政府・東電は「冷温停止」前倒し宣言を撤回し、謝罪すべきである
福島第一原発3号機の原子炉建屋1階の最大放射線量が、最大毎時620ミリシーベルトであることが確認された。「格納容器ガス管理システム」設置前の準備調査で計測されたのである。
下の時事通信の記事によると、東電の松本原子力・立地本部長代理は5日の記者会見において、1~3号機への「格納容器ガス管理システム」の設置は年内いっぱいかかる、と言ったという。
これによって、これまで政府・東電が宣言してきた「冷温停止」の年内前倒し宣言は、事実上、破綻した。なぜなら、「格納容器ガス管理システム」の設置と、その後の一定期間におけるガス内の放射性物質の分析抜きに、1~3号機の原子炉の再臨界の可能性がなくなった、とは言えなくなったからだ。
松本氏は、「線量が高いため、設置作業の前には遮蔽(しゃへい)や除染が必要になる」と言ったらしい。しかし、問題はそんなことにあるのではない。問題は、最大毎時620ミリシーベルトの放射線量値が、「小規模」「局所的」であれ、3号機の再臨界の可能性を示唆しているところにある。遮蔽も除染も必要だが、それ以前に放射性物質の早急な分析が求められているのである。
一方、細野原発相は、5日の浜松市内での講演において、2号機で放射性キセノンが検出されたにもかかわらず、「(原子炉の『冷温停止状態』を目指す)工程表の『ステップ2』の年内に達成という方針を変える必要はない」と「強調」したという(読売)。2号機のキセノン検出は、再臨界ではなく自発核分裂だと断定したのは東電であって、最終的な分析結果はまだ出ていないはずだ。
つまり、細野氏は、「冷温停止」前倒し宣言を見直なすべき事態に直面しているのに、その事実に目をそむけ、ただ前倒しを政府として宣言してしまった、ただそれだけの理由で見直さないと強弁しているに過ぎないのである。
私たちは、改めて政府・東電に対して、「冷温停止」前倒し宣言の撤回を要求しなければならないだろう。政府・東電は、面子にこだわらず、宣言を撤回し、国際社会と全国民に謝罪すべきである。
それと同時に、1~3号機の格納容器内の状態について、何を、どこまで把握しているか/何が把握できていないか(何も把握していない?)、そのすべてを情報公開することも、併せて要求しなければならないだろう。
また、新聞メディアを含むマスコミに対しても、東電の発表を鵜呑みし、垂れ流すのではなく、政府・東電がきちんと説明責任を果たすことを強く要求すべきであること、このことを指摘しておかねばならないだろう。
マスコミも私たちも、もう少し事態を深刻に受け止めたほうがよさそうだ。
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11/7
・臨界判定基準見直し 東電方針 キセノン検出を反映
東京電力は六日、福島第一原発の臨界判定基準を見直す方針を明らかにした。経済産業省原子力安全・保安院に先月提出した報告書では、半減期の短い希ガスが検出されないことを条件としていたが、今月二日に2号機で自発核分裂により発生したとみられる放射性キセノンを検出。実態と合わなくなり、修正を余儀なくされた。
二日にキセノンを検出した際、東電は「臨界の可能性がある」と発表したが、その後、検出量が少なかったことなどから「自発核分裂によるものだった」と訂正していた。 東電の川俣晋原子力品質・安全部長は、六日の記者会見で「再臨界かどうかでは、大変心配をおかけした。報告書の改訂版を準備している。その中で見解を示す」と述べた。
十月十七日に保安院に提出していた「中期的安全確保」に関する報告書では、キセノンなど半減期の短い希ガスが検出されないことが臨界判定基準だった。(東京新聞)
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政府(安全・保安院)と東電は.「中期的安全確保の考え方」において、
①放射性物質の放出抑制・管理、
②崩壊熱の適切な除去、
③臨界防止、
④水素爆発防止、の四つを「冷温停止」後の、次のステップに進む際の「安全確保」の4つの指標としていた。つまり、政府・東電の「冷温停止」前倒し宣言は、上の①から④がすでに達成されているという、まったく誤った(能天気な)認識の下で発せられていた、ということである。
もしも2号機のキセノン検出が、「小規模」かつ「局所的」なものであれ臨界状態を示したものであれば、①から③のすべてに政府・東電は失敗したことになり、とてもじゃないが「冷温停止」など程遠いことが歴然となる。
ここで注意しておきたいことは、1、「臨界防止」は①と②の蓄積された結果であって、①から③が独立しているのではないこと、また2、「自発核分裂」は、確かに起こりうるが、その可能性はきわめて低いこと(3%程度と言われている)、である。
1、3号機からのキセノン検出の危機に陥った東電は、当初自らが定義した「臨界要件」からキセノン検出を除外し、あくまでも「冷温停止」前倒し宣言に、姑息に固執する腹積もりらしい。 ここまで来れば、もう「語るに落ちた」というべきで、まともに取り合う気力も萎えてしまう。
しかし、これが「冷温停止」の政治的定義とその政治的宣言のリアリティなのである。
.玄海原発の低レベル廃棄物、青森・六ヶ所村へ
九州電力は6日、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で発生した低レベル放射性廃棄物を日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センター(青森県六ヶ所村)に運ぶための船積みを行った。
九電によると、輸送は昨年に続き、11回目。今回は3、4号機の部品だった金属類やプラスチックなどをセメントで固め、容量200リットルのドラム缶440本分。放射能測定の結果、缶表面は基準値を下回った。
缶は8本ずつ鋼鉄製の輸送容器(縦約3・2メートル、横約1・6メートル、高さ約1・1メートル)に収容し、原発専用港に停泊中の専用輸送船「青栄丸」(約4000トン)にクレーンで積み込んだ。( 読売)
11/6
・3号機建屋内、依然高線量=ガス管理装置、年内設置―福島第1
東京電力福島第1原発事故で、東電は5日、ロボットを使った3号機原子炉建屋1階の調査で、最大毎時620ミリシーベルト(!)の高い線量を確認したと発表した。
調査は、格納容器内の空気を抜き出し、フィルターで浄化した後に外部に放出する「格納容器ガス管理システム」設置準備の一環として実施。2、3日の両日、ロボット3台を使って同建屋1階北東側の床面に散乱するがれきなどを移動させた後に測定した。その結果、作業場所に最も近い地点で毎時215ミリシーベルト、約3メートル離れた地点で同620ミリシーベルトを記録した。
同システムは、格納容器内の気体の採取も可能なため、既に設置されている2号機では水素濃度の確認や核分裂反応を示す半減期の短い放射性物質の検知に用いられており、東電は1、3号機でも設置を急いでいる。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は5日の会見で、「線量が高いため、設置作業の前には遮蔽(しゃへい)や除染が必要になる」と説明。1号機も含め、同システムの設置完了は年内いっぱいかかるとの見通しを示した。
・低線量被曝の健康影響調査…原発相が方針
細野原発相は5日、浜松市内で講演し、東京電力福島第一原子力発電所事故に関連し、放射性物質の年間20ミリ・シーベルト程度の低被曝ひばく線量が健康に及ぼす影響を解明するため、内閣官房に有識者による作業部会を作り調査する方針を明らかにした。
細野氏は「100ミリ・シーベルト以下の影響は学問的にも最終的にすべて解明し切れていない部分がある」と語った。その上で、より広い範囲で影響を調べるため、国際放射線防護委員会(ICRP)が事故収束時の住民の被曝限度の目安としている20ミリ・シーベルト程度の低被曝線量を対象に、内閣官房の放射性物質汚染対策顧問会議の下に作業部会を新設するとした。
また、細野氏は、福島第一原発の事故収束に向けた工程表について、同原発2号機で放射性キセノンが検出されても、「(原子炉の『冷温停止状態』を目指す)工程表の『ステップ2』の年内に達成という方針を変える必要はない」と強調した。(読売)
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・電力2社から計157億円 青森・東通村、使途明かさず
青森県東通村が、村内で原発を立地・建設中の東京電力と東北電力から、約30年間に計約157億円を受け取っていたことが分かった。電力2社は「寄付金」や「負担金」として支出したと説明するが、村はこれらの資金を予算の「雑入」に分類して見えなくしていた。使い道の詳細も明らかにせず、不透明な財政運営を続けていた。
東通原発では、東電と東北電が2基ずつ建設する計画で、東北電は2005年に1号機の運転を開始した。電力2社の資金に、国が原子力施設の立地自治体に支払う電源三法交付金を加えると、02年度は計41億円に達し、村予算の38%を占めた。村は潤沢な原発マネーを使い、94億円を投じた東通小・中学校の建設など施設整備を進めている。
電力2社によると、資金提供は村の要請に応じて1983年度から始まり、2社が受益者となるインフラの整備に充てるための「負担金」と、地域振興向けの「寄付金」として支出。会社関係者によると、東電と東北電の負担割合は2対1。自治体への資金提供では最大規模とみられる。
一方、村はその使途について、道路や上下水道などの整備費、漁業施設の建設費などに充てたとだけ説明し、個別の事業費などを公表していない。(朝日)