2011年3月20日日曜日

東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)

東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)
⇒「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言

3/30
福島第二原発でも煙、1号機タービン建屋
 東電は、福島第二原発の1号機タービン建屋の1階の分電盤付近で、30日午後5時56分頃、煙が上がっているのを確認、消防署に通報。(第二原発は「問題なし」とされていたが、要注目。通常では原発から「煙がでる」という事自体、異常事態なのだ。みんな神経と感覚が麻痺してしまったようだ)

大人の基準超す放射性物質=22日採取の水から―千葉県(時事通信)
 千葉県八千代市の睦浄水場の入り口手前で22日に採取した飲用水から、大人の飲用基準(1キログラム当たり300ベクレル)を超える放射性ヨウ素131が検出されていたことが30日、分かった。 市と県によると、この水から370ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。また、同浄水場に給水している北千葉浄水場で22日採取されたサンプルを調べたところ、336ベクレルが確認された。 北千葉浄水場は、八千代市や松戸市など7市に水を供給している。

 28日に採取した水から放射性ヨウ素は検出されておらず、県は現在、飲用を控える呼び掛けはしていない。(⇒千葉県民は黙って見過ごしてよいのか?)

放水口付近の海水から3355倍のヨウ素検出 東電は30日、福島第1原発の南放水口付近で29日に採取した海水から基準値の3355倍の放射性ヨウ素131が検出されたと発表。これまでの最高値。基準値の520.2倍のセシウム134なども検出。
・東電勝俣恒久会長、福島第1原発の事故について「心から深くおわび申し上げる」「1~4号機の状況を客観的に見ると、廃止せざるをえない」(2011/3/30)

原発認可の一時停止求める法案、米下院議員提出
 米民主党のエドワード・マーキー下院議員は29日、福島第一原発の事故を受けて、米国内の原発の新規認可や既存原発の免許更新を一時的に停止することを求める「原子力発電所安全法案」を提出。 法案は、
1, 原発が長時間の停電に耐える自前の電源施設を備えることや、
2, 使用済み核燃料を可能な限りプールに貯蔵せず、地上での乾式保管に移すことなども求めている。マーキー議員は2002年に、原発の半径20マイル(約32キロ・メートル)に住む子供を対象に甲状腺がんを予防するヨウ素剤を事前配布することを定める法案を提出し成立させている。【読売・ワシントン=山田哲朗】

3/29
福島第1原発 放射能汚染水数千トン!! 「除去作業」いつまでかかる?
 タービン建屋地下で見つかった高放射線量を持つ汚染水、数千トンを超える見通し。高濃度の放射能を帯びているため作業難航。2号機の原子炉圧力容器破損に加え、事態はいっそう深刻に。
・1号機→24日夕から毎時6~18トンポンプでくみ上げ復水器に。効果不明。(「復水器」=原子炉で発生し、発電のためにタービン建屋に送り込まれた蒸気を水に戻す装置)
・2号機→1号機と同様の作業予定。しかし汚染水から毎時1000ミリシーベルト以上の高放射線量検出、作業遅延。

・2、3号機復水器満水→「玉突き作戦」。復水器の水を「復水貯蔵タンク」に入れるために、まずこのタンクの水を「圧力抑制室用貯水タンク(サージタンク)」に。「圧力抑制室用貯水タンク」は各号機共用、4号機の南にある2基は容量計6800トン、うち空き容量は約4千トン。2、3号機の貯蔵タンクを空にし復水器に最大限の容量を確保する作業。

・1~3号機タービン建屋外の「トレンチ」→計約1万3000トンの汚染水。回収見通し立たず。経産省原子力安全・保安院「汚染水をすべて回収しようと、いろいろ考えている」。
・1号機原子炉→温度が一時400度を上回る異常事態→注水量毎分113リットルから141リットルに。「改善傾向」?(⇒時期尚早否めず。給水=汚染水排出の「放射能放出サイクル」現象)
・4号機中央制御室の照明点灯、全6基の制御室再開⇒これはgood news.

1号機、放射能汚染水、排水進まず
東電武藤栄副社長「ポンプの台数を増やすなど排水を進めているが、現時点では大きな変化をみるにいたっていない」「明確な理由は判然としない」。

第一原発の南16キロの海水、58倍のヨウ素
 東電は29日、第一原発から南へ16キロ離れた岩沢海岸で28日に採取された海水から基準値の58.8倍の放射性ヨウ素を検出したと発表。 27日に採取した海水では同7.4倍だった。第一原発の放水口近くから26日に採取した海水から同1850倍の放射性ヨウ素が検出。高濃度の放射性物質を含む水があまり拡散しないまま、潮流で流された可能性

 東電は放射性物質は海で拡散して薄まると説明していたが、「沖合に流れれば、放射性物質は拡散すると思うが、海岸近くの流れはどうなっているか分からない。よどんだ水が塊で流れ着いた可能性がある」と説明。

浪江町 累積放射線量、年間限度の5倍に 浪江町
 文科省は29日、福島第1原発から北西約30キロの福島県浪江町国道399号沿いの累積放射線量が、人工被ばく年間限度(1ミリシーベルト)の5倍超となる5.743ミリシーベルトに達したと発表。23~28日の約118時間の累積放射線量。原子力安全委員会が定める「コンクリート家屋内への退避や現場からの避難」の基準である50ミリシーベルトの10分の1を超えた。

福島原発の土壌からプルトニウム 「人体に影響ない」
 東電は28日、福島第1原子力発電所の敷地内の土壌5カ所からプルトニウムを検出したと発表。このうち2カ所については、今回の原発事故で核燃料の損傷により外部に漏れた可能性が高いという。他の3カ所については、過去に行われた核実験に由来する可能性もあると説明。武藤栄副社長「人体への影響はない値だ」。
 検出されたのはプルトニウム238、同239、同240の3種類。3月21、22日に敷地内の5カ所の土を採取、外部機関に検査を依頼。このうち2カ所で過去の大気圏中の核実験で検出された同位体とは異なるプルトニウム238を検出。同238の濃度は国内土壌の平均と比べ3倍超の値という。

福島・飯舘村など2地点で放射性物質急増
 文科省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出したと発表。北西約45キロ川俣町でも過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった放射性物質が2地点で急増した。

 文科省「採取場所が全く同じではなく一概に評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、農作物への影響を注視する必要がある」(⇒「人への影響」より「農作物への影響」を「注視」?)

「30キロ圏外にも汚染」 仏原子力安全局
 フランス原子力安全局のラコスト局長は28日の記者会見で、福島第1原発事故で放出された放射性物質による汚染は、屋内退避の範囲である原発から半径30キロ圏の外側にも広がっているとの認識を示した。
 ラコスト局長は、事故の状況などから「30キロ圏外に汚染が広がり、農作物などにも影響が出ていることは明らか。汚染が100キロ圏に広がったとしても全く驚かない」と警告。「(汚染除去などで)状況が管理できるまでに、数年から数十年を要する」との考えも示した。
 日本では既に、放射性ヨウ素による被曝線量について、30キロ圏外でも100ミリシーベルト以上になり得るとの試算が明らかになっている。(共同)

3/28
2号機、建屋外にも汚染水 燃料棒に深刻な損傷
 2号機の坑道(トレンチ)で、高い放射線量を計測。毎時1000ミリシーベルト以上。放射線管理区域外の屋外で見つかったのは初めて。冷却装置の復旧作業が一層困難に。環境への影響にも懸念拡大。
 東電によると27日午後3時半~4時に1~3号機のトレンチに水がたまっているのを確認。 このうち1、2号機のトレンチは放射性物質で汚染。3号機は放射線量不明。2号機のトレンチの深さ15.9メートル、地表から水面まで1m。1号機のトレンチの水面は表面から10cm、毎時0.4ミリシーベルト。トレンチから海まで55~69m。「現時点では水があふれているかわからない」。

汚染水流出「格納容器から」…安全委見解
 原子力安全委員会(班目春樹委員長)見解原案→汚染水は「一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で直接流出したと推定される」。屋外からの2号機炉心冷却は継続可能と判断。ただし「汚染された水たまりの処理を速やかに実施し、作業員の放射線管理に十分な配慮をすることが必要」。

〈圧力容器破損〉
・「5重の放射能閉じ込め機能」→①燃料ペレット、②燃料被覆管、③格納容器、④圧力容器、⑤原子炉建屋。圧力容器は原発からの放射能漏れのカナメ中のカナメ。2号機は①から⑤のすべてが破損・破壊。完全に「アウト」。福島第一原発の圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製。
 超高温になった核燃料が圧力容器の壁を溶かし、穴を開けた。容器底部には計測装置(正常に機能しているとはとても思えない)などを外部から差し込む「貫通部」などがある。問題は原子炉内の核燃料溶融の規模、「穴」の場所・大きさ、その修復可能性。

東電見解 -- 「完全に壊れているわけではない」「チェルノブイリのように破裂して(燃料が)外に出ている状態ではない」「容器の「健全性」は保たれている」。
・1~3号機の圧力容器の水位計数値→「思うように上がっていない」。
・2、4号機の「プール」満水⇒これはgood news. 中央制御室のバッテリーが復旧し、満水状態からあふれた水をためておくサブタンクの水位が測定可能に。2号機のプール水温は27日午後5時50分時点で56度、4号機不明。4号機は使用中・使用済みを含めた燃料1331体がすべてプールに。4号機の当面の危機は回避か。

放射線測定器、福島県で不足…分析遅れ住民苦情
 福島第一原発の事故を受け、福島県は水道水や野菜などの放射線測定に追われる一方、機器不足のため分析結果の公表が遅れ、県民から苦情が相次いでいる。 「東京都では毎日検査結果が出ているのに、福島県で、結果の公表が遅れるのは納得できない」「川俣町の水道水で基準を超えたのに、報道されたのは数日後。その間、子どもに飲ませてしまったが大丈夫か」
 27日に開かれた県災害対策本部会議。放射線に関する県民の苦情が紹介されると、経済産業省原子力安全・保安院の内藤伸悟審議官は「検査機器が不足している(⇒「不足」しているなら単に増やせばよい。それだけだ)。東京のようにその日のうちに結果を出すのは難しい」と釈明するほかなかった。
 保安院によると、放射線測定には「ゲルマニウム半導体検出器」という装置が使われ、県内には計5台が備えてある。うち3台は大熊町の県原子力センターにあるが、今回の事故で、同センター周辺の放射線量が高く、担当者が近づけない。福島市内の同センター支所に設置した2台をフル稼働しているが、1検体を検査するのに1時間は必要で、担当の職員が休まずに頑張っても1台あたり1日で20検体程度が限界だという(⇒単に臨時職員を増やせばよい。それだけだ)。(読売より)

東電、仏に支援要請
 東電、フランス電力(EDF)や核燃料会社アレバなどフランスの原子力関連企業・機関に支援を要請。ベッソン産業・エネルギー・デジタル経済担当相が28日、ラジオ番組で明らかに。「東電からの支援要請は初めて」。フランスの原子力庁にも要請。EDFは18日、専門家の派遣や原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送など独自の救援計画を発表しているが、東電からの要請は同計画とは別枠。要請詳細不明。(パリ共同より)

東電“白旗”仏に泣きついた…「統制不能」原発先進国へ支援要請
 事態収束に展望が開けない東電がとった手段は、フランスへの支援要請だった。29日付のフランス有力紙、ル・モンドによると、アレバは事故発生直後から東電側と連絡を取り合ってきたが、26日ごろに緊急要請を受けたという。ル・モンドは「東電が原発事故の統御不能に陥った可能性」との見出しを掲げ、当事者の東電が“白旗”を掲げた事態を深刻視している。

 ベッソン担当相は「東電からの(フランス各機関に対する)支援要請は(事故発生後)初めて」と話した。EDFは18日、専門家の派遣、原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送など独自の救援計画を発表。が、ル・モンド紙によると日本側はこれを拒否したという。
 フランスは日本の原子力業界と関係が深い。アレバは日本の電力会社の委託でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の加工を請け負っている。福島第1原発3号機で現在使われているMOX燃料は1999年にフランスから運ばれたもの。(スポーツ報知 3月29日付けより抜粋)

関西電力:「原発計画は粛々と推進」八木社長
 関電の八木誠社長は28日の定例会見で、定期検査中の原発3基の運転再開と今後予定している高浜原発4号機(福井県高浜町)でのプルサーマル発電について「粛々とやっていく」と述べ、計画通りに進める考えを示した。東日本大震災を受けて九州電力は玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開の延期を決めており、電力会社間の方針に差。
 点検中の原発は美浜原発1号機(福井県美浜町)、高浜原発1号機大飯原発3号機(福井県おおい町)の3基。八木社長は「国が新たに示すガイドラインに対応したうえで再開したい」とした。【毎日・横山三加子】(⇒「国が新たに示すガイドライン」の内容が今後の攻防になる)

3/27
2号機・3号機の放射能汚染水の復水器への排出作業中止。再開のめど立たず。線量計が振り切れ、正確な放射線量も分からない状況。

2号機建屋の水から高濃度放射性物質 原子炉から漏出の可能性大
①2号機タービン建屋地下の水たまり表面の放射線量、毎時1000ミリシーベルト以上。「再評価」の結果、ヨウ素134は検出されず、水の放射能濃度約10万倍と訂正。
 武藤栄副社長「ヨウ素134とコバルト56を取り違えた。大変申し訳ない」。未曽有の原発事故下での致命的二重ミス
②2号機は14日から15日にかけ原子炉の水位が大幅に低下、燃料棒が損傷。格納容器下部の圧力抑制室も一部破損した可能性大。燃料棒内の核分裂生成物が漏れているとみられる。原子炉は真水注入で「比較的安定した状態」。
③2号機タービン建屋地下⇒26日午前9時前、測定者2人が水たまりを調査。しかし表面線量が高レベルだったため測定を中断、退避。表面線量は毎時1000ミリシーベルトより大幅に高い可能性も。毎時1000ミリシーベルトの場合、測定者は15分間で被曝限度の250ミリシーベルトを浴びる。2人の被曝量2629ミリシーベルト。また、3号機で25日に作業員3人が被曝した際、表面線量400ミリ・シーベルトだったが26日は750ミリ・シーベルトに上昇。
④1号機は27日午後から排水量を3倍に増やし毎時18トンを復水器に排水、3、4号機は排水方法検討。
⑤電動ポンプによる原子炉圧力容器への真水注入⇒2号機→完了、1、3号機→28日中の切り替え、2、3号機→復水器満水、別の排出先を決めた上で排水作業に移る方針。
⑥1~3号機の圧力容器破損の可能性⇒炉内不明な点多し。中央制御室機能復旧→正確な水位・圧力などの把握へ。
⑦燃料プールの真水注入への切り替え⇒2号機は28日、冷却系配管を通じて行う予定。

 東電・保安院・マスコミは、原子炉からの汚染水漏出に関し、もう「可能性」というあいまいな表現をやめるべきだ。少なくとも、2号機原子炉の「核燃料被覆管」が破損し、核燃料棒が露出状態にあり、「核燃料サイクル」ならぬ核燃料棒発熱→給水・放水→汚染水漏出の「放射能放出サイクル」現象が起こっていることは間違いない。「核燃料被覆管」は本来、核燃料の長時間の高燃焼にも十分耐えうるように製造されているはずであり、これが破損するという事自体「あってはならない」「信じがたい」ことなのだ。
 
 毎日新聞の取材に応えた「原子力資料情報室」の上沢千尋氏。「電源を喪失した時点で、トラブルが起こることは想定できたはずだ。しかし、東京電力の対応は収束までの見通しを持っているように見えない。このままでは冷温停止状態になるのに1カ月程度かかる可能性がある(⇒「1カ月程度」ですめばよいが・・・)。さらに冷却システムが機能していないことを考えると、(放射性物質の漏えいが止まる)収束までに年単位の時間を要することもありえる」。

「何カ月、何年と言えない」=原発事故、収束見通せず―東電副社長
 武藤栄東電副社長(原子力担当)は27日午後、収束までの見通しに関して「残念ながら何カ月、何年と言えるまで具体的な方策、スケジュールは詰まっていない」と述べた。その上で「全体としては進展が見えている(?)と思う。努力を積み重ねたい」として、事故対応への理解を求めた。 1~3号機の原子炉内にある燃料棒の状態については、「観測できるデータが非常に限られ、推測するのは難しい」と発言。露出した燃料棒がどれだけ損傷しているか、把握できていないことを明らかにした。(時事)(⇒副社長自身が「何」という表現を使っていることに注意)

東電、5月の電気料金値上げへ=燃料高で3カ月連続
 一昨日の報道だが、一般家庭では4月より約70円高の月6385円前後に設定される見込み。他の電力・ガス会社も値上げする公算。

⇒国と東電には、「全執行役員の無給化・資産凍結→差し押さえ、全管理職以上の大幅減給・一切の賞与無し、全社員の最低でも給与据え置き→減給、ボーナス無し」を同時に決定してもらわねばならないだろう。これを「超法規的措置」で断行する必要がある。これは非常に、非常に重要な問題だ。「東電ショック」は「リーマン・ショック」どころの話ではない。いずれ近いうちに、東電の破産宣言→日航に続く「公的資金投入」問題→国有化問題(東電をどうするか)が浮上するだろう。

放射性物質 米東海岸で検出 福島第1原発から放出か
 米メディアは26日、福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質がノースカロライナ州フロリダ州など初めて東海岸で検出されたと報じた。18日に西海岸のカリフォルニア州で検出されて以降、西風に乗って約1週間で大陸を横断したとみられる。 原子力発電所の観測施設で検出されたとの情報を環境保護団体が25日に入手、通報を受けた米メディアが電力会社に確認。原発の観測施設は一般の計測器に比べ感度が高いとされる。全米の観測施設網を管理している米環境保護局は、東海岸への放射性物質到達を発表していない。(毎日)

「終わりまではまだ遠い」 米紙にIAEA事務局長
 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は26日、米紙ニューヨーク・タイムズとの電話インタビューで、福島第1原発の事故について「終わりまではまだ遠い」との認識を示した。同紙によると、事務局長は目下の最大の懸念として冷却機能を失っている使用済み燃料プールの問題を挙げた。(⇒「認識」が甘い!!)
 事務局長は、今回の事故について「極めて深刻でまだ終結に至っていない」と述べ、安全に終結させるまでには「まだかなりの時間がかかる」との見方を示した。 事務局長は、日本の政府当局は情報を隠蔽していない(???)との考えを示しながらも、最近の訪日目的が、菅直人首相から「完全な透明性」の確約を得ることにあったと明らかにした(⇒「透明性」は限りなくゼロに近い)。(共同)

自衛隊員派遣手当など増額
 防衛省は26日、自衛隊員に対して支給する「災害派遣等手当」と「死体処理手当」の支給額を現行よりそれぞれ引き上げる方針を固めた。現行の災害派遣等手当では隊員が捜索救助などに2日以上連続であたった場合の支給額は1日1620円、退去命令が出ている区域や被曝のおそれがある区域などで特に困難な任務が伴う場合は同3240円増額。遺体収容に従事した隊員に対しては1日1000円(損傷の激しい遺体の場合は同2000円)の死体処理手当を災害派遣等手当に加算して支給。

 防衛省は24日、防衛省訓令を改正。「放射能漏洩事故への対処に当たっている自衛官が死亡したり障害の残るケガをした際に支給される「賞恤(しょうじゅつ)金」の最高額を6000万円から9000万円に引き上げた。「原子力災害派遣」が発令された11日以降の事故に適用。2003~2009年のイラク「派遣」時にも行われた。
 北沢防衛大臣「自らの命を顧みずに任務に就いており、わが国の最高金額に合わせることが必要だ」。第1原発事故対処には現在、陸上自衛隊の中央特殊武器防護隊の隊員など約500人が従事。「賞恤金」は「危険を顧みずに勤務を続けたなどの功労」の程度に応じて支払われる。「恤」=「兵を慈しむ」。(⇒真っ先に「兵」を守り、「慈しむ」のではなく、まず〈民〉を守り、慈しんでほしい)

プルトニウム漏出も調査=土壌採取し分析
 東電、毒性の強いプルトニウムが漏出していないかどうか(?)を調べるため、敷地内5カ所で土壌を21、22両日に採取、日本原子力研究開発機構と日本分析センターに。分析は23日から始まり、結論が出るまで約1週間。土壌採取は28日以降も週2回続けるという。

3/26
3号機放射能汚染水「漏出経路」
・経産省西山英彦・大臣官房審議官「原子炉の水が漏れた可能性が高い」。
・東電武藤栄副社長「原子炉の温度や圧力が何度も上下しているので、ポンプや弁のすき間から水が漏れている可能性が考えられる」。

 水素爆発→原子炉建屋破壊→機器・配管損傷の可能性。原子炉とタービン建屋を直結する配管→①原子炉からタービンへ高温高圧の蒸気を送る系統、②タービンを回転させた後の蒸気を海水で冷やして水に戻し、再び原子炉に送り込む系統の二つ。東電は当初これらの系統の「弁は閉まり、炉内の水が漏れた可能性は考えにくい」と説明。しかしその後「完全に閉まっているかどうか確認できない」と説明を変更。

 客観的事実⇒①原子炉内と格納容器の破損状態に関し、私たちは何もわからない、②これまでのTVなどでの「解説」は、原子炉・格納容器に破損はなく、「ポンプや弁のすき間から水が漏れている可能性」はないことを前提にしていた。問題は、「どこがどれだけ、どのように破損している/いないか」にある。その具体的情報と対策が早急に公開されねばならない。

3/26
 4号機の「未使用燃料も多く入っている使用済み燃料プール」の「水面と思われるもの」を陸自が撮影し、公開された。これは「安心できるかもしれない情報」である。その他1~3号機の状況は何の進展もない
 被曝した作業員が足に浴びた放射線量は、約2~6シーベルト。「10日ほどして足にやけどの症状が現れ、治療が必要になる可能性」があるという。「労働安全衛生法などで、作業員らが緊急作業時に皮膚に受けていいとされる放射線の限度量(1シーベルト)の2~6倍」。今回の原発事故で1シーベルト以上の高線量の被曝は初めて。朝日新聞の記事では、「国際放射線防護委員会(ICRP)によると、皮膚の限られた部分に3シーベルト被曝した場合、一時的な脱毛が起こり、6シーベルトでは赤い斑点ができる。単純に比べられないが、全身の被曝量が3~5シーベルトだと半数の人が亡くなるという」。
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3/25
「笑うしかない情報」が次から次に飛び込んでくる・・・。
1、2号機の地下の水にも高い放射線量 復旧作業中断
 3号機に加え1、2号機の建物地下で見つかった水たまりから高い放射線量確認。復旧作業中断。2号機は15日の爆発で格納容器につながる圧力抑制室が破損。建屋内で高放射線量確認、ポンプのある中に入れない状態。
 1号機のタービン建屋地下で採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質(ヨウ素131やセシウム137など)検出。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。タービン建屋の地下は2区画に区切られ、配電盤などがある区画はすべて津波で水没。
 水深は1号機約40センチ、2号機約1メートル、3号機約1.5メートル、4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在。(⇒全号機の地下の放射能汚染水総量は分からないが、いずれにしても「原子炉の冷却水の約1万倍の濃度」のすべてが太平洋に「排水」されるだろう)

南放水口付近、海水から高濃度ヨウ素131
 原子炉等規制法で定める安全基準の1250.8倍。採取したのは25日午前8時30分。人体への影響を表す数値に換算すると、海水500ミリ・リットルを飲むと一般人の年間許容量である1ミリ・シーベルトに。この測定点では21日午後の採水で、安全基準の126.7倍にあたる、1ミリ・リットルあたり5.066ベクレルの放射性ヨウ素が検出。その後、ヨウ素濃度は上昇を続けており、24日午前の採水では基準の103.9倍に。

 経産省西山英彦・大臣官房審議官「海では潮流に流されて拡散して薄まるため(?)、周辺住民に直ちに影響はない」(⇒この人物には、①海の生態に対する放射能汚染が与える影響、②人間もそのうちに在る〈生命系〉という観念がないようだ)

・原子力安全委員会「排水口付近では濃度が高いが、魚介類に取り込まれるまでに潮流に流されて拡散、希釈される。さらにヨウ素は半減期が8日と短いため、人が食べるまでには相当低減していると考えられる」。(⇒意味不明)

・財団法人海洋生物環境研究所の御園生(みそのう)淳研究参与(環境放射能)によると、濃度が高いと魚類が取り込んだ放射性物質が体内で最大で海水の30~50倍の濃度まで蓄積されることもあるという。半減期が30年のセシウムは心配が残るという。「2~4カ月で魚に影響が出ることもある。継続的な広域の調査が必要。消費者や漁業者の安心にもつながる」(朝日新聞より)。
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3号機原子炉「損傷」の「可能性」---これから私たちはどうするか?


 「3号機では原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」。25日午前記者会見した経産省原子力安全・保安院の弁だ。NHKニュースからの情報。
 〈放射性物質を閉じ込める機能〉が「低下」し、「原子炉から放射性物質が外に漏れ出している」という「見方」を保安院が示した・・・。

 私はただのド素人にすぎない。しかし、私の予測では、日本政府の原発事故「対策本部」--東大を始めとする「専門家」や東電の技術者、またGEを始めとする米国の一部技術者も関与しているのだろうか--は、今回の事故を解決する方策を持っていない。なぜかというと、かつて「原子力安全委員会」がお墨付きを与え、昔の通産省が承認した福島第一・第二原発という巨大プロジェクトは、その「安全対策」マニュアルに、今回のような事故を「想定していない」からだ。 私は間違っているかもしれない。しかし、少なくともそれが私の理解である。

 私は間違っているかもしれないし、間違っているかもしれないことを前提にしてきいてほしい。だから間違っていても決して責めないでほしいのだが、要するに一言で言えば、原子炉はもとより原子炉格納容器が破壊されるという「事態」を①東電、というより②日本のすべての原発電力会社、というより③「原子力安全委員会」、というより④経産省・文科省・日本の原子力官僚機構、というより⑤日本政府、というより⑥この日本に生きている私たちは「想定していない」。人間は「想定していないこと」が起こったとき、対応しようにも「対応しようがない」。

 では、なぜ「想定していない」のか?
 「そういうことはありえない」ものとして「想定の埒外」に置かれてきた/いるからだ。
 では、なぜ「想定の埒外」に置かれているのか?
 地震・津波の規模など、「想定される」原発に対する打撃を勘案し、その打撃にも耐えうる「安全基準」が原子炉および格納容器には施されている、ということになってきた/いるからである。
 つまり、原子炉および格納容器は、たとえ何があろうと「損傷」することは「現実的(ということは原発の場合、「理論的/科学的」にということになる)にはありえない」とされてきた/いる、というより「一応、そういうことにしようではありませんか。そうでないと日本では原発はつくれないから」ということになってきた(いる)/されてきた(いる)のである。

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大津波再来の恐れ、09年に指摘=東電、津波想定に反映せず―審議会で(3/27 時事通信)
 想定を大幅に上回る津波に襲われた東京電力福島第1原発について、津波の専門家が2009年、原発の耐震安全性を検討する経済産業省の審議会の席上、東北地方に大津波をもたらした869年の「貞観地震」(マグニチュード8.4と推定)に触れ、同規模以上の津波再来の可能性について指摘していたことが27日、分かった。東電側は「歴史上の地震で、耐震設計上考慮する地震にならない」と述べ、指摘は反映されなかった。
 指摘したのは、産業技術総合研究所の岡村行信活断層研究センター長(地質学)。岡村さんは、史料に津波被害の記録が残る貞観地震について研究。福島第1、第2原発の敷地付近を含め、内陸部に津波で運ばれた砂が堆積していることや、450~800年周期で津波が起きたことなどを明らかにしてきた。

 岡村さんは、09年6月に開かれた経産省の審議会で、福島原発について貞観地震の知見から「津波に関しては(東電の想定する地震と)比べものにならない非常にでかいものがくる」と指摘。「まったく触れられていないのはおかしい」と再検討を求めた。しかし、東電側は「被害がそれほど見当たらない。歴史上の地震であり、研究では課題として捉えるべきだが、設計上考慮する地震にならない」と答え、消極的な姿勢を示した。
 翌7月の審議会でも、岡村さんは04年のスマトラ沖地震などに触れ、今回の地震のように複数の震源域が同時に動く連動型地震の危険性を指摘したが、東電側は「引き続き検討を進める」と述べるにとどまった。(⇒未検討のまま)
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 では、誰がそういうことにしてきたのか? 一義的には自民党時代の日本政府であり、旧科技庁・通産省を中心とする官僚機構であるが、実は最も犯罪的なのが、そうした政・官・財の原発推進政策を「科学」の名において支え、ある時は「裏方」またある時は「表方」となって促進してきた、「原子力安全委員会」を構成する東大・京大・阪大など、旧帝国大学系をはじめとする大学の御用原子力学者たちである(⇒もちろん「御用」でない人、原発推進政策に声を大にして異議を唱えてきた人も数人はいる。この点はいつか時間があるとき(いつ?)書くことにしよう)


 ともあれ事故二週間目にして(!!!)原子炉「損傷」の「可能性」という何とも「笑うしかない情報」が飛び込んできた。
 で。これから私たちはどうするか? いったいどうすればよいのだろう?
 それを考える(考える「可能性」があるのかどうかも重要な「設問」だが)前に、天下のNHKの実に「笑うしかない情報」を押さえておこう。

・原子力安全・保安院は、「3号機では一定の閉じ込め機能はあるようだが、原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」と述べて、『放射性物質を閉じ込める機能』が低下し、原子炉から放射性物質が外に漏れ出しているという見方を示しました。
・一方、東京電力福島事務所によりますと、福島第一原発の1号機では、原子炉の表面で計った温度が、一時、設計段階で想定されていた最高温度の302度を超えておよそ400度に達していましたが、25日午前6時現在では204.5度まで下がったほか、原子炉が入っている格納容器の圧力も、24日午前5時現在でおよそ3.85気圧だったのが、25日午前6時現在でおよそ3.10気圧になっています。(⇒「3.10気圧」は、少しも「安心」できる数値ではない)

 「原子炉」が「破損」する「可能性」を踏まえるとき、東電が垂れ流す「原子炉表面温度」や「格納容器圧力」などの「数値」に、どこまでの「科学的信憑性」があるのか? 私たちはこの点からもう一度、あらゆることを根本的に考え直す必要に迫られている、と少なくとも私は思う。

・東京電力は、25日朝から外部電源を復旧させる作業を再開していて、1号機から4号機を中心に、本格的に電気を流す前にポンプなどの機械や装置が故障していないかを確認する作業を進めています。このうち、2号機では、25日中に中央制御室の照明が点灯する見通しです。
・また、3号機では、原子炉にポンプを使って真水を入れる作業を行うほか、川崎市の消防の協力を得て使用済み燃料プールに水を放水する予定です。
・さらに、4号機では「残留熱除去系」と呼ばれる水を循環して熱を取り除く装置を動かし、使用済み燃料プールの冷却を始めたいとしています。


 私の記憶では、福島第一原発(日本の原発のほとんどがそうかもしれない)が、最大の「重大事態」としているのは、原子炉格納容器で起こる放射能「漏出」である。もちろん、「理論的」にというか「一般的」には、原子炉が破壊されることも当然ありえる。もしも本当に3号機の原子炉が損壊したのであれば、今回の地震・津波のような、原発がそれに耐えうるように「理論的」には設定されているはずの「安全対策基準」を上回る破壊的力に原発がさらされた場合だ。
 しかし、すべての建築物がそうであるように、実際に原発が設計され、建設されるときには、そのような「非現実的」なことは「ありえない」ものとして、考慮すべき条件から排除される。福島第一原発の場合、現実的に想定している非常事態は、「せいぜい」原子炉外の「主蒸気管」破損とそこからの放射能の漏出、「その程度」のことなのだ。「原子炉圧力容器からタービン建屋につながる主蒸気管」破損⇒放射能漏出である。 

 しかし、本当に何もない/何も考えていない、とは想定しがたい/想定したくない。何かはあるはず/あってほしい。日本の原発「安全対策」は「世界トップクラス」なのだから。そう、私たちは聞かされ続けてきたのだから。
 何があるか? 何をしようとしているのか? それをまず最初に突き止めることがマスコミには求められており、正直に明らかにすることが東電、「対策本部」の責任であり使命である。
 そして、もしも何かがあった場合、その「対策」の実現可能性が次に検討すべき課題となる。〈誰がその「対策」を現場で担うのか〉という設問とともに。

 たった2日前にみなさんにお願いしたことを、またくり返さねばならない。
 「私の仮説が正しかろうと間違っていようと、ポスト〈3.11〉に生きる私たちが〈国家非常事態〉状況に生きていること、それだけは間違いないだろう。それぞれの場で、できるだけ情報を広め、何でもいい、それぞれなりにできること、運動を起こしてほしい。本当に大変なことになる」・・・。
 間違っても私たちは、いま私たちが直面している〈問題〉を原発推進/反原発という政策論的観点から捉えてはならないし論じてもならない、と私は思う。「統一地方選」(?)という「どうでもよいこと」を含め、この〈問題〉が数日、一週間単位で日本に、私たちに何をもたらすかが最も重要なことであり、具体的な「原発政策」全体をめぐるあれやこれやは、すべてこのこと如何に関わっているからだ。いま必要なのは、
①メディアの「被災地報道」「事故報道」のあり方を全面的に変えるよう、各メディアに要求すること、
②保安院の何某というフザケタ人間や「解説者」たちへの「質問」内容を変えるよう、各メディアに要求すること、
③避難地域の拡大を要求すること、
④事故「対策本部」の議事内容を全面的に情報公開するよう、政府・民主党、各政党に要求すること、
④あなたの地元の自治体に、福島・近隣地域の被災者を(もっと)受け入れるよう、都道府県・市町村の首長、行政、議会、議員などに要求すること、等々である。

 一人でもやれることはいくらでもある。それをどうかはじめてほしい。

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原子力安全委員会は国民の前に立て
 放射能の飛散状況の推測結果を原子力安全委員会が23日夜、ようやく公表した。福島第一原発事故が起こってから、安全委員会が会見をしたのはこれが初めてだった。「総理および官邸に助言するのが第一」として、みずから会見はしなかったという。  しかし、放射能という目に見えない敵と日々闘っている人々がいま安全委に期待するのは、専門知識を生かしたアドバイスだ。「黒衣に徹している」(⇒すなわち、「責任を取らない」)(班目春樹委員長)場合ではない。世界中の専門家の力を借りながら、いまどう行動するのがいいのか、安全委は直接国民に語るべきだ。

 23日に公表されたのは、原発から放出された放射性物質の広がり方を、地形や気象データを踏まえて予測するSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算結果だ。 米国やフランス、オーストリアなど海外の機関はこうした予測を事故直後から独自にインターネットで公開してきた。「日本にもSPEEDIがあるのだから、早く結果を公表すべきだ」という国民や専門家の声に押される形で、やっと公開に踏み切った。
 安全委は「放出源がどうなっているかわからなかった」ことを、公表が遅れた理由にあげた。しかし、放出された放射性物質の種類や量が正確にわからなくても、大まかな広がり方がわかれば、余計な被曝をしない対策を考えるときに助かる。  班目委員長は23日の会見で、今後は「モニタリングのポイント数を増やすのが第一」と述べた。予測の精度をあげるためだが、そんなことを「第一」にしてもらっては困る。予測結果が大まかなものであっても、それをいち早く人々のために役立てることの方が、はるかに大事だ。

 原子力安全委員会は国の安全規制の基本方針を決め、首相を通じて関係省庁を指導する権限をもつ。経済産業省の組織である原子力安全・保安院による安全審査の妥当性をダブルチェックし、安全に万全を期す役割を担ってきた。 安全委の委員は5人。米国の原子力規制委員会(NRC)のように多くの研究者を抱え、強力な権限をもつ独立機関とは違うが、緊急時を想定した態勢は整えていた。  しかし、今回の事故ではそれが機能していない。国民は本当に困っている。
 いまの危機的状況を打開するには、専門家の力を結集するしかない。専門家はみずから安全委に出向くときだ。漏れ続ける放射性物質の行方、人体への影響の度合い、国民へのリスクの伝え方などについてさまざまな分野の「知」を集め、その時々で最善のアドバイスをしてほしい。  内閣に危機管理監がいるように、安全委専属の危機管理監を任命することも考えてみるべきだ。(朝日・高橋真理子)
福島第一原発、3月23日現在の状況

設問。
 1、原子炉格納容器が破損し、内部から放射性蒸気が漏出している場合、「対策本部」はそれを修復できるか?
 2、使用済み核燃料保管プールが損壊し、放水が「穴開きバケツに水」状態の場合、「対策本部」はそれを修復できるか?
 設問を変えると、〈「対策本部」はもしも原子炉が無傷だとして、格納容器や「プール」が破壊されることを想定した「対応マニュアル」を持っているのかどうか〉、ということだ。(⇒枝野官房長官、24日午前、圧力容器に関し、「現時点で損傷が出ているということではない」と言明)

・仮定が正しく、できる場合⇒その最終作業が完了するまで、大量のMOX放射能が空・陸・海に排出され続ける。東北・関東圏の人々は、重度の内部被曝を覚悟し、「万全の体制」で臨むか(⇒限りなく不可能)、できるだけ早く北海道か関西以西に疎開する準備を始めた方がよいだろう。西へ向う新幹線はすでに疎開列車と化しているが、疎開しても被曝の可能性は否定できない。
 13日前、13日後にこのような事態になることを私たちは予期しただろうか? 首都圏のコンビニで、一夜にして水のペットボトルが消滅し、政府が増産を命令することを。今日、明日はまだよい。明々後日も大丈夫かもしれない。しかし13日後、4月11日、4月末....はどうなっているのか? 
 関東圏、それ以西で起きるであろうことを、それよりも数倍、数十倍のダメージを受ける福島や東北圏に引き付けて想像することが重要だ。私たちが福島や東北、北関東を見捨て/見殺しにしないのであるなら。「対策」とは本来、何も起こらない、誰も犠牲にならないことを当然のこととして構想されるべきなのだ。すべてを笑って思い出せるように

 東電は、22日夜に通電再開。照明がともった3号機の中央制御室に続き、空調や計器類を含め1~4号機の制御室機能の「完全復旧」を急ぐ、としている。(⇒これにどのくらいの時間を要するか、不明)
 また3、4号機については、原子炉や使用済み核燃料プールに水を注ぐ「補給水系」=「注水ポンプ」に問題はなくその「復旧作業」を急ぐ方針、ということになっている。(⇒これにどのくらいの時間を要するか、不明)
 一方、1、2号機では、外部から使用済み核燃料プールへの放水ができないことから、この補給水系注水ポンプの復旧を優先していたが、交換が必要な状態であることが「判明」した、とされている。さらに、これ以外の「冷却システム」も故障あるいは放射線量が高く、近づけない状態になっている。この1、2号機について、今後どのような「復旧作業」が行われ、それにどのくらい時間がかかるのか、これも不明だ。自動冷却機能の完全回復には、
①原子炉内の循環水の冷却、
②原子炉内の熱除去機能の復旧、が不可欠であり、そのためには
③給水ポンプ・モーターの機能回復、
④配管などの点検⇒破損の場合は交換、が必要となる。
 1号機は、圧力容器内の温度上昇により、23日未明から圧力容器内への海水注入量を1時間当たり2トンから18トンに増量した、とされている。異常事態ではないのか

 しかし、これらはすべて格納容器、「プール」そのものが原状のままであることを前提にしている。2号機(やそれ以外)の格納容器が損傷していないことがいつ確認されたのか、4号機の「プール」の問題はほんとうに「注水ポンプ」の「復旧」だけなのか?


 どの号機であれ、もしも両者が破損しており、放射線量その他の問題で修復が極めて困難であり、作業工程に具体的展望がみえない場合、日本を脱出するのが最も安全な対策になる。しかし、世界のどこであれ「最悪の事態」になった場合、被曝の可能性は否定できない。
 「最悪の事態」とは「打つ手」がなくなり、チェルノブイリ原発を数倍上回る放射能が、どういう形においてであれ、空・陸・海に放出されるという事態のことだ。 

 上の仮定が間違っていることを、私はひたすら祈るしかない。しかし間違っていたとしても、日本政府に対し、
◎「屋内避難」の撤回と避難区域の拡大(米軍の立ち入り禁止区域に従って半径100キロ以内。それに向け、30キロから40キロ圏内・・・と、計画的避難区域拡大を順次行う)
 NHKを含むすべてのメディアに、
◎「第一原発情報・放射能汚染情報」(一時間おきに、原発正門・上空の放射線量、各号機・プールの状況)と各地の放射線量、水、食品関連汚染情報)の放送を、私たちは要求すべきではないだろうか。
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飯館村の雑草265万ベクレル 福島、野菜を大幅上回る
 文科省は24日、福島県内で採取した雑草から検出した放射性物質の調査結果をまとめ、福島第1原発の北西約40キロの飯館村で20日に採取した雑草の葉から1キログラム当たりヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルを検出したと発表。
 食品衛生法で定められた暫定基準値は、ヨウ素が1キログラム当たり2千ベクレル、セシウムが同500ベクレル。厚生労働省によると、飯館村で採取された野菜からは1キログラム当たりヨウ素1万7千ベクレル、セシウム1万3900ベクレルが検出されたものもあるが、雑草からの検出量はこれを大幅に上回る。
 文科省の発表によると、原発から約25~45キロの複数地点で18日から21日に採取した雑草の葉から1キログラム当たりヨウ素3万6千~254万ベクレル、セシウム1万100~265万ベクレルを検出。 飯館村では、20日に採取した土壌からも土1キログラム当たりヨウ素117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレルが検出。(共同)
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 私たちは、帰国する外国人旅行者・各国政府・企業関係者、関西に移動する各国大使館、一般米国市民よりも20キロ近くも遠く、第一原発に近づこうとしない米軍の対処の方が、常識的・科学的・理性的な対処であること、むしろ日本政府の「対策」や、それを前提に全国民の不安沈静化に一役買おうとする一般メディアの「報道」の方が、異常であり、「狂気の沙汰」であることを知らねばならないのではないだろうか。

 私の仮説が正しかろうと間違っていようと、ポスト〈3.11〉に生きる私たちが〈国家非常事態〉状況に生きていること、それだけは間違いないだろう。それぞれの場で、できるだけ情報を広め、何でもいい、それぞれなりにできること、運動を起こしてほしい。本当に大変なことになる。
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3/23
・午後4時20分ごろ3号機から「灰色がかった煙」。作業員退避。煙の出元、タービン建屋。3号機では21日午後3時55分頃にも貯蔵プール付近から「灰色がかった煙」。
・原子力安全・保安院、23日午前、1号機の原子炉内の温度が400度以上あると発表。
・2号機、建屋内の放射線量1時間あたり500ミリシーベルト。電源復旧に向けた一部作業中断。
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福島第一原発、3月23日現在の状況
・1~3号機  地震により停止中(4~6号機は定期検査中)。3月22日までに1~6号機の外部電源復旧。

1号機
 ・12日午後3時36分頃、「白煙」発生。午後8時20分に海水注水開始。その後(⇒いつ?)、中性子を吸収するホウ酸の注入実施、とされている。
 ・23日午前2時30分頃、給水系から原子炉への海水注入開始。
2号機
 ・14日、原子炉隔離時冷却系停止。同日午後、原子炉水位が燃料頂部まで到達。弁の操作により注水再開。
 ・15日、圧力制御室付近で爆音。同室内の圧力低下。下請企業作業員および社員を避難。原子炉への海水注入継続。
 ・18日、外部送電線から予備電源変電設備までの受電完了。建屋側へのケーブル敷設完了。20日午後、負荷側の電源盤での受電開始。
 ・20日、約40トンの海水を使用済燃料プールへ注水。
 ・21日、原子炉建屋屋根部から「白いもや状の煙」。
 ・22日、約18トンの海水を使用済燃料プールへ注水。
3号機
 ・原子炉への注水を継続するなか、14日午前6時50分、原子炉格納容器の圧力が530キロパスカルまで上昇。「対策特別措置法第15条第1項」の規定に基づく「特定事象」=格納容器圧力異常発生。
 ・14日午前、付近で爆発、白煙発生。社員4名、作業員等3名負傷(いずれも意識あり)。病院へ搬出。
 ・使用済燃料プールの水温上昇。16日ヘリによる原子炉建屋上部への放水実施を検討するも、作業中止。
 ・17日より圧力抑制室の圧力指示値上昇。20日段階で、措置(放射性物質を含む空気の一部外部への放出)を行わず。
 ・17日、使用済燃料プールの冷却のためヘリによる放水実施。
 ・17日午後7時過ぎ頃、放水車による放水開始、午後8時9分終了。
 ・18日午後2時前、消防車による放水開始、午後2時45分終了。
 ・19日午前0時30頃、ハイパーレスキューによる放水開始、午前1時10分頃終了。また、同日午後2時10分頃、レスキューによる放水開始、20日午前3時40分頃終了。
 ・20日午後9時30分頃、レスキューによる放水開始、21日午前3時58分頃終了。
 ・21日午後3時55分頃、原子炉建屋屋上南東側から「やや灰色がかった煙」発生。原子炉圧力容器、原子炉格納容 器のパラメータ、周辺環境モニタリング値に「大きな変動なし」と発表。作業員屋内退避。22日、煙は「白みがかった煙」に変化、「終息に向かっている」と発表。
 ・22日午後3時10分頃、レスキューによる放水開始、同日午後4時頃終了。
 ・22日午後10時45分頃、3号機中央操作室の照明が復旧。
 ・23日午前11時頃から、使用済燃料プールに海水注入開始、午後1時20分頃終了。
 ・23日午後4時20分頃、原子炉建屋から「黒色がかった煙」発生。原子炉圧力容器、原子炉格納容器のパラメータ、周辺環境モニタリング値に「大きな変動なし」と発表、作業員屋内退避。
4号機
 ・15日午前6時頃、発電所内で爆発音、4号機原子炉建屋5階屋根付近に損傷確認。同日9時38分頃、原子炉建屋4階北西部付近で出火。午前11時頃、社員が「自然に火が消えていた」と確認。
 ・16日午前5時45分頃、原子炉建屋北西部付近炎上。消火活動。同日午前6時15分頃、消化確認。
 ・20日午前8時21分頃、消防車による放水開始、午前9時40分頃終了。同日午後6時45分頃から放水開始、午後7時45分頃終了。
 ・21日午前6時30分頃、消防車による放水開始、午前8時40分頃終了。
 ・21日、仮設電源盤から建屋側へのケーブルの敷設完了。
 ・22日午後5時20分頃、コンクリートポンプ車による放水開始、同日午後8時30分頃終了。
 ・23日午前10時頃から、コンクリートポンプ車による放水開始、同日午後1時頃終了。
5号機、6号機
・5号機、20日午後2時30分から、6号機、午後7時27分から原子炉「冷温停止中」、とされている。 

使用済燃料共用プールの使用済燃料の保管状況
 水位確保と公表。21日午前10時37分からプールへの注水開始、午後3時30分頃終了。今後点検予定、とされている。
※21日および22日、1~4号機放水口付近の海水からコバルト、よう素、セシウム検出。
※20日、21日に採取した発電所敷地内の空気中からよう素、セシウム検出。
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福島原発の放射性物質、チェルノブイリの2~5割
 オーストリア気象当局は23日、福島第1原発の事故後、3~4日の間に放出された放射性物質セシウム137の量は、旧ソ連チェルノブイリの原発事故後10日間の放出量の20~50%に相当するとの試算を明らかにした。
 同当局は双方の事故現場から1日当たりに放出されたセシウム137の量は「大差がない」とする一方、放射性物質の影響を総合的に判断した訳ではなく、福島の事故規模がチェルノブイリよりも大きいとは「決して言えない」としている。 同当局は、包括的核実験禁止条約(CTBT)機構の暫定技術事務局が日本や米国、ロシアなどで集めたデータを基に試算。(共同)

放射性物質、初の拡散試算…原子力安全委
 東電福島第一原発の事故に関して、政府の原子力安全委員会(委員長=班目(まだらめ)春樹・元東京大学教授)は23日夜、放射性物質の拡散を予測した模擬計算「SPEEDI」の結果を発表。 安全委では20~22日の原発周辺の大気中の放射性物質の観測結果をもとに放出量を逆算。これを前提に、改めて放射性物質がどう拡散するか計算。米エネルギー省が同日午前9時に独自の計算結果の公表後、ようやく23日午後9時、結果を公表。

 計算は、事故後の12日から24日までずっと屋外にいたと想定。最も影響を受けやすい1歳児が、大気中に漂う放射性ヨウ素を体内に取り込んだ場合の被曝量を予測。その結果、現在避難や屋内退避の指示が出ている同原発から30キロの範囲外でも、一部の地域で被曝量が安定ヨウ素剤の予防投与の対象になる100ミリ・シーベルトを超える危険性があることが判明。
 安全委、「100ミリ・シーベルトを超えても健康に影響はない。しかも、屋内にいれば被曝量は屋外の10分の1から4分の1になる」。(⇒いまの状態が続くなら、福島県民、近隣地域の人々は、ほんとうにこの国の政府に見殺しにされてしまうのではないか? いわき市民、福島市民、北茨城地域の人々はどうなるのか? 国や県の具体的行政措置の変更が必要だ)
⇒「届かぬ食材、閉まる店…福島・南相馬、深刻な食料不足」(朝日新聞)

放射性物質、アイスランドで微量観測 原発絡みか 欧州で初
 アイスランド当局は22日、首都レイキャビクの観測施設で、福島第1原発から放出されたとみられる微量の放射性物質を観測したと発表した。欧米メディアによると、同原発のものとみられる放射性物質が欧州で検出されたのは初めて。人体への影響はないという。 大気中の放射性物質を観測する包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会がレイキャビクで運営している施設で検出。
 米当局は18日、西部カリフォルニア州にある同委員会の施設で微量の放射性物質を観測したと発表、欧州の他の地域でも近く観測されるとみられる。 同委員会は18日、福島から放射性物質が拡散した場合に備え、核実験の探知目的で世界各地に設けた観測施設のデータを国際原子力機関に提供し始めたと発表。放射性物質の観測地点は世界に約60カ所ある。(共同)

福島で震度5強の揺れ相次ぐ「今後も余震や津波に警戒を」気象庁-- 23日午前、福島県いわき市で震度5強の地震が相次いで観測。震源地はいずれも福島県浜通り。震源の深さはごく浅いM6.0と推定。2回の地震の間にもM5以上の地震が発生した可能性。経産省原子力安全・保安院、「福島第1、第2原発に異常はなく復旧作業への影響もない」。(⇒その後、夕方、夜にも「浜通り」で数次の地震)

東京の浄水場から放射性ヨウ素検出 乳児の基準値2倍超
 金町浄水場(葛飾区)から放射性ヨウ素、乳児の暫定基準値の2倍を超える数値を測定。水道水1キロあたり210ベクレル。乳児、妊婦に水道水を飲ませないこと!!!  地域は東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市。厚労省の暫定規制値は1キロあたり100ベクレル。この値は「乳児が長期にわたり飲み続けた場合」を想定、「他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わない」とされているが、「基準値」自体「暫定」で、2倍を越えているので親が判断するしかない。非常にマズイ。(⇒今後、測定数値の上下を繰り返しながら、このような日が何日か間隔を開けて起こり、測定される数値も上昇してゆくだろう。私たちはすでに被曝していることを自覚しよう)
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3月17日現在の第1、第2原発の状況

【第1原発1号機】地震後に冷却機能が失われ、燃料が溶ける「炉心溶融」が一部発生。原子炉格納容器の蒸気を外部に放出した。12日に水素爆発で原子炉建屋を損傷。

【同2号機】冷却機能が失われ燃料が全て露出。14日に同3号機の爆発で原子炉建屋を損傷。15日午前、格納容器の圧力抑制プール付近で爆発音。原子炉格納容器の一部が破損した可能性

【同3号機】13日に冷却機能が失われ、炉心溶融の可能性。蒸気を外部に放出し、炉心に海水を注入。14日に水素爆発が起き、原子炉建屋を損傷。16日に白煙が確認され、使用済み燃料プールからの蒸発と推定。17日にヘリコプターが水を投下、地上から放水。

【同4号機】定期検査中。15日午前に原子炉建屋で火災。使用済み燃料プールの水温異常上昇。16日に再び火災。再臨界となる可能性。建屋は屋根がなく骨組みだけの状態。

【同5・6号機】定期検査中。使用済み燃料プールの水温が17日、約64度へ上昇。

【第2原発】1~4号機はいずれも地震後に自動停止、3号機は直後に「冷温停止」状態に。1・2・4号機も15日までに冷温停止となり緊急事態を脱した。(共同)
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3/21
福島第一原発事故、10日目にあたって

 以下の記事を読んでほしい。そしてあなたの友人、知人がもしも東北・関東圏にいるなら、きちんと伝えてあげてほしい。必ずしも、状況を把握していると言えない場合があるからである。

福島第1原発:「現状、極めて深刻」天野事務局長が報告
 国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)は21日、福島第1原発に関する特別理事会を開催、訪日を終えた天野之弥事務局長が現状報告。事務局長は「現状は極めて深刻だ」とする従来の表現を繰り返しながらも「いくつかの前向きな展開が見え始めた」と指摘。(⇒「前向きな展開」の具体的内容についての報道なし)

 IAEAは17日現在、1、2、3号機を「比較的安定」、4号機を「重大な安全上の懸念が残っている」としていた。しかし4号機については、使用済み核燃料プールの「温度計の機能不全」を評価の根拠に挙げていた。つまり、3号機の「比較的安定」論も4号機の「重大な安全上の懸念」論も、下の「プール破損・放水漏出」が勘案されたものではなかったのだ。海外の「日本の原発危機」論を沈静化するよう、滞在中に相当の直接的陳情・要請・政治圧力を受けたであろう事務局長と、IAEAの今後の「評価」(の変化)が注目される。

3号機水位不明…プール破損なら放水漏出の恐れ
 3号機ではプール容量の2.5倍に上る放水が実施されているが、水位は依然として不明のままだ。4号機については、プール自体が破損している可能性も指摘されている。
 プールでは通常、冷却水を循環させながら燃料を冷やしているが、地震で循環が止まり、水が過熱して蒸発している可能性がある。 京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授は「3号機に初めて放水した際、水蒸気が激しく噴出したことから見て、水は極めて少なかったはず。途中で拡散したり、プール以外にかかったりするため、実際にたまった水は放水量の数分の1ほどではないか」と指摘する。

 3、4号機のプールがある原子炉建屋は爆発などに伴って破損しており、がれきがプール上部をふさいでいる可能性も否定できない。 プール自体が壊れていれば、せっかく放水しても、水漏れで水位が回復していない可能性がある。米紙ロサンゼルス・タイムズ電子版は18日、米原子力規制委員会の見解として、4号機のプールの壁か床が破損している可能性を指摘した。
 プールの周囲は、水面がある階の床から、さらに約1メートル高い壁で囲まれている。そこからあふれた水は通常、緩く傾斜した床を流れ、建屋内の排水溝に集まる。これが地下のタンクにたまる仕組みだ。 その後、ポンプで廃棄物処理建屋に送られ、放射性物質の希釈などの処理が行われるが、停電でポンプは動いていない。排水が流れる配管が機能しているかどうかも確認できていない

 林勉・元日立製作所原子力事業部長は「建屋が壊れているため、放水された水が建屋外に漏れ出す可能性は否定できない。放射性物質を取り込んだ水が、土壌に染み込む可能性もある」と指摘する。 原子炉建屋から流れ出した水が海に流れ込み、放射性物質で汚染される可能性もあるため、経産省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は21日の記者会見で、放射性物質の監視について、東電と協議を始めた(!!)ことを明らかにした。(読売新聞)
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 私は上の読売新聞の記事に、ただただ絶句せざるをえなかった。
 丸10日半である。いったい各メディアの記者たちは何を「取材」してきたのだろう?
 3号機と4号機の「プール」が「破損」しているのは当たり前のことではないか。「破損」しているから、水をいくら給水しても、水が貯まらず、放射能で汚染された海水が、この10日間、太平洋に垂れ流されつづけてきたのである。あれだけの放水をしても核燃料棒の露出状態が続き、放射性蒸気を発し続け、大気を汚染し続けてきたのである。だから土壌にしみわたり、土を、水系を放射能物質で汚染しつづけてきたのである。
 私はこの間述べてきたのは、このことである。自動冷却システムが回復されるまで、半永久的に放水・注水を続けねばならないというのは、こういう事態を招くのである。少なくとも、それが私の理解である。
 ここで一つ、ある「専門家」の見解をとりあげてみよう。「大地震後の東電福島第一原子力発電所の状況(推定):岡芳明・早大教授」の文章(3/17)である。その結語部分。

「まとめと今後の対応」
 原子炉安全確保の原理の、止める、冷やす、閉じ込める、のうち、止めるは地震と同時に自動停止で達成され維持されている。冷やすは海水注入で行われている。原子炉燃料を水で覆いつづけることが重要。それとともに最終的な除熱先確立に向けた対応がなされると思われる。外部からの電力が回復しているかどうかよくわからないが回復したら、健全な設備の再稼働により安定化・鎮静化する方策がある。「閉じ込める」も水で原子炉燃料がおおわれていれば、最低限は確保できている。
 大規模な火災は放射性物質の飛散防止のために防がないといけないが、可燃物は原子炉建屋にはほとんどないのでその可能性は低いとおもわれる。発生した水素の爆発の防止がこれに次ぐ。
 避難は過酷事故時の安全確保対策として事前に設定されていたもので、立地地域では年1回防災訓練も行われている。
 避難や自宅待機(30km)の範囲外では、(例えば東京から)避難したりする必要はない。
 事故の対応は事業者や政府・自治体とも正しくおこなわれている。今後もその指示に従うのが良い。

1, 「止める、冷やす、閉じ込める」の「止める」が「維持」されているかどうか、要チェック。
2, 「冷やす」はどれが完璧に行われていて、どれが行われていないか不明。
3、「重要」であるはずの、完璧に「水で覆われている」核燃料と、どれがどの程度露出しているのか不明。
4, 「最終的な除熱先確立」の展望は現段階において不明。
5, 全号機の「外部からの電力の回復」→「健全な設備の再稼動」までの展望も不明。
6, 全原子炉の「安定化・沈静化」の展望も不明。
7, 「最低限」であるはずの、「閉じ込める」もできていない。
8, 指定避難範囲外での避難は各自判断すべき。
9,「事故の対応」の評価、「今後もその指示に従う」かどうか、これも各自が判断すべき、となる。
 
 この間、この国では今回の事故が「反原発」論の興隆につながることを抑制する、あるいはそれに何とか歯止めをかけようとする意図的な「問題はなし」論が、「専門家」を通じて流布されてきた。そのことが情報操作や隠蔽を誘発してきたのである。
 しかし、人が原発推進/反原発のいずれに立つのであれ、放射能汚染が生態・生命系を危機的状況へと蝕んでゆくこと、私たちの生命と生活を直撃することに誰も異論はないはずだ。私たちが深刻に受け止めねばならないのは、この国の政治家・官僚・「専門家」たちが、いまだに「プール」の損壊や放射能汚染と「監視」の「可能性」を語っているという現実ではないだろうか。かれらは、それをこれから「協議」するのだという。
 私たちは、こういう連中を相手にしているのである。まだ日本政府や原発屋連中の言うことに幻想を持っている人々は、今日を限りで目を覚ました方がよいかもしれない。あなたとあなたの家族、友人、知人のために。

放射線量、東日本は高めのまま
 23日午前中の東日本は前日に降った雨の影響で、福島第一原発から放出された放射性物質が降下したとみられ、引き続き大気中の放射線量が高めに推移
 福島県内では23日午前8時現在、福島市で1時間あたりに5.90マイクロシーベルト(以下、数値はシーベルト)、いわき市で1.73など。前日同時刻の6.44、2.24よりそれぞれ少し下がった。ただし県内の平常時の上限は0.07程度。飯舘村で13.60を計測。まだ地域によってはかなり高い状態。東京都新宿区で0.146など複数の地点で前日より高い値を記録。

首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も
 文部科学省は22日、福島第一原発事故の影響を受け、上空からちりなどとともに落ちた放射性物質の測定結果を発表。首都圏などを中心に増加傾向を示した。東京都新宿区で1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出、前日に比べいずれも約10倍の濃度に。健康に影響を与える値ではないが、長期に及ぶ監視が必要。 放射性降下物の測定は文科省が21日午前9時から22日午前9時にかけて全国で行い、分析。

 東京都の値は、前日のセシウム560ベクレル、ヨウ素2900ベクレルから急上昇。22日発表のセシウムの値は、放射線管理区域の基準値4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は5分の4。
 この他の自治体のセシウムの値も、さいたま市が1600ベクレル(前日790ベクレル)、甲府市が400ベクレル(同不検出)、宇都宮市が440ベクレル(同250ベクレル)と軒並み上昇。 前日に最も高い値を記録した茨城県ひたちなか市では、やや下がったものの、セシウム1万2千ベクレル、ヨウ素8万5千ベクレルと、依然、高い値を記録。福島や宮城は震災の影響で計測できていない。
 東日本は22日も、雨や雪が降ったところが多く、大気中に漂うちりとともに、放射性物質が落下したとみられる。ヨウ素の半減期は8日間と短いが、セシウムの半減期は30年で、地面に降りた後も長期間放射線を出し続ける。土壌や水、農作物への放射能汚染につながりかねないため、今後も監視を続ける必要がある。

・1600倍の放射線を測定 IAEA、原発周辺地域で
 国際原子力機関(IAEA)は21日、IAEAの放射線測定チームが福島第1原発の周辺地域の土壌と大気から測定した放射線量を発表、原発から約20キロ離れた福島県浪江町付近で通常の約1600倍に相当する毎時161マイクロシーベルトの放射線量を測定したと明らかにした。 文部科学省の調査では浪江町で15日、330マイクロシーベルトが測定されている。IAEAは「高い数値が測定された。状況を見守っていきたい」としている。
 IAEAのチームは20日、原発から16~58キロ離れた10以上の地点で土壌と大気の双方を測定。測定値には土壌と大気双方のデータを盛り込んだとしている。IAEAによると、原発の50~70キロ圏の土壌からも通常より高い放射線量が測定されたという。IAEAは0.1マイクロシーベルトを通常値としている。 チームは今後数日間、福島県内で作業を続ける。原発から52キロ離れた二本松市内では4.2マイクロシーベルトだった。 IAEAは17日、日本政府の要請でチームを日本に派遣した。天野之弥事務局長は「専門家チームをさらに派遣したい」としている。【ウィーン共同】

福島第1原発 放水口付近の海水から濃度限度126倍の放射性ヨウ素検出
 東電は22日未明、福島第1原発の放水口付近の海水から、放射性ヨウ素が検出されたと発表。国が定めるヨウ素の濃度限度の126.7倍の値。また放射性セシウムも、24.8倍の値が確認。

汚染は数十年続く 避難範囲広がる恐れも指摘 仏原子力当局
 フランスの公的機関、原子力安全局(ASN)のラコスト局長は21日の記者会見で、福島第1原発の事故で放出された放射性物質による汚染は、今後数十年続く可能性があると表明。また汚染が避難指示区域である原発から20キロの範囲を超えて広がる恐れも指摘。
 同局長は「放射性物質の放出は既に深刻であり、なお続いている。日本にとり(汚染との闘いは)何十年も続くことになるだろう」と指摘。 特に土壌への残留放射性物質の問題が深刻だとした上で「日本政府はまだ放射性物質の汚染地域の地図を示していないが、原発から20キロの範囲を超えて広がることもあり得ないことではない」と述べた。 また別の担当者は「気象条件を考慮に入れると、汚染地域が原発から100キロ圏に広がることもあり得る」と述べた。

過小評価の必要なし 福島第1原発事故で欧州委員 「制御不能」発言を訂正せず
 欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は21日、福島第1原発事故について「制御不能」などと述べた自らの発言について「災害規模を過小評価する必要はない」と主張、発言の訂正や謝罪を拒んだ。 EUエネルギー担当相理事会後の記者会見で表明。

 委員は、日本の原発事故を伝えるテレビ映像など報道を見て「誰でも自ら評価を下すことができる」と主張。「他の評価は尊重するが、自分の見方を変えるつもりはない」と述べた。 エッティンガー委員は16日の欧州議会で「今後数時間以内に、日本国民の生命を脅かすさらなる大惨事が起きる可能性がある。全ては神のおぼしめし次第だ」などと発言、欧米の株式市場が急落するなどの混乱を招いた。(共同)

 以下は、ただただ絶句する前の文章である。
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 雨や雪が降ると、地元の土壌に放射性物質が滲みる。河が汚染される。
 もちろん、ごくごく「微量」のことだ。「ただちに人体/健康に影響を与える」ようなことではない。

2号機の屋根から白煙
 第一原発の2号機で21日午後6時20分ごろ、原子炉建屋の屋上の屋根の部分で白いもや状の煙が確認。
3号機屋上から発煙
 東電は、21日午後3時55分ごろ、第1原発の3号機の屋上からやや灰色がかった煙が出ているとの連絡があったと発表。使用済み核燃料プールがある南東側から発煙しているとみられる。東電は、電源復旧作業にあたっている作業員を避難させるとともに、現場の確認を進めている。爆発音は確認されていない。

 ちょっと真面目に、本当にマズイ。 私に言えるのは、まだ事態の推移を静観している、県内、隣接する地域の人々は、真剣に(一時)避難の準備くらいは始めたほうがよいのではないか、ということくらいだ。友人の中には、すでに家族を連れて関西以西に避難している者たちもいるが、みんなそれぞれの事情や仕事をかかえ、それぞれの判断で自分や家族を守るしかない。その時その時に、想定しえる「事態」との関係で。国や県の「支援」を受けずに避難できる人は、まだ「恵まれている」。
 おそらく多くのみなさんとは違って、私は最初から政府や東電が発表する情報や数値を信用していない。 わざわざブログにページを作ったのは、どれだけかれらが嘘やいい加減なことを言うか/するかの記録を残さねばならない、という私なりの独りよがりの「使命感」からだが、 実際、現場で何が起こっているのか、私たちにはいっさい何もわからない。
 このようなあり方、政府・東電の情報非公開とマスコミ誤報道が、丸10日間目の私たちの不信と不安をいっそう深くしている。そして、そのことを未だに連中は理解しない/できない。
 どんなに正確で精確な「情報」を集めようとしても無駄だ。これだけははっきり言える。すでに明らかになっている事態から、どこまで政府・東電・マスコミの挙動と「情報」を信じるか、それぞれが判断し、決断するしかない。

 因みに、「3号機屋上から発煙」問題に関し、東電は「放射線量の変化なし」と発表し、それを速報として読売が報じた(⇒NHKの夜のニュースでは放射線量が急上昇し、その後低下との報道)
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放射線量上昇は2号機影響か
・21日、2号機から白い煙が上がり、その後、2号機の西で放射線量の値が一時的に上昇したことについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、風向きや時間帯などから、関連があるという見方を示した。
・福島第一原子力発電所の2号機では、21日午後6時20分ごろ、原子炉の入った建物の屋根から白い煙が上がっているのが見つかり、1号機から4号機で作業していた全員が屋内に避難。東電によると、2号機から西におよそ1キロ離れた発電所正門付近の放射線量は、午後5時40分に1時間当たり494マイクロシーベルトだったのが、午後6時半には、1時間当たり1932マイクロシーベルトまで上昇
・値はその後、再び下がり始め午後10時には1時間当たり380マイクロシーベルトに。
・保安院は燃料棒が壊れ、プールに放射性物質が漏れ出している可能性もあると、注意深く監視するとしている。
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 ちょっとプレイバックしてみよう。昨日の段階で、今日煙が出た3号機は、「原子炉格納容器の上部」の温度が「128度と高め」だった。これを保安院は「炉心の上なので想定の範囲内」とした。そして今日。「3号機屋上から発煙」・・・。
 また、昨日の記事にもあったように、東電の原発は格納容器内の上昇した圧力が何もしないで(容器を開放し、放射性物質を含んだ蒸気を排出しないで)自然に下がり、「安定」するシステム設計になっているそうだ。まさに驚異の原発である。

福島第一原発、基準6倍のヨウ素検出 核燃料の損傷確実
 第一原発で、基準濃度の6倍のヨウ素131が検出。セシウムも。東電が21日発表。いずれも核分裂によってできる代表的な物質で、原子炉や使用済み燃料プール内の核燃料が損傷していることが確実に。東電が1号機の北西約200メートルの空気中から採取した物質を19日、事故後初めて調べた。
 ヨウ素131の濃度は1CCあたり5.9ミリベクレル。1年吸い続けると300ミリシーベルト被曝する濃度。作業員は体内に入らないようにマスクをして作業。このほかヨウ素132が2.2ミリベクレル、133が0.04ミリベクレル、セシウム134と137がいずれも0.02ミリベクレル。(朝日新聞より)

 もしも東電が、「核燃料の損傷」如何を調べるために、ほんとうに19日になって初めて、第一原発近辺の大気の放射能汚染状況を検査したのだとしたら、それ自体が私には信じられないことだ。ずっと前からこうなのだが、過去のすべてを帳消しにするとしても、もうこの事実だけで東電は完全に「アウト」ではないか? 
 国や東電は、「可能性」や「恐れ」があるとずっと言われてきた「核燃料の損傷」が「確実」だと認めた上で、私たちに何をどうしろと言うのか? 「冷静に対処」する? 「ただちに人体/健康に影響を与える」ことではない?

福島第1原発 危機「脱する光明が見えてきた」…菅首相
 21日、官邸で開いた緊急災害対策本部会議。首相は福島第1原発に関し「関係者の命がけの努力が少しずつ状況を前進(?)させている。まだ危機的状況を脱したというところまではいかないが、脱する光明(?)が見えてきた」と述べた。

globalhibakusha(globalhibakusha@yahoogroups.jp)
 フランスの独立の放射能測定団体CRIIRAD*が、日本で公表された茨城県産農産物の放射能測定結果にもとづく評価を発表しています。以下その仮訳です。
* チェルノブイリ原発事故のさいのフランス政府情報操作に対抗して、独立の立場からの放射能に関する情報を市民に提供することを目的に設立されたNPO。環境保護NPOとして国の認定を受けており、ローヌ-アルプ地域圏、ドローム県、イゼール県、アヴィニヨン市など多数の自治体と環境放射能測定や放射能に関する啓発活動、放射線防護などの委託契約を結んでいる。2006-07には仏領ポリネシア政府の要請で、モルロアでのフランス核実験の影響調査を行っている。
CRIIRAD (放射能独立研究情報委員会)コミュニケ2011年3月20日9時発表
日本における食品の放射能汚染(Contamination radioactive des aliments au Japon)
 本日3月20日(日)朝、多くのフランスのメディアが「福島第一原発の近隣市町村産の食品の一部に放射能の痕跡が検出された」との情報を報道しており、汚染は危険のないレベルとみられるとしている。この情報は間違っている。
食品の分析結果がようやく公表された(ホウレンソウやサラダ菜のような食品は1週間以上前から放射能を受けている)。公表された数値はまだ非常に(あまりにも)部分的なものだが、放射能の強さを知る手がかりになる。

- 非常に高い汚染レベル(これは放射能の「痕跡」というものではない)がホウレンソウから検出された:ヨウ素131が6,100 Bq/kg~15,020 Bq/kg(平均10,450 Bq/kg)。
- 試料採取地点は福島第一原発近隣の市町村ではなく、茨城県の原発の南約100kmにある7市町村である。
- 5歳の子供の場合、ヨウ素131を10,000 Bq摂取しただけで年間許容量の1mSvに達してしまう。2歳未満の子供の場合、約5,500Bq(茨城県産のホウレンソウに含まれる放射能よりもはるかに低い値)で許容線量に達する。
- 汚染された食品(葉もの野菜、牛乳、生チーズなどの危険食品)は「危険がない」と言えるものではなく、消費しないよう回収すべきである。
 もちろん、被曝線量は高いものではなく、いますぐ危険というものではなく、福島原発の対策にあたっている作業員たちの被曝レベルに比べればはるかに低い。しかし、だからといって防護対策が必要ないことにはならない。汚染食品の摂取による汚染の上に、放射性のガスやエアロゾルの吸入、原発からの放出物や地面に堆積した放射能による被曝も加わるからだ。
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon/communique2003_japon.html
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3/22以後の状況
富士山など3火山で地震活発化 火山活動に変化なし
 気象庁の火山噴火予知連絡会(会長=藤井敏嗣・東大名誉教授)が22日開かれ、富士山や箱根山(神奈川県)、焼岳(岐阜・長野県境)の3火山で地震活動が活発化していることが報告。東日本大震災の影響とみられるが、火山活動に変化はないという。
 焼岳と箱根山では11日、東日本大震災の発生直後から地震が相次ぎ、震度2~3の揺れが観測された。静岡県東部で15日に起きたマグニチュード6.4の地震で、富士山のある同県富士宮市では震度6強の揺れが観測。その後も余震が続いているという。気象庁は「火山性微動や地殻の変動はなく、火山活動の兆候は見つかっていない」としている。
 藤井会長は「マグニチュード9.0の地震が直接影響したかはわからないが、日本の火山のいくつかが反応したのは事実。火山周辺での地震活動は減衰傾向にあり、いますぐ何かが起こることはないだろう。ただ、2004年のスマトラ地震の後、数カ月たってからインドネシアの火山活動が活発化したことがあり、今後も注意していく必要がある」としている。

原子力保安院、IAEA会合にお粗末対応
 福島第1原発事故状況説明のため、国際原子力機関(IAEA)で21日開かれた各国外交団向けの技術説明会で、日本から初めて出席した経済産業省原子力安全・保安院の担当者が、日本語の資料を配布していたことがわかった。説明会の出席者によると、日本政府のお粗末な対応ぶりに席を立つ外交団の姿もあったと言い、日本政府の説明不足に対する不信感が高まっている。
 原発事故に関する日本政府の情報開示をめぐっては、米政府関係者が日本政府に、情報発信を強化するよう要請するなど、各国に不満が高まっている。IAEA加盟国にも同様の不満が高まっていることから、天野之弥事務局長が18日に訪日した際、日本政府と情報共有を図るため、日本人の調整官を日本に常駐させることを決めた。さらに、政府も保安院の担当官をウィーンに派遣することを決め、21日の各国向け技術説明会に初めて出席させた。

 説明会では、説明や質疑応答は英語で実施され、現在の概要を説明する英語版の資料が映し出された。だが、
(1)福島第1原発周辺の放射線量測定値
(2)福島県対策本部作成の福島県内測定値--の2種類の日本語資料が配布された。
 日本語資料を基に韓国の代表団は、放射線量が上昇した時、原発でどのような事象が起きたのかと因果関係を尋ねたのに対し、保安院の担当者は「因果関係を詳しく把握していない。調査した上で回答する」と述べたという。
 IAEAは、日本政府の情報発信が少ないとの批判を受け、先週から加盟各国向けに技術説明会を土日も含めて連日開催している。日本政府に専門家派遣を強く要請したが、かえって不信を増幅した形になった。【毎日・ロンドン会川晴之】(⇒ごく真面目に。経産省原子力安全・保安院はできるだけ早く解体しなければならない)

原発設計「想定悪かった」原子力安全委員長
 政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は22日の参院予算委員会で、東日本巨大地震による東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、「(原発設計の)想定が悪かった。想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と述べ、陳謝。社民党の福島瑞穂氏の質問に答えた。

 班目氏は2007年2月の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。福島氏はこの証言を取り上げ、「割り切った結果が今回の事故につながった」として謝罪を求めた。 班目氏は「割り切り方が正しくなかったということも十分反省している。原子力安全委員会は原子力安全、規制行政に意見を言う所だが、抜本的な見直しがなされなければならないと感じている」と語った。

⇒「班目春樹氏は委員長として不適格 交代をもとめる」(原子力資料情報室)

 これに関連し、菅首相は22日、首相官邸に班目氏や経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長ら関係機関のトップを呼び、連携を密にするよう指示した。班目氏は首相と会談後、記者団に「(首相から)もっと連携を良くしろ、と怒られた」と語った。首相周辺は「事故対応の役割分担についてすり合わせをした」としている。(読売)

3号機中央制御室の照明点灯
 東電によると、22日午後10時43分、福島第1原発3号機中央制御室の照明が外部電源によって点灯。事故後、中央制御室に外部電源の電気が供給されたのは初めて。

原発の南16km、海で基準の16倍放射性物質
 東電は22日、第一原子から南に16キロメートル離れた岩沢海岸付近で21日夜に採取した海水から、原子炉等規制法が定める安全基準の16.4倍の放射性ヨウ素が検出されたと発表。

「M8以上の地震誘発に警戒」太平洋津波警報センター所長
 東日本大震災をもたらしたマグニチュード(M)9.0の巨大地震を受けて、各国に警報を発した米太平洋津波警報センター(ハワイ)のチャールズ・マクリーリー所長が22日までに産経新聞などの取材に応じ、M8.0以上の強い地震が誘発される可能性もあるとして警戒を呼びかけた。 マクリーリー所長は、インド洋に大津波をもたらした2004年12月のインドネシア・スマトラ島沖地震(M9.1)では、3カ月後にも近くで巨大地震(M8.6)が発生したと指摘。ひとつの地震が他の場所の地盤にストレスを与え、間を置いて発生する地震もあると説明。(ホノルル 坂本英彰)

福島原発、電源復旧作業を再開 3、4号機へ放水準備
 東電は22日、3号機の原子炉建屋から21日に上がった黒煙で中断した外部電源の復旧作業を再開、3、4号機への放水の再開準備も進めた。2、3号機からは22日午前、白煙のようなものが上がったが、作業の障害にはならないと判断

 東電は、2号機から約1キロ離れた正門付近の放射線量を計測。黒煙が出た21日午後から、22日朝にかけては放射線量が低下している。22日中に2号機の中央制御室などへの通電と3、4号機への外部電源からの接続を目指す。また4号機の使用済み燃料プールに放水するのに使う長いアームを備えた生コン圧送機の準備を進めた。3号機には東京消防庁による放水を予定。また東電によると、1号機が21日夜、外部からの電力供給が受けられる状態になった。これで同原発で外部電源が通じたのは1、2、5、6号機の計4基となった。(共同)