について、政府筋は18日、「当初は東電が『自分のところで出来る』と言っていた」と述べ、東電側が諸外国の協力は不要と判断していたことを明らかにした。

 政府関係者によると、米政府は11日の東日本巨大地震発生直後、米軍のヘリを提供することなどを申し入れたという。政府は、各国からの支援申し出は被災地での具体的な支援内容を調整したうえで受け入れており、「(断ったのではなく)いったん留め置いた」と釈明する声も出ている。枝野官房長官は18日午前の記者会見で「政府、首相官邸としてそうした事実は全く認識していない」と否定する一方、米政府からの原子炉冷却材提供の申し入れなどについて「詳細は把握していない。確認してみたい」と述べ、事実関係を調査する考えを示した。

 政府・与党内では、政府の初動対応について、「米側は早々に原子炉の廃炉はやむを得ないと判断し、日本に支援を申し入れたのだろう。最終的には廃炉覚悟で海水を注入したのに、菅首相が米国の支援を受け入れる決断をしなかったために対応が数日遅れた」(民主党幹部)と批判する声が出ている。 高木文部科学相は18日午前の閣議後の記者会見で「事実関係は把握していない。しかし、姿勢としてはあらゆることを受け入れるのは当然だ。内外の声をしっかり聞くことは非常に重要だ」と語った。

 一方、自衛隊が17日午前に行った大型輸送ヘリによる海水投下の背景には、米側の強い要請があったことも新たに分かった。 日米関係筋によると、自衛隊の大型輸送ヘリによる海水投下に先立ち、今回の事故を「最大級の危機」ととらえる米側は、「まず日本側がやるべきことをやるべきだ」などとして、再三にわたり日本側の行動を強く要請していた。17日午前に予定されていた菅首相とオバマ米大統領の電話会談でも、大統領からの要請があると予想されたため、首相は防衛省・自衛隊に会談前の海水投下実施を求めたという。

 日本政府への懸念や不満は、米国以外からも出ている。 今回の事故に関する情報収集や日本政府との意思疎通のため、急きょ来日した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、「(日本政府は)情報伝達を質量ともに改善して欲しい。改善の余地はある」と述べており、18日午後に行われる松本外相との会談などでも、こうした問題が取り上げられる可能性がある。(読売)

「原子力推進、難しい状況」 谷垣氏、政策転換を示唆
 自民党の谷垣禎一総裁は17日の記者会見で「原子力政策を推進していくことはなかなか難しい状況になっていることは事実だ」と述べ、自民党が一貫して進めてきた原子力推進政策の転換は避けられないとの考えを示した。
 福島第一原子力発電所の制御が困難になっていることについて「こういうことが起きると、この後の原発立地が非常に困難になることは間違いない。福島原発の代替をどこに求めるかも簡単な話ではない」と指摘。「今回の事故を速やかに総括、分析し、新しい対応を打ち出していかなければならない」と語った。 谷垣氏は科学技術庁長官として原子力委員長を務めたことがある。今度の原発事故について「地震にはだいたい対応できていたと思うが、あれだけの津波を想定していなかった」(?)と分析した。(⇒ここにも自然、natureに責任転嫁をはかる政治家/政党がいる)

 自民党は1979年の第2次石油危機などを契機に原子力を「経済性、安定性に優れたエネルギー」と位置づけ、推進政策を主導してきた。野党転落後も温暖化ガス排出量の削減のため、原発の新設や高速増殖炉サイクルの早期実現を目指す「低炭素社会づくり推進基本法案」を提出。谷垣氏の発言はそうした路線の大幅修正を意味する。民主党政権へもこうした姿勢が影響することは必至で、日本の原子力政策の大転換につながる可能性が出てきた。(朝日)


 
 状況は絶望的です。

 東北、関東在住の方で、北海道あるいは関西以西への避難が可能な方々は、真剣に避難の検討を始められたほうがよいでしょう。できるだけ早く、遠く。海外に避難できる人はそれが最も望ましいでしょう。少なくとも、一時的避難場所の確保は必要です。もちろん、大震災で被災・避難されている方々を含みます。

 政府(民主党執行部・経産省担当官僚)・東電は責任追及と社会的パニックを恐れるあまり、事態がいかに深刻で絶望的であるかを明確にしません。この期に及ぶその情報操作・隠蔽の体質は、もはや糾弾や弾劾の域を超えています。また、東大の「原子力屋」連中は最悪で、原発事故の恐怖、その基礎知識さえ持っていないとしか考えられない記者、キャスターたちも共犯者だと言わざるをえません。

 
 すでに公表されている情報から判断して、福島第一原発は遅くとも3月12日時点からメルトダウンが始まっていることは明白です。露出→発火→爆発をくい止めるための冷却措置として、半永久的に給水・放水活動を行わねばならないわけですが、この間それができない状態が続いており、「打つ手がない」のが今の状況です。
 私たちが直視しなければならないのは、東電の現場責任者が今後何が起こるか、事態の推移を制御する術を持たないことです。震度7の地震が現場を襲ったとしたら、防波堤を越える津波にのみ込まれたとしたら、どうなるのか? 惨劇が起こっていないのは、たまたままだ起こっていないという単なる偶然、僥倖でしかありません。

 最悪の事態になろうとしていることを、冷静かつ客観的に分析することが必要です。
 そして最悪の事態を想定した対処を考え、その準備を始めるべき段階にきてしまった、と私は考えています。みなさんも決してパニックに陥らず、冷静かつ客観的に判断し、対処を考えてください。


 何を基準に避難を考えるべきか
 最も深刻なのは、1号機から6号機までの燃料棒と使用済み燃料の露出状態を私たちがまったく把握できないことです。政府の情報公開とマスコミの事故報道に求められていた/いるのは、まず何よりも警戒レベルと対処マニュアルを定めた上で、毎日数回にわたり各号機の露出/非露出状態を明らかにすることです。最低限の説明責任と情報公開です。

 この点に関連して言えば、各地における大気中の放射性物質のモ二タリングと数値の公表は必要ではあっても、それ自体は、近辺の人々を含め、何も被爆からの身の安全を保証するものではありません。私たちに必要なのは、どれだけ「空焚き」状態が続いているのか/いないのか、そして発火→火災→爆発がいつ起こる可能性があるのか/ないのか、これらに関する具体的で科学(実証)的な分析と情報です。

 現在、3号機の原子炉格納容器は破損したままです。14日午前の水素爆発で天井が飛び、燃料プールも露出した状態ですが、中性子を吸収するホウ酸注入の作業は、現場付近の放射線量が高く、近づけない状況が続き、何も行われていません。
 また、1~4号機の燃料プールの温度や水位も、停電のため確認できていません。15日午後4時から16日午後2時にかけ、東電は5号機のプール水温が57.3度から62.7度、6号機で56度から60度(いずれも通常時は40度前後)と上昇したことを明らかにしましたが、その後の情報公開はありません。
 2号機の圧力容器の圧力についても、16日午前1時以降、大幅に低下しています。東電担当者は「格納容器や圧力容器の気密性が失われた可能性を否定できない」と説明しています。3号機のプール沸騰に伴って放射性物質を含んだ蒸気が放出されたか、2号機炉内の放射性物質が外部に放出された「恐れ」のいずれかが原因とされています。

 「臨界」が起こる可能性は低いかもしれません。しかし、全号機の核燃料棒と使用済み核燃料の完璧な冷却体制と放射能漏れの封殺体制が確立されるまで、大気・土壌・海の放射能汚染は続きます。私たちは、まず「冷やして、閉じ込める」という当初の東電の作業方針が失敗に終わったこと、その現実にきちんと向き合う必要があるでしょう。そして、なぜこうなってしまったのか、その原因と要因を客観的に分析し、今後起こりうる事態を想定した上で、いつどのように行動するかを判断するしか道はありません。


 「人体に影響はないレベル」?
 16日午前、福島第1原発から約60キロ北西にある福島県庁付近で、1時間当たり18~20マイクロシーベルトの放射線量が観測されました。通常の約400倍に相当します。24時間屋外にいた場合、2日間で、1年間に「人体に影響が出るかもしれないレベル」である1000マイクロシーベルトに達する計算です。
 時事通信によると、原発から約50キロの地点では13~17マイクロシーベルト(最大で通常の344倍)、約30キロ地点は14~18マイクロシーベルト(同350倍)。約20キロ地点は15日午後9時ごろの時点で、195~330マイクロシーベルト(同6600倍)でした。そして1都9県で通常より高い値を記録したとされています。

 私が驚くのは、「人体に影響が出るレベル」とその基準を明確にしないまま、これらの数値に対して警戒心を持たず、一般社会・視聴者にも警戒を促そうとしない政府とマスコミの姿勢です。「人体」とは壮健な青年男子のことをさしているのか? 乳幼児はどうか? 妊婦、子ども、高齢者、病気を患っている人は?
 福島原発で爆発が起こるたびに、その影響が東京や新潟、静岡にまで及ぶこと自体が脅威ではないのか?

 すでに福島市では、水道水からの胎内被爆の可能性を示す、水の放射能汚染が明らかになっています。
 パニックになる必要はないし、なってはならない。しかし、警戒心を私たちが持たない限り、身近にいる子どもたち、家族を被爆から守ることはできないのです。
2011/3/16

⇒「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)」 
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森住卓のフォトブログ

3/17
外部電源復旧18日以降
自衛隊の地上からの放水効果、「結果を見てから」
警視庁機動隊 放水するも届かず退避 

「日本の原発耐震基準は時代遅れ」=IAEAが08年に警告か―ウィキリークス
【ベルリン時事】英紙デーリー・テレグラフは17日までに、内部告発サイト「ウィキリークス」が入手した米外交公電の内容として、国際原子力機関(IAEA)が2008年12月、日本の原発の耐震基準は時代遅れで、大規模な地震が発生した場合、「深刻な問題」が生じる恐れがあると警告していたと伝えた。

 同紙が引用した公電によると、東京で開かれた原子力安全保障に関する主要8カ国(G8)会合で、IAEA当局者は日本の原発耐震指針は過去35年間で3回しか更新されておらず、IAEAが指針を再調査していると説明したという。IAEAの天野之弥事務局長は16日の記者会見で、「ウィキリークスで伝えられたことにはコメントしない。原発の耐震基準は常に更新するよう取り組んできた」と述べた。 

韓国、豪も80キロ圏避難勧告 シンガポールは100キロ
【ソウル、シドニー、クライストチャーチ、シンガポール共同】米原子力規制委員会(NRC)が福島第1原発の半径80キロ以内に住む米国民に避難を勧告したのに続き、韓国、オーストラリア、ニュージーランドも17日、自国民に同様の勧告を行った。シンガポール外務省は半径100キロ以内の在住国民に勧告。
 韓国の金星煥外交通商相は17日の定例記者会見で、避難が困難な場合は屋内に退避するよう求めた。韓国人の旅行者や企業駐在員、留学生らのほか、在日韓国人も対象。

 日本政府は半径20キロ圏内に避難、20~30キロ圏内に屋内退避を指示しているが、金外交通商相は「米国などの措置を準用している」と説明。今後の対応も準備中で「状況の展開具合によって実行する」とし、さらに広範囲の避難勧告や韓国人の本国への帰国なども検討していることを示唆した。
 オーストラリアの放射線防護・原子力安全庁は「この圏内の現在の危険に基づいたものではなく、不確実な状況のための予防的措置」と指摘。ニュージーランドのマカリー外相は「ニュージーランド政府としても国立研究所が注意深く放射性物質のレベルを監視している」と説明。

燃料プール、4号機は水張る…3号機は不明
 東電によると、自衛隊のヘリが16日に3、4号機の上空から観察したところ、4号機は燃料棒が見えないほど燃料プールに水が張っていたが、3号機は湯気のような白煙が立ちこめており、中の様子は不明。蒸発して水位が下がっていることが予想され、緊迫性が高い3号機への放水を優先したという。
 3号機のプールには5514本の燃料棒が保管され、放射性物質が漏れ出す危険性が高まっている。3号機に隣接する4号機のプールには1331本の燃料棒が保管されているが、この中には定期検査で一時的に原子炉から移した燃料も含まれている。1~3号機の原子炉内の燃料棒は、依然として水面から一部が露出した状態

 また、東電は17日、緊急炉心冷却装置(ECCS)やプールの冷却水循環を復旧させるため、近くを通る東北電力の送電線から仮設ケーブルを敷設する工事を終えた。この電力を、電源を喪失している各原子炉建屋へと送る作業の準備を進めている。 経産省原子力安全・保安院によると、3号機から約1キロ・メートル離れた福島第一原発の西門付近で17日に観測された放射線量は、毎時300マイクロ・シーベルト台で推移。同日午後3時30分は同309.7マイクロ・シーベルト。(読売新聞)

・2号機の電源復旧作業は17日午前から、東電職員ら30人の手で始まった。被ばく人数を抑えるため平時より少ない態勢だ。
 非常用電源が失われた1~4号機のうち、唯一配電盤が水没しなかった2号機の電気系統回復が頼みの綱。作業では放射線量の比較的低い海側に変電盤を仮設し、建屋の各機器などと接続していった。担当者は「少ない工事量で復帰するよう計画している。(電源復旧の)実現性はかなり高い」と強調する。
 ただし、電源復旧は原子炉冷却のための入り口に過ぎない。まずは海水を送り込むポンプの作動試験をする必要があるが、16日夕には東京・内幸町の本店との連絡回線を切断するミスも起きた。7時間後の復旧までの間、水位計などのデータのやり取りは衛星携帯での通話でしのいだ。

 東電は2号機との間の回線が生きている1号機も、近く電源復旧が可能とみる。しかし、3、4号機は新たな外部電源をひく必要があり、復旧には時間がかかる見通し。また、使用済み核燃料プールの水温が上昇している5、6号機では、5号機の非常用電源が機能していない。6号機の電源を5号機につないでいるものの、東電は「この状態が長く続けば1~4号機のように温度が上昇する」と焦燥感を募らせる。

◇本格注水へのつなぎ
 東京電力福島第1原発3号機に向けた17日の放水は、低下しているとみられる使用済み核燃料プールの水位を回復するほどの量は期待できず、むしろ外部電源復旧後の本格的な注水をにらんだ「つなぎ」の要素が濃い。
 この日、陸上自衛隊のヘリから4回にわたって投下された海水は、最大でも約30トン。だが、上空からの散水は拡散し、どの程度がプールに入ったのかは不明だ。地上から高圧消防車も活用されているが、放水で約1200立方メートル(1200トン)のプールを満たすことは相当難しいとみられる。

 3号機のプールでは16日以降、大量の水蒸気が立ち上るのが観察され、プールの水が沸騰しているとみられている。このままの状態が続くと、燃料棒のジルコニウム製の被覆管が劣化し、中の放射性物質が出やすくなるので、対策が急務になった。空と海からの放水は、政府と東電のひねり出した「窮余の策」だ。
 放水した水でプールの水位が回復できなくても、霧状の水滴が燃料棒にかかるだけで熱を奪って蒸発し、燃料棒を冷やす効果が期待できる。この仕組みは、真夏に市民が水をまいて涼を取る「打ち水」と基本的に同じだ。また、プールから立ちのぼった水蒸気に含まれた水滴も同様に燃料棒を冷やしていく。
 吉川栄和・京都大名誉教授(原子炉安全工学)は「被覆管が壊れないよう、とにかく水をかけ続けること以外、今はやるべきことはない」と話す。(毎日新聞、「綱渡りの放水作戦 被ばく基準、急きょ変更」【須田桃子】より一部抜粋)

放水開始から30分後、放射線量変化なし
 自衛隊のヘリコプターによる放水が行われた3号機の北西百数10メートル離れた地点の数値は、放水前の午前9時40分で3782マイクロシーベルト、放水後の同10時20分で3754マイクロシーベルト。大きな変化なし。⇒1年間累算で「人体に影響がでるかもしれないレベル」は何シーベルト? 自衛隊の累積被ばく総量限度は通常時の50ミリシーベルトから100ミリシーベルトに。因みに現場作業員は250ミリシーベルト。この差、そしてグロテスクさはいったい何だ?

使用済み核燃料と原子炉内…3号機、二重の危機
 17日午前、自衛隊ヘリによる放水作業が行われた福島第一原子力発電所3号機は、使用済み核燃料を貯蔵するプールと原子炉を冷やす機能がともに失われている。14日に水素爆発を起こし、建屋は大きく崩れたままだ。
 3号機では16日朝、白煙が確認された。貯蔵プールの水温は測定できない状態になっているが、原子力災害対策本部は、原子炉に隣接するプールの水温が上がり、湯気が白煙のように見えている可能性が高いと判断していた。
 貯蔵プールは、厳重に燃料を封じ込めている原子炉と異なり、建屋がなくなれば放射性物質を屋内に閉じこめる防護壁がない。水の蒸発が進めば、冷却効果が低下した使用済み核燃料から放射性物質が拡散する恐れがある。3号機では、使用済み核燃料と原子炉内の燃料棒がいずれも高温になるという、二つの危機が同時進行している。

 地震発生時に定期検査で運転を止めていた4号機では、15日午前4時、通常は20~40度の貯蔵プールの水温が84度まで上がったことが確認された。建屋の壁に激しい損傷が見つかっている。火災も発生した。
 5号機と6号機も地震発生当時は定期検査中で、今のところ、建屋の損傷は確認されていない。しかし貯蔵プールの冷却機能は低下し、16日午前4時には、水温は約60度に上昇している。東電は、冷却機能を回復させるため、送電復旧に向けた作業を行っている。 水素爆発で12日に建屋が吹き飛んだ1号機と、15日に格納容器の一部である圧力抑制室に損傷が起きたと考えられる2号機では、引き続き、原子炉の中に海水を注入して燃料を冷やす作業が続いている。(読売)

「放射線量、限界に近い」 4号機元作業員が証言 「現場は相当の覚悟」
 危機的状況が続く東京電力福島第1原発。使用済み燃料貯蔵プールの水温が上昇、2度にわたる火災を起こした4号機で、かつて定期検査の作業員として携わった元プラント工事会社社員の男性(66)は「きっと作業員たちが受けている放射線量は限界に近いだろう」と、危険な任務に就く後輩たちを思いやる。

 第1原発では16日現在、約70人の作業員たちが1~3号機への注水を管理。敷地内の放射線レベルは上昇しており、作業をより困難にしている。放射線量の高いエリアでの作業は、短時間で退避する。男性は「こんなことが起こるとは想像もできなかった」と話す。 作業員たちは防護服に身を包み、線量計を携帯。線量が許容限度に近づくと警告音が鳴る。男性もかつて鳴ったことがあるといい「恐怖心に包まれた」と振り返る。

 国内では、平成11年に茨城県東海村で起きたJOCの臨界事故以来の大事故だが「JOCで最初に作業していた作業員は突然、放射線を浴びた。今回は浴びるのを覚悟して作業をしなければならない。相当覚悟のいる状況だ」と、沈痛な面持ちで語った。(産経)

「少しでも遠くへ、遠くへ」──。住民の県外避難、17日、本格化
・福島からの県外避難6000人に。
・さいたま市の「さいたまスーパーアリーナ」に福島からの避難者が次々に。避難受け入れは31日までの予定。埼玉県は各市町村に避難所確保を要請。
・山形県米沢市は3か所の避難所で600人以上受け入れ。その他山形では、山形市の施設「山形まなび館」、山形市総合スポーツセンターなど。
・茨城県つくば市の洞峰公園体育館は17日午前、200人以上を受け入れ。
・新潟県新発田市カルチャーセンター、同県上越市の体育館など。(読売新聞より)

3/16
「レベル7」到達の恐れ=福島原発事故-米シンクタンク
 米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)は15日、声明を出し、福島第1原発事故の状況が国際原子力事故評価尺度(INES)で2番目に深刻な「レベル6」に近く、最悪の「レベル7」に達する可能性もあるとの見方を示した。
 日本の経済産業省原子力安全・保安院は先に、今回の事故の暫定値を「レベル4」と発表していた。
 ISISは声明で、福島第1原発の1~3号機で爆発があったことや、4号機の原子炉建屋で火災が起きたことを踏まえ、「この事故はもはや(局所的な影響を伴う)レベル4とはみなせない」と指摘。緊急措置と広範な放射能汚染対策で国際社会の支援が必要だと強調。INESは、安全上の懸念がないレベル0から8段階で評価。1986年の旧ソ連のチェルノブイリの原発事故を「7」、1979年の米スリーマイル島原発事故を「5」としている。(【ワシントン時事】より)

福島市の水道水からセシウムとヨウ素 国の基準は下回る
 福島県災害対策本部は、16日午前8時に採取した福島市内の水道水から、通常なら検出されない放射性物質のヨウ素が水1キロあたり177ベクレル、セシウムが58ベクレル検出されたと発表。原子力災害時の飲食物摂取制限に関する国の基準(ヨウ素300ベクレル、セシウム200ベクレル)は下回っている。 同本部によると同日午後2時半に改めて採取したらヨウ素、セシウムとも検出されなかった。(朝日新聞)

福島第一原発から放出された可能性のある放射性物質の検出、各地で相次ぐ
 中部電力は16日、浜岡原発がある静岡県御前崎市で、空中のちりやほこりからヨウ素131やセシウム134など5種の放射性物質を検出したと発表。浜岡原発は安定して運転中で、周囲に異常な放射線量の変動がないことから、同原発によるものではない、としている。福島第一原発と浜岡原発は直線距離で約400キロ離れている。
 新潟県も16日、同県南魚沼市でヨウ素131やセシウム137などを検出したと発表。東京都世田谷区でもヨウ素131などが検出。(⇒もちろん、これらはすべて「人体に影響はないレベル」)

東京にある大使館、一時閉鎖・機能移転相次ぐ
 外務省に入った連絡によると、イラク、バーレーン、アンゴラの東京の在日大使館が一時閉鎖することになった。福島第一原発の事故で退避したとみられる。 同省によると、イラク大使館については16日付で連絡があり、17日に閉鎖すると伝えられた。バーレーン、アンゴラの両大使館は15日付で連絡があった。在東京のパナマ大使館も神戸市に大使館の機能を移したという。
 東京のオーストリア大使館も15日、大使はじめ館員の大半が東京を離れ、大使館機能を大阪市内の名誉総領事館に移した。 大阪で勤務を始めたシュテファンバストル大使は16日、朝日新聞の電話取材に「東京の停電や交通事情のほか、万が一の時の空港の利便性も考えた。原発の状況が不透明なので本国と協議して大阪に移った」と述べた。
 福島第一原発の事故について、外務省は連日、東京にある各国の大使館を対象に非公開の説明会を開き、冷静な対応を呼びかけている。15日の省内での説明会には約60カ国の大使、公使、書記官ら約120人が詰めかけた。約1時間にわたる質疑では、関心は原発事故に集中し、「大丈夫なのか」「不安だ」「こんな報道があったが」との質問が相次いだという。 (⇒日本も政府機能の一部移転・分散化を真剣に検討すべき)

建屋大破、白煙も=福島第1原発の現場写真―周囲に破片散乱・東電公開
 骨組みだけ残り、崩れかけた原子炉建屋、立ち上る白煙―。東電は16日午後、社員が15日朝に撮影した1~4号機の写真を公開。1、3号機の建屋が水素爆発で大破した様子が目立ち、周囲の建物屋上などには吹き飛んだ破片らしい物が散乱。散乱物の一部は津波で運ばれた物の可能性もあるという。
 写真は16日午前に公開された3、4号機の写真と同じ15日午前7時33分、4号機から約500メートル離れた高台から撮影。撮影時は2号機と4号機で爆発音が相次ぎ、2号機では原子炉格納容器の一部が損傷、4号機では建屋の外壁2カ所に大きな穴が開いた直後。

 島根原発3号機、運転開始延期も=日立系企業の被災で-中国電
 中国電力の清水希茂・島根原子力本部長は16日、島根県庁で記者会見し、松江市で建設中の島根原発3号機の制御棒駆動機構を分解点検している日立GEニュークリア・エナジーの工場(茨城県日立市)が東日本大震災で被災したことについて、「点検は当然遅れる。場合によっては(運転開始に)影響がある」と述べ、営業運転開始がさらに遅れる可能性に言及。

 同社は日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社。3号機の運転開始予定は当初2011年12月とされていたが、制御棒駆動機構に不具合が見つかったため、12年3月に延期されている。これがさらに遅れると、島根県が11年度当初予算案に計上した核燃料税約43億円の納付が翌年度にずれ込む可能性がある。(時事通信より)

自衛隊ヘリ 水投下を断念 18時10分 ⇒ナンノコッチャ?!

 作業員は被曝線量合わせて250ミリシーベルトまでの新基準で働かされているのに、自衛隊は50ミリシーベルト?
 3号機上空の放射能値はいくらだったのか? ⇒情報公開なし。今日上空からできなかったものが、明日陸上から放水することが可能なのか? 「健康被害を受けずに作業できること」が放水の条件になってはいるが、放水任務につく機動隊員たちは、どれだけの放射能を浴びることになるのか? ともあれ、「国を衛る」べき自衛隊は、一般「国民」・労働者よりも、はるかに国に守られているわけだ。

3号機 自衛隊ヘリで注水準備 (⇒4号機ではないことに注意)
 使用済み燃料を保管している3号機のプールが冷却できない状態。放射能汚染水が蒸発し燃料露出の「おそれ」。自衛隊は、ヘリコプターで上空から大量の水を投下する作業の準備を開始。仙台市内の霞目駐屯地に展開している陸上自衛隊の第1ヘリコプター団のCH47ヘリコプター。
 大量の水を入れた容器をヘリコプターからつり下げ、3号機の上空を何度も通過しながら水を投下する計画。現在、別のヘリコプターを出し、放射線量を測定中。その結果を確認してから作業を開始するかどうかを最終的に判断。

3、4号機冷却のため米軍の放水車による放水が行われる模様
 北澤防衛大臣「午前中にアメリカ軍の横田基地で操作のしかたを教わった東京電力の職員が、今、現地に向かっている」「地上から放水を行い、その効果を見ながら、より強力な放水が必要であればヘリコプターからの放水に切り替える」。

 自衛隊ヘリによる注水、米軍放水車による放水を行わねばならないこと自体が絶望的。そしてその持続可能性は?
 
福島第1原発3号機から白煙 格納容器の一部から放射能汚染された水蒸気放出
 午前10時過ぎから放射線量急激に上昇 作業員一時退避

福島第1原発 4号機燃料プール沸騰 米軍にヘリ散水要請へ
 「(燃料プールの水が沸騰して)どんどん減ってくるので(海江田万里)大臣が(水の注入を)命令した」(経済産業省・西山英彦審議官)

・5階の使用済み核燃料貯蔵プール、線量が高すぎて先に進めず。プールの損傷状態未確認。
・4号機は構内だけでなく、周辺でも毎時100ミリシーベルトの放射線量。

〈4号機の危機〉
・プールは原子炉圧力容器や格納容器の外にあり、外部と隔てるのは鉄筋コンクリート製の建屋しかなく、それに8m四方の穴が爆発で開いた⇒高濃度の放射性物質が大気中に大量に放出される「恐れ」。
・使用済み燃料は熱を帯びており、1時間あたり数トンの放射能汚染水が蒸発⇒常に水を補充し、使用済み燃料を冷ます必要。しかし電源切れで水の補充が止まり、汚染水が蒸発。
・1~3号機、海水を注入し原子炉内を冷やす作業が続いている。核燃料が冷却水から露出した「可能性」。ただ、格納容器が損傷しているおそれは「低い」とされている。⇒根拠なし。
・水の注入はできている5、6号機、海水による熱交換器の電源がないため温度が少しずつ上昇。

1号機 核燃料棒の7割に損傷
 東電は15日、福島第1原発1号機の炉心にある核燃料棒の70%に損傷があると国と福島県に報告。同2号機も同様に33%が損傷。核燃料を覆い、外部への放射性物質放出を防ぐ被覆管が冷却水不足による過熱で損傷し、ひびや穴が開いている。
 ただ、「被覆管が完全に破れて、中のウラン燃料が溶け出す状況にはない」⇒根拠なし。

製造元の米GE 発電機輸送へ
 1号機と2号機の製造元であるアメリカの複合企業、GE=ゼネラル・エレクトリックは、電力を供給するためのガスタービン発電機10基を急きょ日本に送ることを発表。GEが15日、明らかにした。このうち3基はすでにフロリダ州に運び、日本への空輸の準備を整えているとしている。

独、原発7基を一時停止 福島事故で政策再検討
【ベルリン共同】ドイツのメルケル首相は15日、1980年までに建設された同国内の原発計7基を3カ月間、一時停止すると発表。東日本大震災での福島第1原発事故を受けた政策見直しの一環で、安全対策などの検査が当面の目的となる。

 首相は「脱原発」政策を先送りして原発の稼働年数を延長する計画について、3カ月間凍結し再検討すると14日に発表したばかり。 一時停止される原発は国内計17基のうち「古いタイプ」の7基。検査後の対応については「結果を待つ」としているが、与党内にはこのうち2基を早期に廃炉とし、結果次第では7基を廃炉にするべきだとの意見も浮上。ドイツの原発政策は大幅な見直しの可能性が出てきた。

 メルケル首相は15日、電力会社の代表らと会談。「原発の安全性を最優先する」と強調する一方で、再生可能エネルギーの拡大に意欲を示した。 緊急世論調査では「早期の全面脱原発」への賛成が53%となった。 首相は15日、フランスのサルコジ大統領と14日に電話会談し、20カ国・地域(G20)の枠組みで原発の国際的な安全基準について協議することで一致したとの声明を発表。

3/15
福島1、3号機も危険 専門家指摘
 高濃度の放射能が漏れた今回の事故の影響はどこまで及ぶのか。京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)は「既に米スリーマイル島の事故(79年)をはるかに超えている。もし福島第1原発2号機の炉心が溶け落ちてしまえば、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)になりかねない。1、3号機もその危険を抱えている」と指摘。

 スリーマイル島の事故では、半径80キロ圏内の住民約200万人が被ばくしたが、健康への影響は小さかったとされる。一方、史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故では、北半球全体で放射能が検出され、原発従業員や半径30キロの範囲内の住民ら数百万人が被ばくした。世界保健機関(WHO)によると、事故に起因するがんで約9000人が死亡したほか、ウクライナでは甲状腺がんを発症する人が出るなど、現在も被害が続いている。

 小出さんは「風向きや地形も考慮しないといけないが、チェルノブイリの場合で想定すると、放射性物質が日本列島をほぼ覆ってしまうことになる。住民は被ばくをしないように逃げることしかできない。(政府や東京電力は)海水でも、泥水でもとにかく原子炉に入れて燃料棒が溶け落ちることを防ぐ一方、時々刻々知っている情報を国民に開示しないといけない」と話す。

 原子力施設の安全に詳しい技術評論家の桜井淳さんによると、米国には70年代、出力100万キロワットの原発が炉心溶融事故を起こした場合の被害想定データがある。放射性物質が上空1500メートルまで上がったとの想定で被害状況を予測した結果、快晴で風速10メートルの場合、約800キロ先まで放射性物質が拡散する恐れがあるとの結果が出たという。

(A 1997 study by the Brookhaven National Laboratory on Long Island described a worst-case disaster from uncovered spent fuel in a reactor cooling pool. It estimated 100 quick deaths would occur within a range of 500 miles and 138,000 eventual deaths. The study also found that land over 2,170 miles would be contaminated and damages would hit $546 billion. That section of the Brookhaven study focused on boiling water reactors — the kind at the heart of the Japanese crisis. ---In Stricken Fuel-Cooling Pools, a Danger for the Longer Term/ The New York Times )

 桜井さんはこのデータを踏まえ、2号機で炉心が完全に溶けてしまうような事故が起きた場合について、「半径20キロは多数の死者が出るなど致命的な被害が出る。50~100キロでは健康面の被害は少ないかもしれないが、交通制限などさまざまな障害が生じ、社会的機能は損なわれる。放射性物質は1000キロ以上先にも飛ぶので社会は大混乱し、何兆円という規模の損害が出るのでは」と指摘。

 さらに、今回は隣接した複数の原発で事故が起きていることから「86年のチェルノブイリ原発事故は一つの原子炉の事故だったが、今回は複数の原子炉で連鎖的に起きている。今後2号機に加えて1~6号機に保管された使用済み核燃料でも問題が起きると、悲惨な事態になりかねない」と話す。(毎日新聞【樋岡徹也、堀智行、福永方人】)

菅首相 冷却水投下を指示 自衛隊は困難視
 菅直人首相は15日、福島第1原発4号機で放射性物質(放射能)が漏れ出したことを受け、北沢俊美防衛相に原子炉を冷却するため上空からの冷却水投下を検討するよう指示。大型輸送ヘリCH47での投下が想定されるが、防衛省内では、困難だとの見方が広がっている。 首相の指示を受けて、陸自は
(1)核分裂を抑えるためホウ酸を投下
(2)ピストン輸送で冷却水を投下-する形で、東電による注水作業や警察、消防が地上で行う放水作業の支援を検討。

 しかし、防衛省関係者によると空中からの投下は、原子炉本体を破損する可能性や被爆の危険性があるという。このため、北沢防衛相は記者団に対し「まだ上空から落とす段階に至っていない。地上からの放水の成果を見極める」と慎重な考えを示した。 一方、陸自は15日に予定していた原子炉を冷却するための地上での注水支援作業を取りやめた。陸自「中央特殊武器防護隊」の隊員が着用している化学防護衣では、高レベル放射線を防げないと判断したものとみられる。

 同隊の約180人は14日深夜に現地からいったん退避し、第1原発からほぼ西方に約60キロ離れた陸自郡山駐屯地(福島県郡山市)に移動。第2原発への注水ポンプ用の燃料輸送は実施。 陸自は15日、東部方面衛生隊の救急車など8台で、福島県大熊町の病院に取り残された患者らを避難所に移送、2人の死亡を確認。(産経)

福島第一原発作業員の被曝線量上限引き上げ 厚労省など
 厚生労働省と経済産業省は15日、福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を、現在の計100ミリシーベルトから同250ミリシーベルトに引き上げた。1人当たりができる作業時間を長くすることで作業効率を上げる狙いだ。
 1990年に国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた国際基準では、重大事故時の緊急作業での被曝線量の上限を計500ミリシーベルトとしている。厚労省によると、「250ミリシーベルト以下では白血球数の減少などの臨床症状が出ない」という専門家の知見を踏まえたという。厚労省は「やむを得ない非常事態に限った措置」としている。

 復旧にあたる作業員は計測器を持ち、放射線量をモニターしながら作業している。福島第一原発の作業員は今後、1回きりの作業でも断続的な作業の場合でも、被曝線量が合わせて250ミリシーベルトに達した時点で、作業には一切、従事できなくなる。
 14日午後、官邸の要請を受け厚労省と経産省が検討。文部科学省の放射線審議会に諮問し、妥当との答申を受けた。経産省が原子炉等規制法に基づく新たな告示を定め、厚労省は労働安全衛生法の電離放射線障害予防規則省令で改正した。

・気象庁は15日、東日本大震災の余震活動がきわめて活発な状況と発表。M7.0以上の強い揺れを伴う余震3回、6.0以上45回発生。余震は岩手県沖から茨城県沖までの長さ約500キロ、幅約200キロの広い範囲で発生。今後も震源地に近いところで最大震度5弱以上となる可能性が。「場合によっては、震度6弱~6強となる余震が発生する可能性もある。警戒してほしい」

 福島第1原発5号、6号機(稼動停止、使用済み核燃料保管)温度上昇中
 (枝野官房長官、午後4時半)


東電、4号機の燃料棒露出の「可能性」示唆
 東電は、4号機で使用済み核燃料を入れているプールの水がなくなり、燃料棒が露出し、水素爆発が起きた「可能性」を示唆。原因はいまだ特定できず。そして現在も4号機の使用済み核燃料のプールに水があるかどうか、確認できていないという。
 また、15日午前10時22分現在、3号機付近で1時間当たり400ミリシーベルトの高い放射線量が確認されたことについて、水素爆発した原子炉建屋の一部が飛び散って高い値が出た「可能性」に言及。爆発の際、8メートル四方の穴が2カ所開いたことが判明。

福島第1原発から20~30キロ 屋内待機通告発令
福島第1原発4号機、燃料プールの水温上昇
前橋で10倍の放射線
 群馬県は、前橋市で午前11時から午後1時にかけ最大で通常の10倍前後の放射線量観測と発表
⇒左は チェルノブイリ事故の範囲との比較地図
福島第一・第二原子力発電所からの距離 

・福島第1原発3号機付近で放射線量400ミリシーベルトが確認。
・2号機と3号機の間では30ミリシーベルト、4号機付近で100ミリシーベルトが検出。
・人が短時間に極めて高い放射線を浴びると細胞が破壊されたり、DNAが壊れるなど、深刻な健康被害が出る。
 今回記録された400ミリシーベルトという放射線量は、原発作業員の年間被ばく限度量の8倍
250ミリシーベルト程度で白血球の一時的な減少が起きるとされる。
・枝野長官「従来のマイクロの単位とは一つ違っている。人体に影響を及ぼす可能性のある数値であるのは間違いない」。

福島第1原発4号機で火災=原子炉建屋4階で爆発か  
 15日午前6時ごろ、大きな音がして原子炉建屋5階屋根が損傷。同9時40分ごろには同建屋4階北西部付近で火が出ているのを確認。4階で爆発が起きた可能性も。4号機は11日の地震発生当時、定期検査のため運転停止中。 

 東電は、福島第1原子力発電所4号機の使用済み燃料プールの水温が、通常の摂氏40度から84度に上昇したことを確認。4号機は定期検査中で783体の燃料をプールに入れていたが、水を循環させる装置が被災で動かなくなったため。水温がさらに上がると蒸発し、燃料が露出する可能性。そうなった場合、「燃料が損傷する可能性は否定できない」。
 4号機は昨年11月に定期検査入り。12月上旬に炉内の燃料をプールに移した。このため他の原子炉内にある燃料と比べると熱は下がっているものの、できるだけ早く冷却する必要がある。(⇒冷却は事実上不可能ではないのか?)

3号機核燃料プール 覆いなし
 15日午前7時5分ごろ、福島第一原子力発電所3号機の原子炉が入っている建物の上部に、蒸気のようなものが漂っていることが明らかに。また3号機で、格納容器の中にある使用済みの核燃料を保管するプールが、14日午前に発生した水素爆発によって、格納容器の上にある原子炉建屋の屋根が吹き飛んだことから、プールの上を覆うものがなくなっている状態。
 このプールは、原子炉で燃焼させて使い終わった使用済み核燃料を移動させて冷やすために設けられた設備。通常の状態では、プールの水を循環させて核燃料を冷やしているが、福島第一原発では停電が起きていることなどから、冷やす機能が失われている可能性大。東電は、3号機の原子炉が入っている建物の上部に蒸気のようなものが漂っていることについて、「現時点では明確な答えはできない」。

15日午前6時10分、福島第1原発2号機で爆発音 圧力抑制室が「損傷」
 保安院によると、福島第一原発の正門では午前7時時点で、毎時965マイクロシーベルトの放射線を観測。この量は「自然界で1年間で浴びる放射線の半分ぐらいを、1時間で浴びる量」。
 だが、午前8時31分には同じ場所で毎時8217マイクロシーベルトまで上昇。
 
福島第1原発2号機、再び燃料が全露出
 14日午後11時、福島第1原発2号機の燃料が再び全て露出。原子炉内の蒸気を逃す弁が閉じ、炉の圧力が高まり、炉内に水を送れなくなったという。そして15日午前0時過ぎ圧力を下げるため、外側の格納容器の弁が開放された。

全国の放射線量、毎日公表へ=福島第1原発の爆発受け-文科省
 福島第1原発で相次いで起きた爆発事故を受け、文部科学省は15日、全国各地で大気中の放射線量を測定している「モニタリングポスト」の値を同日から毎日公表すると発表。モニタリングポストは自治体や原子力関連施設が設置。大気中の放射線量を測定。同省は可能な限り頻繁に報告するよう自治体などに要請。報告を集計し、1日2回、全国の値を集計して公表する。

放射性物質観測 「健康影響なし」?
 福島第一原発から、原子炉の圧力を下げるための作業などにより周辺に放射性物質が放出。東京などでも微量の放射性物質が観測。NHKによると「いずれも健康に影響が出るレベルの数値ではない」。
 第一原発から40キロ余り離れたいわき市では15日午前4時、1時間当たり23.72マイクロシーベルトと通常の470倍に当たる放射線量を観測。その2時間後には「通常」のおよそ80倍の毎時3.94マイクロシーベルトに。
 南に110キロ余り離れた茨城県東海村では、午前7時46分、放射線の値が毎時5マイクロシーベルトを観測。国に対して「異常事態」を通報をするも、正午現在の放射線量は微量の1時間当たり2マイクロシーベルトに。「いずれも、直ちに健康に影響が出るレベルの数値ではない」。東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木でも早朝を中心に通常の数倍から数10倍程度の放射線量を観測。「いずれも直ちに健康に影響が出るレベルではない」。東京では「ヨウ素やセシウムなどの放射性物質も観測」。

 これらの地域で計測された1時間当たりの放射線の量は「高い数値でも一般の人が年間に浴びても許容されるレベルの100分の1以下で、それぞれの自治体ではいずれも直ちに健康に影響が出る数値ではない」。宮城、山形、秋田、青森・新潟・群馬では放射線の数値に「大きな変化は見られない」。
 放射線医療専門の東京大学医学部の中川恵一准教授。「福島の原子力発電所から漏れ出たものだと考えられ、都内でも検出されることは十分ありえることだ。ただ、量は極めて微量なので健康への影響は全くない。今の状況であれば、今後も健康に影響が出るレベルに達するとは考えにくいので、安心してほしい」。

Japan Faces Potential Nuclear Disaster as Radiation Levels Rise/ The NY Times, By HIROKO TABUCHI, DAVID E. SANGER and KEITH BRADSHER 3/15/2011より。"Japan’s nuclear crisis verged toward catastrophe"というように、日本政府およびマスコミ報道と危機意識のあり方がまったく違うことがわかる。
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 「1~3号機すべてで炉心溶融が起きている可能性が高い」にもかかわらず、「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリ(原発事故)と同じようにはならない」(枝野官房長官)と断言する科学的根拠は何か?
 日本政府・東電は、作業の失敗を全国民に謝罪し、被爆避難地域の拡大を宣言すべきではないのか?

 各自が状況を判断し、決断しなければならない時が迫っている。
⇒「原発事故サバイバルブック

福島原発付近の人々は「外出を控え、雨にぬれないように」
 放射能漏れが起きた地域に雨が降った場合、大気中の放射性物質が雨水に付着し、遠くに飛散せずに地上に落下する。そのため、遠隔地に被害が及びにくくなる一方、付近の地域の放射能汚染度が強まる傾向にある。
 避難などでやむを得ず外出する際は、傘やレインコート、マスクなどで身を守り、屋内に戻ったらシャワーで体を洗い流すなどして、放射性物質の体内への吸収を避けることが重要。
 原子力資料情報室は「雨にぬれたコートなどは玄関などの決められた場所に置き、不用意に屋内に持ち込まないことも大切だ」としている。

・前川和彦・東大名誉教授
 「核爆発ではなく、現在は放射能が含まれる霧が漂っている状態で、その霧が通りすぎるのを待つ。今の状態では、花粉症と同様の対応をとればよい」。「屋内に入り窓を閉め、外気をいれないようにすること。できるだけ肌を露出する部分を少なくし長袖、ゴーグルをつけることもよい」。「自らできる除染としては着衣はビニール袋にいれ封をする、シャワーを浴びることが有用」。
 放射性物質の一つであるヨウソは甲状腺にとりこまれ、甲状腺ガンにかかるリスクが高まるため、予防的治療として安定ヨウソ剤を飲めば、ヨウソが甲状腺にとりこまれるのをブロックできる。前川教授「できれば被曝より6時間前、被曝24時間以内に飲むのがよい。ただ、ヨウソを求めて外出したりするのは全く意味がない。チェルノブイリ事故で、被曝した子供が後に甲状腺ガンを発症した。40歳以下の場合、早急に飲むことが重要。なにより副作用もあるため、自治体や関係機関の指示に従うこと」。

「被災者の方へ低体温対策情報」「地震被災地で注意する水・感染症」(日本登山医学界)

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 皆様、福島原発は破局的事故に向かって進んでいます。
 冷却機能を何とか回復して欲しいと願ってきましたが、できないままここまで来てしまいました。現状を見ると打てる手はもうないように見えます。後は炉心溶融が進行するはずと思います。それにしたがって放射能が環境に出てくると思います。

 その場合、放射能は風に乗って流れます。西向きの風であれば、放射能は太平洋に流れますので、日本としては幸いでしょう。でも、風が北から吹けば東京が、南から吹けば仙台方面が汚染されます。今後、気象条件の情報を注意深く収集し、風下に入らないようにすることがなによりも大切です。周辺のお住まいの方々は、避難できる覚悟を決め、情報を集めてください。
 2011/3/12 小出裕章(京都大学原子炉実験所)
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反原発団体「恐れていた通り」 各地で非難の声
 東京電力福島第1原発1号機(福島県大熊町)で燃料の一部が溶ける「炉心溶融」が起きたことを受け、各地の反原発市民団体からは「恐れていた通りの状況だ」「被害があってからでは遅い」などと非難の声が上がった。 中国電力が山口県上関町で進める上関原発計画に反対する市民団体代表の山戸貞夫さん(60)は「地震大国の日本で原発を建てる危険性を30年以上訴えてきたが、恐れていた通りの状況だ」と話した。

 四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)に反対する市民団体「愛媛の活断層と防災を学ぶ会」代表古茂田知子さん(71)は「多重の安全対策をしていても、それを機能させるものが災害で駄目になると意味がない」と指摘。「想定外のことは必ず起こる。被害があってから対応していては遅い」と厳しい口調で話した。

 中国電力の島根原発がある松江市の市民団体「島根原発増設反対運動」の芦原康江代表は「最悪の事態。今回のようなトラブルが起きる危険性を主張してきたのに、電力会社も国も無視し続けた結果だ」と批判。 日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)に反対する市民団体「反原子力茨城共同行動」の男性スタッフは「起こるべくして起こった。(原電や国が)『大丈夫だ』と言っていても、結局こうなる」と話した。(3/12 共同)
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「3号機爆発を受けた知人への避難勧告」(合原亮一の「電脳自然生活」)
福島第一原発 JVJADAYSJAPAN プレスリリース
原子力資料情報室 記者会見
原子力資料情報室・資料

Radioactive Releases in Japan Could Last Months, Experts Say/ The NY Times
"Feed and Bleed" Syndrome
・Pentagon officials reported Sunday that helicopters flying 60 miles from the plant picked up small amounts of radioactive particulates — still being analyzed, but presumed to include cesium-137 and iodine-121 — suggesting widening environmental contamination.
・“under the best scenarios, this isn’t going to end anytime soon.”
・When the nuclear chain reaction is stopped and the reactor shuts down, the fuel is still producing about 6 percent as much heat as it did when it was running, caused by continuing radioactivity, the release of subatomic particles and of gamma rays.
・the operators are dumping seawater into the vessel and letting it cool the fuel by boiling. But as it boils, pressure rises too high to pump in more water, so they have to vent the vessel to the atmosphere, and feed in more water, a procedure known as “feed and bleed.”
・the situation a reactor No. 3 was being closely watched for another reason. That reactor uses a special mix of nuclear fuel known as MOX fuel. MOX is considered contentious because it is made with reprocessed plutonium and uranium oxides. Any radioactive plume from that fuel would be more dangerous than ordinary nuclear fuel, experts say, because inhaling plutonium even in very small quantities is considered lethal.
(Mixed Oxide Fuel=混合酸化物燃料。ウランとプルトニウムを酸化物の形で混合した燃料。従来のウラン燃料は天然ウランの中の核分裂しやすい濃縮ウランを使うが、MOXはプルトニウムをウランに混ぜて使う

3/15
福島第一原発2号機に欠損…枝野官房長官
 枝野官房長官は15日朝、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所2号機について、原子炉格納容器につながる「サプレッション・プール」と呼ばれる部位に欠損が見つかったと発表。 サプレッション・プールは水蒸気を水に変える部分で、枝野氏は「周辺の放射線濃度の測定値に急激な上昇などはなく、健康に被害を及ぼす数値は示していないが、迅速な対応を取りたい」と強調。

1,「サプレッション・プール」の「欠損」とはどのような欠損で、どのように「迅速な対応」を取るのか?
2,「周辺の放射線濃度の測定値」はいくら「上昇」したのか?
3,「健康に被害を及ぼす数値」を明らかにせよ。(⇒15日16時過ぎの会見で、枝野長官、政府見解を明らかにせず

福島原発事故、スリーマイル以上=深刻さは「レベル6」か―仏核安全局
【パリ時事】仏核安全局(ASN)のラコスト局長は14日の記者会見で、福島第1原発の事故の深刻さについて、史上最悪とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)ほどではないものの、米スリーマイル島原発事故(79年)を上回るとの見方を示した。AFP通信が伝えた。
 事故の深刻さを示す国際原子力事故評価尺度(INES)のレベルで、チェルノブイリ事故は最も重い「7」、スリーマイル島事故は「5」。ラコスト局長は会見で「日本の関係者と話した」とした上で、福島原発の事故は「レベル5を上回り恐らくレベル6に当たる感覚だ」と述べた。

米政府にも支援要請=原子炉の冷却事故で―日本政府
 米原子力規制委員会(NRC)は14日声明を出し、福島原発の事故への対応で日本政府から正式に支援の要請を受けたことを明らかにした。 声明は原子炉の冷却系統が機能しなくなった問題に関連して支援要請を受けたとした上で、対応を検討中としている。

全米104基の原子炉にも不安の声、対策強化の提言も
1, マーキー民主党議員、オバマ政権と原子力規制委員会(NRC)に対し、
・断層近くに位置する原発の安全対策強化、
・複数の災害が同時に発生した場合を想定した緊急対策訓練、
・原子炉から半径20マイル(約32キロ)以内に住む住民全員へのヨウ化カリウム剤の配布――などの対策を取るよう提言。ヨウ化カリウムには放射性物質が体内に蓄積されるのを防ぐ効果がある。

2, 米国内では現在、65カ所の原発で原子炉104基が稼働。それ以外にも国防関連で数十カ所の原子炉、兵器研究所といった核施設がある。原発の大半は人口集中地帯の近くにあり、現在米国の電力の約20%を供給。
3,  1979年にペンシルベニア州で起きたスリーマイル島原発の炉心溶融事故以来、新規に稼働を開始した原発はない。しかし、最近では電力使用量の増大を受け、地球温暖化対策の一環として二酸化炭素を排出しない原子力発電への関心が高まっていた。
4, 米政府は新規の原発建設費用として180億ドルを計上し、オバマ大統領はさらに360億ドルを計上したい意向。連邦当局は原発建設計画の申請20件について審査を進めており、既存の原発も数カ所が拡張を申請。
5, 米国で最も懸念が大きいのは、サンアンドレアス断層に近いカリフォルニア州の太平洋沿岸にある2基。専門家によると、いずれもマグニチュード(M)7.5までの地震に耐えられる設計だが、サンフランシスコでは1906年にM8.3の地震が発生。
6, カリフォルニア州の原発を運営する電力会社PG&Eおよび南カリフォルニアエディソンの広報は13日、原発は付近一帯で想定される最大規模、つまりM6.5の地震に対応できる設計になっていると説明。M6.5を超す地震が同地で起きるとは考えられていないという。
 専門家は、地震のほか航空機を使ったテロによって原発のインフラが破壊される恐れもあると指摘するが、業界団体の原子力エネルギー協会広報は、米国の原発は航空機の衝撃にも耐えられると強調。マーキー提案については、米国の原発の安全システムは既に強固だとし、さらに現在の半径10マイルの範囲を超えてヨウ化カリウム剤を配布する必要がないことは研究で実証済みとしている。 CNN 3/14

独、「脱原発」先送り凍結も 首相が日本の事故受け表明
【ベルリン共同】ドイツのメルケル首相は14日、緊急記者会見し、同国与党が決めた「脱原発」政策を先送りし原発の稼働年数を延長する計画について、3カ月間凍結し再検討すると発表。福島第1原発の事故が影響。 連立相手の自由民主党(FDP)党首のウェスターウェレ副首相兼外相も同日、凍結の見解を示していた。ドイツ与党の原発政策が全面的な見直しとなりそうだ。

 メルケル首相は、日本の原発事故は「世界や欧州、ドイツに影響を与える。現在の状況は以前と大きく変わっている」と強調。原発を輸出しているドイツの動きは、世界的に原発導入国が拡大しているこれまでの国際的な流れに大きな影響を与える可能性がある。 ドイツでは、左派のシュレーダー政権時代の2002年、全ての原発の運転停止を義務付ける脱原発法を制定。しかし、メルケル保守中道政権は昨年秋、22年までに全原発の運転を停止する予定だった脱原発政策を先送りし、国内原発の稼働年数を平均で12年間延長することを決定した。

 「日本の原発の安全対策は世界最高水準」として、これまでドイツ政府内で日本への評価が高かったことから、今回の大事故にドイツは衝撃を受けている。 ドイツでは3月下旬に与党側の牙城であるバーデン・ビュルテンベルク州の議会選を控えているが、脱原発を掲げる野党の攻勢で与党は苦戦している。

福島第1原発爆発 世界各国に衝撃 日本技術の信頼低下も
 東京電力福島第1原発の相次ぐ水素爆発や燃料棒の露出は、世界各国に衝撃を与え、技術大国日本の「安全神話」を揺るがす事態に。
1, 米CNNや英BBCはじめ欧米メディアは「(旧ソ連で86年に起きた)チェルノブイリ原発事故の再発を防げるのか」などと日本政府の対応に批判的な論調を強めている。スイス紙NZZ・アム・ゾンタークは、ビルディ・ジュネーブ大教授の話として「日本政府は事故の重要性を低く見積もっている。被ばくの危険性を低レベルに公表しているが、半径20キロ圏外に住民を避難させた事実は原発を制御できていない証拠」と伝えた。
2, インドでは日印原子力協定交渉への影響を懸念する声が広がっている。ニューデリーのシンクタンク「エネルギー資源研究所」のダディッチ上席研究員は「世論が(日本の原発技術に)厳しい目を向ける可能性が高い」と指摘。シン首相は14日、国内20カ所の原発で安全対策の再点検を命じたことを明らかにした。
3, 韓国の青瓦台(大統領府)は任太熙(イム・テヒ)大統領室長が緊急会議を開催し、放射性物質の周辺国への影響などが論議された。聯合ニュースによると、2月に放射能漏れ事故を起こした大田市の研究用原子炉の再稼働が14日、「安全に万全を期す」という当局の判断で、15日に延期。
4, 英国も中断していた原発建設を再開し、25年までに原発10基を新設、電力供給量の4割を原発がまかなう政策を推進しているが、政府は今回の事故を機に、安全面を中心に原発懐疑論が高まることを警戒。
5, オーストラリアのギラード首相やイスラエルのネタニヤフ首相は自国での原発建設に反対する姿勢を表明。
6, フィリピンの大統領府副報道官も凍結中の原発の再稼働を否定。
7, 20年に初の原発の操業開始を目指していたタイのアピシット首相「(原発に消極的な)私の意見は皆知っている。日本の出来事がわが国の意思決定にどう影響を与えるか、検討している」。
8, 中国「第一財経日報」は「中国の新型原発では冷却をめぐる問題は生じない」と報道。原発専門家の話として、中国の新型原発は原子炉の上部に数千トンの水をためるようになっており、非常時には動力なしでも重力で水が落下して冷却する仕組みのため問題は起きないとしている。
9, ロシア国営原子力企業ロスアトムの当局者は、旧ソ連で86年に起きたチェルノブイリ原発事故では炉心溶融から爆発につながった点を取り上げ、現時点では福島第1原発の原子炉が爆発する可能性は小さいと指摘。ただロシアは1月に日本との原子力協定を批准したばかりで、日本企業の技術に着目してきたが、事故を受けて、日本製技術の安全性について再考する可能性も。
10, 中東初となるブシェール原発を近く稼働予定のイランは計画を続行する方針。国営通信によると、原子力庁のラストハ副長官は福島第1原発のケースについて「(原子炉が入る)金属製の構造物自体は破壊されておらず、放出された放射性物質は少ない」とし、似た構造のブシェール原発の安全性を強調。(毎日新聞より)

3/14
燃料棒露出、水注入ポンプ燃料切れ見逃しか
 福島第一原発2号機で原子炉の燃料棒が完全露出し、一時的にせよ「空だき」状態となった原因について、14日午後9時すぎに記者会見した枝野官房長官は「水を注入して冷却する作業に入っていたが、一時(注入用の)ポンプの燃料不足で、想定より時間がかかった」と説明。 初歩的な作業ミスによって重大な事態を引き起こした可能性を示唆。

 東電などによると、2号機では当時、港から直接海水を取水しポンプで原子炉内へ送り込んでいた。1、3号機でも同様の注水作業を行っており、作業員が1、3号機用のポンプの見回り後に、2号機用のポンプを確認した際、燃料切れで停止しているのを見つけたという。 ある東電幹部は「想定外の大地震による作業員の不足と、深刻な事故が重なったことで(原発の『命綱』である)注水ポンプから目を離す事態が生じた」と漏らした。(読売新聞)

「1~3号機すべてで炉心溶融の可能性高い」枝野長官
 枝野幸男官房長官は14日午後9時過ぎの記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所のトラブルについて、1~3号機すべてで炉心溶融が起きている可能性が高いとの見方を示した。「可能性は高い。三つとも」と述べた。また「地震そのものは一瞬だが、その後の対応は一定の管理のもとで、今なお安定化に向けた方向性に、現時点で進んでいる。最悪の事態を想定しても、チェルノブイリ(原発事故)と同じようにはならないとみている」。

米空母のヘリ要員17人が被曝 福島第1原発の影響か
 米海軍第7艦隊は14日、東日本大震災の救援のため三陸沖に展開中の原子力空母「ロナルド・レーガン」搭載のヘリコプターの要員17人から低レベルの放射線を検知したと発表した。 日時は不明だが、同空母は福島第1原発の北東約160キロを航行しており、被曝(ひばく)した要員はヘリ3機に分乗し、仙台市付近で救助活動を行った後、同空母に戻ったという。米海軍はこれを受け、同空母など展開中の艦船を福島第1原発の風下から離脱させた。

 一方、フィールド在日米軍司令官は沖縄の第31海兵遠征部隊(31MEU)が支援物資を載せた強襲揚陸艦「エセックス」に乗艦し、16日にも被災地沖に到着することを明らかにした。ドック型揚陸艦「トーテュガ」も15日朝、北海道の苫小牧港に入港。陸自第5旅団(帯広市)の約250人を青森に輸送する方向で検討している。在日米軍は支援活動を「トモダチ作戦」と命名した。 自衛隊と米軍による日米共同対応では、14日に設置された自衛隊の統合任務部隊司令部に、米軍も連絡官を派遣する。三陸沖に展開中の米海軍の駆逐艦などのうち、4隻以上が同日も捜索・救難活動を実施したほか、米軍のヘリ計5機が米空軍横田基地から仙台市などへ救援物資を輸送した。(産経)

自衛隊員が被曝、福島第1原発3号機付近で負傷 東電社員も
 福島第1原発3号機の爆発事故で、文部科学省は14日、近くで作業中に負傷した30歳前後の男性自衛隊員の被曝が確認されたと発表。けが自体は重傷ではなく、意識もあるという。 文科省によると、自衛隊員は爆発の際に飛び散ったコンクリート片で、膝のうえに裂傷を負った。簡易放射線測定を行ったところ、一定程度の被曝が確認されたという。 傷口などから体内に放射性物質を取り込んだ「内部被曝」の可能性があるため、千葉市にある放射線医学総合研究所(放医研)で、治療することが決まった。ヘリコプターで放医研に向け搬送。

 東電は14日、福島第1原発3号機の爆発事故で男性社員(23)が被曝をして除染できていないと発表。社員の被曝放射線量は不明だが、意識はあるという。 この男性は、ほかの社員や協力会社の作業員、自衛隊員らとともに、冷却機能が下がった炉心に海水を供給する作業に当たっていた。 ていねいな除染を施してもなお放射線が検出される場合は、放射性物質を吸い込むなどしている恐れがあるため、慎重に検査をしている。
(⇒枝野官房長官は14日午後4時15分からの記者会見で、福島第1原発3号機の水素爆発での負傷者のうち、自衛隊関係の4人はけがの程度は軽く隊に戻ったと発表。また、東京電力関係の7人のうち、重傷を負った1人について「意識はある、との報告からその後の情報はない」と述べた。

原発爆発、警察官2人被爆 福島第1原発で避難誘導中
 警察庁は14日、福島第1原発の周辺の医療機関で避難誘導中だった福島県警の警察官2人が被曝(ひばく)したと発表。2人のうち1人は3万4千カウント(CPM)、もう1人からは2万8千CPMの放射線量が測定された。ほかにも12人の警察官が被曝した可能性。 福島県は放射線測定器(サーベイメーター)で1万3千カウンター(CPM)以上の値が測定された人をシャワーで全身を洗い流す除染が必要な被曝の対象としてきたが、14日以降は「10万CPM以上」と基準を引き上げた。被曝した警察官2人に対しては除染が行われているが、健康への影響はないとみられる。

 警察庁によると、2人は12日、同原発1号機で放射線漏れの危険性が高まったことから周辺の医療機関で避難誘導中に建屋が爆発、被曝。 避難指示が出ている同原発から半径20キロ圏内には約440人(14日午後1時現在)が残っており、今後、自衛隊のヘリコプターやバスなどで避難させる。 今回の地震では、住民の避難誘導中に津波に巻き込まれるなどして警察官3人が死亡したほか、33人の行方が分からなくなっている。(産経新聞)

日本の原発迷走状態 幾重の防御策不能 
 福島第1原発で14日、2号機の燃料棒が一時、冷却水から完全に露出するという、前例のない事態が起きた。一時的な「空だき状態」で、最悪の場合は米スリーマイル島原発事故のような非常事態につながりかねない。同日午前には、3号機の原子炉建屋(たてや)で水素爆発が発生。完璧な管理によって、その安全性を強調してきた日本の原発は、前代未聞の制御不能状態に陥っている。

 2号機では14日午後、原子炉圧力容器内の水位が一気に低下し始めた。このため、原子炉建屋が爆発した1、3号機よりも優先して注水作業が続けられたが、水位の低下を止められず、約4メートルある燃料棒全体が露出する「空だき」状態が一時的に発生。 その後の注水で水位は上昇したが、万が一、水位が回復しなければ、燃料棒が溶ける炉心溶融が進行し、原子炉内の燃料の大半が溶ける「メルトダウン」と呼ばれる事態になる恐れがあった。

 これは原子炉自体が損傷し、放射性物質が外界に拡散しかねない事態。 国内では、日本の原発運用はあらゆる危険性を排除する幾重もの防御策が整備されているため、米国で起きたスリーマイル島原発事故のような事態は起きないとされてきた。 元原子炉設計技術者で、福島第1原発4号機の設計にも携わったライターの田中三彦さんは「もし空だきが続けば燃料は溶け落ち、原子炉圧力容器の底に向かってしまう」と指摘。 炉の床は合金製で、1500~1600度の温度で溶け出すため、「最悪の場合は炉床が抜ける危険性もあった。水が注入できない状態は(それができた)スリーマイル島原発事故より深刻な事態」と危惧する。

 小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理)は「水がなくなって、核燃料が融点を超えると、周囲も高圧になって水が入りにくくなる。今回のように電源がなくなり緊急炉心冷却装置も作動していない場合は、とにかくあらゆる手段で注水し、燃料棒を冠水させていくしかない」と指摘。 一方、有冨正憲・東工大原子炉工学研究所教授(原子力熱工学)は「空だきの状態が2時間20分も続いた場合、燃料棒の一部が溶けている恐れがある。ただしその後、圧力容器内に水が満たされていれば、溶けた燃料が水の中で固まるため、圧力容器が損傷する心配はまずないと考えていい」と話す。

 ◇陸への影響「限定的」(?)
 14日起きた3号機での水素爆発によって、原子炉建屋の上部外壁が吹き飛んだ。建屋から飛散した放射性物質はどんな影響を及ぼす可能性があるのか。 東電によると爆発当時、西~北西の風が吹いていた。豊橋技術科学大の北田敏廣教授(大気環境工学)は「今日のような雲の多い日は海陸風があまり目立たず、大部分は太平洋方向に流れたと考えられる。陸地への影響は少なく、健康に影響が出ることはないだろう」と見る。一方「放射性物質が付着した微粒子の大きさにもよるが、1000分の1ミリ以下だと滞空時間はかなり長くなり100~200キロ運ばれることも珍しくない」と話す。

 実際、1号機で水素爆発が起きた12日午後に放出された放射性物質は南風に運ばれ、13日未明、約120キロ北にある東北電力女川(おながわ)原発で基準値を超える21マイクロシーベルト(1時間当たり)放射線量が観測された。 北田教授は「晴れた日の昼間は海から陸へ風が吹く。それまでに何とか(放出する事態を)終息させてほしい」と話した。

 原子炉内の燃料棒は通常水中にあり、水を循環させて水温をコントロールしている。しかし震災で循環が止まったため、熱で水が蒸発し、水位が下がった。露出した燃料棒は過熱状態となり、燃料棒を覆う管のジルコニウムが水と反応して水素が発生した。水素は高温になるほど多く発生するため、爆発の危険性も高まる。 3号機の爆発は、1号機より大規模だったとみられる。NPO法人「原子力資料情報室」の上沢千尋さんは「(1号機より)燃料棒の溶融が進んだため水素が大量発生したか、格納容器内から建屋への水素漏えいが想定以上なのではないか」と話す。(毎日新聞

2号機“炉心溶けた可能性”(NHK)
2号機、燃料棒すべて露出=炉心溶融否定できず―東電福島第1原発
 東京電力は14日午後7時45分、福島第1原発2号機の冷却水が大幅に減少し、約4メートルある燃料棒がすべて露出したと福島県に通報。核燃料の一部が溶ける炉心溶融も否定できないとしている。 仮に、冷却水がすべて失われたとすると、極めて深刻な状態。 東電によると、炉内に海水を入れるためのポンプの燃料が切れていたといい、燃料を入れた上で作業を再開する。 

・福島第二原発1・2号機、冷却システム回復(⇒夕方のこの報道はいったい何だったのか?)
福島第一原発2号機でも14日午後1時25分、原子炉の冷却機能が停止
IAEAが調査団派遣へ 原発事故、放射能漏れなど調査
 外務省に14日までに入った連絡によると、東日本巨大地震に伴う福島第1原子力発電所で起きた爆発事故などを受け、国際原子力機関(IAEA)が近く調査団を日本に派遣することが分かった。放射能漏れの実態や安全確認をするほか、事故の詳しい原因なども調査するとみられる。

福島第1原発1号機爆発で2警官被曝 12人も可能性
 中野寛成国家公安委員長は14日の記者会見で、避難途中の住民らが被曝(ひばく)した12日の福島第1原発1号機の爆発で、福島県警の男性警察官2人も被曝したことを明らかにした。除染を行い、現段階で目立った健康被害はない。このほかに12人の警察官も被曝した恐れがあるという。

 被曝した2人は爆発時、避難範囲だった半径10キロ以内の病院で避難誘導に当たっていた。別の医療機関で測定を受けた結果、1人は3万4千cpm(1分間に検出される放射線の数)、もう1人は2万8千cpmが検出されたという。原発の建屋内で1日作業した場合は多くても5~10cpmとされている。(日経)

 
・14日午前11時1分、福島第一原子力発電所の3号機で爆発が起きて煙が大量に上がり、原発の作業員と自衛隊の隊員のあわせて11人がけがをした。経済産業省原子力安全・保安院では、12日の1号機に続いて水素爆発が起きたとみて、原発から半径20キロの中に残っているおよそ600人の住民に対して屋内退避を指示。これまでのところ、敷地周辺の放射線の値に異常な上昇はなく、原子炉を覆う格納容器の健全性は保たれているとみられている。
・経済産業省原子力安全・保安院では、水素爆発が起きたものとみている。東電によると、この爆発で東京電力の社員4人とや協力会社の従業員3人、それに自衛隊の隊員4人のあわせて11人がけがをした。詳しいけがの程度などは分かっていない。

・福島第一原発から半径20キロには、病院や施設などにいる615人の住民が残っている。原子力安全・保安院は、屋外にいる人に対し、できるだけ早く建物の中に入るよう屋内退避を指示。このうちのおよそ100人は、20キロの外に避難するために施設を出たということで、残るおよそ500人についても、圏外に避難させるかどうか検討中。
・枝野官房長官は、記者会見で「3号機の格納容器は爆発のあとも内部の圧力が保たれているほか、施設周辺で観測された放射線の値も比較的低いことを考えると、爆発によって放射性物質が外部に大量に出ていることは考えにくく、格納容器の健全性は保たれている」と説明。
・水素爆発は12日、福島第1原発1号機でも起きて、建屋の上部が吹き飛んだ。3号機でも原子炉の水位が下がり、燃料棒が露出したため、水蒸気と反応して水素が大量に発生したことが分かっており、水素爆発の起きることが心配されていた。(NHK

福島第一原発3号機で水素爆発 屋内待避呼びかけ
 福島第一原子力発電所(福島県大熊町)の3号機で14日午前11時ごろ、大きな爆発が起きた。経済産業省原子力安全・保安院によると、水素爆発が起きたことを確認した。保安院は、原子炉格納容器が損傷した可能性は低いとみている。東電はこの爆発で、3人が負傷し、7人が行方不明、と発表。 保安院は、20キロ圏内にいる住民には屋内待避を呼びかけている。ここには、少なくとも約600人の住民がいると保安院はみている。

 東電によると、圧力容器、格納容器とも壊れていないことを確認、としている。周辺で中性子線は確認されておらず、連続した核反応は起きていないとみられる。 原子炉は、内側から圧力容器、格納容器、原子炉建屋の三つの「壁」で守られている。12日に福島第一原発1号機で起きた爆発では、損壊は原子炉建屋にとどまり、格納容器と圧力容器に異常は確認されていなかった。今回の3号機の爆発も、原子炉建屋が爆発して壊れた可能性が高い。 原子炉を守る「最後のとりで」となる圧力容器や格納容器が壊れていれば、チェルノブイリ事故に匹敵する重大事故となる。

 東電によると、爆発で作業員が負傷したことを確認したという。人数は不明。救急車を要請中。 東電福島事務所によると、午前11時37分現在、福島第1原発の敷地内で検出された放射線量は、1時間あたり50マイクロシーベルト、中性子は検出最下限値。47分には20マイクロシーベルトに低下。(朝日新聞)

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 報道によれば、東電は、福島第1原発1号機の燃料棒が1.7メートル、3号機が2メートル露出しており、海水注入後も水位に大きな変化が見られないことを明らかにした。 また、福島第一原発の1号機と3号機で、燃料の最上部より水位が低い状態が続いていることで、炉心溶融が進んでいる可能性があることを示唆した・・・。
 これが13日を終える段階の「原子力緊急事態」の現実だ。14日から「輪番停電」制が敷かれ、私を含むその影響を受ける人々は、13日夜からその準備に追われている/いたはずである。

 一部では、今回の事態は「震災規模が予想をはるかに上回った」(保安院)部分が大きい、とされている。また、津波による原子炉に電気を供給するディーゼル発電機の故障、さらに交通が寸断され復旧のための電源車両が到着しなかったことなども大きな要因となった、と指摘されている。

 しかし、「震災規模が予想をはるかに上回った」ことや津波被害で問題がすまされるはずがない。本ページ末尾の3月2日付毎日新聞の記事にあるように、2月までの段階で中国電力、中部電力など「各地の原発で機器の検査漏れが見つかっ」ており、経産省原子力安全・保安院は、新潟県と福島県の3原発で検査漏れが見つかった東京電力を「注意処分」(!)にしていたのである。

 東電にいたっては、「柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器の検査漏れがあったと保安院に報告」していたという。 保安院は、「すべての発電所で点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していたとして保安規定に違反すると判断。同社に再発防止策の策定を指示」していたのである。

 点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していた・・・。
 絶句するようなこの事実、この現実を、私たちはどのように受け止めればよいのか?
 東電の企業責任、保安院の監督責任はどこに消えたのか?

 現在、日本列島で稼動しているすべての原発が、耐震・耐久予想をはるかに下回る状態で運転を継続している、この身が凍るような現実に私たちは直面している。M9.0以上の大地震、10mを越える大津波(奥尻島を襲った大津波は30mだった)の再来を現実的に想定した原発施設の安全対策、緊急避難施設の確保、早期避難体制の確立等々が、早急に求められている。

 いまだに省庁縦割りで、政治や行政の不作為が問われず、誰も責任を取らない日本の原子力行政を、これからどうするのか。中長期的な日本の「エネルギー行政」をどうするのか・・・。
 そういう議論をこの国の政治家たちがいつ始めるか。そのことに注目しながら、私たちは今後の政府や政党の言動、挙動を厳しく監視する必要がある。

 原発問題に限らない。
〈3・11〉は、この国のあらゆることを見つめ直し、考え直すことを強いたのである。

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第1原発の10キロ内に80人 20キロ内には6万人が残っている
 東京電力福島第1原発の周辺で約160人が被曝(ひばく)した可能性。国の避難指示を受け原発から10キロ圏内を出るために双葉厚生病院から移動して、同原発から約3・7キロ離れた県立双葉高校のグラウンドで救助のヘリを待っていた約60人と、原発での爆発後に福島県外にバスで避難した約100人。⇒15日現在、避難完了との報道。

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福島第二原発も蒸気放出へ備え 柏崎刈羽からポンプ調達 23時34分
 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第二原発1、2、4号機について、原子炉の冷却機能を回復するため、同電力柏崎刈羽原発からポンプを取り寄せて取り付けていることがわかった。東京電力から連絡を受けた福島県が13日、明らかにした。 冷却機能の回復がうまくいかない場合、原子炉格納容器の損傷を防ぐため、容器内の放射性物質を含む蒸気を、高さ150メートルの排気筒から放出するという。予定時刻は1号機が14日午前3時、2号機は14日午前6時、4号機は16日午前5時。(朝日新聞)

「どこへ逃げたら」原発被曝、住民不安極限に
 地震が起きても安全とされていた原子力発電所が、周辺住民にまで牙をむいた。
 13日午前、福島県などは東京電力福島第一原子力発電所の周辺住民ら最大190人が被曝(ひばく)した可能性があることを明らかにしたが、半径10キロの地域にはなお80人が取り残されたまま。「病院に閉じこめられ、動けない」と、電話で懸命に訴える人もいるなど、地域の不安は極限まで高まっている。

 「警察も消防もいない。閉じこめられていることを誰かに伝えて」。同原発から近い大熊町から同県川俣町に避難してきた女性(21)は、看護師の母親から電話でそう助けを求められた。母親は同原発から20キロ圏内の病院で、被曝を避けるため、患者とともに外に出られない状況が続いていて、女性は「どうしたらいいんだろう……」とうつむく。

 同原発から北に約40キロ離れた同県相馬市。13日朝、同原発3号機の冷却装置の機能が失われたとの報道が流れ、市役所内は不安に包まれた。テレビ報道で知ったという市職員は「公式な情報が遅すぎるし、政府の会見内容にも不信感が募っている。本当に大丈夫なのか」と憤った。 同市の避難所では、避難指示が出た近隣の南相馬市などからも避難者が相次いでいる。避難所となった相馬市立中村第一小学校の受付担当職員は「各避難所に他市からの避難者が来ていて、混乱状態になっている」と話す。

 警察庁によると、13日午前8時現在、当初の避難指示が出た半径10キロ圏内で住民80人が残っている。大半が寝たきりの高齢者などで、同日朝からヘリコプターなどでの搬送を行っている。また、20キロ圏内にも約6万人が残る。 一方、福島県庁でも、県幹部が相次ぐ事態に表情をくもらせた。3号機の冷却機能が働かなくなったことは、13日午前6時半に開かれた福島県原子力災害対策本部の会議で報告されたが、東電側は、原発周辺の放射線量の正確な値を把握しておらず、出席した幹部は「まだか」といらだちをあらわにした。 松本友作副知事は「こういう状況なので、しっかりと情報収集を」と呼び掛け、別の県幹部は「まったく終わりが見えない。どうすればいいのかわからない」とつぶやいた。

地震で自動停止の原発、安定停止は3基のみ
 東日本巨大地震では、東京電力福島第一原発1~3号機、同第二原発の全4基、東北電力女川原発の全3基、日本原子力発電東海第二原発の計11基が、強い揺れにより自動停止した。 経済産業省原子力安全・保安院や各電力会社によると、11基のうち、原子炉内の温度が100度以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、福島第二3号機と女川1、3号機の3基だけだ。

 原子炉を停止する場合は、炉内の核分裂反応を抑制する「制御棒」を挿入する。しかし、反応を止めても核燃料は高い余熱を持っているため、安全で安定した状態にするには、さらに冷却を続ける必要がある。 保安院によると、地震による停電で外部からの電力供給が失われたことや、冷却水をさらに冷やす海水を取り込み、動かすポンプが津波で被害を受けたことなどから、福島第一原発2号機や、同第二原発1、2、4号機などでは、冷温停止までに時間がかかっているという。同3号機は12日正午過ぎ、冷温停止が確認された。

 13日に記者会見した保安院の根井寿規審議官は、自動停止した原発の多くでは炉心の冷却機能が保持されていると説明。「とりあえず給水を継続すれば大丈夫だと認識している」と述べた。 また、炉心冷却機能を失った福島第一3号機では、通常の原発で使うウラン燃料とは異なり、毒性の強いプルトニウムを混ぜた核燃料を入れていることについては、「冷却する方法に違いがあるわけではない。特別な対応は念頭に置いていない」とした。 3号機では13日朝から、冷却を促進するホウ酸水を炉内に注入する作業が行われている。1号機では緊急措置として海水も注入したが、今回は原子炉のダメージを抑えて再使用を容易にするため、ホウ酸水のみの注入を選択したとみられる。 (読売新聞)

3号機も水素爆発のおそれ 枝野長官「健康に影響ない」 18時31分
 枝野幸男官房長官は13日午後、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に原子炉から漏れた水素がたまり、爆発するおそれがあると発表。東電は原子炉の容器の損傷を防ぐため、1号機に続き、微量の放射性物質を含む内部の蒸気を抜き、容器内を冷やすため海水の注入を始めた。同原発周辺の放射線の観測値は午後1時52分、これまでで最高の1時間あたり1557.5マイクロシーベルトに達したという。

 枝野氏は万一、1号機のように爆発した場合でも、原子炉の格納容器には影響なく、大量の放射性物質は放出されないとみられると説明。また、放射線の観測値も「一番高い数値のところでも、1時間その場にいて、胃のX線検診3回分弱」とし、「健康に影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。観測値は午後2時42分、184.1マイクロシーベルトに下がったという。

 東電によると、地震の影響で自動停止した3号機は、外部からの送電も非常用発電機も止まり、原子炉内を冷やせなくなり、冷却水が蒸発して水位が低下。13日午前9時過ぎ、原子炉内に外部からホウ酸水を入れて冷やす作業を始めたところ、水位は上昇した。  だがその後、ポンプにトラブルが発生して作業が中断。別の方法に切り替えて海水の注水を始めたが、水位は下がり、ウラン燃料をおさめた燃料棒の上部が冷却水から露出した。この際、原子炉内の蒸気と反応して大量の水素が発生した可能性があるという。

 水素が原子炉の外に漏れて原子炉建屋内にたまれば、酸素と混じって爆発するおそれがある。 また、爆発のあった1号機では、冷却水から露出した燃料が高温になって溶け出す「炉心溶融」が起きたとみられるが、枝野氏は3号機でも同じことが起きた可能性に言及した。 東電は13日、同原発2号機でも、格納容器の損傷を防ぐため、微量の放射性物質を含む蒸気を抜いて原子炉の容器内の圧力を下げる作業を始めると発表した。(朝日新聞)

福島第一3号機建屋も爆発の恐れ…枝野長官
 枝野官房長官は13日午後3時半頃に会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に水素がたまり、爆発する恐れがあると発表。 枝野長官によると、3号機は同日午前8時41分、格納容器内から放射能を含んだ蒸気の放出を開始し、同9時過ぎには容器内の圧力が低下し始めた。

 これに伴っていったんは原子炉内の水位が回復する傾向が出たが、正午頃から再び低下を始め、午後零時55分には、燃料棒の上部1.9メートルが冷却水から露出。その際炉内で大量の水素が発生し、建屋内の上部にたまっている可能性があるという。 核燃料の一部が溶融する恐れが出たため、東電は同日午後1時12分から、3号機の原子炉に海水の注入を始めた。海水の注入は、爆発した同1号機に続いて2基目。(読売新聞)

女川原発で4倍の放射線観測 福島第一から120キロ北
 東北電力女川原発(宮城県石巻市、女川町)で12日午後9時ごろ、施設周辺の放射線を観測しているモニタリングポスト6台すべてが通常の4倍以上の放射線を観測。数値は2時間ほどで平常に戻り、線量もごく少ないことから、東北電力は健康に影響はないという。 女川の3基の原子炉に異常はないため東北電力は、約120キロ南にある、東京電力福島第一原発1号機で同日午後3時半ごろあった爆発で飛散した放射性物質をとらえた可能性があるとみている。 (朝日新聞)

福島第一3号機も原子炉に海水注入開始
 東京電力は13日午後1時12分から、水位低下で核燃料が露出して溶融する恐れが出ていた福島第一原子力発電所3号機の原子炉に海水の注入を始めた。 海水の注入は、爆発した同1号機に続いて2基目。 東電によると、同日午前8時41分、格納容器内から放射能を含んだ蒸気の放出を開始し、同9時すぎには容器内の圧力が低下し始めた。これに伴っていったんは水位が回復する傾向が出たが、正午頃から再び低下を始め、午後零時55分には、燃料棒の上部1.9メートルが冷却水から露出したため、海水注入に踏み切った。(読売新聞)

福島第1原発3号機も冷却機能喪失 東電が緊急事態を通報 産経新聞
東京電力は13日早朝、福島第1原発3号機が冷却機能を喪失したため、緊急事態として法に基づき国に通報した。冷却機能喪失は、第1原発1、2号機、第2原発1、2、4号機に次ぐ6機目。 原子力安全・保安院は13日午前5時35分からの会見で、東日本大震災の被害を受けた東京電力福島第1原発3号機へのすべての給水ができなくなり、原子炉の冷却機能がストップしたことを明らかにした。東京電力は同日5時10分に、原子力災害対策特別措置法15条に基づき、政府に緊急事態を通報した。

 原子力安全・保安院によると、3号機は炉心を冷却するために、外部から水をくみ上げる高圧式の注水装置を使っていたが、冷却効果が働き圧力が低下。この装置は使えなくなった。通常ならば低圧式の注水装置に切り替えるが、バッテリー切れとなり給水が全面的に停止した。 地震の影響で原子炉は自動停止したものの、核燃料の熱が出続けているため、炉心の冷却が止まると、放射能漏れの可能性が出てくる。東電福島第1原発1号機は水位が下がったことで炉心が露出し、溶融を始めている可能性が浮上。付近で放射性物質が検出された。廃炉も視野に原子炉への海水の注水に踏み切ったばかりだ。 

 ただ、原子力・安全保安院の根井寿規審議官は「3号機は水位が安定し炉内の圧力が低いことで、ただちに危険な状況になるわけではない(?!)次の手立てを考える」と話している。東電福島原発は新たな火種を抱えることになった。

福島第一原発周辺、70人以上が被曝した恐れ 保安院 9時0分
 原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第一原発の周辺で、約70人以上が放射能を被曝(ひばく)した恐れにあることを明らかにした。保安院が福島県などから受けた報告をまとめると、福島県双葉町の住民9人から放射能を計測。そのほかに、双葉高校のグラウンドで移動に利用したヘリコプターを待機している際に被曝した可能性があるのが約60人いるという。  放射能を浴びた経路や時間は調査中としている。(朝日新聞

福島原発で爆発 初の炉心溶融 病院の3人 被ばく 07時34分
 12日午後3時36分、東日本大震災で自動停止した東京電力福島第一原発1号機の原子炉建屋とタービン建屋の周辺で激しい縦揺れとともに爆発が起き、白い煙が上がった。この爆発で、作業員ら四人がけがをして病院に搬送された。東電によると、いずれも意識はあるが、うち一人は骨折している。 枝野幸男官房長官は会見で「建屋の壁の崩壊で、中の格納容器が爆発したものではない」と述べ、原子炉の損傷を否定した。ただ、格納容器から漏れ出た水素が建屋内の酸素と化学反応して爆発した可能性があり、不安定な状態が続いている。

 福島県によると、爆発当時、半径10キロ圏内の高校グラウンドで双葉厚生病院の入院患者と職員の計約90人のうち3人が、ヘリの救助を待っていた際に被ばくしたという。 また、爆発の直前に福島第一原発1号機周辺で、放射性物質のセシウムとヨウ素を検出。いずれも炉心のウラン核燃料が分裂した際にできる物質で、経済産業省原子力安全・保安院は燃料棒の一部が溶ける「炉心溶融」が起きた可能性があるとしているが「進行していることはない」としている。

 福島県は同日夜、首相官邸の指示を受け、福島第1、第2原発の周辺10キロ圏内だった避難指示の対象範囲を、第1原発のみ同20キロ圏内に拡大。 同原発は自動停止後、高温の燃料棒を冷やす給水装置が故障。燃料が水面から露出し、冷却できずにこもった熱で溶けた可能性が出ている。 燃料棒の周辺は1200度以上に達し、燃料を覆う特殊金属の被覆管が溶けたらしい。 日本の原発で炉心溶融は初めて。1979年の米スリーマイル島原発事故や86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故に匹敵する国内最悪の原発事故となった。

 東電は12日午後2時、原子炉格納容器内の圧力が高まり、容器が耐えられずに破損するのを防ぐため、容器内の蒸気を外部に放出。放射性物質を含んだ蒸気が周辺に放出され、原発の敷地内で測定した放射線量は一時、1時間に1015マイクロシーベルトと、一般人が一年間に受ける放射線量の限度と同等の値を示したが、その後低下。 東電は午後8時20分から容器内に消防ポンプを使って海水と核分裂を抑制するホウ酸を直接注入して炉心の冷却を始めた。(東京新聞

福島第一3号機、冷却機能働かず…燃料棒を露出
 東京電力は13日、福島第一原子力発電所の3号機について、原子炉内を冷却する機能が働かなくなり、冷却水の水位が下がって燃料棒が露出し始めたと発表した。 炉心の燃料棒が過熱して溶け出し、燃料中の放射性物質が外部へ漏れ出す危険もあるため、同日午前5時10分に原子力災害対策特別措置法15条に基づく通報を行った。3号機は、ウラン・プルトニウム混合(MOX)燃料を使用している。

 3号機は地震後、通常の冷却ができなくなり、蓄電池を使った別系統の冷却装置を使っていたが、同日午前2時44分にこの装置も停止、原子炉内に冷却水を注入できなくなった。冷却水が沸騰して水位が下がり、同4時15分から燃料棒が露出し始めた。 12日に爆発が起きた同原発1号機と同様に、格納容器内の圧力が高まるため、東電では放射性物質が混じった蒸気を外部に放出する準備を進めている。(読売新聞

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 東電によると、12日午前8時現在、東北大震災の発生後に東電の協力会社社員3人が死亡し、2人が意識不明となっている。 死亡したのは福島第2原発で作業中だった協力会社「国勇工業」の社員、ハヤカワオサムさん(54)のほか、常陸那珂火力発電所(茨城県東海村)で煙突工事中だった「アサジマ組」のハネシロさん、「フジモト工業」のモトシゲリョウヤさんで、いずれも年齢不明。常陸那珂ではアサジマ組のアサジマタカヒロさん、フジモト工業のオリタコウキさんも意識不明の重体。
 一方、福島第1原発では東電社員で当直勤務に当たっていた小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)が地震発生直後から行方不明になっている。このほか、同日朝までに東電関連施設で5人が重傷、7人が軽いけがをした。

 枝野幸男官房長官12日夜、首相官邸で記者会見。東京電力福島第一原子力発電所1号機の爆発について、原子炉本体ではなく建屋の崩壊であり、「東電からは(炉心を入れる圧力容器を守る)格納容器が破損してないことが確認されたと報告を受けた」と述べた。

 ・福島第一原発1号機で爆発音と白煙、けが人も
 福島県警によると、福島第一原子力発電所1号機で12日午後、爆発音が聞こえ、煙のようなものが出ている。県警は半径10キロ圏内から至急避難するよう要請。 東電によるとけが人が数人いる模様。 煙は一時、発電所全体を覆う勢い。これによって社員が数人負傷した。原因ははっきりせず、影響も不明。  (Explosion Rocks Japan Nuclear Plant After Quake/ The New York Times By MATTHEW L. WALD

第1原発避難指示 半径20キロに拡大へ 19時14分
 福島県が、12日午後6時半から開いた原子力災害対策本部会議の中で、担当職員が午後6時25分に総理大臣官邸から指示を受け、福島第一原発から半径20キロの範囲を新たに避難指示の対象に。福島県は、現在、具体的な市町村やエリアを調べている。

福島第2原発、半径10キロ退避に拡大 官房長官会見
 福島第1原発1号機で12日午後3時36分ごろ爆発。枝野幸男官房長官は同日午後会見し、第2原発について半径3キロ以内に出されていた退避指示を10キロ以内に拡大したと発表。枝野長官「周辺住民の安全には万全を期している」。

福島第一原発、弁開放し「格納容器」の圧力低下
原子力安全・保安院は12日午後3時すぎ、東京電力福島第一原発の1号機の配管の弁を開放した結果、炉心の圧力容器を覆う「格納容器」の圧力が低下し始めた、と発表した。格納容器内は通常、400キロパスカル(約4気圧)で運転されているが、1号機は大地震による自動停止後、800キロパスカル超の圧力を記録し、損傷の恐れがあった。 ただ、弁を開けたことで放射性物質のセシウムが外部に漏れるなど、周辺の放射線濃度が高まった。

福島第1原発で炉心溶融か=付近でセシウム検出―保安院
 時事通信 経済産業省原子力安全・保安院は12日、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機で、核燃料棒が高温で溶ける「炉心溶融」が起きている可能性が高いと発表

 保安院によると、1号機周辺で放射線医学総合研究所のチームが放射性物質のセシウムを検出。セシウムは核燃料棒に含まれており、融点が高いことから、炉心溶融を起こしている可能性が高いと推測される。 保安院などによると、同原発1号機は12日午前から原子炉冷却水の水位が低下。一時は核燃料棒が冷却水の水面から露出し、核燃料の損傷が懸念されていた。

原発の脆弱性浮き彫りに 福島原発トラブル 
 今回の地震によって、東京電力福島第1原発や同第2原発で、トラブルが相次いだ。第1原発1号機では、放射能を閉じ込める上で重要な格納容器の損傷を防ぐため、格納容器の弁を開けて圧力を下げる一方、微量の放射性物質を外部に出すという苦しい立場に追い込まれた。蒸気放出は緊急避難的な措置。

 福島第1原発1号機の格納容器内の圧力が上昇し、容器の破損につながる懸念が生じている。経済産業省原子力安全・保安院は「地震によって圧力容器と配管の間などから放射能を含んだ微量の水分が格納容器内に漏れ出た結果、圧力が上昇した可能性がある」と推測する。すでに作業員が手作業で格納容器の圧力を逃がす弁を開ける作業をしている。

 また、福島第1原発の敷地境界の正門で、放射線量を測定する敷地内のモニタリングが通常の8倍などを観測。初めての放射能漏れとなった。原因として、地震によって福島第1原発1号機の電源が失われ、外部に比べて原子炉内の圧力を下げる機能が失われた結果、微量の放射性物質が漏れ出た可能性があるという。

 今回の地震は、国内最大の規模ではあるが、東電柏崎刈羽原発を襲った07年の中越沖地震に続き、地震に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて示した格好だ。保安院によると、今のところ、一般住民の健康被害は出ていないが、トラブルはさらに増えている。今後も予断を許さない厳しい状況が続く恐れがある。【関東晋慈

◇炉心溶融
 原子炉の温度が上がりすぎ、燃料棒が溶けて破損する事故。冷却水が失われて炉心の水位が下がり、燃料棒が水面上に露出した場合、燃料棒中の放射性物質の崩壊熱が除去できず、温度上昇が続くために起きる。想定されている事故の中でも最悪の事態。1979年の米国のスリーマイルアイランド原発事故で起きた。

◇セシウム137
 原子力発電の燃料として使われるウランが核分裂した際に生じる放射性物質。人体に取り込まれやすく、体内では消化器や筋肉に影響を与えてがんなどの原因となる。半減期は30年と長く、土壌粒子と結合しやすいため、農作物を通して体内被ばくの原因ともなる。核実験などの結果生じる「死の灰」の一つ。1979年の米スリーマイル島原発事故や、86年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故後も大気中から検出された。

◇福島第1原発
 東京電力初の原発として計画され、1号機が1971年3月、営業運転を始めた。福島県大熊町と双葉町にまたがる約350万平方メートルの敷地に、現在6基の原子炉が稼働する。燃料の核分裂反応によって生じた熱で水を沸騰させ、そこから生じた高温の蒸気でタービンを回して発電する「沸騰水型原子炉」で、総発電量は約470万キロワット。1号機は今年、営業運転開始からちょうど40年を迎える「高経年化原発」だ。。(毎日新聞

放射能含む蒸気の放出決定 福島第一原発1号機 東電
東京電力は、福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるため、容器内の蒸気を逃がすと発表。蒸気には放射能が含まれており、外部に放出されることになる。2011年3月12日9時21分

福島・第1原発に陸自の特殊武器防護隊が到着 
防衛省によると、12日午前、放射能漏れの際に除染作業などを行う専門部隊である陸上自衛隊「中央特殊武器防護隊」の要員が東京電力福島第1原発に到着した。また第2原発には、陸自のヘリコプターがケーブルなどの資材を空輸する作業を始めた。

防衛省、福島・原発に除染専門部隊主力も派遣へ 海自も続々集結
防衛省は12日、東京電力福島第1原発に向け、除染作業などの専門部隊である陸上自衛隊「中央特殊武器防護隊」の主力要員約90人を派遣させる準備に入った。派遣されれば、放射能が漏れていないかモニタリング調査を行う。同隊の先遣隊22人はすでに福島県に向かっている。 午前3時半ごろには同隊の副隊長ら2人が原発近くの緊急対策拠点「オフサイトセンター」に到着。防衛省によると、周辺3キロ四方の住民約3千人の避難は終了したが、5キロ四方の約5万人の避難が終わっていないため、福島駐屯地の第44連隊とともに避難支援にあたる。

 一方、米海軍は佐世保基地(長崎県)から輸送艦を三陸沖に派遣させることを日本側に打診してきた。陸自北部方面隊の人員約900人と車両約250両を輸送するよう自衛隊と調整している。また、横須賀基地(神奈川県)からも艦艇を出し、海自と共同捜索救難活動を実施するという。これまでに海自艦艇は三陸沖などに29隻が到着。

不安抱え「とにかく西へ」 福島原発周辺4万人超避難
 大熊町の西隣の田村市は被害が少なかったため、公共施設20カ所を大熊町民の滞在先として開放することを決めた。 大熊町の北に隣接する双葉町も、放射能漏れの危険を避けるため、全町民約6800人が町外に避難することになった。町役場によると、午前6時に防災無線で避難するよう放送をした。  同9時ごろから希望者には内陸の川俣町にマイクロバスでのピストン輸送を開始。自力で町外に出る住民もいるという。職員の一人は「どれぐらいの住民がバスに乗るのかも、住民がどうやって町外に行くのかも分からない」と慌てた様子で話した。

 福島第二原発がある楢葉町役場では、午前8時ごろから南のいわき市に向けて町民の避難が始まった。
 同町の町民は約7800人。町では放送のほか、消防団が町内を回って避難を呼びかけた。前日の夜から町が把握している集合場所にいた約1500人はバスで、そのほかの町民には自家用車などで、いわき市内の学校施設に避難するよう呼びかけた。現在、避難中という。 同じく福島第二原発がある富岡町も、全町民約1万6千人が町外へ退避することになった。町役場によると、隣の川内村に避難先を確保し、防災無線で避難を呼びかけた。町内外からかき集めたバスで朝から避難所に輸送している。

 東京電力は12日未明、福島第二原発で協力会社の作業員が死亡し、第一原発で社員2人が行方不明になっていると発表した。 死亡したのは国勇(こくゆう)工業(同県相馬市)の男性作業員ハヤカワオサムさん(54)とみられる。クレーンで排気筒の耐震工事中に操縦室に閉じこめられたという。行方不明の2人は第一原発第一運転管理部の社員で小久保和彦さん(24)と寺島祥希さん(21)。第一原発4号機から蒸気を受けて電気をおこすタービン(羽根車)の建屋にいたらしい。(朝日新聞)

相次ぐ原発緊急事態、想定外と見通しの甘さ
 福島第一原子力発電所、第二発電所で相次いで出された原子力緊急事態宣言は、日本の原発防災の巨大地震に対する見通しの甘さを露呈させた。 東電によると、建屋の震度など実際の揺れのデータをまだ評価していないものの、今回の地震のマグニチュード8.8は同発電所の想定(最大マグニチュード7.9)を上回る規模。

 緊急時に水を注入して炉心を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が電源も含めて停止。くみ上げた冷却水(海水)を回すポンプも止まった。このため、原子炉の冷却が不十分になり、格納容器内の圧力が上昇、容器が崩壊する危機が高まった。 ポンプ停止の原因は、福島第一の場合、1~6号機の非常用ディーゼル発電機計13機がすべて、地震約1時間後に故障停止したこと。想定では、地震が起きても各機が非常用発電機を融通しあって復旧するとしていたが全滅。

 福島第二では、被害状況が確認できない、として海水を通すポンプなどが止まったまま。さらに福島第二では、放射線監視装置も3台のうち2台が停止。このため監視装置を積んだ車などを動かして放射線監視に当たっている。 東電は電源を確保して原子炉の温度を下げるため、保有する発電機車51台を現地に集め、発電の準備を進めている。(読売新聞)

福島第2原発もトラブル=圧力抑制室の温度上昇
 東電は12日、運転停止中の福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)の1、2、4号機で、圧力抑制室の温度が100度を超え、原子炉の圧力抑制機能が失われたと発表。現時点では、原子炉冷却水の水位は維持されており、外部への放射能の影響は確認されていないという。

制御室1千倍の放射線量 正門付近は8倍 福島第一原発
 経済産業省の原子力安全・保安院は12日朝に記者会見し、福島第一発電所の1号機(福島県億大熊町)で、原子炉建屋内にある中央制御室の放射線量が、通常の約1千倍に達していることを明らかにした。正門付近では、通常の約8倍となっているという。

 保安院によると、中央制御室の通常の放射線量は1時間あたり0.16マイクロシーベルトだが、12日早朝の時点で150マイクロシーベルトに達していた。一方、正門付近では通常0.07マイクロシーベルトが0.59マイクロシーベルトだった。 通常、原発では建屋内にある原子炉格納容器から建屋に放射能が漏れ出ないように、建屋内より格納容器側の気圧を下げている。保安院は、この機能が失われているか、放射性物質が漏れ出ている可能性もあるとみている。

 東電によると、1号機の原子炉内の水位は保たれており、炉内で想定外の核反応が起きている可能性は低いとしているが、政府は原発から半径3キロ以内としていた避難指示を半径10キロに拡大した。 一方、東電によると、福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)の1、2、4号機の圧力抑制室の温度が100度を超えていることがわかった。同室では冷却用の水で炉内の蒸気を冷やす機能があるが、これがうまく働いていないとみられる。原子力災害特別措置法に基づく緊急事態が発生したと判断。(朝日新聞)

福島第一原発、中央制御室で1千倍の放射線量
 自動停止した東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の正門前で、放射線量が通常時の約8倍、1号機の中央制御室では、同約1000倍に達していることがわかった。 経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が12日午前6時過ぎ、記者会会見して明らかにした。 制御室の線量は毎時150マイクロ・シーベルト。そこに1時間いた場合の線量は、胃のレントゲン検診の約4分の1程度に当たる。

 同原発1号機では、格納容器内(建屋)の圧力が異常に上昇し、同日午前6時現在、設計値の約2倍に達している。経済産業省原子力安全・保安院によると、この圧力の異常上昇は、圧力容器(原子炉)から放射性物質を含んだ水蒸気が建屋内に漏れたことで起きていると見られる。圧力の高まった水蒸気が建屋から漏れ出し、施設外建屋外の放射能レベルを上げている可能性が高い。 東京電力は、建屋の弁を開けて外に水蒸気を逃し、圧力を下げる方針だが、電源系のトラブルで実施できていない。 これを受け、政府は、午前5時44分、周辺住民の避難指示範囲をそれまでの半径3キロから10キロにまで拡大。(2011年3月12日 読売新聞)

東電が電力不足 管内で停電の可能性 発電所停止相次ぐ
 東電は、東日本大地震で発電所の停止が相次いでいるため、12日夕刻に、電力供給が需要に追いつかなくなるとの見通しを発表。 ほかの電力会社などから電力をゆずってもらうなどの対策をとるが、最悪の場合、東電管内の一部地域が停電になる可能性がある。 12日午後6時から午後7時の予想需要は3800万キロワット。これに対し、供給できるのは3500万キロワットで、300万キロワット足りなくなるという。

今回の地震以前の事件
原発検査漏れ:東電に注意処分 保安院
 各地の原発で機器の検査漏れが見つかった問題で、経済産業省原子力安全・保安院は2日、新潟県と福島県の3原発で検査漏れが見つかった東京電力に注意処分をした。 中国電力や中部電力での同様の問題を受け、東電は柏崎刈羽原発(新潟県)で375機器、福島第1原発で33機器、福島第2原発で21機器の検査漏れがあったと保安院に報告していた。
 保安院は、すべての発電所で点検計画の策定が適切に行われず、管理担当者の理解も不足していたとして保安規定に違反すると判断。同社に再発防止策の策定を指示した。(毎日新聞 2011年3月2日)

2011年3月11日金曜日

フランス、リビア空爆を検討---EU緊急首脳会議で打診

フランス、リビア空爆を検討---EU緊急首脳会議で打診

⇒「武力「介入の責任」に動き出す英仏」より

国連安保理 武力行使容認決議を賛成多数で採択
 国連安全保障理事会は17日、リビア上空の飛行禁止空域設定などを盛り込んだ新たな対リビア武力行使容認決議案を賛成多数で採択した。決議には「市民を守るため、必要なあらゆる方策を取る」との文言が記された。これを受け米英仏などは、反政府勢力の拠点への攻勢を強めているカダフィ政権に対する空爆を含む武力行使を準備する。

 決議案には15理事国のうち草案を作成した英仏米など10カ国が賛成。中国、ロシア、インド、ドイツ、ブラジルは棄権した。
 決議案は、2月26日に採択した制裁決議と同様に国連憲章第7章(平和に対する脅威)を明記。だが今回は41条(経済制裁)には言及せず、武力行使を含むあらゆる選択肢を可能とした。その上で「カダフィ政権の攻撃の脅威にさらされるリビア市民を守るあらゆる方策をとる」と強調。

 一方で「外国軍の占領を除外する」と付言し、欧米軍のリビア国内進出に懸念を示すアラブ各国やリビア市民に配慮した。また、飛行禁止空域の設定では「アラブ連盟との協力の下で」とした。 資産凍結は、カダフィ大佐の側近など政権中枢、リビア中央銀行にも拡大された。

 会合後、英国のグラント大使は記者団に「決議で行動を起こす法的根拠は整った」と述べたが、武力行使の時期は明言しなかった。 反体制派側に立つリビアのダバシ次席大使は「できるだけ早く行動を起こしてほしい」と語った。
 一方、ロシアのチュルキン大使は「飛行禁止空域の実効性に疑問がある」と棄権理由を述べた。 安保理の新たなリビア決議について国連の潘基文(バンキムン)事務総長は17日、採択を歓迎し、「すみやかに決議を実行することを期待する」との声明を発表。【毎日新聞・ニューヨーク山科武司】

あすにも決議案採決へ=リビア飛行禁止区域―安保理
【ニューヨーク時事】国連安保理筋は16日、リビア上空に飛行禁止区域を設定する決議案が17日(日本時間18日)にも採決に付されるとの見通しを明らかにした。ただ、決議案の内容をめぐり、理事国間で見解に開きがあり、交渉になお時間を要する可能性もある。

3/12
EU、あらゆる選択肢を検討 カダフィ氏退陣圧力強化
【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)は11日開いたリビア情勢を協議する緊急首脳会議で「リビア市民を戦闘から守るため、あらゆる手段を検討する」ことで一致、自国民への武力攻撃を続ける最高指導者カダフィ大佐に対し軍事介入をちらつかせて退陣圧力を強化する姿勢を鮮明にした。

 さらに、リビアの反体制派組織「国民評議会」を「政治交渉に値する相手」と認知し、カダフィ後を見据えて反体制勢力との協力を進める姿勢を打ち出した。ただ、英国とフランスが支持を求めたリビアの飛行禁止空域設定や、サルコジ・フランス大統領が提案したリビアに対する「限定的な空爆」については、慎重論が大勢を占め、首脳会議の声明には盛り込まれなかった。

 EUと北大西洋条約機構(NATO)は10、11両日の一連の会議で、軍事介入には
(1)軍事行動が必要だという明確な理由
(2)はっきりとした法的根拠
(3)リビア周辺諸国の支持―の三つの条件が必要との共通認識を確立。

 軍事介入の理由としてカダフィ政権による市民への軍事攻撃の拡大を重視、法的根拠としては国連安全保障理事会の決議、周辺諸国の支持ではアラブ連盟の意向を最重要視している。

・フランスのサルコジ大統領が11日開かれる欧州連合(EU)の緊急首脳会議で、リビア政府の拠点施設に絞った限定的空爆を各国に打診。サルコジ大統領とキャメロン英首相は10日の共同書簡で、リビアの反体制派組織「国民評議会」を支持し、EU各国に飛行禁止空域設定を提案する意向。
・仏政府幹部は限定的空爆実行について「あくまでEU内の一定の合意が必要だ」と述べ、EU首脳会議では、英国などと協調しつつ、空爆の是非について「慎重な議論」を進めるという。仏AFP通信によると、フランスが検討中の攻撃対象は、トリポリやその近辺にある参謀本部など3カ所
・英仏首脳はEUのファンロンパウ欧州理事会常任議長(大統領)あての書簡で、カダフィ氏の退陣を強く求める一方で、EUがリビアの「国民評議会」を「唯一の交渉相手」とするよう求めた。
・仏は10日、リビアの「国民評議会」を初めて承認。一方リビアのカイム副外相は10日、西欧諸国などが反体制派を正統な代表として認めるなら、外交関係の断絶も辞さない考えを表明。ロイター通信が伝えた。副外相はフランスの承認行為は「違法」で、他の欧米諸国が承認すれば、「行動を起こさなければならない」と対抗措置を取ると警告。(毎日新聞 3月11日 【パリ福原直樹、カイロ樋口直樹】)

Arab League Endorses No-Flight Zone Over Libya/ 3/12 NYTimes
Map of How the Rebellion Is Unfolding in Libya

エゲツナイ資本主義(rogue capitalism)の手綱はあるか

エゲツナイ資本主義(rogue capitalism)の手綱はあるか

 ロレッタ・ナポレオーニROGUE ECONOMICSを出版したのは三年前だった(Democracy Now!が取り上げた際の日本語版がある)。その彼女が去年、TERRORISM AND THE ECONOMYを出した。

Economist and best-selling author Loretta Napoleoni traces the link between the finances of the war on terror and the global economic crisis, finding connections from Dubai to London to Las Vegas that politicians and the media have at best ignored.

In launching military and propaganda wars in the Middle East, America overlooked the war of economic independence waged by Al-Qaeda. The Patriot Act boosted the black market economy, and the war on terror prompted a rise in oil prices that led to food riots and distracted governments from the trillion-dollar machinations of Wall Street. Consumers and taxpayers, spurred by propaganda fears, were lured into crushing global debt.

Napoleoni shows that if we do not face up to the many serious connections between our response to 9/11 and the financial crisis, we will never work our way out of the looming global recession that now threatens our way of life. While we feared that Al-Qaeda might destroy our world, Wall Street ripped it apart.

 まったくその通りだ。分析としては正しい。ブッシュや軍事至上主義のネオコンが去っても、ウォール・ストリートのエゲツナイ、ならず者連中は居座っている。
 しかし、連中の再度の暴走、爆走を止める手綱がない。私たちが直面している、ほんとうの問題。それがこれなのだ。

・企業年金連合会(PFA)の運用執行理事の濱口大輔氏、「投資リターンを拡大するにはプライベートエクイティ(PE)投資を増やすなど、もっとリスクを取る必要がある」。(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

英米で再び高利回り債志向
・イングランド銀行(BOE=英中央銀行)のキング総裁が先週、金融危機の背景にあった高利回りを銀行が再び追求し始めていると批判。
・バークレイズ・キャピタルによると、米国のジャンク債発行規模は今年これまでに621億ドル。昨年同期の84%増。強気市場の構造が再登場。返済条件の緩いコブナント・ライト融資や、借り手がクーポン支払いにあたり現金ではなく新たな債務で充当できるトグル・ノート(債券)など。新興市場の社債発行がブームに。
・ジャンク債投資家は、デフォルト(債務不履行)リスクを抱えこみながら、そこからの収益を見込む。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによれば、欧州では、高利回り債券の利回りは現在、政府債のそれを4.7%上回っている(⇒危機以前の利回り格差1.8%)。米国ではトリプルC格付けの債券利回りは米国債のそれを8%近く上回っている。

The fallout from the crash of 2008 has only just begun--Spiking oil prices risk derailing recovery, but politicians cling to the failed economic model that lies behind them/ Seumas Milne, guardian.co.uk, 9 March 2011
The Most Dangerous Man in Washington: Timothy Geithner is so in thrall to the banking industry that he could risk America's economic recovery./ Simon Johnson, Slate, March 1, 2011

All Along the Watchtower Dave Matthews Band

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6月
ゴーン日産社長:報酬総額は9億8200万円
 日産自動車は29日、横浜市内で株主総会を開き、カルロス・ゴーン社長の11年3月期の報酬総額が約9億8200万円だったことを明らかにした。日本企業で最高額だった10年3月期の約8億9000万円を約1億円上回った。 株主の質問に答えて公表した。ゴーン社長は、事前に募集した株主からの質問約200件のうち、3割が報酬に関することだったとしたうえで、「会社の業績や個人の実績に加え、日産のようにグローバル企業で、多種多様な人材を抱える企業とも比較して決めた」と説明した。【毎日・米川直己】

ソニー会長報酬8億6300万円
 ソニーは28日、ハワード・ストリンガー会長兼社長の11年3月期の総報酬額が、前期比4650万円増の8億6300万円だったことを明らかにした。 基本給は2億9500万円、賞与が5000万円の計3億4500万円。3年連続の最終(当期)赤字と情報流出問題の責任を取る形で、前年同期比6300万円減とした。ただ、ストックオプション(50万株分の自社株購入権)の評価額が5億1800万円と前年同期よりアップしたため、総額で前期を上回った。高額報酬への批判も出そうだ。 ほかに1億円を超えたのは、中鉢良治副会長2億588万円▽ニコール・セリグマン執行役2億108万円▽平井一夫副社長1億5280万円など。【毎日・竹地広憲】

4/12
米金融トップ、高額報酬復活 ゴールドマン倍増
 米大手金融機関が、経営トップの報酬引き上げに動き出した。JPモルガン・チェースは、2010年のダイモン最高経営責任者(CEO)の報酬を前年の約5割増とし、2年間止めていたボーナスの現金払いを再開。ゴールドマン・サックスも、ブランクファイン会長兼CEOの報酬をほぼ倍増させた。金融危機後に批判を浴びた高額報酬が復活しつつある。
 米証券取引委員会に提出された資料によると、ダイモン氏の報酬は総額で2300万ドル(約19億6000万円)。09年より51%増えた。 基本給は09年並みの100万ドルだが、株式などは1700万ドル相当と2割増。当局などの批判で07年を最後に見送っていた現金賞与も500万ドル払った。
 ブランクファイン氏の10年の報酬は1900万ドル(約16億2000万円)。09年の980万ドルの約2倍の水準だ。給与60万ドル、株式1260万ドルなどに加え、現金賞与540万ドルを3年ぶりに復活させた。
 金融危機前の07年の報酬はダイモン氏が4990万ドル、ブランクファイン氏が6850万ドル。10年の報酬はこれには遠く及ばないが、世間一般からはケタ違いに多く、波紋を呼ぶのは必至。特にゴールドマンは業績回復が頭打ちで、株主総会で説明を求められそうだ。(日経・ニューヨーク=西村博之)

2011年3月10日木曜日

ハイパー・スタグフレーションの時代

ハイパー・スタグフレーションの時代

 「ドル経済の終焉・米国の崩落・壊れる米国の大学」の末尾に次のように書いた。

 「今年から来年にかけて日本列島を襲撃するであろう、ガソリン・灯油・石油関連商品・光熱費・食料品等々の値上げ、新消費税の導入などの大攻勢が「壊れる大学」現象をより一層加速させ、深刻なものにするだろう。

 これに伴い労働強化と口減らしが起こるだろう。今春季から日本は、一部の儲ける業種は内部留保を拡大させつつ「好況」を迎えつつも、全体としてはデフレ経済からハイパー・スタグフレーション(不況下のインフレ)に徐々に突入してゆくだろう。

 だから、派遣労働者やフリーターの人々は「戦略的防衛体制」に入る必要がある。サラ金には絶対に手を出さぬこと、少しでも貯金と必需品の備蓄をすること、今年に契約解除・解雇がありうることを念頭に置いておくこと、身体と精神の健康を保ち、医者や歯医者にかからないようにすること、「いざ」というときに互いに助け合うネットワークを広げること、未組織労働者を支援する最寄の団体を調べておくこと・・・」

 たった1ヶ月余りで、また同じ事を書かねばならない。実際、私の知人の中には、非常なる高学歴であるにもかかわらず/だからこそ、この4月から仕事がなくなり、職探しに奔走している人がいるからだ。

 正月明けだったか、ある人に今年は世界的なスタグフレーションになるという話をしたことがある。すると、「デフレから?それはないよ」という反応が返ってきた。しばらくして北アフリカ・中東の民衆蜂起が起こり、その後の急激なガソリン高を見て、その人も反論しなくなった。

 けれども、ハイパー・スタグフレーションは、仮にアラブ・イスラム社会の「独裁打倒・民主化」闘争が起きていなかったとしても、必ずやってくる。2008年の「リーマン・ショック」の再来が、2008年を越える世界経済と政治に激震をもたらす形で必ずやってくる。

 すでにいろんな兆候が現れている。情報を少しずつ整理することにしよう。

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4月
ユーロ圏危機が深刻化、ギリシャの債務再編観測で
 欧州市場では18日、ギリシャの債務再編が夏にも必要になるとの懸念が浮上したことを受け、ユーロ圏の債務危機をめぐる状況が深刻化し、ユーロ相場と一部ユーロ圏の国債価格が大幅に下落した。 複数のドイツ政府筋は18日、ギリシャが夏が終わる前までに債務再編を実施する可能性が高いとの見方を示した。ある連立政権幹部筋はロイターに対し、連邦政府内に「ギリシャは債務再編なしでは夏を乗り切れない」との見方があると指摘。「連邦政府が(再編を)後押ししているわけではないが、そのような措置はおそらく不可避だろう」と述べた。 このほか、ポルトガル支援をめぐる先行き不透明感も市場の不安をあおった。  

 フィンランドの総選挙で反ユーロを唱える政党「真のフィンランド人」が躍進し、政権入りする可能性が出てきたことを受け、ポルトガル支援策が容易に承認を得られなくなるとの懸念から、ポルトガル債の利回りスプレッドが過去最高水準を更新した。独連邦債に対するポルトガル債の利回りスプレッドは18日、初めて600ベーシスポイント(bp)を突破し、603bpで取引を終えた。前営業日は583bpだった。 シュローダーのファンドマネジャー、アンドリュー・リンチ氏はロイター・インサイダーに対し「ユーロ加盟国に課される財政面の拘束に対応できずにユーロ圏から離脱する国が出てくるかもしれない」と語った。

 この日は欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表がリスボンに集まり、ポルトガル救済策に関する当局者の協議が始まった。初日の協議終了後、関係者は特に発言していない。 救済策の規模は総額800億ユーロに上ると推測されているが、ポルトガルが支援を受けるには、民営化や労働市場改革、銀行システム強化策など大規模な経済改革プランを受け入れる必要がある。関係者は、ポルトガルが多額の資金調達が必要となる数週間前の5月中旬までの合意を目指す考え。6月5日には総選挙が実施される。

 ただ、「真のフィンランド人」のソイニ党首は「(ポルトガル)支援策がそのまま通るとは思わない」と述べ、支援策を阻止する考えを示した。5月中旬までに支援策が承認されなければ、欧州の首脳らはポルトガルの資金調達を支援するため、他の手段を講じる必要が生じる。

 独紙ウェルトによると、ギリシャの閣僚がインタビューで、同国の債務再編は時間の問題と発言した。同紙は18日、19日に掲載されるインタビューの内容を一部公表。これによると、同閣僚は匿名を条件に「われわれが(債務再編を)実施するかどうかはもはや問題ではなく、(実施の)時期だけが問題だ」と語った。 さらに「債務再編が必要なことは最初から明白だった」と発言。「われわれは2010年初めの時点で、欧州諸国およびIMFに対し、支援策が直ちに債務再編に直結している方が望ましいとの考えを示していた」と明らかにした。

 これに対し、欧州各国の政府はギリシャに「これはギリシャだけの問題ではなく、われわれはユーロ圏全体を安定させるために、時間を稼がなくてはならない。ギリシャは債務再編について協議する前に、改革を断行できることを自ら証明しなければならない」との方針を伝えるなど、危機発生時には債務再編に関して否定的な見解を示したという。[ベルリン/アテネ 18日 ロイター] 

3月
東日本大震災:「非正規切り」が深刻化 26日に電話相談 
 東日本大震災が非正規労働者の雇用にも深刻な影響を及ぼし始めた。個人加盟労組でつくる「全国コミュニティ・ユニオン連合会」(東京都)には、派遣切りなどの相談が相次いでいる。「仕事が減ったから」と震災に便乗するような解雇もあり、同ユニオンは「08年秋のリーマン・ショック時以上に深刻だ」と、国に早急な対策を求めている。

 同ユニオンには24日までに震災関連の労働相談が約90件寄せられた。ほとんどが非正規雇用の労働者からで、被災地以外で働くケースも多い。「被災地から部品調達ができなくなった」などの理由で自宅待機を命じられ、その間の賃金補償がない人が多く、解雇や派遣切り、内定取り消しなども目立ってきた。

 静岡県の40代男性は派遣先の自動車部品メーカーが減産体制になり、22日から自宅待機に。「会社は給与を補償すると言わない。4月以降はどうなるか分からない」と不安を漏らした。福島県の30代男性は派遣元に「4月16日で約100人の派遣社員全員と契約を打ち切る」と通告された。「地震で自宅が損壊し、修理が必要だ。雇用契約を切るのはひどい」と訴えたという。

 相談の多くは製造業だが、事務系にも広がっており、電話1本で解雇を通告された東京の事務派遣女性もいる。都内のコールセンターに勤める30代パート女性は「震災で業務が減った」として4月以降の契約を更新しないと告げられた。計画停電の影響で仕事が減り、自宅待機を命じられている人もいる。

 労働基準法は天災などで直接被害を受けていない事業者には、最大限努力しても労働者を休業させざるを得ない場合のみ休業手当を支払わなくてよいとしている。関根秀一郎・副事務局長は「震災に便乗するようなケースも出ている。解雇や派遣切りを規制したり、休業補償を徹底させるための緊急立法が必要だ」と話す。 同ユニオンは26日午前10時~午後8時に緊急の電話相談「雇用を守る震災ホットライン」(代表050・5808・9835)を全国8カ所で実施する。【毎日・遠藤和行】

EUのポルトガル金融支援、8・6兆円規模か
【ブリュッセル=中沢謙介・読売】欧州連合(EU)の首脳会議が25日、2日間の日程を終えて閉幕。 財政不安に陥っているポルトガルが、EUなどに対して緊急の金融支援を要請する可能性について議論。仮に要請があれば、支援額は750億ユーロ(約8・6兆円)規模に上るとの見方が浮上。

 ポルトガル議会は23日、財政緊縮策を否決し、ソクラテス首相が辞表提出。これを受け、25日の欧州債券市場で、ポルトガル国債の流通利回りは年8%超まで上昇、ユーロ導入後の最高を記録。市場からの資金調達が困難になるとの見方が広がっている。

 ファンロンパイ欧州理事会常任議長(EU大統領)は、ポルトガル支援について「首脳会議では、議論はなかった」と語った。しかし、ユーロ圏財務相会合の議長を務めるユンカー・ルクセンブルク首相は24日、仮に要請があれば、支援額は「750億ユーロ程度が妥当のように思える」と具体的な規模にまで言及。ドイツのメルケル首相は、「市場の信頼を回復するには、財政再建目標を堅持する必要がある」と述べ、ポルトガル政局の混乱が続けば、支援の可能性が高まるとの認識を示唆。

・ガソリン151.2円 2年5カ月ぶり150円台 3月24日

3/16
ガソリン148.5円 前週からさらに3円値上がり
 石油情報センターが16日発表したレギュラーガソリンの店頭価格(14日現在の全国平均)は1リットル当たり148.5円。前週からさらに3.0円値上がり。東日本大震災の影響で供給不足が続いていることが影響、150円台も視野に。ハイオクガソリンも159.3円と3.0円値上がり。灯油(18リットル)も1649円となり29円上昇。
 ガソリン価格は北アフリカ、中東情勢の混迷で、原油の国際相場が高値で推移していたことを受けて、7日現在の店頭価格は一気に6.5円値上がりして145.5円となり、2008年11月以来、2年4カ月ぶりに140円台に上昇していた。

3/15
・東京株式市場で日経平均株価は大幅続落。終値は前日比1015円34銭(10.55%)安い8605円15銭。昨年来安値を更新し、2009年4月28日(8493円)以来、約1年11カ月ぶりの安値水準に下落。下落率は歴代で3番目の大きさ、下落幅でも17番目の大きさ。

・ニューヨーク株式市場は、東日本大震災による被害拡大や相次ぐ原発事故などを嫌気し、寄り付きから急落、一時296ドル超下げた。優良株で構成するダウ工業株30種平均は午前9時40分現在、前日終値比254.37ドル安の1万1738.79ドルで推移。ハイテク株中心のナスダック総合指数は70.77ポイント安の2630.20。欧州株も大幅安=リスク回避の売り強まる。

3/14
東日本大震災 谷垣氏、時限増税を提案 「復興ニューディール」首相賛同
1,谷垣氏「国債発行だけで復興財源は賄えない。支援税制を『東北復興ニューディール政策』と位置付け、復旧・復興財源の確保に向け時限的な増税を含めた包括的復興支援立法を求めた。

2,自民党の逢沢一郎国対委員長は13日、民主党の安住淳国対委員長と会談。平成23年度予算関連法案の地方交付税法改正案と関税定率法案、税負担減免措置延長のためのつなぎ法案の3法案に賛成する方針を伝えた。

復興財源、減額補正で検討=11年度予算成立後―岡田氏
 民主党岡田克也幹事長は東日本大震災の被災地の復興財源について、2011年度予算成立後に減額補正して捻出することも検討する意向。「補正予算案を組むに当たり、(財源を)全部国債で賄うのはどうか」と強調。(時事通信)(⇒ 「2011年度予算成立後に減額補正」しても新たに国債を発行しても、日本経済は後退と破綻に向う。2010年度の国債発行額、44.3兆円は戦後史上最悪の額となった)

日銀総裁、景気の先行き「不確実性高い」 大地震の発生で  日銀の白川方明総裁は14日の金融政策決定会合後の記者会見で、東日本巨大地震が景気に与える影響について、「地理的にも被害が広範囲に広がっている。当面は生産活動の低下が見込まれるほか、企業や家計のマインド悪化が懸念される」との認識を示した。

 今回の会合では景気の現状判断、先行き見通しとも据え置いたが、「景気の先行きを巡る不確実性は高いと判断している」と述べた。 資産買い入れ基金を増額したことに関しては「企業や家計のマインド悪化や市場のリスク回避姿勢の高まりを受けて、経済活動が下押しされることを未然に防止することが重要と判断した」と語った。(⇒下の日経の記事にあるように失敗)

・東日本巨大地震を受け、14日の東京市場は終日重苦しい空気に。投資家のリスク回避姿勢は一段と強まり、株安と債券高が進行

 日銀は大規模な資金供給と追加緩和を相次ぎ発表したが、市場の先行き警戒感を払拭するには至らず。日経平均株価の大引け前週末比633円94銭(6.18%)安の9620円49銭、円相場は乱高下した末、午後3時ごろは82円台前半で推移。

・午前7時半すぎから市場に緊張感。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物市場で日経平均先物6月物が9600円台に急落。早朝の外国為替市場では円相場が一時、約4カ月ぶりとなる1ドル=80円60銭近辺まで急伸。商品市場では原油先物が時間外取引で1バレル100ドルを割り込んだ。
・「日本株を買い増していた海外投資家はリスク回避目的の売りに転じるかもしれない」(外資系証券トレーダー)。

・トヨタやソニーといった主力株は軒並み売り気配。東電やJR東日本など大地震の影響を大きく受ける銘柄にも売り注文が殺到。損失回避に走る投資家の姿を象徴したのは、TOPIX先物へのヘッジ(損失回避)の売り。9時5分に制限値幅に抵触し取引の一時停止措置である「サーキットブレーカー」が発動。

・対照的に有事の際に比較的安全性の高い資産として意識される債券にはマネーが流入。債券先物6月物は1カ月半ぶりに140円台に乗せ、10年物国債も低下基調。加えて商品市場ではガソリンは期近4月物が急伸し、サーキットブレーカーが発動。「コスモ石油の千葉製油所で発生した火災が供給不安につながっている」(キャピタル・アセット・マネジメントの岡橋雅雄調査部長)。

・「懸念を募らす市場」と「不安感を払拭しようとする日銀」の駆け引き。日銀は9時1分に昨年5月以来となる資金の即日供給を通知。規模は7兆円と過去最大で「朝方からコール市場や債券レポ市場では取引が成立しにくくなっていた。市場の不安心理の払拭を狙った」(金融市場局)。総額15兆円。1日の供給総額としても過去最高。

・日経平均先物に売り注文が出て日経平均も9700円台に再び下げを拡大。アジア市場にも地震の余波。「日本の投資家による資金の本国回帰が香港株の売り圧力になる」(群益証券)。
・「福島原発3号機で水素爆発」と伝わると緊張感がピーク。ヘッジ売りが強まると大証の日経平均先物は再び9500円を割り込んだ。
・政府は原発の爆発について「格納容器は健全」と発表するも、投資家の「安全資産への逃避」に拍車。10年物国債利回りは一段と低下、約1カ月ぶりに1.2%を割り込んだ。株式市場では日経平均が下げ足を速め、一時は661円安の9593円まで下落。

・日銀の追加緩和に、日経平均先物には買い戻しが入り9600円台前半まで値を戻した。ただ、為替・債券市場の反応は限定的。日経平均も大引けにかけて再び下げ幅を拡大。「地震による被害額が判明するのはこれから。経済活動の下押し圧力としてどの程度、働くか見通しがたたず買いは入れられない」(日興コーディアル証券の小林久恒国際市場分析部部長)。
・午後3時。東証1部の売買高は48億株を上回り過去最高。「値動きの激しさを狙った回転売買が中心」(国内証券)。東証1部の時価総額は昨年12月以来となる300兆円割れ、日経平均の下落率は過去20番目の大きさ。

・市場のムードに改善が見られない中、東証の取引終了後に日経先物が下げ足を速めた。9430円を付け午前中につけた日中安値(9450円)を下回った。日銀の追加緩和が材料の出尽くし感を誘ったうえ、一段安の展開に投げ売りも出た。「まだ下げ止まったとは言えない」(国内投信大手)――。張り詰めた緊張感が緩む気配が見られないまま大地震後の初日の取引を終えた。〔日経QUICKニュース

3/10
予想以上に深刻 アジアのインフレ問題-労働力不足にも直面
・アジアのインフレ懸念は過去数カ月間で強まっている。変動の大きい食料とエネルギーを除いた、いわゆるコアインフレ率をめぐって不安が強まっている。
・例えばタイは9日、インフレ全体とコアインフレの上昇圧力を理由に、最近数カ月間で3度目の利上げを実施。また韓国銀行(中央銀行)は、韓国のインフレは今年上半期に同行の予測を突破する恐れがあると警告。

・野村インターナショナル(香港)のエコノミスト、ロバート・サバラマン氏「スラック(経済の緩み)があまり残っていない」「アジアではインフレが長期化するだろう」。
・シンガポールでは、1月のインフレ率が前年同月比で5.5%。アジアで最も高いインフレの国の一つ。(ウォールストリート・ジャーナル Patrick Barta

欧州のソブリン・リスク(国家に対する信用リスク)再燃
「PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)」問題
職失う若者 スペイン、バブル崩壊→財政悪化「負の連鎖」
・スペインの失業率は昨年10~12月期で20・3%。25歳未満の若年層の失業率は約40%。2008年秋のリーマン・ショックと不動産バブルの崩壊が雇用悪化の最大の原因。

・ギリシャ、アイルランドに続き、ポルトガルが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)への支援要請に追い込まれるとの観測。その次と目されているのが、GDP世界9位、ユーロ圏4位のスペイン。昨年のスペインの財政赤字は国内総生産(GDP)の約9%に。
・4月30日には国債の大量償還を控え、格付け会社フィッチ・レーティングスが今月4日に国債の見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げ。償還不安による売りで、昨年11月ごろまで4%後半で推移していた長期金利は現在、5%台半ばまで上昇。

・スペイン国債の約4割は、ドイツの銀行など海外投資家が保有。暴落すれば「金融危機が一気に広がりかねない」。
・支援要請に追い込まれると、EUとIMFが設立した約4400億ユーロ(約51兆円)の欧州金融安定化基金(EFSF)も、「たちまち底を突く」(市場関係者)とみられている。
・スペインに波及すれば、その次にはイタリアやベルギー。“最後の砦”のスペインを守り、危機の連鎖を食い止めることができるのか。欧州は重大局面。財政危機、信用不安、インフレ。“三重苦”にさいなまれる欧州経済。

1・7兆円の資本増強を スペイン、貯蓄銀行に指示
スペインの中央銀行は10日、貯蓄銀行と呼ばれる中小金融など国内の計12銀行に対し、総額151億5200万ユーロ(約1兆7千億円)の資本増強を指示。各銀行は15営業日以内に同中央銀行に資本増強の計画を提出、9月30日までの実施を迫られる。自力増資できない場合は、公的資金の投入により国有化される可能性。⇒ムーディーズは、資本不足額について400億~500億ユーロとの試算を公表、同中銀の数字の信頼性に疑問を投げ掛けた。

最大の資本不足を指摘されたのは、カハ・マドリードが他の複数の貯蓄銀行と合併して発足した「バンキア」で57億7500万ユーロ。12行中8行を貯蓄銀行が占めた。英バークレイズやドイツ銀行傘下の銀行も資本増強を求められたが、「必要な措置を講じる」と回答。 多額の公的資金投入は、多額の公的債務を抱えるスペイン政府の財政悪化につながる。(共同)

アイルランド・ルポ~欧州信用危機が第2幕(時事)

NY株、続落 前週末比79・85ドル安 リビア情勢悪化で、米経済の失速懸念 2011.3.8
週明け7日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は続落し、前週末比79・85ドル安の1万2090・03ドルで取引を終えた。ハイテク株主体のナスダック総合指数は39・04ポイント安の2745・63。

中東・北アフリカの情勢の混迷により原油先物相場が上昇傾向にあることを背景に、米経済の失速懸念が高まって売り注文が膨らんだ。また、金融大手のウェルズ・ファーゴが半導体分野の投資判断を引き下げたことも売り要因。(共同)

米財政赤字、18兆4千億円 歳出伸び、過去最大 2011.3.11
米財務省が10日発表した2月の財政収支は2225億ドル(約18兆4500億円)の赤字。単月赤字としては過去最大。歳出が膨らんでおり、赤字は29カ月連続。過去最大だった前年同月の2209億1千万ドルから、2月は0・7%増加。

歳入は1106億6千万ドル。前年同月の1075億2千万ドルから拡大。ただ、歳出も前年同月の3284億3千万ドルから3331億6千万ドルへ拡大。歳出の増加幅が歳入の伸びを上回る。2011会計年度(10年10月~11年9月)の2月までの累計赤字額は6412億6千万ドル
 米財政は、昨年末に成立した包括減税法で税収の伸びが抑えられる一方、年金などの社会保障費や国債利払い費が増加。オバマ政権、今後も厳しい財政運営。
・・・・・・・・

 米議会予算局(CBO)は今年1月、2011会計年度(10年10月~11年9月)の米財政赤字が1兆4800億ドル(約121兆円)に達すると予測、09年度を上回り過去最大となる見通しだと発表。昨年12月に決めた所得税減税の2年延長などで、税収が抑制されるのが主な要因。実質国内総生産(GDP)に占める赤字の割合も11年度は9・8%と高水準。12年度の財政赤字も1兆1千億ドルと4年連続で1兆ドルの大台を超える見通し。

米財政を静かにむしばむ病巣
・病巣=時間がたてばたつほど状況悪化=国債の利払いコスト。
・今年は金利だけで2000億ドル(約16兆5300億円)を超える。チリの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵。メディケイド(低所得層向け保険)の予算に近い。

・連邦政府の支払う金利には10年後に差し引きで年間9280億ドル。同じ年のメディケア(高齢者向け保険)予算を17%上回り、防衛費以外の政策支出すべてを合わせたコストより82%多い。
・いずれ米国の富の大量移転を象徴。向かう先は海外、特に米国債の多くを握る中国。

・オバマ大統領の諮問機関で超党派からなる財政責任・改革委員会のメンバー、トム・コバーン上院議員(共和、オクラホマ州)「われわれにとっての脅威は、自らの運命が自分たちによってコントロールされないこと」「スパイラル的な状況悪化の可能性は高く、低くない」。
・米国科学アカデミーが資金提供した最近の調査⇒米国は2030年までに毎年GDPの7%、つまり2兆5000億ドルを金利として海外に移転。

⇒「米国経済がなぜ破綻するのか

2011年3月8日火曜日

「保護する責任」は「文民」を保護しない---リビア情勢ではっきりしたこと

「保護する責任」は「文民」を保護しない---リビア情勢ではっきりしたこと

 NATOがリビアの24時間監視体制に入ったとCNNが伝えている。
NATO starts 24/7 surveillance of Libya

 本格的なリビアの民衆蜂起が始まって1月近く経つ。犠牲者は確認されているだけで1000人を超え、負傷した人々は限りない。出稼ぎ労働者を含む難民・国内避難民は40万人を突破しただろうか。

 この間、米英仏やEU/NATO諸国など、「保護する責任」や「人道的介入」を推進してきた国々は何をしてきたのか。一般市民の犠牲を増やさないために、紛争を調停し、戦闘行為を即時停止させる、そのために何をしてきただろう。自国の経済的権益を守り、武力介入のための国際的・国内的合意形成をはかる、それだけではなかったか。

 おそらくこのブログの読者の中には、「保護する責任」や「人道的介入」論に関心を持つ研究者やその卵、学生、NGO関係者の人もいることと思うが、これらに対する少しは予備知識を持つ者の結論として言えば、「保護する責任」は紛争の犠牲になる人々を保護しない。その決定的な理由は、内戦などの国家内の武力紛争が起こった際に、国連や地域機構が紛争調停能力もその意思も持たないからである。

 国連に紛争調停機能やそのための組織がないわけではない。しかし事実上、まったく機能していない。そして国連事務局・事務総長、安保理、常任理事国のすべてが「外野席」からカダフィに攻撃をやめろだの、辞任しろだのを叫ぶだけである。

 国連や関係諸国は、武力紛争が起きたときに、「文民保護」において最も重要な、調停による戦闘行為の中止のために全力を尽くそうとしない。本来一番最初にやるべきことを、やろうとしない。「文民」を見殺し状態のまま、放置する。武装勢力への軍事援助を含めた、武力「介入の責任」を果たすために時間稼ぎをし、そこに論点を飛躍させようとする。 これが「保護する責任」の「第二の柱」から「第三の柱」への移行過程のリアル・ポリティクスである。

 理論としても現実政治に照らしても、it doesn't work!
 これが私の結論である。

Hallelujah John Cale
 
2011.3.8
中東の衛星テレビ、アルジャジーラは8日までに、リビアの最高指導者カダフィ大佐が反体制派に対し、自らと家族の安全の保証と、反体制デモに対する弾圧について罪に問われないことを条件に権限を移譲する退陣提案を行ったが、反体制派が7日に拒否したと報じた。

欧米諸国から退陣を求められ、国際刑事裁判所(ICC)による訴追も必至の情勢下で、カダフィ氏が「名誉ある撤退」を模索している可能性もあるが、真偽は定かではない。反体制派はあくまでもカダフィ氏の無条件での即時退陣を求めている。

カダフィ政権は国会に当たる全人民会議を開き、「条件付き退陣案」について詳細を話し合う計画を反体制派に伝えたという。政権側は首都トリポリや地中海沿岸の中部にあるカダフィ氏の出身地シルトを守るため、反体制派が掌握した都市の奪還を狙い攻撃を続けているが、激しい抵抗に遭っている。(共同)

2011.3.7
7日付の英紙インディペンデントは、米政府がサウジアラビアに対し、リビアの反体制派へ武器を提供するよう水面下で依頼していたと報じた。同紙によると、米政府は反体制派がカダフィ政権の部隊に対抗するため対戦車ロケット弾や地対空ミサイルなどを必要としているとサウジ側に打診。これまでのところ、サウジ側は依頼に応じていない。

サウジ側が武器を提供すれば、米国は長期化するリビアでの攻防に直接の介入を回避でき、飛行禁止区域の設定を求める圧力も弱まる、との狙いがあるとしている。(共同)

飛行禁止の決議案に着手 英米仏、リビア上空に
【ロンドン共同】ヘイグ英外相は7日、英国などがリビア上空に飛行禁止区域を設定する国連安全保障理事会決議の草案作成に着手したことを明らかにした。議会で表明した。米CNNテレビは同日、英国と米国、フランスが作成作業を開始したと報じた。安保理常任理事国の間で対応が分かれる飛行禁止区域設定をめぐり、決議案作成に向けた具体的な動きが明らかになったのは初めて。 

ヘイグ氏は「安保理のパートナーと緊密な協議を行っている」と述べた。 飛行禁止区域の設定は、カダフィ政権側による反体制派拠点などへの空爆を阻止するための最も重要な措置。反体制派がつくる「国民評議会」も国際社会に対し設定を求めている。 しかし、リビアの制空権確保の難しさやそれに伴う軍事力行使などを理由に慎重論や反対論も根強い。

2011年3月6日日曜日

Dancing with Qaddafi ---カダフィを愛した国々

Dancing with Qaddafi ---カダフィを愛した国々

Roman Ruins: How Muammar al-Qaddafi hoodwinked Italy for decades Foreign Policy MARCH 3, 2011
U.S., British officials benefited from thaw in Libya relations Some who led effort to end sanctions in 2003 later did business with Gadhafi regime/ NBCNews updated 2/28/2011
UK charm offensive preceded Lockerbie bomber's release Report shows Blair and Brown wooed Gadhafi to keep big commercial deals alive/ NBCNews

セイフ・アルイスラム・カダフィ国際慈善基金総裁(リビア)の訪日(2005, 4月3日~9日)
逢沢総理特使のエジプト、リビア訪問(2004, 6月6日~11日)
財団法人中東協力センター(JCCME)
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)・アフリカ

「軍事介入はまだ早い」?---日本の新聞メディアの蒙昧

「軍事介入はまだ早い」?---日本の新聞メディアの蒙昧

 毎日新聞の「社説:リビア情勢 軍事介入はまだ早い」を知らせてくれた人がいる。その結論部分はこうだ。

軍事介入の可能性を頭から否定することはできない。このままではリビア情勢はきな臭さを増すばかりだろう。しかし、まずは欧米やアラブ・アフリカ諸国などが協力してリビアとのチャンネルを探り、カダフィ氏の退陣を根回しすることが大切だ。40年以上リビアに君臨してきたカダフィ氏も、国民全体の幸せのために身の振り方を考えるべきだ」

 「まずは(?)欧米やアラブ・アフリカ諸国などが協力してリビアとのチャンネルを探り、カダフィ氏の退陣を根回しすることが大切」・・・。 
 いろんなアレヤコレヤを書いてはいるが、毎日新聞は海外の武力紛争(内戦)の解決のために、「軍事介入の可能性を頭から否定」しないと公言し、「まずは・・・」論を展開するようになった。
 「カダフィ氏も、国民全体の幸せのために身の振り方を考えるべき」? 
 毎日新聞は、相当カダフィに対する思い入れと、思いやりがある会社らしい。

 一方、朝日新聞。「リビア争乱―民主化勢力への支援を今」(すぐにネットで読めなくなるから注意)。こちらもいろんなことが書いてある。

・「追い詰められた権力者の凶行をやめさせ、国民の流血を止めるために、国際社会は何ができるだろうか。一部で外国軍の介入を求める声が出ている。しかし、問題は簡単ではない」。その通りだ。
・「紛争地や強権体制に対する国連や欧米による軍事介入は、1990年代にソマリアやセルビアに対して前例がある。しかしソマリアでは失敗し、セルビアでも多くの民間人が巻き添えになった」。これもその通り。
・「「独裁からの国民の解放」を掲げて米英が行ったイラク戦争がどれほど大きな混乱を生んだかは記憶に新しい」。Indeed.
・「国際社会による直接の軍事介入は禍根を残すことになりかねない。カダフィ体制との戦いはリビア国民の手にゆだねるしかない」。exacto!

 で? で、どうするのか。
・「国際社会はリビアの再出発を助けるために、医療や食糧をはじめとする緊急の人道支援と民生援助を始めるべきである。特に民主化の支援は重要だ」・・・。 緊急人道支援・民生援助・民主化支援を一体化して進める? 内戦状況の中で、誰が、どのように、どのような「民主化支援」を行うのか。武装し、反政府勢力と一緒に戦うのだろうか。  
・「大佐が「人民主権の直接民主主義」としてつくりあげた「ジャマヒリヤ」体制は憲法も、議会も政党もなく、大佐の個人独裁になった。カダフィ体制は清算しなければならない。しかし、体制が崩壊したために生じる秩序や治安の混乱を修復するために、軍や部族が各地で支配する状況になれば、国は分裂し、本来の民主化の動きとも逆行する」・・・。 そんなことは、みんなわかっている。だから、どうすればよいのか。

・「民主派が押さえた地域に展開し、警察活動と人道、民主化支援をする国連平和維持活動(PKO)を、国際社会は今後検討することになるだろう。体制崩壊を待つのではなく、今から支援と準備を始める必要がある」・・・。
 「体制崩壊を待つのではなく」、「支援と準備を始める」? 誰が、何の「準備」するのだろう。朝日新聞社が、何をするのかは知らないが、社を挙げて何かの「準備」をするのだろうか。

 内戦状態のまま、「警察活動と人道、民主化支援をする国連平和維持活動(PKO)」が介入できる「支援と準備」・・・。 この人物はいったい何を書いているのか。まず、すべての武力紛争当事者による戦闘行為の中止の呼びかけが第一に来なければならないのではないのか? チャベスでも誰でもよいから仲介に入り、国連で使節団なり委員会を作るなどして、粘り強く調停の努力をすることが先決ではないのか。
 
 今のところ、反政府勢力の代表と思しき連中は、カダフィとの対話を拒否している。つまり、内戦が調停によって停止する見込みは、今のところない。しかし、その努力を続けない限り、一般市民、非戦闘員の犠牲は増えるだけになる。ゆえに、国連PKOを云々できる/すべき状況ではまったくない。
 一見、軍事介入を否定しているかのように読めるこの社説。朝日は、紛争当事者間の和平合意の成立を前提する国連PKOの介入を、その条件がない状況の中で論じ、しかも「体制崩壊」以前にそれを前提にした「支援と準備」を読者に呼びかけている。 無茶苦茶、と言うより他はない。無知蒙昧もはなはだしい。

 さらに、2月24日付の読売の社説「リビア騒乱 産油国に及んだ独裁打倒の波」。
・「リビアの混乱が長期化すれば、国際経済への悪影響は避けられない。日本も打撃を免れない」・・・。読売新聞が心配するのはリビアの「混乱」? 石油高騰による「経済への悪影響」、その日本への「打撃」? それだけ? 

 で。読売新聞は、何をどうすべきだと言うのか。
・「独裁体制が倒れたアラブの国々で新たな秩序は樹立できるのか。真の試練はこれからである」・・・。 誰の、どういう「試練」だろう。「独裁体制」を支えてきたのは誰なのか、読売新聞は「アラブの国々」の「独裁体制」を一度でも批判したことがあっただろうか?

 これらが「豊かな国際感覚」を自画自賛する、日本の新聞「ジャーナリズム」の「言論」の現実である。もう少し、マトモなことが書けないものか。

州予算削減と反労働組合法に対する抗議運動 全米に広がる

州予算削減と反労働組合法に対する抗議運動 全米に広がる

⇒「「民衆のパワー」がウィスコンシン・マジソンから全米へ」より
⇒「米国の「民衆のパワー」より

 Madison Rally Bigger Than Biggest Tea Party Rally/ Police estimated up to 100,000 people turned out in Madison, WI yesterday to protest Gov. Scott Walker’s (R) assault on unions. (3月13日のAlternetの記事から

Washinton Postの特設ページ
Protests over state budget cuts, anti-union bills spread throughout U.S.

武力「介入の責任」に動き出す英仏

武力「介入の責任」に動き出す英仏

安保理決議へ英と協力=リビア飛行禁止―仏外相 
3月6日(日)【パリ時事】
ジュペ仏外相は5日、記者団に対し、リビア上空への飛行禁止区域設定で「国連安保理決議採択に向け英国と協力している」と述べた。AFP通信が伝えた。飛行禁止区域に前向きな英国に対し、ジュペ外相はかねて安保理での明確な決議が必要との立場を示している。 同外相は記者団に「われわれは、自由獲得と民主的な体制移行を願う全ての人々の味方だ」と言明。リビアのカダフィ政権を離れ反政府派に合流したオベイディ前公安書記(公安相)と、5日朝に電話で話をしたことを明らかにした。

⇒「リビア:NATO 介入支援を準備で合意」(毎日)
・北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)は2日、ブリュッセルで大使会合。リビア情勢への対応を協議、国連安保理から要請がある場合に備えて介入支援の準備を進めることで合意。
・「飛行禁止空域」の設定や、国境地帯に殺到している避難民の救援作戦が討議。現時点での本格的な軍事介入の是非については不一致。
・「リビアにおける暴力行為と人道状況」に全加盟国が懸念表明。国連や欧州連合(EU、加盟27カ国)と連携し「あらゆる事態」を想定して支援の用意を整えることを確認。
・ヘイグ英外相は2日、リビア反体制派に合流したオベイディ前公安相との電話協議で「飛行禁止空域の設定を含む対応計画を立案中」と説明。ジュペ仏外相によると、フランスはNATO大使会合で軍事介入への「慎重姿勢」を表明。
・フランスは2日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの要請を受け、チュニジア国境に殺到しているエジプト人労働者の帰還を支援するため、ヘリ空母をリビア沖に派遣すると発表。英国も帰還用チャーター機をチュニジアに。
・EUのバローゾ欧州委員長は2日、国境地帯の人道状況の悪化を踏まえ、避難民に対する人道支援を先月25日に表明済みの300万ユーロ(約3億4000万円)から1000万ユーロ(約11億3500万円)に増額すると発表。

⇒「リビア反体制派、半年以内の選挙目指す 暫定政権へ調整」(朝日)
・反体制派が5日、東部ベンガジで国民評議会の発足に向けた初会合。アブドルジャリル前司法書記(法相)を議長とする同評議会を運営母体として暫定政権をスタートさせることで最終調整。
・国民評議会は、暫定政権下での最高意思決定機関の位置づけで、民主的な選挙を経て新政権を発足させるための準備をするのが目的
・首都トリポリなど各都市からの代表者に、人口比に応じた議席を配分。軍に代わる軍事評議会を傘下に設置し、国民評議会の指示の下で治安維持。軍事評議会の代表者や、反体制デモに参加した若者の代表らにも議席を振り分ける。民意を反映した暫定政権との位置づけ。定数30議席程度。
・いつまでにカダフィ政権を崩壊に追い込めるかの見通しはない。リビア西部と東部で激化している政府軍による攻撃で多くの死傷者。反体制派の指導者には様々な意見。暫定政権が構想通りに進むかは、前法相が反体制派内を一つにまとめる指導力を発揮できるかにかかっている。  

2011年3月4日金曜日

「保護する責任」を推進するNGOの何が問題なのか?

「保護する責任」を推進するNGOの何が問題なのか?

 リビア情勢が緊迫の度合いを強めている。米国、英国、中国が「避難民救済」を口実に海軍を地中海に向けて派兵し、これにドイツとカナダ(「保護する責任」(R2P)の最大推進国家)が続き、さらにフランスが反政府武装勢力の支援を行う、といった事態が急ピッチで進行してきた。R2PにNO!という責任を感じる者としては、これをプロモートするNGOをどうしても問題にせざるをえない。R2P推進国際NGOネットワーク、ICRtoPに所属する団体の関係者が、R2Pの支持を再検討するキッカケになればと思う。


 最初に指摘したいのは、「第二の柱」=経済制裁状況下において「人道・難民支援」で大国の軍隊が動くということは、それ自体が武力「介入の責任」=「第三の柱」に移行する軍事的態勢に入ろうとしている/入っているということであり、R2P推進派の国際NGOが、そうした軍事介入の「水先案内人」の役割を果たしていることである。

 国家が軍を動かす/動かしたいときには理由付けがあればよい。その理由付けを国際法や国内法によって支えることができれば、国家としては申し分ない。さらに動くことが「国益」や国家戦略に叶うなら、政府は軍を無条件に動かすのである。「人道支援」は政府/軍にとって、もっとも動きやすい理由付けになる。

 NGOは「人道支援」は「政治とは無関係であり、中立」という。しかし、どこにどれだけの国費を出して人道支援を行うか、それ自体が政治的判断抜きにはありえない。軍が動く場合には、それはもっと戦略的になる。
 R2Pを推進するNGOは、介入後の戦略を練りながら軍を動かす各国に対し、もっと急げと「提言」していることになる。つまり、自分たちの主張によって国や軍が動いたときに、その結果生じることに責任を取れなくなってしまうのだ。自分たちがその結果に対して責任を取れないにもかかわらず、それを「やれ」と国家に対して提言していることになる。

 軍が動き始めた時点で、その後の意思決定にNGOは関与しようがない。提言によって軍事大国が介入し、作戦過程で非戦闘員の犠牲が出ても、そのことにNGOは責任を取れない。取りようがない。せいぜいできることは「遺憾」声明をだすことくらいのものだ。もしもリビアへの武力介入=戦争が決行された場合、NGOは戦争を止める側ではなくそれを促進する側に回ってしまうのである。これが一点目である。


 二点目は、"positionality"の問題である。自分たちがどういう立場に立っているか、それを踏まえた上でどういう立場から、国家や国連に対し何を提言すべきなのか。

 ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)に関して言えば、①「自由権」中心主義、かつ②「人権」中心主義的に、脱植民地化の過程で軍事独裁国家になった国々のジェノサイド以下の四つの犯罪にアプローチする、その限界性の問題がある。HRWは「それこそが自分たちの専門である」と言うかもしれない。しかしそれでは問題は何も解決しないし改善もしない。

 過去にカダフィが行った大量虐殺(カダフィは否定)やその他の人権侵害の事例をみるなら、今回のような事態が起こりうることは誰もが十分に予想できたことだ。しかし、すべての安保理常任理事国、ドイツ、イタリア、カナダなどは、前回の対リビア制裁の以前・以後において、油田開発の権利の見返りに、軍事援助と開発援助をしてきた国々である。(日本は軍事援助こそしていないが、制裁解除以降、油田開発とインフラ開発の契約をカダフィと交わしている。) 

 これらの国々はすべて、民衆虐殺を行ってきた軍事独裁政権を、石油産出国であるというその一点において容認し、ありとあらゆる類の武器貿易の顧客とし、軍や武装警察の訓練(ドイツ)などを行ってきた。米国に関して言えば、ブッシュからオバマへの政権交代以降も、ブッシュ時代の対リビア政策を変えることなく今回の事態を迎えることになる。

 人権問題を棚上げにして進められてきたこれらの国々による軍事援助の停止、民衆の血に染まったカダフィ一族との癒着・腐敗構造の解体。こうした提言活動の積み上げなきR2Pの推進は、ただ単にカダフィを切り捨て、新政権の下での石油利権の回復、軍事援助の再開、復興人道支援を通じた新たな癒着・汚職・腐敗の構造を生み出すだけになる。実際、すでに欧米諸国は反政府勢力との接触を深め、その方向に向けて動き出しているのである。


 人権侵害の克服が、人権侵害の告発・懲罰化・投獄によってはもたらされないように、独裁国家や抑圧的国家の人権侵害も、それが生み出される国家の統治システム、経済・社会・宗教・文化の構造、それらを支える法制度、その歴史性、さらには対外関係がはらむ問題等々の改革抜きに、犯罪責任者を国際刑事裁判所に突き出し、裁きを受けさせるだけでは何も解決しない。まして権力者の首を挿げ替えてどうなるというものではない。人権侵害の克服とは、一個人、社会、国家、世界の価値観や関係そのものの〈変容〉の問題なのだから。

 こうした観点からみると、人権侵害の克服に人権NGOが果たす/果たせる役割が、きわめて限定的なものでしかないことがわかる。具体的に言えば、カダフィの「戦争犯罪」を阻止するためには、それが起きる以前からそれが起こらないように、人権NGOは他の分野で活動するNGOとのネットワークの形成によって「アオボカシー」や「プロジェクト」を行う必要がある。そういうICRtoPの姿が過去と現在のR2Pキャンペーン活動の中に確認できるかどうか。これが三点目である。


 ICRtoPのキャンペーン活動の問題性は、とくにアフリカの反「ジェノサイド」キャンペーンに端的に現れている。

 スーダンやコートジボワールをはじめ、アフリカの独裁的・抑圧的国家のほとんどすべては、リビアやエジプトから軍事援助と政治的・経済的バックアップを受けてきた国々である。つまり、欧米や旧ソ連時代からのロシアなどのリビアに対する軍事援助が、リビアを通じて他のアフリカ諸国にも回り、それによってカダフィはエジプトや南アに対抗するアフリカ内の「覇権」を形成してきたのである。これらの人権侵害国家は、欧米・ロシア・中国からの直接軍事援助・武器輸入だけでなく、リビア・エジプトなどからも二重にそれを受けてきたことになる。

 アフリカで展開されてきたこのような二国間・多国間の軍事・政治・経済的関係を構造的に捉え、問題化することが重要である。ある国で起きた「ジェノサイド」を、この構造から切り離し、その国一国の問題として論じ、介入を主張し、責任者の処罰(のみ)を目的にするという在り方は、きわめて限界がある。いや、限界があるというより問題を放置し、事態の悪化を招くだけだ。「紛争予防」が紛争の予防にならず、「紛争解決」が紛争を解決せず、紛争をくり返してきたこうした国々に生きる人々は、まさにこの構造に呪われ続けてきた人々なのである。


 ジェノサイドや民族浄化を阻むことを、国際法や国内法の問題として考えた場合、「自由権」の保障だけではとても対処しきれない。ジェノサイドや民族浄化のターゲットとなる人々の、「自由権」を基礎とした「集団的権利」が保障されることが必要条件になる。人種的・民族的・宗教的少数者を始めとするマイノリティや先住民族の集団的/個人的権利の保障の問題である。

 ICRtoPが人権分野においてすべきことは、国家や国連安保理・人権理事会に対し、自治や自己決定などのマイノリティや先住民族の集団的/個人的権利を〈保障する責任〉を提言することだ。とりわけ、その責任を認めようとしない常任理事国やカナダ、オーストラリア政府などに対して。日本政府に対しても。

 人権を語る「保護する責任」の人権論に欠落しているもの、それがこの〈保障する責任〉である。 国際人権法、国際関係論、開発論、「紛争予防・人間の安全保障・平和構築」の三位一体論、「国際安全保障」論などからR2pの「意義」をうったえる大学研究者やNGOは、「保護する責任」以前的な〈保障する責任〉の欠如をこそ問題にすべきなのである。

2011年3月3日木曜日

大学教師のあなたへ、非常勤のあなたにも

大学教師のあなたへ、非常勤のあなたにも

 「続・大学を解体せよ」を書き始めるときに、このビデオのことも盛り込みながら話をしようと思っていたのだけれど、いろんなことを書いているあいだに機会が見つけられないでいた。
Changing Education Paradigms ---The RSA

 あんまり関心のない人は、こちらでコーヒーブレイクを。
Ko to tamo peva

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中学教科書、25%ページ増=脱ゆとり、イオンや文豪復活―全社が竹島・尖閣記述(時事通信 3月30日(水))
 文部科学省は30日、2012年度から中学で使用される教科書の検定結果を発表した。新学習指導要領に基づく「脱ゆとり」路線が、昨年検定対象となった小学校教科書に続いて鮮明になり、全教科の平均ページ数が現行版と比べて25%増え、理科と数学はそれぞれ45%と33%増加。イオン(3年理科)や2次方程式の解の公式(3年数学)などが本格的に復活した。
 「我が国と郷土を愛する」とうたった改正教育基本法を反映し、領土に関する記述が増えた。社会の教科書を発行する全7社が竹島と尖閣諸島について触れ、「日本国固有の領土」などと書き込んだ。「伝統文化」の記述も、各教科を通して増加した。
 現行学習指導要領下で学ぶ内容を大幅に削減した00年度検定(02年度使用開始)以来、10年ぶりの全面的な見直し。当時と比べると、ページ数は全教科平均で36%、理科78%、数学63%の増に達した。国語は森鴎外など近代以降の代表的作家の作品が充実、社会は国内各地域の学習などが復活し、英語は取り扱う単語が900語から1200語に増えた。
 各社は、知識詰め込みに戻るのではなく、論理的に考え、表現する力を育成することや、知識と実生活を関連付けることに工夫を凝らした。一度学んだことを復習させ定着を図る「反復」もふんだんに取り入れられ、数学では全体の2~13%を占めた。ただ、02年度から実施されている週休2日制は変わらず、授業時間の増加は学習内容増に追い付いていない。同省は「全てを教える必要はない」としており、今後は学校現場の工夫が必須となる。

2011年3月2日水曜日

ナノテクノロジーの「リスク」

ナノテクノロジーの「リスク」

「市民科学研究室」
ナノマテリアルの生態系影響
フードナノテクノロジーの社会的影響を考える報告書


「化学物質問題市民研究会」
『ナノテクとナノ物質 どのように使われているか? 何が問題か?』

「人道主義+介入主義=人道的帝国主義」---なぜ、この足し算が難しいのか

「人道主義+介入主義=人道的帝国主義」---なぜ、この足し算が難しいのか


 米軍が動き出した。NATOも動こうとしている。「リビアにいる人の緊急避難や人道支援に備えるため」に。 21世紀の新たな「地球規範」として6年前の世界サミットで「全会一致で確認」された「保護する責任」を負う安保理常任理事国として。
 米国は「人道的介入」の「権利」ではなく「責任」がある。これが、1990年代に国際的に議論された「人道的介入の権利」論と「保護する責任」の決定的違いだ。同じく英国、フランス、NATOも「保護する責任」を果たすべく動く体制に入ろうとしている。

 今は、「保護する責任」(R2P)の「第二の柱」、「平和」的「介入の責任」(非軍事的強制措置)の段階である。これが「第三の柱」、武力「介入の責任」(軍事的強制措置)に移行するためには、
①米軍と少なくとも英国軍その他数カ国の有志連合軍が、
②国連安保理の武力介入決議に基づき、安保理からその決議の実行を「授権」されるかたちで、
③国連憲章で保障されているリビアの「主権」に武力介入し、
④カダフィ軍との戦争を経て、カダフィの軍事的排除⇒暫定政権樹立、という流れになる。
 その武力介入の第一段階が、カダフィ空軍の飛行禁止空域の強制⇒違反した場合の軍事基地への空爆である。

 これを「人道的帝国主義」などと批判するのはとんでもないことだ。すべては①国連憲章の規定と手続きに従い、②リビアの人々を独裁者による虐殺から解放するという、きわめて「人道的」な見地からなされる、③他の「平和」的手段が尽きた後の「最後の手段」として行われるからである。
 「保護する責任」によって派生するすべての責任は、「保護する責任」を果たせないカダフィ一党にある。「責任」の履行の過程で「文民」の犠牲が生まれることは大変「遺憾」なことだ。「文民」には前もって深い哀悼の意を表しておきたい・・・。


 「人道主義+介入主義=人道的帝国主義」という一見、簡単そうにみえる足し算ができないことがある。
①「人道主義=〇」「介入主義=×」の「〇+×」が〇になるのか×になるのか、判断停止に陥ってしまう場合と、
②介入主義は×だが、それを人道主義の〇が相殺する以上にプラスに転化し〇にする、と考える二通りの場合がある。
 どちらも〇、あるいは×だという人は、悩むことを知らない人である。

 「「保護する責任」にNO!という責任--人道的介入と「人道的帝国主義」」の下段で紹介した『人道的帝国主義』の著者、ベルギーの理論物理学者ジャン・ブリクモンは、ヨーロッパの「伝統的な左翼思想」に基づきながら、「人権」擁護の旗の下でNATOの域外介入を容認していったヨーロッパ左翼の転向を痛烈に批判している。
 つまり、ヨーロッパ左翼の多くが、上の①と②に陥り、①の人々は沈黙し、②の人々は「人道的帝国主義」を支持する側に回ったのである。ジェノサイド、民族浄化、戦争犯罪、人道に対する罪と疑われる事態に直面し、悩んだヨーロッパ左翼が総崩れしたのである。ドイツの「緑の党」を含めて。それまで反戦派リベラルであった人々とともに。

 このブリクモンの転向左翼批判は、今でもかなり有効だと思う。悩める左翼の人々にとっては。
 しかし一方で、踏まえておかねばならないのは、「アメリカ帝国主義」や「ヨーロッパ帝国主義」のやることはすべてが無条件にペケ、と主張しがちな左翼主義は、特に悩むことを知らないそれは問題解決に道を開かないことだ。

 「人道的帝国主義」の何に、なぜ反対するのか。その論理と倫理がなければ、今度は「人道的帝国主義」を批判する独裁や抑圧的な体制の側のキャンペーンに巻き込まれ、からめとられてしまう。イランはすでにそれを始めているし、カダフィもそう叫んでいる。古典的な「反帝国主義」論の延長で語るだけでは、「虐殺を見過ごすことは許されない」というそれ自体は人間として誰もが当然もつ倫理観や道理を、メディアを総動員しながら強烈に押し出してくる「人道的帝国主義」の対抗言説を創出することはできないのである。
 それを私は1990年代の最初と最後に米国で目の当たりにした。私自身もかなり危ういところまで行った。「人道的介入は必要悪ではないか?」という思いを、長い間、引きずる羽目に陥ったのである。
 だから難しい。だから、誰もが自分の頭でしっかり考える必要があると思うのだ。

 ともあれ、日本は「平和」だ。リビアで、アフリカで、パレスチナ・中東で何があろうと、この国はそんなこととは無関係にすべてが他人事顔、ユルい感じで、21世紀の新しい〈地球規範〉となった武力行使に協力し、加担することになるのだろう。リビアではなくとも、どこかで。
 少なくともこのブログを見てくれている人は、それが誰であろうと「人道的帝国主義」にNO!という論理と倫理を考え、それが何でも何かをしてほしい。できるなら、できるだけ。


 国連安保理の対リビア制裁決議の落とし穴と抜け穴

 このページの一番下のワシントン・ポストの記事。ほんの一例に過ぎないが、米国、英国、イタリアを始めとした欧米諸国が、いかにリビアの軍事独裁国家を育成し、その軍事的・経済的利権を貪ってきたかが伺える。制裁そのものが落とし穴と抜け穴だらけなのである。

 要は、すべての資産をその情報公開と共に凍結し、国連事務総長あるいは全権特使が早急にリビアに飛び、直接カダフィを説得し辞任させ、凍結した資産を平和的政権交代後のリビアの政権に戻せるようにすればよい。そういう国際的取極めを今回のような事態が他の国でくり返される前に、またリビアへの武力介入が行われる前に、行えばよい。それだけだ。独裁打倒が武装闘争に発展し、さらなる民衆の犠牲や難民を生み出すこともない。

 そういうことをやろうとしないで軍を動かし介入しようとするのが「人道的帝国主義」であり、そういうことを考え、提言しようとしないで「保護する責任」を云々するのが、「市民社会」から「人道的帝国主義」に自ら進んで共犯関係を持とうとする確信犯的な、国際人権・開発NGOなのである。

・at least in the foreseeable future, the effect on Gaddafi's regime may be limited as well, despite the freeze on Libyan assets imposed by the United States, the United Nations and Britain, and being debated by the European Union
・Gaddafi can fall back on as much as $110 billion in foreign reserve holdings to fund its operations for perhaps months to come
・The reserves managed by the Central Bank of Libya would be enough to cover the country's imports for about three years
・ENI, the Italian oil giant that produces about a third of Libya's petroleum,

U.S. firms courted Gaddafi and his family after the lifting of the earlier sanctions, which were imposed on Libya because of its involvement in the bombing of PanAm flight 103 over Lockerbie, Scotland, in 1988. The Carlyle Group, a District-based private equity firm, hosted a high-level reception for Saif al-Islam Gaddafi in 2008. Among the invitees were Frank C. Carlucci, a former U.S. defense secretary, and C. David Welch, a former assistant secretary of state for Near Eastern affairs who currently serves an executive with the engineering giant Bechtel

・the investments by the Gaddafi family or the Libyan government include Saadi Gaddafi's $100 million stake in a Hollywood production company, Natural Selection; a 7.5 percent share in Italy's UniCredit bank; part ownership of the Juventus soccer club; and about 3 percent of the stock of the United Kingdom-based Pearson media company, owners of the Financial Times and Penguin Books

・After students at the London School of Economics occupied administrative offices in protest, the university officials said they would forgo the remainder of a roughly $2 million pledge from Saif Gaddafi to the school and would set aside the about $500,000 already received into a scholarship fund for Libyan students. The younger Gaddafi received his doctorate from the school

・・・・・・・・・・・

【3月2日 AFP】ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防総省は1日、リビアにいる人の緊急避難や人道支援に備えるため、強襲揚陸艦キアサージ(USS Kearsarge)など米海軍の艦艇数隻を海兵隊員400人とともに地中海に派遣したと発表した。キアサージは「近いうちに」紅海(Red Sea)からスエズ運河(Suez Canal)を通って地中海に入るという。

 ゲーツ長官は、リビア以外の中東の国での米軍の活用についても考えなければならないとしつつ、人道支援を超える介入については、アフガニスタンで実施中の作戦におよぼす影響や、中東・北アフリカで米国の軍事行動に対する反感が強まりかねないことを考慮する必要があると述べた。(c)AFP/Dan De Luce

【ワシントン共同】ゲーツ米国防長官は1日の記者会見で、緊迫するリビア情勢を受け、米軍の強襲揚陸艦など2隻と海兵隊員約400人を地中海に派遣したと明らかにした。人道支援や避難民の救援活動が目的としつつ、オバマ大統領による最終決断のため「あらゆる選択肢を用意している」とも強調した。 ただ、リビアへの軍事介入について「介入を容認する国連安全保障理事会決議もなく、北大西洋条約機構(NATO)諸国の間でも意見が一致していない。注意深く考えないといけない」と述べ、慎重姿勢を示した。同席した米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長はリビア上空を飛行禁止区域に設定することについて「非常に複雑な作戦だ」と難しさを強調した。

 ゲーツ長官はイラクやアフガニスタンへの米軍駐留を踏まえ「新たな国に米軍を投入するには熟慮が必要だ」とも語り、軍事介入がアフガン戦略などに影響する可能性を指摘した。 ロイター通信によると、エジプト当局者は1日、米海軍の強襲揚陸艦「キアサージ」と輸送揚陸艦「ポンス」の2隻が2日朝、スエズ運河を通過して地中海に向かうと明らかにした。キアサージは海兵隊員約2千人の輸送が可能。また米駆逐艦バリーも2月28日、スエズ運河を通過して現在は地中海南西部に展開しているという。

UN urges mass Libyan evacuation BBC
Libyan Rebels Said to Debate Seeking U.N. Airstrikes NYTimes
Despite sanctions, Libya holds extensive reserves W.Post

2011年3月1日火曜日

国連安保理のリビア制裁決議について考える

国連安保理のリビア制裁決議について考える


 周知のように、現地時間の先週の土曜(2/26)、国連安保理の対リビアの経済制裁が決議された。カダフィや軍人などの資産凍結、武器禁輸措置、そしてカダフィの「人道に対する罪」をめぐる立件化に向けた国際刑事裁判所への捜査要請などだ。過去の制裁決議との対比から、「異例のスピード」で決議があがったとも言われている。

 しかし、ほんとうにそのように肯定的に評価することができるのだろうか。カダフィの訴追の問題は後に述べるとして、軍や傭兵、武装警察などに殺される側の者たちから言えば、逆に、民衆蜂起が起き、空爆のみならず数百人規模の死者が出て、14万人近い(それ以上?)難民を出す事態を招いているというのに、なぜ弾圧と虐殺の責任者に対する資産凍結と武器禁輸措置にここまでの時間がかかったのか、こちらの方が検討され議論されるべき問いではないのか。

 制裁そのものは国連加盟国とリビアという国家間のものであって、一市民の立場から言えば、具体的制裁の細目が当該国家の人々の生活にどのように影響するかを第一の基準にして考えるべきである。つまり、カダフィ一族やその取り巻きを権力の座から引きずり下ろすために、リビアの民衆の生活を犠牲にするような制裁には反対するという立場に私自身は立っている。
 今回の資産凍結と武器禁輸措置に関して言えば、民衆の生活とは何の関係もないことであり、その意味において私は当然の措置だと考えている。むしろあまりに遅すぎたこと、そしてポスト・カダフィ体制においてもその措置を継続しながら、リビアと周辺諸国の脱軍事化を促進することがきわめて重要な問題である。

 ヒューマンライツ・ウォッチやオクスファムを含む「保護する責任」論者は、次のことを真剣に考えてみるべきだ。 まず、カダフィが民衆蜂起を武力鎮圧しようとした時点で国連安保理が資産凍結と武器禁輸措置を取るために「保護する責任」など必要ないこと。ある一定の国際的合意(基準)の下に、民衆に銃口を向け、虐殺する国家の責任者集団に対する迅速な資産凍結や一切の武器禁輸措置を取る新しい国際条約を制定すればよいだけである。

 つまり、「保護する責任」の致命的な問題は「第三の柱」の武力「介入する責任」(軍事的強制措置)の地球規範化のみならず、「第二の柱」(非軍事的強制措置)の細目をめぐる安保理内部および常任理事国内部の裏工作に時間がかかりすぎ、その決定と実施が国家(や武装勢力)の民衆虐殺の度合いに応じて移行す、そのグロテスクなあり方にある。もっと分かりやすく言えば、「保護する責任」の実態とは、安保理と常任理事国が民衆虐殺を国連加盟国を代表して「値踏み」する「責任」なのである。

 いったいどのようなカダフィとの利権構造が国連安保理と常任理事国に民衆虐殺を「値踏み」させ、虐殺の共犯者としているのか? 一般に安保理決議があがったところで、個々の国家にその意思がなければ、制裁は抜け穴だらけとなり何らの効力も発揮しない。今、私たちに必要なことは、今後この「値踏み」がいつまで続き、どの国家が虐殺の共犯者を演じ続けるか、それを見極めることだ。それを見極めつつ、さらなる民衆虐殺を招く「第三の柱」への移行にNO!と言うことである。


 いずれにしても「保護する責任」などいらない。
 他人事ではあるけれども、ヒューマンライツ・ウォッチとオクスファムはICRtoPを脱退すべきだと提言したい。

 リビア情勢に関してヒューマンライツ・ウォッチとオクスファムが発した声明は、内容的にはほとんど同じものだった。唯一確信犯的NGOと違うのは、リビア空軍の飛行禁止空域の強制を安保理に(まだ)「提言」していないところくらいのものだ。
 しかし、いやしくも両組織が「人権」を語るのであれば、合法的な政権交代を要求する民衆に対し、国家が銃口を向けたその瞬間に、その政権の正統性は国際法的根拠を失う、そのような新しい〈地球規範〉をなぜつくろうとしないのか。国家の武力行使を前提とした国際人道法体系を、「治安維持」のための軍の出動を当然のことと考える「慣習的」国際法と国法を、20世紀の「残虐な遺産」を乗り越える21世紀の新しい世界を創造する構想力と想像力によって、なぜ脱構築しようとしないのか。

 「保護する責任」は、それによって「保護」されることになる人々を、「保護」する者たちに永遠に「保護」される存在にしてしまう。時と場所、国籍や民族をかえるだけで「保護」されることになる者たちは増え続けるだけである。
 結局、ヒューマンライツ・ウォッチは「保護する責任」の「第一の柱」の「早期警戒体制」の構築にまつわる資金プロー、オクスファムは難民への緊急人道支援で国連と英国政府、日本などの各国から流れる資金フローが問題なのだろうか。

 両組織の日本支部・会員の人々に考えて欲しい。
 なぜ、何のためにICRtoPの「運営委員会」に名を連ねているのか。「虐殺を見過ごすことは許されない」を合言葉に、この10年攻勢的なキャンペーンを展開してきた「保護する責任」推進勢力は、実は民衆虐殺を「値踏み」する欧米諸国・ロシア・中国とともに、弾圧や虐殺継続の共犯者になっている、そのようには思わないだろうか? 

2011年2月27日日曜日

「民衆のパワー」がウィスコンシン・マジソンから全米へ

「民衆のパワー」がウィスコンシン・マジソンから全米へ

 この週末、予想した通りにウィスコンシン・マジソンの「民衆のパワー」が全米に飛び火した。この数週間、マジソンでは最初は1万とか1万5千人といわれたデモ参加者が先々週の週末には3万人、先週には7万とも8万人と言われる数に膨れ上がり、10万人規模の抗議デモ・集会がもたれるにまで爆発した。Democracy Now!が報じている。 ワシントン・ポストの記事では、議事堂内の抗議行動のビデオが観れる。
 結局、日本でもよくありがちの、民主党と共和党のボス交で、誰も満足しない、みんなが頭にくるような法案が深夜に通過したようだ(⇒知事が拒否し、未通過)。日本の報道でも、全米50州にウィスコンシンの行動をサポートする地方公務員労働者のストライキや抗議デモが拡大していることが伝えられている。少し景気付けに。

People Have The Power - Patti Smith

2011年2月25日金曜日

「虐殺を見過ごすことは許されない」?

「虐殺を見過ごすことは許されない」?

 博愛主義者は、人殺しをしない。論争もしない。
 博愛主義者は、人に金を渡し、殺させ、論争させる。
 利子がついて、返ってくることを知っているからだ。

 博愛主義者は、人類の不幸を嘆く。
 「困ったものだ」と眉間に皺を寄せる。
 「どうしたものか」と思案に暮れる。 
 そんな博愛主義者は、今にも死にそうな、飢えて病んだアフリカの子どもたちが大好きである。

 この世は、お金が欲しい人であふれている。
 ソマリアの海賊とイスラム武装勢力を殲滅するために、米国の民間軍事会社に民兵として月100ドルだかで売られ/買われたソマリアの子どもたちもお金が欲しい。
 「保護する責任」で武装し、21世紀の国連のモデル国家となり、日本と同じように安保理常任理事国入りをめざすカナダの民主党党首もお金が欲しい。
 イスラエルの入植政策を批判する国連安保理決議に、またしても拒否権を発動したオバマもお金が欲しい。一期だけで消えるなんてできない。カーターやブッシュ・オヤジの二の舞はまっぴらだからである。
 国連事務局、国連難民高等弁務官事務所、平和構築委員会、日本の国際協力機構もお金が欲しい。緊急人道支援・難民救援活動は21世紀の巨大なグローバル市場となり、巨万の金が流れる超ビッグビジネスになること受け合いである。「バス」に乗り遅れてはならない。

 ハーバードやコロンビア大、distinguished scholarsもお金がほしい。
 パレスチナやアフガニスタンで起きてきたジェノサイドには触れず、アフリカやアジアのそれには信じられないくらい敏感に反応する確信犯的NGOも、そうでないNGOもお金がほしい。
 「イスラエルを批判する者は反ユダヤ主義者だ」とまで言い切ったノーベル平和賞受賞者、アンリ・ヴィーゼルも自分の「平和運動」のためにお金が欲しい。
 みんなみんな、お金が欲しい。
 私だって欲しい。

 「保護する責任」論者は言う。
 「虐殺を見過ごすことは許されない」と。
 しかし、どれだけの虐殺を見過ごしてきたか、いま見過ごしているかは決して自問しない。
 その言葉に欺瞞はないか。慈善と偽善の間にボーダーはあるか。

 博愛主義者の慈愛に満ちた人道主義ほど、この世に恐ろしいものはない。 

2011年2月24日木曜日

ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)とオクスファム(Oxfam)が理解できていないこと

ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)とオクスファム(Oxfam)が理解できていないこと

 「保護する責任」を推進するNGOの国際ネットワーク、INTERNATIONAL COALITION FOR THE RESPONSIBILITY TO PROTECT (ICRtoP)  が22日付でリビア情勢に関する声明を出した。その中で国連に対し以下の「提言」をしている。

1、カダフィ一族およ弾圧関係者への、即時の資産凍結を含む制裁
2、違法な市民への攻撃命令を拒否するリビア空軍のパイロット他の軍関係者の国外亡命先の保証
3、リビアへの武器輸出・軍事訓練の契約と協力関係のキャンセル
4、文民に危害を与えうる物品の商取引を差控えるとともに、武器売買と輸出を防止する禁輸措置の実施

 また安保理に対し、
1、リビア政府への非難とともに、政府・軍による文民に対する攻撃の即時停止と人道支援物資空輸のための空域の回復を指示すること、
2、国連加盟国に上の1から4の措置を取るべく要請すること、
3、2月1日以降の、リビア政府・軍および傭兵による一連の「人道に対する罪」に関する国際調査委員会を設置し、調査委員会が、リビア政府および国際機関が、犯罪の説明責任を果たす措置を取るための勧告をまとめること、
4、空爆がくり返された場合、国連憲章7章に基づき、リビア空軍の飛行禁止空域を設置すること。

 上の個々の内容に私は反対しない。安保理に対する「4」の提言を除いて。
 当然、カダフィは即刻退陣し、流血無き政権の平和的移行がなされるべきだと考えている。外国の介入無き、リビアの人々自身による暫定政権のための、さまざまな民族・「種族」の代表を始めとする「国民(national)フォーラム」が開催され、憲法制定を含めたそのための政治プロセスを国際的にサポートすべきだと考えている。
 しかし、私が「保護する責任」にNO!と言う責任を主張するのは、これらのこととは無関係である。民衆が政権交代を求め、平和的政権交代をするために「保護する責任」など必要ない。「紛争」を解決するためにも必要ない。これが核心点なポイントなのである。

 問題は、アフリカ・中東・アジア・ラテンアメリカで、政権の平和的移行を認めない権力を、戦後66年間に亘りつくってきたのは誰なのか、というところにある。「保護する責任」はその責任を免罪し、「平和」的「介入の責任」と「最終的手段」としての武力「介入の責任」を主張するところに根本的誤りがある。(また、上の「提言」以外にもやるべきことがある。たとえば、欧米・カナダなど「保護する責任」を推進する国家が「紛争」によって難民化する「文民」にもっと門戸を開放すべく、各国政府に対して要求することなどがこれに含まれる。) 

 「保護する責任」を推進する国際NGOネットワークの「運営委員会」を構成するヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)とオクスファム(Oxfam)は、上に述べたことを根本的に理解できていない。ICRtoPには、「保護する責任」の本質を理解した上でこれを推進する、きわめて確信犯的な組織と、比較的そうとは思えない組織が混在している。HRWとOxfamが確信犯的組織なのかそうではないのか、私には分からないが両組織は日本にも支部を持ち、前者は「人権」アドボカシーを行い、後者は人権・開発・救急人道支援活動をプロモートしてきた団体である。

 「保護する責任」のはらむ重大な問題を見過ごしながら、リビア情勢との関係でICRtoPのキャンペーンが日本で展開されることに私は強い懸念をもっている。だから、もう一度論点を整理し、「保護する責任」とこれを唱道するHRWとOxfamの何が間違っているのかを明らかにしたい。両組織の日本支部の理事会・事務局、および会員の人々は、以下の内容を真剣に検討し、内部で議論を深めてほしいと思う。

1、市民組織、NGOは国連あるいは多国籍軍による武力「介入の責任」を容認すべきか?

 国連事務総長報告書にもあるように、「保護する責任」は第一から第三の「柱」すべてを統合した概念である。つまり、第一、第二の「柱」には賛成するが、第三の武力「介入の責任」には反対する、ということはありえないのである。この点をしっかり確認することが重要だ。
 推進派は次のように言う。
 「「保護する責任」は人道的介入や正義の武力行使を目的にしたものではない。主眼はあくまでも国家が文民を保護することにあり、植民地支配の現代版ではない。早期警戒体制の確立などを通じた紛争の予防と、万が一に武力紛争が起こったときの平和的手段による紛争の解決をめざしている。
 ただし、それでも万が一に紛争の解決に失敗したときには、国際社会は座して文民を見殺しにすることは許されない。だから適切な時期に、断固とした方法で、われわれは集団的行動(武力行使)を取り、平和の回復のために全力を尽くす」と。

 もっともらしく聞こえはするが、これは正当化のための論理であり、詭弁である。
 たとえば、上の4「空爆がくり返された場合、国連憲章7章に基づき、リビア空軍の飛行禁止空域を設置すること」が実行されない場合、どうなるのか? カダフィが退陣を拒否し、民衆弾圧を継続したらどうなるか? 「平和」的手段が尽きたらどうするのか?
 これに続く次のステップは、必然的に武力介入によるカダフィ政権の転覆にならざるをえない。カダフィを非難する国連安保理決議の連発に基づき、安保理の承認した多国籍軍がリビアを攻撃し、抵抗軍と戦い、政権転覆をはかり、軍事的占領を通じて「平和の回復」を実現する・・・。こうしたプロセスを経ざるをえないのである。基本的にそれは、イラクとアフガニスタンで行われたパターンをくり返すことを意味する。

 逆に言えば、そういうものとして「保護する責任」は構想され、世界サミットで「確認」され、「履行」段階に現在入っているのである。現在、リビアとともに「履行」の対象になっているのがコートジボワールである。リビアでは武力介入は避けられるかもしれない。しかしコートジボワールはどうするのか、あるいはスーダン、ソマリアはどうするのか。

 HRWとOxfamの日本支部理事会と事務局、そして会員はこうした事態の推移の可能性を容認した上で、「保護する責任」を承認するのだろうか? 私にはそうとは思えない。そしてそうでないなら、ともに「保護する責任」にNO!と言うべきである。少なくとも両組織の理事会・事務局は、組織の活動を支える会員に対し、なぜこのような紛争の、最終手段としての、武力行使による「解決」を認める「保護する責任」を組織として支持するのか、その理由および根拠を明確にし、意見を乞うべきである。たとえ国際本部の決定であろうと、誤りがあるなら支部として表明し、本部に対し意見表明すべきである。
 
2、世界サミット「成果文書」、国連事務総長報告書、「文民の保護」に関する一連の安保理決議を「保護する責任」正当化の根拠にしてはならない 

 私は憲法九条は死文化しているという認識を持っているが、自国の憲法において日本は「国際紛争の武力による解決」を認めていない国家である。憲法論議、護憲/改憲論争が今でも続いているとは言え、明文改憲はされていない。このような国で活動する国際NGOは、国際法や国際規範とともに日本国憲法の制約の下で活動することが求められているのである。

 もちろん、憲法に異論があり、改正の必要ありと認めるところはそのように主張し、運動することはできる。しかし「保護する責任」に関して言えば、その責任を日本が国家として果たす憲法上の余地は、今のところまだない。HRWとOxfamは、まずこの事実を事実として受け止めるべきである。そういう日本の国家的立場を支部として表明し、国際的・国内的なアドボカシーと活動を展開すべきである。つまり、2005年の世界サミット「成果文書」以降の、一連の国連事務総長報告書や「文民の保護」に関する安保理決議をもって、「保護する責任」の正当化の根拠にすることはできないのである。理事や事務局スタッフは、このことをシリアスに考えるべきである。

3、熟議無き、拙速な「保護する責任」の国際規範化とその実行を容認してはならない

 おそらく、このブログの読者も私の文章を通じてはじめて「保護する責任」という言葉をきいた人が多いに違いない。また、言葉を知ってはいてもこれに重大な問題がはらまれているとは考えなかった人も多いことだろう。
 その責任は、これを国連で承認し、背後で促進する役割を担ってきた外務省・国連大使や、緒方貞子・国際協力機構理事長、元ユーゴスラビア内戦時に国連文民保護軍の「指揮」を執った明石康氏などの影響力もさることながら、次にみる「保護する責任」の概念的形成・確立過程における〈政治学〉を踏まえずに、世界サミットで「確認」され「地球規範」化されたことを与件とし、これを論じてきた一部(ほとんど?)の大学研究者の論考そのものに問題がある、と私は考えている。順を追って説明しよう。

 たしかに、「保護する責任」は世界サミットの「成果文書」において「確認」され、以降、これの「履行」に関する事務総長の報告書をはじめ、国連の「平和活動」の改革問題に関する報告書、さらには「武力紛争における文民の保護」に関する安保理決議等々が公表されてきた。
 しかし、加盟国には今でも「保護する責任」に反対・疑義を表明している国々が存在するし、さらに言えば、加盟国の中でこれに対するマトモな審議を行った国など一つもない。おそらく「国政の主権者」の99.9%が「保護する責任」の何たるかも知らず、国会でその承認をめぐって審議されたこともない日本の現実は、推進派が「地球規範」になったというこの概念の国際的受容をめぐる問題性を、もっとも象徴的かつ端的に表現していると言えるだろう。
 
 ある意味で、「保護する責任」はこれを推進する勢力の、戦略的・計画的な国連事務局の「ハイジャック」によって「規範」化され、「履行」段階へと移行してきた政治的概念である。その背後には、米国の億万長者が創設した巨大な「博愛主義」財団から流れる資金フローがある。

 ①「博愛主義」と「保護する責任」
 「保護する責任」(R2P)の概念的ルーツは、米国のブルックリン研究所が1996年に発行した『責任としての主権---アフリカの紛争管理』にある。この書は、戦後冷戦体制が文字通り崩壊局面の真只中にあった1990年から8年間をかけて研究所が行った「アフリカの紛争解決」プログラムの研究成果として発刊されたものだ。このプログラムに190万ドル(当時の為替レート換算で2億5千万円程度)を資金援助したのが他ならぬカーネギー財団だった。

 カーネギー財団はさらに、1995年から2000年にかけ、3020万ドルを費やした「カーネギー破滅的紛争予防委員会」(PDC)を設立し、100を超える「プロジェクト」を行った。このPDCがそのまま、2001年12月にカナダ政府の肝いりで結成された「国家主権と介入に関する国際委員会」へと発展し、R2P推進派のバイブルとも言うべき『保護する責任』刊行へと結実する。この「国際委員会」のメンバーであり、ICRtoP代表としてキャンペーンとロビーイング活動に世界中を駆け回ってきたオーストラリア人の元外交官、ギャレス・エバンスも右のPDCのメンバーだったのだ。

 カーネギー財団なくしてR2Pなし。これがR2Pの起源であり、すべての事の発端である。
 上の「国家主権と介入に関する国際委員会」の『保護する責任』の発刊以降、世界サミットをはさんでこの間、カーネーギー財団を始めとする博愛主義財団が、カナダ・EU・米国の推進派政府、シンクタンク、大学、NGOに億単位の資金提供を行いこれの国際規範化と実行化をめざしてきた。言葉を換えるなら、巨大な国際的「R2Pコグレマット」が形成されてきたと言ってもよい。

 具体的に言えば、カーネギー、フォード、ロックフェラー、シモンズ、ウィリアム・フローラ・ヒューレット、ジョン・D・キャサリン・T・マッカーサー財団などが拠出する億単位の資金が、研究・出版プロジェクト、アフリカを含めた国際会議(日本を含む)の開催を始め、R2Pに関連する安保理決議をあげるためのロビーイングや国連事務総長名の「報告者」作成等々のために毎年のように流れきたのである。無論、日本を含む援助大国も多大の税金をそのために注ぎ込んできた。

 こうした資金フローの下で、政府系・独立系のシンクタンク、大学、国際NGOが動いた。列挙すればキリがないが、たとえば、カナダの国際開発研究センター(IDRC)や米国の国際平和研究所(IPC)などのシンクタンク、ハーバード・コロンビア・スタンフォードなどの米国の主要「有名」大学の関連研究所、先のR2Pを推進する国際NGOの連合組織ICRtoPに名を連ねる世界連邦運動、ジェノサイド・インターベンション、オクスファム、ヒューマンライツ・ウォッチ等々の国際人権・開発NGOである。

 ②対テロ戦争と「保護する責任」
 カーネギー財団のブロジェクトに端を発したR2Pが、10年前の「9・11」後のブッシュ政権のアフガニスタン空爆⇒対テロ戦争の勃発⇒英国他の連合国軍の参戦⇒NATOの「集団的自衛権」の行使⇒タリバン政権転覆⇒「アフガニスタン復興国際支援国会合」の結成、という一連の流れと見事なまでに軌を一にしていることに私たちは注意する必要がある。要するにR2Pは、
第一に、冷戦崩壊後の安保理常任理事国を軸とする大国および国連がアフリカの紛争を「管理」するという発想の中から生まれ、
第二に、旧ユーゴ内戦に対するNATOの空爆を経て、21世紀初頭における「対テロ戦争下における文民保護」という政治的文脈の中で発展してきた概念なのである。R2Pは「テロとの戦い」を「国際の平和と安全」を「維持」する不可欠の「戦い」=国連的正義とし、米軍やNATO軍による市民虐殺・戦争犯罪を安保理が問わないという合意の下で「地球規範」化され、「履行」されようとしてきたのである。

 ③日本政府・外務省、緒方貞子・国際協力機構理事長の責任
 (後日説明)

4、冷戦時代の「残酷な遺産」の未総括--安保理常任理事国の戦争犯罪を免罪する国際NGOの二重基準と共犯性

 もっとも分かりやすい言い方をすれば、R2Pは、米ソ冷戦体制崩壊後の米英仏を中軸とした新世界秩序の形成過程において必然化される「民族紛争」の予防と管理を国家の責任とし、それが果たされぬ場合に有志国家連合が国連憲章の規定と安保理決定に基づき武力介入し、国家と地域の安定化をはかろうとするものである。

 冷戦が崩壊局面を迎えた1980年代後期から、崩壊後の90年代前半期、旧ソ連・東欧諸国やアフリカ諸国の「民主主義構築」や「市民社会構築」論が、欧米のアカデミズムで興隆する。体制移行期に「紛争」が避けられないことを前提とし、それを「予防」・「管理」しつつ、その先に広がる「介入による国家建設(state building)論」としてこれらが盛んに「研究」された。先にみたカーネギー財団の一連の「プロジェクト」もその一環としてあったのである。

 これらの「理論」は、「革命の輸出」ならぬ「民主主義・市民社会の輸出」理論としてあった。欧米列強によるアフリカ・旧ソ連圏へのそれらの「移植」「外部注入」論と言ってよい。しかし、たとえばリビアがそうであるように、マトモな憲法もない国、また憲法はあっても「自由権」さえ保障されていない国家が、旧「社会主義」諸国や形式的に「独立」を果たした旧植民地諸国の実態だった。何度も触れたように、米ソは世界中でそうした開発軍事独裁国家を育成し、支えながら「覇権抗争」を展開してきた。そしてその他の安保理常任理事国もそれらの国々を資源開発と自国の兵器生産のはけ口としてきたのである。

 この〈構造〉が、世界遺産の数より多い冷戦時代の「残酷な遺産」を生み出すことになる。だから冷戦崩壊後において、その政治・経済・社会的総括抜きに「民主主義」「市民社会」を外部から構築するなどという「プロジェクト」が破産するのは明らかだったし、今後もそうなるのは必然である。

 リアル・ポリティクスにおけるR2Pは、この〈構造〉にいっさい手を付けようとしない。「国境を越えた紛争」が「国際の平和と安全」の「脅威」になるという認識の下で、それを一国内で予防・管理・処理するために「平和的」と「最後の手段」に分けた「介入の責任」を云々する・・・。そのためには内政不干渉と武力不行使原則の例外条項としての国連憲章第51条(「個別的または集団自衛」の権利としての武力行使)に加えた、新たな「地球規範」がどうしても必要になる。それがR2Pの本質である。

(なお、国連憲章第51条の成立過程、およびこの条項の安保理常任理事国による濫用の歴史的事例などについては、拙著『日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構』の「第6章 国連憲章第51条と「戦争と平和の同在性」を参照のこと)

2011年2月23日水曜日

リビア空爆と「保護する責任」‐‐リビアへの「人道的介入」にNO!という責任

リビア空爆と「保護する責任」‐‐リビアへの「人道的介入」にNO!という責任

 空爆に対する在日リビア人の抗議行動が今日の午後、予定されている。
・2月23日(水) 16:00~17:00
・リビア人民局(大使館)前(東京都渋谷区代官山町10-14)
・地図:http://www.doko.jp/search/shop/sc70324367/#mapBlock
・最寄駅:東急東横線 代官山駅
・主催者:アーデル・スレイマンさん(在日リビア人学生)他
・ツイッターアカウント @libyanintokyo

 この事態に対し「国際社会は介入すべき」という表現を、ネット上で一部の人々が不用意に使っている。「国際社会」とはどのような国々をさし、「介入」とは具体的に何を意味するのかを明確にしないまま、情緒的にこの言葉が語られるのはとても危険だ。20年前のソマリアへの「人道的介入」の悲惨な結末、1990年代を通した旧ユーゴスラビア内戦がNATO空爆の大惨事に帰結したことを忘れてはならない。

 リビアを含めたアフリカ・中東の独裁国家体制に共通しているのは、ヨーロッパの旧植民地宗主国からの「独立」達成後の国家建設が「開発軍事独裁」体制の構築として進んだことである。これらの国々は、国軍・ゲリラ勢力双方とも、東西両陣営の通常兵器・小型兵器輸出の最大の市場として兵器漬けにされてきたのである。今も何も変わらない。その兵器が群集に対する空爆を行い、その兵器で武装した特殊部隊・傭兵が民衆を虐殺したのである。

 民族主義・ポピュリズムに社会主義を合体させた国々が開発独裁国家として、最悪の人権侵害・独裁国家になっていったことを思い起こす必要がある。アジアでもそうだ。民衆に基本的人権さえ保障せず、反政府運動を軍事的に弾圧し、開発のために少数民族・先住民族の土地を奪い、強制移住させ、虐殺してきたこうした旧ソ連派や「非同盟」の社会主義を標榜してきた開発独裁と、米国や旧植民地宗主国の「傀儡」政権として前者以上の規模の犯罪の数々を、権力構造の腐敗を深めながら行ってきた開発独裁の国々がある。

 「保護する責任」や「人道的介入」を言う前に、こうした冷戦・ポスト冷戦時代の日米欧・ロシア・中国の対アフリカ政策と開発戦略に対する分析を行い、何をなすべきかを考えることがとても重要である。
 日本の政府要人が今回の空爆に対し意味不明のことを語っているのを批判することと、「国際社会の介入」を主張することは、まったく別の次元の問題なのである。

2011年2月21日月曜日

サハラ砂漠の蜃気楼に浮かぶのは社会主義ではない

サハラ砂漠の蜃気楼に浮かぶのは社会主義ではない


〈ボクらの資本主義〉と〈少しはマトモなデモクラシー〉

 アフリカ、中東の反独裁のたたかいは、どこに向かうのか?

 「ボクら」は非常に困難な時代に生きている。というのは、今の〈体制〉にとって代わるべき〈体制〉のビジョンが思い描けないからだ。「自由経済」に代わる「計画経済」、「民営化」に代わる「国有化」、「私的所有の廃絶」など、「民衆蜂起」によって「権力奪取」をめざす「古い革命」のヴァリエーションでは問題解決に何もつながらない。

 資本主義社会の「自由と民主主義」は権力を独占する「ブルジョアジー」のものであって、これを「真の自由と民主主義」にするためには「プロレタリアート」や「プレカリアート」が「権力」を握る「革命」が必要だ、「権力を打倒せよ!」・・・・。世界的にみれば、こういう言説・イデオロギーが今でも「民衆のパワー」を突き動かす原動力の一つになっている。

 しかし、それは「オルタナティブ」にはなりえない。ボリビアをはじめとするアメリカ大陸の「先住民族・民衆のパワー」が表現してきたのは、そういうことなのだと私は考えてきた。

 今から20年ほど前、冷戦崩壊直後の数年間、米国はテキサスの片田舎に引きこもっていたことがある。
 湾岸危機から湾岸戦争の勃発、ソマリアの「人道危機」と国連と米国の「人道的介入」、ロサンジェルスの「黒人暴動」と日本では報道されたNo Justice, No Peace!ムーブメント、旧ソ連の崩壊・レーニン像の倒壊、「ユーゴ内戦」と「民族浄化」が日本よりもはるかに先駆けて「人権問題」として米国の主要メディアで報道され、メキシコのマヤ先住民族、「サパチスタ」の武装蜂起が起こり、南アの「革命」があった直後までの数年間である。

 いろんなことをハショッテ言えば、当時の「ボク」が体験したのは、1989年の「天安門事件」や「ベルリンの壁の崩壊」など、それまで「ありえない」と思っていたことが次から次に現実に起こり、「時代は変わっている」と強烈に印象付けられたことが、1990年代の最初の数年間を通して、逆の方向へと急激に変化していったことである。
 それは、今後の数年間において、また現実のものになりえるのである。「ほんの少しでもマシ」になるのでなく、「もっとヒドク」なる方向に向かって。

 この20年、いろんなことが言われてきた。「持続可能な開発」「フェアー・トレード」「マイクロ・クレジット」「連帯経済」「地域通貨」「債務削減・帳消し」「人間の安全保障」「国際金融取引・投機市場における規制強化・腐敗防止」、アチラコチラの「非核地帯構想」「独裁政権への武器援助規制」と非合法の「小型武器密輸規制」等々、等々、もう一つ等々・・・。
 毎年のように国連諸機関、G8、WTO、G20、NATO、世界社会フォーラム等々等々の会議があり、抗議行動が展開され、フォーラムが開かれ、「民衆」の共同宣言文が発せられてきた。

 たとえば、上に列挙した「オルタナティブ」のすべては、リベラル資本主義経済システムの下でもいくらでも可能なことだ。「少しはマトモな資本主義」のための政策提言を超えるものでは、まったくない。にもかかわらず、世界の現実はこの20年、「ほんの少しでもマシ」になるのではなく「もっとヒドク」なる方向に向かって進んできた。
 つまり、「可能」なはずの「もう一つの世界」が「不可能」になってきた原因を、体制やシステムを責め続けながらそれらに求め続けていたのでは、これからも何も変わらない、変えようがないということである。それでは永遠に不可能な「もう一つの世界」を叫び続ける、ただのパフォーマーでしかなくなってしまう。

 「世界の何が問題か」を分析することは比較的容易なことだ。それをどう変えるかを「提言」し、その「提言」が実現されなかったなら、「なぜ実現されない/できないのか」、その分析が必要になる。そしてそれに基づき、同じ結果を招かないように次の「提言」をまとめる。デッド・ロックに乗り上げたなら、どこで、何がそうさせたのかを考え、シェアする。その「デッド・ロック」は決して「体制」とか「システム」という抽象的なものではないはずだ。国際法・国内法・協定の文言であったり、そもそも国連・政府・官僚機構・政党に意思がなかったり、もともとの「提言」自体が実現可能性ゼロのものであったり、いろいろである。

 私が1990年代にもっとも「マシ」だと考え、その主張からも学んできたいくつかの国際NGO、今世紀に入って以降の「もう一つの世界」に集う組織や活動家たちに欠落していると思えるのは、多くの場合そういう具体的な分析、自分たちの活動・主張に対する反省、失敗や誤りを認め、明らかにしようとしない体質、一言で言えば自分たち自身の活動自体の「フォローアップ」を積み重ねようとしないあり方、等々である。それはワンパターン化されてゆく「声明」や「提言」にもっともよく示されている。
 
 だから「ボクら」は、冷戦崩壊後「新しい世界」をつくるための「オルタナティブ」としてさまざまプロモートされてきた理論・言説の数々が、「オルタナティブ」にならなかった、「新しい世界」をつくらなかった事実から出発する必要がある。この作業はネオコン・ネオリベ・権力者・独裁者を批判してそれですむようなことではない。それらを批判してきた者たちの理論・言説をも批判的に再検証し、何が誤ってきたのかを問い直す作業につながらなければ、同じことをくり返すだけになるからだ。だから、とても困難な作業にならざるをえないのである。
 とくに、冷戦崩壊後に生まれた人々、そして世界の「新左翼」運動、「アナキズム」運動、「解放闘争」が悲惨な遺産を残していった時代の只中以降に生まれた人々は、このことを真剣に考えてほしい。

 〈ボクらの資本主義〉が少しも〈マトモなデモクラシー〉にならないのはなぜか?
 にもかかわらず/であるからこそ、みんなfreedomやliberty, democracy now!と叫び続けてきたし、今も叫び続けている。そしてこれからも間違いなく、叫び続けることになる。
 いったいなぜ日給1ドル、2ドルで働かされ、生きている「民衆」がdemocracy now!と叫び、銃撃戦を戦ったり、死を賭してデモをしなければならないのか。〈ボクらの資本主義〉はいったいどんな資本主義なのか?


facebookとtwitterは「オマカセ民主主義」を越えられるか

 すべての国の政府・官僚機構、議会政党にメディア、もっと言えば市民・社会運動やNGOもサイバー空間で起こる〈革命〉についてゆけない。これが〈今〉の情況である。というより、誰もがそうなのだ。「政治」という特殊な世界において、それがもっとも醜悪な形で表出しているだけの話である。

 冷戦崩壊後に生まれた人々はもちろん、ちょうど30年前にレーガン政権が登場し「レーガノミックス」やイギリスの「サッチャー主義」が席巻し、いわゆる「新自由主義」経済政策が「新保守主義」の政治と合体したころに生まれた人々は、冷戦崩壊⇒バブル崩壊⇒「失われた10年」となった1990年代の「政局」の大混乱⇒政界の再編に次ぐ再編の過程を体験していない世代になる。
 この二つの世代がこの1月半ば以降のアラブ・イスラム社会の「革命」の担い手だ。「ボク」と同世代の人々は、若い世代がセッティングしたステージ(広場)にかけつけ「積年の恨み」を晴らそうとした、そんな感じだろうか。

 で。これからの数年、2010年代の半ば・あるいは後半期まで、あの頃ほど悲惨ではなくともまた同じような日本の議会政治の大混乱・「政界再編」を私たちは体験することになるかもしれない。政権与党をめざす政党のプラットフォームが定まらず、しかもどの政党も変わり映えのしない「マニフェスト」しか出せず、「争点」なるものがきわめてテクニカルな「やりかた」の違いでしかないような、そんな「政策論争」が延々とくり返される時代である。

 もうすでに始まっているが、それは政治的ニヒリズムというか、「日本の(議会)政治が変わることによって何かがもしかしたら変わるかもしれない」、そんな風にはとても思えない何とも鬱屈した気分が社会的に蔓延する時代である。無党派層が有権者の5割から6割(6割から7割?)になる時代。「国政選挙」の投票率が5割を割り、4割を割り、それでも「政治」や国が「回っている」時代。

 そのとき、上昇・安定志向を持たない/持てないタブレット・カルチャー第一世代の人々が、どういうムーブメントを起こすか/起こせるか。それが10年後/20年後に〈少しはマトモなデモクラシー〉に日本がなっているかどうかを決めることになる。そうしてセッティングされたステージ(広場)に「ボク」もかけつけ、「積年の恨み」を晴らすことができるだろうか。日本における戦後政治の終焉、ポスト冷戦時代のほんとうの幕開けは、そのときはじめてやってくるのかもしれない。

Talkin Bout A Revolution, Tracy Chapman

2011/2/23

関連資料サイト一覧(ランダム)
Africa can be food self-sufficient - study
Jubilee Debt Campaign's new report on the Export Guarantee Department
Oil, Gold Climb as Mideast Tensions Increase; Stocks, Eni Fall (これが「ドル経済の終焉」の兆候であり、「ハイパー・スタグフレーション」襲来の要因である。)

アフガニスタンの米軍:50人に1人はロボット
A New Way Forward: Rethinking U.S. Strategy in Afghanistan "Myths & Realities"
Think Again American Decline: This time it's for real

ボリビア・中南米の今と、リビア・北アフリカ・中東の未来

ボリビア・中南米の今と、リビア・北アフリカ・中東の未来

 「われわれは降伏しない。勝利か、死か。今回の蜂起が最後ではない。われわれと戦うがよい。お前たちは、リビアが解放されるその日まで、われわれに続く幾世代もの者たちと戦うことになるだろう」

 リビアが凄惨な事態になろうとしている。左の写真はここにアップされ、アルジャジーラのサイトに転載されたものだ。日本の報道機関も速報で、カダフィの息子が「内戦の危機」を訴え、反政府デモを批判したテレビ演説を報じている。

 すでにエジプトの虐殺を越える数の犠牲者がリビアで出ている可能性がある。政府・軍が発表する内容や数をそのまま報道する商業メディアを信じてはいけない。すでに「蜂起」はリビア全土に広がり、地方の政府機関が民衆によって占拠されるまでに発展しているのだ。
 また、「ありえない」と思っていたことが起ころうとしている。これ以上事態が凄惨にならぬよう祈るしかない。

 「エジプト革命」からたった1週間あまりで、バーレーン、イエメン、イラン、リビア、モロッコ、アルジェリアと広がったアラブ・イスラム社会の独裁打倒を掲げた民衆のたたかい。これほど短期間で民衆の同時多発蜂起が起きるほどに、一触即発状態の民衆の怒りが何十年にもわたって抑圧されてきたということだろう。
 そのようなアフリカや中東を誰がつくり、誰が支えてきたのか。この地域に駐在する日本人は何を恐れ、何に脅えているのか。

 しかし、北アフリカ・中東だけではない。民衆のたたかいは太平洋を越えて、中南米においても同時多発的に展開されている。その一例が、ボリビアの先住民族・労働者・民衆のたたかいである日本が「リチウム資源開発」に「夢」を託している国である。(新聞記事の説明は後日)

 おそらく私たちは、これまで生きてきた一つの時代が終わろうとしている、その歴史的局面にたちあっている。
 非常に象徴的なことは、南米のボリビア・エクアドル・ブラジルがそうであるように、「民衆のパワー」によって成立した「左翼政権」がその政権の登場を実現した当の「民衆のパワー」によって批判され、包囲されていることだ。もっと言えば、米国や日本がそうであるように、ここ数年に政権交代があった国々において政権に対する幻滅が急速に広がり、反政府運動が高揚しているのである。
 つまり、ボリビアや中南米の今は、リビアやエジプト・中東・北アフリカの近未来の政治シーンを映し出しているのかもしれないのである。

 どのような時代が終わろうとしていて、どのような時代がはじまろうとしているのか。
 少しはマトモな議論をマトモにすることが、日本のメディアにも私たちにも問われている。
 他人事のように語れる時代は、もうとっくに終わっているのである。 

2011年2月18日金曜日

米国の「民衆のパワー」

米国の「民衆のパワー」

 日本のメディアでは報道されることがないと思えるので、ちょっとした情報として。米国はウィスコンシン州の「民衆のパワー」のレポートである。(現時時間の水曜。CNN)

・Social Media is blowing up over Wisconsin Governor's, Scott Walker's declaration to cut collective bargaining rights for public workers.(「公務員労働者の団体交渉権を廃止する」という共和党の州知事の宣言に対し、オルタナティブ・メディアが「爆発」)
1000 Appleton East High School students walked out of school yesterday to support their teachers.
40% of the 2,600 Madison School District Employees plan to stage a "sickout" today. Madison schools close.
・Wisconsin State Journal reports more than 10,000 protesters appeared before the Capitol steps yesterday. Even more appeared today, sleeping the night in and around the Capitol.(一部報道ではデモ参加者は1万5000人といわれている。極寒のマジソンで泊り込みの抗議行動を展開している!)

映像
Amazing video of Wisconsin protests 州政府の議事堂を事実上「占拠」。下のビデオでは「エジプトの民衆のように歩こう」と書かれたプラカードが見える)
Wisconsin schools call off classes as budget protests continue CNN
UWM Student Walk Out Protest(ウィスコンシン州立大学・マジソンキャンパスの学生たちの授業ボイコット。最新)

Alternetに掲載された記事
Is Wisconsin Our Egypt? 15,000 Protest Off-the-Wall Right-Wing Governor's Policies
Nationに掲載された記事(現地時間の木曜。最新)
Wisconsin Crowds Swell to 30,000; Key GOP Legislators Waver
Wisconsin Students Protest Governor's Attack on Unions

 日本のどこかの県庁、県議会が包囲され、一時的にではあれ「占拠」されたようなものである。日本の高校生が教師のストライキを支援し、デモをするなんて考えられるだろうか? 日本では考えられないこと、「ありえない」ことが世界で、米国で現実に起こっているのである。
 確かに、ウィスコンシン州立大学のメインキャンパスのあるマジソンは昔からリベラルとプログレッシブの拠点のような街であるが、こういうシーンを観るのは私も初めてだ。まさにAmazing!である。
 米国の「民衆のパワー」。そのたたかいのはじまりかもしれない。これが民主党知事の膝元で起こったなら、二大政党制そのものを揺るがす地殻変動に発展する可能性さえ無キニシモアラズとなる。

 ただし。法的身分保障や給与・待遇などにおいて、日本の正規の公務員労働者に比べれるなら遥かに「劣悪」な環境に置かれている米国の地方の公務員労働運動や巨大な組合運動に対しては、それよりもさらに法的に劣悪な労働条件、賃金体系のクビキの下にある一般の非組合系の労働運動や社会運動から、さまざまな批判があることは明記しておく必要がある。「リーマン・ショック」の際の公的資金の投入が、GM労組の救済策としても活用されたことに対する批判を思い出してみればよい。「支持すべきか、せざるべきか」「勝手にやってくれ」といった、要するに日本と同じような「構造的問題」を抱えていると理解すればわかりやすい。ただし。今回は違う。「既得権防衛」の域を超えているからである。

 ともあれ、1月のあまりにさえなかったオバマの「一般教書」と先日の「予算教書」が、州財政の破綻寸前の状況のなかでリストラ・減給・年金支給減などの攻撃を受けている地方公務員のたたかいに油を注いだことだけは確かである。火は全米に飛び火する気配が十分にあるが、米国の民衆のたたかいも長いたたかいになりそうである。

2011年2月17日木曜日

米国経済がなぜ破綻するのか

米国経済がなぜ破綻するのか

⇒「ドル経済の終焉・米国の崩落・壊れる米国の大学」より

1 
 三日前だったか、2011年度の米国の「予算教書」が公表され、一昨日新聞各紙が一斉に報道した。この問題を先に書こうと考えていたのだが、鳩山前首相の「在沖米軍・海兵隊=抑止力発言は方便」をめぐる「茶番の連鎖」があって書けなかった。
 
 たとえば、ウォール・ストリート・ジャーナル日本語版の記事をみてみよう。この記事のどこに嘘があるのか?
 末尾の「今回の予算教書では、11年度に国内総生産(GDP)比10.9%に達している財政赤字は、18年度までには同2.9%に縮小するとの見方が示された。エコノミストの多くは、GDP比3%以下の財政赤字は持続可能との見方で一致している」という表現である。

 「11年度に国内総生産(GDP)比10.9%に達している財政赤字」が「18年度までには同2.9%に縮小」するとの「見方」に何の根拠もない。また、「GDP比3%以下の財政赤字」が「持続可能」という「見方」も嘘である。ウォール・ストリート・ジャーナルが「米国は破綻する!」と言えば、すぐにでも世界恐慌が起こってしまうから、米国金融資本を支えるジャーナルは世界に嘘の情報を発信し続けるのである。

 これに対して、ワシントンポストはまだマトモな記事を書いている。
 Obama budget plan shows interest owed on national debt quadrupling in next decade(「国の債務の利子支払い額が向こう10年間で4倍に」)という記事である。これは「予算教書」が公表されてすぐに書かれたGeithner Tells Obama Debt Expense to Rise to Record(「ガイトナーがオバマに「史上空前の債務償還負担が米国経済を襲う」と警告)をベースにしたものである。資料としての「膨張する利子返済」も見ておきたい。

 踏まえておくべきポイントは、次のような記事の内容だ。
First, the nation's debt is growing faster than the economy. Second, interest rates are rising. Over the next decade, net interest payments will amount to nearly 80 percent of the debt added, an indication of how past borrowing is forcing the country deeper into debt.
・The phenomenon is a bit like running up the down escalator.

・"The scary scenario ---- is an incident of capital flight, where investors lose confidence in the U.S., causing interest rates to rise precipitously and pushing the budget deficit even further into the red,"
・"We are in a self-reinforcing, vicious cycle," "There's no sugar daddy out there for us."

 国の借金が経済よりも成長しており、利率が上がっている。借金の利子返済額が借りた借金総額の八割を占め、国をさらなる借金地獄に叩き込んでゆく。それは下りてくるエスカレーターを駆け上ろうとするようなもの。しかし、上の階(財政均衡)には上れない。ずっとエスカレータを下から上に、車輪の中に置かれたコマネズミのように走り続けるしかない。そしていつか息絶えてしまう・・・。
 恐ろしいシナリオは、その間に起こるかもしれない、海外から米国に投資された「資本逃亡(引き上げ)」だ。投資家が米国経済の回復やドルへの信用を落とせばそうなるし、そうなるとそれを回避するための金利の上昇を招き、さらにそれが財政崩壊の決壊点、デフォルト寸前にまで追い詰めてゆく。見かけの上では、今はまだ大丈夫そうにみえる。しかしこの現象が水面下ではすでに始まっているのである。

 もちろん「ドル経済の終焉、米国の崩落」と言っても、ドルが消滅したり米国経済が完璧に崩壊するわけではない。その影響をモロに受けるのは、米国国内ではせいぜい1億人くらい、総人口の3割「程度」のものだろうか。大恐慌のときでさえ、失業に追いやられたのは全労働者の3割あったかなかったか、「その程度」のことだった。むしろ問題は、すでに失業率が4割、5割を超えるような「低開発国」や「重債務国」、軍事独裁国家に生きる人々への影響、グローバルな民衆の生活への影響である(これについては、機会をみつけてまた書くことにしたい)。

 いずれにせよ、「悪(魔の)循環」vicious cycleに米国は叩き込まれている。それと同じ構造にEUも日本が置かれ、どの国も米国の破綻の救世主sugar daddyにはなれない。「財政緊縮」で増税と「受益者負担」を強化し、互いに「協調介入」しながら「壊れる国」のドミノ化を未然に防止することくらいしかできないのだから。そのためにEUはIMFのEU版も創設した。

 で、それで「壊れる国」のドミノ化を防ぐことができるのか? 米国発の再度の大地震を防ぐことができるのか?
 政治家や財務・日銀官僚、メディアの嘘に騙されてはいけない。貧しき者は「戦略的防衛体制」に入りながら、たたかうしかないのである。

・・・・・・・・
4月
米大統領、330兆円の赤字削減表明 今後12年で
 オバマ米大統領は13日、米ワシントン市内で演説し、今後12年で財政赤字を4兆ドル(約330兆円)削減すると表明した。国防費の節減や高額所得者への増税などをして、大規模な財政赤字削減に取り組む。  オバマ大統領は演説で、「我々は歳入の範囲内で生活し、財政赤字を削減し、債務残高を減らしていく道に戻らなければならない」と強調した。  具体的には、今後12年で、
(1)国防費のさらなる節約や社会保障費の削減など大幅な歳出削減で2兆ドル
(2)債務の利払い費の節減で1兆ドル
(3)富裕層の所得税減税の廃止などの税制改革で1兆ドル、を削るとした。
 米国の財政赤字は今の2011会計年度に史上最悪の1.6兆ドル(今年2月時点の予測)に達する見通し。その場合、対国内総生産(GDP)の比率は10.9%になる。オバマ大統領は今回の削減計画で、対GDP比を15年に2.5%に下げ、10年後には2%近くまで引き下げたいという。  これから12会計年度(11年10月~12年9月)予算の策定に向けた議論が始まる。野党・共和党との間で本格的な財政再建論議が交わされそうだ。(朝日・ワシントン=尾形聡彦)

米の財政赤字69兆円 11会計年度、上半期
 米財務省が十二日発表した二〇一一会計年度(一〇年十月~一一年九月)の上半期の財政収支は、赤字額が前年同期比15・7%増の八千二百九十四億一千万ドル(約六十九兆円)だった。 上半期の赤字額として過去最悪の高水準となった。
 歳出は国防費、社会保障費、国債の利払いなどがかさみ前年同期比10・7%増の一兆八千四百九十三億六百万ドルだった。歳入は所得税が増えた一方、法人税の税収が減少し6・9%増の一兆百九十八億九千六百万ドル。歳出の伸びを下回った。 同時に発表した三月の財政収支は、前年同月比187・8%増の千八百八十一億五千三百万ドルの赤字。単月の赤字は三十カ月連続で、過去最長を更新した。 オバマ大統領は十三日、財政赤字縮小に向けた歳出削減方針について演説する予定だ。【ワシントン=共同】

米、政府閉鎖を回避 大幅な歳出削減で合意
 米国で、4月9日午前0時(日本時間同日午後1時)に予算措置の期限が切れて「政府閉鎖」となる可能性があった問題で、与野党は、大幅な歳出削減と歳出削減法案をまとめあげる数日間はつなぎの予算措置を講じることで合意した。オバマ大統領も合意を歓迎した。 米オバマ政権・民主党と野党・共和党の間では、期限切れを数時間後に控えた8日夜、大詰めの折衝が続いた。米ホワイトハウス高官は8日夜、朝日新聞に対し、「(政府閉鎖を回避するための)合意ができることに希望を持っている。合意は近いがまだそこに至っていない」と語っていた。
 オバマ米大統領は当初、2011会計年度の政策経費として1兆1283億ドルを提案。米議会は昨年末、それより約410億ドル少ない水準で暫定予算を設定した。この暫定予算の水準から、さらにどこまで歳出を削減するかが与野党間で攻防になっていた。  与野党は7日夜から8日早朝にかけての交渉で、さらなる削減幅を380億ドルとすることで合意しかけたが、女性のがん検診向け助成3億ドルの扱いを巡って意見が対立し、合意に至らなかった。共和党側は助成費の一部が中絶費用にも転用されているとして、予算自体の削減を要求。民主党側は「がん検診を巡って政府閉鎖に陥れば、脆弱(ぜいじゃく)な米経済は勢いを失うことになる」と批判していた。
 仮に政府閉鎖の事態となれば、米国の国立公園やスミソニアン博物館は閉鎖される。連邦職員は、緊急対応など一部の機能を除いて勤務できなくなる。ただ、米原子力規制委員会(NRC)職員による日本の原発問題対処への支援や、米軍による復興支援は継続する予定。一方、日本での米国大使館によるビザ発給は緊急対応のものに限られ、通常のパスポートやビザ発給の手続きは行われない。 (朝日)

2011年2月16日水曜日

「抑止力」は「方便」以外の何なのか?---戦後政治と戦後外交の欺瞞と虚構から目覚める時

「抑止力」は「方便」以外の何なのか?---戦後政治と戦後外交の欺瞞と虚構から目覚める時


 鳩山前首相が去年、在沖米軍が「抑止力」として重要と言ったのは「方便」だったと本音をもらし、この発言に対し社民党党首が「私は方便でクビになったのか」と言い、さらに防衛大臣が「衝撃」を受けたという。何という茶番の連鎖だろう。
 毎度の事とはいえ、もういい加減に日本の政治家は、こういう低次元のアレヤコレヤによって私たちの貴重な時間を潰し、税金を浪費し、ウンザリした気分にさせるのはやめてもらいたいものだ。もっと、子どもたちの想像力を豊かにし、少しでも私たちの知性を刺激するようなパフォーマンスができないものか。読者はそう思わないだろうか。

 在沖米軍を「抑止力」とすることが単なる「方便」に過ぎないのは、みんな見抜いている。海兵隊や在沖米軍のみではない。在日米軍全体がそうであり、在韓米軍もそうである。しかし、その「方便」を永遠にくり返さなければ、在日米軍を永遠に駐留させておく口実がつくれない。「日米同盟という欺瞞」や「日米安保という虚構」は、米軍が外部(どこ?)から日本が武力攻撃を受けないようにするための「抑止力」という、ただその一点のみにおいて成り立っているのだから。

 だから、これを「方便」と言ってしまえば、すべてが崩壊してしまう。けれども、そんなことは子どもだって知っている。産経・読売新聞の論説委員を始め、いまどき「右翼」だって米軍が「抑止力」だなんて本気で考えている者はいないだろう。
 一度、日米の「2+2」に在日米軍司令官、自衛隊統合幕僚長を加え、在日米軍が何に対する「抑止力」として存在するのか、全世界に公開されたパブリック・フォーラムを開催すべきである。日本の政治家が何を言った/言わないなどアレコレ問題にしても、まったく意味がない。ただ時間と税金を無駄にするだけである。


 「北方領土」問題にしても、「尖閣諸島」を含めた琉球問題にしても、私たちが相手にしている国はすべて国連安保理常任理事国である。朝鮮民主主義人民共和国も国連加盟国だ。いったいどこの国が日本に核攻撃や武力攻撃をしかけるというのか。
 思い起こして欲しい。去年の「北の脅威」論の根拠とされたアレヤコレヤは、いったいどうなったのか。去年と同じように、これまでも安保を無期限延長し、在日米軍を無期限駐留させるために「北の脅威」や「中国の脅威」が扇動されてきた。いつになったら私たちはそのことに気づくのか。

 「日米関係を重視する」と言うのはよい。しかしそれを言うにしても、いったん安保をいつかは解消する、米軍をいつかは撤退させる、そのケリをつけてからのことだ。
 戦勝国というのは、一度侵略し、軍事基地を作り、駐兵した国からは、絶対に無条件では撤退しない。このことを大前提にして、米国という国、在沖・在日米軍のことを考える必要がある。それは「北方領土」を「実効支配」してきたロシアについても言えることだ。

 米国はロシアが「北方領土」を「実効支配」することを容認し、ロシアは米国が沖縄を「軍事植民地」化し、日本・韓国に基地を持ち、駐留することを容認してきた。中国についても然り。そしてこれら三国は、「国際の平和と安全」を「維持」する国連の最高権力機関たる安保理の常任理事国なのだ。国連に常任理事国体制が続く限り、これら三国は永遠に非公式で密約を交わしながら平和共存し、「国際の平和と安全」のために「協調」し続けるのである。

 さらに残りの常任理事国たる英国にフランスは、日本政府が最大の「脅威」と言う北朝鮮と国交があり、外交関係も持っている。ドイツはと言えば、日本が国交断絶し、経済制裁を強化するなか、北朝鮮に対する「経済協力」を強化してきた。外務省の無策ぶりと対比するなら、北朝鮮の外務省の方がよほど国際法の限界、国連加盟国としての制約をわきまえつつ、しかし体制の生き残りをかけて戦略的外交を最大限に展開してきた、と言えるだろう。

 これに対し、日本という国の政権与党・自民党、外務省という官僚機構、未解体の財閥は、戦後の世界秩序形成の中で日本の針路をめぐる「国政の主権者」の意思を顧みず、「ヌエ」のようにただ「パックス・アメリカーナ」に寄生し、国際社会の中で「経済大国」としての地歩を築くことしか考えてこなかった。
 1970年の安保の「自動延長」の時点において、読売新聞の世論調査でさえ、「国民」の過半数は「安保の段階的解消、米軍の段階的撤退」を主張していたのである。その声を封殺され、壊れたボイス・レコーダーのような政治家の口から「極東の平和と安全」「日本の平和と安全」のために安保と在日米軍が「抑止力」として欠かせない、こんなナンセンスを40年以上にわたって私たちは聞かされ続けてきたのである。


 在日米軍問題について言えば、戦勝国・米国の本音に対し、敗戦国・日本を代表する政府・外務省が、①国際条約としての安保条約の内容に即しながら、在日米軍の無期限駐留の論理的無根拠性を理路整然と米国に対置しつつ、②国連総会や安保理の場で無期限駐留の不当性を問題化しようとしてこなかったことが致命的である。そればかりか、歴史的事実が教えるのは、日本政府・外務省が、系統的・計画的、すなわち段階的な米軍の撤退をこれまで一度たりともまともに検討したことがない、ということだ。

 安保条約が「自動延長」体制に突入した1970年から数年をかけて、あるいは冷戦が崩壊した1990年代初頭から数年をかけて、10年、20年という長期のスパンで外務省がそうした戦略構想をまとめ、広く議論を興そうとしたなら、こんなことにはならなかったはずである。すべてが密約で処理されてきたのである。今からでも遅くはない。その議論を始めるべきだ、というのが私の主張である。

 「北方領土」問題もまったく同じである。敗戦国家としての日本が1945年以前に戦争し、侵略した国家に「戦勝国」として何を要求し、何をしてきたかを、まず想起することが重要である。「米国が沖縄を取るなら、北方領土を取る」と旧ソ連が米国の合意の下で兵を動かしたことを私たちは認識しておく必要がある。私たちは侵略し、完敗した。敗戦国が戦勝国に実効支配された領土を、「過去の国際条約違反だ。日本の固有の領土であるから返還せよ」と言ってケリがつくなら、パレスチナ問題など、イスラエルの占領政策など、とっくの昔にケリがついているではないか。

 事の核心は、「四島返還か、それとも二島返還か」にあるのではない。①1960年の「安保改定」が、旧ソ連の四島全域の実効支配の口実を与えると同時に、1972年に「返還」されるその後の沖縄を切り捨てたこと、②またそれと抱き合わせとなって、米ソ間の裏取引と日米間の密約の下で「北方領土」問題がはらんでいるリアル・ポリティクスが私たちの目からそらされてきたこと、③そのことが何十年間にもわたって放置されてきたことにある。

 これまで私たちは、「北方領土」の日ロ共同開発、ロシアへの経済協力を進めるという以外に、何か具体的な全面返還、あるいは二島返還⇒段階的完全返還に向けた政府・外務省、自民党・民主党の「方針」を聞いたことがあっただろうか? 国境・領土問題をいかなる意味においても「紛争」の火種にしない、そのことを日ロ間の合意として外交文書化した上で、国際法と二国間条約の歴史に基づきながら、返還の正当性を国際的にキャンペーンする日本政府・外務省、政権与党の姿を、これまで私たちは一度でも見たことがあっただろうか?

 こうした政府・外務省、政権与党としての主張を交渉国に公式に突きつけた上で、①国際法を遵守し、②自国が交わした国際条約に基づいて二国間関係や領土・基地問題を解決するという国際的責任を持ち、③しかも「国際の平和と安全」に対しても責任を持つ安保理常任理事国として、米国やロシアが、さらには中国が日本、また世界に対して何をどう答えるか。すべての外交交渉は、そこから始まるのである。
 日本の戦後政治と戦後外交、それを報じるメディアの言説は、私たちを愚弄する欺瞞と虚構で塗り固められてきたのである。


 どこの国でもそうだが、こうした国家間の領土問題において、もっとも忘れられ、切り捨てられてきたのがその領土に生きてきた人々(マイノリティ)であり、多くの場合、先住民族である。これらの人々の尊厳、国際法的に認められた自治や自決権。そして剥奪されたそれらの回復。

 先週の「北方領土の日」にあたり、アイヌの人々が北海道や東京で集まりを持ち、そのことを告発した。また、今週の土曜には、アイヌ・琉球・在日の人々が日本における人種・民族差別の撤廃を求めて東京で集まりを持とうとしている。さらに4月には明治大学で企画が予定されている。

 もういい加減、私たちは日本の戦後政治と戦後外交の欺瞞と虚構から目覚める時を迎えているのではないか。今年は、そのための絶好の機会を与えてくれそうだ。今年を、そういう年にしなければいけない。

2011年2月15日火曜日

「鎖に縛られたまま誕生したデモクラシー」---「エジプト革命」へのナオミ・クラインの警鐘

「鎖に縛られたまま誕生したデモクラシー」---「エジプト革命」へのナオミ・クラインの警鐘

 昨日、ナオミ・クラインが The Shock Doctrineに収録されたDEMOCRACY BORN IN CHAINS: SOUTH AFRICA’S CONSTRICTED FREEDOMを公開した。彼女は先週までダカールで開催されていた世界社会フォーラムに参加し、その間ツイッターで情報を配信しており、時折私も覗いていた。

 ナオミ・クラインがこの章を公開したのは、「エジプト革命」を担った者たちやそれに熱い視線を注いでいた者たちへの警鐘だと私は捉えている。今回の革命を祝福する。しかし課題は山積しているのだと。それをアパルトヘイトを解体し、ANCへの権力移行後10年余を経た南アのルポを転載することを通じ、彼女は伝えようとしたのだと。

 ちょっと情報は古いが、以下のような統計的資料は、アパルトヘイトを形だけは解体した南アの「革命」が、黒人の解放・生活向上には何もつながらなかった現実をとてもリアルに浮き彫りにしている。

・Since 1994, the year the ANC took power, the number of people living on less than $1 a day has doubled, from 2 million to 4 million in 2006.
・Between 1991 and 2002, the unemployment rate for black South Africans more than doubled, from 23 percent to 48 percent.
・Of South Africa’s 35 million black citizens, only five thousand earn more than $60,000 a year. The number of whites in that income bracket is twenty times higher, and many earn far more than that amount.
・The ANC government has built 1.8 million homes, but in the meantime 2 million people have lost their homes.
・Close to 1 million people have been evicted from farms in the first decade of democracy.
・Such evictions have meant that the number of shack dwellers has grown by 50 percent. In 2006, more than one in four South Africans lived in shacks located in informal shantytowns, many without running water or electricity.

 このような南アの現実は、「革命」10周年を迎えた7年前にもさまざまな媒体で流布されていた。状況は今日、さらに悪化しているだろう。政権が移行しても、経済運営の権限はいっさい移譲されなかった。しかもアパルトヘイト体制下の弾圧・拷問の犠牲者となった人々への「真相究明委員会」を通じた「和解」と補償のための財政支出により、国家財政が逼迫する。ANC政府は、国際金融資本や旧体制を牛耳っていた白人アフリカーナの権力者が言うがままの「民営化」路線を受け入れ、腐敗を深めてゆく。

 すべての背景には、南アの「デモクラシー」そのものが、奴隷制と植民地主義の遺制=鉄鎖には何も手をつけることができず、それに縛られたまま誕生せざるをえなかったという悲しい現実がある。(だとしても、ANC指導部の官僚主義・権威主義・腐敗とモラルハザードは何も免罪されないが)。

 日給2ドルで働くエジプトの労働者と、その資産総額が7、8兆円(もっと?)の独裁者(失踪?病気?)。
 南アの現在の中に映し出されているその鉄鎖を、エジプトやアフリカ大陸の未来を縛る鉄鎖にしてはならない、ナオミ・クラインはそう言いたいのである。
 軍の動きを決めるのは、その背後に存在する得体の知れない〈権力〉なのだ。おそらくそのことを指導者無き「エジプト革命」の主役たちは見据えているだろう。

2011年2月12日土曜日

エジプトからパレスチナへ、そして・・・

エジプトからパレスチナへ、そして・・・


 ムバラクが辞任した。
 この18日間を「革命」と民衆は呼んでいる。この間もそうだったが、これからのことについても軍の動きが非常に気になっている。だから、考え込んでしまうところがどうしても残ってしまうのだが、アルジャジーラのインタビューに応えていた若い人々の話を聞いて、そういう感じ方はやはり間違っているのだな、と思った。

 ある女性はこのように話していた。とにかく今夜は祝うのだと。一晩明けて、明日からどうするか、帰るか残るかを考える。軍との関係についても、私たちが何を要求としてまとめ、それに軍がどう返答するかによって決めるのだと。何もかもが、ムバラクが辞めてから始まるのだと。
 その通りなのだろう、と思った。すべてが「ありえない」とそれまでは思っていたことから始まり、「ありえない」と思っていたことがたった18日間で実現したのである。

 「革命」という政治的定義があらかじめあるのではない。すべての定義は起こったことの事後解釈にすぎないものだ。そういう定義や「理論」、解釈に沿って進む/進まないによってアレコレ評価したり、否定的に考えることは、はやり今回の出来事がいかに革命的なことであるかを理解できない外部の人間の思い込みや杞憂にすぎない、ということだろう。「ナルホドナ」と思った。

 エジプトの「民衆のパワー」。連帯感、結束力、そのエネルギー。そして自分たちがここで死んだとしても、何が何でもムバラクはもう認めない。何があっても権力の座から引き摺り下ろすまでたたかう。その気迫。「民族的」決意。圧倒的だった。

 1980年代後半から90年代始めの旧ソ連・東欧圏の崩壊と「民主化」以来の体験だ。「9.11」以後この10年、対テロ戦争という「戦争」が自分の思考を深く規定してきたことに気づかされた。対テロ戦争を乗り越え、国家と社会を根本から変えうる民衆のパワーとエネルギーに、どこか懐疑的になっていた自分を思い知らされた気がした。

 米国が、オバマがどう出るか、軍がどう出るかを事態の帰趨の決定要因であるかのようにどこかで考えていた自分がいた。ずっとどこか懐疑的で、醒めた目でみていた自分がいた。「ありえない」と思っていたことが、エジプトで現実に「ありえた」ことの意味、そもそもの始まりの革命性を最初から私は理解できていなかったのかもしれない。
 「事態は流動的」と書いた。しかし流動的でない事態、歴史などない。何でも起こりうる。歴史を生きるとはそういうことであり、歴史とは解釈するものではなく、つくるものなのだ。まざまざと見せつけられた気がした。


 次に進む前に、拙著『日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構』の書評を紹介させていただきたい。 一昨日、卞宰洙さんが書かれ、朝鮮新報に掲載されたものである。ロシア文学、朝鮮文学・詩の研究者である卞宰洙さんに書評を書いていただいたこと、そのこと自体をとても光栄に思う。

 「民衆のパワー」は宗教・民族・国境を、いずれは越えるものであることを信じたい。それは時の権力者や軍が押さえ込もうとしても、いずれは解き放たれる。「エジプト革命」はそのことを教えてくれた。2011年2月11日は、チュニジアとエジプトで解き放たれた「民衆のパワー」が「新しい中東」をつくり、それが「新しいシルクロード」をつくり、新しいアジア、中国、朝鮮半島をつくる歴史的転換点となるかもしれない。そしてその「新しい朝鮮半島」のためには「日米同盟という欺瞞」と「日米安保という虚構」に目覚めた「新しい日本」の出現が欠かせない。

 「道は長く険しい ここから見れば なだらかな坂みたいだが---」
 ロシアの詩人、マヤコフスキーの詩の一節であったと記憶するが、「道」はそれでも続いている。楽観は禁物かもしれない。が、悲観することもない。


 The Electronic Intifada (EI)。私が最も信頼している、英語で読めるパレスチナの情報サイトである。
 このEIに、先月27日、Palestinian students claim right "to participate in shaping of our destiny" が掲載された。パレスチナ学生総連合が、ロンドンのPLOの事務所前で座り込みをし、来年1月に「パレスチナ国民会議」の「直接選挙」を行うことを要求したのである。

 この間のパレスチナ情勢については、ネット上でもさまざまな情報を得ることができるので、それらを参照してほしい。ここで問題にしたいのは、これからのパレスチナ/イスラエル問題の行方を大きく左右するであろう学生・青年たちの運動についてである。
 上の要望文において、ハマス・ファタ・自治政府指導部間の「内ゲバ」にウンザリしきっている学生たちは、分裂を超えて統一したプラットフォームと「戦略」を確定する、難民、移民、亡命者、留学生などをも含めた民主的総選挙の実施を要求している。チュニジアでもエジプトでも「革命」の主役を果したのは青年・学生たちだった。そしてパレスチナでも、それが始まろうとしている。
 イスラエルは、これまでのような暴力的占領政策や入植活動を継続することはできなくなるにちがいない。「ありえない」と思っていたことが、パレスチナでもイスラエルでも本当に起きるかもしれない。

革命は、静かにではあるが確実に、もう始まっているようだ。時代は変わっている。
People Get Ready---Ziggy Marley
・・・・・・・
4月
エジプト軍批判のブロガーに有罪 禁錮3年、軍事法廷
 エジプトの軍事法廷は10日、インターネット上でエジプト軍を侮辱したとして、ブロガーの男性に対し、禁錮3年の有罪判決を言い渡した。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)が11日明らかにした。弁護士は付かなかったという。 2月11日のムバラク政権崩壊後、暫定統治に当たる軍は国民の信頼を得ているが、RSFは表現の自由を規制する動きだと批判している。
 AP通信によると、この男性は「人々と軍は一致協力などしていなかった」と題するブログを開き、旧ムバラク政権を長年支えてきた軍の姿勢を疑問視。また交流サイト「フェイスブック」にも軍の権力乱用ぶりを伝える内容を掲載するなどしたとして、3月28日に拘束された。 軍幹部は地元テレビで「意見表明には敬意が必要で、侮辱や中傷があってはならない」と主張した。【カイロ共同】

エジプト軍がデモ隊強制排除、2人死亡 異例の実力行使
 エジプト軍は9日未明、カイロ中心部のタハリール広場に集まっていたデモ隊を強制排除した。ロイター通信は病院関係者の情報として、2人が死亡したと伝えた。軍が実力行使に出るのは異例で、2月のムバラク政権崩壊後、全権を握った軍最高評議会と市民の間で緊張が高まる可能性がある。 広場では8日、ムバラク前大統領と一族の訴追を求める大規模なデモがあった。同通信などによると、9日午前3時ごろ、約300人の兵士が広場を囲み、威嚇射撃などで残っていたデモ参加者の排除に乗り出した。軍側は同通信に対し、実弾の使用を否定している。(朝日・カイロ=松井健)

2011年2月11日金曜日

人道的帝国主義とは何か---「保護する責任」と二一世紀の新世界秩序

人道的帝国主義とは何か---「保護する責任」と二一世紀の新世界秩序

⇒「保護する責任」にNO!という責任--人道的介入と「人道的帝国主義」より

 1月のハイチ大地震の1周年にあたり、ハイチや「低開発国」「重債務国」と呼ばれている国々の〈脱植民地化〉のプロセスに対して、巨大な国際人道・開発NGOが果している役割を書こうと考えていた。いわゆるポスト・コロニアル状況と国際NGOとの関係性の問題である。
 非常に大きなテーマなのだが、この問題を考えるヒントを与えてくれる言葉がある。「NGO共和国」という表現がそれである。


NGO共和国

 ハイチがNGO共和国になったという国際人道・開発NGOに対する批判がある。
 たとえば、アルジャジーラが報道した、Haiti 'a republic of NGOs' を観てほしい。記事にはこのようなことが書かれている。A report from Oxfam, one of the major NGOs working in Haiti admitted that international groups often exclude the state in their plans and should do more to work with the government.

 オクスファムは、まだこの事実を認めているだけマシだと私は考えている。圧倒的多数の欧米のNGOは、そして一部の日本のNGOも、NGOというよりは「サービス・デリバリー団体」化し、援助対象国の中央・地方の政府・行政機構、また現地の住民組織(NGOではない)や民衆運動体をバイパスして、一方的な「援助の押し売り」をしている現実がある。なぜか。「人道緊急援助」というのは、今日において、それ自体が巨大なグローバル産業になっているからである。こういう援助産業が、欧米の植民地支配の遺制と遺産を清算し、「自立」しようとしているその最中に海外から「ベイシック・ニーズ」の供給者として次から次に入ってきたらどうなるか? 

 ジャパン・プラットフォームなどは、活動展開の規模で言えば、チッポケな存在でしかない。しかし、やっていること、その結果がもたらしていることは、「NGO共和国」を世界各地につくっている欧米の巨大開発・人道NGOと同じである。しかも問題なのはサイトを見ても、そのことを捉え返そうとする気配が感じられないことだ。捉え返すどころか、年末まで募金とプロジェクトを延長するという。

 「震災からの復旧が遅れているハイチでは、ユニセフが水衛生分野で2011年末まで、IFRCがシェルターで2011年半ばから2011年末まで活動の継続を表明するなど、国際機関は緊急段階の支援が長期に必要なことで一致している。かかる状況下、JPFとして緊急対応期間を2011年末まで延長することが適切だと判断した」?

 まったくのデタラメである。復旧が遅れているのは、国連機関も国際NGOも、互いに競合しあうだけで、全世界から集めた寄付・税金・物品を、効率的・合理的に、現地の「ニーズ」に合わせて配分することをしないからだ。NGO間の何のコーディネーションもない。いわばすべてがバラバラで、「クライアント」の争奪戦・陣地戦を展開し、ハイチの人々を国連機関とNGOの管理・統制下に置き、実態的に支配/統治してしまっているのである。
 60ヶ国以上の国から、1万組織以上の「NGO」が、カリブの「最貧国」ハイチにハエのように群がり、「卵」を産み、寄生することによって実効支配している。ハイチにおいて、国際人道・開発NGOは脱植民地化の阻害物にしかなっていない。現代世界の最もマージナルな国々の、最もマージナルな人々にとって、今では「アラブの王国」を含む「援助大国」・国連・国際NGOは、文字通り「エイリアン」な存在なのである。

 税金を使っている組織体として、JPFを構成するNGOユニットは、たとえばハイチ、あるいはアフガニスタンやイラクにおいて自らが果している、果たしてしまっている役割を、一度きちんと総括し、レポートを公表すべきである。


 「紛争予防」「人間の安全保障」「平和構築」の三位一体神話の解体

 どんなに「貧しい」国だとしても、人々がそこで生きている限り、さまざまな社会的組織体がある。NGOの役割はそれらの社会的組織体を現地の「カウンターパート」としてNGO化することではない。またその社会固有の活動や運動を「プロジェクト」化することもでもない。これらは、NGOとして絶対にしてはならない禁止則である。
 戦後という時間幅で見ると、欧米の「チャリティ」系NGOが、旧植民地宗主国が軍事独裁国家を構築するのを横目でやり過ごしながら、世界各地でこの禁止則を犯してきたことに気づかされる。援助国が軍事独裁を支え、武器輸出のマーケットとし、NGOがその国の内部から社会的組織体の成長を阻害してしまうハイチのような国が「破綻国家」「脆弱国家」として構造的に「自立」できなくなってしまうのは必然である。国家として、また社会として自立する条件を、援助する側が奪ってきたのであるから。

 次から次に「ホットスポット」を目指して組織と財政基盤の拡大をはかるNGOは、目的が手段化し、本来の主役が隷属化し、黒子(くろこ)が主役になってしまっていることを反省しようとしない。活動そのものがビジネス化するにつれて、その傾向はひどくなる一方になる。

2011年2月9日水曜日

在沖米軍のヘリパッド建設問題

在沖米軍のヘリパッド建設問題

 このブログの訪問者の中で、在沖米軍のヘリパッド建設をめぐる緊迫した現地の状況をご存知ない人は琉球朝日放送のこの映像をみていただきたい。また右のサイト下にある記事と映像にも目を通していただきたい。そして友人や知人に情報を広めていただくことを要請したい。

2011年2月7日月曜日

ドル経済の終焉・米国の崩落・壊れる米国の大学

ドル経済の終焉・米国の崩落・壊れる米国の大学


 今年は、2001年の「9.11」から10周年になる。つまり、対テロ戦争勃発10周年の年だ。
 米国の繁栄の象徴でもあった世界貿易センターは、旅客機の突撃によって崩落した。少なくともそういうことになっているし、私たちもそういうことにしている。その米国が、「9.11」から10年を経て、ドル経済の終焉と自らの経済・金融・財政政策の失敗により崩落しようとしている。米国の大学が次から次に壊れてゆくのは、そのことの表れでしかない。

 ドル経済の終焉と米国の崩落に関しては、いまその筋の専門家たちにとっての問いは、これらが「本当に起こるのかどうか」にあるのではない。「いつ起こるのか、どれくらいの打撃を世界経済にもたらすか、打撃を小さくするにはどうすればよいか」にすでに移っている。詳しいことを知りたい人は、証券会社の人間か米国経済の専門家にでも聞いたり、専門書に自分で目を通して欲しい。

 世界のドル経済体制は、近い内に必ずや終焉を迎える。すでに世銀、EU、中国、OPECに日本は「ポスト・ドル体制」をどうするのかを真剣に議論し始めている。しかし、円はもとよりユーロ、元、「オイルマネー」もドルに代わって、単一の通貨として世界経済と貿易を支える力はない。だから米国の国債を買い、為替相場の変動に介入し、米国を崩落させないために「協調」してきたのである。世界金融・信用恐慌がいくら起こっても、1930年代のように恐慌⇒ブロック化⇒ブロック相互の戦争(帝国主義間戦争)へとは「発展」しようがない。

 しかし「協調介入によるドル体制と変動為替相場体制の「安定」の偽装」にも、もう限界がきている。というより、10年前にブッシュが登場した時点ですでに限界を超えていたというのに、ブッシュとグリーンスパンが無策であったことの帰結が3年前の「リーマンショック」となって噴火したのである。
 米国や世界の投資・投機家たちはドルをこぞって売り、手放している。米国から資本を引き上げている。世界各地の観光スポットでは、ドルが歓迎されなくなるのを通り越して、ドルではモノが買えないところが増えている。米国国内でさえ、ドル以外のユーロや円が好まれる店や、連邦政府が発行するドルとは別の「地域通貨」での取り引き活動が登場し、広がっている。

 ともあれ、米国と世界は「リーマンショック」をはるかに凌ぐ大噴火を近い内に目撃することになる。ちょうど1929年に始まる世界大恐慌と同様に、「大地震が来た!」と思っていたものが前兆に過ぎず、本格的な打撃は1930年代に入って直後に来たように。今年の後半から来年が、かなりヤバイ。石油・穀物関連の市場価格の高騰、そこから波状的に拡大する物価全般の高騰。「気象変動」がそれに追い討ちをかける・・・。


 米国の大学が壊れているのは、その規模の大きさを別にすれば、基本的に日本、いや世界中で起こっている現象とまったく同じことが要因になっている。全米46州がデフォルト(債務不履行)宣言寸前の財政状況にある中で、州立大学の「運営費交付金」の大幅カット。連邦政府自体がデフォルト寸前で、州への財政配分を大幅にカットしようとしているのであるから、政府はあてにならない。その結果、授業料が高騰し、正規の教職員が合理化され、非常勤の教職員が膨張している。

 私立大学はますます金持ちしか行けない大学となり、昔はその「セーフティネット」とされた州立大学もそうなりつつある。リーマンショック以降、奨学金の利子の返済ができない学生たちが自己破産し、大学を中退し、ホームレス化するという事態が起こったが、それを克服・解決できない間に米国は、さらに破壊力のある大地震に見舞われようとしている。

 プエルトリコ、あるいはメキシコ、中米などのヒスパニック系移民がテキサスと並んで多いカリフォルニアの州立大学システム(バークレーやLAなど)で学生の運動が先鋭化したのは、以上のようなことが背景にあってのことだった。

2011/2/10


 プエルトリコの「大学教授協会」が学生たちの運動と当局の弾圧に抗議して、一日ストをした(現地時間の水曜)。800ドルの学費値上げに反対した学生のストライキで少なくとも八名の逮捕者が出たとのことだ。⇒ワシントンポストに転載されたAP通信の記事。およそストなどという経験を持たず、闘うことをしない、どこかの国の大学教授よりはよほどリッパである。
 米国の州立大学システムの財政事情については、1月24日のニューヨークタイムズが報じている。注目したいのは、次のような記事の内容だ。

・“The whole thing is kind of scary, for somebody like me who’s paying for college myself,” said Ms. Murphy, who plans to be a teacher. “I turn 20 tomorrow, I’m already in debt, and if tuition goes up again next year, I’ll be in an even worse position.”
・In California, where tuition has been raised by 30 percent in the last two years — and where out-of-state tuition now tops $50,000, about the same as an elite private university — the governor has proposed cutting state support for the University of California by $500 million for the next fiscal year.
・In state after state, tuition and class size are rising, jobs are being eliminated, maintenance is being deferred and the number of nonresident students, who pay higher tuition, is increasing.
・At the University of South Carolina, budget cuts have already pushed tuition to $9,786, more than double what it was a decade ago and well above both the national and regional averages.

 いずれ近いうちに、日本の国公立大学もかならず米国の州立大学と同じような状況に叩き込まれることになる。
 今年から来年にかけて日本列島を襲撃するであろう、ガソリン・灯油・石油関連商品・光熱費・食料品等々の値上げ、新消費税の導入などの大攻勢が「壊れる大学」現象をより一層加速させ、深刻なものにするだろう。これに伴い労働強化と口減らしが起こるだろう。今春季から日本は、一部の儲ける業種は内部留保を拡大させつつ「好況」を迎えつつも、全体としてはデフレ経済からハイパー・スタグフレーション(不況下のインフレ)に徐々に突入してゆくだろう。

 だから、派遣労働者やフリーターの人々は「戦略的防衛体制」に入る必要がある。サラ金には絶対に手を出さぬこと、少しでも貯金と必需品の備蓄をすること、今年に契約解除・解雇がありうることを念頭に置いておくこと、身体と精神の健康を保ち、医者や歯医者にかからないようにすること、「いざ」というときに互いに助け合うネットワークを広げること、未組織労働者を支援する最寄の団体を調べておくこと・・・。

 長いたたかいになりそうだ。 

2011年2月4日金曜日

エジプトのこと、「壊れる米国の大学」のこと、世界社会フォーラム2011のことなど

エジプトのこと、「壊れる米国の大学」のこと、世界社会フォーラム2011のことなど

 この二週間ほど、ブログの読者と同じように、チュニジアに始まり北アフリカ、アラビア半島からさらに世界中に拡大したアラブ・イスラム社会の「民主化」のたたかいに釘付けになっていた。この週末、いや明日にもエジプトのムバラク独裁政権が崩壊するかもしれない。歴史的な出来事に、まさにリアルタイムで立ち会うために、Al Jazeera(英語)のLive Streamでしばらく事態の推移を見守りたいと思う。「壊れる米国の大学」のことや世界社会フォーラム2011のことなどは、順次追って報告したい。

2011/2/7

エジプトのこと

 週末にもムバラクが辞任し、独裁政権が崩壊するかもしれないという予測は裏切られたようだ。報道によれば、新たに副大統領となったスレイマンと反政府側が昨日初めて交渉のテーブルにつき、政府側が大幅な「譲歩」を提案したという。憲法改正、大統領の任期制限、逮捕者の釈放、非常事態法の撤廃なども含まれている。しかし、民衆が要求しているムバラク政権の即時退陣のみは含まれていない。

 反政府側の「穏健派」の取り込みと懐柔、運動の分断・統制がミエミエの「譲歩」は、反政府側にとっては原則的に受け入れられる代物ではない。何をどうするにしても、すべてはムバラク辞任と総辞職が大前提だというのが当初からの一貫した主張であるからだ。
 しかし、現実問題としては、民衆蜂起が13日目に突入し、それでなくとも逼迫している国内経済と困窮を深める市民生活にさらなる打撃を与える結果になっていることは事実であり、みんなかなり疲弊しきっていることはライブ映像を観ていても感じられる。そのなかで政府の「譲歩」の受諾如何をめぐり、もしかしたら運動内部に亀裂が走り、衝突が表面化することもありえるかもしれない。

 死傷者・逮捕者総数は、もう少し事態が落ち着いてから明らかになるだろうが、かなりの数にのぼることがすでに明らかになっている。当事者やその家族としてはそれへの対応もあるし、何より仕事をいつまでも休むわけにはいかない。失業中の者たちにしても、自分や家族がきちんと食べることができるようにすることが先決だ。休養もきちんと取らなければ、たたかいを持続させることはできないからだ。
 その意味では、今回のような大規模におよぶ行動が二週間にもわたり間断なく展開されてきたこと自体が驚異的である。今後の事態の推移は、昨夜の交渉結果がこれから反政府勢力内でどのように検討され、どのような統一的方針がまとめられるかにかかっている、と言えそうだ。

 一方、オバマやクリントンの動き、米国国内の主流メディアの論評、イギリス、フランス、イスラエルの動きなどもブツブツ文句を言いながら聞いたり、読んだりした。しかし、これらを含め何か断定的なことが言える状況にはまだない。事態は依然、流動的だ。もう少し見守ることにしよう。


「壊れる米国の大学」のこと

 これについては、独立ページをつくって整理する必要があると考えている。さしあたり、米国の中の「植民地」、プエルトリコの学生運動が昨年以来高揚していることを、ちょっとした情報として紹介しておこう。
⇒Puerto Rico Student Protests 2010/11(英語)