2011年3月30日水曜日

で、私たちは原発をどうするのか?--原発の「合理的に達成可能な安全基準」は「安全」を保証しない

「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」3/11~3/20
「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」(2)3/21~3/30

4/1
2号機トレンチから通常の炉心内水の数万倍の放射能
 福島第1原子力発電所2号機タービン建屋と海側のポンプをつなぐ配管を通す「トレンチ」と呼ばれるトンネル内で30日に採取された水から、1立方センチメートルあたり1200万ベクレルの放射性物質(放射能)検出。東電が発表。通常運転中の炉心内の水の数万倍にあたる。
 2号機ではこれまでタービン建屋地下1階から1900万ベクレルの水が検出されている。東電「建屋地下の水がトレンチに流れ込んだ可能性がある」。

1号機付近の地下水から放射性物質
 1号機のタービン建屋付近の地下水から放射性物質、ヨウ素131検出。法定基準値の約1万倍の濃度、1立方センチメートルあたり約430ベクレル検出。地下水のサンプルは30日午前採取。 東電「タービン建屋内にたまっている高濃度の汚染水から一部漏れだした可能性は否定できない」。 このほかにも地下水からは、セシウム134などが検出。同原発の敷地内の地下水は通常、放射性物質は検出限界値以下の濃度だったという。また、2~6号機のタービン建屋付近でもヨウ素131。同約1.61~80ベクレル。

原発の南50キロの海水に放射性物質
 文科省は31日、第1原発の南約50キロ、沿岸から約10キロの沖で30日に採取した海水調査で、原発から排水する濃度限度40ベクレルを超える79.4ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表。表層や水深83メートルでもヨウ素を検出。

3/31
米軍は日本を守らない---「日米安保という虚構」3/31更新
第一原発南側の海水、放射性ヨウ素基準の4385倍
 東電は31日、福島第一原発1~4号機の放水口から南に約330メートルの海岸沿いで、30日午後に採取した海水から、原子炉等規制法が定める基準の4385倍に当たる濃度の放射性ヨウ素131を検出した、と発表。 同じ地点で29日午後に採取した海水から基準の3355倍の放射性ヨウ素131検出。 5、6号機の放水口から約30メートル北にある地点でも、30日午前に採取した水で基準の1425倍に当たる、これまでで最も高い放射性ヨウ素131検出。(⇒「問題なし」とされている5、6号機の動向に注意する必要あり)

小沢氏「原発は発表より悪い事態のようだ」
 民主党の小沢一郎元代表は30日夜、東京都内の自宅で自らに近い若手の衆参両院議員十数人と懇談。 出席者によると、元代表は福島第一原発の事故に関し、「自分なりに情報収集しているが、政府や東電が発表するよりも悪い事態になっているようだ」と語った。そのうえで「政治は、最悪の事態を想定して対応を考えなければいけないのに、危機感を共有しきれていない」と述べ、菅政権の危機管理能力に疑問を呈した。(⇒この国の「政治」が「最悪の事態を想定」し原発をつくってこなかったことが問題。どの政権、「大連立」であれ「危機感を共有」しなかっただろうし「危機管理能力」はない。そのことが非常によくわかった。そしてこれが実に深刻なる日本の現実なのだ)

福島第一原発、廃炉は数十年がかり
 危機的な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所1~4号機。 東電の勝俣恒久会長は30日、これら4基を廃炉にする方針を示したが、喫緊の課題は、原子炉の冷却や放射能に汚染された大量の水の処理だ。廃炉に持ち込むには長い時間がかかり、専門家は「すべてを終わらせるには数十年がかりの作業になる」と指摘する。
◆短期的課題
 目の前にある最大の課題は、高濃度の放射能に汚染された大量の水処理だ。作業用トンネル(トレンチ)にたまっている汚染水だけで、計約1万3000トン。このほか、量は不明だが、タービン建屋の地下にある大量の汚染水も除去しなくてはならない。 汚染水を除去できれば、原子炉本来の効率的な冷却機能復活への道が開ける。しかし、現状では汚染水に阻まれ、原子炉の制御機器を動かす外部電源ケーブルすら敷設できていない。 内部の放射線が強すぎて機器の修理ができなかったり、汚染水の排水ができなかったりして、電源が回復しないといった事態も想定される。漏えいが続くと、一時的な保管場所にしている外部タンクでは間に合わなくなる。関係者から「新たな貯蔵場所を、早急に確保しなければならない」という意見が出ているのには、こうした背景がある。
 汚染水を除去できたとして、同原発からの放射性物質の大量放出を止め、安全な状態に持ち込むには、原子炉を「冷温停止」と呼ばれる段階にする必要がある。杉山憲一郎・北大教授は「外部電源で本来の冷却装置を動かし、水を循環させることができれば、1~2日で冷温停止に導ける」と話す。廃炉に向け、核燃料をさらに冷やして取り出せる状態にするには、さらに数年はかかりそうだ。
 一方、仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと事態はより深刻になる。海老沢徹・元京都大原子炉実験所助教授は「核燃料は少しずつ冷えていくが、冷温停止には少なくとも数か月を要するだろう」と、推測する。このシナリオだと、水の注入量は増え、汚染水も増える。(⇒いったい今頃何を言っているのだろう?)
◆長期的課題
 最終的な廃炉には、数十年の時間がかかる。国内の商用原発として、初めて廃炉作業に入った茨城県の日本原子力発電東海発電所では、1998年の営業運転終了後、2021年までかけて段階的に進めている。 廃炉は、燃料を取り出し、放射線量の低減を待つ。この間、発電機など汚染の少ない設備を先に解体、最後に原子炉の鋼鉄容器などを切断し地下深くに埋める。現在は熱交換器などの撤去作業中だ。 しかし、原子炉や建屋が破損した福島第一原発の例では、こうした通常の手順通りに解体できるか疑問だ(⇒できない)。松浦祥次郎・元原子力安全委員長は「今回は汚染低減作業に非常に手間がかかる。廃炉は恐らく20~30年では終わらない」と語る。(読売新聞)
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で、私たちは原発をどうするのか?--原発の「合理的に達成可能な安全基準」は「安全」を保証しない

経済産業省がまとめた原発の「緊急安全対策」(3/29)
①津波や地震で非常用電源が使えなくなっても、原子炉や使用済み燃料プールを冷却できるよう、電力会社に緊急時の代替電源を用意することを義務づける。
②11の電力会社に対し、1か月以内に全原発で安全対策を講じ、状況を報告するよう求める。
 安全対策は海江田経産相が今月中に通知。〈電力の安定供給には引き続き原発が重要だと判断し、既存の原発について安全規制を強化〉。具体的には、
③電源喪失時に必要な要員の配置や訓練、
④電源車や消防車、消火ホースを備え付けることなど。(⇒こういう問題?)
 定期検査を終え今月末以降に再稼働の予定だった九州電力の玄海原発2、3号機(佐賀県)は、安全対策を優先するため稼働時期が1か月程度遅れることに。

〈予備知識として〉
・「原発が被災、大事故に/3 原発頼りの日本」(毎日新聞)
原子力安全委員会の当面の施策の基本方針改定に向けた検討について(平成22年6月17日 22安委決第19号)(PDF:75.8KB)
・「原子力発電所の設計・建設段階の安全規制」(保安院)
・「国立大学法人愛媛大学という原発推進機関」関連記事

〈地震と津波〉
第一原発の津波対策、首相「予測の基準低すぎ」
 菅首相、29日の参院予算委員会で、福島第一原発の津波対策について「予測の基準が低すぎた」。 海江田経産相は、同原発で1966~72年の審査の際に想定していた津波は3.1メートル、2002年の再評価の際も5.4~5.7メートルで、今回は「14メートル程度はあった」と説明。
・「浜岡原発の地震対策について--耐震設計の基本的な考え方
・浜岡原子力発電所では、近い将来起こるといわれている想定東海地震や過去に繰り返し起こっている南海トラフ沿いの巨大地震も、考慮して設計をおこなっています」
・「南海トラフ沿いの海域では、マグニチュード(M)8クラスのプレート境界地震が、100年から150年程度の間隔で繰り返し起こったことが、古文書の記録などから確かめられています。近年では、1944年に東南海地震、1946年に南海地震が起こっています」
・「浜岡原子力発電所の敷地周辺は、過去に安政東海地震(M8.4)などのプレート境界型の巨大地震による揺れを経験しており、下図のaおよびbの領域にM8.4の地震を想定して設計をおこなっています。更に余裕を持たせ、これと同じaおよびbの領域に、これを上回るM8.5の地震を考慮して設計をおこなっているため、安政東海地震よりも規模の小さいM8.0の想定東海地震(図のaの領域)に対して十分安全性は確保されています」(⇒「安全性」は「確保」されていない)

設計に弱さ GE元技術者が指摘(毎日・ロサンゼルス吉富裕倫)
 東京電力福島第1原発と同型の原子炉を設計した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の元技術者、デール・ブライデンバーさん(79)が毎日新聞の取材に応じ、原子炉格納容器について「設計に特有の脆弱(ぜいじゃく)さがあった」と指摘し、開発後に社内で強度を巡る議論があったことを明らかにした。 東電によると、福島第1原発はGEが60年代に開発した「マーク1」と呼ばれる沸騰水型軽水炉を6基中5基使っている。
◇議論封印「売れなくなる」
 GEでマーク1の安全性を再評価する責任者だったブライデンバーさんは75年ごろ、炉内から冷却水が失われると圧力に耐えられる設計ではないことを知り、操業中の同型炉を停止させる是非の議論を始めた。 当時、マーク1は米国で16基、福島第1原発を含め約10基が米国外で稼働中。上司は「(電力会社に)操業を続けさせなければGEの原子炉は売れなくなる」と議論を封印。ブライデンバーさんは76年、約24年間勤めたGEを退職した。
 ブライデンバーさんは退職直後、原子炉格納容器の上部が小さく、下部と結合する構造が脆弱で万一の事故の際には危険であることを米議会で証言。マーク1の設計上の問題は、米原子力規制委員会の専門家も指摘し、GEは弁を取り付けて原子炉内の減圧を可能にし、格納容器を下から支える構造物の強度も改善。GEによると、福島第1原発にも反映された。
 しかし福島第1原発の原子炉損傷の可能性が伝えられる今、ブライデンバーさんは「補強しても基本設計は同じ。水素爆発などで生じた力に耐えられる強度がなかった」とみる。また「東京電力が違法に安全を見落としたのではない」としながらも、「電気設備の一部を原子炉格納容器の地下に置くなど、複数の重大なミスも重なった」と分析した。 ブライデンバーさんはGE退職後、カリフォルニア州政府に安全対策について助言する原発コンサルタントとして約20年間働き、現在は引退している。

四国電力:11年度供給計画 福島原発事故「影響なし」/香川(毎日 3月30日)
 四国電力(高松市)は29日、11年度供給計画を発表した。東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響はないとした。また、4月下旬からの伊方原発(愛媛県伊方町)1~3号機の定期検査について千葉昭社長は「より入念なチェックが必要。検査期間の延長はあり得る」とした。
 計画では、販売電力量を前年度比0・9%減の288億キロワット時を想定した。猛暑だった昨夏は需要が増えたため、その分の減少(約5億キロワット時)を除けば実質的には同0・7%増となる。自らの発電量に他社からの受電量を加えた「発受電電力量」に対する原子力比率は39%(前年度43%)。3基の定期検査で利用率が約10%落ちるためという。 千葉社長は「国の対策指示には粛々と対応し、現在稼働中の原子炉は活用していく」と話した。また、伊方原発では、原子炉の電源・冷却機能の恒久的確保や浸水対策を検討し、半径20キロ圏内を戸別訪問し、対応を説明することも検討しているという。【馬渕晶子】

浜岡原発、防災訓練も不安残す--中部電力/静岡(毎日)
◇放射線漏れは想定せず
 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発が重大な事故を起こしている問題を受け、中部電力は29日、御前崎市の浜岡原発で津波被害を想定した防災訓練を行った。県や関係市の関係者、報道陣に公開した。放射性物質による環境汚染は想定せず、約140人の参加者は防護服などは着用しなかった。周辺市の市長が「不安がなくなったわけではない」と話すなど懸念の解消には至っていない
 訓練は午前9時半、「地震発生で津波の恐れがある」として始まった。福島第1原発で起きた事態を踏まえ、訓練の想定は、
(1)4、5号機は揺れを感知し自動停止した
(2)津波が原発の構内に押し寄せた
(3)海水ポンプなどが水没したほか、非常用ディーゼル発電機が働かない
(4)原子炉の冷却機能が失われつつある--との内容だった。
 電源を確保するための発電機車からのケーブルの接続や、原子炉内に消防車のホースで冷却水を送り込む手順を確認。中央制御室と同じ機能を持っている訓練室での緊急操作などを展開した。
 中電は今回の訓練で想定した津波の高さについて「巨大地震でも8メートルを超えない」との従来見解を踏襲した。また、放射性物質の汚染を考慮せずに訓練を行った。中電は、この点について「具体的な対策はこれから検討する」と説明した。
 こうした事情もあり、県の小林佐登志・危機管理監は視察後、「さらに厳しい条件での訓練が必要だ」と指摘した。石原茂雄・御前崎市長は「訓練で不安がなくなったわけではない」と述べ、ともに厳しい見方を示した。【舟津進】

保安院、経産省から分離へ=推進と規制、同一組織に問題―原発事故受け、政府・民主
 政府・民主党は30日、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、原発に関する安全行政を抜本的に見直す方針を固めた。東電や経済産業省原子力安全・保安院の初動対応が遅れた原因を徹底分析するとともに、事故が終息に向かえば、具体案の検討に入る。菅政権内では、原子力の推進と規制の両部門が同一組織にあることで、「安全面のチェックが甘くなっていた」との見方が広がっており、保安院を経産省から分離する方向で検討する。
 保安院は経産省の外局で、原子力施設の設置許可や保安検査などの安全規制が主な業務。2001年の中央省庁再編で、旧科学技術庁などに分かれていた原子力業務を一元化する形で設置された。ただ、同省には、原発を推進する資源エネルギー庁もあり、当時から「アクセルとブレーキを同じ役所が握るのは問題」との指摘があった。原発を抱える福島県の佐藤雄平、新潟県の泉田裕彦両知事はかねて、保安院の分離を政府に求めていた。
 こうした中、対応の遅れから原発事故は深刻な事態に発展。菅直人首相は30日、首相官邸で会談した福島瑞穂社民党党首から保安院の分離を求められ、「これだけの事故があったのでしっかりとエネルギー政策を議論する。保安院の体制を含めて当然議論になる」と検討を表明。民主党幹部は「組織の見直しは必要。少なくとも経産省から保安院を分離すべきだ」と明言した。(時事通信)

原子力安全・保安院
・NISAは、エネルギー施設や産業活動の安全を守り、万一の事態に的確に対応(???)するため、「強い使命感」「科学的・合理的な判断」「業務執行の透明性」「中立性・公正性」の四つを行動規範としています。
第一に「強い使命感」に基づき緊張感を持って業務(???)を遂行します。
第二に、安全・保安行政の専門家(???)として現場の実態を正確に把握(???)し、「科学的・合理的な判断」(???)のもとに行動します。
第三に、国民の皆様の信頼と安心感を得るため「業務執行の透明性」(???)の確保に努めます。情報公開に積極的に取り組み、自らの判断について説明責任(???)を果たしていくことを重視します。
第四に、「中立性・公正性」を大前提(???)として安全・保安行政を遂行します。

14基の原発新増設、見直し…太陽光など重視へ
 政府は29日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、2030年までに少なくとも14基の原発の新増設を目標に掲げた「エネルギー基本計画」を見直す方針を固めた。 新たな基本計画は、原発重視から太陽光などクリーンエネルギー重視へと転換する考えで、14基の原発建設計画の中断や大幅延期は避けられない情勢だ。
 菅首相は29日の参院予算委員会で「太陽光などクリーンなエネルギーについて、日本のエネルギー政策をどうするべきか改めて議論が必要だ」と答弁。海江田経済産業相は閣議後の記者会見で「基本計画は、これまでと同じような形ではいかない。政府全体でエネルギー政策をどうするのか話をしなければいけない」と強調した。(読売)