2011年12月18日日曜日

「冷温停止」で冷却停止?

「冷温停止」で冷却停止?


 「冷温停止」したはずの福島第一原発1号機の「使用済み核燃料プール」が冷却停止した。
 しかし、それは「一時的」なものであるから、国と東電によれば、1号機は「安全」であり、私たちは「安心」しなければならないそうだ。
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福島第1原発:核燃料プールの冷却装置水漏れ…1号機 (毎日、神保圭作)
 東京電力は17日、福島第1原発1号機の使用済み核燃料プールの冷却装置から水が漏れ、一時的に冷却が停止したと発表した。冷温停止状態の達成が宣言された直後のトラブルだが、松本純一原子力・立地本部長代理は「プールは十分冷えている。(冷温停止状態の達成の)判断を急ぎすぎたということではない」(??)と話した。
 トラブルが発生したのは17日午前10時23分。プールの冷却装置から流量の異常を知らせる警報が発生し、自動停止した。作業員が現場を確認したところ、冷却装置の弁が閉まり切っておらず、約0.1立方メートル(100リットル)の水が漏れていた。作業中にだれかが弁に接触し、緩んだ可能性(??)があるという。
 弁は元の位置に戻され、冷却装置の運転は同日午後1時39分に再開した。プールには392本の燃料があるが、水温は13度で停止前と変化はなかった。また、漏れた水は燃料に直接触れない配管を流れており、放射性物質は含まれていない。
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●「だれかが」って誰? 「可能性」って何? なぜこの程度のことが現場ですぐに確認できないのか? それを東電に追求するのが「報道」の役割ではないのか?
●「水温は13度で停止前と変化はなかった」・・・。(⇒誰の情報? 毎日の神保さんは現場で確認した?)
●「漏れた水は燃料に直接触れない配管」・・・。(⇒どの配管? 配管名は?)
●「放射性物質は含まれていない」・・・。(⇒正しくは、「と、東電は言っている、しかし毎日新聞は確認していない」ではないのか?)

 国と東電が自発的に「冷温停止」を撤回することはありえない。だから、私たち、とりわけ「有識者」「専門家」「メディア」がそのための働きかけをし、国と東電の、ほとんど理性を失いかけていると言ってもよい、その姿勢を改めさせる以外にない。少なくとも、まるで「大本営発表」のような「東電発表」を垂れ流し続ける「報道」の在り方を変えることくらいはできるはずだ。

 何も起こらないことを誰だって祈っている。もう勘弁してほしい。
 しかし、そう断言できる根拠を私たちは持ち合わせていない。
 私たちは、国と東電に「冷温停止」宣言を見直し、抜本的に再検証させる必要がある。
 本当に、今のままでは、マズイしダメだと思うのだ。
 何とかしなければならない。

(再掲)
参考サイト
⇒「東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況」(東京電力)
 「東電は信用できない」と言ってしまえば身も蓋もない。しかし東電とは、「第一原発から放出される放射性物質は東電の「所有物」ではない、だから除染の責任を社として負う義務はない」と平気で言ってのける会社である。5、6号機を「定期検査中・冷温停止」とし、第二原発を「正常」な状態にあるとする東電の「報告」は、何度も眉に唾を付けて読む必要があるのではないか。
 この間、5、6号機の(再)臨界の「可能性」や第二原発も相当のダメージを受けたという情報が飛び交ってきたが、非常に不当なことに東電のデータに問題がある場合、その「立証責任」は私たちの側にあることを再確認しておこう。二日後に迫った「冷温停止」政治宣言の「非妥当性」をめぐる立証責任とともに。 
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 上の東電のサイトで、東電が報告する1~3号機の状態のデータを各自検証してみてほしい。
 私たちのようなド素人でさえ、2号機の状態と比較した場合における、1、3号機、とりわけ1号機の不安定状態がわかるはずだ。

 2
 下の朝日新聞の記事によると、東電の「原発幹部」が、冷却装置「非常用復水器」の電源が失われると「弁が閉じて機能しなくなる構造」を「知らなかった」ことが判明したそうだ。

 「幹部」って誰?
 「食道がん」で入院した人?
 こんな時期に、そんなに都合よく?

 それとも、「冷温停止」政治宣言の翌日に、使用済み核燃燃料プールの冷却が「一時」停止しても、「冷温停止」の「判断を急ぎすぎたということはない」と言っている人?

 朝日新聞は、なぜ実名を公表しないのか?
 なぜ実名を公表するように「検証委」に迫らないのか?
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原発幹部、非常用冷却装置作動と誤解 福島第一1号機
 東京電力福島第一原発の事故で最初に炉心溶融した1号機の冷却装置「非常用復水器」について、電源が失われると弁が閉じて機能しなくなる構造を原発幹部らが知らなかったことが、政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)の調べで分かった。委員会は、機能していると思い込んでいた幹部らの認識不足(??)を問題視している。また、その結果、炉心溶融を早めた可能性があるとみて調べている。

 このほか3号機について、委員会は、緊急時に炉心を冷やすための注水装置を3月13日に停止させたことが事故拡大につながった可能性があるとみている。こうした点をまとめた中間報告を26日に公表する。
 非常用復水器は、外部電源や非常用発電機などの交流電源を使う通常のポンプを動かせなくなった時に炉心を冷やす手段。原子炉圧力容器内の蒸気を冷やして水に戻し、再び炉心に入れるのに使う。装置は2系統あり、水を満たしたタンク内に通した配管に蒸気を送る。直流電源(蓄電池)を失うと、操作不能になって外へ蒸気とともに放射性物質が漏れるのを防ぐため、蒸気を送る配管の弁のうち格納容器の内側の弁が自動的に閉じ、蒸気が通らなくなる設定になっていた。
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 「機能していると思い込んでいた幹部らの認識不足」?
 そういう問題だろうか? これはいったい何だ?
 いま日本で、福島原発「事故」の「調査」で何が起こっているのか?
 これから何が起ころうとしているのか? 

 常識で考えて、「原発幹部」が、冷却装置「非常用復水器」の電源が失われると「弁が閉じて機能しなくなる構造」を「知らなかった」なんてありえるだろうか?
 もしもそうだとしたら、野田政権はそういう東電の「原発幹部」が管理している5、6号機、第二原発、柏崎刈羽も直ちに全号機を稼働停止し、「冷温停止」状態のまま廃炉処分にする検討を開始すべきである。 私たちは、原発の基本構造を知らない東電の「原発幹部」に私たちの生命を預けるわけにはいかない。

⇒「政府「事故調」の「調査」に疑義あり!--3号機の「高圧注水系(HPCI)」は「自動起動」したか?」(12/16)
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原子力安全委の審査委員、ほぼ半数が電力業界から
 内閣府の原子力安全委員会=班目(まだらめ)春樹委員長=で原発の安全を審査する審査委員76人(12月現在)の半数近い37人が、過去5年に、審査される立場にある電力事業者とその関連組織に所属していたことがわかった。安全委への自己申告から明らかになった。
 安全委は電力事業者や国を指導する立場にある。多くの審査委員が、審査する側とされる側の双方に所属していたことになり、線引きがあいまいな実態が浮かんだ。
 審査委員は大学などで原子力や耐震性、放射線を専門とする研究者らで非常勤。安全委は2009年、電力事業者や原子力関係機関、学会、行政庁との関係を審査委員に自己申告させて公開することを決めたが、2年以上公開を怠っていた。朝日新聞が今年11月に指摘し、ホームページで初公開された。
 朝日新聞が分析すると、計32人の審査委員が、安全委の審査を受ける電力事業者・原子力関係機関の設置組織で原子力に関する助言をするメンバーに就いていたり、電力事業者の常勤職員を務めていたりした。(朝日)

経産相、公正性を調査の意向 紛争審委員の報酬問題
 政府の原子力損害賠償紛争審査会の委員2人が、電力業界とつながりが深い日本エネルギー法研究所(東京)から報酬を得ていた問題で、枝野幸男経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、審査会の公正さに影響しているかどうか(??)を調べる考えを示した。  審査会は原発事故に伴う損害賠償の目安をつくっている。枝野氏は「電力会社、東京電力とどの程度利害関係があるかが問題(??)。公正であることと公正らしく見えることが重要だ(??)。公正さを疑わせることがないかどうか、さらに確認したい」(⇒何を?)と述べた。
 一方、審査会を所管する中川正春文部科学相は同日の閣議後会見で「審査会の議論はオープン。そういうシステムがある限り、公正性は保証されている」と述べ、委員の人選に問題はないとの認識を示した。 (朝日)
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 「2人」とは、学習院大教授野村豊弘氏(68)と早大大学院教授大塚直氏(52)。
 「野村氏は4月にエネ法研の理事・所長に就任して以来、毎月20万円程度の固定給を受け取っている。 大塚氏は委員就任前から研究部長の職にあり、毎月20万円の固定給を得ていた。ただ、周囲からの助言で、 6月末に研究部長を辞め、4~6月の報酬を返納」(「紛争審2委員、電力系研究所から報酬 原発事故賠償」(朝日)

⇒「原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令
「第一条  原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)は、委員十人以内で組織する。
2  委員は、人格が高潔であつて、法律、医療又は原子力工学その他の原子力関連技術に関する学識経験を有する者のうちから、文部科学大臣が任命する」

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収束阻む汚染水 タンク増設困難
 東京電力福島第一原発事故の収束工程「ステップ2」完了を受け、細野豪志環境相兼原発事故担当相は17日、福島第一原発を視察し、「(原発の)一定の落ち着きを確認できた」との認識を示した。しかし、原発敷地内の汚染水の増加は止まらず、貯蔵タンクは間もなく満杯になる。タンク増設の用地確保もままならず、汚染水の海洋放出には漁業関係者が強く反発している。八方ふさがりの状態に、専門家は「事故収束作業はいまだ道半ばだ。汚染水が処理できなければ、廃炉作業は進まない」と指摘する。
 「今後は除染、住民の健康管理、1日も早い帰還だ」。細野環境相兼原発事故担当相は視察後、広野町で報道陣に言い切った。地震や津波などあらゆる危険を想定した場合でも「多重の防御策」が取られていることを強調した上で、事故収束作業が順調に進んでいるとの見方を示した。

 しかし、廃炉作業の生命線となる循環注水冷却システムは、つまずきを見せる。建屋などに滞留する汚染水を段階的に浄化して原子炉に注水させる仕組みだが、1日当たり200~500トンの量の汚染水が増え続けている。  建屋地下に雨水や地下水が流れ込み、汚染水が増え続けるためで、改善策がなかなか見つからない。数百個に及ぶ汚染水タンクの許容量は14万トンで、16日現在の貯蔵量は10万6千トン。このままのペースで進めば、来年3月でいっぱいになる計算だ。
 東電はタンクの設置場所を確保するため、雑木林を伐採し、丘陵部をさら地に造成してきた。敷地内に山積するがれきを仮置きするスペースを設ける必要もあり、新たにタンク置き場をつくるのは難しいという。 同社関係者は「タンクを永遠に増やし続けることは不可能だ。早く解決策を見つけなければ、注水できなくなる」と頭を悩ませる。
 汚染水を確実に減らす方法が一つだけある。海洋放出だが、漁業関係者の理解が得られない。 東電は原子炉等規制法における放射性物質の濃度限度を下回った低濃度の汚染水を海洋放出する計画を立てた。西沢俊夫社長は福島民報社のインタビューで、「データを(漁業者らに)示しながら、納得するまで(??)待つしかない」と苦しい胸の内を明かした。  今月4日には、水処理施設からストロンチウムを含む約150リットルの汚染水が海洋に流出し、漁業者の心情を逆なでした。  年明けからの操業再開に向けた準備を進めている県漁連の新妻芳弘専務理事は「海に出る準備をしているのに、水を差された形だ。東電は何度、漁業者を裏切れば気が済むのか」と語気を強める。
〈背景〉
 政府は16日、東京電力福島第一原発1~3号機の原子炉圧力容器底部の温度が100度以下の安定的な状態となる「冷温停止」と、放射性物質の大幅な放出抑制を達成したとして事故収束の「ステップ2」完了を宣言した。使用済み燃料プールにある燃料の取り出しや、原子炉の損傷部分の修復、遠隔操作による破損した燃料回収など廃炉に向けた工程と期間を盛り込んだ最長40年のロードマップを年内に公表予定で、来年から本格的な作業に入る。(福島民報) 

高濃度汚染水、数トンが隣接のトレンチに流出か
 東京電力は19日、福島第一原子力発電所の集中廃棄物処理施設の地下に貯蔵している高濃度汚染水の一部が、隣接するトレンチ(電線用地下トンネル)に流出したとみられると発表した。
 18日にトレンチに約230トンの水がたまっているのが見つかり、放射性物質の濃度の分析から、汚染水がトレンチに漏れだし、そこに地下水や雨水が流れ込んだと判断した。計算上、漏れた量は数トン程度の可能性が高い。同原発を巡っては、今月16日、野田首相が事故収束を宣言したばかり。
 東電では、地下水の水位の方がトレンチ側より高いことから、トレンチ外へ流出する心配はないとしている。集中廃棄物処理施設とトレンチの接続部は、4月の止水工事でふさがれており、最後に点検が行われたのは6月だった。今後、トレンチの水位を監視しながら対応を検討する。(読売)
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 「放射能汚染」という表現を私たちは使う。しかし、国の辞書、つまり法律用語としてはこのような表現はしない。「放射線障害」と言う。「汚染」が「障害」に変わってしまうのだ。
⇒「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律

(廃棄に関する確認)
第十九条の二  許可届出使用者及び許可廃棄業者は、放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物を工場又は事業所の外において廃棄する場合において、放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物による放射線障害の防止のため特に必要がある場合として政令で定める場合に該当するときは、その廃棄に関する措置が前条第二項の技術上の基準に適合することについて、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣の確認を受けなければならない。
2  廃棄物埋設をしようとする許可廃棄業者は、その都度、当該廃棄物埋設において講ずる措置が前条第一項の技術上の基準に適合することについて、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣又は文部科学大臣の登録を受けた者(以下「登録埋設確認機関」という。)の確認(以下「埋設確認」という。)を受けなければならない。

(海洋投棄の制限)
第三十条の二  放射性同位元素又は放射性同位元素によつて汚染された物は、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、海洋投棄をしてはならない。
一  許可届出使用者又は許可廃棄業者が第十九条の二第一項の規定による確認を受けた場合
二  人命又は船舶、航空機若しくは人工海洋構築物の安全を確保するためやむを得ない場合
2  前項の「海洋投棄」とは、船舶、航空機若しくは人工海洋構築物から海洋に物を廃棄すること又は船舶若しくは人工海洋構築物において廃棄する目的で物を燃焼させることをいう。
 ただし、船舶、航空機若しくは人工海洋構築物から海洋に当該船舶、航空機若しくは人工海洋構築物及びこれらの設備の運用に伴つて生ずる物を廃棄すること又は船舶若しくは人工海洋構築物において廃棄する目的で当該船舶若しくは人工海洋構築物及びこれらの設備の運用に伴つて生ずる物を燃焼させることを除く
 ↓
 この国の「原子力行政」を成り立たせている法体系は、「霞が関文学」の駆使によって、国と原発産業にのみ都合良く文言化されている。それは、原発災害時における、放射能汚染を伴う生態系破壊、二次災害、三次災害から私たちの「生命・財産」を守らない。自然を守らない。守らなくとも国と原発企業は法的に免罪される体系になっているのである。
 この「体系」に切り込み、悪法を改定すること、「霞が関文学」の焼き直しにならぬようにすることが問われている。「法医学」というフィールドがあるが、「脱原発法学」とでもいった新たなフィールドを開拓する必要がある。これも次世代の脱原発派とその運動に課せられている最重要課題の一つである。 そういう問題意識を持つことが非常に重要だと私は思う。

2011年12月16日金曜日

「冷温停止」宣言の日に

「冷温停止」宣言の日に

 「冷温停止」?
 これを「宣言」する者たち、これを追認する者たちの
 言葉と存在の耐えられない軽さは何だろう
 
 死んだ者たち、自殺した者たちがいた
 家に帰れない者たち、家で怯えている者たちがいる
 そこにいたし、そこにいる
 「冷温停止」?
 こういう日は、喪に服して、酒宴をするにかぎる
 泣き、そして笑うのだ

 私たちの日常を〈忌中〉にしたのは誰か?
 それがはっきりするまで〈忌中〉は続く
 〈あの日〉を決して忘れられない者たちが存在するかぎり 

 こういう日は、喪に服して、酒宴をするにかぎる 
 ノーマルを装いながら生きるアブノーマルな日常を、泣き、そして笑うのだ

⇒「政府・東電は「冷温停止」前倒し宣言を撤回し、謝罪すべきである」(11/6)
⇒「政府・東電は、なぜ「冷温停止」を急ぐのか?」(10/18)
⇒「村上東海村村長が東海第2原発の廃炉を要望」の「ちなみに」(10/12)
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首相、事故収束を宣言=「冷温停止状態」達成―避難区域見直しへ―福島第1原発
 東京電力福島第1原発事故で、政府は16日、原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)の会議を首相官邸で開いた。原子炉の冷却が安定して放射性物質の放出が大幅に抑えられた「冷温停止状態」が実現し、事故収束に向けた工程表「ステップ2」が完了したとする政府・東電統合対策室の判断を了承。
 野田首相は「冷温停止状態に達し、事故収束に至ったと判断した」と宣言した。
 同原発では3基の原子炉が炉心溶融(メルトダウン)を起こし、溶けた核燃料の状況が確認できない上、放射性物質の外部への放出も完全に止まっていない。避難した周辺住民の帰還のめども立っておらず、反発を呼びそうだ。
 宣言を受け、政府は同原発から半径20キロ圏内の警戒区域と、年間放射線量が20ミリシーベルトを超える計画的避難区域を、新たに3区域に再編する検討に入った。近い将来の帰宅が可能な「解除準備区域」(年間線量20ミリシーベルト未満)、数年間居住が難しい「居住制限区域」(同20ミリシーベルト以上~50ミリシーベルト未満)、数十年間帰宅できない可能性がある「帰還困難区域」(同50ミリシーベルト以上)とする方向で調整している。(時事)

保安院 海への汚染水 ゼロ扱い 
 福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
 原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算(!!)される。(⇒感嘆に値する)
 しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
 これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。 試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
 今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。 さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
 保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。 「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。 今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。(東京新聞)
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 こういう日は、喪に服して、酒宴をするにかぎる。 

〈「被曝避難基準20ミリシーベルト」について〉 
被ばく避難基準:20ミリシーベルト「妥当な値」政府WG
 東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質による低線量被ばくの影響を有識者で検討する政府のワーキンググループ(WG、共同主査・長滝重信長崎大名誉教授、前川和彦東京大名誉教授)は15日、年20ミリシーベルト程度の被ばくによる健康影響は低いとしたうえで、政府の除染方針と同様に年20ミリシーベルトの地域では2年後に年10ミリシーベルト、その後は年5ミリシーベルトを中間的なに目標にすべきだとの提言をまとめた。細野豪志原発事故担当相に提出した。
◇段階的下げ提言
 WGは、国際的な基準を参考に、避難の基準となっている年20ミリシーベルトについて「(喫煙などの)他の発がんリスク要因と比べて十分に低い水準だ」として、科学的に妥当な値だと結論付けた。福島県民の被ばく線量は年20ミリシーベルトを平均的に下回っていると分析する一方、「線量が高い地域から、優先順位をつけて徐々に下げていくべきだ」と提案した。
 また、放射線の影響を受けやすい子供の生活環境を優先して除染し、避難区域でも校庭や園庭は毎時1マイクロシーベルト以下を目指すべきだと訴えたほか、子供が口にする食品に配慮して放射性物質濃度の適切な基準の設定を求めた。チェルノブイリ原発事故(1986年)で増加した子供の甲状腺がんについては「福島第1原発事故では線量が小さく、発がんリスクは非常に小さい」と指摘した。【久野華代】

◇解説…さらに議論、検証が必要
 福島第1原発事故後、健康影響についての明確な科学的証拠がないとされている100ミリシーベルト未満の被ばくを巡っては、食品や除染などさまざまな規制値や基準値が示され、国民の間では混乱も起きた。政府のワーキンググループは政府と東京電力を名指しして「低線量被ばくによる社会的不安を巻き起こした」と反省を求めたが、少数の専門家によるわずか1カ月余りの議論が、住民にとって安心材料になったとは言い難い。
 避難の基準となった年20ミリシーベルトという数値はもともと、専門家で組織する国際放射線防護委員会が緊急時の目安に掲げたもの。WGは今回、この目安を追認しただけでなく、除染などの中間目標も政府が8月に示した基本方針を踏まえただけに終わり、今回の原発事故に伴う具体的な健康影響を独自に評価する姿勢は、ほとんどうかがわれなかった
 WGは提言の中で今後の適切な被ばく防護対策を取るために「多様な価値観を考慮すべきで地域ごとの住民参加が必要」と指摘した。放射性物質と向き合う日々は今後も続く。低線量被ばくの健康影響について、住民の意見を積極的に取り入れながら、不安解消につながる真剣な議論、検証作業が求められる。【久野華代、永山悦子】
◇WGがまとめた低線量被ばくの影響◇
・100ミリシーベルト以上は線量の上昇に応じて発がんリスクも増加することが分かっているが、100ミリシーベルト未満は影響が科学的に証明されていない
・低線量を長期間被ばくした場合、同じ線量を短期間で集中的に被ばくした場合より健康影響は小さい
・内部被ばくと外部被ばくの人体への影響は同じ
・低線量の内部被ばくによるぼうこうがんの増加は被ばくとの因果関係があると評価できない(毎日)
・・

 ある事柄が「科学的に証明されていない」「因果関係があると評価できない」ことをもって、その事柄の否定の上に成り立つある政策の正当性が「科学的に証明」されるわけでも、ある問題の「因果関係」が否定できるわけでもない。詰まるところ、一見「科学的」な言説によって粉飾された「有識者」の「提言」は、国の強引な方針にただお墨付きを与えるだけという、きわめて政治的な目的に基づいた「非科学的」な代物なのだ。
 こういう「有識者」のことを、大昔、宇井純は「バカ」と呼んだ。私たちは「御用学者」と呼ぶ。

 国、東電、「有識者」が理解しなければならないのは、「3・11」から9ケ月余りを経て、「非常事態時における許容しうる放射線量」という概念自体が、もはや通用しなくなったことである。そしてこれは、とても良いことだと私は思う。
 「放射能汚染に対する一般的恐怖と現実的恐怖」という表現を私は使ったことがあるが、その「恐怖」や懸念(とりわけ子どもを抱えた親たちのそれら)と、それらが転じた国、東電、「有識者」に対する怒りは、「20」ではなく「1」という数値をめぐってのものなのだ。国が、「有識者」が何をし、何を言おうが、これはもう変えることはできない。
 
 国、東電、「有識者」がこのことを根本的に理解しないかぎり、今後の除染活動も「避難区域の見直し」も紛糾を極めるだけになるだろう。時間がない。この程度にしておこう。

・・・
玄海3号機、ポンプ主軸折れる 冷却水漏れで発見
 九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で9日に1次冷却水の浄化用ポンプの接合部から放射性物質を含む冷却水約1・8トンが漏れた事故で、九電は16日、ポンプの主軸が折れているのが見つかったと県に連絡した。
 九電は9日、浄化装置に設置したポンプ1台の軸受けの温度が、80度以上に上昇したことを知らせる警報が鳴る不具合があったことを県などに連絡したが、水漏れの事実については「浄化装置の外に漏れたわけではない」として発表していなかった。(共同)

原子力政策の堅持 年内にも国に要望へ
 原子力施設が立地する下北半島のむつ市、大間町、東通村、六ケ所村の4市町村が合同で、年内にも国に原子力政策の堅持を要望することが15日、分かった。東京電力福島第1原発事故後、青森県内の立地自治体が合同で国に要請活動を行うのは初めて。県原子力安全対策検証委員会の検証作業が終了し(??)、三村申吾知事が安全対策の是非を判断する環境が整いつつある中、原発事故後に中断している各施設の試験や工事の早期再開を知事にアピールする狙いもあるとみられる。(デーリー東北)
⇒「原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも」(12/10)

東海第2の再稼働認めぬ請願不採択 日立市議会
 日立市議会は12月定例会最終日の15日、本会議を開き、日本原子力発電東海第2原発をめぐる「住民合意のないまま再稼働を認めないことを求める」請願を不採択とした。付託された総務産業委員会が「代替エネルギーの議論なく廃炉にするのは産業界に打撃が大きい」などとして不採択とすべきとの結論を出し、本会議で同委員長報告に対して賛成多数で不採択とした。 (茨城新聞)

福井県内の稼動原発1基のみに 大飯2号、美浜2号定検へ
 福井県にある関西電力大飯原発2号機(加圧水型軽水炉、出力117・5万キロワット)は16日夕、第24回定期検査に入る。8日にトラブルで停止した美浜原発2号機(同、出力50万キロワット)も18日に定検入りする。東京電力福島第1原発事故を受け、停止した原発が再稼働できない状況が続く中、県内の商業炉13基のうち運転しているのは高浜原発3号機(同、出力87万キロワット)だけとなる。 電力需要が高まる冬場を迎え、供給力不足が見込まれる関電は19日から前年同月比10%以上の節電に取り組む。
 関電から15日、県に入った連絡によると、定検期間は1カ月間の調整運転を含め約4カ月の予定。1次冷却水の流量やホウ酸濃度を調整する化学体積制御系の弁や配管を耐食性に優れた材料に取り換える。過去の点検で減肉が確認されたものなど計20カ所の配管をステンレス鋼に交換する。(⇒福島第一、第二の「配管」の「減肉」はどの程度だったのか? またその素材は?)
 福島の事故を踏まえた特別点検では、緊急炉心冷却装置(ECCS)や緊急時に格納容器内に水を注ぐスプレーリングの健全性を確認。使用済み燃料プールには水位監視カメラを増設し、広域水位計も設置する。燃料集合体は193体のうち65体(60体は新燃料集合体)を取り換える。

 1次冷却水が配管内に漏れるトラブルで手動停止した美浜2号機は、18日から第27回定検に入る。県によると、停止後に漏れの個所を目視で点検したところ、1次冷却水の系統外への漏出はなかったという。
 定検期間は調整運転を含め約5カ月。1次冷却水の圧力を調整する加圧器周辺にある6カ所の弁を調達が容易な国産品に取り換える。原子炉容器の溶接部で超音波探傷検査を行い健全性を確認する。燃料集合体は121体のうち41体(36体は新燃料集合体)を取り換える。
 停止原発の再稼働の見通しが立っていないため、両プラントとも調整運転に入るための原子炉起動時期は未定。定検の作業自体が終わった段階でストレステスト(耐性評価)を実施する見込み。(福井新聞)
・・・

⇒「原発災害・復興支援・NGO~現場の活動を通してみえてきたもの、その成果と課題」(明日, 明学)チラシ

政府「事故調」の「調査」に疑義あり!--3号機の「高圧注水系(HPCI)」は「自動起動」したか?

政府「事故調」の「調査」に疑義あり!--3号機の「高圧注水系(HPCI)」は「自動起動」したか?


 毎日新聞(電子版)の記事(12/16)、「福島3号機:現場独断で冷却停止…3月13日、高圧注水系」を読んだ。
 私は毎日新聞の原発関連の記事を、他の主要新聞メディアのそれに比し、評価している。 しかし、この記事は、「事故」の「責任を問わない」という意味において決定的な問題をはらんでいる政府の「事故調査・検証委」の「報告」を鵜呑みにしているという点において、あまりに問題点が多い。 ここでは核心的なポイントのみ述べておく。

 今回の「事故」の真相究明にあたり、解明されなければならないのは、次の点である。 すなわち、いったい如何なる①福島第一原発の構造的・工学的な脆弱性と、②政府・東電の「統合対策本部」および現場における「ヒューマン・エラー」が、メルトダウン→メルトスルーを引き起こしてしまったのか?

 分かりやすく言えば、東電は、「想定外の津波」以外については耐震設計・安全対策を含め①は問題なかったとし、②に関し、現場末端の匿名の「作業員」の「判断ミス」という形で、「事故」原因解明の収束を図ろう/謀ろうとしている。そして、野田政権(原子力委員会・安全委員会、安全・保安院)も、それを追認しよとしている。誰ひとりとして刑事・民事・政治・行政上の責任を取ることもなく・・・。と言うか、まさにそのために。

 これに対し、〈私たち〉は、①と②の両方に今回の大災害の原因があると主張する。②については、国と東電のトップレベルから「課長」クラスまでの、歴史的に蓄積されてきた「ガバナンス」と「マネジメント」の能力欠如の問題として。
 間違ってもこれを、単なる「システム上の不備」に還元してはならない。「国策・民営」の原発事業が引き起こした大災害の責任の所在は、国においても民においても固有名を持つ人格と組織に帰せられねばならないからだ。そうでなければ私たちは今回の事態の教訓を歴史化し、社会化することができない。最も肝心なことは、組織と個人の法的不処罰(impunity)を絶対に許してはならない、ということである。


 上の記事を読み、私たちが理解すべきは、政府の「事故調・検証委」が、①今回の事態に人格的・組織的責任を負うべき主体の法的不処罰のための「お膳立て」をしていること、さらに②日本の主要新聞メディアの一つ、しかも「脱原発」を社として主張してきた毎日新聞が、予め仕組まれていた①の動きに対し、批判的に報道する〈眼〉を持っていない、ということである。

 私がこのように言う理由は、とても単純なことだ。記事には、「事故調が経過を調べた結果、運転員がバッテリー切れを恐れ、吉田前所長の判断を仰がずHPCIを止めたことが分かった」とあるが、原発に対する基礎的知識を持つ人間の常識で考えるなら、非常事態発生時においてメルトダウンを防止する安全装置たるHPCIを、「運転員」(いったい誰?)が「バッテリー切れを恐れ」、「止める」ことなど、ありえないからだ。しかも、「吉田前所長の判断を仰がず」に? これは何かの冗談だろうか?

 東電の現場「関係者」は、私の眼から見れば、明らかに共謀し、虚偽の「証言」をしている。

 ここで話は、「福島第一原発は「止まった」か?」(10/31)の中段、「福島第一原発災害と地震」に戻ることになる。
 内容はくり返さない。今後の対東電刑事・民事訴訟、および国賠訴訟の追求との関連で言えば、その「係争点」の一つが高圧注水系(HPCI)問題になることを確認するにとどめておきたい。つまり、東電の「事故」責任を問うにあたり、HPCIが「自動起動」したか、それとも津波襲来以前に地震の衝撃によって作動不全をきたしていたか否か、という問題である。

12/18

 もう一点。「原発幹部、非常用冷却装置作動と誤解 福島第一1号機」(12/18, 朝日新聞)についてだが、もしも東電の「原発幹部」が、「冷却装置「非常用復水器」について、電源が失われると弁が閉じて機能しなくなる構造」を「知らなかった」のだとしたら、これは下にあるような「有事の指揮系統、機能せず」といったレベルの問題では済まされないことになる。

 原発の基本構造および非常時の安全システムを知らない「原発幹部」に、「有事の指揮」などできるはずがない。それは指揮「系統」の問題ではない。「機能」すべき「系統」など最初から存在しなかったことになる。

 私には、「原発幹部」たちは、自分が何を「証言」しているのか、それさえ理解しているとは思えない。
 組織的・個人的責任を問わない、しかも匿名の「事故調査」「検証」が、常識では考えられないこうした「証言」を可能にする。
 そうした偽証の積み重ね、羅列による虚偽と虚構の「中間報告」が26日に発表されようとしている。

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福島3号機:現場独断で冷却停止…3月13日、高圧注水系
 東京電力福島第1原発事故で、3号機の原子炉を冷やすための最後の要となる「高圧注水系(HPCI)」が3月13日に現場の独断で止められ、再起動できなくなっていたことが、政府の事故調査・検証委員会の調べで分かった。
 3号機は翌日、水素爆発した。1号機でも冷却装置「非常用復水器(IC)」が止まったが、吉田昌郎前所長が稼働していると誤認して事故対応していたこともすでに判明している。指揮系統が機能していなかったことが重大事故につながった可能性がある。今月末に公表される中間報告書に、こうした対応が不適切だったと記載される模様だ。

◇政府事故調、中間報告へ
 東電が今月2日に公表した社内調査中間報告書などによると、3号機では東日本大震災が発生した3月11日、電源が喪失し、「原子炉隔離時冷却系(RCIC)」と呼ばれる別の冷却系が作動、原子炉に注水した。だが、12日午前11時36分には原因不明で停止。原子炉の水位が低下し同日午後0時35分にHPCIが自動起動したが、13日午前2時42分に停止した、としている。
 複数の関係者によると、事故調が経過を調べた結果、運転員がバッテリー切れを恐れ、吉田前所長の判断を仰がずHPCIを止めたことが分かった。その後、HPCI、RCICともに起動を試みたが再開しなかった。報告書は「HPCIを止めない方がよかった」と指摘する見通し。
 一方、報告書は津波対策にも言及するとみられる。東電は08年、想定していた高さ5・7メートルを上回る10メートル超の津波の可能性を試算したが、社内で「防潮堤のかさ上げは費用が高くなる」との意見が出された。当時原子力設備管理部長だった吉田前所長らが「学術的性格の強い試算で、そのような津波はこない」と主張したこともあり、具体的な対応は見送られたという。
 さらに、報告書は法律に基づいて設置された現地本部が十分機能しなかったことや、政府が「炉心溶融(メルトダウン)」を軽微に感じさせる「炉心損傷」と修正した点にも触れる見込み。閣僚の具体的な関与では今月から聴取を始めており、来夏に作成する最終報告書に盛り込む。
◇高圧注水系◇
 非常時に原子炉内に注水するために備えられた緊急炉心冷却装置(ECCS)の一つで、原子炉内の水位が異常に下がった場合に働く。原子炉の余熱で発生する蒸気を利用してタービン駆動のポンプを動かし、復水貯蔵タンクなどの水を勢いよく炉内上部から炉心(核燃料)に注ぎ込む。停電時でもバッテリーで使用できるのが利点。

◇解説…有事の指揮系統、機能せず
 これまで東京電力は「原発事故防止のためにさまざまな取り組みをしてきた」「想定を上回る津波だった」などと主張してきた。しかし、政府の事故調査・検証委員会による関係者聴取から浮かぶのは、「不十分な備え」であり、「人災」という側面すらみえる。
 同委員会の調査で、福島第1原発3号機で「高圧注水系(HPCI)」を運転員が独断で止めたことが判明した。今夏までの調査でも1号機の非常用復水器(IC)の停止を吉田昌郎前所長が把握できていなかったことが判明している。重大事故時の備えがなく、運転員にこのような行動をさせた点こそ問題だ。
 また、東電の過酷事故時の手順書には、全電源喪失が長時間続くことを想定せず、格納容器を守るためのベント(排気)の手順なども盛り込まれていなかった。備えが不十分で現場の指揮系統が混乱し、最善策を取れなかったとうかがわせる。
 過酷事故対策は79年の米スリーマイル島原発事故を契機に、世界的に整備が進んだ。日本でも検討され、原子力安全委員会は92年、事業者に過酷事故対策を求めた。だが、事業者の自主性に委ね、それ以来、対策内容を見直してこなかった。あらゆる警告を謙虚に受け止めることが関係者に求められる。
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 「あらゆる警告を謙虚に受け止めることが関係者に求められる」・・・。
 匿名のこの記事の筆者は、国と東電に対し、随分と理解があるようだ。

2011年12月14日水曜日

で、私たちは福島第一5、6号機と第二原発をどうするのか?

で、私たちは福島第一5、6号機と第二原発をどうするのか?

12/15
国内廃棄物に大量の核物質 未計量で濃縮ウラン4トン
 政府が国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)の対象となっている全国の262施設を調査した結果、計量や報告をしていない濃縮ウランやプルトニウムなど核物質が廃棄物から大量に見つかったことが14日、分かった。政府は国際社会の批判を避けるためIAEAへの申告を急ぎ、水面下で協議(!!)を始めた。複数の政府高官が明らかにした。
 中でも政府系研究所高濃縮ウラン約2・8キロ、原子力燃料製造企業約4トンの低濃縮ウランがそれぞれ未計量だったケースを重視して調べている。中部、北陸、中国の3電力会社などにも未計量とみられる核物質があり、確認を進めている。(共同)

IAEAが「深刻な懸念」 日本の報告漏れ核物質
 国際原子力機関(IAEA)が今年2月、査察対象となっている日本の原子力関連施設の核物質報告漏れについて、日本側に「深刻な懸念」を伝え、通常は査察の対象にしない廃棄物を検査したいと異例の申し入れをしていたことが15日、分かった。政府関係者が明らかにした。
 これが発端となって文部科学省が全国262施設の一斉調査に踏み切り、さらに大量の報告漏れが見つかった。 関係者によると、昨年10月に政府系研究施設で廃棄物から報告漏れの核物質が見つかり、IAEAに報告。今年2月のIAEAと日本政府の会議で、この問題が取り上げられた。(共同)
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 ただただ言葉を失うばかりだ。
 「計量や報告をしていない濃縮ウランやプルトニウムなど核物質が廃棄物から大量に見つかった」「国際社会の批判を避けるため」、IAEAと「水面下で協議」・・・。
 濃縮ウランやプルトニウムの「廃棄物への廃棄(!!)」が長年にわたり、計画的かつ組織的かつ秘密裡に行われ、これが明るみに出るとマズイ、と事実の隠ぺい・揉み消し(→こんな事実など無かったことにする)を経産官僚が原子力ムラの研究者、そして外務官僚出身の人間を長とする国際機関と一体となってはかる・・・。
 原発の「安全神話」がどうのこうの、「脱原発の〈思想〉と〈科学〉」がどうのこうの、原発の「コスト」や「リスク」がどうのこうの、これまで議論してきたそうした問題群のはるか以前的な重大事態である。
 これまで何のために、何をめぐって書いてきたのか、強烈に空しくさせる事態である。

 しかし、どこの国であれ、これが「国家」というものの実相であり、「原子力行政」なるもの、それを推進する官僚機構の実態なのである。
 「話にもなんにもならない」、と誰だって思うだろう。最悪に滅入ってしまう。
 が、これが原子力ムラを構成する独立行政法人系研究機関、原発関連企業、電力会社の「ガバナンス」と「マネジメント」の実態、それを担ってきた/いる「研究者」たちの人間性、その倫理観のクオリティなのだ。私たちには、この現実にきちんと向き合う以外に選択肢はない。

 裏返して言えば、これまでの日本の原発行政がこういう研究機関、こういう企業、東電を筆頭とするこういう電力会社とそれを支えるこのような人間集団を作ってしまったのである。
 だからこれは、私たちにとってまったく他人事ではない。私たちも「こういう人間集団」の構成主体にいつでもなりえたし、これからもなりえるからである。

 野田政権は、濃縮ウランやプルトニウムを含む「未計量の核物質」が存在する、すべての「政府系研究所」「原子力燃料製造企業」の実名・場所、そして「中部、北陸、中国の3電力会社」の施設名を直ちに公表し、実態を全国民、全世界に報告したうえで、公式に謝罪すべきである。
 そして、これら「政府系研究所」を直ちに閉鎖し、「原子力燃料製造企業」、中部、北陸、中国の3電力会社の関連施設を営業停止処分にすべきである。 

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冷温停止「事故原発には使わない」=元東電社員の蓮池透さん講演―佐賀
 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の元副代表で、東京電力に30年余り勤めた蓮池透さん(56)が15日午後、佐賀市内で講演した。東電福島第1原発事故で野田佳彦首相が16日にも示すとされる冷温停止宣言について、蓮池さんは「冷温停止は、正常な原発に使う言葉。事故を起こした原発に冷温停止という概念はない」と断じた。  蓮池さんは約400人の聴衆を前に、同宣言は「前のめりのやり方」と批判。「早く原子炉格納容器の中を把握する方法を実施すべきだ。それからでも遅くない」などと訴えた。
 冒頭では、同原発で保守管理者や原子力燃料サイクル部長を務めた立場から、「ご迷惑を掛けて申し訳ない」と謝罪。大津波が事故の主因とされる点については、「想定していなかった。防波堤を高くするなど防ぎようがあった」と述べた。(時事)

12/14
 福島民友新聞の記事を読んでいて、気になったことがある。それは、先日も書いたが、福島第一原発5、6号機と第二原発の廃炉に関係する問題である。
 東電は明らかに、5、6号機と第二原発全号機の将来的な再稼働を大前提に、第一原発1~4号機の「事故収束」→廃炉を考えている。これに対し、野田政権は、9月に枝野経産相が「廃炉は不可避と考えている」と述べただけで、明確な政府方針を打ち出していない。 一方、周知のように福島県議会は、10月、県としての「脱原発」宣言を受け、様々な紆余曲折を経ながらも第一・第二原発すべての廃炉を国と東電に対する要請する決議をあげている。

 つまり、何が問題かと言えば、国と東電は福島県が原発全廃決議を上げたことを踏まえ、今後の「事故収束」の「新工程表」や「冷温停止」の政治宣言を発する義務と責任があるはずなのに、県議会の決議以降、「冷温停止」宣言直前の今日まで、国と東電のそのような動きがまったく確認できないことである。これをどのように私たちは考えればよいのか。たとえば、下の記事の東電社長のインタビューを読むと、まるで決議など無かったかのように、あくまでも第一原発の1~4号機の廃炉問題のみに固執する東電の姿勢が明らかになってくる。
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「廃炉」年内に新工程表 福島第1原発1~4号機
 東京電力の西沢俊夫社長は13日、福島民友新聞社のインタビューに応じ、福島第1原発1~4号機の廃炉に向けた中長期的な視点の新たな工程表を年内に公表する考えを示した。政府と東電は事故の収束に向けて現在実行中の工程表で、原子炉の冷温停止を目指すステップ2の終了を16日に発表する方針で、事故収束作業は原子炉を冷やし、安定させる初期の工程から、最終目標である廃炉に向けた具体的な工程に移る。
 西沢社長は新たな工程表について「ステップ2を終えた場合、中長期的なロードマップを年内に出す」と説明。廃炉までには「30年以上」と言われる収束作業となるが、「10年、20年かかる仕事で、国と一緒に取り組まなければならない。そうしなければ福島県の方々に責任を取ったことにはならない。それだけは肝に銘じている」と述べた。(福島民友)
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 東電が「福島県の方々に責任」を取るとは、賠償・補償問題に加え、原発全廃の県議会の決議が上がったことを深刻に受け止め、第一・第二原発の廃炉を社として明確に打ち出すことにあるのではないか?
 それは国についても同じはずだ。ところが、国に至っては何をどうしたいのか、未だ何もはっきりしていないのが実情だ。
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「避難指示」解除へ 第2原発8キロ圏内の4町
 経済産業省原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第2原発から8キロ圏内広野、楢葉、富岡、大熊4町に措置している避難指示を解除する方針を関係市町村に伝えた。
 関係者によると、政府は年内に福島第1原発から20キロ圏内の警戒区域計画的避難区域見直しの考え方を示すとみられる。ただ、警戒区域は、福島第2原発の避難指示区域と重なっていることから、警戒区域の見直しに先行して第2原発の避難指示を解除することで、見直しに向けた環境を整える考えとみられる。
 警戒区域などの見直しについて政府は、福島第1原発事故収束の工程表ステップ2の完了を受けて実施する方針。年間の積算放射線量に応じて50ミリシーベルト以上を「長期帰還困難」、20~50ミリシーベルト未満を「居住制限」、20ミリシーベルト未満を「解除準備」の3区域に再編する方向で関係自治体と調整しているもようで、見直しの考え方について年内に明らかにする見通し。(福島民友)
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 野田政権、というより経産省は、第二原発8キロ圏内の「避難区域」解除の方針を打ち出した。けれども私たちは、「警戒区域」の「見直し」を行うために、福島第2原発の「避難指示区域」を解除するという、この政府方針が妥当か否かとともに、これが今後、第二原発の存続(再稼働か、それとも廃炉か)問題とどのように関係し、発展して行くか、その観点を含めて考える必要に迫られている。

 国と東電は、とにもかくにも、何が何でも、16日に「冷温停止」宣言を発し、それに合わせて新廃炉工程表も公表するとしている。福島県議会決議を受け、今や問題の焦点は、「冷温停止」の政治セレモニーにあるのではなく、その「宣言」の中で5、6号機と第二原発の廃炉問題がどのように扱われるか、に移っているのである。 国がその結論を先延ばしにする「方針」だけは明らかになっている。しかしその先延ばしを許さない福島県そのものと私たちの行動が問われているのである。

参考サイト
⇒「東日本大震災後の福島第一・第二原子力発電所の状況」(東京電力)
 「東電は信用できない」と言ってしまえば身も蓋もない。しかし東電とは、「第一原発から放出される放射性物質は東電の「所有物」ではない、だから除染の責任を社として負う義務はない」と平気で言ってのける会社である。5、6号機を「定期検査中・冷温停止」とし、第二原発を「正常」な状態にあるとする東電の「報告」は、何度も眉に唾を付けて読む必要があるのではないか。
 この間、5、6号機の(再)臨界の「可能性」や第二原発も相当のダメージを受けたという情報が飛び交ってきたが、非常に不当なことに東電のデータに問題がある場合、その「立証責任」は私たちの側にあることを再確認しておこう。二日後に迫った「冷温停止」政治宣言の「非妥当性」をめぐる立証責任とともに。

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基準見えず県民困惑 23市町村の住民賠償 相談急増
■窓口に電話次々
 東京電力福島第一原発事故で、原子力損害賠償紛争審査会が県内23市町村の住民に賠償金を支払う新たな指針を示して13日で1週間が過ぎた。東電からはいまだ、詳細な基準が示されず、県民や自治体に疑問や戸惑いが広がる。対象は全県民の4分の3に当たる150万人。支払いが行われるとしても作業は膨大だ。東電は手続きなどで県内自治体の支援を求めているが、その姿勢に批判が集まっている。先行きは不透明で、賠償金が届く見通しはまるで立っていない
 「住民票を移していないが、対象区域内に住んでいる」「18歳以下とは、いつの時点か」「里帰り出産で事故当時は対象区域内にいた」
 東京電力福島第一原発事故に伴う県の損害賠償関係の相談窓口。指針が発表された後、電話が急増した。発表から2日後の8日はそれまでの5倍の220件を数えた。その後も1日80件程度が寄せられている。
 賠償の対象区域となった23市町村の住民は、賠償の基準や手続きを知りたがる。しかし、窓口担当者は「基準は明確になっていません。判明したら速やかに情報提供します」と繰り返すのが精いっぱいだ。
 単身赴任や長期の出張で原発事故直後、一時的に対象区域内に居合わせた人はどう扱うのか、区域外に引っ越した住民が当時居住していた実績をどう確認するか、何も判断は示されない。18歳以下の子どもは、いつの時点を年齢の基準日とするのかも不明確だ。「東電は本当に支払う気があるのだろうか」。福島市で2人の幼児を育てる主婦(36)は日に日に疑問が膨らんでいる。
■反応冷ややか
 150万人が対象となる賠償指針の決定を受け、東電の西沢俊夫社長は「国や自治体など関係機関のご指導、ご支援を頂きたい」と行政に頼る姿勢をあらためて示している。
 しかし、県と県内市町村の反応は冷ややかだ。約33万人が対象となる郡山市。早急に小中学校の校庭の表土除去や生活圏の除染を実施することを余儀なくされている。市原子力災害対策直轄室の担当者は「最初から自治体に協力を求める姿勢は疑問だ」と批判する。
 現段階で支援の要請は受けていないが、まずは東電が自ら行動することが筋だとみている。「他の市町村と足並みをそろえる必要があるが、事故を起こした当事者が責任を持って手続きも行うべき」と厳しく指摘した。
 一方、比較的に放射線量の高い地点を抱え一部住民が避難している福島市の担当者は、「住民本位に考えれば、何らかの対応を市として取らざるを得ない」とする。損害賠償の取り組みの主体はあくまで東電だが、全ての市民に確実に賠償金は届けなければならない。相談窓口の設置が必要になるとみている。原発事故の後始末の業務が確実にまた一つ加わる。
 県原子力損害対策課は県民の請求手続きの負担を減らす方法に頭を悩ます。「ともかく早急に東電や市町村と対応を協議するしかない」と東電の基準が一日も早く示されることを待っている。(福島民報)
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 福島第一5、6号機と第ニ原発の廃炉問題は、東電による賠償・補償問題に深く影響を与える問題である。逆に言えば、東電がどこまで賠償・補償に責任を取る意思があるか、そのことが廃炉問題に直結しているのである。
 現在、東電は前者を曖昧にする無責任と、後者を前提にしないという二重の無責任を犯している。これに対し、国は両方を先送りにするという無責任を犯している。東電は何が何でも社としての延命をはかることを中心に考え、国は結論を先送りにしながらも、その方向で「調整」することを考えている・・・。

 被災者・被曝者にとっても私たちにとっても、今年の冬は去年にも増して、長くて寒い冬になりそうだ。

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玄海原発、耐震安全性は「妥当」 原子力保安院
 経済産業省原子力安全・保安院は13日、九州電力がデータ入力ミスを受けて実施した玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の耐震安全性評価の再点検結果について「妥当」と判断した。玄海1、2号機川内原発1、2号機(鹿児島県)の再点検結果も妥当とした。
 これを受け、九電は再稼働に必要なストレステストの1次評価作業をほぼ終えている玄海2、3号機と川内1号機のいずれかの1次評価結果を近く国に提出する。ただ、「やらせメール」や2005年のプルサーマル公開討論会の「仕込み質問」などの問題が決着しておらず、再稼働に理解を得るのは難しい情勢となっている。

 耐震安全性評価については、7月に玄海3、4号機で解析データの入力ミスが4カ所判明。玄海1、2号機では再点検で15カ所の転記ミスが見つかった。九電は正しい数値で計算しても「安全性に影響はない」とした評価結果を10月末と11月下旬に保安院に提出していた。
 定期検査で停止している原発の再稼働条件となる1次評価の結果について、九電は「準備が整い次第、提出する」としている。具体的な提出日やどの原発から提出するかは明らかにしていない。
 年内をめどに提出を求められていた全原発対象の2次評価については「年末までの提出は難しい」としており、年明け以降になるとみられる。 (佐賀新聞)
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住民投票の法制化見送りへ 地方側の意向受け後退
 地方制度調査会(会長・西尾勝東大名誉教授)は15日の総会で、政府が国会提出を見合わせている地方自治法改正案をめぐり、全国知事会など地方6団体が「自治体行政を混乱させる」(???)と反対している住民投票の法制化直接請求の対象拡大について、削除を求める意見をまとめた。
 いずれも総務省が住民自治の強化に向け目玉と位置付けていたが「対象など詰めるべき論点がある」として見送りを求めた。政府は意見を踏まえて改正案を修正、来年の通常国会に提出するが、当初の狙いは後退が避けられない見通しだ。(共同)
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 「調査会」で審議されてきた「住民投票制度の法制化」は、その対象が大型施設の建設問題等に限定されていたことを含め、「住民自治の強化」と言うには、あまりに是正・克服すべき課題が多いものである。
 上の記事では何かしら総務省が「住民自治の強化」を考え、「調査会」の「意見」がそれに逆行するものであるかのように報じられているが、そのような分析はきわめて皮相的なものだと言わざるを得ない。
 むしろこの「意見」は、たとえば原発を始めとする国家プロジェクトに対する(広域的)住民投票制度の導入がいかに国策遂行の障害となりえるかを考えてみればわかるように、「地域主権」=「住民主権」を骨抜きにしようとする中央官僚機構の思惑を反映したものと分析すべきである。
 この問題は、いつか機会を見つけて改めて論じることにしたい。

出先機関に国の関与温存案 国交省、焼け太り狙う?
 原則廃止して地方に移すことが決まっている国の出先機関について、国土交通省が国の関与を温存する案を作った。新しい体制を設けて、都道府県の権限も吸収する内容。野田政権が年内にまとめる出先機関改革の方針への反映をめざす。
 国交省案によると、全国を複数のブロックに分けて「広域的実施体制」を新設。各ブロックには、域内の自治体とは別の「長」を置くことを法律で義務づけ、議会も設ける。「長」は個別の選挙で選ばれた自治体の首長から独立し、利害関係を調整する。また、議会によるチェック機能で透明性を高めるという。

 この体制を受け皿に、国交省地方整備局や経済産業省経済産業局など国の出先機関の権限や財源を移す。そのうえで「都道府県から同種の事務・権限を全て持ち寄り、一体的に処理」として、地方の権限も新しい体制に集める。さらに「国交相が整備計画決定や予算措置するなど関与」とも明記し、国の介入を認める。
 この案は、出先機関改革の具体案を練っている「アクション・プラン推進委員会」で、19日に検討される。地域主権戦略会議が年末にまとめる改革の方針に反映されれば、国の権限や予算を自治体に移す地域主権の考えに逆行することになる。新たな体制を立ち上げることで、職員の人員削減の目的も果たせず、焼け太りになる可能性もある。 (12/18,朝日)
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「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「東電一時「国有化」=(電気料金値上げ+増税)+(柏崎刈羽+福島第二再稼働)?
⇒「原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも

「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答: 解説

「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答: 解説

 『脱「国際協力」――開発と平和構築を超えて』の版元新評論のブログに、「日本の「国際協力」と人道的介入」(11/20, 法政大学)で配布されたレジュメと資料が公開された。
 その中から「「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答」をここに転載するにあたり、若干の補足的説明を加え、解説に代えたい。


 まず最初に、多忙な中、質問状に対して回答してくれたHRW(本部)の担当者、ジェームズ・ロス氏への感謝を改めて述べておかねばならない。
 国際的に言えば、論争という形式を伴ったR2Pをめぐる議論は、この10年間にわたり展開されてきたが、日本においてはそれがなかった。日本の大学研究者による「R2P研究」なるものは、その質的レベルにおいて、単なる「R2Pの紹介」やその「意義」を追認する以上の、クリティカルなものではなかったのである。

 これについては、日本における「国際法」「国連研究」「国際関係」論等といった分野が、「現状維持」的であるという意味において、元来きわめて「保守」的な分野(=国連、政府・外務省追随型)であることに加え、国公立大学の法人化以降、ますますその傾向が強まっていること、大学研究者の「自主規制」が進行してきたなどがその要因として指摘できる。

 国連が「規範化」し、欧米など世界の「主要国」が推進し、日本も承認してしまったR2Pを、そこにどのような「隠れた狙い」(hidden agenda)が存在するかまでを分析しながら、批判的に研究するという作業は、それ自体とても困難な営みである。

 日本のアカデミズムにおけるこうした状況を、とりわけ若い研究者やNGOを含めた市民・社会組織体が乗り越え、すでに実行段階に突入しているR2Pをめぐる今後の活発な議論を切り開く一助として、この「質問状と回答」が少しでも寄与することが私たちの希望であり期待である。

 なお、「質問状と回答」については、ジェームズ・ロス氏の回答が個々の質問に対する回答になっているかどうか、この点に特に留意しながら読者それぞれが判断を下されることを促したい。
 また、東京オフィス代表の土井香苗氏に、ロス氏の回答に対するコメントと「質問4」に対する氏の見解を寄せて頂くように要請している(12月14日現在未着)。土井氏の回答が届き次第、氏の確認を得た上で、ロス氏の回答とともに上の資料に追加したいと考えている。


 今後のR2P研究(批判的検討)に問われている諸課題
 以下、順不同で列挙しておきたい。 

1)、国家が「文民」を「保護する責任」を果たしていないと国家が判断する基準NGOを含めた市民・社会組織体が判断する基準の差異性について。
 これは「国益」「国策」を基準に政策立案・決定する国家(政府)と「市民社会」の「公共益」との差異性、および両者の間に横たわるその緊張関係(「利益相反」)をNGOや市民・社会組織がいかに考えるのか、という問題である。

2)、R2Pが現実政治に適用される場合と適用されない場合が存在する、いわゆる「二重基準」の解決策が存在するか否かという問題。

3)、さらに、R2Pが現実政治に適用される場合には、①「外交」を含めた非軍事的強制措置(経済制裁など)と②軍事的強制措置(武力行使)を二つの「柱」とされるが、ある国家に対する非軍事的および軍事的制裁措置は、国家による「組織的かつ計画的」な「人権侵害」の阻止を含めたR2Pの目的を実際に実現するか否かという問題

4)、ある国の「人権侵害」を阻止するために、NGOを含めた市民・社会組織体が国家や国連安保理に対し、、①「外交」を含めた非軍事的強制措置(経済制裁など)と②軍事的強制措置(武力行使)が一体化したR2Pの実行を「提言」し、ロビーイングすることの是非について。
 これは上の「1」と相即的な問題であるが、特にNGOや市民・社会組織の活動の「政治性」を考える上で避けられない問題である。

5)、NGOを含めた市民・社会組織体は、国家の軍隊を自らの目的達成のための「道具」として利用すべきか否か。 独自の戦略に基づき行動する/しないを自律的に決定する軍隊(正規軍)と「市民社会」との間の「利益相反」および緊張関係の問題である。

6)、R2Pの実行に伴う一般市民の犠牲に対し、誰が責任を取り補償・賠償するのか。その主体の明確化の問題。

7)、「リビア以後」における日本におけるR2P論は、米軍・NATO軍・カナダ軍等によるリビアに対する武力攻撃、および「人道に対する罪」の適用による「北朝鮮」に対する制裁強化に対していかなる立場を取るのか、この二つをめぐる論者の主体的判断が欠かせない。
 つまり、意図する/しないにかかわらず、これら抜きの「R2P論」は思弁的な、ただの「おしゃべり」に終始せざるをえないことを踏まえる必要があるという点。

「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答

「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答

質問作成:中野憲志(先住民族・第四世界研究、〈NGOと社会〉の会)
回答者:ジェームズ・ロス(ヒューマン・ライツ・ウォッチ リーガル&ポリシーディレクター)

Q1  ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京オフィスによれば、「ヒューマン・ライツ・ウォッチは「保護する責任」(Responsibility to Protect=R2P)や(R2Pに基づき)安保理が決議を出すことには賛成していますが、今回のリビア武力介入そのものには立場はない(賛成もしない、反対もしない) というのが正確な立場」ということですが、説明を願います。

 安保理がR2Pに基づきリビアへの武力攻撃決議を挙げることを支持しながら、実際に行われた武力攻撃そのものについて「賛成も反対もしない」というのは、非常に無責任であると思えるのですが。

J.R ご質問ありがとうございます。当団体および世界中で人権を伸長し保護するための当団体の活動に関心をもっていただき感謝します。たとえ貴殿が私たちのアプローチに賛同されないとしても、ヒューマン・ライツ・ウォッチの立場とその立場を支える根拠をご理解いただく上で、私の回答が役立てば幸いです。

 「保護する責任」(R2P)や人道的介入という問題は、ヒューマン・ライツ・ウォッチがとりくもうとしている問題の中でも最も困難なものです。後述するようにヒューマン・ライツ・ウォッチはこれらの問題について一般的方針をもっていますが、それを実際に適用するのは抽象的に論じるよりもずっと難しいものです。他の大方の問題に比べ、これらの問題はしばしば当団体内で大きな議論になります。

 
 ヒューマン・ライツ・ウォッチの一般的立場は、赤十字国際委員会や国境なき医師団のような人道支援組織の立場と同様で、武力紛争状況においては中立を保つということです。一国もしくは複数の国が武力行使を決めた場合、ヒューマン・ライツ・ウォッチはそれに賛成も反対もしません。

 私たちは、団体としての役割をもっともよく遂行できるのは、特定の武力行使が正しいかどうか、あるいは国連憲章に合致しているかどうかについて公に主張するよりも、戦闘における行動を監視し報告することであると考えます。それにより紛争当事者のどちらか一方に肩入れしていると思われることなく、両方の振る舞いについて報告することができます。また現地の調査スタッフが、特定の紛争当事者を支持しているという非難を受けずに済みます。

 「保護する責任」は採択された当初から議論を呼んできました。国連にとって最も重要な課題の一つ――もっともよく知られた失敗でもあります――は世界各地の大量殺戮にどう対処するかというものです。
 1999年の国連総会の演説において、当時のコフィ・アナン事務総長は「次世紀における安全保障理事会および国連全体にとっての主要な課題は、それがどこで起きようとも、大規模かつ体系だった人権侵害を許してはならないという原則の下に団結すること」であろうと述べました。
 
 6年後の2005年世界サミットにおいて、世界各国の首脳は「ジェノサイド(集団殺害)、戦争犯罪、民族浄化、および人道に対する罪から人々を保護する責任」を認めることに合意しました。

 「保護する責任」を認めることはしばしば、強制的人道的介入と同義であると誤って解釈されます。事実、「保護する責任」に含まれる広範な一連の行動の一方の極に軍事介入があります。世界サミットの成果文書は次のように述べています。
 「国際社会は適切な外交的、人道的、その他の平和的手段を用いてこうした犯罪から人々を保護するべきである。ある国家がその国の市民を保護できない場合、もしくはまさにそうした犯罪の加害者である場合。国際社会は国連安全保障理事会を通じた集団的武力行使を含む、より強力な手段をとる用意がなければならない」。
 このように、軍事力の行使は「保護する責任」の下活用できる行動の一つに過ぎず、必須というわけではなりません。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、関係国が「保護する責任」に関係する状況について指標を策定し、先に述べた一連の行動に意味を与えることが重要だと考えます。「保護する責任」をとるよう各国に求める際に、ヒューマン・ライツ・ウォッチはその活動使命の範囲内で、市民への脅威に対処するための一定の対応策――たとえば対象を絞った制裁や武器禁輸、その他の武力紛争に至らない措置――を提案しています。

 リビアに関しては、同国の状況が切迫し、国際社会が戦争犯罪と人道に対する罪(カダフィ大佐はその部隊をベンガジの制圧に向けて進軍させ、ベンガジの一般市民を公然と脅かしていました)からリビアの市民を守るため行動を起こす必要があることから、私たちは国連安全保障理事会に「保護する責任」を行使するよう求めました。しかし、軍事介入を具体的に求めることはしませんでした。人道的介入の要請に関する団体内の規定(後述)を満たしていなかったからです。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれまで、一般市民が紛争当事者から重大なリスクにさらされている状況についてたびたび報告してきました。私たちは政策決定者や一般市民に私たちの懸念を伝えることが重要だと考えています。
 たとえば、市民が神の抵抗軍から残虐な攻撃を繰り返し受けていたコンゴ民主共和国北部のケース、政府の支援を受けた民兵組織ジャンジャウィードが市民を脅かしていたダルフールのケースなどです。その両ケースで、ヒューマン・ライツ・ウォッチは一般市民を保護するために必要な行動をとるよう国連に呼びかけました。

 非軍事行動であれ軍事行動であれ、どのような行動が最善かを具体的に示したわけではありませんでしたが、たとえば、村人に携帯電話を提供したり、国連の軍用ヘリを増やしたりといった、保護の方法についての実践的な提案を試みました。たしかに、市民の保護と攻撃的な軍事作戦の区別はあいまいになる可能性があります――村人を攻撃から守るための部隊の配備は必ずしも軍事力の行使を必要とするわけではありませんが、行使される可能性があります。

Q2 1990年代初期のソマリアに対する介入以降、武力による「人道的」介入が成功したとヒューマン・ライツ・ウォッチが総括する事例はありますか? あれば、その根拠とともに日本のオーディエンスに説明してください。

Q3 人権尊重の名の下に行われるR2Pに基づく武力介入は、それ自体が戦争行為であり、大量難民の発生と非戦闘員の犠牲(多国籍軍、当該国家の軍隊、あるいは武装勢力によって)をもたらし、より人権状況を悪化させるというR2P批判に対してどう答えますか?

J.R  この二つの質問はともに同じ一般的問題に関係するのでまとめてお答えします。そしてこの機会に、人道的介入に関するヒューマン・ライツ・ウォッチの立場を説明します(人権団体としては異例です)。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、重大な国際犯罪に対して各国が一連の行動をとる義務に焦点をあてる「保護する責任」の行使を求めることと、人道目的の同意を得ない軍事力の行使である「人道的介入」を求めることを区別しています。

 人道的介入は定義上、より広範に悲惨な状況が起きているところで行われます。人道的介入は当該国の人々がすでに甚大な被害を被っている中で行われます。したがって、人道的介入が「成功」であるか否かを見極めるには、その介入が引き起こす損害と、介入しなかった結果として生じるであろう損害の両方を検討しなければなりません。

 つまり、起きたことと起こらなかったことを比較することになります。したがって、個別の人道的介入について、そしてそれが「成功」したか否か――短期的には人命の損失を軽減したか、長期的にはより権利を尊重する政府の形成につながったか――について結論に至ることは極めて困難であり、そこにおいて意見の一致はほとんど見られないでしょう。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは個別の人道的介入を成功あるいは失敗と判断することはしません。ただし、少なくとも50万人が死亡したルワンダのジェノサイドや、ボスニアにおける大規模な「民族浄化」とジェノサイドなど、国際人道法に合致した迅速な人道的介入が、実際に起きた悲惨な人間の悲劇を軽減したであろうと思われる状況は存在すると考えます。

 組織の方針の問題として、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、極めて限定的な状況下において、国際社会による人道的介入――市民の保護という一義的目的のための軍事力の行使――の提唱を検討します。戦争は悲惨な人命の損失を伴いますが、ジェノサイドや同様の体系だった殺戮を止めるまたは防止するためには、ときに軍事力の行使が正当化され得ると私たちは考えます。そのため、ヒューマン・ライツ・ウォッチはルワンダやボスニアで続いていたジェノサイドを止めるためなど、まれに軍事介入を支持してきました。

 団体の方針として、ヒューマン・ライツ・ウォッチが人道的介入を支持するのは、ジェノサイドが実際に起きているまたは切迫している、あるいはそれに比肩する市民の大量殺戮が起きている場合に限られます。加えて、政治的、外交的、経済的その他の性格の手段を試みたが成功しなかった、または、そうした手段が現下のジェノサイドを止められると期待できる根拠がないという条件が必要です。

 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、人道的介入を求めるにあたって、かかる軍事力の行使は国際法に則って行わなければならないことを明確にします。同様に、軍に対して国際人道法に基づくすべての義務に厳格に従うことを求め、すべての当事者が遵守しているかを監視し報告を行います。

Q4 日本国憲法は、国際紛争の武力による解決を否定しています。すなわち、日本の自衛隊が海外で武力行使することを禁止しています。このような国で活動する市民社会組織、NGOは、R2Pに対していかなる立場を取るべきだと考えますか。

J.R 各団体はもちろん、それぞれがもっとも納得できる立場をとるべきです。ヒューマン・ライツ・ウォッチは「保護する責任」原則が、大規模な虐待が起きている当の国だけでなく、国連の全加盟国が一般市民への極めて重大な脅威を低減するための行動をとる必要を認めた重要なものだと考えます。前述のように「保護する責任」を「人道的介入」と同義に捉えてはなりません。

 「保護する責任」は各国に対し、一連の手段をとるよう求めますが、そのうち軍事力の行使は最後の手段です。すべての組織は武力行使に反対する場合であっても、非軍事的制裁を求めることによって「保護する責任」を支持することができます。これには、重大かつ広範な人権侵害への非難を示す手段として、政府や個人との軍事、貿易、財政、経済その他の関係を制限することも含まれます。

 私たちは対象を絞った(「スマート」)制裁を強く支持します。これはマイナスの人道的影響を最小限にとどめながらできるだけ効果を上げることを意図するものです。効果的で対象を絞った制裁の詳細な提案を国際社会に提示できる団体は、「保護する責任」の下の非軍事的手段の推進に寄与できるでしょう。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、人権侵害を行う政府に対して日本政府が他国と協調して科す効果的な制裁を策定するにあたって、日本の諸団体とともに活動していきたいと思っています。

2011年10月25日 
ジェームズ・ロス
(翻訳:〈NGOと社会〉の会)

2011年12月12日月曜日

原発災害・復興支援・NGO~現場の活動を通してみえてきたもの、その成果と課題

シンポジウム「原発災害・復興支援・NGO~現場の活動を通してみえてきたもの、その成果と課題」(再掲)

■日時12月17日(土)午後1時半―5時半
■場所: 明治学院大学白金校舎本館2301教室
東京都港区白金台1-2-37(地下鉄白金台・白金高輪駅下車徒歩約7分)
地図⇒http://www.meijigakuin.ac.jp/access/
■参加費: 500円(明治学院大学学生は無料)
■共催: 〈NGOと社会〉の会/明治学院大学国際平和研究所(PRIME)
■協力:  FoE Japan/子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(子ども福島)
プログラム:
■パネリストからの報告・提起
●「放射能汚染対策と脱原発のとりくみ」
満田 夏花(FoE Japan)
●「福島の現状と行動の訴え」
吉野 裕之(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク(子ども福島))【避難・疎開・保養班】
●「いわき市での復興支援活動から見えてきたもの」
小松 豊明(シャプラニール震災救援活動担当)
●「JVCの福島支援活動と震災後復興支援について」
谷山 博史(日本国際ボランティアセンター=JVC代表理事)
■コメント
猪瀬 浩平(明治学院大学国際平和研究所所員)
原田 麻以(明治学院大学国際平和研究所研究員/ココルーム東北ひとり出張所)
■質疑応答・討論
■コーディネータ
藤岡美恵子(<NGOと社会>の会/法政大学非常勤講師)

【お申込み・お問合せ】
 準備のため、できるだけ事前にお申込み下さい。当日参加も可能です。メールまたはFAXにて、件名に「12/17原発シンポ申込み」とご記入の上、お名前、ご所属(または学籍番号)、連絡先をお伝え下さい。
明治学院大学国際平和研究所
E-mail: prime@prime.meijigakuin.ac.jp
TEL:03-5421-5652 FAX: 03-5421-5653

・・・
除染の作業員死亡=「被ばく無関係」モデル地区で―福島
 政府の原子力災害現地対策本部は12日、福島県伊達市で日本原子力研究開発機構が実施中の除染モデル事業に従事していた建設会社の男性作業員(60)が死亡したと発表した。原子力機構は死因を明らかにしていないが、被ばくとの関係はないとしている
 国などの除染事業で作業員が亡くなったのは初めて。  男性は12日午後1時ごろ、同市霊山町下小国のモデル地区で、休憩中のトラック内で心肺停止状態で見つかり、約1時間後に病院で死亡が確認された。この日は午前10時から正午まで、マスクを着けて側溝の土砂を撤去していた。重労働ではなかったという。  下小国地区は6月末、放射線量が局地的に高いとして特定避難勧奨地点に指定された。原子力機構は一部地域をモデル事業の対象とし、同日から除染作業を始めていた。(時事) 

【各地の放射線量】東北の一部で上昇
 東北、関東各都県で10日午前9時から12日午前9時に観測された最大放射線量は9~10日に比べ、東北の一部で上昇し、ほかは低下した場所が多かった。文部科学省の集計によると、青森が毎時0・057マイクロシーベルト、秋田が0・050マイクロシーベルトでそれぞれ上昇。福島は0・970マイクロシーベルトで横ばいだった。 東京電力福島第1原発の北西約30キロの福島県浪江町で11日午前10時3分に14・6マイクロシーベルトだった。(共同)→東北各地で放射線量が上昇していても、「冷温停止」宣言? 

セシウム飛散は県全域に 文科省が詳細地図作製
 文部科学省は10日までに、東京電力福島第1原発事故による広範囲な放射能汚染の状況を、従来よりも詳細に表した地図を作製した。外部被ばくや農産物の栽培などに長期的に影響するとみられる地表の放射性セシウム量を見ると、原発から北東方向の汚染地帯にとどまらず、中通りの全域、さらに会津地域にまで広く放射性セシウムが降下した状況が分かる。
 文科省の原子力損害賠償審査会は自主避難と精神的損害の賠償指針で、県南や会津地域を除外したが、これら地域も汚染が無視できない状況だ。 地図は、文科省のホームページに公開している。地上1メートルの放射線量の概要なども分かる。地区名が分かる範囲にまで拡大できるのが大きな特徴。(福島民友)

本県への避難者、増加傾向続く 9日現在で7095人に
 東日本大震災の発生から11日で9カ月。福島県など被災地から本県への避難者数は、県によると9日現在、7095人に上る。福島市や郡山市などからの避難者が増加する傾向が続いており、東京電力福島第1原発事故による放射性物質への不安が広がっているためとみられる。
 避難者数は11月25日までの12週連続で増加。その後の2週は、ほぼ横ばいとなっている。(新潟日報)

被災3県41校が仮設校舎で授業 文科省調査
 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の公立小中高校などのうち、41校が仮設校舎を使い、106校が他校や公民館で授業をしていることが12日、文部科学省の調査(10月1日現在)で分かった。東京電力福島第1原発事故の警戒区域では11校、計画的避難区域では4校が休校中。 調査対象は3県の公立小中高校と特別支援学校計2278校。同省は6月にも同様の調査をしたが、公表は初めて
 仮設校舎は岩手5校、宮城9校、福島27校で設置。うち福島の8校は隣接自治体などに建設した。他の施設を借りているのは岩手19校、宮城42校、福島45校だった。(共同)

被災地に冬の悩み 遠距離通勤負担、対策に苦心
 本格的な冬を迎え、県内の老人介護施設などでは現場の職員不足に加え、道路の凍結、積雪による通勤環境の悪化で、職員の負担増が心配されている。飯舘村の特別養護老人ホームには102人が入所しているが、運営する社会福祉法人の職員は放射能の影響などで3割以上が戻らず、介護に当たる職員らは計画的避難区域のため約1時間かけて村外から通勤している。一方、福島市やいわき市小名浜などで今季最低気温を記録した10日、仮設住宅群によっては除雪用具がまだそろっていないことも判明、道路管理を含め、行政の冬対策の充実が求められている。
 東京電力福島第1原発事故で村全体が計画的避難区域に指定された飯舘村の公共施設集約地域にある、いいたて福祉会「いいたてホーム」。職員は約140人から約90人に減少。特に介護職員は51人から45人、看護職員は8人から5人に減少した。職員の避難先は福島市の31人を最高に、県北、相馬地区が大半を占める。入所者の生活を支える仕事上、切れ目ない対応が求められ、早朝勤務の場合、前泊する職員もいるという。(福島民友)
・・・
敦賀原発1号機でぼや 放射能漏れはなし
 12日午後7時45分ごろ、福井県敦賀市の日本原子力発電敦賀原発1号機で、放射線管理区域内にある廃棄物処理建屋の電源盤から火が出ているのを運転員が見つけた。運転員が消火器で消し止めた。周辺への放射能漏れはないという。
 県原子力安全対策課などによると、13日から予定していた電源の点検に備え、運転員が電源盤で電気系統の切り替え操作をしたところ、電源盤から火が出たという。  同原発では昨年末から火災が3件相次いだ。地元の敦賀美方消防組合は10月17日に厳重注意をしたうえで報告書の提出を求め、同原発は11月30日、防火対策の強化などをうたった報告書を提出したばかりだった。(朝日、高橋孝二)

⇒「自衛隊の「国際平和協力」と「保護する責任(R2P)」を更新

〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任(2)~「人権と人道の政治性」について

〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任(2)~「人権と人道の政治性」について


 「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」が先週の土曜(12/10)から始まった(12/16まで)。これに合わせ、政府主催の「拉致シンポジウム」が昨日(12/11)、都内で開かれた。
・・
拉致問題に関心を 「二度とこんなことが…」横田夫妻が訴え
 きのうから始まった北朝鮮人権侵害問題啓発週間に合わせて、政府が主催する拉致問題のシンポジウムがきょう、都内で開かれました。 初めに山岡拉致問題担当大臣が「拉致問題が30年以上経過してもまだ解決できないのは大変申し訳ない」とした上で「北朝鮮に対話を促すよう政府一丸となって取り組んでいるところだ」(???)と発言しました。
 しかし、シンポジウムの途中で山岡大臣や与野党の国会議員らが退席したほか、問題解決が進まない現状に拉致被害者の家族からは「口先だけでなく実行に移してほしい」と不満といら立ちの声が上がりました。 16人の拉致被害者の家族のうち、横田めぐみさんの母親の早紀江さんは「もう二度とこんなことが起きないよう、一刻も早くみんなが元気な間に、一目でも会って話ができる時間を与えていただきたい」と、今の思いを強く訴えました。
 シンポジウムではこの他、韓国やアメリカの専門家らが講演し、国際連携の強化を呼び掛けました。(Tokyo MX)
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 山岡拉致担当相の発言、「北朝鮮に対話を促すよう政府一丸となって取り組んでいる」というのは、まったくのデタラメである。が、それについては後で述べることにする。先に、上の政府主催の拉致シンポで「韓国やアメリカの専門家」がどのような「国際連携の強化」を「呼び掛け」たのかを確認しておこう。
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拉致問題、専門家らが解決の必要性訴え
 政府が毎年行っている北朝鮮の人権侵害啓発週間が10日から始まり、11日は韓国やアメリカの北朝鮮問題専門家らが拉致問題解決の必要性を訴えました。
 「日本がただ待っているだけでは絶対に解決しません。北朝鮮との戦いなんです」(飯塚繁雄さん)
 「対話の方式は水面下でもいい。問題解決の窓口は開いても、原則は絶対に譲らない」(聖学院大学 総合研究所客員教授 カン・インドク氏)
 集会には韓国の統一部長官を務めたカン・インドク氏などが出席し、アメリカの北朝鮮専門家は「北朝鮮で有事が起きた際の拉致被害者救出計画を日米韓で準備すべきだ」と述べました。
 このところ、横田めぐみさんの生存に関する情報が相次いでいることについて、横田滋さん夫妻は「情報をきっかけに進展することを願っている」と訴えました。(TBS)
・・

 「北朝鮮との戦い」「北朝鮮で有事が起きた際の拉致被害者救出計画を日米韓で準備すべき」・・・。
 これらの発言は、9月に行われた「北朝鮮人権国際会議」の「概括的意見」が、「狂気の独裁政権を倒し、民主化を推し進めるべき」というものであったのと同様に「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」の、きわめて露骨なその政治性を表現している。どのような「政治性」のことか。それを考えるためには、山岡拉致担当相の発言がいかにデタラメであるか、その説明から始めねばならない。


 最も核心的な問題は、なぜ「拉致問題が30年以上経過してもまだ解決できない」(山岡拉致担当相)のか、ということだ。民主党政権と外務省は、本当に「拉致問題の解決」をめざしてきた/いると言えるのだろうか? この間の民主党政権および外務省の動向を分析する限り、めざしてきたとは言えないし、めざそうともしていないと言わざるを得ない。
 その根拠は、民主党が政権交代を機に安倍政権期に打ち出された「対北朝鮮制裁外交」を政策的に見直すのではなく、その逆の方向へとさらにのめり込んでしまったことにある。民主党は、自公政権時代に制定された「北朝鮮人権法」に基づく日本独自の制裁の強化と、国連、二国間、多国間のチャンネルを通じた国際的な対北朝鮮包囲網の形成をもって北朝鮮を「締め上げる」ことを拉致問題解決の「対策」としてきたのである。

 しかし、こんなことをいくら続けても、生存している拉致被害者は永遠に帰ってこないだろう。また、身元不明の拉致被害者の消息もつかめないだろう。そのことは2002年9月の「日朝平壌宣言」から来年で丸10年を迎えようとするのに、拉致解決の具体的進展が何も見られないことにも、はっきりと示されている。
 自らの失策を決して認めようとしない外務省の独断的・独善的暴走と民主党政権の無策。拉致と核の解決を望む私たちはそれを見極め、現状からの方向転換を政府・外務省に促す「輿論」を興すことが必要だ。そうでなければ、米国・中国・ロシア・韓国・日本と同様に、深刻な「人権・人道問題」を抱える北朝鮮のそれも決して改善することはないだろう。

 政府や国連に対する「政策提言」を通じ、国際人権の「普遍化」をめざすという「国際人権NGO」が果たすべき役割は、国家(連合)による武力行使や制裁政治と一体化した「保護する責任」を推進したり、「北朝鮮で有事が起きた際の拉致被害者救出計画を日米韓で準備すべき」と言ってはばからないジンゴリスト(好戦主義者)と共に活動することではないはずだ。
 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)の支持者を始め、アムネスティ・インターナショナル(日本)の理事・事務局・会員・支持者の人々は、ぜひともこのことを真剣に考えてほしい。


 外務省の対北朝鮮「外交」の何が誤っているのか?
 「自らの失策を決して認めようとしない外務省の独断的・独善的暴走と民主党政権の無策」を理解するためには、「日朝平壌宣言」からこの9年間におよぶ「六者協議」と日朝交渉の経緯を、時系列に沿って、押さえておく必要がある。
 「日朝平壌宣言」とはどのような「宣言」なのか、またその後どういう経緯を辿り、今日に至っているのか、知らない人も多いと思う。下の資料にまず目を通してほしい。 
・・参考資料
・「日朝平壌宣言」(2002, 9/17)
・「第4回六者会合に関する共同声明」(2005, 9/19)
・「第1回「日朝国交正常化のための作業部会」の概要」(2007, 3/8)
(政府・外務省の「北朝鮮による日本人拉致問題」「六者会合関連協議」より)
・・
 外務省が今年の6月にまとめた、これまでの「拉致問題の解決その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する政府の取組についての報告」なる文書がある。上にあげた「日朝平壌宣言」「第四回六者会合の共同声明」「第1回「日朝国交正常化のための作業部会」の概要」を熟読するなら、この「報告」がはらむ致命的な問題が浮かび上がってくる。

 「報告」は「1 総論」に続く、「2 拉致問題」の「2)六者会合及び日朝協議」の、「ア.六者会合」において、
○「平成17 (2005)年に採択された六者会合共同声明においては、拉致問題を含めた諸懸案事項を解決することを基礎として、日朝間の国交を正常化するための措置をとることが、六者会合の目標の一つとして位置づけられており、この共同声明の完全な実施が重要である」と述べ、
 また、「イ. 日朝協議」において、
○「政府は、日朝関係について、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現するとの方針である。
 これまで日朝間では、平成20 年に2回にわたり日朝実務者協議が開催され、拉致問題に関する全面的な調査の実施及びその具体的態様等につき日朝間で合意した。
 しかし、同年9月に北朝鮮側から、引き続き日朝実務者協議の合意を履行する立場であるが、調査開始を見合わせるとの連絡があり、それ以降、政府は北朝鮮側に早期の調査開始を繰り返し要求しているが、北朝鮮はいまだに調査を開始していない。政府は、引き続き北朝鮮に対し、拉致問題を含む諸懸案の包括的解決に向けた具体的な行動を求めている」と書いている。

 しかし、「日朝平壌宣言」「六者会合」の「共同声明」のどこを読んでも、そんなことはいっさい書かれていない。「拉致」の「ら」の字も出てこない。読者も自分の目で確認してほしい(「日朝実務者協議」とその行き詰まりについては後述する)。
 この事実を事実として認めることが、拉致・核問題の解決と「米国・中国・ロシア・韓国・日本と同様に、深刻な「人権・人道問題」を抱える北朝鮮のそれ」を改善する出発点となる。

(つづく)

・・・
武器輸出緩和へ新基準 人道目的や共同開発は「例外」
 野田政権は、武器の輸出を原則として禁じる武器輸出三原則について、平和構築・人道目的の場合や、他国との共同開発・生産などを例外とする新たな基準をつくる方針を固めた。年内をめどに結論を出す。
 政府関係者によると、官房長官談話などの形で、武器輸出の例外とする基準を示す。具体的には国連平和維持活動(PKO)や人道目的の支援をする際、武器とみなされる巡視艇の輸出などが想定されている。
 また米以外の国との共同開発・生産を求める民主党政調の提言を踏まえ、対象国の範囲や開発・生産のあり方を検討する。これまでは米国とミサイル防衛(MD)の共同開発に乗り出した際、個別に三原則の「例外」とすることを官房長官談話で表明した。今後は新たな基準をつくり、紛争の助長や情報漏出につながらないよう秘密保持や第三国移転の一定のルールを設けた上で、戦闘機などハイテク兵器の共同開発・生産の拡大を認める方向だ。
 民主党内外で議論を呼びそうな三原則自体の見直しや、輸出禁止の対象となる「武器」の定義の変更には踏み込まない。関係副大臣会合が開かれる12日にも方向性を打ち出す

空自次期主力戦闘機:政府16日にも安保会議で機種決定
 航空自衛隊のF4戦闘機の後継となる次期主力戦闘機(FX)=約40機調達予定=の選定をめぐり、政府は16日にも安全保障会議を開き、機種を決定する方針だ。米国を中心に9カ国が共同開発中のF35(米ロッキード・マーチン社)が有力視されてきたが、開発が遅れ気味で、防衛省の求める16年度からの納入に間に合わない可能性が指摘されている。年末の12年度予算案編成に間に合わせなければならず、選定作業は大詰めを迎えた。
 F35は敵のレーダーに探知されにくいステルス性能の高さが特徴。対立候補はすでに実戦配備されている2機種で、米国が開発したFA18(米ボーイング社)は米海軍の主力機としての実績があり、英独など欧州4カ国が共同開発したユーロファイター(英BAEシステムズ社など)は高い飛行性能などをアピールしている。
 防衛省は9月に各機種の提案書提出を受け、関係各課長らで作る統合プロジェクトチームが、性能▽維持管理を含む経費▽国内企業の製造への参加▽納入後の支援態勢--の4分野で採点。一川保夫防衛相が近く岩崎茂航空幕僚長から結果報告を受け、中江公人事務次官をトップとする機種選定調整会議や政務三役会議を経て機種を内定。その後、安保会議で決定する予定だ。 野党は一川氏が辞任しないままFX選定を担当することに反発している。【毎日、朝日弘行、鈴木泰広】

「パレスチナ人は創作」米大統領選共和党有力候補が発言
 来年秋の米大統領選挙に向けた共和党の指名獲得争いでトップを走るギングリッチ元下院議長が「パレスチナ人は創作された人々で、実際はアラブ人だ」などと発言した。パレスチナの存在を根本から否定する内容で、米内外から批判が出ている。
 ギングリッチ氏はユダヤ系ケーブルテレビの取材で、パレスチナ人について「歴史的にアラブ人コミュニティーの一部であり、どこにでも行くことができた」などと述べた。10日にあった共和党の討論会でも、「彼ら(パレスチナ人)はテロリストだ。学校でテロリズムを教えている」と発言。米政府の対パレスチナ支援への疑問も示した
 米メディアによると、パレスチナ自治政府のファイヤド首相は発言について「イスラエル人の最も過激な者もこんなに馬鹿げた言い方はしない」と反発。アラブ連盟の高官は「(在米ユダヤ人の)わずかな票を得るために、アメリカの国益を損なった」とし、中東和平の仲介役(???)である米国の立場への影響を懸念した。共和党の指名を争うライバルたちも「間違った理解だ」(ロムニー前マサチューセッツ州知事)と発言を問題視するコメントを出した。 (朝日)

韓国:原発新設を許可 東部の2基、福島事故後初
 韓国政府は(12月)2日、原子力安全委員会を開き、東部・蔚珍(ウルジン)で計画中の原子力発電所2基の建設を許可した。3月の東京電力福島第1原発事故後、初の建設許可。建設が完了した南部・釜山(プサン)と南東部・慶州(キョンジュ)の原発各1基の試運転の開始も許可した。 新設される2基は08年9月に許可申請があり審査が続いていた。加圧水型軽水炉で発電量は各140万キロワット。
 韓国では原発21基が稼働し、総発電量の約3割を占める。李明博(イミョンバク)大統領は福島第1原発事故後も「わが国は100%エネルギー輸入国であり、原発を建設し続けねばならない」と推進政策を緩めなかった。また、韓国は国際原発商戦に参入しており、09年末にはアラブ首長国連邦(UAE)から原発を初受注。30年までに原発80基を輸出するという国家目標も掲げている。(毎日) 
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韓国、また原発停止 節電へ対策強化
 韓国南部の釜山市にある古里原発3号機(出力95万キロワット)が14日、タービン発電機の過電圧を防止する装置が作動し、運転を停止した。知識経済省と事業者の「韓国水力原子力」が詳しい原因を調べているが、再稼働のめどは立っていない
 9月に大規模停電が起きた韓国では冬の電力需給が逼迫しているが、東部の蔚珍原発1号機(同)も13日に中央制御室の警報が鳴って運転を停止した。 韓国政府は今月5日から電気料金を平均4・5%値上げし、ネオン点灯を制限、違反企業には罰金も科す厳しい節電策を始めている。(ソウル共同)

韓米原子力協定改定交渉が終了 隔たり埋まらず
 2014年に満了する韓米原子力協定の改定に向けた4回目の交渉が8日に終了した。
 交渉はソウルで6日から行われ、外交通商部の朴魯壁(パク・ノビョク)韓米原子力協定担当大使と米国務省のアインホーン調整官が首席代表として出席し、改定案の草案の内容について意見を交換した。特に、使用済み核燃料の再処理問題について集中的な論議が行われた。
 韓国側は核燃料の保管施設が2016年に飽和状態になると予測しているため、使用済み核燃料の再処理を可能にすべきだと主張したのに対し、米国側は再処理による核兵器製造の可能性などを理由に慎重な立場を示し、双方の隔たりは埋まらなかった。 外交通商部当局者は「協定文を新しく書くための協議の過程なので、共通の理解や認識に基づいた技術的な条件など、さまざまな問題について意見を交換した」と述べた。 韓米は来年上半期(1~6月)に米国で5回目の交渉を行う予定だ。【ソウル聯合ニュース】

韓国政府、軍事境界線隣接地域に電飾塔…北朝鮮強い反発
 西部・東部・中部戦線の3カ所にクリスマスツリー状に電飾を施した塔が立てられる。
 軍当局者は11日、「キリスト教団体の要請により西部戦線の愛妓峰(エギボン)と平和展望台、統一展望台にひとつずつクリスマスツリー型の電飾を施した塔を建てることにした」と明らかにした。
 塔は23日から来年1月6日まで半月間点灯される。これに対し北朝鮮はこの日、対南宣伝用ウェブサイト「わが民族同士」を通じ、「塔を点灯することで予想できない結果がもたらされる場合、全面的責任は南側好戦者にある」と威嚇した。 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

2011年12月10日土曜日

東電一時「国有化」=(電気料金値上げ+増税)+(柏崎刈羽+福島第二再稼働)?

東電一時「国有化」=(電気料金値上げ+増税)+(柏崎刈羽+福島第二再稼働)?

 最低でも一兆円を超える公的資金投入によって、東電の一時「国有化」がほぼ確実となった(現時点では「確定」とは言えないことに注意)。
 しかし、①福島第一1~4号機の廃炉費用と、②放射能汚染→賠償・補償+除染費用の捻出に加え、さらに③福島第一5、6号機と第二原発の稼働停止状態が継続するのであるから、東電が資金調達に行き詰まり、公的資金を投入せざるをえなくなり、それによって「国有化」→解体せざるをえなくなることは、「3・11」直後の段階ですでに分かりきっていたことである。
 さらに、6月以降、定期検査と「ストレステスト」によって、当然にも、柏崎刈羽の原子炉が順次稼働停止に追い込まれてきたのであるから、公的資金投入→東電「国有化」→解体は、夏から秋にかけ、より濃厚になって行ったと言うことができる。なのにまだ野田政権は「で、東電をどうするのか?」に対する明確な方針を打ち出せないでいる。

 私が東電一時「国有化」→再生(「更生」)ではなく「解体」と書くのは、東電に対する感情論からではない。東電は原発事業の存続なくして企業として成り立ちようがなく、「レベル7」の「過酷事故」を起こした企業に原発事業を継続させるということに社会的合意など取れるはずもないからだ。以前にも書いたが、東電が何を言っても、もう私たちは信用できなくなってしまった。
 というか、東電が「何か」をしたり「発表」したりすればするほど、ボロや嘘が明るみになり、すでに「国民」の多くにとって東電という企業は「終わっている」と言うほうが正確だろう。そのような企業が企業形態を温存させたまま生き残り、「公益性/公共性」を帯びた「事業」を継続することなど、ありえない。

 菅・野田と続く民主党政権は、私の目から見るなら、この点に関する認識がきわめて、きわめて甘い。そしてそれがために東電に対する政府方針を未だに確定できずにいる。 さらに悪いことには、その結果、不必要な「国民」の不信・不安・怒り・離反を自ら招いてしまっている。
 「あらゆる可能性を排除しない」。首相によれば、これが昨日段階の政府「方針」であるらしい。来年以降、決めるのだと。東電に対する姿勢、この一点において民主党はさらに無党派層の離反を招くことになるだろう。

 東電の行く末については、主要な新聞メディアによって様々なことが報道されている。しかし、それらも「東京電力に関する経営・財務調査委員会」が10月初旬にまとめた「第10回委員会報告」をベースとし、そこから発展したものである。
 公的資金投入→「国有化」→解体に至らざるをえないことは、その「概要」を一瞥するだけで明白だと思えるので、まずはしっかりこれに目を通しておくことにしよう(必読資料)。

(注)
 福島第二原発を廃炉にせず、再稼働させるなんて「ありえない」と考えている人は多いだろう。しかし、福島県が「脱原発宣言」を発した以降でさえ、第一原発5、6号機の廃炉はもちろん第二原発の処理問題についても何も決まっていないことを確認しておく必要がある。 「枝野vs.東電」がいろいろ取り沙汰されているが、公的に表明されている野田政権のこれらに対する基本的立場は「東電次第」というものである。

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柏崎原発2号機で微量の放射性物質 環境に影響なしと東京電力
 東京電力は9日、定期検査中の柏崎刈羽原発2号機の主排気筒で、8日にごく微量のアルファ線を放出する放射性物質を検出したと発表した。物質は天然のものとみられ、周辺のモニタリングポストに変化がないことから、環境に影響はないとしている。
 東電によると、検査の結果、この物質はコンクリートなどに含まれるポロニウムと推定。原子炉水では検出されなかったため、原子炉建屋内のコンクリートから移動したと推測している。(新潟日報)

東電の安全確保策「妥当」 冷温停止維持で保安院
 経済産業省原子力安全・保安院は9日、東京電力福島第1原発事故の収束作業に関し、東電が提出した今後3年程度の施設運営計画について「公衆や作業員の安全を確保する上で妥当」との評価をまとめた。
 保安院は近く評価書を原子力安全委員会に報告。これを受け、政府は16日に事故収束の工程表の「ステップ2」終了を決定する方針
 保安院は、原子炉の温度計の誤差を見込んでも圧力容器底部で100度以下という冷温停止状態の条件を維持できるとの東電の報告を認め、溶けた燃料が格納容器に漏れている場合でも格納容器内の温度から冷却状態は把握できるとした。(共同)

福島第一で岩盤の揺れ、想定の3倍 保安院が解析
 東日本大震災時に東京電力福島第一原発や東北電力女川原発(宮城県)の地下岩盤部で地震の揺れが、国の新しい耐震指針による想定を上回っていたことが9日、明らかになった。福島第一原発では敷地沖が震源になった場合の揺れの見積もりの約3倍だったうえに、余裕を持たせたはずの設計用の揺れも超えた。地震対策の前提となる揺れの想定が過小評価だったことを裏づけた
 経済産業省原子力安全・保安院が専門家からの意見聴取会で解析結果を明らかにした。原発の耐震設計では直下の岩盤で想定する揺れの「基準地震動」がすべての基本。上に造られる建屋や機器類が地震に耐えるかの評価に使われる。
 第一原発の基準地震動は地下196メートルで600ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)。これに対して解析では675ガルだった。基準地震動は敷地沖の震源域が複数連動すると仮想した地震(マグニチュード〈M〉7.9)などをもとに余裕を上積みしたが、仮想の地震の揺れと比べ約3倍の大きさだった。 (朝日)

復水器継続でメルトダウン回避 1号機解析、東電「困難」
 東電福島第1原発事故で、独立行政法人「原子力安全基盤機構」は9日、1号機の非常用復水器(IC)が津波襲来後も早期に作動し、蒸気の冷却に必要な水が補給できていれば、原子炉の水位が維持されて炉心溶融(メルトダウン)を防ぐことが可能だったとの解析結果を公表した。 東電は、当時の状況では現実には困難(???)だったとの見方を示した。
 ICは事故の際に、原子炉の蒸気を引き込んで冷やし、水に戻して原子炉に戻す設備。電源がなくても作動するが、蒸気や水が通る配管の弁の開閉には電源が必要。(共同)
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 であるなら、「安全対策」の一環として「蒸気や水が通る配管の弁の開閉」のための「非常用電源」を設置しておくべきだったのである。それだけのことだ。つまり、瑕疵責任は東電と政府にある。
 現存する原発の「安全対策」にこれが配備されているか、要チェックである。
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12/11
玄海原発:放射線測定値、変動範囲上回る…3号機の放水口
 佐賀県は11日、九州電力玄海原発(同県玄海町)3号機の放水口で、9日午後3時の放射線測定値が通常の変動範囲を上回る数値を示していたと発表した。3号機では9日午前10時50分ごろ、放射能を帯びた1次冷却水が1.8トン漏れるトラブルが発生しているが、九電はトラブルとの関連を否定し、原因を調査するという。
 同県原子力安全対策課によると、モニターが示したのは473cpm(測定器に1分間に入ってきた放射線の数)。通常の変動範囲は433~472cpmとなっている。放水口からは2次冷却水を冷やすのに使われた海水のほか、発電所内の汚染水を浄化処理した水なども排出される。九電は9日は処理水を放出していないと説明しているという。  測定値は降雨などの自然条件で変動範囲を超えることもあり、昨年12月には雨で507cpmを測定した。9日朝にも雨が観測されている。また放水口周辺に貝類が付着した場合も、貝類の放つ放射線により値が高くなることがあるという。
 モニターは同県環境センター(佐賀市)が常時測定している。データを10日に回収した担当職員は週明けに九電に確認しようと判断したが、11日の別の担当職員がトラブルとの関連から、急きょ九電に確認したという。
 9日の冷却水漏れは3号機の原子炉補助建屋内で発生し、九電は建屋内で汚染水を回収し、外部には漏れていないとしている。汚染水の濃度など詳細は明らかにしていない。(毎日)

<玄海原発>冷却水漏れ1.8トン 九電公表せず
 九州電力は9日、定期検査中の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機で、1次冷却水の浄化やホウ素濃度調節をする系統のポンプの温度が上昇したことを知らせる警報が鳴ったと発表した。その際、放射能を帯びた汚染水(1次冷却水)約1.8トンが漏れたという。
 九電はポンプの異常だけを発表。その後の取材で、夜になって1次冷却水漏れを認めた。「設備の構造を考えると、ポンプの温度上昇と漏水に因果関係はないだろう。通常でも漏れはあり、原子炉建屋内にとどまっているので広報しなかった」としている。
 九電によると、1次冷却水はとい状の設備を伝い、建屋内のピットと呼ばれる回収ますに出た。ポンプが異常を示したのは9日午前10時50分ごろ。3台あるポンプのうち稼働中の1台の温度が上がり、休止していた他のポンプに切り替えて循環を続けている。通常は30~40度で、80度を超えると警報が鳴るという。
 3号機は昨年12月11日から定期検査に入った。原子炉内には燃料が装着されており、冷温停止状態を保つために冷却水を循環させている。原因は冷却水不足などの可能性があり、ポンプを分解するなどして調べる
◇報告義務の対象外
 経済産業省原子力安全・保安院によると、今回のポンプの異常や冷却水漏れは法令による報告義務の対象にあたらない。ただし、九電からは、冷却水が外部に漏れていないことやモニタリングデータに問題がないとの報告があり、原因を調査することを確認したという。【毎日、竹花周、中山裕司】
⇒「九電は情報公開を 玄海3号機冷却水漏れに怒りの声 」(佐賀新聞)

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オスプレイ 衝突防止装置に不具合 国防総省、改善で予算計上
 【中部】2012年秋に米軍普天間飛行場への配備が計画されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、ほかの航空機との衝突を回避する装置に不具合があり、機能改善の予算を米国防総省が計上していることが8日までに明らかになった。米国防次官室(会計監査)のホームページで公開されている11年米会計年度の予算組み替え文書によって指摘された。

 文書によると、「MV22オスプレイの乗務員がアフガニスタン上空でほかの航空機と安全な距離を維持して飛行できない状況にある」とした上で、それは「衝突回避機能の欠如に起因している」と指摘。「同機飛行隊が、壊滅的な衝突を引き起こす可能性を緩和するサポート機能である衝突回避システム(TCAS)を提供するために480万ドル」を計上した。さらに、同予算が「12会計年度の国防予算で積み立てられていないが緊急性が高い」と強調している。
 また、機体の主脚付近や脆弱(ぜいじゃく)な箇所での火災を自律的に検知・抑制する機能の修正に370万ドル、作業負荷を大きく軽減し、土埃(つちぼこり)が舞うような悪条件での操作時の安全性を向上させるため、視界装置の改善に284万ドルも必要として、計上している。(琉球新報)

原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも

原発再稼働・工事再開・新規建設における自治体の責任を問う、何度でも

 脱原発の「牙城」は地方から落とされてゆく。全国的な運動の広がりは、立地自治体(道県・市町村)レベルから崩されてゆく。 これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
 だから、首都圏や大都市圏を始め、それぞれの地域の脱原発派は、諸個人の生活空間を超えて、原発再稼働・新規建設にGO!サインを出そうとする全国各地の立地自治体の行政や議会に対し、それぞれに可能なあらゆる手段を尽くして、ローカルに介入にする必要がある・・・。 そういったことを、この夏、何度か書いた記憶がある。たったひとりでも、海外からでもできることは、いくらでもあるのだと。

 最近の立地自治体の動きの中で、特に注目したいのは青森県だ。
 下の奥羽新報の記事にあるように、知事や立地自治体の首長たちは、原発再稼働・工事再開の判断を事業主体たる電源開発・日本原燃・東北電力・東電に丸投げし、自らの行政責任を回避しようとしている。地域住民の生活の「安全・安心」を顧みず、旧態依然の原発マネーへの立地自治体の屈服である。

 それを背後で操作しているのが野田政権・経産官僚だ。「国策・民営」を法的に正当化する原発関連の現行法体系を口実とした国と自治体の行政責任の放棄が、再び野田政権の下で行われようとしている。
 そしてさらに、こうした国と自治体の政治的・行政的無責任、原発企業の社会的無責任に対し、「科学的知見」の名の下にお墨付きを与え、自らその知恵袋となっているのが、旧帝大7大学を中軸とする国立大学の「専門家」たちだ。「恥を知る」という能力が、人間には本当に備わっているのだろうか?

 歴史はくり返される。二度目は悪夢として。
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大間原発工事 再開に国関与せず
 電源開発(Jパワー)が大間町に建設を計画している大間原発(工事休止中)について、経済産業省資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の森本英雄課長は7日、工事再開の判断に関し「(国として)規制上の手続きはない」と述べ、判断はあくまでも事業者が行うもの-との考えを強調した。
 同日県庁で開かれた県議会原子力・エネルギー対策特別委員会で答弁した。
 建設中の原発をめぐっては、野田佳彦首相が「個々の案件ごとに地元の意向なども踏まえて判断する」としており、一部建設容認を示唆している。
 国は現在、原子力発電を含むエネルギー政策の見直し議論を進めているが、森本課長は「政策を検討しているからといって、工事再開中止を要請することはない」と断言。「地元に説明を行い、理解を得た上で、事業者が判断すること」と繰り返した。
 大間原発は東日本大震災の発生以降、本体工事を中断している。同社の日野稔副社長は特別委で「工事再開は県や地元の理解を得て当社が総合的に判断する。まずは、安全強化対策を着実に実施し、信頼をいただくことが何にも増して重要だと考えている」と説明した。(奥羽日報)
⇒「大間原発の建設凍結 国に要請へ 市議会で函館市長」(北海道新聞)
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  「「揺れは想定内、津波は想定外」?? --東電の「中間報告書」と「検証委員会」の無責任」の中で、「原発の安全神話」から私たちが目覚め、解放されるだけでは「ポスト3・11における原発推進の論理」、すなわち「福島第一原発事故は二度と繰り返さない。ハード面とソフト面における万全の「過酷事故対策」を整備する」という論理に対抗することはできないだろう、と書いた。 まさにこのことが今、青森を始め全国各地で問われている。
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原子力事業者 施設再開は自主判断
 県内原子力施設の安全対策を妥当とした県原子力安全対策検証委員会の判断に関する県議会「原子力・エネルギー対策特別委員会」(神山久志委員長)の質疑が7日、終了した。各委員は、検証結果や今後の対応について技術的な観点も含め、検証委員や事業者らの意見をただした。
 三村申吾知事は安全対策の是非を判断する時期について「県議会や市町村の意見も踏まえて総合的に判断する」(→意味不明)と従来の姿勢を強調。各事業者は試験や工事の再開について自主的に判断する考えを示した。 県庁で開かれた特別委では、
現在運転休止中の東北電力東通原発
試験中断中の日本原燃六ケ所再処理工場
建設休止中の電源開発(Jパワー)大間原発
リサイクル燃料貯蔵使用済み核燃料中間貯蔵施設
東京電力東通原発の安全対策に関する検証結果
などについて質疑。検証委の田中知委員長(東京大学大学院教授)ら検証委のメンバー、国や事業者幹部ら29人が参考人として出席した。

 委員の質問は、県内各施設の再開時期や県の関与などに集中した。東北電力東通原発の再稼働について、三村知事は「ストレステスト(耐性評価)を踏まえ、政治的な判断をするのは国」と強調。他の施設について、県エネルギー総合対策局の阿部耕造局長は「工事や試験は自主的に事業者が中断している。再開については、事業者がさまざまな状況を踏まえて総合的に判断する」と答えた。
 各事業者も、県の姿勢に合わせるかのように「社として総合的に(再開を)判断する」とそろって答弁。経済産業省原子力安全・保安院の山田知穂・原子力発電安全審査課長は「国として安全上の観点から停止する理由はない」として事業者が最終的に判断する-とした。ただ、東通原発の再稼働について「地元の理解を得られているか確認した上で政治レベルで判断する」と立地自治体の意向も考慮する姿勢だ。

 一方で、検証委が「完全なる安全はない」と県への報告書に記した(!!!)ことに、高橋修一委員(自民)は「技術論としては理解するが、地元としてはそういう施設なら再開を受け入れられないという思いが募る。事業者は完全に安全な施設と明言できるのか」と質問。安藤晴美委員(共産)は、施設再開判断に関与しない県の姿勢を批判した。
 県は8日に、青森市内で市町村長会議を開き、市町村長や議会関係者から意見聴取するほか、特別委の議論を踏まえ、県議会各会派からも意見を聞く方針だ。三村知事は月内にも安全対策の妥当性を判断するとみられる。

解説/知事発言修正は責任回避
 県が設置した外部検証委の検証結果を“揉(も)む”県議会特別委が終了。三村申吾知事は月内にも県内原子力施設の安全対策の是非を判断する。しかし、知事自身が最近になって各施設の工事や試験再開、原発再稼働については「事業者が自主的に止めている」「県が判断する立場ではない」などと軌道修正しており、結局は各事業者に判断を委ねたにすぎない。
 原発再稼働などに“お墨付き”を与えるという意味合いが濃かった検証委の存在意義も、国がストレステスト(耐性評価)の実施を前提とするなど、原子力をめぐる情勢が二転三転するにつれて薄れたと言える。
 原子力施設の工事や試験再開に、県の同意を必要とする法的根拠はない。だが、原子力施設の立地をめぐっては、これまで県はじめ地元市町村の意向が強く反映された歴史がある。
 三村知事は以前から県民の安全安心確保を前提に原子力政策に協力してきた。一方、今回の安全対策に関する県民説明会については、7月に既に開催したとして開かない考えだ。
 施設の工事、試験再開は事業者の判断に委ねられるが、国のエネルギー政策の方向が定まっていない状況で、各事業者が独断で再開、再稼働を判断することは事実上困難で、しかも世論の反発を招きかねない。知事の軌道修正発言は、落としどころを見失った検証委の役割を事業者に丸投げしたかのようで責任回避に映る。(東奥日報)

検証委の結果に市町村長異論なし
 県内原子力施設の安全対策を妥当とした県原子力安全対策検証委員会の判断を踏まえ、県は8日、県内市町村長に対する説明会を青森市のホテル青森で開いた。原子力施設が立地する下北地域の首長は、運転・工事休止中の原発の再開や避難道路の整備を主張。立地地域外の首長からは安全対策の徹底などを求める声が出た。検証結果に対する異論はなく、各市町村長らも“お墨付き”を与えた形となった。(東奥日報)

原発工事再開に慎重論も/市町村長説明会
 青森県は8日、県原子力安全対策検証委員会の検証結果に関する市町村長説明会を、青森市内で開いた。大間町で建設中の大間原発の工事再開をめぐり、隣接する風間浦村の飯田浩一村長は避難道路整備を訴え、「安心、安全が得られないうちに(工事を)やるのは不安だ」と慎重論を唱えた。一方、原発が立地する同町の金澤満春町長と東通村の越善靖夫村長は、従来通り原子力政策推進の必要性を強調した。 (デーリー東北)
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青森県原子力安全対策検証委員会
設置要綱(趣旨)
第1 県は、県内の原子力施設に係る安全確保について、県民の安全・安心のために、国及び事業者が行う安全対策を独自に厳しく検証することが必要であることから、専門家による県独自の検証を行うため、青森県原子力安全対策検証委員会を設置する。
・出光一哉(九州大学大学院工学研究院エネルギー量子工学専攻教授)
・今村文彦(東北大学大学院工学研究科教授)
・片岡俊一(弘前大学大学院理工学研究科准教授)
・片田敏孝(群馬大学大学院教授 広域首都圏防災研究センター長)
・釜江克宏(京都大学原子炉実験所附属安全原子力システム研究センター教授 兼 京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー社会・環境科学専攻教授)
・神田玲子(放射線医学総合研究所放射線防護研究センター上席研究員)
・柴田鉄治(科学ジャーナリスト・元朝日新聞論説委員)
・杉山憲一郎(北海道大学大学院工学研究院教授)
・滝田貢(八戸工業大学大学院工学研究科建築工学専攻教授)
田中知(東京大学大学院工学系研究科教授)⇒委員長
・谷口武俊((財)電力中央研究所研究参事)
・本間俊充(日本原子力研究開発機構安全研究センター副センター長)
・山口彰(大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻教授)
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 いったいこの面々で、「県民の安全・安心のために、国及び事業者が行う安全対策を独自に厳しく検証する」ことが可能だろうか?
 「検証委」の委員長たる田中教授は、安全・保安院に10月設置された全国の原発の「安全対策の妥当性」を議論する専門家による「意見聴取会」のメンバーであるが、来年1月に「中間報告」が、3月までには「最終報告」をまとめるというこの「意見聴取会」の内容も、読まなくとも透けて見えるようだ。( なお、「東大原子力グループ」を代表しながら世界の原子力産業を「先導」するという田中教授の紹介については「福島第一原発は「止まった」か?」の下段を参照してほしい。)
 青森県民や道南の人々は、なぜ上の「意見聴取会」による「最終報告書」がまとまる前に県の「検証委」が結論を出せるのか、このことをまず田中教授に質すべきだろう。
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原発検査の抜本見直しを 独法評価委、経産相に要請
 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は9日、ミスが相次いで発覚した原子力安全基盤機構の原発検査業務について「国民の期待に応えてきたとは言い難い」として、抜本的な見直しを求める通知を所管する枝野幸男経済産業相に出した。
 通知は、機構が原子力事業者の出身者を検査員として多数採用していることに「検査の中立性、公平性に疑念が生じている」と指摘。事業者に頼らずに検査員を育成するよう求めた。(共同)
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 「評価委員会」が「通知」するまでもなく、こんなことはかねてより指摘されてきたことである。
 青森県、立地自治体は「検証委」の報告を、公開の場で、抜本的に再検証すべきである。検査のみならず、検証の「中立性、公平性に疑念が生じている」し、その存在自体が「県民の期待に応えてきたとは言い難い」。 はっきり言って、無茶苦茶である。

 さらに、今日(12/10)の毎日新聞(「原発:耐震指針改定へ…「海外の大津波も考慮を」」)によれば、「原発の安全審査の基準となる耐震設計審査指針」の改定を議論する内閣府原子力安全委員会の小委員会は、「原発ごとに最大規模の津波を想定する際、周辺地盤の調査だけでなく、海外で起きた大規模津波も考慮するよう求める方針を固め」、「12日の小委員会で指針改定案をまとめる予定」だという。

 「現行指針では「極めてまれに発生する可能性がある津波によっても、安全機能が重大な影響を受けない」としか規定がない」。これに対し、「改定案では、各原発周辺の地震動調査に基づいて規模を想定するだけでは「限界がある」として・・・海外で起きた地震に伴って発生する「遠地津波」も考慮するよう規定する」。
 「一方、想定を超えた津波が来た場合の対応については、指針ではなく電力各社に義務づける「過酷事故対策」で、機器、部屋、建屋の各段階で止水対策などを講じるよう事業者に求める方向で、安全委が最終調整を進めている」。 
 要するに、青森県(および立地自治体)は、最低限、これからまとめられる国の新指針に適合するものとして、
・現在運転休止中の東北電力東通原発
・試験中断中の日本原燃六ケ所再処理工場
・建設休止中の電源開発(Jパワー)大間原発、
・リサイクル燃料貯蔵使用済み核燃料中間貯蔵施設
・東京電力東通原発の安全対策に関する検証結果、
これらすべての「安全対策」を一から検証し直す行政責任を負っている。 そしてこのことは必然的に、三村知事が「月内にも安全対策の妥当性を判断」することの不可能性を意味することになる。

 知事や立地自治体の首長としては、来週末にも政府が発表するであろう「冷温停止」の政治宣言を受け、「安全対策の妥当性」を政治宣言するつもりだったのかも知れない。が、間違ってもそんなことが起らぬよう、青森県に対するモニタリングを、私たちはさらに厳しくする必要があるだろう。

・・・
東海第二原発再稼働 村、周辺自治体と是非協議へ
 茨城県東海村は村内にある定期検査中の東海第二原発の再稼働の是非などを周辺自治体と話し合う懇談会を来年一月にも設置し、議論をスタートさせる方針を明らかにした。七日の村議会で川崎篤子(共産)、豊島寛一(光風会)両氏の一般質問に村側が答えた。(井上靖史)
 実務責任者の前田豊・同村理事によると、これまでに隣接する日立、ひたちなか、那珂、常陸太田の各市と同原発のおおむね二〇キロ圏に入る水戸市が参加を表明。今後さらに増える可能性がある。
 福島第一原発事故では影響が立地自治体を超えて広範囲に及んだことから、東海第二原発も広域で対応を考える必要があるとの意見で一致した。懇談会は首長で構成し、事務局は東海村に置く。必要に応じて事業者の日本原子力発電や国から説明を求めるという。
 議会休憩中に取材に応じた村上達也村長は懇談会を「無理に意見を統一するものではない。最終的な判断は各自治体がすればいい」とし、原発に対する問題点などの話し合いの場とする意向だ。ここで各自治体の足並みがそろう可能性もある。東海村が検討している研究機関などを集約した「原子力センター構想」での連携も議題にしたいという。(東京新聞)

東海第2原発、圧力容器から22トン漏水 作業ミスか「環境影響ない」
 日本原子力発電(原電)は(10月)26日、定期検査中の東海第2原発で、原子炉圧力容器の下部にある制御棒を出し入れする駆動装置から放射性物質を含む水が漏れたと発表した。漏えいは約4時間にわたり、原電の推計では原子炉内の冷却水約22・4トンが格納容器内に流れ出た。周辺環境への影響はなかった。作業員4人が水をかぶったが、被ばくは確認されていない。
 定期検査に伴い制御棒を取り外して分解点検する作業中で、原電は、同装置から水漏れを防ぐ鉄板を取り外す際、作業員が外す箇所を間違えた可能性が高いと見て、詳しく原因を調べている。

 原電によると、同日午前10時20分ごろ、格納容器内の廃液を回収する設備の水位上昇を示す警報が鳴り、運転員が制御棒駆動装置の下端部1カ所から水が漏れているのを確認。作業員の1人が鉄板のねじを外した箇所のパッキンが緩み、水が漏れ出たという。 使用済み燃料プールに移していた制御棒1本を同装置に戻して穴をふさいだ後、ねじを締め直し、午後2時14分に漏水停止を確認。漏水はすべて廃液処理系の設備で回収した。水に含まれる放射性物質は1立方センチメートル当たり0・4ベクレルと微量。定期検査中のため、原子炉の燃料は使用済み燃料プールに移された状態だったが、水位の変動や冷却機能への影響はなかった。
 同装置は制御棒の挿入により水を通さない仕組みで、制御棒を取り外す際は漏水防止用の鉄板を取り付ける。通常の手順では制御棒を戻した後に鉄板を外すが、作業員は誤って制御棒が挿入されていない別の箇所の鉄板を外したと見られる。 原電は同日、県庁で会見し「原子炉からの漏えいであり、重大な問題と受け止めている」と謝罪。来年8月上旬まで延長が決まっている定期検査の工程には影響しないとの見通しを示した。県と東海村など周辺7市町村は同日、東海第2原発を立ち入り調査した。(茨城新聞)

浪江・小高原発中止決議案を可決 南相馬市議会全会一致
 5日開会した南相馬市の12月定例議会で、市議会の東日本大震災及び原発事故対策調査特別委員会は東北電力が計画している浪江・小高原子力発電所の建設中止と県内全ての原発の廃炉を求める決議案を提出。決議案は全会一致で原案通り可決した。
 市の合併協定書に「電力需要、社会環境の変化を踏まえ地域住民の安全確保と環境保全に最大限留意しながら関係機関と検討する」とあることから、渡部寛一委員長は「東京電力福島第一原発事故後、立地を受け入れる要素はない」と決議案を読み上げた。 市は国の原発関連交付金を辞退するなど、脱原発を表明している。議会で決議案が可決されたことで、市の脱原発の姿勢を明確にした。(福島民報)

南相馬市も脱原発 (日テレnews24より抜粋)
――浪江小高原発は、強い反対の声もありながら、用地買収が着々と進められていた。その背景にあったのは、「原発マネー」と「安全神話」だった。
 私たちがむかったのは、市内の仮設住宅。 「人間の欲だ。そういうのがでていてね…」
 こう語るのは、市内・小高区から避難する兼業農家の鈴木敬徳さん。 「(当時・農協の)組合員の総会があったんだよ。そのときに原発建設反対の緊急動議が出された。そこで満場一致で反対が出された」 しかし、いつしか多くの人たちの気持ちに変化が出ていた。
 「現実に声を上げて反対ということは酒飲み話では出てきたが普通の会合であまり聞かない話」
 いまや、多くの人が避難する原因になってしまった原発。それがなぜ、反対から誘致に傾いていったのでしょうか。 「浜通り、相双地区がこれといった企業もなく働く場所もなかった時代に、東京電力が原発を作ったらものすごい雇用の創出になった。それがみんなね、このへんは出稼ぎをやっていた、出稼ぎをしなくてそれよりもいい賃金がとれる、きそって東電の建設に従事していた」
 そんな原発をわが町にも、そんな思いだったのかもしれない。鈴木さんも当時、原発の建設工事に従事した。
 「私も日雇いで通っていた、そのときの安全神話は100パーセント信用していた」
 「原発マネー」と「安全神話」でいつしか原発誘致に傾いていったのだ。「いまの東京電力のあの状態をみれば、いまさら自分のそばに原発をつくるのはかんがえられない。放射能におわれて、私たちは避難しているわけだから」 そして、提出された決議案は可決された。
*南相馬市・桜井市長インタビュー
 「市民の皆さんが一日も早く戻るために、原発の廃炉があって、歴史的に先達から受け継いだ土地に戻れることがなにより、きょうの議決は歴史的意味がある」
 脱原発の動きが広がる県内。 東北電力では「浪江・小高原発の開発について見通しをいう状況にはない」としている。

2011年12月7日水曜日

「揺れは想定内、津波は想定外」?? --東電の「中間報告書」と「検証委員会」の無責任

「揺れは想定内、津波は想定外」?? --東電の「中間報告書」と「検証委員会」の無責任


 昨日(12/6)、経産省の原子力安全・保安院が東電社員に対して行った「聞き取り調査」の結果の「メモ」が公表された。 その中で、ベントを行おうとした際、べント配管が地震で破損していたために操作できなかったこと、つまりは第一原発が地震に耐える事ができなかったがゆえにベントに失敗した「可能性」がある(と指摘した社員がいた)ことが明らかにされた。 復習しておくなら、べントとは、原子炉の爆発や損壊を回避するために、格納容器の圧力を下げる目的で放射性物質が充満する内部の気体を原子炉外部に放出すること、である。言わば、今回のようなメルトダウン→メルトスルーを回避する「最後の、そのまた最後の手段」と定義することができる。

 このことを念頭に置きながら、先週の金曜(12/2)に公表された東電による「事故調査」の「中間報告書」を読んで頂きたい。全文を転載することはできないので、ネットから削除される前に新聞報道をクリップしておこう。
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「揺れは想定内、津波は想定外」東電が中間報告書
 東京電力は2日、福島第一原発の事故調査に関する中間報告書を公表した。法令や国の指導に基づいて安全対策を施し、過酷事故に備えたが、想定を超える津波に襲われて事故が起きたと結論づけた。自己弁護ともとれる内容で、報告書を検証した外部の専門家らの指摘ともかみ合わず、不明な点も多く残った。

 報告書は、東電が作った事故調査委員会が、計測されたデータや運転員ら250人以上の聞き取りをもとに作成した。だが、1号機の原子炉建屋で爆発前に放射線量が異常に上昇したにもかかわらず、水素爆発を考えずに対策をとらなかった経緯などは記述がなく、不明のままだ。
 地震直後に1号機で起動した原子炉を冷やす非常用復水器については、運転員の判断で手動で止めた。しかし、運転し続けたとしても、すでに炉心損傷は起きており、事故の拡大は防げなかったとの見解を示した。  機器の故障を想定して複数の非常用冷却設備を設置するなどの事前の対策が、国の安全審査に適合していたことを強調。過酷事故への対応策も「国と一体になって整備を進めた」と記した。

 今回の地震は2002年に示された国の地震調査研究推進本部の見解や、869年の貞観地震より震源が広範囲な巨大地震だったが、揺れは想定と同程度で、確認した範囲では揺れによる安全上重要な機器の損傷はないとした。一方、津波は想定を大きく超え、最新の知見に沿って自主的な検討や調査もしたが、結果的に津波に対する備えが足りず、被害を防げなかったと説明した。
 このため、非常用発電機は6号機の1台を除きすべて使えなくなった。安全の想定を超えた事象が起き、原子炉を冷やすための機能が失われ、1~3号機で炉心損傷が起きた。さらに原子炉建屋で水素爆発が起きた。
 津波到達後は、消火用の配管を使って原子炉を冷やす作業を実施。事故対応のマニュアルにはなかったが、消防車のポンプを使うなど臨機応変の動作(??)を試みたなどとした。

 東電は今回、矢川元基東京大名誉教授(注)ら外部の専門家による検証委員会を設置し、調査内容について意見を聞いた。委員会は「事故の直接の原因は未曽有の津波だが、アクシデントマネジメント(過酷事故対策)を含むハード面、ソフト面での事前の安全対策が十分でなかった」とし、「過酷事故が起こり得ないという『安全神話』から抜け出せなかったことが背景にある」と指摘した。
 これに対し、東電事故調査委員長の山崎雅男副社長は「できるだけの安全対策に努めてきていることは事実として確認している。アクシデントマネジメントについても必要な対策をとってきた。今回の事故は想定を超える津波による浸水が原因だった」と話した。
 今回は、中間報告で事故時の設備の状態などを調査した。東電は調査結果をふまえ、非常用発電機などが浸水しないよう対策をとる。今後、社内の意思決定過程や情報公開のあり方などについても調査し、来年6月ごろに最終報告書をまとめる。(朝日・坪谷英紀)
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なぜ、「中間報告書」を問題にするのか?
 東電の「中間報告書」がこのような内容になることは、「3・11」直後からわかっていた。だからこそ私は徹底して東電の責任を問題にしてきたわけだが、東電という一企業体とそれに対する批判は私の中ですでに終わっている。
 では、なぜ今更これを問題にするのか? それは簡単に言えば、脱原発の論理を「原発の安全神話」批判から、原発の事業主体たる電力会社とそれを「監督・指導」すべき国の「ガバナンス」批判へと発展させるためである。

 これまで何度か述べてきたように、原発は工学的に「安全」だから建設されてきたわけではないし、「不安全」「危険」だから廃止できるわけでもない。もちろん、「原発の安全神話」から私たちが目覚め、解放されることが脱原発の大前提になる。しかしそれだけでは「ポスト3・11における原発推進の論理」、すなわち「福島第一原発事故は二度と繰り返さない。ハード面とソフト面における万全の「過酷事故対策」を整備する」という論理に対抗することはできないだろう。

 「国策・民営」で管理・運営される日本の原発は、東電に象徴される日本の電力企業の「コーポレート・ガバナンス」と、既成政党(民主党であれ自民党であれ)と官僚機構(内閣府・経産省・文科省・・・)による「ガバナンス」の質と水準ではメルトダウン→メルトスルーに対処しきれない。私たちはそのことを「ポスト3・11」の全過程における国と東電(+米仏の原子力企業)の対応を見る中で、こちらの気が滅入ってしまうほど、厭というほど思い知らされた。

 これはもはや原発が「安全」か否か云々、「ソフト面」における「リスクマネジメント」をどうするこうする云々、今更のようにドラッカーを読んでどうなるこうなるの問題ではない。私たちは今のこの国の政府・官僚機構・東電という一企業の在り方、その無責任体系の中に投影された〈私たち自身のガバナンスの質と水準〉において、原発という持ってはいけないもの、持てるはずがなかったもの、を持ってしまったのである。
(⇒「政府・東電は、なぜ「冷温停止」を急ぐのか?」(10/18)を参照)

 幾分文学的な表現をするなら、東電はその意味で私たち自身の姿を映す鏡でもある。だから、国や東電をただコキ下ろすことだけを目的にしたような外在的批判では「原発問題の本質」を捉え、乗り越えるヒントをつかむことはできないだろう。「中間報告書」に読むべきは、そういうことではないかと私は思う。
 「慙愧に耐えない」とは、まさにこういうことを言うのではないだろうか。


「検証委員会」の無責任
 冒頭の朝日新聞の記事は、「中間報告書」が「自己弁護ともとれる内容で、報告書を検証した外部の専門家らの指摘ともかみ合わず、不明な点も多く残った」と書いている。「外部の専門家らの指摘」は「中間報告書」と本当に「かみ合」っていないのだろうか、そうだとしたら何がかみ合っていないのか。
 この問題を考えるにあたって、まずは政府の「事故調」の動きをみておこう。 
・・
原発事故調、住民への情報に不備 可能だった津波対策
 政府の東京電力福島第1原発事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)が
(1)大津波に備えた防水対策や電源準備は可能だったが、実施されなかった
(2)避難住民に被ばく軽減のため必要な情報や指示が届けられなかった
の2点を問題視し、26日に公表する中間報告で事故の教訓を得るための考察の柱にする方向で調整していることが7日分かった。
 また吉田昌郎前所長が調査委の事情聴取で、原子炉格納容器が爆発して収束作業が不可能になり、はるかに多くの放射性物質が飛散する事態を懸念したと証言したことが分かった。(共同)
・・

(つづく)

(注)
矢川元基(東京大学大学院工学系研究科修了、東京大学名誉教授)
(公益財団法人)「原子力安全研究協会(NSRA)」理事長。
・略歴
日本原子力学会理事、日本原子力研究所特別研究員、国土交通省・放射性物質等海上輸送技術顧問会会長、 文部科学省科学技術・学術審議会専門委員、フランス原子力庁国際諮問委員などを歴任。
・原発関連著作
『原子炉構造工学』 原子力工学シリーズ, 東京大学出版会, 1976 (宮 健三、矢川元基)
『原子炉構造設計』 培風館, 1989 (矢川元基、一宮正和)
『核融合炉構造設計』 培風館, 1995 (矢川元基、堀江知義)
『原子力プラントのエイジングと寿命評価』 原子力安全研究協会, 2008 (矢川元基)

・・
12/8
東電、汚染水の海洋放出を計画 漁業団体が猛反発
 東電は8日、福島第1原発で貯蔵している低濃度汚染水を来年3月にも海洋に放出する計画をまとめ、漁業団体に説明したことを明らかにした。過去に漁業関係者や海外から批判を浴びており、今回も漁業関係者らは強く反発している。
 計画しているのは建屋地下などに流入した汚染水から放射性物質を分離処理後の水。原子炉への注水などに利用しているが、注水に必要な量以上の処理水が発生している。 放出する場合は、放射性ストロンチウムなども処理し、法令で定める周辺海域での基準値以下まで下げるとしている。 建屋地下への流入水は、来年3月にも貯蔵しきれなくなるおそれがあるという。(共同)

12/7
東電撤退「伝達あった」=原発事故で菅前首相
 民主党の菅直人前首相は7日午前、TBSテレビの番組に出演し、3月の東京電力福島第1原発事故の直後に東電が同原発から全面撤退する意向を首相官邸に伝達したとされる問題について、「直接の話は清水正孝社長から海江田万里経済産業相、枝野幸男官房長官(いずれも当時)にあった」と述べた。
 東電の社内調査委員会が2日にまとめた中間報告では、撤退伝達を否定している。これについて菅氏は「東電はその後、全面撤退ではなく一時避難だと言っているが、受け止めた2人(海江田、枝野両氏)は『撤退したいという話で重大な問題だから』と私に話があった」と語った。 (時事)
 ↓
 「全面撤退ではなく一時避難」? どこから、どこへ「避難」するというのか? 福島から自宅?
 私には意味がさっぱりわからない。

前所長らの証言内容、保安院が東電依頼で修正
 経済産業省原子力安全・保安院が東京電力福島第1原子力発電所の吉田昌郎・前所長らに現場の状況などを聴取した結果の概要を9月に発表した際、東電本店の依頼に応じて、証言の内容を修正していたことが6日に保安院が公開した聴取結果の資料から分かった。 保安院は「(事実関係が確認できず)表現を東電と調整した」と説明している。事故発生当初の現場関係者の声に手を加えて発表してきたことになり、調査の信頼性が問われそうだ。

 保安院は8月に吉田前所長ら8人に聴取し、9月に結果の概要版を発表した。概要版では、福島第1原発1号機の非常用復水器2台の津波襲来時の運転状況について「両方とも隔離弁の開閉状態は不明」としていた。
 ところが6日公開された聴取結果の資料によると、現場関係者は「両方とも閉止していた」と証言。保安院によると、概要版公表前に内容を調整し、東電側が証言が事実かどうか不明と主張したため「不明」と書き換えたという。 保安院は「公開しない前提で調査し(東電の)意向を尊重した」(???)と説明。聴取結果の資料の20カ所以上の黒塗り部分についても「東電の依頼で非公開にした」(!!)という。(日経)

想定甘く準備不足 福島原発事故、前所長ら聴取結果 /冷却装置、動作と誤認 保安院公表
 経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第1原子力発電所の事故について、吉田昌郎前所長ら8人に現場の状況などを聞き取り調査した結果を公開した。全電源が失われ放射線量も高い環境下で、人員や機材が足りず作業に手間取った。燃料損傷の可能性には早い段階で気付いたが水素爆発は考えず、想定の甘さや準備不足が改めて浮き彫りになった。
 調査は8月4~19日、保安院担当者らが東電本店と福島第1原発で実施した。公開された調査結果は「所内の情報伝達」「手順書・マニュアル」などの項目ごとに聞き取りで判明した状況をまとめており、個々の証言者名は示していない。黒塗り部分が20カ所以上ある。 調査結果によると、緊急時に集まる担当者は決めてあったが、

1~6号機の同時事故は想定していなかった
協力企業の一部が大津波警報で退避し、資材の保管場所が分からない東電社員が作業した。

 電源車が必要と判断したのは3月11日午後6時ごろ。自衛隊による空輸は重量オーバーで断念。同日午後9時~12日未明に陸路で着いたが、接続しやすい中圧タイプはなかった。メーカーから仮設電源盤を取り寄せ、外部電源の復旧に着手できたのは15日だった。
 冷却用の注水では手順書に示された消火栓が使えず、消防車を利用。しかし発電所にあった3台のうち1台は津波で故障、1台は所内道路の損傷で12日午後まで動かせなかった。

 津波直後は全体の状況把握で精いっぱいで、1号機の原子炉を冷やす非常用復水器の作業に集中できなかった。復水器は動作していると誤認、水位計の誤表示で燃料の露出にも気付かなかった
 燃料損傷の可能性は11日夜に1号機原子炉建屋で放射線量が上昇した時に認識。水素が発生すると分かっていたが、建屋が水素爆発するとは考えなかった。調査結果はベント(排気)の作業に必要な、ボンベと弁をつなぐ配管が地震で壊れていた可能性にも触れている。(日経)

「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「福島第一原発は「止まった」か?」(10/31)
⇒「原発推進派のコスト論のコスト」(10/27)

・・・
美浜原発2号機でトラブル、手動停止へ
 関西電力は7日、運転中の美浜原子力発電所2号機(福井県美浜町、加圧水型軽水炉、出力50万キロ・ワット)で、原子炉格納容器内にある加圧器の圧力を調整する装置から1次冷却水が漏れるトラブルがあり、8日未明に原子炉を手動停止すると発表した。 トラブルによる環境への放射能の影響はないという。

 関電によると、この装置は、加圧器内の圧力が高まると自動的に弁が開き、加圧器に水を送って圧力を下げる仕組み。11月9日頃に装置内の弁の一部から、水漏れを想定して設けている配管内に漏れ始め、11月18日に1時間あたり30リットルの漏れを確認した。その後、漏えい量は12月7日に同230リットルにまで増え、今後、液体廃棄物の処理能力を超える可能性があるため手動停止を決めたという。(読売)

原発住民投票法案を提出=みんな
 みんなの党は7日、原発住民投票法案を参院に提出した。定期検査を終えた原発を再稼働させるため、国は都道府県知事の同意を求めなければならないと規定。都道府県知事は近隣住民の意見を尊重し、必要に応じて住民投票を行うことができるとしている。(時事)
⇒「原発再稼動の是非は広域的住民投票によって決めよう! 」(10/10)

自衛隊の「国際平和協力」と「保護する責任(R2P)」

 自衛隊の「国際平和協力」と「保護する責任(R2P)」


 『外交』という名の外務省の広報雑誌(創刊は去年)を、ご存知だろうか。
 いや、「外務省の広報雑誌」という言い方は編集委員に失礼かもしれない。たとえ外務省が発行元(つまり、発行に税金が投入されているということ)であれ、各号の「企画・内容は独立した編集委員会が決定」し、「国内唯一の外交専門誌として、幅広い論者が意見を交わす「場」」、というのが雑誌のフレコミになっているからである。

 ところが。外務省の「広報・出版」のサイトを見ると、冒頭に『外交』が紹介されている。どうも外務省にとってのこの雑誌の位置付けと編集側のフレコミにはギャップがあるようなのだが、これはどのように理解すればよいのだろう。

 編集委員長の中西寛(京都大学大学院教授)氏。この人は、
・「「21世紀日本の構想」懇談会」(1999年5月 - 2000年1月)に始まり、首相の私的諮問機関である
・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(2007年4月-08年6月)、
・「安全保障と防衛力に関する懇談会」(2009年1月 - 8月 麻生内閣)、
「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(2010年2月 - 8月 鳩山内閣〜菅内閣)と、
自公連立時代から政権交代後の民主党政権を股にかけ、これら「懇談会」の「委員」を務めてきた大学人である。
 また、編集委員には日本のNGOを代表する立場かどうかは定かではないが、ジャパン・プラットフォームの代表理事であり、「難民を助ける会」の理事長でもある長有紀枝氏(立教大学教授)も名を連ねている。

 この『外交』の最新号に、『脱「国際協力――開発と平和構築を超えて』の書評が掲載されている。龍谷大学でのシンポジウムを終え、紅葉をまだ楽しめた関西から戻ると、版元の新評論から送られてきていて、つい先ほどまで目を通していた。

 書評を読んで感じた微妙な違和感について、書く時間の余裕はない。というのも、①シンポジウムの報告を始め、②原発関連(東電による「事故調査」の「中間報告」、原発の海外輸出問題(東芝や三菱重工の動き)、東海第二原発における放射能に汚染された冷却水漏出問題、等々)、③「世界経済のメルトダウン(改定版)、⑤壊れる世界の大学と学生運動(改定版)等々等々と、書き記しておかねばならないことが、たまりにたまっているからである。

 しかし、本題に入る前に、一言だけ書評について触れておきたいことがある。それは、書評では私が書いた序章と「「保護する責任」にNO!という責任」が言及されているのだが、「保護する責任」に関する私の論文が「「保護する責任」に対する慎重論を展開」していると、論文の本旨を完全に歪曲しながら紹介されていることについてである。

 私は、R2Pに対する「慎重論」を「展開」した覚えはない。国際人権・開発NGOや、「難民を助ける会」などの「緊急人道支援」NGOが、軍民一体となって「破綻国家」に介入する責任を主張し、紛争や内戦を長期化させ、その国に生きる人々の自立を阻むR2Pに対して、「NO!という責任」があると「展開」しているのである。
 
 外務省の広報誌で何であれ、自分が関わった本を批評し紹介してもらうのは、とても有難いことだ。それが内容のある批判であれば、もっと有難いと思うだろう。 しかし、論旨の歪曲は困る。これはどのような書評であれ、評者が守るべき「最低ラインのルール」だと思うのだ。

 ではなぜ、R2Pに「NO!という責任」がR2Pに対する「慎重論」へと歪められてしまうのか?
 『外交』が外務省の広報雑誌であるという点から考えるなら、その理由はいたって単純明快だ。 
 安保理常任理事国構成国による武力行使抜きには成立しないR2Pを、情報開示もせず私たちが知らない間に、しかも国会での事前審議も抜きに外務省が国連で承認し、R2Pはいまや
①「国際の平和と安全」に「貢献」するという外務省主導の外交・開発援助戦略(アフガニスタン・イラク・リビア・南スーダン「復興開発・人道」支援、ソマリアに対する対テロ戦争と一体化した人道支援・・・)や、
②「平和構築」と並ぶ自衛隊の「国際平和協力」活動、つまりは武力紛争の真っ只中にある国や地域における、武力行使を排除しない国連PKOへの部隊参加を正当化する、そのための「規範」や「大義」として位置付けられるようになったからである。

 外務省としては、自らが発行元になっている広報雑誌に、自らが戦略的に推進してきたR2Pの「地球規範」化に「「NO!」という責任」を主張する論考の本旨を掲載するわけにはいかない、また、実は中西編集委員長はもとより長編集委員もまたR2Pの積極的な支持者であり推進者であってみれば、このような歪曲が起こったとしても何ら不思議はない・・・。

 ここで注目しておきたいのが、防衛省所管の「統合幕僚学校」に設置された「国際平和協力センター」である。この「センター」が主催する第1回の「国際平和と安全シンポジウム」が、まさに今日と明日の二日間に及び開催されている。そして驚くなかれ、このシンポで「文民の保護」と題した講演をヒューマン・ライツ・ウォッチ(東京オフィス)の土井香苗氏が行っっている。

「国際人権NGO」、ヒューマン・ライツ・ウォッチは〈どこまで〉ゆくのか?

(つづく)

・・・
自衛隊の「国際平和協力」と「保護する責任(R2P)」(資料)
グローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)
・9月22日、ニューヨークにおいて設立。(GCTF:Global Counterterrorism Forum)
・GCTF設立文書採択、カイロ宣言と暴力的過激主義対策のためのセンター設置について発表。
・玄葉外務大臣→「テロという国境をこえた人類にとっての脅威に国際社会が一致団結してあたる必要性に言及」。「我が国が、GCTFの活動とその発展に積極的に貢献する旨表明」。

・GCTFは、「米国により提唱され、テロ対策に係る新たな多国間の枠組みとして、
1)実務者間の経験・知見・ベストプラクティスを共有し、
2)法の支配、国境管理、暴力的過激主義対策等の分野におけるキャパシティ・ビルディングの実施等を目的に、
3)テロ対策の政策決定者・実務者が一堂に会して知見を共有する場。
 組織として、調整委員会、テーマ別・地域別の作業部会、事務局を設置。
 メンバーは以下の29か国及びEU国連がパートナーとして参加。
・米国、フランス、イギリス、中国、ロシアの国連安保理常任理事5カ国
・日本、ドイツ、イタリア、豪州、カナダ、デンマーク、オランダ、スイス、スペイン
・中東→サウジアラビア、ヨルダン、カタール、トルコ、UAE
・アフリカ→アルジェリア、モロッコ、エジプト、ナイジェリア、南アフリカ
・ラテンアメリカ→コロンビア
・アジア→インド、インドネシア、パキスタン

アフリカの角」(ソマリア、ケニア、エチオピア、ジブチ)への人道支援に関する閣僚レベル・ミニ・サミット」(9/24)
・玄葉外務大臣スピーチ。
 「東日本大震災の際にアフリカ諸国から表明された温かい連帯の気持ちに応えるためにも、日本として深刻な干ばつ被害への対策をアフリカ諸国と協力して進めていきたい」
 「我が国が「アフリカの角」の干ばつ対策として今年既に1億ドル近い支援を実施しており、今般、これに加えて新たに約2,100万ドルの食糧支援を実施する旨表明」。
・米国・英国・EU→「同地域に対する支援を引き続き行っていく」。
 ジプチには米仏の軍事基地、自衛隊初の「海外拠点」が、ケニア・エチオピアは米仏英の軍事支援・援助を受けソマリアに軍事侵攻。
 日米欧の「人道・食糧支援」は「干ばつ被害」から「アフリカの角」を救うか?
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12/8
武装集団が襲撃、40人死亡 南スーダン、民族対立
 国連平和維持活動(PKO)のため日本の陸上自衛隊施設部隊が派遣される南スーダンからの7日の報道によると、同国東部ジョングレイ州の村を5日に武装集団が襲撃、子どもを含む少なくとも40人が死亡した。現場は首都ジュバなど陸自の活動予定地域からは離れている。
 背景には異なる民族間の対立がある。武装集団は村で多数の住居を焼き払った上、家畜の牛を盗んだという。現地PKOの国連南スーダン派遣団(UNMISS)は調査団を派遣した。
 ジョングレイ州では8月にも民族衝突があり約600人が死亡、その後も断続的に衝突が続いた。南スーダンは7月にスーダンから分離独立したが、治安の安定が課題の一つとなっている。(共同)

⇒「南スーダン軍、民兵組織からの脱却の困難」(12/7,時事)より。
・2005年の包括和平合意以来、スーダンと南スーダンは法的には和平状態にあるが、両国は資源が豊富な国境の州を拠点とする互いの反政府勢力に、互いが資金提供していると非難の応酬を続けている上、脆弱な経済がいっそう安定を失っているため、新たな戦闘が勃発しかねない状況だ。
・国連の「スーダン共和国における武装解除・動員解除・社会復帰計画(Sudan Disarmament, Demobilization and Reintegration Programme、DDR)」の下、軍の再編と軍事費削減の一貫として、南スーダン政府は兵士8万人と警官など治安要員7万人の解除を計画している。しかし、実際には軍に再び吸収される元反政府勢力と、解除される兵士の数が変わらない状況で、真の平和が訪れるまでDDRは効果がないという批判も聞こえている。SPLA特殊部隊の元訓練官リチャード・ランズ(Richard Rand)氏は、3~5年で軍の再編が完了するという国際社会の予想は楽観的すぎると警告する。
⇒「自衛隊は何をしに南スーダンに行くのか?」(9/26)

12/7
米司令官、アフガン撤収の一時中断を主張
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は6日、アフガニスタン駐留米軍のジョン・アレン司令官が、治安確保のため米軍部隊の撤収を来年夏で一時中断し、2014年に再開すべきだと米議会関係者などに訴えていると報じた。
 アレン司令官は、米軍兵力が現在予定されている通り来年夏に6万8000人を割り込めばアフガン辺境地域での治安確保や補給路の維持が困難になるとして、兵力削減の中断を求めているという。
 オバマ政権は、09年発表のアフガン新戦略に基づき増派した3万3000人を来年夏までに撤収させて兵力を6万8000人規模とし、その後も段階的に撤収を続けて14年にはアフガン政府に治安権限を完全移譲させると表明している。 (読売、ワシントン=黒瀬悦成)

・アフガン変革へ支援継続を確認 国際会議閉幕
 ドイツ西部ボンで開かれたアフガニスタンに関する国際会議は5日夕、国際治安支援部隊(ISAF)からアフガン側への治安権限移譲を終えた後の2015年から24年までをアフガンの自立に向けた「変革の10年」とし、国際社会の継続的な支援を確認する総括文書を出して閉幕した。
 会議後の記者会見で、主催国ドイツのベスターベレ外相は「国際社会はアフガンの国民に、我々は決してアフガンを見捨てないという明確なメッセージを送った」と述べた。
 総括文書は治安面について、計35万2千人にまで増員する軍・警察に対し、治安権限移譲が完了する14年末以降も国際的な支援が必要だと確認。資金援助計画などを来年5月に米シカゴで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議までに検討するとした。 (朝日)

米軍、エチオピアに無人機基地 ソマリアの武装勢力攻撃
 米軍が、アフリカ東部ソマリアのアルカイダ系組織の攻撃を目的に、隣国エチオピア南部に軍事拠点を極秘に開いたことが分かった。米紙ワシントン・ポストが(10月)27日、米空軍の話として報じた。エチオピア政府はこの拠点の存在を否定しているという。
 同紙によると、軍事拠点は首都アディスアベバから南に約500キロの町にある民間空港の一部を転用。米空軍の要員が駐留して無人機リーパーを運用している。米空軍は「エチオピア政府が受け入れる限り(無人機攻撃を)続ける」と同紙にコメントしている。攻撃対象はソマリア中南部を支配するイスラム武装勢力シャバブ米軍はこのほかに、東アフリカのジブチや島国セーシェルにも、無人機の運用拠点を設けているという。
 オバマ政権はアフガン、イラク、イエメンなど世界の6カ国で無人機による攻撃をしている。テロ容疑者を裁判を経ずに殺害するうえ、民間人の巻き添えも出ていることから、批判が高まっている。(朝日、ワシントン=望月洋嗣)

2011年12月3日土曜日

パレスチナと沖縄を結ぶ――民族自決権と開発

シンポジウム「パレスチナと沖縄を結ぶ――民族自決権と開発」 (再掲)

日時:2011年12月3日(土)午後2時~5時
場所龍谷大学深草キャンパス 21号館501教室
京都市伏見区深草塚本町67 (地下鉄「くいな橋」駅下車、徒歩7分/JR奈良線「稲荷」駅下車、徒歩8分/京阪「深草」駅下車、徒歩3分 )→ アクセスマップ: http://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/traffic/t_fukakusa.html
参加費:500円(龍谷大学学生は無料)

プログラム
第一部
パレスチナ/イスラエルの脱植民地化と日本:アパルトヘイト政策と開発政策の共謀
役重善洋(パレスチナの平和を考える会)
イスラーム社会における市民運動:その特徴とパレスチナ問題への影響」(英語、通訳あり)
イヤース・サリーム(パレスチナ・ガザ地区出身、元国際援助ワーカー、現同志社大大学院生)

第二部
琉球の自己決定権――開発による米軍基地押し付け政策からの解放を目指して
松島泰勝(龍谷大学済学部国際経済学科教授、ゆいまーる琉球の自治代表)
■質疑応答・討論

コーディネータ: 中野憲志
通訳: 藤岡美恵子

共催〈NGOと社会〉の会パレスチナの平和を考える会NPO法人ゆいまーる琉球の自治龍谷大学民際学研究会国際開発学会島嶼部会
お問い合わせ(予約不要)
(株)新評論編集部内 〈NGO と社会〉の会:
TEL 03-3202-7391/FAX 03-3202-5832

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11/29
「官僚のおごり」 県内で反発の声
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画をめぐり、田中聡沖縄防衛局長が28日夜、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価書の提出時期をめぐり「犯す前に、犯しますよと言いますか」と発言した件で、県内の市民団体からは29日、「県民への侮辱だ」「差別意識の表れだ」など怒りや批判の声が相次いだ。
 沖縄防衛局は29日も、米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリパッドの移設に向けた工事を東村高江区で着手しようとし、住民らと対峙(たいじ)した。
 座り込みを主導している沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「140万県民に対する侮辱。防衛相は県民に説明と謝罪し、局長を更迭すべきだ。大臣の任命責任も問われる」と指摘。「沖縄県民への差別、力でねじ伏せようとする官僚のおごりが見え見え。居酒屋では何を言っているのかよく分かった。絶対に許せない」と声を荒らげた。
 名護市ヘリ基地反対協議会の安次富浩代表委員は、発言が環境影響評価書の年内提出を前提にしていることについて「本来なら、地方の出先機関は地元の怒りの声を含め諸問題を収集し、本省に上げなければいけない。(同局長のスタンスは)ただ上から言われただけの伝達係でしかない」と糾弾。発言については「日本の政府官僚の沖縄に対する差別意識の表れだ。個人の発言ではなく、組織的な沖縄に対する視点が言葉に出たものだ」と憤った。(琉球新報)
【号外】田中防衛局長を更迭 不適切発言で処分」(琉球新報)

11/27
「米国任せ変わらず」運用改善に批判相次ぐ
 日本平和大会in沖縄(主催・同実行委員会)3日目の26日、那覇市内で日米地位協定をめぐり、各地の報告やパネルディスカッションがあった。米軍属の公務中の犯罪を一定の条件下で日本が裁けるようにする日米地位協定の運用「改善」について、識者や米兵犯罪の被害者らからは「平時における裁判権は日本側にあることを主張すべきなのに後退した」「人間として平等の扱いを求めるべきだ」と批判が相次いだ。
 地位協定改定を実現するNGO事務局長の新垣勉弁護士は「たとえ事故を起こしても、米軍施設間の移動だからといって特別な扱いを受けるのはおかしい。少なくとも平時においては、軍隊といえども受け入れ国の国民の人権を保護する責務がある」と強調した。平時においては軍属への軍当局の裁判権は、違憲とする1960年の米連邦裁判決が出されたことなどを説明。

 「平時においては原則的に軍当局は裁判権を有していないにもかかわらず今回、日本政府が米軍人・軍属の公務中の犯罪は米側が第1次裁判権を持っていると確認したことにあぜんとする。交渉の舞台裏を解明する必要がある」と指摘し、日本の主権を後退させたと批判した。
 国会で米軍属への不透明な司法手続きを追及してきた井上哲士参院議員(共産)は「本来ある裁判権を毅然(きぜん)と行使してこなかったから、こうなった。その場限りの対応で、米国任せは変わらず、根本的な解決にはつながらない」とした。
 2006年、通りがかりの空母キティホークの乗員だった米兵に妻=当時56歳=を惨殺された横須賀市の山崎政則さん(67)は「生きがいだった妻を失っただけでなく、当初、警察の取り調べで犯人扱いされた。(米兵らは)『基地の中へ逃げればなんとかなる』と思っている。平等に裁かれる地位協定にしないと米軍人や軍属の犯罪は減らない」と訴えた。(沖縄タイムス)
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11/17
・パレスチナ「国家」扱いに…国連総会議長
 ナシル・アブドルアジズ・ナセル国連総会議長は16日、都内で読売新聞と単独会見し、パレスチナが国連オブザーバーとしての地位を現在の「機構」から「国家」に格上げする国連総会決議案の提出を模索していることについて、「パレスチナは(採択に)十分な数の加盟国の支持を持つ。一歩前進になると思う」と述べ、肯定的な見解を示した。
 パレスチナは先に国連加盟を申請したが、加盟を審査する国連安全保障理事会の常任委員会は一致した見解を出せず、安保理は申請を「門前払い」する見込みだ。オブザーバーは総会での投票権はないが、発言権は認められており、地位格上げは国連加盟断念の場合の次善の策となる。ナセル氏は、パレスチナは安保理の決定後、オブザーバーの地位格上げに関する総会決議案の提出について判断するとの見通しを語った。(読売)

11/10
・パレスチナ戦略に暗雲 国連加盟 安保理9カ国賛成 困難
 国連に独立国家としての加盟を目指すパレスチナだが、安全保障理事会で目標としていた九カ国の賛成票獲得が困難な情勢となりつつある。イスラエル擁護の立場を取る米国に拒否権をやむなく行使させ、孤立を印象付けて事実上の勝利を得る戦略は、見直しを迫られる可能性が高まってきた。十一日にも予定される安保理による加盟問題についての協議が注目される。
 パレスチナは先月末に一足早く、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への加盟を実現した。国際社会からの支持を印象付け、イスラエルと米国の外堀を埋める戦略の一環だ。
 パレスチナ自治政府の高官は今月初め、本紙取材に「すでに世界保健機関(WHO)の申請準備を始めた。すべての国連機関で一つずつ勝利を得たい」と言明。フルード・デイベス観光・遺跡担当相は「われわれの正当な要求を各国が理解してくれれば結果は得られる」と自信を示した。

 ただ、中核の国連加盟は、安保理で米国が拒否権を持つため絶望的。真の狙いは拒否権を行使せざるを得ない状況に追い込み、ユネスコ加盟への反発に続き、ここでも米国の孤立を際立たせることだった。 安保理十五カ国のうち九カ国以上が賛成し、常任理事国が拒否権を行使しないのが加盟の条件。米国は、中東などで反米感情が悪化することへの懸念から拒否権の行使は避けたいのが本音だ。
 自治区ヨルダン川西岸の評論家ジヤド・アブ・ジヤド氏によると、自治政府では「九カ国の賛成がないまま安保理に採決を求めるべきだ」との意見が優勢。「国際社会は採決にあたり米国の圧力があったと理解してくれるとの見立てからだ」と説明する。
 安保理で否決された場合は、国連総会のオブザーバー資格について現行の「組織(パレスチナ解放機構=PLO)」から「非加盟国」への格上げを目指すシナリオが次の焦点だ。 【東京新聞、カイロ=今村実】

2011年12月1日木曜日

〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任~「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」をめぐって

 〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任~「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」をめぐって


  「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」(ICNK)なる団体が9月に結成された。そして先週(11月25日)には、ICNKとしての国会ロビーイング活動の第一弾として、ICNK主催の「院内集会」が開催された。
 拉致と核、「人権問題」を含めた、いわゆる「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)問題」と一般に呼ばれているものの問題の在り処とその解決の方向性に関する私見については、4年前の2007年夏に出版された『制裁論を超えて-朝鮮半島と日本の〈平和〉を紡ぐ-』にまとめているので、関心のある人はこの書を参照して頂きたい。

 「北朝鮮問題」に関する私の基本的考え方は、4年前と何ら変わっていない。なぜなら、『制裁論を超えて』の中でも指摘した、「対話なき圧力」、国際的対北朝鮮包囲網の形成=制裁の強化を「北朝鮮問題」の解決をはかる「外交」とはき違えている日本政府・外務省の〈政策なき力の政治〉、しかも「他人の褌で相撲を取る」ような米国への全面依存のそれ、が当時も今も何も変わっていないからだ。議論をさらに深めようにも、私には外務省の〈トラの威を借り、他人の褌で相撲を取る、政策なき力の政治〉に関するこの4年間の経緯をなぞるようなことくらいしかできない。

 しかし、状況的に言えば、この4年間で変わったことが二つある。それは、
国連による「保護する責任」の「地球規範」化(2005年)に基づき武力によるその「実行」がコートジボワールとリビアにおいて今年行われたこと、そして、
②「保護する責任」を「市民社会」レベルから推進し、「人道に対する罪」や「戦争犯罪」国家と国連安保理が規定する国家(国連総会による決議を経たそれでないことに注意)に対する軍事・非軍事両面にわたる制裁の強化と実行を各国政府にロビーイングする勢力が国際的に台頭するようになったこと、この二つである。
 ②の日本的現象、それが「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」(ICNK)なのである。 


  私が「「保護する責任」にNO!と言う責任」のスケッチを描き始めた去年の10月末段階では、「保護する責任」(R2P)の実行としてのリビアに対する武力攻撃→反乱軍への軍事支援を通じた政権転覆が、まさかこんなに早くやってくるとは予想だにしていなかった。
 米英仏=安保理常任理事国の軍隊にその他のNATO軍とカナダ軍が加わり実行された、R2Pの現実政治(パワー・ポリティクス)への適用。これがもたらした事態をどう総括するか。このことが今、国際政治・国際法の海外の研究者の「ホット・トピック」になっている。 (一例だけ挙げると、ケンブリッジ大の「Ethics & International Affairs」の最新号のテーマも、まさにリビアに対するR2Pの適用問題に関してである) 

  国際人権・人道・開発NGOとしてR2Pを推進する勢力が「リビア(とコートジボワール)以後の問い」として設定しているのは、以下の諸点である。

1,How decisive was the Libyan crisis in the evolution of R2P? →誰がカダフィ政権を育て、武器を与え、長年におよぶその強権的人権侵害を黙過してきたのか? 「リビアの危機」に責任を負うのは、カダフィ政権だけだったのか? その意味では、R2P連合軍と反乱軍による戦争、殺戮と人権侵害の犠牲者から見れば、リビアはR2Pの実験場とされただけではなかったか?
2,To what extent did values or interests dictate the response to Libya? →誰の「価値観と利害」のことか? リビア民衆の「価値観と利害」でなかったことだけは明白である。
3,Was there an alternative to resolution 1973? →この問いは、上の1の問いに戻る。
4,Does the resort to the use of force mean a return to “humanitarian intervention?” →「保護する責任」を「第三の柱」=武力行使を切り離し、「人道的介入を目的としたものではなく予防のためにある」という、これまでの推進派による議論の無効性がリビアとコートジボワールに対する武力攻撃の現実性によって明らかになった、と見るべきである。
5,Did NATO overstep their Protection of Civilians mandate in Libya?
→上の4と下の6に同じ。

6,What were the main challenges facing the military strategy to protect civilians in Libya? →核軍事大国(リビアのケースにおいては米英仏)による、徹底的で集中的な空爆、これと連動したその後の地上戦の展開(=「軍事戦略」の実態)によって一般市民が「保護」できるという考え方自体が、根本的に誤っている。
7,What factors explain why the Security Council took action on Libya but not Syria? →いわゆる、「保護する責任」適用のターゲット国選定における恣意性と二重基準の問題。現実政治においてはこの重大問題を免れることはできない。
8,What do Côte d’Ivoire and Libya tell us about the relationship between R2P and regime change? →国家に対する武力攻撃は、その国家の政権転覆とその後の国内「紛争」(内戦的事態)の長期化をもたらさずにはいない。アフガニスタンとイラクにおいて、私たちは何を学んだのか?
9,What more could have been done to prevent atrocities in Côte d’Ivoire? →武力攻撃を回避するために安保理常任国が、国連事務局がやれたであろうとことは無限に存在する。
10,What do recent experiences in Libya and Côte d’Ivoire suggest about the R2P responsibilities of regional organizations? →武力攻撃を最後まで避けるべき安保理常任理事国および安保理構成国の責任を問わず、地域機構の責任を論じるのは本末転倒である。
11,Has implementation in Côte d’Ivoire and Libya undermined the credibility of R2P? →これまでR2Pに、いったいどのような国際的credibility(信頼性)が存在したというのか? 国際的に見ても、R2Pは「総論」=一般的理念に賛成したとしても、その現実的適用の在り方についての一致は見られなかった。政治的・国際法的概念としてのR2Pは、きわめて論争的な「地球規範」であり続けている。


アムネスティ・インターナショナル(日本)よ、どこへゆく
 以下、上の諸点に対する私見を述べながら、R2PおよびICNKの問題点を指摘しておきたい。先日法政で行ったシンポジウムには、アムネスティ・インターナショナル(日本)の人も参加していただいたが、以下に書く内容をアムネスティに対する個人的メ―セージとして贈りたい。私自身の友人・知人の中にも会員になっている人々が存在するアムネスティ内部で、今後R2PおよびICNKについて議論を深める素材の一つになれば、と考えている。

① 〈リビア・コートジボワール以後〉におけるR2Pがはらむ根源的問題 
 『脱「国際協力」 ~開発と平和構築を超えて~』に収録された拙論、「第六章 「保護する責任」にNO!という責任――21世紀の新世界秩序と国際人権・開発NGOの役割の再考」において、私がR2Pをめぐる議論の最大の論点としたのは、R2Pが「問題設定の在り方」と「問題の解決に向けた課題設定の在り方」の両方において根本的に誤っている、ということである。
 詳しくは拙論を参照して頂くしかないが、一言で言えば、「保護する責任の履行」と題された現国連事務総長名による「報告書」の中に、「ジェノサイド」「人道に対する罪」「戦争犯罪」「民族浄化」の解決策を見出すことはできない、ということである。「原発の安全神話」から私たちが根源的に目覚めなければ日本における脱原発などありえないように、〈「保護する責任」が一般市民を守るという神話〉から人権をかたるNGOが根源的に目覚めない限り、その組織や個人は「人権」や「人道」を語りながら他国や地域に永遠に介入し続け、自国の「価値観」と「利害」を追求し続ける大国の「トロイの木馬」となるだけだ、と私自身は考えている。

 これまでR2Pを推進してきたヒューマン・ライツ・ウォッチを含む国際人権・開発NGOは、この真理を自ら掴み、R2Pの抜本的再検証を、国連事務局・安保理、各国政府に「提言」すべきである。これらの国際NGOには、今後の国連および安保理改革の重要なアジェンダの一つとして、国連総会における「保護する責任の履行」の再討議に向けたキャンペーン活動を展開する責任がある、と思うのである。
 その理由については日を改めて、上に述べた諸点をさらに敷衍するものとして、問題提起することにしたい。

 最後に。この問題を考え、議論を広げる重要性を読者に理解して頂くために、9月7日に行われ、ヒューマン・ライツ・ウォッチが主催した「北朝鮮人権国際会議」にボランティアスタッフとして参加した、都内のとある国立大学の女子学生の感想を引いておこう(個人情報保護の観点から、大学名・実名等は伏せておきたい)。
・・
 このシンポジウムでは、脱北された方々や拉致被害者家族、NGOや政府関係者が結集した。
 私は北朝鮮で行われている人権侵害について恥ずかしいほど無知であったため、証言の数々に絶句した。
 北朝鮮の独裁政権は、国民の大多数を収容所に送り、人権を剥奪することで成り立っていた。
 この狂気の独裁政権を倒し、民主化を推し進めるべきというのが、会議の概括的意見に挙げられた。
 今回参加して個人的に分かったことを3つ整理しておく。
①拉致問題は、とくに強制収容所における人権問題であるということ。
 北朝鮮の強制収容所で行われていることは、フランクル著作の『夜と霧』に描かれたアウシュビッツよりも残虐であり、1万人規模の収容所が狭い国土に大量にひしめいているという・・・。
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 「狂気の独裁政権を倒し、民主化を推し進めるべき」というのが、「会議の概括的意見」であったらしい。
 女子学生は、「わかったこと」の三点目として、
 「やっぱり法律の勉強がんばらなければいけないということ。国際弁護士の方やHRW日本局長とお話しする機会があり、食べれる仕事もやりながら自由にボランティアやNGOに携わる生き方がとても素敵だと思った。なにより、専門分野はしっかり持つことがたいせつであると実感した」と語っている。

 読書家であり、おそらくはとても優秀であるに違いないこの学生が、北朝鮮の「人権侵害」を「フランクル著作の『夜と霧』に描かれたアウシュビッツよりも残虐」 「1万人規模の収容所が狭い国土に大量にひしめいている」と語るパネリストたちのスピーチを批判的に咀嚼することなく鵜呑みにするという、その事実の中に、「北朝鮮における『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」が流布する「価値観と利害」の危うさが潜んでいるのではないだろうか?

 非常に重たい問題ではあるのだが、新事務局体制に移行したアムネスティ・インターナショナル(日本)の地域グループの会員の皆さんを始め、読者も事実を事実として客観的かつ理性的に判断するなら、きっとそう考えるに違いない、と私は確信している。
 
⇒「自衛隊の「国際平和協力」と「保護する責任(R2P)」
⇒「〈リビア以後〉の「保護する責任」にNO!と言う責任(2)---「人権と人道の政治性」について」につづく
⇒「「保護する責任」(R2P)に関するヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)への質問状と回答


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「リビアへの武力攻撃開始」(3/20)
 このページに、ヒューマン・ライツ・ウォッチ等の「保護する責任」を推進する国際NGOの問題点に関する私見を書いたページへのリンクがさらにあるので、関心のある人は参照して頂きたい。
 時代は、「保護する責任」をめぐってとんでもない方向へと、さらに向かいそうだ。「こんなはずじゃ、なかった」のではないのか? なぜ、こんなはずじゃなかったことが、こんなことになってしまうのか? 「文科系」ばかりでなく、「理科系」の人たちも、ぜひ一緒に考えてほしい。

基地と原発、振興開発と住民の〈自己決定権〉

基地と原発、振興開発と住民の〈自己決定権〉

 今週の土曜(12/3)、京都の龍谷大学(深草キャンパス 21号館501教室)で行うシンポジウム、「パレスチナと沖縄を結ぶ――民族自決権と開発」の準備のために、いろいろ資料にあたっていたらパネリストの一人、 松島泰勝さん(龍谷大学済学部教授、ゆいまーる琉球の自治代表) からメールが入り、レジュメが届いた。
 パワーポイント24頁に及ぶそのレジュメの中に、「4.振興開発の総括と琉球人の自己決定権の行使」という項目がある。その内容は、以下のようなものである。
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・1972年から2001年まで、琉球の振興開発を主管とする沖縄開発庁は米軍基地の存在を前提とした開発行政を実施。
・しかし、特に1996年以降、米軍基地を固定化し、再編・拡大する手段として振興開発が流用。
・2001年に設立された内閣府沖縄担当部局は、振興開発と基地問題双方を統括する機関となり、開発と基地とのリンケージを強化
「復帰」後約40年間の開発行政は格差是正・経済自立を実現させず、国への依存度を深め、基地の固定化を進め、環境を大きく破壊し、失敗であったと総括できる。
〈失敗の主な原因〉
①画一的な開発手法
②予算配分率の固定化
③開発計画の策定・実施過程における琉球側の主体的な参加の欠如
④中央官庁による介入・規制・指導
⑤基地と振興開発とのリンケージ
(11月20日に行った法政大学でのシンポジウムのレジュメ、「保護する責任」に関する私たちの公開質問状に対するヒューマン・ライツ・ウォッチの回答を含め、すべてのレジュメ・資料は〈NGOと社会〉の会のサイトに掲載される予定になっているので、全文の公開は今しばらく待っていただきたい)
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 琉球の米軍基地・普天間問題については、改めて論じることにしたい。私が松島さんのレジュメに目を通しながら感じたことは、「戦後」の国・自治体の「原発行政」が「基地行政」と同様に、
①画一的な開発手法、
②予算配分率の固定化、
③開発計画の策定・実施過程における「立地自治体」の主体的な参加の欠如
④中央官庁による介入・規制・指導、
原発と振興開発とのリンケージの下で行われてきたことだ。そして、結局のところ、
 「開発行政は格差是正・経済自立を実現させず、国への依存度を深め、原発の固定化を進め、環境を大きく破壊し、失敗であったと総括できる」のではないか、ということである。

 こうした「中央官庁による介入・規制・指導」を打ち返し、自治体の原発マネーへの依存構造からの脱却をはかり、住民の「自己決定権」を確立するには、いったいどうすればよいのだろう。 その具体的かつ現実的なビジョンを、立地自治体の人々とともに考え、構想し、支援することが脱原発派に問われている。
 下の記事にある西と東の「原発銀座」の自治体の「方針」を対比しながら、私たちそれぞれがその「ビジョン」を考え、ともに議論し合うべき時期を迎えているのではないだろうか。 

県内全10基の廃炉要求へ 福島知事が表明
 福島県の佐藤雄平(さとう・ゆうへい)知事は30日の記者会見で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を受けて年内にまとめる県の復興計画に「国と東電に対して、県内の原発10基すべての廃炉を求める」と明記することを発表した。計画策定後、国と東電に廃炉を要請する。 原発立地県で、県内にあるすべての原発の廃炉を求めるのは初めて。
 佐藤知事は会見で「国、事業者が主張してきた安全神話が根底から覆された」と指摘。「原発を立地して財政的に恩恵を受けてきた以上に、事故は自然、社会、教育に大きな影響を及ぼしている。原子力に依存しない新生福島を創造するとの決断に至った」と述べた。
 廃炉で生じる放射性廃棄物の処理については「県内に最終処分場は認めない」と強調。核燃料税や交付金が失われるなど財政上の問題には「税制を精査して取り組む」とした。加えて原発のある双葉郡など沿岸部の復興のため、原発関連に替わる雇用を生み出す方針も打ち出した。

 佐藤知事が原発から決別する姿勢を明確に示した一方で、政府と東電は、第1原発の1号機から4号機の廃炉方針は決定しているものの、同5、6号機と福島第2原発の4基については、態度を明らかにしていない。 廃炉をめぐっては、福島県議会が10月、全10基の廃炉を求める請願を賛成多数で採択。佐藤知事は「(採択は)本当に重い。第1、第2原発の再稼働はあり得ない」と述べていた。
 県は復興計画の策定にあたり、既に「原子力に依存しない社会を目指す」との「脱原発」の基本理念を決定。佐藤知事は脱原発の実現に向けて、県幹部と協議を重ね、雇用などの地域経済や自治体財政に与える影響を考えた上で、原発のあり方を復興計画にどう記載するか検討していた。 (共同通信)

原発の存続、推進を経産相に要請 県原発所在市町協議会
 4市町でつくる福井県原子力発電所所在市町協議会は29日、枝野幸男経済産業相に安全確保を前提に原発の存続、推進を求める要請書を提出した。計画的な新増設や高経年炉の廃炉と新設を同時に行うリプレース(置き換え)も求めた。 会長の山口治太郎美浜町長をはじめ野瀬豊高浜町長、河瀬一治敦賀市長、時岡忍おおい町長と各市町会議長が参加。年内にも国のエネルギー政策に関する各種の中間報告をまとめるのを前に要望した。

 山口町長は「大前提の安全を確保し、持続的発展のために電源のベストミックスが求められる中、原発の必要性が示され、活用されていくことを望んでいる」と要望。原子力政策の早期明確化や計画的な新増設など9項目を要請した。「脱原発に対するリスク」は何も示されていないとも指摘した。
 枝野経産相は「早くしっかり議論した上で国の方針を固めていきたい」と述べるにとどまった。ただ「国の(原子力)政策の転換があった場合でも(立地自治体に)約束したことへの責任はしっかり果たしていく」と応え、地元の意向に配慮する考えを示した。
 奥村展三文部科学副大臣にも同様の要請をした。要請後、河瀬市長は記者団に「もんじゅを含め要請した内容は理解してもらえたと思う」と話した。 30日は細野豪志原発事故担当相、古川元久国家戦略担当相に要請する。(福井新聞)

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<福島第1原発>1号機燃料85%超落下 東電など解析
 東京電力福島第1原発1号機で、炉心溶融(メルトダウン)によって原子炉圧力容器が破損し、85%以上の核燃料が格納容器に落下したとの解析を、経済産業省所管のエネルギー総合工学研究所が30日発表した。東電の解析でも相当量の核燃料が格納容器に落ちてコンクリートを最大65センチ侵食したと推計した。核燃料は格納容器の外に漏れていないが、事故の深刻さを改めて示す結果で、政府や東電は廃炉作業などに活用する。
 同研究所は、詳細に原子炉内の状況を追跡できる方法を使用し、核燃料の損傷状態を試算した。その結果、1号機では地震による原子炉の緊急停止から5時間31分後に核燃料の被覆管が壊れ、7時間25分後に圧力容器の底が破損。核燃料の85~90%が格納容器に落下したと算出された。2、3号機でも約7割の核燃料が溶けて格納容器に落下した可能性があると推定した。

 また、東電は別の方法で解析。1号機では、溶け落ちた核燃料の量は不明だが、「相当な量」とした。2、3号機も一部の核燃料が落下したと推定。いずれも落下した溶融燃料が格納容器の床のコンクリートを溶かす「コア・コンクリート反応」が起き、1号機では最大65センチ侵食した。燃料から格納容器の鋼板までは最悪の場合、37センチしかなかったことになる。ただし、格納容器の下には厚さ7.6メートルのコンクリートがあり、地盤に達していないとしている。汚染水が大量発生している原因は、配管の隙間(すきま)などから格納容器の外に漏れているためと考えられる。

 一方、2号機での侵食は最大12センチ、3号機で同20センチと推計した。
 今回の解析が冷温停止状態の判断に与える影響について、経産省原子力安全・保安院は「原子炉の温度などの実測値を基にしているので関係ない」と説明。岡本孝司・東京大教授(原子力工学)は「燃料が格納容器の底に落ちていても、水につかって冷やされており原子炉は安定している。さらに情報を集めて解析精度を上げ今後の作業に役立てる必要がある」と提言する。【毎日、河内敏康、西川拓】

電力業界 政界に多額の献金
・全国の電力会社からは、役員らの個人献金や労働組合などの献金の形で、去年までの3年間に少なくとも4億8000万円が政界に。
・「昭和50年代から沖縄電力を除く全国の9つの電力会社では、役員らが、自民党の政治資金団体の「国民政治協会」に毎年、献金」。
・「去年までの3年間に、各電力会社の役員や管理職など少なくともおよそ700人が、合わせて1億1700万円を寄付」。
・「東京電力では、例えば社長が30万円、常務が10万円程度などと相場が決まっていて、執行役員以上の幹部には、総務部の担当者が献金を呼びかけていた」
・「一方、電力各社の労働組合からも政治献金が行われ、民主党の複数の国会議員に、政治団体を通して去年までの3年間に合わせて少なくとも1億円が献金」

・「電力各社の子会社や関連会社では、去年までの3年間で31社が自民党の「国民政治協会」に合わせて2億5800万円を、4社が民主党の政治資金団体「国民改革協議会」に470万円を献金」。
・「こうした献金について、電力各社は「個人などがそれぞれの意思で行っているもので、関知していない」」
・「民主党は「政治献金自体非難されることではなく、党の政策が左右されるという懸念はまったく当たらない」」、「自民党は「寄付はすべて政治資金規正法に従って受けている。献金によって政策がゆがめられることはない」とコメント。(NHK)

玄葉外相、新たな原子力協定締結に前向き
 玄葉光一郎外相は30日の衆院外務委員会で、原発輸出を可能にする原子力協定について「諸外国が希望する場合、核不拡散を確保しながら原子力協力を行うことは意義がある」と述べた。インドやトルコなどを念頭に「交渉を開始、または交渉開始を決めた国についても、原子力協力を行う意義がある」と述べ、新たな協定締結に前向きな姿勢を示した。
 一方、原発輸出に反対する環境NGO「FoEジャパン」の満田夏花理事は同日、国会内で記者会見し、「福島の教訓を踏まえず、国民の多くが反対する中で、税金を投入してまで原発輸出を進めるのは理解できない」と批判した。 (朝日)

「脱原発は困る」 電力労組、民主議員に組織的な陳情
 全国の電力会社や関連企業の労働組合でつくる「電力総連」が、東京電力福島第一原発の事故後、原発存続に理解を得るための組織的な陳情活動を民主党の国会議員に展開していたことが分かった。2010年の政治資金収支報告書によると、全国の電力系労組13団体が組合員らから集めた「政治活動費」は総額約7億5千万円。この資金は、主に同党議員の支援に使われ、陳情活動も支援議員を中心に行ったという。
 同党の有力議員の秘書らは「脱原発に方向転換されては、従業員の生活が困ると陳情を受けた」「票を集めてくれる存在だから、選挙を意識して対応せざるを得ない」と証言。電力総連関係者は「総連側の立場を理解してくれた議員は約80人」と見積もる。豊富な政治資金を持つ電力総連が、民主党側に影響力を行使する実態が浮かび上がった。

 収支報告書などによると、全国の電力10社と関連3社の各労組の政治団体は10年に、組合員ら約12万7千人から会費などの形で約7億5千万円の「政治活動費」を集めた。うち計約6400万円が、電力総連の政治団体「電力総連政治活動委員会」に渡っていた。  活動委は同年、東電出身の小林正夫・民主党参院議員(比例区)の関連政治団体と選挙事務所に計2650万円、川端達夫総務相の政治団体に20万円などを献金。小林議員は同年の参院選で再選を果たした。 (朝日)

東電の元顧問2人、退任発表の翌日に嘱託採用
 東京電力が今年5月、経営合理化のために退任させると発表した顧問11人のうち、元執行役員ら2人が、退任翌日から嘱託社員として勤務し報酬を得ていたことが30日、分かった。 東電によると、顧問は5月時点で21人で、計2億1900万円の報酬を得ていたが、経費削減などのため6月28日付で11人を退任させた。同時期に、清水正孝前社長ら3人が新たに顧問に就任したが、無報酬とし、顧問全体の報酬総額は計9800万円に圧縮されたと発表していた。
 ところが、退任した11人のうち、元執行役員販売営業本部副本部長(69)と、原子力部門出身の元理事(68)の2人が、翌29日付で嘱託社員として採用されていた。東電は2人の採用をこれまで明らかにしていなかった。(読売)