2011年2月23日水曜日

リビア空爆と「保護する責任」‐‐リビアへの「人道的介入」にNO!という責任

リビア空爆と「保護する責任」‐‐リビアへの「人道的介入」にNO!という責任

 空爆に対する在日リビア人の抗議行動が今日の午後、予定されている。
・2月23日(水) 16:00~17:00
・リビア人民局(大使館)前(東京都渋谷区代官山町10-14)
・地図:http://www.doko.jp/search/shop/sc70324367/#mapBlock
・最寄駅:東急東横線 代官山駅
・主催者:アーデル・スレイマンさん(在日リビア人学生)他
・ツイッターアカウント @libyanintokyo

 この事態に対し「国際社会は介入すべき」という表現を、ネット上で一部の人々が不用意に使っている。「国際社会」とはどのような国々をさし、「介入」とは具体的に何を意味するのかを明確にしないまま、情緒的にこの言葉が語られるのはとても危険だ。20年前のソマリアへの「人道的介入」の悲惨な結末、1990年代を通した旧ユーゴスラビア内戦がNATO空爆の大惨事に帰結したことを忘れてはならない。

 リビアを含めたアフリカ・中東の独裁国家体制に共通しているのは、ヨーロッパの旧植民地宗主国からの「独立」達成後の国家建設が「開発軍事独裁」体制の構築として進んだことである。これらの国々は、国軍・ゲリラ勢力双方とも、東西両陣営の通常兵器・小型兵器輸出の最大の市場として兵器漬けにされてきたのである。今も何も変わらない。その兵器が群集に対する空爆を行い、その兵器で武装した特殊部隊・傭兵が民衆を虐殺したのである。

 民族主義・ポピュリズムに社会主義を合体させた国々が開発独裁国家として、最悪の人権侵害・独裁国家になっていったことを思い起こす必要がある。アジアでもそうだ。民衆に基本的人権さえ保障せず、反政府運動を軍事的に弾圧し、開発のために少数民族・先住民族の土地を奪い、強制移住させ、虐殺してきたこうした旧ソ連派や「非同盟」の社会主義を標榜してきた開発独裁と、米国や旧植民地宗主国の「傀儡」政権として前者以上の規模の犯罪の数々を、権力構造の腐敗を深めながら行ってきた開発独裁の国々がある。

 「保護する責任」や「人道的介入」を言う前に、こうした冷戦・ポスト冷戦時代の日米欧・ロシア・中国の対アフリカ政策と開発戦略に対する分析を行い、何をなすべきかを考えることがとても重要である。
 日本の政府要人が今回の空爆に対し意味不明のことを語っているのを批判することと、「国際社会の介入」を主張することは、まったく別の次元の問題なのである。