「冷温停止」で冷却停止?
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「冷温停止」したはずの福島第一原発1号機の「使用済み核燃料プール」が冷却停止した。
しかし、それは「一時的」なものであるから、国と東電によれば、1号機は「安全」であり、私たちは「安心」しなければならないそうだ。
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・福島第1原発:核燃料プールの冷却装置水漏れ…1号機 (毎日、神保圭作)
東京電力は17日、福島第1原発1号機の使用済み核燃料プールの冷却装置から水が漏れ、一時的に冷却が停止したと発表した。冷温停止状態の達成が宣言された直後のトラブルだが、松本純一原子力・立地本部長代理は「プールは十分冷えている。(冷温停止状態の達成の)判断を急ぎすぎたということではない」(??)と話した。
トラブルが発生したのは17日午前10時23分。プールの冷却装置から流量の異常を知らせる警報が発生し、自動停止した。作業員が現場を確認したところ、冷却装置の弁が閉まり切っておらず、約0.1立方メートル(100リットル)の水が漏れていた。作業中にだれかが弁に接触し、緩んだ可能性(??)があるという。
弁は元の位置に戻され、冷却装置の運転は同日午後1時39分に再開した。プールには392本の燃料があるが、水温は13度で停止前と変化はなかった。また、漏れた水は燃料に直接触れない配管を流れており、放射性物質は含まれていない。
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●「だれかが」って誰? 「可能性」って何? なぜこの程度のことが現場ですぐに確認できないのか? それを東電に追求するのが「報道」の役割ではないのか?
●「水温は13度で停止前と変化はなかった」・・・。(⇒誰の情報? 毎日の神保さんは現場で確認した?)
●「漏れた水は燃料に直接触れない配管」・・・。(⇒どの配管? 配管名は?)
●「放射性物質は含まれていない」・・・。(⇒正しくは、「と、東電は言っている、しかし毎日新聞は確認していない」ではないのか?)
国と東電が自発的に「冷温停止」を撤回することはありえない。だから、私たち、とりわけ「有識者」「専門家」「メディア」がそのための働きかけをし、国と東電の、ほとんど理性を失いかけていると言ってもよい、その姿勢を改めさせる以外にない。少なくとも、まるで「大本営発表」のような「東電発表」を垂れ流し続ける「報道」の在り方を変えることくらいはできるはずだ。
何も起こらないことを誰だって祈っている。もう勘弁してほしい。
しかし、そう断言できる根拠を私たちは持ち合わせていない。
私たちは、国と東電に「冷温停止」宣言を見直し、抜本的に再検証させる必要がある。
本当に、今のままでは、マズイしダメだと思うのだ。
何とかしなければならない。
(再掲)
参考サイト
⇒「東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況」(東京電力)
「東電は信用できない」と言ってしまえば身も蓋もない。しかし東電とは、「第一原発から放出される放射性物質は東電の「所有物」ではない、だから除染の責任を社として負う義務はない」と平気で言ってのける会社である。5、6号機を「定期検査中・冷温停止」とし、第二原発を「正常」な状態にあるとする東電の「報告」は、何度も眉に唾を付けて読む必要があるのではないか。
この間、5、6号機の(再)臨界の「可能性」や第二原発も相当のダメージを受けたという情報が飛び交ってきたが、非常に不当なことに東電のデータに問題がある場合、その「立証責任」は私たちの側にあることを再確認しておこう。二日後に迫った「冷温停止」政治宣言の「非妥当性」をめぐる立証責任とともに。
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上の東電のサイトで、東電が報告する1~3号機の状態のデータを各自検証してみてほしい。
私たちのようなド素人でさえ、2号機の状態と比較した場合における、1、3号機、とりわけ1号機の不安定状態がわかるはずだ。
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下の朝日新聞の記事によると、東電の「原発幹部」が、冷却装置「非常用復水器」の電源が失われると「弁が閉じて機能しなくなる構造」を「知らなかった」ことが判明したそうだ。
「幹部」って誰?
「食道がん」で入院した人?
こんな時期に、そんなに都合よく?
それとも、「冷温停止」政治宣言の翌日に、使用済み核燃燃料プールの冷却が「一時」停止しても、「冷温停止」の「判断を急ぎすぎたということはない」と言っている人?
朝日新聞は、なぜ実名を公表しないのか?
なぜ実名を公表するように「検証委」に迫らないのか?
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・原発幹部、非常用冷却装置作動と誤解 福島第一1号機
東京電力福島第一原発の事故で最初に炉心溶融した1号機の冷却装置「非常用復水器」について、電源が失われると弁が閉じて機能しなくなる構造を原発幹部らが知らなかったことが、政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)の調べで分かった。委員会は、機能していると思い込んでいた幹部らの認識不足(??)を問題視している。また、その結果、炉心溶融を早めた可能性があるとみて調べている。
このほか3号機について、委員会は、緊急時に炉心を冷やすための注水装置を3月13日に停止させたことが事故拡大につながった可能性があるとみている。こうした点をまとめた中間報告を26日に公表する。
非常用復水器は、外部電源や非常用発電機などの交流電源を使う通常のポンプを動かせなくなった時に炉心を冷やす手段。原子炉圧力容器内の蒸気を冷やして水に戻し、再び炉心に入れるのに使う。装置は2系統あり、水を満たしたタンク内に通した配管に蒸気を送る。直流電源(蓄電池)を失うと、操作不能になって外へ蒸気とともに放射性物質が漏れるのを防ぐため、蒸気を送る配管の弁のうち格納容器の内側の弁が自動的に閉じ、蒸気が通らなくなる設定になっていた。
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「機能していると思い込んでいた幹部らの認識不足」?
そういう問題だろうか? これはいったい何だ?
いま日本で、福島原発「事故」の「調査」で何が起こっているのか?
これから何が起ころうとしているのか?
常識で考えて、「原発幹部」が、冷却装置「非常用復水器」の電源が失われると「弁が閉じて機能しなくなる構造」を「知らなかった」なんてありえるだろうか?
もしもそうだとしたら、野田政権はそういう東電の「原発幹部」が管理している5、6号機、第二原発、柏崎刈羽も直ちに全号機を稼働停止し、「冷温停止」状態のまま廃炉処分にする検討を開始すべきである。 私たちは、原発の基本構造を知らない東電の「原発幹部」に私たちの生命を預けるわけにはいかない。
⇒「政府「事故調」の「調査」に疑義あり!--3号機の「高圧注水系(HPCI)」は「自動起動」したか?」(12/16)
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・原子力安全委の審査委員、ほぼ半数が電力業界から
内閣府の原子力安全委員会=班目(まだらめ)春樹委員長=で原発の安全を審査する審査委員76人(12月現在)の半数近い37人が、過去5年に、審査される立場にある電力事業者とその関連組織に所属していたことがわかった。安全委への自己申告から明らかになった。
安全委は電力事業者や国を指導する立場にある。多くの審査委員が、審査する側とされる側の双方に所属していたことになり、線引きがあいまいな実態が浮かんだ。
審査委員は大学などで原子力や耐震性、放射線を専門とする研究者らで非常勤。安全委は2009年、電力事業者や原子力関係機関、学会、行政庁との関係を審査委員に自己申告させて公開することを決めたが、2年以上公開を怠っていた。朝日新聞が今年11月に指摘し、ホームページで初公開された。
朝日新聞が分析すると、計32人の審査委員が、安全委の審査を受ける電力事業者・原子力関係機関の設置組織で原子力に関する助言をするメンバーに就いていたり、電力事業者の常勤職員を務めていたりした。(朝日)
・経産相、公正性を調査の意向 紛争審委員の報酬問題
政府の原子力損害賠償紛争審査会の委員2人が、電力業界とつながりが深い日本エネルギー法研究所(東京)から報酬を得ていた問題で、枝野幸男経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、審査会の公正さに影響しているかどうか(??)を調べる考えを示した。 審査会は原発事故に伴う損害賠償の目安をつくっている。枝野氏は「電力会社、東京電力とどの程度利害関係があるかが問題(??)。公正であることと公正らしく見えることが重要だ(??)。公正さを疑わせることがないかどうか、さらに確認したい」(⇒何を?)と述べた。
一方、審査会を所管する中川正春文部科学相は同日の閣議後会見で「審査会の議論はオープン。そういうシステムがある限り、公正性は保証されている」と述べ、委員の人選に問題はないとの認識を示した。 (朝日)
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「2人」とは、学習院大教授野村豊弘氏(68)と早大大学院教授大塚直氏(52)。
「野村氏は4月にエネ法研の理事・所長に就任して以来、毎月20万円程度の固定給を受け取っている。 大塚氏は委員就任前から研究部長の職にあり、毎月20万円の固定給を得ていた。ただ、周囲からの助言で、 6月末に研究部長を辞め、4~6月の報酬を返納」(「紛争審2委員、電力系研究所から報酬 原発事故賠償」(朝日)
⇒「原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令」
「第一条 原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)は、委員十人以内で組織する。
2 委員は、人格が高潔であつて、法律、医療又は原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者のうちから、文部科学大臣が任命する」
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・収束阻む汚染水 タンク増設困難
東京電力福島第一原発事故の収束工程「ステップ2」完了を受け、細野豪志環境相兼原発事故担当相は17日、福島第一原発を視察し、「(原発の)一定の落ち着きを確認できた」との認識を示した。しかし、原発敷地内の汚染水の増加は止まらず、貯蔵タンクは間もなく満杯になる。タンク増設の用地確保もままならず、汚染水の海洋放出には漁業関係者が強く反発している。八方ふさがりの状態に、専門家は「事故収束作業はいまだ道半ばだ。汚染水が処理できなければ、廃炉作業は進まない」と指摘する。
「今後は除染、住民の健康管理、1日も早い帰還だ」。細野環境相兼原発事故担当相は視察後、広野町で報道陣に言い切った。地震や津波などあらゆる危険を想定した場合でも「多重の防御策」が取られていることを強調した上で、事故収束作業が順調に進んでいるとの見方を示した。
しかし、廃炉作業の生命線となる循環注水冷却システムは、つまずきを見せる。建屋などに滞留する汚染水を段階的に浄化して原子炉に注水させる仕組みだが、1日当たり200~500トンの量の汚染水が増え続けている。 建屋地下に雨水や地下水が流れ込み、汚染水が増え続けるためで、改善策がなかなか見つからない。数百個に及ぶ汚染水タンクの許容量は14万トンで、16日現在の貯蔵量は10万6千トン。このままのペースで進めば、来年3月でいっぱいになる計算だ。
東電はタンクの設置場所を確保するため、雑木林を伐採し、丘陵部をさら地に造成してきた。敷地内に山積するがれきを仮置きするスペースを設ける必要もあり、新たにタンク置き場をつくるのは難しいという。 同社関係者は「タンクを永遠に増やし続けることは不可能だ。早く解決策を見つけなければ、注水できなくなる」と頭を悩ませる。
汚染水を確実に減らす方法が一つだけある。海洋放出だが、漁業関係者の理解が得られない。 東電は原子炉等規制法における放射性物質の濃度限度を下回った低濃度の汚染水を海洋放出する計画を立てた。西沢俊夫社長は福島民報社のインタビューで、「データを(漁業者らに)示しながら、納得するまで(??)待つしかない」と苦しい胸の内を明かした。 今月4日には、水処理施設からストロンチウムを含む約150リットルの汚染水が海洋に流出し、漁業者の心情を逆なでした。 年明けからの操業再開に向けた準備を進めている県漁連の新妻芳弘専務理事は「海に出る準備をしているのに、水を差された形だ。東電は何度、漁業者を裏切れば気が済むのか」と語気を強める。
〈背景〉
政府は16日、東京電力福島第一原発1~3号機の原子炉圧力容器底部の温度が100度以下の安定的な状態となる「冷温停止」と、放射性物質の大幅な放出抑制を達成したとして事故収束の「ステップ2」完了を宣言した。使用済み燃料プールにある燃料の取り出しや、原子炉の損傷部分の修復、遠隔操作による破損した燃料回収など廃炉に向けた工程と期間を盛り込んだ最長40年のロードマップを年内に公表予定で、来年から本格的な作業に入る。(福島民報)
・高濃度汚染水、数トンが隣接のトレンチに流出か
東京電力は19日、福島第一原子力発電所の集中廃棄物処理施設の地下に貯蔵している高濃度汚染水の一部が、隣接するトレンチ(電線用地下トンネル)に流出したとみられると発表した。
18日にトレンチに約230トンの水がたまっているのが見つかり、放射性物質の濃度の分析から、汚染水がトレンチに漏れだし、そこに地下水や雨水が流れ込んだと判断した。計算上、漏れた量は数トン程度の可能性が高い。同原発を巡っては、今月16日、野田首相が事故収束を宣言したばかり。
東電では、地下水の水位の方がトレンチ側より高いことから、トレンチ外へ流出する心配はないとしている。集中廃棄物処理施設とトレンチの接続部は、4月の止水工事でふさがれており、最後に点検が行われたのは6月だった。今後、トレンチの水位を監視しながら対応を検討する。(読売)
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「放射能汚染」という表現を私たちは使う。しかし、国の辞書、つまり法律用語としてはこのような表現はしない。「放射線障害」と言う。「汚染」が「障害」に変わってしまうのだ。
⇒「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」
・(廃棄に関する確認)
第十九条の二 許可届出使用者及び許可廃棄業者は、放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物を工場又は事業所の外において廃棄する場合において、放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物による放射線障害の防止のため特に必要がある場合として政令で定める場合に該当するときは、その廃棄に関する措置が前条第二項の技術上の基準に適合することについて、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣の確認を受けなければならない。
2 廃棄物埋設をしようとする許可廃棄業者は、その都度、当該廃棄物埋設において講ずる措置が前条第一項の技術上の基準に適合することについて、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣又は文部科学大臣の登録を受けた者(以下「登録埋設確認機関」という。)の確認(以下「埋設確認」という。)を受けなければならない。
・(海洋投棄の制限)
第三十条の二 放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物は、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、海洋投棄をしてはならない。
一 許可届出使用者又は許可廃棄業者が第十九条の二第一項の規定による確認を受けた場合
二 人命又は船舶、航空機若しくは人工海洋構築物の安全を確保するためやむを得ない場合
2 前項の「海洋投棄」とは、船舶、航空機若しくは人工海洋構築物から海洋に物を廃棄すること又は船舶若しくは人工海洋構築物において廃棄する目的で物を燃焼させることをいう。
ただし、船舶、航空機若しくは人工海洋構築物から海洋に当該船舶、航空機若しくは人工海洋構築物及びこれらの設備の運用に伴つて生ずる物を廃棄すること又は船舶若しくは人工海洋構築物において廃棄する目的で当該船舶若しくは人工海洋構築物及びこれらの設備の運用に伴つて生ずる物を燃焼させることを除く。
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この国の「原子力行政」を成り立たせている法体系は、「霞が関文学」の駆使によって、国と原発産業にのみ都合良く文言化されている。それは、原発災害時における、放射能汚染を伴う生態系破壊、二次災害、三次災害から私たちの「生命・財産」を守らない。自然を守らない。守らなくとも国と原発企業は法的に免罪される体系になっているのである。
この「体系」に切り込み、悪法を改定すること、「霞が関文学」の焼き直しにならぬようにすることが問われている。「法医学」というフィールドがあるが、「脱原発法学」とでもいった新たなフィールドを開拓する必要がある。これも次世代の脱原発派とその運動に課せられている最重要課題の一つである。 そういう問題意識を持つことが非常に重要だと私は思う。