2011年2月21日月曜日

ボリビア・中南米の今と、リビア・北アフリカ・中東の未来

ボリビア・中南米の今と、リビア・北アフリカ・中東の未来

 「われわれは降伏しない。勝利か、死か。今回の蜂起が最後ではない。われわれと戦うがよい。お前たちは、リビアが解放されるその日まで、われわれに続く幾世代もの者たちと戦うことになるだろう」

 リビアが凄惨な事態になろうとしている。左の写真はここにアップされ、アルジャジーラのサイトに転載されたものだ。日本の報道機関も速報で、カダフィの息子が「内戦の危機」を訴え、反政府デモを批判したテレビ演説を報じている。

 すでにエジプトの虐殺を越える数の犠牲者がリビアで出ている可能性がある。政府・軍が発表する内容や数をそのまま報道する商業メディアを信じてはいけない。すでに「蜂起」はリビア全土に広がり、地方の政府機関が民衆によって占拠されるまでに発展しているのだ。
 また、「ありえない」と思っていたことが起ころうとしている。これ以上事態が凄惨にならぬよう祈るしかない。

 「エジプト革命」からたった1週間あまりで、バーレーン、イエメン、イラン、リビア、モロッコ、アルジェリアと広がったアラブ・イスラム社会の独裁打倒を掲げた民衆のたたかい。これほど短期間で民衆の同時多発蜂起が起きるほどに、一触即発状態の民衆の怒りが何十年にもわたって抑圧されてきたということだろう。
 そのようなアフリカや中東を誰がつくり、誰が支えてきたのか。この地域に駐在する日本人は何を恐れ、何に脅えているのか。

 しかし、北アフリカ・中東だけではない。民衆のたたかいは太平洋を越えて、中南米においても同時多発的に展開されている。その一例が、ボリビアの先住民族・労働者・民衆のたたかいである日本が「リチウム資源開発」に「夢」を託している国である。(新聞記事の説明は後日)

 おそらく私たちは、これまで生きてきた一つの時代が終わろうとしている、その歴史的局面にたちあっている。
 非常に象徴的なことは、南米のボリビア・エクアドル・ブラジルがそうであるように、「民衆のパワー」によって成立した「左翼政権」がその政権の登場を実現した当の「民衆のパワー」によって批判され、包囲されていることだ。もっと言えば、米国や日本がそうであるように、ここ数年に政権交代があった国々において政権に対する幻滅が急速に広がり、反政府運動が高揚しているのである。
 つまり、ボリビアや中南米の今は、リビアやエジプト・中東・北アフリカの近未来の政治シーンを映し出しているのかもしれないのである。

 どのような時代が終わろうとしていて、どのような時代がはじまろうとしているのか。
 少しはマトモな議論をマトモにすることが、日本のメディアにも私たちにも問われている。
 他人事のように語れる時代は、もうとっくに終わっているのである。