2011年6月23日木曜日

2011年6月23日を記憶する---OkinawaとFukushima、安保と原発

2011年6月23日を記憶する---OkinawaとFukushima、安保と原発


 糸満市摩文仁の平和祈念公園で行われた「沖縄全戦没者追悼式」。つけっぱなしのラジオから流れる式典の様子を聞いていた。 
 琉球新報が報じた仲井真知事の「平和宣言」(要旨)の中では、このように語られている。

 「[沖縄は]二度と戦争の悲劇を繰り返さないこと、平和こそ何物にも替え難いものであることを深く学んだ。
 県民は依然として過重な米軍基地負担を強いられており、基地から派生する事件や事故、騒音に悩まされている。安全・安心な県民生活はいまだに実現していない。基地負担の大幅な軽減と、危険な普天間飛行場を一日も早く県外に移設すること、日米地位協定を抜本的に見直すことを日米両政府に強く訴えていく」

 これに対し、菅首相は「あいさつ」でこう応えている
 「東日本大震災と原子力発電所の大事故という未曽有の困難の中で慰霊の日を迎えることに、私は特別な感慨を覚える。・・・・。いつの時代も、人間の尊厳と生命を守ることこそ政治の任務であることを心に刻んでいる。
 沖縄には米軍基地が集中し、皆さまに大きなご負担をおかけしている。本土復帰から39年が過ぎたにもかかわらず、沖縄だけ負担軽減が遅れていることは、ざんきに堪えない。今後、米軍基地に関わる沖縄の負担軽減と危険性除去への取り組みについて最大限努力する。

 政府としては現行の沖縄振興計画の総仕上げをしっかり行う。沖縄の優位性や潜在力を最大限に生かし、沖縄の自立的発展のみならず、わが国およびアジア太平洋地域の発展に寄与しうる新たな振興策に取り組む。一括交付金県が主体となる計画への支援、跡地利用に関する法律の制定、出先機関の見直しなど、地元の方々の声に耳を傾けながら、さまざまな制度について実現していく。

 今日の日本の平和と繁栄は、戦没者の尊い犠牲の上に築かれている。わが国は、二度と国民を戦争という不幸に陥れない不戦の誓いを堅持し、国際社会の一員として国際平和の実現を不断に追求していく」

 この菅首相の「あいさつ」を、さらに11年前(2000年)の森元首相の「あいさつ」と比べてみる。
 「世界の恒久平和を考えるためにも、私たちは戦争の悲惨さや皆様の悲しみを深く心に刻み、直視しなければならない」。
 「政府として沖縄の特性を生かした産業の振興、南の国際交流拠点の形成に努める」。
 「負担を軽減すべく、皆様の理解と協力を得ながら整理・統合・縮小に向けてSACO最終報告の着実な実施に努めたい」。
 「沖縄に夢と希望にあふれた明るい未来を築き、世界平和の確立と豊かな社会実現のために全力を尽くしたい」。

 仲井真知事の「平和宣言」には、米軍基地の(段階的)全面撤去を求める沖縄の人々との思いとはズレがある。しかし、そのズレ以上に、知事の「平和宣言」と首相の「あいさつ」の間には埋めようのない「断層」がある。そして、民主党政権の「あいさつ」は、11年前の自民党政権の「あいさつ」と、ほとんど何も変わらない。 これが、「戦後66年」目を迎えたOkinawaの現実である。

・・・
知事、「辺野古」「普天間」二択論を批判
 仲井真知事は23日、米軍普天間飛行場の移設について「沖縄のせいで固定化だと言われてもとんでもない話」だと強調。日米の一部に根強い、名護市辺野古への移設を受け入れなければ普天間が固定化されるとの二択論をけん制した。那覇空港での菅直人首相との懇談後、記者団に語った。 その上で仲井真知事は「どうして元の案にいつも回帰しなければならないか、どうも理解不能だ」とも述べ、再び従来のV字案に回帰した先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)合意を批判、普天間飛行場はあくまで県外移設されるべきだとの考えを示した。
 懇談は政府側の求めで設定され、午後1時50分すぎから約30分間、昼食を交えて行われた。出席者によると、知事は中国から沖縄経由の入国を優遇する数次ビザ創設や黒糖の品質表示問題など、最近の政府による沖縄への配慮に謝意を述べ、継続的な支援を求めた。 菅首相からは特別な発言はなく、普天間移設や2プラス2については首相、知事双方とも言及しなかったという。福山哲郎官房副長官、上原良幸、与世田兼稔の両副知事らが同席した。(沖縄タイムス

普天間移設:超党派議員が沖縄訪問 仲井真知事と面談へ
 民主党の前原誠司前外相や自民党の中谷元・元防衛庁長官ら与野党の議員約10人が7月9~11日、沖縄県を訪れ、仲井真弘多知事らと会談することが分かった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、米議会内で同県名護市辺野古への移設計画に見直し論が出ているため、現行案への理解を要請する。
 訪問するのは超党派の「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」のメンバーで、公明党の佐藤茂樹衆院議員らも参加。政府・民主党内でも「現行案の実現は難しい」との声が出ているため、現行案を推進する前原氏が呼び掛けた。9日に辺野古を視察し、10日夜に仲井真知事と会談する予定。【毎日・大貫智子】
 ↓
 これが「普天間問題」の「解決」をはかるという日米安保族のpolitical technology(政治工学)の一形態である。

                    ・・・・・・・・

 昨日(6/22)、大阪の橋本知事や平松市長の「脱原発宣言」に触れて、「政策の不在」と「地元への視線の不在」を書いていた。両氏の「宣言」を評価し、歓迎している人々(私もその一人なのだが)の中には、「コイツは何を言っているのか?」と思った人もいたかもしれない。
 そう感じた人に、考えてみてほしいのは、上の仲井真知事や菅首相の言葉が、どれだけ「米軍基地の(段階的)全面撤去を求める沖縄の人々」の心の琴線に触れたものであるか、ということである。


 大阪府と大阪市の「脱原発宣言」が「本物」であるかどうか(少なくとも大阪市のそれは「本物」とはとても思えない)、また関西広域連合が大阪府・市の「宣言」に対して、どのような態度を取るかについては、今週の連合の会議から、7月半ばくらいまでには判明するだろう。
 私の「違和感」は、府と市の「宣言」が関電の「15%節電要請」(今では「11%以上」)に対するリアクションとして出てきたこと、企業の節電は必要なしとしてきたこと、関電の筆頭株主の大阪市に至っては、株主総会に対して脱原発を提起する意思を持たないと表明したこと、等々にその要因があった。しかし、国と電力会社がどこまで本気で再稼働に踏み切るか(法的には立地自治体の承諾は必要ない)についても不透明な状況になってきたので、しばらく様子をみることにしよう。

6/24
関西経済5団体、関電に原発再稼働求める
 関西経済連合会や大阪商工会議所など関西の経済5団体は24日、関西電力に対して緊急要望を申し入れた。定期検査で停止している原子力発電所の再稼働に向けて努力を促すほか、中小企業には15%の節電要請の目標引き下げなど配慮するよう訴えた。要望後、佐藤茂雄・大商会頭は「関西でも十分な電力が得られないと日本経済が混乱する。(原発再稼働は)緊急措置として申し入れた」と述べた。
 関電の八木誠社長は記者団に対し、約7000件の大口顧客を半数訪問し、6割が10%程度の節電協力にとどまったことを明かした。八木社長は15%は節電の目標水準だとし、「中小企業については個々の事情に配慮したい」と話した。(日経)
 ↓
 関西財界の再稼働要請に対し、大阪府と市、また関西広域連合がどのように介入し、逆転をはかるか。これが知事、市長の「脱原発宣言」の本気度をはかる、当面の指標である。
 いずれにしても、私たちは、デモや集会に合わせた対政府・対電力会社行動だけでなく、自治体の意思決定への介入の手段、方法を真剣に考えねばならない段階に来ていると言えるだろう。
6/26
関西広域連合、関電に原子力安全協定申し入れへ
 2府5県でつくる広域行政組織「関西広域連合」は25日、大阪市内で開いた委員会で、福井県内の原発再稼働についての原子力安全協定を結ぶよう関電に申し入れる方針を決めた。具体的な内容を詰め、来月にも関電に提示する。連合長を務める兵庫県の井戸敏三知事は「情報提供のほか、電力確保策、代替エネルギーまで含めた包括的なものになるだろう」と述べ、立地県との協定とは、異なる内容を検討することを明らかにした。 協定締結は、滋賀県の嘉田由紀子知事が「万一の事故の際の琵琶湖への影響などは関西全体の問題」などとして提案した。
 原子力安全協定は、電力事業者と自治体が結ぶ任意協定。内容は原発の増設・再開に関する事前承認権調査権防災対策の協力などさまざまで、原発や核燃料サイクル施設を抱える自治体と結ぶ例が多い。
 国内最多の原発14基を抱える福井県に隣接する京都府は今月23日、関電に協定締結を求め、協議会を設けることで合意。鳥取県も島根原発がある中国電力に県や近隣自治体と協定を結ぶよう申し入れているが、広域連合としては、現段階では関電との協定締結に絞って検討する方針。
 この日開かれた広域連合議会の全員協議会には、関西電力の八木誠社長も非公開で参加。八木社長は、一律15%程度の節電要望の際に、「説明の仕方に不手際があった」と謝罪したうえで、節電への協力を改めて要請した。 広域連合側は、安全協定締結についてこの日の要望は見送ったが、協議会終了後、八木社長は「この問題は国で検討し、原子力防災協定を見直している最中。そうした動きを見ながら検討したい」と述べた。
 広域連合はこの日、産業や経済分野に悪影響を及ぼさないよう家庭やオフィスを中心に平常時5%、ピーク時10%を目標に節電に取り組むことを正式に決定。 電力需給が逼迫(ひっぱく)した場合、大阪府の橋下徹知事が提唱する家庭でのエアコン停止など、さらなる節電を呼びかける。 また、広域連合内の新エネルギー開発の研究会に関電にも参加するよう呼びかけ、新しいエネルギー対策のあり方を共同検討していくことも決めた。(産経)
・・

・・・
・「青森、岩手で震度5弱 M6.7、一時津波注意報
・「ぬかるむ被災地 東北・あすまで大雨の恐れ」(河北新報)
・「「安全委、原発指針抜本改定へ 見直し着手
「原発事故「レベル7」の正体 「想定外」ゆえ大ざっぱ」(毎日)
・「原発被災者「国策の被害者」と明記 政権の取り組み方針」(朝日)
・福島第一原発「1号機設置許可の無効求めた訴訟、国が争う姿勢」(読売)
枝野氏、原発再稼働「できない」
 枝野幸男官房長官は23日午前、共産党の志位和夫委員長と首相官邸で会談し、海江田万里経済産業相が停止中の原発の再稼働を促したことに立地県の知事が反発していることについて「一般社会の常識から考えても、県知事が『絶対反対』といっているものを稼働させることはできない」と述べ、再稼働に否定的な見解を示した。枝野氏に再稼働要請の撤回を求めた志位氏が、会談後の記者会見で明らかにした。(産経)
 ↓
 「立地県の知事」は「絶対反対」と言っているのだろうか? 「社会の常識」では再稼働などありえないのに、「国家の常識」で再稼働を要請していることが問題なのではないのか? この政権は何がしたいのか? 

・「原発安全協定、京都府と協議 関電社長が山田知事と会談」(京都新聞)
◎山田知事は八木社長に、府が福井県に隣接することを理由に、原発再稼働時は府に了解を求めるなど福井県並みの権限を認める協定を結ぶよう求めた。
◎これに対し、八木社長は「国の原子力防災指針の見直しなど全体を踏まえる必要がある」としながらも、府と協議の場を設けることは受け入れた。
◎山田知事に先立ち大津市の滋賀県庁で会談した嘉田知事は、運転開始から40年を超える美浜原発1号機について「老朽化している美浜原発1号機はできるだけ早く卒業してほしい」と廃炉を求めたが、八木社長は「高経年化で福島第1原発事故が起きたと思っていない。技術的な保全計画を立て、国に安全を認めてもらって運転している」と安全性を強調した。

・・・
・「アフガン撤収、来夏までに3万3千人 米大統領が演説」(朝日)→単に、2009年の増派分を引き上げる、という話。
「グアムと沖縄は植民地」 沖縄出身の教授、国連で演説
 国連本部で21日に開かれた脱植民地化特別委員会で、沖縄県出身の松島泰勝・龍谷大教授(48)が、グアム政府代表団の一員として異例の演説をした。「グアムと沖縄は今も植民地。地域のあり方や行く末を決めるのは住民ではなく本土政府だ」と訴えた。
 沖縄県出身者がグアム政府代表に加わるのは、今回が初めて。松島さんが今年2月、学生を連れてグアムを訪れた際に、NGO代表でグアム大講師のリサ・ナティビダッドさん(40)と米軍基地問題について意見交換したのがきっかけで、グアム政府から代表団入りを求められた。
 グアム政府代表団5人のうち4番目に発言した松島さんは「沖縄の人々は米軍基地の撤去を求めているのに、日米両政府は一方的に押しつけている。グアムの人々も、これ以上の基地負担を望んでいない。沖縄とグアムは軍事的にも政治的にも経済的にも植民地で、兄弟姉妹の関係だ」と述べ、沖縄だけでなくグアムの米軍基地負担も軽減させるため、日米両政府へ圧力をかけるよう国際社会に求めた。(朝日)
・・・