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「〈NGOと社会〉の会」は、11月下旬から12月にかけて三つの公開シンポジウムの開催を企画している。
一つは、国家主導の「国際協力」と「人道的介入」を問うもの、もう一つは「民族自決(self-determination)をテーマにパレスチナと琉球を考える」というもの、そして最後が「福島原発災害とNGOの役割」を考える、というものである。
いずれも日時・場所・パネリストなど詳細が確定次第、このブログでも紹介したいと考えているが、最初に、三つ目のシンポジウムへの参加を、とある福島の市民団体に要請した際、以下のようなメッセージを頂いたので紹介しておきたい。
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「「3・11」後、福島では、住民にヒバクを強いる安全キャンペーン、そして最近では避難なき除染ブームによって、汚染地域からの避難がますます難しい状況になってきています。子どもたちにこれ以上のヒバクを強いることは、本当に許されないことです。
避難の権利を確立し、子どもたちを汚染地域から疎開させるためのあらゆる活動を、県内外の市民がやってきました。そうした闘いを、多くの方に知っていただく、とてもよい機会と思います。応援しています」
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上の三つのシンポジウムは、いずれも新刊『脱「国際協力」~開発と平和構築を超えて』(藤岡美恵子・越田清和・中野憲志編 新評論)の出版記念企画的な性格を持つものである。
これらの中で (脱)原発問題は、一見、この書のテーマとは無縁のようにも思えるかも知れないが、しかし私たちには、ポスト「3・11」の日本の「国際協力」・「開発援助」・「平和構築」活動は、福島を含めた「3・11」からの復興と被災・被爆者支援をやりきる事を抜きには語ることができない、という思いがある。 「3・11」からできうる限り早期に、日本を、東日本を、東北を、福島を復興させること、それさえできないで日本という国家が、民主党政権が、そして私たちが「国際協力」や海外の「開発援助」「平和構築」など、できるはずがないからである。
この間の復興支援・被災者支援活動で得た成果、見えてきた限界、これから乗り越えるべき「壁」とは何か? 今準備しているシンポジウムが、そうした、かなり突っ込んだ議論と情報の共有スペースになることが私たちの希望である。
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次に昨日、目にとまった二つの記事を紹介しておきたい。その一つはこれである。
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・みんな “原発再稼働で住民投票を”
みんなの党は、定期検査で運転を停止した原子力発電所の再稼働にあたっては、地元住民の同意が欠かせないとして、住民投票による賛成を再稼働の条件とすることを盛り込んだ法案を、次の臨時国会に提出することにしています。
みんなの党は、東京電力福島第一原発の事故以降、原発の安全性に対する国民の不安が高まり、定期検査で運転を停止した原発の再稼働にあたっては地元住民の同意が欠かせないとして、現在、必要とされている「知事の同意」に代わって、「住民投票による賛成」を再稼働の条件とすべきだとしています。
住民投票を行うのは、対象となる原発を立地している道や県の住民と、周辺の県で原発から一定の範囲内にある市町村の住民で、投票にあたっては、政府と電力会社に対し、定期検査の結果など住民の判断に必要な情報の開示を義務づけるとしています。
みんなの党は、およそ13か月ごとの定期検査のたびに住民投票を実施するのかといった点について、さらに検討を進めたうえで、こうした内容の法案を次の臨時国会に提出することにしています。7日現在、全国に54基ある原子力発電所のうち、44基が定期検査などで運転を停止していますが、野田総理大臣は、原発の安全性を十分確認したうえで再稼働を容認する考えを示しています。(10/9 NHK)
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説明とコメントは、後日追って補足したいが、みんなの党を党として支持している者ではない私も、この案には全面的に賛同する。
問題は、「どうやって?」の一言に尽きる。それを読者もともに考えてほしいと思う。
もう一つはこれ。
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・[原発と天下り]官と業の癒着断ち切れ
東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、電力・原子力事業をめぐる「官」と「業」の癒着が次々に明らかになっている。
避難を強いられ、今なお自宅に帰れないでいる人々。津波によって機械設備や商品をことごとく破壊され、深刻な打撃を受けた企業。事故後の風評被害で売り上げが急激に減少した事業者。放射性物質の汚染問題に悩む若い母親。山積みされたがれき。事務手続きが煩雑で、進まない東電の損害賠償…。原発事故の爪痕は、あまりにも深い。
その一方で、これまで見えにくかった「官」と「業」の持ちつ持たれつの利権構造が、事故発生で、白日の下にさらされることになった。
マスコミ報道や国会追及によって浮かび上がった原子力ムラの実態と、被災者が置かれた現実とのコントラストは、めまいがするほどだ。
経済産業省は5月、経産省から全国の電力会社に再就職した元職員は過去50年間で68人に上る、との調査結果を公表した。このうち11社13人(5月の発表時点)は顧問、役員などの肩書きで現役として働いている。
石田徹・前資源エネルギー庁長官は1月に東電顧問に就任したが、事故発生で周りの目が厳しくなり、4月末に辞任した。
事故がなければ顧問を続け、副社長まで上り詰めたかもしれない。経産省キャリアOBが東電に迎えられ、役員を経験した後、最終的に副社長に上り詰める人事が、慣例になっていたからだ。
総務省によると、同じ中央省庁の出身者が3代以上連続で天下りしている公益法人や独立行政法人などの役員ポストは2010年4月現在、1285法人1594ポストだった。
電力・原子力関連の法人は多い。その中には財団法人「電源地域振興センター」の理事長や、社団法人「海外電力調査会」の専務理事のように、経産省OBの事実上の「指定席」になっているところもある。
これらの法人は中央省庁から天下りを受け入れる代わりに、国発注の事業を独占的に受注する。電力会社は、これらの法人に毎年、多額の会費を納めている。まさに、持ちつ持たれつの関係である。
枝野幸男官房長官(当時)は4月、衆院内閣委員会で「指導監督する行政の側と、指導監督を受ける側との間に、いささかも、癒着が生じているという疑義があってはならない」と答弁した。当然だ。
電力会社は地域の独占企業である。電力会社を中心に、原子力ムラと呼ばれる利益共同体が形成されると、外部からの監視は働きにくい。
原発を推進する立場の経産省の中に、監視役の原子力安全・保安院が設置されていることも、チェック機能を著しく弱めている。
原発推進のための「官」と「業」の癒着は、「やらせ」という名の民意偽装を常態化させた。
ずぶずぶの利益共同体を解体し、癒着を断ち切ることが重要だ。 (10/9 沖縄タイムス)
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私もまた、「原子力ムラの実態と、被災者が置かれた現実とのコントラスト」に「めまい」がしjっぱなしの7ヶ月間を過ごしてきた者のひとりである。また、「ずぶずぶの利益共同体を解体し、癒着を断ち切る」ために自分に何をできるかを考え、「国策・民営」のこの国の原子力行政が負うべき責任問題にこだわりながら文章を書いてきた。今のこのような現状になるのは、「3・11」直後から透けて見えていたからだ。
おそらく読者の多くは、上の論説を至極まっとうな、正論だと考ええいるだろう。 しかし、ここでも問題は「どうやって?」という一言に尽きる。論説の執筆者が書いていることは、実は私が学生だった30年以上前から、1970年代後半期の伊方原発訴訟や「原子力船むつ」に反対する運動がたたかわれていた頃から、ずっと言われてきたことなのだ。
その意味で、論説執筆者には、この「どうやって?」という問いにこそ踏み込み、私見を大胆に提示してほしかった。「3・11」は、「ずぶずぶの利益共同体」=原子力ムラの一般的解体論から、具体論としてのそれへの移行、その理論的かつ実践的な移行を私たちに提起しているからである。
「ストレステスト」→「公聴会」→再稼動の動きが、否応なく加速するであろう秋から冬。
この二つの「どうやって?」をめぐる議論を深め、全国的な認識と情報の共有の深化をはかることが、〈私たち〉に問われている。
⇒「原発再稼動の広域的住民投票を考える前に、考えなければならないこと」につづく