原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも
脱原発の「牙城」は地方から落とされてゆく。全国的な運動の広がりは、立地自治体(道県・市町村)レベルから崩されてゆく。 これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
だから、首都圏や大都市圏を始め、それぞれの地域の脱原発派は、諸個人の生活空間を超えて、原発再稼働・新規建設にGO!サインを出そうとする全国各地の立地自治体の行政や議会に対し、それぞれに可能なあらゆる手段を尽くして、ローカルに介入にする必要がある・・・。 そういったことを、この夏、何度か書いた記憶がある。たったひとりでも、海外からでもできることは、いくらでもあるのだと。
最近の立地自治体の動きの中で、特に注目したいのは青森県だ。
下の奥羽新報の記事にあるように、知事や立地自治体の首長たちは、原発再稼働・工事再開の判断を事業主体たる電源開発・日本原燃・東北電力・東電に丸投げし、自らの行政責任を回避しようとしている。地域住民の生活の「安全・安心」を顧みず、旧態依然の原発マネーへの立地自治体の屈服である。
それを背後で操作しているのが野田政権・経産官僚だ。「国策・民営」を法的に正当化する原発関連の現行法体系を口実とした国と自治体の行政責任の放棄が、再び野田政権の下で行われようとしている。
そしてさらに、こうした国と自治体の政治的・行政的無責任、原発企業の社会的無責任に対し、「科学的知見」の名の下にお墨付きを与え、自らその知恵袋となっているのが、旧帝大7大学を中軸とする国立大学の「専門家」たちだ。「恥を知る」という能力が、人間には本当に備わっているのだろうか?
歴史はくり返される。二度目は悪夢として。
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・大間原発工事 再開に国関与せず
電源開発(Jパワー)が大間町に建設を計画している大間原発(工事休止中)について、経済産業省資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の森本英雄課長は7日、工事再開の判断に関し「(国として)規制上の手続きはない」と述べ、判断はあくまでも事業者が行うもの-との考えを強調した。
同日県庁で開かれた県議会原子力・エネルギー対策特別委員会で答弁した。
建設中の原発をめぐっては、野田佳彦首相が「個々の案件ごとに地元の意向なども踏まえて判断する」としており、一部建設容認を示唆している。
国は現在、原子力発電を含むエネルギー政策の見直し議論を進めているが、森本課長は「政策を検討しているからといって、工事再開中止を要請することはない」と断言。「地元に説明を行い、理解を得た上で、事業者が判断すること」と繰り返した。
大間原発は東日本大震災の発生以降、本体工事を中断している。同社の日野稔副社長は特別委で「工事再開は県や地元の理解を得て当社が総合的に判断する。まずは、安全強化対策を着実に実施し、信頼をいただくことが何にも増して重要だと考えている」と説明した。(奥羽日報)
⇒「大間原発の建設凍結 国に要請へ 市議会で函館市長」(北海道新聞)
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「「揺れは想定内、津波は想定外」?? --東電の「中間報告書」と「検証委員会」の無責任」の中で、「原発の安全神話」から私たちが目覚め、解放されるだけでは「ポスト3・11における原発推進の論理」、すなわち「福島第一原発事故は二度と繰り返さない。ハード面とソフト面における万全の「過酷事故対策」を整備する」という論理に対抗することはできないだろう、と書いた。 まさにこのことが今、青森を始め全国各地で問われている。
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・原子力事業者 施設再開は自主判断
県内原子力施設の安全対策を妥当とした県原子力安全対策検証委員会の判断に関する県議会「原子力・エネルギー対策特別委員会」(神山久志委員長)の質疑が7日、終了した。各委員は、検証結果や今後の対応について技術的な観点も含め、検証委員や事業者らの意見をただした。
三村申吾知事は安全対策の是非を判断する時期について「県議会や市町村の意見も踏まえて総合的に判断する」(→意味不明)と従来の姿勢を強調。各事業者は試験や工事の再開について自主的に判断する考えを示した。 県庁で開かれた特別委では、
・現在運転休止中の東北電力東通原発、
・試験中断中の日本原燃六ケ所再処理工場、
・建設休止中の電源開発(Jパワー)大間原発、
・リサイクル燃料貯蔵使用済み核燃料中間貯蔵施設、
・東京電力東通原発の安全対策に関する検証結果
などについて質疑。検証委の田中知委員長(東京大学大学院教授)ら検証委のメンバー、国や事業者幹部ら29人が参考人として出席した。
委員の質問は、県内各施設の再開時期や県の関与などに集中した。東北電力東通原発の再稼働について、三村知事は「ストレステスト(耐性評価)を踏まえ、政治的な判断をするのは国」と強調。他の施設について、県エネルギー総合対策局の阿部耕造局長は「工事や試験は自主的に事業者が中断している。再開については、事業者がさまざまな状況を踏まえて総合的に判断する」と答えた。
各事業者も、県の姿勢に合わせるかのように「社として総合的に(再開を)判断する」とそろって答弁。経済産業省原子力安全・保安院の山田知穂・原子力発電安全審査課長は「国として安全上の観点から停止する理由はない」として事業者が最終的に判断する-とした。ただ、東通原発の再稼働について「地元の理解を得られているか確認した上で政治レベルで判断する」と立地自治体の意向も考慮する姿勢だ。
一方で、検証委が「完全なる安全はない」と県への報告書に記した(!!!)ことに、高橋修一委員(自民)は「技術論としては理解するが、地元としてはそういう施設なら再開を受け入れられないという思いが募る。事業者は完全に安全な施設と明言できるのか」と質問。安藤晴美委員(共産)は、施設再開判断に関与しない県の姿勢を批判した。
県は8日に、青森市内で市町村長会議を開き、市町村長や議会関係者から意見聴取するほか、特別委の議論を踏まえ、県議会各会派からも意見を聞く方針だ。三村知事は月内にも安全対策の妥当性を判断するとみられる。
◇解説/知事発言修正は責任回避
県が設置した外部検証委の検証結果を“揉(も)む”県議会特別委が終了。三村申吾知事は月内にも県内原子力施設の安全対策の是非を判断する。しかし、知事自身が最近になって各施設の工事や試験再開、原発再稼働については「事業者が自主的に止めている」「県が判断する立場ではない」などと軌道修正しており、結局は各事業者に判断を委ねたにすぎない。
原発再稼働などに“お墨付き”を与えるという意味合いが濃かった検証委の存在意義も、国がストレステスト(耐性評価)の実施を前提とするなど、原子力をめぐる情勢が二転三転するにつれて薄れたと言える。
原子力施設の工事や試験再開に、県の同意を必要とする法的根拠はない。だが、原子力施設の立地をめぐっては、これまで県はじめ地元市町村の意向が強く反映された歴史がある。
三村知事は以前から県民の安全安心確保を前提に原子力政策に協力してきた。一方、今回の安全対策に関する県民説明会については、7月に既に開催したとして開かない考えだ。
施設の工事、試験再開は事業者の判断に委ねられるが、国のエネルギー政策の方向が定まっていない状況で、各事業者が独断で再開、再稼働を判断することは事実上困難で、しかも世論の反発を招きかねない。知事の軌道修正発言は、落としどころを見失った検証委の役割を事業者に丸投げしたかのようで責任回避に映る。(東奥日報)
・検証委の結果に市町村長異論なし
県内原子力施設の安全対策を妥当とした県原子力安全対策検証委員会の判断を踏まえ、県は8日、県内市町村長に対する説明会を青森市のホテル青森で開いた。原子力施設が立地する下北地域の首長は、運転・工事休止中の原発の再開や避難道路の整備を主張。立地地域外の首長からは安全対策の徹底などを求める声が出た。検証結果に対する異論はなく、各市町村長らも“お墨付き”を与えた形となった。(東奥日報)
・原発工事再開に慎重論も/市町村長説明会
青森県は8日、県原子力安全対策検証委員会の検証結果に関する市町村長説明会を、青森市内で開いた。大間町で建設中の大間原発の工事再開をめぐり、隣接する風間浦村の飯田浩一村長は避難道路整備を訴え、「安心、安全が得られないうちに(工事を)やるのは不安だ」と慎重論を唱えた。一方、原発が立地する同町の金澤満春町長と東通村の越善靖夫村長は、従来通り原子力政策推進の必要性を強調した。 (デーリー東北)
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青森県原子力安全対策検証委員会
・設置要綱(趣旨)
第1 県は、県内の原子力施設に係る安全確保について、県民の安全・安心のために、国及び事業者が行う安全対策を独自に厳しく検証することが必要であることから、専門家による県独自の検証を行うため、青森県原子力安全対策検証委員会を設置する。
・出光一哉(九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学専攻教授)
・今村文彦(東北大学大学院工学研究科教授)
・片岡俊一(弘前大学大学院理工学研究科准教授)
・片田敏孝(群馬大学大学院教授 広域首都圏防災研究センター長)
・釜江克宏(京都大学原子炉実験所附属安全原子力システム研究センター教授 兼 京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー社会・環境科学専攻教授)
・神田玲子(放射線医学総合研究所放射線防護研究センター上席研究員)
・柴田鉄治(科学ジャーナリスト・元朝日新聞論説委員)
・杉山憲一郎(北海道大学大学院工学研究院教授)
・滝田貢(八戸工業大学大学院工学研究科建築工学専攻教授)
・田中知(東京大学大学院工学系研究科教授)⇒委員長
・谷口武俊((財)電力中央研究所研究参事)
・本間俊充(日本原子力研究開発機構安全研究センター副センター長)
・山口彰(大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻教授)
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いったいこの面々で、「県民の安全・安心のために、国及び事業者が行う安全対策を独自に厳しく検証する」ことが可能だろうか?
「検証委」の委員長たる田中教授は、安全・保安院に10月設置された全国の原発の「安全対策の妥当性」を議論する専門家による「意見聴取会」のメンバーであるが、来年1月に「中間報告」が、3月までには「最終報告」をまとめるというこの「意見聴取会」の内容も、読まなくとも透けて見えるようだ。( なお、「東大原子力グループ」を代表しながら世界の原子力産業を「先導」するという田中教授の紹介については「福島第一原発は「止まった」か?」の下段を参照してほしい。)
青森県民や道南の人々は、なぜ上の「意見聴取会」による「最終報告書」がまとまる前に県の「検証委」が結論を出せるのか、このことをまず田中教授に質すべきだろう。
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・原発検査の抜本見直しを 独法評価委、経産相に要請
総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は9日、ミスが相次いで発覚した原子力安全基盤機構の原発検査業務について「国民の期待に応えてきたとは言い難い」として、抜本的な見直しを求める通知を所管する枝野幸男経済産業相に出した。
通知は、機構が原子力事業者の出身者を検査員として多数採用していることに「検査の中立性、公平性に疑念が生じている」と指摘。事業者に頼らずに検査員を育成するよう求めた。(共同)
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「評価委員会」が「通知」するまでもなく、こんなことはかねてより指摘されてきたことである。
青森県、立地自治体は「検証委」の報告を、公開の場で、抜本的に再検証すべきである。検査のみならず、検証の「中立性、公平性に疑念が生じている」し、その存在自体が「県民の期待に応えてきたとは言い難い」。 はっきり言って、無茶苦茶である。
さらに、今日(12/10)の毎日新聞(「原発:耐震指針改定へ…「海外の大津波も考慮を」」)によれば、「原発の安全審査の基準となる耐震設計審査指針」の改定を議論する内閣府原子力安全委員会の小委員会は、「原発ごとに最大規模の津波を想定する際、周辺地盤の調査だけでなく、海外で起きた大規模津波も考慮するよう求める方針を固め」、「12日の小委員会で指針改定案をまとめる予定」だという。
「現行指針では「極めてまれに発生する可能性がある津波によっても、安全機能が重大な影響を受けない」としか規定がない」。これに対し、「改定案では、各原発周辺の地震動調査に基づいて規模を想定するだけでは「限界がある」として・・・海外で起きた地震に伴って発生する「遠地津波」も考慮するよう規定する」。
「一方、想定を超えた津波が来た場合の対応については、指針ではなく電力各社に義務づける「過酷事故対策」で、機器、部屋、建屋の各段階で止水対策などを講じるよう事業者に求める方向で、安全委が最終調整を進めている」。
要するに、青森県(および立地自治体)は、最低限、これからまとめられる国の新指針に適合するものとして、
・現在運転休止中の東北電力東通原発、
・試験中断中の日本原燃六ケ所再処理工場、
・建設休止中の電源開発(Jパワー)大間原発、
・リサイクル燃料貯蔵使用済み核燃料中間貯蔵施設、
・東京電力東通原発の安全対策に関する検証結果、
これらすべての「安全対策」を一から検証し直す行政責任を負っている。 そしてこのことは必然的に、三村知事が「月内にも安全対策の妥当性を判断」することの不可能性を意味することになる。
知事や立地自治体の首長としては、来週末にも政府が発表するであろう「冷温停止」の政治宣言を受け、「安全対策の妥当性」を政治宣言するつもりだったのかも知れない。が、間違ってもそんなことが起らぬよう、青森県に対するモニタリングを、私たちはさらに厳しくする必要があるだろう。
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・東海第二原発再稼働 村、周辺自治体と是非協議へ
茨城県東海村は村内にある定期検査中の東海第二原発の再稼働の是非などを周辺自治体と話し合う懇談会を来年一月にも設置し、議論をスタートさせる方針を明らかにした。七日の村議会で川崎篤子(共産)、豊島寛一(光風会)両氏の一般質問に村側が答えた。(井上靖史)
実務責任者の前田豊・同村理事によると、これまでに隣接する日立、ひたちなか、那珂、常陸太田の各市と同原発のおおむね二〇キロ圏に入る水戸市が参加を表明。今後さらに増える可能性がある。
福島第一原発事故では影響が立地自治体を超えて広範囲に及んだことから、東海第二原発も広域で対応を考える必要があるとの意見で一致した。懇談会は首長で構成し、事務局は東海村に置く。必要に応じて事業者の日本原子力発電や国から説明を求めるという。
議会休憩中に取材に応じた村上達也村長は懇談会を「無理に意見を統一するものではない。最終的な判断は各自治体がすればいい」とし、原発に対する問題点などの話し合いの場とする意向だ。ここで各自治体の足並みがそろう可能性もある。東海村が検討している研究機関などを集約した「原子力センター構想」での連携も議題にしたいという。(東京新聞)
・東海第2原発、圧力容器から22トン漏水 作業ミスか「環境影響ない」
日本原子力発電(原電)は(10月)26日、定期検査中の東海第2原発で、原子炉圧力容器の下部にある制御棒を出し入れする駆動装置から放射性物質を含む水が漏れたと発表した。漏えいは約4時間にわたり、原電の推計では原子炉内の冷却水約22・4トンが格納容器内に流れ出た。周辺環境への影響はなかった。作業員4人が水をかぶったが、被ばくは確認されていない。
定期検査に伴い制御棒を取り外して分解点検する作業中で、原電は、同装置から水漏れを防ぐ鉄板を取り外す際、作業員が外す箇所を間違えた可能性が高いと見て、詳しく原因を調べている。
原電によると、同日午前10時20分ごろ、格納容器内の廃液を回収する設備の水位上昇を示す警報が鳴り、運転員が制御棒駆動装置の下端部1カ所から水が漏れているのを確認。作業員の1人が鉄板のねじを外した箇所のパッキンが緩み、水が漏れ出たという。 使用済み燃料プールに移していた制御棒1本を同装置に戻して穴をふさいだ後、ねじを締め直し、午後2時14分に漏水停止を確認。漏水はすべて廃液処理系の設備で回収した。水に含まれる放射性物質は1立方センチメートル当たり0・4ベクレルと微量。定期検査中のため、原子炉の燃料は使用済み燃料プールに移された状態だったが、水位の変動や冷却機能への影響はなかった。
同装置は制御棒の挿入により水を通さない仕組みで、制御棒を取り外す際は漏水防止用の鉄板を取り付ける。通常の手順では制御棒を戻した後に鉄板を外すが、作業員は誤って制御棒が挿入されていない別の箇所の鉄板を外したと見られる。 原電は同日、県庁で会見し「原子炉からの漏えいであり、重大な問題と受け止めている」と謝罪。来年8月上旬まで延長が決まっている定期検査の工程には影響しないとの見通しを示した。県と東海村など周辺7市町村は同日、東海第2原発を立ち入り調査した。(茨城新聞)
・浪江・小高原発中止決議案を可決 南相馬市議会全会一致
5日開会した南相馬市の12月定例議会で、市議会の東日本大震災及び原発事故対策調査特別委員会は東北電力が計画している浪江・小高原子力発電所の建設中止と県内全ての原発の廃炉を求める決議案を提出。決議案は全会一致で原案通り可決した。
市の合併協定書に「電力需要、社会環境の変化を踏まえ地域住民の安全確保と環境保全に最大限留意しながら関係機関と検討する」とあることから、渡部寛一委員長は「東京電力福島第一原発事故後、立地を受け入れる要素はない」と決議案を読み上げた。 市は国の原発関連交付金を辞退するなど、脱原発を表明している。議会で決議案が可決されたことで、市の脱原発の姿勢を明確にした。(福島民報)
・南相馬市も脱原発 (日テレnews24より抜粋)
――浪江小高原発は、強い反対の声もありながら、用地買収が着々と進められていた。その背景にあったのは、「原発マネー」と「安全神話」だった。
私たちがむかったのは、市内の仮設住宅。 「人間の欲だ。そういうのがでていてね…」
こう語るのは、市内・小高区から避難する兼業農家の鈴木敬徳さん。 「(当時・農協の)組合員の総会があったんだよ。そのときに原発建設反対の緊急動議が出された。そこで満場一致で反対が出された」 しかし、いつしか多くの人たちの気持ちに変化が出ていた。
「現実に声を上げて反対ということは酒飲み話では出てきたが普通の会合であまり聞かない話」
いまや、多くの人が避難する原因になってしまった原発。それがなぜ、反対から誘致に傾いていったのでしょうか。 「浜通り、相双地区がこれといった企業もなく働く場所もなかった時代に、東京電力が原発を作ったらものすごい雇用の創出になった。それがみんなね、このへんは出稼ぎをやっていた、出稼ぎをしなくてそれよりもいい賃金がとれる、きそって東電の建設に従事していた」
そんな原発をわが町にも、そんな思いだったのかもしれない。鈴木さんも当時、原発の建設工事に従事した。
「私も日雇いで通っていた、そのときの安全神話は100パーセント信用していた」
「原発マネー」と「安全神話」でいつしか原発誘致に傾いていったのだ。「いまの東京電力のあの状態をみれば、いまさら自分のそばに原発をつくるのはかんがえられない。放射能におわれて、私たちは避難しているわけだから」 そして、提出された決議案は可決された。
*南相馬市・桜井市長インタビュー
「市民の皆さんが一日も早く戻るために、原発の廃炉があって、歴史的に先達から受け継いだ土地に戻れることがなにより、きょうの議決は歴史的意味がある」
脱原発の動きが広がる県内。 東北電力では「浪江・小高原発の開発について見通しをいう状況にはない」としている。