2011年6月15日水曜日

〈脱原発-核兵器International Peoples' Network〉を

〈脱原発-核兵器International Peoples' Network〉を

 菅原文太さんが、「岩手、宮城、福島の被災者のための『ふるさと支援』発表会見」に出席し、「反原発三国同盟」の結成を提案したという。 
 「反原発三国同盟」とは、とても分かりやすい表現だ。「国民投票を」というのも理解できなくもない。だから、両方ともスローガン倒れにしないためには、真剣にどうやったら実現できるかを、しっかり考え議論する必要はあると思う。
 まず、「反原発三国同盟」のためには、国際条約としての日米安保条約を解消し、在日米軍にお引取り頂き、日米関係を再定義、というか「普通の関係」にしなければならない。私は大賛成だ。そのためにわざわざ本も書いた。原発と同じように、安保もせめて、せめて2050年くらいまでには何とか解消し、米軍に出て行ってもらおう、そんなつもりで書いた。自分の身近にいる子どもたちや若い世代の未来に、これ以上〈戦後のツケ〉を残してしてはいけない、そんな独りよがりの「使命感」で何とか自分を引っ張って書いた。

米・仏・英・中・ロ(安保理常任理事国)とどう向き合うか?
1、日本の「原子力外交」と「国際原子力科学技術協力」
 「第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)」というものがある。1999年、クリントン政権時代の米国が提唱した国際フォーラムのことだ。経緯的には、

①2001年7月、米、仏、英に、日本、カナダ、韓国、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカが加わり、GIF憲章を作成。その後、中国、ロシア、欧州原子力共同体(ユーラトム)、スイスがGIF憲章に署名し、現在、計12国及び1国際機関がGIF加盟国になっている。
②2005年2月、米、仏、英、日本、カナダが、「第四世代の原子力システムの研究及び開発に関する国際協力のための枠組協定」(「枠組協定」)に署名し、締約国に。その後現在までに中国、韓国、スイス、ユーラトム、南アフリカがそれぞれ加入する。

 要するに、GIFとは世界の核軍事大国たる米英仏が中軸となり、中国・ロシアもこの「枠組み」の中に入り、これに非核保有国(南アを例外とする)を巻き込みながら、世界の原発市場を開拓しようとするものである。ブッシュ政権時代に国際的にキャンペーンされた「原子力ルネッサンス」に便乗しながら、日本の原子力産業も「日本の原発を世界へ!」を合言葉に、日米仏原子力複合体の形成に走ったのである。(日立・東芝が米国と、三菱がアレバ(仏)とタグを組んだように)

 だから、何でもかんでも「対米従属」論の中に流し込んでしまっては、この10年(もっと言えば冷戦体制崩壊後)どのような国際的秩序が形成されようとし、その中で日本がどのような位置を占めようとしてきたのか、正確に捉えることができなくなってしまうのである。

 「対米従属」という言い方をすれば、米軍基地をもつ国々や、「集団的自衛」の行使が規定された条約を米国と結んでいる国々は、すべて「対米従属」の国だと定義することができる。もっと言えば、米国がスーパーパワーであることに変わりはないのだから、全世界が「対米従属」とも言えてしまう。詳しいことは本を読んで頂くしかないのだけれども、要するに日本の「対米従属」論は概念的定義というより、米国に対する強烈なルサンチマンに基づいていると言ったほうが実態に即している。 旧社会党に民社党、公明党や共産党の、安保条約解釈と「日米軍事同盟」論規定を分析しつつ、私は安保条約の文言に内在しながら「日米同盟の欺瞞、日米安保の虚構」を論じたわけだけれども、要は、政府・外務省の「日米同盟」論をはじめ、既存の「日米同盟・日米安保」分析、「日米軍事同盟」論を抜本的に再検証する(権威的「通説」をまず疑う)必要がある、ということが言いたいのである。

 「同盟」「同盟」と、さも自明の如くにみんな語っているが、日米関係が「同盟」だと言える根拠がどこにあるのか、歴代政権・外務省がそう言ってきただけで、国際条約上の根拠などどこにもないではないか、というのが私の分析の結論である。ともあれ、「団塊の世代」からさらに年配の人々、とりわけ護憲論者の中には、「対米従属・日米軍事同盟」論者が非常に多い。また、別にどうでもいいのだけれども、こうした観点から、「団塊の世代」の一人、内田樹的「脱原発対米従属論」をしっかり読むと、その内容がいかにシャローであるかも理解できると思う。
 キリがないので先に進もう。

 もちろん米国の存在は大きい。非常に大きい。しかしむしろ、米国が英仏を軸に中・ロをも巻き込みながら世界秩序を再構築してきたことに目を向ける必要がある。一方における対米従属論と、その対極としての中(北朝鮮)・ロの脅威→日米同盟強化論、いずれもこの世界秩序の再編成プロセスを見えなくさせてしまうのである。
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東芝、原発受注計画の達成延期へ 目標数は39基のまま
 東京電力福島第一原発の事故を受け、東芝は「2015年までに39基の原発を受注する」としてきた事業計画の達成時期を延期する方針を固めた。国内で原発建設が停滞するほか、海外でも安全審査の強化などで着工が遅れる可能性が高いと判断した。24日の経営方針説明会で明らかにする。 39基のうち国内は電源開発が建設中の大間原発など数基で、残りの大半は海外案件。主要市場の米国や中国が原発推進の方針を変えていないため、39基の目標自体は維持する見込みだ。(5/24 朝日)

⇒「外交最前線 原子力の平和利用のキーワード「3S」」(外務省)
⇒「2011 ドーヴィル会議」(外務省)
⇒「原発ルネサンスで拡大狙う東芝、日立、三菱重工への懸念」(週刊ダイヤモンド 2009年8月10日)
⇒「原子力の平和利用を再検証し、ポスト原発を視野に議論を(1)」(東洋経済 6/14)

2、どのような〈価値〉を大切にする国際秩序と国際関係を望むか、という問題 

 何か小難しいことを言いたいのではない。私が言いたいのは、「商売ができて、儲けることができれば、それ以外のことにはすべて目をつむりましょう」という国際秩序と国際関係から、もう脱却する時代を迎えているのではないか、ということである。
 これまで日本は、中国やロシアとは「価値」を共有できないけれども「商売ができて、儲けることができれば、それ以外のことにはすべて目をつむりましょう」ということでやってきた。では、米仏英とは、どのような「価値」を日本は共有してきた/いるのか。「自由と民主主義」? それはどんな「自由」で、どんな「民主主義」なのか。

 と考えてゆくと、これまで外務省やほとんどの日本人の頭の中にあったのは、「自由」とか「民主主義」の概念的中身そのものでもなく、「商売ができて、儲けることができれば、それ以外のことにはすべて目をつむりましょう」という米国との「商売ができて、儲けることができれば、それ以外のことにはすべて目をつむりましょう」という「経済」関係と、これを軸とする英仏など「西側」との「国際関係」、その程度のものでしかなかったことが明らかになってくる。

 日本の「戦後」の「自由と繁栄」は、全世界に対する「商売ができて、儲けることができれば、それ以外のことにはすべて目をつむりましょう」路線によって築かれてきた。しかし、それでは世界も日本も立ち行かなくなってきているのではないか。これまでのような「商売ができて、儲けることができれば・・・」路線では、米・仏・英・中・ロ(安保理常任理事国)が無茶苦茶にし、国際法も国際基準もヘッタクレもなく、すべてがグダグダになってゆく世界をどうすることもできなくなる。〈脱原発〉と〈脱核軍事大国〉を合体させるなら、近未来のあるべき国際秩序と国際関係像が見えてくると思うのだ。

 要は、米国を中心とする五つの核軍事大国によって形成されてきた「戦後」の世界秩序、とりわけ冷戦体制崩壊後のそれを私たちが是とし、good!と言うのかどうかにある。
 もしも「良し!」としないのであれば、この核軍事五大国の馴れ合い的駆け引きによってずべてが決まり、何も決まらない現国連システムを、せめて2050年くらいまでには何とかする、そのことを今から考えて行かないと、これから先、世界と人類はさらに破滅に向かって突き進んでゆくだけである。
 「反原発三国同盟」ではなく、〈脱原発-核兵器国際ピープルズネットワーク〉を私が提唱するのは、このことが今、全世界の「人民」peoplesにとって、最も喫緊の課題になっていると考えるからである。  
 
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米原発でも問題点相次ぎ発覚 原子力規制委が月末に最終報告
 米国で原子力施設をめぐる事故や問題が相次いでいる。いずれも深刻なトラブルには至らなかったが、福島第1原発事故を受けて原子力施設への懸念が高まっており、米原子力規制委員会(NRC)が今月まとめる最終調査報告では改善が強く求められそうだ。
 福島第1原発事故を受けて、NRCは特別調査チームを設けて、世界でも最多の104基を数える米原発の安全性の再点検を実施している。5月12日の中間報告では、「現時点では安全対策に大きな問題は見当たらない」としていた。 ところが、NRCが20日に発表した緊急検査結果では、電源喪失への備えで3基の原発に問題があったほか、津波や洪水対策で2基に不備が見つかった。6月6日には災害時の対策調査結果を発表し、約4割の原発が定期訓練を行っていないことも判明している。 米政府監査院(GAO)も、先月発表した米原発の報告書で、「すべての原発で過去に地下水汚染が発生したと判断される」と指摘。老朽化が進めば放射性物質が漏れ出す可能性が増すとも警告している。

 実際、原子力施設での事故や災害も最近続発しており、4月7日には米ワシントン州のリッチランド原発小規模な爆発事故が発生。幸い作業員は退避していて無事だった。4月27日にはアラバマ州のブラウンズフェリー原発が竜巻で停電し、原子炉が一時停止する騒ぎがあった。6月7日には、ネブラスカ州のフォートカルホーン原発で火災が発生し、一時的に核燃料プールの冷却機能を喪失。同月下旬には洪水で同原発が水につかり、住民の不安を受けて、NRCのヤツコ委員長が緊急視察する事態となった。 ニューメキシコ州では、核関連物質を保管するロスアラモス国立研究所が山火事で閉鎖され、付近の住民が避難した。 NRCは今月発表する最終報告で、福島第1原発事故の教訓も踏まえて、米原発の改善点を示すことにしており、「想定を超えるような災害時の対策にも焦点をあてる」としている。【産経・ワシントン=柿内公輔

新型炉開発に1千億円超 仏大統領、原発安全強化も
 フランスのサルコジ大統領は(6月)27日の記者会見で、未来のエネルギーを担う最新鋭の原発を開発するために、同国が今後10億ユーロ(約1150億円)を投資することを明らかにした。 ドイツやイタリアなど周辺国が、相次ぎ脱原発へエネルギー政策を転換させる中、フランスは原発の刷新で安全性を追求、原発を維持し続ける方針を再確認した形。
 サルコジ大統領は「未来型の原子炉、特に第4世代原子炉の開発計画のために10億ユーロを投資する。われわれはさらに、原発の安全性向上のため、研究費を増額する」と語った。(共同)

ロシア原発、安全性向上に426億円超
 26日のインタファクス通信によると、ロシア国営原子力企業ロスアトムのキリエンコ総裁は24日にプーチン首相と会談した際、原発の安全性向上に向けた追加設備購入などのため、今年から来年にかけて「計150億ルーブル(約426億円)以上の予算措置を取る」と述べた。 総裁は「福島第1原発事故の経験から必要」と説明した。非常時に電気や冷却水を自動供給するシステムディーゼル発電機ポンプ防火装置などを購入する。(共同)

露など7カ国も原発検査 EU安全基準で実施
 欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、ロシアウクライナトルコなど近隣の7カ国が、EUが設定した安全基準に基づき自国の原発安全検査を実施することで合意したと発表した。 各国の原発検査の結果について、他国の専門家らが相互評価することでも合意した。 福島第1原発事故を受け、EUは共通の安全基準を設定し、6月から域内の全原子炉の検査を既に開始していた。 EU基準に基づき原発検査を実施するのは、このほかクロアチア、スイス、アルメニア、ベラルーシ
 EUが5月に決定した安全基準は、想定を上回る規模の地震、津波、洪水などへの備えを検査。また、飛行機の衝突や原発付近での大規模な爆発などを想定し、原発の構造的強度を点検することを盛り込んだ。(共同)

脱原発のスイス当局が福島事故を厳しく指摘「想定外の事態ではない」
 2034年までに寿命を迎える原子力発電所の全廃を決めたスイスの原子力安全当局が福島第1原発事故について「想定外の事態は何一つ起きていない」と日本の安全対策の不備を指摘する報告書をまとめていたことが19日、分かった。原発の安全強化策を協議する国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合が20~24日開かれるが、こうした加盟国の厳しい目が日本側の対応に改めて注がれそうだ。 スイスの原子力安全当局が事故を分析して5月5日に同国政府に報告した。 産経新聞が入手した報告書によると、
(1)緊急システムに津波防護策が施されていなかった
(2)冷却用水源や電源の多様化が図られていなかった
(3)使用済み核燃料プールの構造が内外の衝撃に対して無防備で確実な冷却機能もなかった
(4)原子炉格納容器のベント(排気)システムが不十分だった-と指摘されている。 その上で「携帯用ディーゼル発電機やポンプの備えがあれば、もっと短時間で原子炉への注水を再開できた」として少なくとも2号機と3号機の炉心損傷は避けられたと分析。「最初の3日間に3号機と4号機の使用済み核燃料の加熱と放射性物質の放出を防ぐために貯蔵プールに注水できなかった事実はもっと不可解だ」と厳しく批判した。
 報告書は「過去500年に福島第1原発の安全基準を超える津波が19回も起きているのに十分な対策を怠ってきたことは日本の安全基準への不信感を醸成している」とも指摘している。
 スイスの国民議会(下院)は今月8日、既存の原子炉5基を順次停止する脱原発議案を可決している。 一方、日本を現地調査したIAEAの調査団は閣僚級会合で調査報告書を発表するが、IAEA派遣団の一員として2007年の新潟・中越沖地震で自動停止した柏崎刈羽原発の損傷を調査した英ブリストル大のウィリー・アスピナル教授は「IAEAが独自に調査して改善を求めるというより現場を視察して日本側から調査結果の報告を受けただけ。それが日本政府の要請だった」とIAEAの調査能力の限界を指摘する。【ウィーン=木村正人】

トルコ政府高官 日本の原発への信頼揺るがず 受注交渉再開を期待 
 トルコでの原発建設の受注を目指しているものの、東京電力福島第1原発事故の影響で交渉を中断している日本企業に関し、トルコのエネルギー天然資源省高官(原子力担当)は産経新聞の取材に、日本の最新技術への信頼は揺らいでいないと強調、日本側との交渉再開に期待感を表明した。 一方で別の政府高官は、交渉が一度頓挫した韓国のほかロシア、フランスなどからも交渉の打診があることを明らかにしており、トルコの原発をめぐる国際商戦は激化しつつある。
 トルコは有数の地震国で、1999年8月には北西部で約1万7千人が死亡する大地震が起きている。ただ、エルドアン政権は日本の震災後も原発推進の旗を降ろさず、原発建設の是非が争点の一つとなった今月(5月)12日の総選挙で圧勝した。 同省高官は「福島第1原発は日本で最も旧式の原発。現在と比較はできない」とした上で、「トルコ側の態勢は整った。あとは日本だ」とコメントした。 東芝と東電を中心とする日本勢が受注を目指しているのは、北部シノップで計画中の140万キロワット級の原発4基。東芝の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を提案している。
 トルコ側は当初、韓国勢と交渉を進めていたが、価格面や「韓国の情報開示が不十分だった」(トルコ側交渉担当者)ため打ち切り、今年初め、日本勢との交渉を始めた。しかし東日本大震災の発生後、日本側の要請で中断。同省高官によると、日本側は、東電に代わる電力会社の参画を模索していると説明したが、具体的進展はないままという。(アンカラ 大内清)

日本との協力変わらず 原発建設で越計画投資相
 日本に原発建設を発注する方針を決めているベトナムのボー・ホン・フック計画投資相は30日、東京都内の講演で、原発建設における「パートナーは変わらない」と述べ、福島第1原発事故後も、引き続き日本側との協力を進める意向を表明した。 フック氏は、拡大を続けるベトナムの電力需要に対応するためには「原発の建設は欠かせない」と指摘。福島の事故は、想定外の自然災害によって引き起こされたとの認識を示した。
 ベトナムは原発建設計画で第2期分となる中部ニントゥアン省の2基を日本に発注する方針を決定。昨年10月の首脳会談で事実上合意している。(共同)

タイ与野党が「反原発」表明 選挙後に計画見直しへ
 7月3日のタイ総選挙を前に、アピシット首相率いる与党民主党と、タクシン元首相派の最大野党タイ貢献党の双方が、5日にバンコクで開かれた環境フォーラムで原発建設計画を見直す「反原発」の立場を表明した。6日付の地元英字紙バンコク・ポストが報じた。 タイ政府は2020年から25年までに原子炉5基の建設を計画していたが、福島第1原発事故を受け、アピシット首相は既に見直しを示唆。原発建設に反対する動きが国内で広がる中、タイ貢献党も反原発政策を掲げたことで、選挙後どちらが政権を取っても原発導入に歯止めがかかるのは必至とみられる。 東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で現在、原発を稼働させている国はないが、ベトナムが計4基を日本とロシアに発注することを既に決定している。(共同)

仏で脱原発派が77% 原発大国で異例の結果
 (6月)5日付フランス週刊紙ジュルナル・デュ・ディマンシュが公表した世論調査によると、同国の回答者の計77%が、原発を即時もしくは段階的に廃止すべきだと考えていることが明らかになった。 電力需要の8割近くを原発が担うフランスで、これほど脱原発の機運が高まったのは異例。脱原発団体のスポークスマンは「世論は、福島第1原発事故を受けて明らかに原発の重大なリスクを意識している」と述べた。
 今月1~3日に有権者1005人を対象に行われた調査によると、原発を即時停止すべきだとした回答は15%。25~30年かけて段階的に廃止すべきだとの回答は62%に上った。原発継続派は22%にとどまった。【パリ共同】

ドイツ原子炉閉鎖、さらに段階的前倒し 州政府と合意
 福島第一原発事故を受けて脱原発政策を進めるドイツのメルケル首相は3日、国内16州の州政府首相らと協議した。遅くても2022年までに原子力発電から脱却するという最終的な目標年は変えないものの、州政府側が要求した原子炉の閉鎖を段階的に前倒しする案を受け入れた。
 野党の社会民主党(SPD)や緑の党が政権を握る州も含む16州政府と連邦政府が基本的に合意したことで、州政府の代表から成る連邦参議院に加え、連邦議会でも脱原発政策が超党派で合意される可能性が高まった。メルケル政権は原子力法改正案などの関連法案を6日に閣議決定し、7月8日までの両院通過を目指すとしている。
 キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党の連立与党が5月30日に合意した方針では、国内に17基ある原発のうち、現在運転を一時停止している8基はそのまま閉鎖。残る9基は21年まで運転を続け、うち3基は22年末まで1年延長する選択肢を残した。これに対し、州政府側は残る9基を段階的に閉鎖する案を要求。メルケル首相はこれを受け入れた。原発の運転期間を32年間と定め、15年、17年、19年に1基ずつ、21年に3基、22年に3基閉鎖という行程を検討している。 また、各原発の閉鎖期限を法に明記することでも合意。脱原発政策が将来的に変更されることを警戒する野党の要求を取り入れた。協議後、メルケル首相と並んで会見したノルトライン・ウェストファーレン州のクラフト首相(SPD)は「幅広い政治的合意が可能だ」と話した。
 ドイツで原発をめぐる対立は長い歴史がある。SPDと緑の党のシュレーダー連立政権が決めた脱原発政策を、メルケル政権が昨年、原発延命へと転換。さらに、福島事故後に脱原発へ戻った経緯から、メルケル政権は超党派での合意を目指していた。脱原発を決定して与野党の争点から外すことで、反原発を党是として追い風に乗る緑の党の勢いを止めるという政治的な狙いもある。(朝日・ベルリン=松井健) 

千葉、茨城で土壌から通常の400倍セシウム 筑波大調査(中日新聞)

福島第一原発の安全弁、検査ミスでいったん合格 08年
 原発での国の法定検査を担う独立行政法人原子力安全基盤機構が、2年半前に東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉の安全弁の検査を誤った手法で実施し、合格させていたことがわかった。運転前に東電が誤りに気づいて指摘し、機構が再検査した。 問題の弁は、「主蒸気逃し安全弁」。通常は閉じているが、事故時には、炉の破損を防ぐため弁を開けて中の圧力を逃す。検査は2008年12月、弁の交換に伴って行われた。 正常運転時には原子炉内には一定の圧力がある。このため、検査でこうした圧力をかけても弁がきちんと閉まった状態を保てるかどうかを確かめる必要がある。しかし、問題の検査では規定値よりも低い値でしか加圧していなかった
 検査は機構の検査員2人が東電社員に指示して実施。東電社員の単純ミスで加圧不足になったが、検査員は気づかず、検査に合格させた。 東電は、翌09年初めに再検査した際にミスに気づいて機構に報告。機構は再検査し、09年4月に経済産業省原子力安全・保安院の審査を経て、3号機に弁が設置された。 02年に発覚した東電のトラブル隠しで、保安院が検査の改ざんを見抜けなかった。この教訓から検査強化のために03年に機構が設立された。経産省所管の独立行政法人で、国の法定検査をする唯一の機関。 保安院の西山英彦審議官は15日の会見で「東電に指摘されるまで気付かなかったことは非常に遺憾。専門機関としては、こういうことはないようにしなくてはいけない。正しい方法で再度検査をしており安全性に問題はない(???)」と話した。(朝日)

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「武器と市民社会」研究会第26回会合
【テーマ】武器貿易条約(ATT)国連交渉:交渉文書を徹底解説!
【報告者】夏木碧(特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン ポリシー・オフィサー)
【日時】2011年6月23日(木)19時00分から(18:30開場)
【場所】拓殖大学海外事情研究所 G館会議室(教室を変更する可能性があります。事前登録のうえ、会合前日までにお送りする事前案内メールや、研究会ブログにて、会場をご確認ください。)
【住所】〒112-8585東京都文京区小日向3-4-14
【地図】アクセスhttp://www.takushoku-u.ac.jp/map/acc_b.html
   (東京メトロ丸の内線茗荷谷駅下車徒歩3分)キャンパス内マップ
【主催】「武器と市民社会」研究会
【参加費】無料
【参加方法】-事前登録制 6月22日(水)迄に、下記の「武器と市民社会」研究会事務局担当宛に、Eメールでお申込ください。メールアドレス:aacs_seminar@oxfam.jp (メールの件名を「研究会参加申込」とし、メール本文に①お名前、②ご所属、③返信用メールアドレスをご記入のうえ、送信ください)
※定員(20人)に達した時点で締め切りとさせていただきます。
【お問い合わせ先】上記事務局担当にメールでお問い合わせください。
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【概要】
 武器貿易条約(ATT)については、2009年の国連総会決議に基づき、条約の交渉が行われています。2011年2月から3月にかけての準備委員会では、議長の非公式文書(事実上の条約素案)について交渉が行われました。今回の会合では、これまでの準備委員会に参加してきたNGOスタッフが、会議前の議長文書と、会議での交渉を経た会議最終日前日(3月3日)の議長文書を一文づつ詳細に比較し、NGOの要求が反映された部分や、反映されなかった部分について解説し、行われた修正が意味するものを検討します。
 これらの議長文書は国連の公式サイトでは掲載されていません。また、これから条約交渉が進展していくなかで、今回の文書についてNGOが詳細に解説する機会は、今後ほぼ無いのではと思います。ATT交渉についてご関心がおありのかたは、ぜひご参加ください。なお、2つの議長文書については、研究会ブログでご紹介しています(ダウンロードいただけます)。
【報告者】夏木碧(オックスファム・ジャパン ポリシー・オフィサー)
 2003年より勤務。人道/軍備管理・軍縮担当。国連でのATT関連会議に日本のNGO関係者として出席するほか、ATT関連の国際会議の開催とりまとめに関する業務や、ATTに関する日本での政府・研究者・NGO等による意見交換の場の設定、交渉状況に関する情報提供などを行う。
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