東電一時「国有化」=(電気料金値上げ+増税)+(柏崎刈羽+福島第二再稼働)?
最低でも一兆円を超える公的資金投入によって、東電の一時「国有化」がほぼ確実となった(現時点では「確定」とは言えないことに注意)。
しかし、①福島第一1~4号機の廃炉費用と、②放射能汚染→賠償・補償+除染費用の捻出に加え、さらに③福島第一5、6号機と第二原発の稼働停止状態が継続するのであるから、東電が資金調達に行き詰まり、公的資金を投入せざるをえなくなり、それによって「国有化」→解体せざるをえなくなることは、「3・11」直後の段階ですでに分かりきっていたことである。
さらに、6月以降、定期検査と「ストレステスト」によって、当然にも、柏崎刈羽の原子炉が順次稼働停止に追い込まれてきたのであるから、公的資金投入→東電「国有化」→解体は、夏から秋にかけ、より濃厚になって行ったと言うことができる。なのにまだ野田政権は「で、東電をどうするのか?」に対する明確な方針を打ち出せないでいる。
私が東電一時「国有化」→再生(「更生」)ではなく「解体」と書くのは、東電に対する感情論からではない。東電は原発事業の存続なくして企業として成り立ちようがなく、「レベル7」の「過酷事故」を起こした企業に原発事業を継続させるということに社会的合意など取れるはずもないからだ。以前にも書いたが、東電が何を言っても、もう私たちは信用できなくなってしまった。
というか、東電が「何か」をしたり「発表」したりすればするほど、ボロや嘘が明るみになり、すでに「国民」の多くにとって東電という企業は「終わっている」と言うほうが正確だろう。そのような企業が企業形態を温存させたまま生き残り、「公益性/公共性」を帯びた「事業」を継続することなど、ありえない。
菅・野田と続く民主党政権は、私の目から見るなら、この点に関する認識がきわめて、きわめて甘い。そしてそれがために東電に対する政府方針を未だに確定できずにいる。 さらに悪いことには、その結果、不必要な「国民」の不信・不安・怒り・離反を自ら招いてしまっている。
「あらゆる可能性を排除しない」。首相によれば、これが昨日段階の政府「方針」であるらしい。来年以降、決めるのだと。東電に対する姿勢、この一点において民主党はさらに無党派層の離反を招くことになるだろう。
東電の行く末については、主要な新聞メディアによって様々なことが報道されている。しかし、それらも「東京電力に関する経営・財務調査委員会」が10月初旬にまとめた「第10回委員会報告」をベースとし、そこから発展したものである。
公的資金投入→「国有化」→解体に至らざるをえないことは、その「概要」を一瞥するだけで明白だと思えるので、まずはしっかりこれに目を通しておくことにしよう(必読資料)。
(注)
福島第二原発を廃炉にせず、再稼働させるなんて「ありえない」と考えている人は多いだろう。しかし、福島県が「脱原発宣言」を発した以降でさえ、第一原発5、6号機の廃炉はもちろん第二原発の処理問題についても何も決まっていないことを確認しておく必要がある。 「枝野vs.東電」がいろいろ取り沙汰されているが、公的に表明されている野田政権のこれらに対する基本的立場は「東電次第」というものである。
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・柏崎原発2号機で微量の放射性物質 環境に影響なしと東京電力
東京電力は9日、定期検査中の柏崎刈羽原発2号機の主排気筒で、8日にごく微量のアルファ線を放出する放射性物質を検出したと発表した。物質は天然のものとみられ、周辺のモニタリングポストに変化がないことから、環境に影響はないとしている。
東電によると、検査の結果、この物質はコンクリートなどに含まれるポロニウムと推定。原子炉水では検出されなかったため、原子炉建屋内のコンクリートから移動したと推測している。(新潟日報)
・東電の安全確保策「妥当」 冷温停止維持で保安院
経済産業省原子力安全・保安院は9日、東京電力福島第1原発事故の収束作業に関し、東電が提出した今後3年程度の施設運営計画について「公衆や作業員の安全を確保する上で妥当」との評価をまとめた。
保安院は近く評価書を原子力安全委員会に報告。これを受け、政府は16日に事故収束の工程表の「ステップ2」終了を決定する方針。
保安院は、原子炉の温度計の誤差を見込んでも圧力容器底部で100度以下という冷温停止状態の条件を維持できるとの東電の報告を認め、溶けた燃料が格納容器に漏れている場合でも格納容器内の温度から冷却状態は把握できるとした。(共同)
・福島第一で岩盤の揺れ、想定の3倍 保安院が解析
東日本大震災時に東京電力福島第一原発や東北電力女川原発(宮城県)の地下岩盤部で地震の揺れが、国の新しい耐震指針による想定を上回っていたことが9日、明らかになった。福島第一原発では敷地沖が震源になった場合の揺れの見積もりの約3倍だったうえに、余裕を持たせたはずの設計用の揺れも超えた。地震対策の前提となる揺れの想定が過小評価だったことを裏づけた。
経済産業省原子力安全・保安院が専門家からの意見聴取会で解析結果を明らかにした。原発の耐震設計では直下の岩盤で想定する揺れの「基準地震動」がすべての基本。上に造られる建屋や機器類が地震に耐えるかの評価に使われる。
第一原発の基準地震動は地下196メートルで600ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)。これに対して解析では675ガルだった。基準地震動は敷地沖の震源域が複数連動すると仮想した地震(マグニチュード〈M〉7.9)などをもとに余裕を上積みしたが、仮想の地震の揺れと比べ約3倍の大きさだった。 (朝日)
・復水器継続でメルトダウン回避 1号機解析、東電「困難」
東電福島第1原発事故で、独立行政法人「原子力安全基盤機構」は9日、1号機の非常用復水器(IC)が津波襲来後も早期に作動し、蒸気の冷却に必要な水が補給できていれば、原子炉の水位が維持されて炉心溶融(メルトダウン)を防ぐことが可能だったとの解析結果を公表した。 東電は、当時の状況では現実には困難(???)だったとの見方を示した。
ICは事故の際に、原子炉の蒸気を引き込んで冷やし、水に戻して原子炉に戻す設備。電源がなくても作動するが、蒸気や水が通る配管の弁の開閉には電源が必要。(共同)
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であるなら、「安全対策」の一環として「蒸気や水が通る配管の弁の開閉」のための「非常用電源」を設置しておくべきだったのである。それだけのことだ。つまり、瑕疵責任は東電と政府にある。
現存する原発の「安全対策」にこれが配備されているか、要チェックである。
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12/11
・玄海原発:放射線測定値、変動範囲上回る…3号機の放水口
佐賀県は11日、九州電力玄海原発(同県玄海町)3号機の放水口で、9日午後3時の放射線測定値が通常の変動範囲を上回る数値を示していたと発表した。3号機では9日午前10時50分ごろ、放射能を帯びた1次冷却水が1.8トン漏れるトラブルが発生しているが、九電はトラブルとの関連を否定し、原因を調査するという。
同県原子力安全対策課によると、モニターが示したのは473cpm(測定器に1分間に入ってきた放射線の数)。通常の変動範囲は433~472cpmとなっている。放水口からは2次冷却水を冷やすのに使われた海水のほか、発電所内の汚染水を浄化処理した水なども排出される。九電は9日は処理水を放出していないと説明しているという。 測定値は降雨などの自然条件で変動範囲を超えることもあり、昨年12月には雨で507cpmを測定した。9日朝にも雨が観測されている。また放水口周辺に貝類が付着した場合も、貝類の放つ放射線により値が高くなることがあるという。
モニターは同県環境センター(佐賀市)が常時測定している。データを10日に回収した担当職員は週明けに九電に確認しようと判断したが、11日の別の担当職員がトラブルとの関連から、急きょ九電に確認したという。
9日の冷却水漏れは3号機の原子炉補助建屋内で発生し、九電は建屋内で汚染水を回収し、外部には漏れていないとしている。汚染水の濃度など詳細は明らかにしていない。(毎日)
・<玄海原発>冷却水漏れ1.8トン 九電公表せず
九州電力は9日、定期検査中の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機で、1次冷却水の浄化やホウ素濃度調節をする系統のポンプの温度が上昇したことを知らせる警報が鳴ったと発表した。その際、放射能を帯びた汚染水(1次冷却水)約1.8トンが漏れたという。
九電はポンプの異常だけを発表。その後の取材で、夜になって1次冷却水漏れを認めた。「設備の構造を考えると、ポンプの温度上昇と漏水に因果関係はないだろう。通常でも漏れはあり、原子炉建屋内にとどまっているので広報しなかった」としている。
九電によると、1次冷却水はとい状の設備を伝い、建屋内のピットと呼ばれる回収ますに出た。ポンプが異常を示したのは9日午前10時50分ごろ。3台あるポンプのうち稼働中の1台の温度が上がり、休止していた他のポンプに切り替えて循環を続けている。通常は30~40度で、80度を超えると警報が鳴るという。
3号機は昨年12月11日から定期検査に入った。原子炉内には燃料が装着されており、冷温停止状態を保つために冷却水を循環させている。原因は冷却水不足などの可能性があり、ポンプを分解するなどして調べる
◇報告義務の対象外
経済産業省原子力安全・保安院によると、今回のポンプの異常や冷却水漏れは法令による報告義務の対象にあたらない。ただし、九電からは、冷却水が外部に漏れていないことやモニタリングデータに問題がないとの報告があり、原因を調査することを確認したという。【毎日、竹花周、中山裕司】
⇒「九電は情報公開を 玄海3号機冷却水漏れに怒りの声 」(佐賀新聞)
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・オスプレイ 衝突防止装置に不具合 国防総省、改善で予算計上
【中部】2012年秋に米軍普天間飛行場への配備が計画されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、ほかの航空機との衝突を回避する装置に不具合があり、機能改善の予算を米国防総省が計上していることが8日までに明らかになった。米国防次官室(会計監査)のホームページで公開されている11年米会計年度の予算組み替え文書によって指摘された。
文書によると、「MV22オスプレイの乗務員がアフガニスタン上空でほかの航空機と安全な距離を維持して飛行できない状況にある」とした上で、それは「衝突回避機能の欠如に起因している」と指摘。「同機飛行隊が、壊滅的な衝突を引き起こす可能性を緩和するサポート機能である衝突回避システム(TCAS)を提供するために480万ドル」を計上した。さらに、同予算が「12会計年度の国防予算で積み立てられていないが緊急性が高い」と強調している。
また、機体の主脚付近や脆弱(ぜいじゃく)な箇所での火災を自律的に検知・抑制する機能の修正に370万ドル、作業負荷を大きく軽減し、土埃(つちぼこり)が舞うような悪条件での操作時の安全性を向上させるため、視界装置の改善に284万ドルも必要として、計上している。(琉球新報)