2011年12月12日月曜日

〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任(2)~「人権と人道の政治性」について

〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任(2)~「人権と人道の政治性」について


 「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」が先週の土曜(12/10)から始まった(12/16まで)。これに合わせ、政府主催の「拉致シンポジウム」が昨日(12/11)、都内で開かれた。
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拉致問題に関心を 「二度とこんなことが…」横田夫妻が訴え
 きのうから始まった北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせて、政府が主催する拉致問題のシンポジウムがきょう、都内で開かれました。 初めに山岡拉致問題担当大臣が「拉致問題が30年以上経過してもまだ解決できないのは大変申し訳ない」とした上で「北朝鮮に対話を促すよう政府一丸となって取り組んでいるところだ」(???)と発言しました。
 しかし、シンポジウムの途中で山岡大臣や与野党の国会議員らが退席したほか、問題解決が進まない現状に拉致被害者の家族からは「口先だけでなく実行に移してほしい」と不満といら立ちの声が上がりました。 16人の拉致被害者の家族のうち、横田めぐみさんの母親の早紀江さんは「もう二度とこんなことが起きないよう、一刻も早くみんなが元気な間に、一目でも会って話ができる時間を与えていただきたい」と、今の思いを強く訴えました。
 シンポジウムではこの他、韓国やアメリカの専門家らが講演し、国際連携の強化を呼び掛けました。(Tokyo MX)
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 山岡拉致担当相の発言、「北朝鮮に対話を促すよう政府一丸となって取り組んでいる」というのは、まったくのデタラメである。が、それについては後で述べることにする。先に、上の政府主催の拉致シンポで「韓国やアメリカの専門家」がどのような「国際連携の強化」を「呼び掛け」たのかを確認しておこう。
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拉致問題、専門家らが解決の必要性訴え
 政府が毎年行っている北朝鮮の人権侵害啓発週間が10日から始まり、11日は韓国やアメリカの北朝鮮問題専門家らが拉致問題解決の必要性を訴えました。
 「日本がただ待っているだけでは絶対に解決しません。北朝鮮との戦いなんです」(飯塚繁雄さん)
 「対話の方式は水面下でもいい。問題解決の窓口は開いても、原則は絶対に譲らない」(聖学院大学 総合研究所客員教授 カン・インドク氏)
 集会には韓国の統一部長官を務めたカン・インドク氏などが出席し、アメリカの北朝鮮専門家は「北朝鮮で有事が起きた際の拉致被害者救出計画を日米韓で準備すべきだ」と述べました。
 このところ、横田めぐみさんの生存に関する情報が相次いでいることについて、横田滋さん夫妻は「情報をきっかけに進展することを願っている」と訴えました。(TBS)
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 「北朝鮮との戦い」「北朝鮮で有事が起きた際の拉致被害者救出計画を日米韓で準備すべき」・・・。
 これらの発言は、9月に行われた「北朝鮮人権国際会議」の「概括的意見」が、「狂気の独裁政権を倒し、民主化を推し進めるべき」というものであったのと同様に「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」の、きわめて露骨なその政治性を表現している。どのような「政治性」のことか。それを考えるためには、山岡拉致担当相の発言がいかにデタラメであるか、その説明から始めねばならない。


 最も核心的な問題は、なぜ「拉致問題が30年以上経過してもまだ解決できない」(山岡拉致担当相)のか、ということだ。民主党政権と外務省は、本当に「拉致問題の解決」をめざしてきた/いると言えるのだろうか? この間の民主党政権および外務省の動向を分析する限り、めざしてきたとは言えないし、めざそうともしていないと言わざるを得ない。
 その根拠は、民主党が政権交代を機に安倍政権期に打ち出された「対北朝鮮制裁外交」を政策的に見直すのではなく、その逆の方向へとさらにのめり込んでしまったことにある。民主党は、自公政権時代に制定された「北朝鮮人権法」に基づく日本独自の制裁の強化と、国連、二国間、多国間のチャンネルを通じた国際的な対北朝鮮包囲網の形成をもって北朝鮮を「締め上げる」ことを拉致問題解決の「対策」としてきたのである。

 しかし、こんなことをいくら続けても、生存している拉致被害者は永遠に帰ってこないだろう。また、身元不明の拉致被害者の消息もつかめないだろう。そのことは2002年9月の「日朝平壌宣言」から来年で丸10年を迎えようとするのに、拉致解決の具体的進展が何も見られないことにも、はっきりと示されている。
 自らの失策を決して認めようとしない外務省の独断的・独善的暴走と民主党政権の無策。拉致と核の解決を望む私たちはそれを見極め、現状からの方向転換を政府・外務省に促す「輿論」を興すことが必要だ。そうでなければ、米国・中国・ロシア・韓国・日本と同様に、深刻な「人権・人道問題」を抱える北朝鮮のそれも決して改善することはないだろう。

 政府や国連に対する「政策提言」を通じ、国際人権の「普遍化」をめざすという「国際人権NGO」が果たすべき役割は、国家(連合)による武力行使や制裁政治と一体化した「保護する責任」を推進したり、「北朝鮮で有事が起きた際の拉致被害者救出計画を日米韓で準備すべき」と言ってはばからないジンゴリスト(好戦主義者)と共に活動することではないはずだ。
 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)の支持者を始め、アムネスティ・インターナショナル(日本)の理事・事務局・会員・支持者の人々は、ぜひともこのことを真剣に考えてほしい。


 外務省の対北朝鮮「外交」の何が誤っているのか?
 「自らの失策を決して認めようとしない外務省の独断的・独善的暴走と民主党政権の無策」を理解するためには、「日朝平壌宣言」からこの9年間におよぶ「六者協議」と日朝交渉の経緯を、時系列に沿って、押さえておく必要がある。
 「日朝平壌宣言」とはどのような「宣言」なのか、またその後どういう経緯を辿り、今日に至っているのか、知らない人も多いと思う。下の資料にまず目を通してほしい。 
・・参考資料
・「日朝平壌宣言」(2002, 9/17)
・「第4回六者会合に関する共同声明」(2005, 9/19)
・「第1回「日朝国交正常化のための作業部会」の概要」(2007, 3/8)
(政府・外務省の「北朝鮮による日本人拉致問題」「六者会合関連協議」より)
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 外務省が今年の6月にまとめた、これまでの「拉致問題の解決その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する政府の取組についての報告」なる文書がある。上にあげた「日朝平壌宣言」「第四回六者会合の共同声明」「第1回「日朝国交正常化のための作業部会」の概要」を熟読するなら、この「報告」がはらむ致命的な問題が浮かび上がってくる。

 「報告」は「1 総論」に続く、「2 拉致問題」の「2)六者会合及び日朝協議」の、「ア.六者会合」において、
○「平成17 (2005)年に採択された六者会合共同声明においては、拉致問題を含めた諸懸案事項を解決することを基礎として、日朝間の国交を正常化するための措置をとることが、六者会合の目標の一つとして位置づけられており、この共同声明の完全な実施が重要である」と述べ、
 また、「イ. 日朝協議」において、
○「政府は、日朝関係について、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現するとの方針である。
 これまで日朝間では、平成20 年に2回にわたり日朝実務者協議が開催され、拉致問題に関する全面的な調査の実施及びその具体的態様等につき日朝間で合意した。
 しかし、同年9月に北朝鮮側から、引き続き日朝実務者協議の合意を履行する立場であるが、調査開始を見合わせるとの連絡があり、それ以降、政府は北朝鮮側に早期の調査開始を繰り返し要求しているが、北朝鮮はいまだに調査を開始していない。政府は、引き続き北朝鮮に対し、拉致問題を含む諸懸案の包括的解決に向けた具体的な行動を求めている」と書いている。

 しかし、「日朝平壌宣言」「六者会合」の「共同声明」のどこを読んでも、そんなことはいっさい書かれていない。「拉致」の「ら」の字も出てこない。読者も自分の目で確認してほしい(「日朝実務者協議」とその行き詰まりについては後述する)。
 この事実を事実として認めることが、拉致・核問題の解決と「米国・中国・ロシア・韓国・日本と同様に、深刻な「人権・人道問題」を抱える北朝鮮のそれ」を改善する出発点となる。

(つづく)

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武器輸出緩和へ新基準 人道目的や共同開発は「例外」
 野田政権は、武器の輸出を原則として禁じる武器輸出三原則について、平和構築・人道目的の場合や、他国との共同開発・生産などを例外とする新たな基準をつくる方針を固めた。年内をめどに結論を出す。
 政府関係者によると、官房長官談話などの形で、武器輸出の例外とする基準を示す。具体的には国連平和維持活動(PKO)や人道目的の支援をする際、武器とみなされる巡視艇の輸出などが想定されている。
 また米以外の国との共同開発・生産を求める民主党政調の提言を踏まえ、対象国の範囲や開発・生産のあり方を検討する。これまでは米国とミサイル防衛(MD)の共同開発に乗り出した際、個別に三原則の「例外」とすることを官房長官談話で表明した。今後は新たな基準をつくり、紛争の助長や情報漏出につながらないよう秘密保持や第三国移転の一定のルールを設けた上で、戦闘機などハイテク兵器の共同開発・生産の拡大を認める方向だ。
 民主党内外で議論を呼びそうな三原則自体の見直しや、輸出禁止の対象となる「武器」の定義の変更には踏み込まない。関係副大臣会合が開かれる12日にも方向性を打ち出す

空自次期主力戦闘機:政府16日にも安保会議で機種決定
 航空自衛隊のF4戦闘機の後継となる次期主力戦闘機(FX)=約40機調達予定=の選定をめぐり、政府は16日にも安全保障会議を開き、機種を決定する方針だ。米国を中心に9カ国が共同開発中のF35(米ロッキード・マーチン社)が有力視されてきたが、開発が遅れ気味で、防衛省の求める16年度からの納入に間に合わない可能性が指摘されている。年末の12年度予算案編成に間に合わせなければならず、選定作業は大詰めを迎えた。
 F35は敵のレーダーに探知されにくいステルス性能の高さが特徴。対立候補はすでに実戦配備されている2機種で、米国が開発したFA18(米ボーイング社)は米海軍の主力機としての実績があり、英独など欧州4カ国が共同開発したユーロファイター(英BAEシステムズ社など)は高い飛行性能などをアピールしている。
 防衛省は9月に各機種の提案書提出を受け、関係各課長らで作る統合プロジェクトチームが、性能▽維持管理を含む経費▽国内企業の製造への参加▽納入後の支援態勢--の4分野で採点。一川保夫防衛相が近く岩崎茂航空幕僚長から結果報告を受け、中江公人事務次官をトップとする機種選定調整会議や政務三役会議を経て機種を内定。その後、安保会議で決定する予定だ。 野党は一川氏が辞任しないままFX選定を担当することに反発している。【毎日、朝日弘行、鈴木泰広】

「パレスチナ人は創作」米大統領選共和党有力候補が発言
 来年秋の米大統領選挙に向けた共和党の指名獲得争いでトップを走るギングリッチ元下院議長が「パレスチナ人は創作された人々で、実際はアラブ人だ」などと発言した。パレスチナの存在を根本から否定する内容で、米内外から批判が出ている。
 ギングリッチ氏はユダヤ系ケーブルテレビの取材で、パレスチナ人について「歴史的にアラブ人コミュニティーの一部であり、どこにでも行くことができた」などと述べた。10日にあった共和党の討論会でも、「彼ら(パレスチナ人)はテロリストだ。学校でテロリズムを教えている」と発言。米政府の対パレスチナ支援への疑問も示した
 米メディアによると、パレスチナ自治政府のファイヤド首相は発言について「イスラエル人の最も過激な者もこんなに馬鹿げた言い方はしない」と反発。アラブ連盟の高官は「(在米ユダヤ人の)わずかな票を得るために、アメリカの国益を損なった」とし、中東和平の仲介役(???)である米国の立場への影響を懸念した。共和党の指名を争うライバルたちも「間違った理解だ」(ロムニー前マサチューセッツ州知事)と発言を問題視するコメントを出した。 (朝日)

韓国:原発新設を許可 東部の2基、福島事故後初
 韓国政府は(12月)2日、原子力安全委員会を開き、東部・蔚珍(ウルジン)で計画中の原子力発電所2基の建設を許可した。3月の東京電力福島第1原発事故後、初の建設許可。建設が完了した南部・釜山(プサン)と南東部・慶州(キョンジュ)の原発各1基の試運転の開始も許可した。 新設される2基は08年9月に許可申請があり審査が続いていた。加圧水型軽水炉で発電量は各140万キロワット。
 韓国では原発21基が稼働し、総発電量の約3割を占める。李明博(イミョンバク)大統領は福島第1原発事故後も「わが国は100%エネルギー輸入国であり、原発を建設し続けねばならない」と推進政策を緩めなかった。また、韓国は国際原発商戦に参入しており、09年末にはアラブ首長国連邦(UAE)から原発を初受注。30年までに原発80基を輸出するという国家目標も掲げている。(毎日) 
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韓国、また原発停止 節電へ対策強化
 韓国南部の釜山市にある古里原発3号機(出力95万キロワット)が14日、タービン発電機の過電圧を防止する装置が作動し、運転を停止した。知識経済省と事業者の「韓国水力原子力」が詳しい原因を調べているが、再稼働のめどは立っていない
 9月に大規模停電が起きた韓国では冬の電力需給が逼迫しているが、東部の蔚珍原発1号機(同)も13日に中央制御室の警報が鳴って運転を停止した。 韓国政府は今月5日から電気料金を平均4・5%値上げし、ネオン点灯を制限、違反企業には罰金も科す厳しい節電策を始めている。(ソウル共同)

韓米原子力協定改定交渉が終了 隔たり埋まらず
 2014年に満了する韓米原子力協定の改定に向けた4回目の交渉が8日に終了した。
 交渉はソウルで6日から行われ、外交通商部の朴魯壁(パク・ノビョク)韓米原子力協定担当大使と米国務省のアインホーン調整官が首席代表として出席し、改定案の草案の内容について意見を交換した。特に、使用済み核燃料の再処理問題について集中的な論議が行われた。
 韓国側は核燃料の保管施設が2016年に飽和状態になると予測しているため、使用済み核燃料の再処理を可能にすべきだと主張したのに対し、米国側は再処理による核兵器製造の可能性などを理由に慎重な立場を示し、双方の隔たりは埋まらなかった。 外交通商部当局者は「協定文を新しく書くための協議の過程なので、共通の理解や認識に基づいた技術的な条件など、さまざまな問題について意見を交換した」と述べた。 韓米は来年上半期(1~6月)に米国で5回目の交渉を行う予定だ。【ソウル聯合ニュース】

韓国政府、軍事境界線隣接地域に電飾塔…北朝鮮強い反発
 西部・東部・中部戦線の3カ所にクリスマスツリー状に電飾を施した塔が立てられる。
 軍当局者は11日、「キリスト教団体の要請により西部戦線の愛妓峰(エギボン)と平和展望台、統一展望台にひとつずつクリスマスツリー型の電飾を施した塔を建てることにした」と明らかにした。
 塔は23日から来年1月6日まで半月間点灯される。これに対し北朝鮮はこの日、対南宣伝用ウェブサイト「わが民族同士」を通じ、「塔を点灯することで予想できない結果がもたらされる場合、全面的責任は南側好戦者にある」と威嚇した。 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]