2011年2月18日金曜日

米国の「民衆のパワー」

米国の「民衆のパワー」

 日本のメディアでは報道されることがないと思えるので、ちょっとした情報として。米国はウィスコンシン州の「民衆のパワー」のレポートである。(現時時間の水曜。CNN)

・Social Media is blowing up over Wisconsin Governor's, Scott Walker's declaration to cut collective bargaining rights for public workers.(「公務員労働者の団体交渉権を廃止する」という共和党の州知事の宣言に対し、オルタナティブ・メディアが「爆発」)
1000 Appleton East High School students walked out of school yesterday to support their teachers.
40% of the 2,600 Madison School District Employees plan to stage a "sickout" today. Madison schools close.
・Wisconsin State Journal reports more than 10,000 protesters appeared before the Capitol steps yesterday. Even more appeared today, sleeping the night in and around the Capitol.(一部報道ではデモ参加者は1万5000人といわれている。極寒のマジソンで泊り込みの抗議行動を展開している!)

映像
Amazing video of Wisconsin protests 州政府の議事堂を事実上「占拠」。下のビデオでは「エジプトの民衆のように歩こう」と書かれたプラカードが見える)
Wisconsin schools call off classes as budget protests continue CNN
UWM Student Walk Out Protest(ウィスコンシン州立大学・マジソンキャンパスの学生たちの授業ボイコット。最新)

Alternetに掲載された記事
Is Wisconsin Our Egypt? 15,000 Protest Off-the-Wall Right-Wing Governor's Policies
Nationに掲載された記事(現地時間の木曜。最新)
Wisconsin Crowds Swell to 30,000; Key GOP Legislators Waver
Wisconsin Students Protest Governor's Attack on Unions

 日本のどこかの県庁、県議会が包囲され、一時的にではあれ「占拠」されたようなものである。日本の高校生が教師のストライキを支援し、デモをするなんて考えられるだろうか? 日本では考えられないこと、「ありえない」ことが世界で、米国で現実に起こっているのである。
 確かに、ウィスコンシン州立大学のメインキャンパスのあるマジソンは昔からリベラルとプログレッシブの拠点のような街であるが、こういうシーンを観るのは私も初めてだ。まさにAmazing!である。
 米国の「民衆のパワー」。そのたたかいのはじまりかもしれない。これが民主党知事の膝元で起こったなら、二大政党制そのものを揺るがす地殻変動に発展する可能性さえ無キニシモアラズとなる。

 ただし。法的身分保障や給与・待遇などにおいて、日本の正規の公務員労働者に比べれるなら遥かに「劣悪」な環境に置かれている米国の地方の公務員労働運動や巨大な組合運動に対しては、それよりもさらに法的に劣悪な労働条件、賃金体系のクビキの下にある一般の非組合系の労働運動や社会運動から、さまざまな批判があることは明記しておく必要がある。「リーマン・ショック」の際の公的資金の投入が、GM労組の救済策としても活用されたことに対する批判を思い出してみればよい。「支持すべきか、せざるべきか」「勝手にやってくれ」といった、要するに日本と同じような「構造的問題」を抱えていると理解すればわかりやすい。ただし。今回は違う。「既得権防衛」の域を超えているからである。

 ともあれ、1月のあまりにさえなかったオバマの「一般教書」と先日の「予算教書」が、州財政の破綻寸前の状況のなかでリストラ・減給・年金支給減などの攻撃を受けている地方公務員のたたかいに油を注いだことだけは確かである。火は全米に飛び火する気配が十分にあるが、米国の民衆のたたかいも長いたたかいになりそうである。