2011年12月22日木曜日

廃炉は脱原発に非ず

廃炉は脱原発に非ず


 停止中原発の再稼働先送りが再稼働中止ではないように、再稼働中止は永久停止ではない。そして永久停止は廃炉ではない。
 さらに言えば、福島第一原発1~4号機の「廃炉」が「福島第一原子力発電所」を廃止するのではないことを考えればわかるように、個々の原発の原子炉の廃炉それ自体は、原発廃絶という意味における脱原発とは無関係である。 もちろん、これらはすべて脱原発に向けた重要な一歩ではある。しかしその次の一歩の距離は果てしなく長く、困難だ。
 私はあたりまえのことを、あたりまえのこととして語っているにすぎないが、誤解と混乱、幻想と思い込みを排したところから、運動の論理を組み立て直すことが必要である。


 まず、茨城新聞より、東海第2をめぐる動き。
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東海第2廃炉求める意見書可決 土浦市議会、全会一致
 土浦市議会は20日、日本原子力発電東海第2原発の再稼働中止(断念)と廃炉を求める意見書案を全会一致で可決した。
 意見書は、運転開始から30年以上が経過し老朽化する同原発が東日本大震災で大きな被害を受けており、今後事故が起これば関東全域に予測不能で甚大な被害を及ぼすと指摘。再稼働を認めないこと、事業者である原電に廃炉を求めることを国と関係機関に要請している。子どもたちを放射能から守る会、生活クラブ茨城土浦支部、新日本婦人の会土浦支部から請願が提出されていた。

原子力安全協定の広域化を 県央9首長懇、県に申し入れへ
 水戸市やひたちなか市など県央9市町村の首長で構成する「県央地域首長懇話会」は28日、福島第1原発事故を受け、東海村などに立地する原子力事業者と県、関係市町村が締結する「原子力安全協定」の広域化と枠組みの見直しを橋本昌知事に申し入れる。
要求するのは、水戸、笠間、ひたちなか、那珂、小美玉、茨城、大洗、城里、東海の9市町村。申し入れでは、東海第2原発から原則20キロ圏内を、新たに原発の「所在エリア」に設定し、施設の新増設や原発の運転再開に関する事前協議に参加できる権限などを求める。これまでは「所在」「隣接」「隣々接」の順に権限が強かった。
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 次に、河北新報より、青森県の動き。
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原子力施設安全対策 知事 週明けにも了承か 青森
 福島第1原発事故を受け、青森県内の原子力施設の各事業者が示した安全対策について、三村申吾知事は21日、施設が立地する4市町村の首長と県議会各会派から賛否の意見を聞いた。首長4人と最大会派の自民党、民主党が対策を容認した。県が安全対策の是非を判断する手続きは終了。三村知事が週明けにも対策を了承する公算が大きくなった。

 立地市町村のむつ市、大間町、東通村、六ケ所村の首長4人は県庁で三村知事らと会談し、安全対策を認めた。電源開発大間原発を抱える大間町の金沢満春町長は「国のエネルギー政策を理解し、立地に協力してきた住民の思いは揺るがない」と述べた。
 県議会の自民党は、原子力防災対策の見直しなどを国に要請することを条件に安全対策を容認する意見書を知事に提出。与党系の青和会も賛成意見を伝えた。民主党は「エネルギーの安全保障を確立する観点からも県内の原子力施設の必要性は明らかだ」として了承した。

 一方、公明・健政会は施設の安全対策を妥当とした県の第三者委員会の結論を「対症療法にとどまり、現時点で安全が確保されたとは言い難い」と指摘。「会派の意見を求める前に、県が見解を表明するべきだ」と県の対応を批判した。 共産党県議団は原発事故が収束せず、原因が示されていないなどとして、県に「安全宣言」を出さないよう申し入れた。無所属県議2人のうち1人は反対し、残る1人は意見を出さなかった。

 意見聴取後、三村知事は最終判断について「少し時間をいただきたい」と報道陣に述べた。 県が安全対策を了承すれば、日本原燃は中断している使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の高レベル放射性廃液ガラス固化試験を再開する見通し。大間原発と、リサイクル燃料貯蔵の使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)も、工事再開に向けた環境が整う。 東北電力東通原発1号機(東通村)は、国から指示された安全評価の作業中で、再稼働時期は見通せていない。
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 続きは、時間があれば、南相馬で考えることにしよう。

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3号機冷却装置、破損恐れ止める=代替注水の切り替え失敗―水素爆発前日・福島第1
 東京電力福島第1原発事故で、3号機の緊急炉心冷却装置(ECCS)の一つで、水素爆発前日の3月13日未明に動作が止まった高圧注水系(HPCI)について、東電は22日、HPCIが破損し、放射性物質を含んだ蒸気が原子炉建屋内に漏れることを恐れて、中央制御室の判断で同装置を止めたことを明らかにした。  調査結果は同日、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。(時事)
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 また、これまでの「証言」や「報告」と矛盾することを東電が言いだした。
 「中央制御室の判断」とは誰(と誰と誰・・・)の判断なのか?
 電源が止まった状態で、「緊急炉心冷却装置」を止めてしまえば、メルトダウン→核爆発(「水素爆発」?)→メルトスルーは不可避である。「HPCIが破損し、放射性物質を含んだ蒸気が原子炉建屋内に漏れる」云々、それを「恐れる」云々のレベルの問題ではない。
 東電も国も、うそをつかないこと。正直にすべてを明らかにすること。
 それがすべての出発点である。