2011年3月11日金曜日

エゲツナイ資本主義(rogue capitalism)の手綱はあるか

エゲツナイ資本主義(rogue capitalism)の手綱はあるか

 ロレッタ・ナポレオーニROGUE ECONOMICSを出版したのは三年前だった(Democracy Now!が取り上げた際の日本語版がある)。その彼女が去年、TERRORISM AND THE ECONOMYを出した。

Economist and best-selling author Loretta Napoleoni traces the link between the finances of the war on terror and the global economic crisis, finding connections from Dubai to London to Las Vegas that politicians and the media have at best ignored.

In launching military and propaganda wars in the Middle East, America overlooked the war of economic independence waged by Al-Qaeda. The Patriot Act boosted the black market economy, and the war on terror prompted a rise in oil prices that led to food riots and distracted governments from the trillion-dollar machinations of Wall Street. Consumers and taxpayers, spurred by propaganda fears, were lured into crushing global debt.

Napoleoni shows that if we do not face up to the many serious connections between our response to 9/11 and the financial crisis, we will never work our way out of the looming global recession that now threatens our way of life. While we feared that Al-Qaeda might destroy our world, Wall Street ripped it apart.

 まったくその通りだ。分析としては正しい。ブッシュや軍事至上主義のネオコンが去っても、ウォール・ストリートのエゲツナイ、ならず者連中は居座っている。
 しかし、連中の再度の暴走、爆走を止める手綱がない。私たちが直面している、ほんとうの問題。それがこれなのだ。

・企業年金連合会(PFA)の運用執行理事の濱口大輔氏、「投資リターンを拡大するにはプライベートエクイティ(PE)投資を増やすなど、もっとリスクを取る必要がある」。(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

英米で再び高利回り債志向
・イングランド銀行(BOE=英中央銀行)のキング総裁が先週、金融危機の背景にあった高利回りを銀行が再び追求し始めていると批判。
・バークレイズ・キャピタルによると、米国のジャンク債発行規模は今年これまでに621億ドル。昨年同期の84%増。強気市場の構造が再登場。返済条件の緩いコブナント・ライト融資や、借り手がクーポン支払いにあたり現金ではなく新たな債務で充当できるトグル・ノート(債券)など。新興市場の社債発行がブームに。
・ジャンク債投資家は、デフォルト(債務不履行)リスクを抱えこみながら、そこからの収益を見込む。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによれば、欧州では、高利回り債券の利回りは現在、政府債のそれを4.7%上回っている(⇒危機以前の利回り格差1.8%)。米国ではトリプルC格付けの債券利回りは米国債のそれを8%近く上回っている。

The fallout from the crash of 2008 has only just begun--Spiking oil prices risk derailing recovery, but politicians cling to the failed economic model that lies behind them/ Seumas Milne, guardian.co.uk, 9 March 2011
The Most Dangerous Man in Washington: Timothy Geithner is so in thrall to the banking industry that he could risk America's economic recovery./ Simon Johnson, Slate, March 1, 2011

All Along the Watchtower Dave Matthews Band

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6月
ゴーン日産社長:報酬総額は9億8200万円
 日産自動車は29日、横浜市内で株主総会を開き、カルロス・ゴーン社長の11年3月期の報酬総額が約9億8200万円だったことを明らかにした。日本企業で最高額だった10年3月期の約8億9000万円を約1億円上回った。 株主の質問に答えて公表した。ゴーン社長は、事前に募集した株主からの質問約200件のうち、3割が報酬に関することだったとしたうえで、「会社の業績や個人の実績に加え、日産のようにグローバル企業で、多種多様な人材を抱える企業とも比較して決めた」と説明した。【毎日・米川直己】

ソニー会長報酬8億6300万円
 ソニーは28日、ハワード・ストリンガー会長兼社長の11年3月期の総報酬額が、前期比4650万円増の8億6300万円だったことを明らかにした。 基本給は2億9500万円、賞与が5000万円の計3億4500万円。3年連続の最終(当期)赤字と情報流出問題の責任を取る形で、前年同期比6300万円減とした。ただ、ストックオプション(50万株分の自社株購入権)の評価額が5億1800万円と前年同期よりアップしたため、総額で前期を上回った。高額報酬への批判も出そうだ。 ほかに1億円を超えたのは、中鉢良治副会長2億588万円▽ニコール・セリグマン執行役2億108万円▽平井一夫副社長1億5280万円など。【毎日・竹地広憲】

4/12
米金融トップ、高額報酬復活 ゴールドマン倍増
 米大手金融機関が、経営トップの報酬引き上げに動き出した。JPモルガン・チェースは、2010年のダイモン最高経営責任者(CEO)の報酬を前年の約5割増とし、2年間止めていたボーナスの現金払いを再開。ゴールドマン・サックスも、ブランクファイン会長兼CEOの報酬をほぼ倍増させた。金融危機後に批判を浴びた高額報酬が復活しつつある。
 米証券取引委員会に提出された資料によると、ダイモン氏の報酬は総額で2300万ドル(約19億6000万円)。09年より51%増えた。 基本給は09年並みの100万ドルだが、株式などは1700万ドル相当と2割増。当局などの批判で07年を最後に見送っていた現金賞与も500万ドル払った。
 ブランクファイン氏の10年の報酬は1900万ドル(約16億2000万円)。09年の980万ドルの約2倍の水準だ。給与60万ドル、株式1260万ドルなどに加え、現金賞与540万ドルを3年ぶりに復活させた。
 金融危機前の07年の報酬はダイモン氏が4990万ドル、ブランクファイン氏が6850万ドル。10年の報酬はこれには遠く及ばないが、世間一般からはケタ違いに多く、波紋を呼ぶのは必至。特にゴールドマンは業績回復が頭打ちで、株主総会で説明を求められそうだ。(日経・ニューヨーク=西村博之)