2011年12月16日金曜日

「冷温停止」宣言の日に

「冷温停止」宣言の日に

 「冷温停止」?
 これを「宣言」する者たち、これを追認する者たちの
 言葉と存在の耐えられない軽さは何だろう
 
 死んだ者たち、自殺した者たちがいた
 家に帰れない者たち、家で怯えている者たちがいる
 そこにいたし、そこにいる
 「冷温停止」?
 こういう日は、喪に服して、酒宴をするにかぎる
 泣き、そして笑うのだ

 私たちの日常を〈忌中〉にしたのは誰か?
 それがはっきりするまで〈忌中〉は続く
 〈あの日〉を決して忘れられない者たちが存在するかぎり 

 こういう日は、喪に服して、酒宴をするにかぎる 
 ノーマルを装いながら生きるアブノーマルな日常を、泣き、そして笑うのだ

⇒「政府・東電は「冷温停止」前倒し宣言を撤回し、謝罪すべきである」(11/6)
⇒「政府・東電は、なぜ「冷温停止」を急ぐのか?」(10/18)
⇒「村上東海村村長が東海第2原発の廃炉を要望」の「ちなみに」(10/12)
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首相、事故収束を宣言=「冷温停止状態」達成―避難区域見直しへ―福島第1原発
 東京電力福島第1原発事故で、政府は16日、原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)の会議を首相官邸で開いた。原子炉の冷却が安定して放射性物質の放出が大幅に抑えられた「冷温停止状態」が実現し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了したとする政府・東電統合対策室の判断を了承。
 野田首相は「冷温停止状態に達し、事故収束に至ったと判断した」と宣言した。
 同原発では3基の原子炉が炉心溶融(メルトダウン)を起こし、溶けた核燃料の状況が確認できない上、放射性物質の外部への放出も完全に止まっていない。避難した周辺住民の帰還のめども立っておらず、反発を呼びそうだ。
 宣言を受け、政府は同原発から半径20キロ圏内の警戒区域と、年間放射線量が20ミリシーベルトを超える計画的避難区域を、新たに3区域に再編する検討に入った。近い将来の帰宅が可能な「解除準備区域」(年間線量20ミリシーベルト未満)、数年間居住が難しい「居住制限区域」(同20ミリシーベルト以上~50ミリシーベルト未満)、数十年間帰宅できない可能性がある「帰還困難区域」(同50ミリシーベルト以上)とする方向で調整している。(時事)

保安院 海への汚染水 ゼロ扱い 
 福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
 原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算(!!)される。(⇒感嘆に値する)
 しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
 これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。 試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
 今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。 さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
 保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。 「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。 今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。(東京新聞)
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 こういう日は、喪に服して、酒宴をするにかぎる。 

〈「被曝避難基準20ミリシーベルト」について〉 
被ばく避難基準:20ミリシーベルト「妥当な値」政府WG
 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質による低線量被ばくの影響を有識者で検討する政府のワーキンググループ(WG、共同主査・長滝重信長崎大名誉教授、前川和彦東京大名誉教授)は15日、年20ミリシーベルト程度の被ばくによる健康影響は低いとしたうえで、政府の除染方針と同様に年20ミリシーベルトの地域では2年後に年10ミリシーベルト、その後は年5ミリシーベルトを中間的なに目標にすべきだとの提言をまとめた。細野豪志原発事故担当相に提出した。
◇段階的下げ提言
 WGは、国際的な基準を参考に、避難の基準となっている年20ミリシーベルトについて「(喫煙などの)他の発がんリスク要因と比べて十分に低い水準だ」として、科学的に妥当な値だと結論付けた。福島県民の被ばく線量は年20ミリシーベルトを平均的に下回っていると分析する一方、「線量が高い地域から、優先順位をつけて徐々に下げていくべきだ」と提案した。
 また、放射線の影響を受けやすい子供の生活環境を優先して除染し、避難区域でも校庭や園庭は毎時1マイクロシーベルト以下を目指すべきだと訴えたほか、子供が口にする食品に配慮して放射性物質濃度の適切な基準の設定を求めた。チェルノブイリ原発事故(1986年)で増加した子供の甲状腺がんについては「福島第1原発事故では線量が小さく、発がんリスクは非常に小さい」と指摘した。【久野華代】

◇解説…さらに議論、検証が必要
 福島第1原発事故後、健康影響についての明確な科学的証拠がないとされている100ミリシーベルト未満の被ばくを巡っては、食品や除染などさまざまな規制値や基準値が示され、国民の間では混乱も起きた。政府のワーキンググループは政府と東京電力を名指しして「低線量被ばくによる社会的不安を巻き起こした」と反省を求めたが、少数の専門家によるわずか1カ月余りの議論が、住民にとって安心材料になったとは言い難い。
 避難の基準となった年20ミリシーベルトという数値はもともと、専門家で組織する国際放射線防護委員会が緊急時の目安に掲げたもの。WGは今回、この目安を追認しただけでなく、除染などの中間目標も政府が8月に示した基本方針を踏まえただけに終わり、今回の原発事故に伴う具体的な健康影響を独自に評価する姿勢は、ほとんどうかがわれなかった
 WGは提言の中で今後の適切な被ばく防護対策を取るために「多様な価値観を考慮すべきで地域ごとの住民参加が必要」と指摘した。放射性物質と向き合う日々は今後も続く。低線量被ばくの健康影響について、住民の意見を積極的に取り入れながら、不安解消につながる真剣な議論、検証作業が求められる。【久野華代、永山悦子】
◇WGがまとめた低線量被ばくの影響◇
・100ミリシーベルト以上は線量の上昇に応じて発がんリスクも増加することが分かっているが、100ミリシーベルト未満は影響が科学的に証明されていない
・低線量を長期間被ばくした場合、同じ線量を短期間で集中的に被ばくした場合より健康影響は小さい
・内部被ばくと外部被ばくの人体への影響は同じ
・低線量の内部被ばくによるぼうこうがんの増加は被ばくとの因果関係があると評価できない(毎日)
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 ある事柄が「科学的に証明されていない」「因果関係があると評価できない」ことをもって、その事柄の否定の上に成り立つある政策の正当性が「科学的に証明」されるわけでも、ある問題の「因果関係」が否定できるわけでもない。詰まるところ、一見「科学的」な言説によって粉飾された「有識者」の「提言」は、国の強引な方針にただお墨付きを与えるだけという、きわめて政治的な目的に基づいた「非科学的」な代物なのだ。
 こういう「有識者」のことを、大昔、宇井純は「バカ」と呼んだ。私たちは「御用学者」と呼ぶ。

 国、東電、「有識者」が理解しなければならないのは、「3・11」から9ケ月余りを経て、「非常事態時における許容しうる放射線量」という概念自体が、もはや通用しなくなったことである。そしてこれは、とても良いことだと私は思う。
 「放射能汚染に対する一般的恐怖と現実的恐怖」という表現を私は使ったことがあるが、その「恐怖」や懸念(とりわけ子どもを抱えた親たちのそれら)と、それらが転じた国、東電、「有識者」に対する怒りは、「20」ではなく「1」という数値をめぐってのものなのだ。国が、「有識者」が何をし、何を言おうが、これはもう変えることはできない。
 
 国、東電、「有識者」がこのことを根本的に理解しないかぎり、今後の除染活動も「避難区域の見直し」も紛糾を極めるだけになるだろう。時間がない。この程度にしておこう。

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玄海3号機、ポンプ主軸折れる 冷却水漏れで発見
 九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で9日に1次冷却水の浄化用ポンプの接合部から放射性物質を含む冷却水約1・8トンが漏れた事故で、九電は16日、ポンプの主軸が折れているのが見つかったと県に連絡した。
 九電は9日、浄化装置に設置したポンプ1台の軸受けの温度が、80度以上に上昇したことを知らせる警報が鳴る不具合があったことを県などに連絡したが、水漏れの事実については「浄化装置の外に漏れたわけではない」として発表していなかった。(共同)

原子力政策の堅持 年内にも国に要望へ
 原子力施設が立地する下北半島のむつ市、大間町、東通村、六ケ所村の4市町村が合同で、年内にも国に原子力政策の堅持を要望することが15日、分かった。東京電力福島第1原発事故後、青森県内の立地自治体が合同で国に要請活動を行うのは初めて。県原子力安全対策検証委員会の検証作業が終了し(??)、三村申吾知事が安全対策の是非を判断する環境が整いつつある中、原発事故後に中断している各施設の試験や工事の早期再開を知事にアピールする狙いもあるとみられる。(デーリー東北)
⇒「原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも」(12/10)

東海第2の再稼働認めぬ請願不採択 日立市議会
 日立市議会は12月定例会最終日の15日、本会議を開き、日本原子力発電東海第2原発をめぐる「住民合意のないまま再稼働を認めないことを求める」請願を不採択とした。付託された総務産業委員会が「代替エネルギーの議論なく廃炉にするのは産業界に打撃が大きい」などとして不採択とすべきとの結論を出し、本会議で同委員長報告に対して賛成多数で不採択とした。 (茨城新聞)

福井県内の稼動原発1基のみに 大飯2号、美浜2号定検へ
 福井県にある関西電力大飯原発2号機(加圧水型軽水炉、出力117・5万キロワット)は16日夕、第24回定期検査に入る。8日にトラブルで停止した美浜原発2号機(同、出力50万キロワット)も18日に定検入りする。東京電力福島第1原発事故を受け、停止した原発が再稼働できない状況が続く中、県内の商業炉13基のうち運転しているのは高浜原発3号機(同、出力87万キロワット)だけとなる。 電力需要が高まる冬場を迎え、供給力不足が見込まれる関電は19日から前年同月比10%以上の節電に取り組む。
 関電から15日、県に入った連絡によると、定検期間は1カ月間の調整運転を含め約4カ月の予定。1次冷却水の流量やホウ酸濃度を調整する化学体積制御系の弁や配管を耐食性に優れた材料に取り換える。過去の点検で減肉が確認されたものなど計20カ所の配管をステンレス鋼に交換する。(⇒福島第一、第二の「配管」の「減肉」はどの程度だったのか? またその素材は?)
 福島の事故を踏まえた特別点検では、緊急炉心冷却装置(ECCS)や緊急時に格納容器内に水を注ぐスプレーリングの健全性を確認。使用済み燃料プールには水位監視カメラを増設し、広域水位計も設置する。燃料集合体は193体のうち65体(60体は新燃料集合体)を取り換える。

 1次冷却水が配管内に漏れるトラブルで手動停止した美浜2号機は、18日から第27回定検に入る。県によると、停止後に漏れの個所を目視で点検したところ、1次冷却水の系統外への漏出はなかったという。
 定検期間は調整運転を含め約5カ月。1次冷却水の圧力を調整する加圧器周辺にある6カ所の弁を調達が容易な国産品に取り換える。原子炉容器の溶接部で超音波探傷検査を行い健全性を確認する。燃料集合体は121体のうち41体(36体は新燃料集合体)を取り換える。
 停止原発の再稼働の見通しが立っていないため、両プラントとも調整運転に入るための原子炉起動時期は未定。定検の作業自体が終わった段階でストレステスト(耐性評価)を実施する見込み。(福井新聞)
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⇒「原発災害・復興支援・NGO~現場の活動を通してみえてきたもの、その成果と課題」(明日, 明学)チラシ