エジプトのこと、「壊れる米国の大学」のこと、世界社会フォーラム2011のことなど
この二週間ほど、ブログの読者と同じように、チュニジアに始まり北アフリカ、アラビア半島からさらに世界中に拡大したアラブ・イスラム社会の「民主化」のたたかいに釘付けになっていた。この週末、いや明日にもエジプトのムバラク独裁政権が崩壊するかもしれない。歴史的な出来事に、まさにリアルタイムで立ち会うために、Al Jazeera(英語)のLive Streamでしばらく事態の推移を見守りたいと思う。「壊れる米国の大学」のことや世界社会フォーラム2011のことなどは、順次追って報告したい。
2011/2/7
1
エジプトのこと
週末にもムバラクが辞任し、独裁政権が崩壊するかもしれないという予測は裏切られたようだ。報道によれば、新たに副大統領となったスレイマンと反政府側が昨日初めて交渉のテーブルにつき、政府側が大幅な「譲歩」を提案したという。憲法改正、大統領の任期制限、逮捕者の釈放、非常事態法の撤廃なども含まれている。しかし、民衆が要求しているムバラク政権の即時退陣のみは含まれていない。
反政府側の「穏健派」の取り込みと懐柔、運動の分断・統制がミエミエの「譲歩」は、反政府側にとっては原則的に受け入れられる代物ではない。何をどうするにしても、すべてはムバラク辞任と総辞職が大前提だというのが当初からの一貫した主張であるからだ。
しかし、現実問題としては、民衆蜂起が13日目に突入し、それでなくとも逼迫している国内経済と困窮を深める市民生活にさらなる打撃を与える結果になっていることは事実であり、みんなかなり疲弊しきっていることはライブ映像を観ていても感じられる。そのなかで政府の「譲歩」の受諾如何をめぐり、もしかしたら運動内部に亀裂が走り、衝突が表面化することもありえるかもしれない。
死傷者・逮捕者総数は、もう少し事態が落ち着いてから明らかになるだろうが、かなりの数にのぼることがすでに明らかになっている。当事者やその家族としてはそれへの対応もあるし、何より仕事をいつまでも休むわけにはいかない。失業中の者たちにしても、自分や家族がきちんと食べることができるようにすることが先決だ。休養もきちんと取らなければ、たたかいを持続させることはできないからだ。
その意味では、今回のような大規模におよぶ行動が二週間にもわたり間断なく展開されてきたこと自体が驚異的である。今後の事態の推移は、昨夜の交渉結果がこれから反政府勢力内でどのように検討され、どのような統一的方針がまとめられるかにかかっている、と言えそうだ。
一方、オバマやクリントンの動き、米国国内の主流メディアの論評、イギリス、フランス、イスラエルの動きなどもブツブツ文句を言いながら聞いたり、読んだりした。しかし、これらを含め何か断定的なことが言える状況にはまだない。事態は依然、流動的だ。もう少し見守ることにしよう。
2
「壊れる米国の大学」のこと
これについては、独立ページをつくって整理する必要があると考えている。さしあたり、米国の中の「植民地」、プエルトリコの学生運動が昨年以来高揚していることを、ちょっとした情報として紹介しておこう。
⇒Puerto Rico Student Protests 2010/11(英語)