2011年12月28日水曜日

相馬と南相馬で考えたこと

 相馬と南相馬で考えたこと


 クリスマスの連休に、イスラーム教徒の医師の一行に同行した、とあるNGOのスタッフとともに相馬と南相馬に入った。 医師は人々の話をききながら、人々を診て回った。NGOのスタッフはこれから何をすべきかを考えていた。 私にとっては、これから自分が何を語り、書くべきか/何を語ってはいけないか、書いてはいけないかを考える三日間となった。 〈3・11以後〉を考える、とても濃密な三日間となった。

 相馬と南相馬の仮設住宅を訪れた。震災後最初に建てられたところ、最も新しいところを含め、5カ所回った。 市役所や保健施設に行った。休日にもかかわらず、私たちを歓待してくれた「センター長」の肩書を持つ人から懇切丁寧な説明を受けた。 穏やかな面持ちと静かな口調で国を痛烈に批判した消防団の人、自治体行政を批判した仮設に住む漁師の話も聞くことができた。 どれか写真をと探してみたが、どれもこれも人物が特定できるものばかりで紹介できないのが残念である。

 医師と話しながら、突然泣き出した人、おとなの心の動きを読むように楽しげに振る舞う子どもたちの姿が印象に残っている。 しかし、それ以上に胸を打った言葉がある。ある居酒屋の女将が言った「忘れないでください」という一言だ。「浜通りのことを忘れないでほしい」・・・。女将の言葉にはそういう思いが込められていた。
 私は、居酒屋の女将から「忘れないでください」と言われた経験を持たない。 さすがの能天気な私も、この言葉が私個人に投げかけているその意味を、考えずにはいられなくなった。

 「反/脱原発」を語る私たちの多くも、「浜通り」に、福島に生活と人生がある/あった人々のことを忘れかけてはいないだろうか。 私たちは、どれだけ「医師と話しながら、突然泣き出した人、おとなの心の動きを読むように楽しげに振る舞う子どもたち」とつながっているだろう。 「たしかに女将が言う通りなのかもしれない」、と思った。

⇒「相馬と南相馬で考えたこと(2)」につづく

・・・
福島県知事:第1、第2原発10基廃炉求める 東電に
 福島県の佐藤雄平知事は27日、県庁で東京電力の西沢俊夫社長と会談し、県内にある福島第1、第2両原発全10基の廃炉を求めた。西沢社長は廃炉に言及せず、会談後も報道陣の取材を拒否して県庁を離れた。
 西沢社長は、福島第1原発事故収束に向けた工程表のステップ2完了報告のため県を訪問。佐藤知事は「原子力に頼らない社会を福島県はつくる。県内全基の廃炉を求めていく」と強調した。西沢社長は「安全確保や損害賠償、除染にきちっと対応していきたい」と述べるにとどまった。 県は28日、東日本大震災と同原発事故を受けての県復興計画を正式決定する方針で、県内全基の廃炉を明記した上で、基本理念に「原子力に依存しない社会」を掲げる。【毎日、関雄輔】
⇒「で、私たちは福島第一5、6号機と第二原発をどうするのか?

原発安全軽視 国と東電のもたれ合いに県民怒り
 「原発事故の原因は、国と東京電力のもたれ合いにあったのではないのか」。政府の東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会が26日発表した中間報告には、国と東電がともに津波による過酷事故を想定せず、原発事故への必要な対策を講じなかったとの内容が盛り込まれたほか、事故後も政権中枢と東電間などに情報共有の不備があったと指摘した。十分な対策や、事故後の対応がなされていれば、事故がここまで拡大していなかった可能性もある。原発立地地域の住民や首長は、国と東電への不信感をさらに募らせている。

 双葉郡町村会長を務める双葉町の井戸川克隆町長は、中間報告で明らかになった東京電力と原子力安全・保安院のもたれ合いの構図について「とんでもないことで、許せない」と憤慨。国が双葉郡内への設置を模索している放射性廃棄物の中間貯蔵施設について「このような国の体質では、地元の理解はない」と話し、「国に対し『今後、双葉郡では何も進まない』ことを伝えたい」と設置の受け入れを拒否する考えを明らかにした。(福島民友)

迅速な賠償へ対応を 県が23市町村に協力要請
 東京電力福島第1原発事故の自主避難や精神的損害への賠償指針が示されたことを受け、県は26日、県庁で対象となった県内23市町村の担当者会議を開き、約150万人とされる対象者への迅速な賠償実施に向けて、住民情報の提供や、住民票発行業務の簡便化などの対策の検討を要請した。
 自主避難などの損害賠償では、請求書の発行や、3月11日時点の所在確認などのため、住民票などの基礎情報が必要になる見通し。ただ賠償を実施する東電には住民情報がなく、迅速な賠償に障害になる可能性が高い。 このため県は市町村の協力を得ることで、速やかな賠償につなげる考え。(福島民友)

50キロ圏全住民に賠償案 原賠紛争審 市町村ごと指定
 政府の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久学習院大教授)は(12月)5日、東京電力の福島第一原発から半径50キロ圏にある自治体の住民まで、損害賠償の対象を広げる方針を固めた。検討していた自主避難者への賠償に加え、とどまった人もすべて対象とする。6日にも正式に決め、賠償の目安となる指針に盛り込む。
 対象地域は福島県内の市町村ごとに指定する。原発から半径20キロ圏内の警戒区域や、計画的避難区域、緊急時避難準備区域(9月末で解除)の周辺にあり、半径50キロの円が一部でもかかる市町村は、原則として自治体の全域が対象となる。
 具体的には、相馬市、福島市、伊達市、二本松市、本宮市、郡山市、いわき市、三春町、小野町などが対象となる見通し。対象者は最大で100万人規模になるとみられている。また、50キロ圏外でも局地的に放射線量が高い自治体があるため、賠償範囲はさらに広がる可能性がある。 (朝日)

仮置き場、福島県11市町村のみ 難航する除染ごみ保管先
 東京電力福島第1原発事故を受け、除染で出た放射性物質を含む土壌などの廃棄物を市町村内に保管する仮置き場について、福島県内の59市町村のうち、少なくとも1カ所は確保できている自治体が11市町村にとどまることが27日、共同通信の調べで分かった。
 放射線量が低く除染の必要がないなどの理由で仮置き場を設置しないか、検討中の自治体が11市町村あるものの、設置を目指している自治体の多くは、住民の反発で整備が進まず、除染ごみの保管先の確保が難航している実態が浮き彫りとなった。(福島民報)
・・・
・「[青森県]知事、原子力施設の安全対策を了承 再開は事業者の判断」(河北新報)
<責任放棄の印象拭えず 県民に明確な意志表示を>
 三村申吾知事が県内原子力施設の安全対策を認め、国の安全評価の作業が続く東北電力東通原発1号機(東通村)を除いて各施設は事業者の判断で試験や工事の再開に踏み切ることになった。三村知事は「県民の安全を守る立場で総合判断した」と強調したが、自ら再開の是非を示さない手法は責任回避の印象が拭えない
 県は福島第1原発事故を受け、国が認めた事業者の安全対策をうのみにせず、専門家による検証委員会を設置。厳冬期の過酷事故対策の必要性など県特有の課題を見つけ、事業者に追加の対策を講じさせた。その取り組みは評価できる。 だが、三村知事は「(了承したのは)緊急安全対策などで、再開はそれぞれの事業者判断だ」と発言。県として再稼働や工事再開の是非に触れない意向を示した。
 県には再稼働などの是非を決める法的根拠はない。とはいえ、5月の県議会臨時会では、蝦名武副知事(当時)が東通1号機の再稼働を問われ「検証委の提言を聞き、知事が判断していく」と答弁していた。軌道修正は明らかで、県議は「責任放棄だ」と批判する。
 原発の再稼働をめぐっては、国が6月18日に電力各社の安全対策を適切と表明して間もない7月6日に安全評価の実施を打ち出すなど方針が二転三転。最終的に関係閣僚が政治判断する仕組みになった。 休止している原発などの建設についても、国は「工事再開などを止める理由はない」との立場を取る。先行きを見通せず、立地県を振り回す形になった国の責任は重い
 それでも、原発事故を受け、原子力政策に対する県民の視線はかつてなく厳しく、県の意向は重要な意味を持つ。「県民の安全を守る立場」の知事だからこそ、県民は明確な意思表示を求めている。(青森総局・沼田雅佳)

地元の了解得られた/原燃社長
 六ケ所再処理工場で中断しているガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)製造試験の再開を表明した日本原燃の川井吉彦社長は27日、再開を判断した理由として、前日に三村申吾知事が県内原子力施設の緊急安全対策を了承したことを挙げた。川井社長はこれまで、試験再開に当たっては「県など地元の同意が必要」と説明してきたが、知事の了承により「一定の理解を得られたと考えている」と述べた。(東奥日報)
⇒「原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも

泊2号機 揺れ耐性想定の1・86倍 北電が1次評価(北海道新聞)