2011年3月10日木曜日

ハイパー・スタグフレーションの時代

ハイパー・スタグフレーションの時代

 「ドル経済の終焉・米国の崩落・壊れる米国の大学」の末尾に次のように書いた。

 「今年から来年にかけて日本列島を襲撃するであろう、ガソリン・灯油・石油関連商品・光熱費・食料品等々の値上げ、新消費税の導入などの大攻勢が「壊れる大学」現象をより一層加速させ、深刻なものにするだろう。

 これに伴い労働強化と口減らしが起こるだろう。今春季から日本は、一部の儲ける業種は内部留保を拡大させつつ「好況」を迎えつつも、全体としてはデフレ経済からハイパー・スタグフレーション(不況下のインフレ)に徐々に突入してゆくだろう。

 だから、派遣労働者やフリーターの人々は「戦略的防衛体制」に入る必要がある。サラ金には絶対に手を出さぬこと、少しでも貯金と必需品の備蓄をすること、今年に契約解除・解雇がありうることを念頭に置いておくこと、身体と精神の健康を保ち、医者や歯医者にかからないようにすること、「いざ」というときに互いに助け合うネットワークを広げること、未組織労働者を支援する最寄の団体を調べておくこと・・・」

 たった1ヶ月余りで、また同じ事を書かねばならない。実際、私の知人の中には、非常なる高学歴であるにもかかわらず/だからこそ、この4月から仕事がなくなり、職探しに奔走している人がいるからだ。

 正月明けだったか、ある人に今年は世界的なスタグフレーションになるという話をしたことがある。すると、「デフレから?それはないよ」という反応が返ってきた。しばらくして北アフリカ・中東の民衆蜂起が起こり、その後の急激なガソリン高を見て、その人も反論しなくなった。

 けれども、ハイパー・スタグフレーションは、仮にアラブ・イスラム社会の「独裁打倒・民主化」闘争が起きていなかったとしても、必ずやってくる。2008年の「リーマン・ショック」の再来が、2008年を越える世界経済と政治に激震をもたらす形で必ずやってくる。

 すでにいろんな兆候が現れている。情報を少しずつ整理することにしよう。

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4月
ユーロ圏危機が深刻化、ギリシャの債務再編観測で
 欧州市場では18日、ギリシャの債務再編が夏にも必要になるとの懸念が浮上したことを受け、ユーロ圏の債務危機をめぐる状況が深刻化し、ユーロ相場と一部ユーロ圏の国債価格が大幅に下落した。 複数のドイツ政府筋は18日、ギリシャが夏が終わる前までに債務再編を実施する可能性が高いとの見方を示した。ある連立政権幹部筋はロイターに対し、連邦政府内に「ギリシャは債務再編なしでは夏を乗り切れない」との見方があると指摘。「連邦政府が(再編を)後押ししているわけではないが、そのような措置はおそらく不可避だろう」と述べた。 このほか、ポルトガル支援をめぐる先行き不透明感も市場の不安をあおった。  

 フィンランドの総選挙で反ユーロを唱える政党「真のフィンランド人」が躍進し、政権入りする可能性が出てきたことを受け、ポルトガル支援策が容易に承認を得られなくなるとの懸念から、ポルトガル債の利回りスプレッドが過去最高水準を更新した。独連邦債に対するポルトガル債の利回りスプレッドは18日、初めて600ベーシスポイント(bp)を突破し、603bpで取引を終えた。前営業日は583bpだった。 シュローダーのファンドマネジャー、アンドリュー・リンチ氏はロイター・インサイダーに対し「ユーロ加盟国に課される財政面の拘束に対応できずにユーロ圏から離脱する国が出てくるかもしれない」と語った。

 この日は欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表がリスボンに集まり、ポルトガル救済策に関する当局者の協議が始まった。初日の協議終了後、関係者は特に発言していない。 救済策の規模は総額800億ユーロに上ると推測されているが、ポルトガルが支援を受けるには、民営化や労働市場改革、銀行システム強化策など大規模な経済改革プランを受け入れる必要がある。関係者は、ポルトガルが多額の資金調達が必要となる数週間前の5月中旬までの合意を目指す考え。6月5日には総選挙が実施される。

 ただ、「真のフィンランド人」のソイニ党首は「(ポルトガル)支援策がそのまま通るとは思わない」と述べ、支援策を阻止する考えを示した。5月中旬までに支援策が承認されなければ、欧州の首脳らはポルトガルの資金調達を支援するため、他の手段を講じる必要が生じる。

 独紙ウェルトによると、ギリシャの閣僚がインタビューで、同国の債務再編は時間の問題と発言した。同紙は18日、19日に掲載されるインタビューの内容を一部公表。これによると、同閣僚は匿名を条件に「われわれが(債務再編を)実施するかどうかはもはや問題ではなく、(実施の)時期だけが問題だ」と語った。 さらに「債務再編が必要なことは最初から明白だった」と発言。「われわれは2010年初めの時点で、欧州諸国およびIMFに対し、支援策が直ちに債務再編に直結している方が望ましいとの考えを示していた」と明らかにした。

 これに対し、欧州各国の政府はギリシャに「これはギリシャだけの問題ではなく、われわれはユーロ圏全体を安定させるために、時間を稼がなくてはならない。ギリシャは債務再編について協議する前に、改革を断行できることを自ら証明しなければならない」との方針を伝えるなど、危機発生時には債務再編に関して否定的な見解を示したという。[ベルリン/アテネ 18日 ロイター] 

3月
東日本大震災:「非正規切り」が深刻化 26日に電話相談 
 東日本大震災が非正規労働者の雇用にも深刻な影響を及ぼし始めた。個人加盟労組でつくる「全国コミュニティ・ユニオン連合会」(東京都)には、派遣切りなどの相談が相次いでいる。「仕事が減ったから」と震災に便乗するような解雇もあり、同ユニオンは「08年秋のリーマン・ショック時以上に深刻だ」と、国に早急な対策を求めている。

 同ユニオンには24日までに震災関連の労働相談が約90件寄せられた。ほとんどが非正規雇用の労働者からで、被災地以外で働くケースも多い。「被災地から部品調達ができなくなった」などの理由で自宅待機を命じられ、その間の賃金補償がない人が多く、解雇や派遣切り、内定取り消しなども目立ってきた。

 静岡県の40代男性は派遣先の自動車部品メーカーが減産体制になり、22日から自宅待機に。「会社は給与を補償すると言わない。4月以降はどうなるか分からない」と不安を漏らした。福島県の30代男性は派遣元に「4月16日で約100人の派遣社員全員と契約を打ち切る」と通告された。「地震で自宅が損壊し、修理が必要だ。雇用契約を切るのはひどい」と訴えたという。

 相談の多くは製造業だが、事務系にも広がっており、電話1本で解雇を通告された東京の事務派遣女性もいる。都内のコールセンターに勤める30代パート女性は「震災で業務が減った」として4月以降の契約を更新しないと告げられた。計画停電の影響で仕事が減り、自宅待機を命じられている人もいる。

 労働基準法は天災などで直接被害を受けていない事業者には、最大限努力しても労働者を休業させざるを得ない場合のみ休業手当を支払わなくてよいとしている。関根秀一郎・副事務局長は「震災に便乗するようなケースも出ている。解雇や派遣切りを規制したり、休業補償を徹底させるための緊急立法が必要だ」と話す。 同ユニオンは26日午前10時~午後8時に緊急の電話相談「雇用を守る震災ホットライン」(代表050・5808・9835)を全国8カ所で実施する。【毎日・遠藤和行】

EUのポルトガル金融支援、8・6兆円規模か
【ブリュッセル=中沢謙介・読売】欧州連合(EU)の首脳会議が25日、2日間の日程を終えて閉幕。 財政不安に陥っているポルトガルが、EUなどに対して緊急の金融支援を要請する可能性について議論。仮に要請があれば、支援額は750億ユーロ(約8・6兆円)規模に上るとの見方が浮上。

 ポルトガル議会は23日、財政緊縮策を否決し、ソクラテス首相が辞表提出。これを受け、25日の欧州債券市場で、ポルトガル国債の流通利回りは年8%超まで上昇、ユーロ導入後の最高を記録。市場からの資金調達が困難になるとの見方が広がっている。

 ファンロンパイ欧州理事会常任議長(EU大統領)は、ポルトガル支援について「首脳会議では、議論はなかった」と語った。しかし、ユーロ圏財務相会合の議長を務めるユンカー・ルクセンブルク首相は24日、仮に要請があれば、支援額は「750億ユーロ程度が妥当のように思える」と具体的な規模にまで言及。ドイツのメルケル首相は、「市場の信頼を回復するには、財政再建目標を堅持する必要がある」と述べ、ポルトガル政局の混乱が続けば、支援の可能性が高まるとの認識を示唆。

・ガソリン151.2円 2年5カ月ぶり150円台 3月24日

3/16
ガソリン148.5円 前週からさらに3円値上がり
 石油情報センターが16日発表したレギュラーガソリンの店頭価格(14日現在の全国平均)は1リットル当たり148.5円。前週からさらに3.0円値上がり。東日本大震災の影響で供給不足が続いていることが影響、150円台も視野に。ハイオクガソリンも159.3円と3.0円値上がり。灯油(18リットル)も1649円となり29円上昇。
 ガソリン価格は北アフリカ、中東情勢の混迷で、原油の国際相場が高値で推移していたことを受けて、7日現在の店頭価格は一気に6.5円値上がりして145.5円となり、2008年11月以来、2年4カ月ぶりに140円台に上昇していた。

3/15
・東京株式市場で日経平均株価は大幅続落。終値は前日比1015円34銭(10.55%)安い8605円15銭。昨年来安値を更新し、2009年4月28日(8493円)以来、約1年11カ月ぶりの安値水準に下落。下落率は歴代で3番目の大きさ、下落幅でも17番目の大きさ。

・ニューヨーク株式市場は、東日本大震災による被害拡大や相次ぐ原発事故などを嫌気し、寄り付きから急落、一時296ドル超下げた。優良株で構成するダウ工業株30種平均は午前9時40分現在、前日終値比254.37ドル安の1万1738.79ドルで推移。ハイテク株中心のナスダック総合指数は70.77ポイント安の2630.20。欧州株も大幅安=リスク回避の売り強まる。

3/14
東日本大震災 谷垣氏、時限増税を提案 「復興ニューディール」首相賛同
1,谷垣氏「国債発行だけで復興財源は賄えない。支援税制を『東北復興ニューディール政策』と位置付け、復旧・復興財源の確保に向け時限的な増税を含めた包括的復興支援立法を求めた。

2,自民党の逢沢一郎国対委員長は13日、民主党の安住淳国対委員長と会談。平成23年度予算関連法案の地方交付税法改正案と関税定率法案、税負担減免措置延長のためのつなぎ法案の3法案に賛成する方針を伝えた。

復興財源、減額補正で検討=11年度予算成立後―岡田氏
 民主党岡田克也幹事長は東日本大震災の被災地の復興財源について、2011年度予算成立後に減額補正して捻出することも検討する意向。「補正予算案を組むに当たり、(財源を)全部国債で賄うのはどうか」と強調。(時事通信)(⇒ 「2011年度予算成立後に減額補正」しても新たに国債を発行しても、日本経済は後退と破綻に向う。2010年度の国債発行額、44.3兆円は戦後史上最悪の額となった)

日銀総裁、景気の先行き「不確実性高い」 大地震の発生で  日銀の白川方明総裁は14日の金融政策決定会合後の記者会見で、東日本巨大地震が景気に与える影響について、「地理的にも被害が広範囲に広がっている。当面は生産活動の低下が見込まれるほか、企業や家計のマインド悪化が懸念される」との認識を示した。

 今回の会合では景気の現状判断、先行き見通しとも据え置いたが、「景気の先行きを巡る不確実性は高いと判断している」と述べた。 資産買い入れ基金を増額したことに関しては「企業や家計のマインド悪化や市場のリスク回避姿勢の高まりを受けて、経済活動が下押しされることを未然に防止することが重要と判断した」と語った。(⇒下の日経の記事にあるように失敗)

・東日本巨大地震を受け、14日の東京市場は終日重苦しい空気に。投資家のリスク回避姿勢は一段と強まり、株安と債券高が進行

 日銀は大規模な資金供給と追加緩和を相次ぎ発表したが、市場の先行き警戒感を払拭するには至らず。日経平均株価の大引け前週末比633円94銭(6.18%)安の9620円49銭、円相場は乱高下した末、午後3時ごろは82円台前半で推移。

・午前7時半すぎから市場に緊張感。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物市場で日経平均先物6月物が9600円台に急落。早朝の外国為替市場では円相場が一時、約4カ月ぶりとなる1ドル=80円60銭近辺まで急伸。商品市場では原油先物が時間外取引で1バレル100ドルを割り込んだ。
・「日本株を買い増していた海外投資家はリスク回避目的の売りに転じるかもしれない」(外資系証券トレーダー)。

・トヨタやソニーといった主力株は軒並み売り気配。東電やJR東日本など大地震の影響を大きく受ける銘柄にも売り注文が殺到。損失回避に走る投資家の姿を象徴したのは、TOPIX先物へのヘッジ(損失回避)の売り。9時5分に制限値幅に抵触し取引の一時停止措置である「サーキットブレーカー」が発動。

・対照的に有事の際に比較的安全性の高い資産として意識される債券にはマネーが流入。債券先物6月物は1カ月半ぶりに140円台に乗せ、10年物国債も低下基調。加えて商品市場ではガソリンは期近4月物が急伸し、サーキットブレーカーが発動。「コスモ石油の千葉製油所で発生した火災が供給不安につながっている」(キャピタル・アセット・マネジメントの岡橋雅雄調査部長)。

・「懸念を募らす市場」と「不安感を払拭しようとする日銀」の駆け引き。日銀は9時1分に昨年5月以来となる資金の即日供給を通知。規模は7兆円と過去最大で「朝方からコール市場や債券レポ市場では取引が成立しにくくなっていた。市場の不安心理の払拭を狙った」(金融市場局)。総額15兆円。1日の供給総額としても過去最高。

・日経平均先物に売り注文が出て日経平均も9700円台に再び下げを拡大。アジア市場にも地震の余波。「日本の投資家による資金の本国回帰が香港株の売り圧力になる」(群益証券)。
・「福島原発3号機で水素爆発」と伝わると緊張感がピーク。ヘッジ売りが強まると大証の日経平均先物は再び9500円を割り込んだ。
・政府は原発の爆発について「格納容器は健全」と発表するも、投資家の「安全資産への逃避」に拍車。10年物国債利回りは一段と低下、約1カ月ぶりに1.2%を割り込んだ。株式市場では日経平均が下げ足を速め、一時は661円安の9593円まで下落。

・日銀の追加緩和に、日経平均先物には買い戻しが入り9600円台前半まで値を戻した。ただ、為替・債券市場の反応は限定的。日経平均も大引けにかけて再び下げ幅を拡大。「地震による被害額が判明するのはこれから。経済活動の下押し圧力としてどの程度、働くか見通しがたたず買いは入れられない」(日興コーディアル証券の小林久恒国際市場分析部部長)。
・午後3時。東証1部の売買高は48億株を上回り過去最高。「値動きの激しさを狙った回転売買が中心」(国内証券)。東証1部の時価総額は昨年12月以来となる300兆円割れ、日経平均の下落率は過去20番目の大きさ。

・市場のムードに改善が見られない中、東証の取引終了後に日経先物が下げ足を速めた。9430円を付け午前中につけた日中安値(9450円)を下回った。日銀の追加緩和が材料の出尽くし感を誘ったうえ、一段安の展開に投げ売りも出た。「まだ下げ止まったとは言えない」(国内投信大手)――。張り詰めた緊張感が緩む気配が見られないまま大地震後の初日の取引を終えた。〔日経QUICKニュース

3/10
予想以上に深刻 アジアのインフレ問題-労働力不足にも直面
・アジアのインフレ懸念は過去数カ月間で強まっている。変動の大きい食料とエネルギーを除いた、いわゆるコアインフレ率をめぐって不安が強まっている。
・例えばタイは9日、インフレ全体とコアインフレの上昇圧力を理由に、最近数カ月間で3度目の利上げを実施。また韓国銀行(中央銀行)は、韓国のインフレは今年上半期に同行の予測を突破する恐れがあると警告。

・野村インターナショナル(香港)のエコノミスト、ロバート・サバラマン氏「スラック(経済の緩み)があまり残っていない」「アジアではインフレが長期化するだろう」。
・シンガポールでは、1月のインフレ率が前年同月比で5.5%。アジアで最も高いインフレの国の一つ。(ウォールストリート・ジャーナル Patrick Barta

欧州のソブリン・リスク(国家に対する信用リスク)再燃
「PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)」問題
職失う若者 スペイン、バブル崩壊→財政悪化「負の連鎖」
・スペインの失業率は昨年10~12月期で20・3%。25歳未満の若年層の失業率は約40%。2008年秋のリーマン・ショックと不動産バブルの崩壊が雇用悪化の最大の原因。

・ギリシャ、アイルランドに続き、ポルトガルが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)への支援要請に追い込まれるとの観測。その次と目されているのが、GDP世界9位、ユーロ圏4位のスペイン。昨年のスペインの財政赤字は国内総生産(GDP)の約9%に。
・4月30日には国債の大量償還を控え、格付け会社フィッチ・レーティングスが今月4日に国債の見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げ。償還不安による売りで、昨年11月ごろまで4%後半で推移していた長期金利は現在、5%台半ばまで上昇。

・スペイン国債の約4割は、ドイツの銀行など海外投資家が保有。暴落すれば「金融危機が一気に広がりかねない」。
・支援要請に追い込まれると、EUとIMFが設立した約4400億ユーロ(約51兆円)の欧州金融安定化基金(EFSF)も、「たちまち底を突く」(市場関係者)とみられている。
・スペインに波及すれば、その次にはイタリアやベルギー。“最後の砦”のスペインを守り、危機の連鎖を食い止めることができるのか。欧州は重大局面。財政危機、信用不安、インフレ。“三重苦”にさいなまれる欧州経済。

1・7兆円の資本増強を スペイン、貯蓄銀行に指示
スペインの中央銀行は10日、貯蓄銀行と呼ばれる中小金融など国内の計12銀行に対し、総額151億5200万ユーロ(約1兆7千億円)の資本増強を指示。各銀行は15営業日以内に同中央銀行に資本増強の計画を提出、9月30日までの実施を迫られる。自力増資できない場合は、公的資金の投入により国有化される可能性。⇒ムーディーズは、資本不足額について400億~500億ユーロとの試算を公表、同中銀の数字の信頼性に疑問を投げ掛けた。

最大の資本不足を指摘されたのは、カハ・マドリードが他の複数の貯蓄銀行と合併して発足した「バンキア」で57億7500万ユーロ。12行中8行を貯蓄銀行が占めた。英バークレイズやドイツ銀行傘下の銀行も資本増強を求められたが、「必要な措置を講じる」と回答。 多額の公的資金投入は、多額の公的債務を抱えるスペイン政府の財政悪化につながる。(共同)

アイルランド・ルポ~欧州信用危機が第2幕(時事)

NY株、続落 前週末比79・85ドル安 リビア情勢悪化で、米経済の失速懸念 2011.3.8
週明け7日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は続落し、前週末比79・85ドル安の1万2090・03ドルで取引を終えた。ハイテク株主体のナスダック総合指数は39・04ポイント安の2745・63。

中東・北アフリカの情勢の混迷により原油先物相場が上昇傾向にあることを背景に、米経済の失速懸念が高まって売り注文が膨らんだ。また、金融大手のウェルズ・ファーゴが半導体分野の投資判断を引き下げたことも売り要因。(共同)

米財政赤字、18兆4千億円 歳出伸び、過去最大 2011.3.11
米財務省が10日発表した2月の財政収支は2225億ドル(約18兆4500億円)の赤字。単月赤字としては過去最大。歳出が膨らんでおり、赤字は29カ月連続。過去最大だった前年同月の2209億1千万ドルから、2月は0・7%増加。

歳入は1106億6千万ドル。前年同月の1075億2千万ドルから拡大。ただ、歳出も前年同月の3284億3千万ドルから3331億6千万ドルへ拡大。歳出の増加幅が歳入の伸びを上回る。2011会計年度(10年10月~11年9月)の2月までの累計赤字額は6412億6千万ドル
 米財政は、昨年末に成立した包括減税法で税収の伸びが抑えられる一方、年金などの社会保障費や国債利払い費が増加。オバマ政権、今後も厳しい財政運営。
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 米議会予算局(CBO)は今年1月、2011会計年度(10年10月~11年9月)の米財政赤字が1兆4800億ドル(約121兆円)に達すると予測、09年度を上回り過去最大となる見通しだと発表。昨年12月に決めた所得税減税の2年延長などで、税収が抑制されるのが主な要因。実質国内総生産(GDP)に占める赤字の割合も11年度は9・8%と高水準。12年度の財政赤字も1兆1千億ドルと4年連続で1兆ドルの大台を超える見通し。

米財政を静かにむしばむ病巣
・病巣=時間がたてばたつほど状況悪化=国債の利払いコスト。
・今年は金利だけで2000億ドル(約16兆5300億円)を超える。チリの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵。メディケイド(低所得層向け保険)の予算に近い。

・連邦政府の支払う金利には10年後に差し引きで年間9280億ドル。同じ年のメディケア(高齢者向け保険)予算を17%上回り、防衛費以外の政策支出すべてを合わせたコストより82%多い。
・いずれ米国の富の大量移転を象徴。向かう先は海外、特に米国債の多くを握る中国。

・オバマ大統領の諮問機関で超党派からなる財政責任・改革委員会のメンバー、トム・コバーン上院議員(共和、オクラホマ州)「われわれにとっての脅威は、自らの運命が自分たちによってコントロールされないこと」「スパイラル的な状況悪化の可能性は高く、低くない」。
・米国科学アカデミーが資金提供した最近の調査⇒米国は2030年までに毎年GDPの7%、つまり2兆5000億ドルを金利として海外に移転。

⇒「米国経済がなぜ破綻するのか