2011年6月4日土曜日

「冷温停止」の政治と科学

「冷温停止」の政治と科学:  研究者のモラルが試される時


 菅内閣の下で、「冷温停止」の政治的定義がなされようとしている。これから出てくるであろうその定義が、およそ科学とは無縁なものであることを国内外にわかりやすく明らかにし、説明することが理工系の研究者の最低限の責務でありモラルではないかと私は思う。大学や教育の現場で。あらゆるメディアを駆使して。

 原子力安全・保安院は、「冷温停止」の「条件」として、(1)再臨界しない(2)温度が低い状態が安定している(3)放射性物質の放出がない、の三つを「案」としてあげている(朝日新聞)。しかしこれらは、東電が好んで使ってきた、原子炉・格納容器・圧力容器の「健全性」が確保された状態で、稼働を「停止」した原子炉(核燃料棒)に見られる現象であって、「冷温停止の条件」ではない。もしも「冷温停止」の「条件」を定義するとしたら、原子炉・格納容器・圧力容器等々の健全性が確保されていること、つまり原子力発電所が正常に機能していること、これ以外にはない。

 だから、定義上、メルトダウンを起こし、原子炉のみならず、原子力発電所総体の「健全性」が破壊された福島第一原発1~3号機に「冷温停止」などありえない。耐震性を含むその構造的欠陥によって、福島第一原発は「冷温停止」不能のままメルトダウンしてしまったのである。今回の事態が原発史上最低最悪であること、また「絶望的」(=「チェルノブイリの空間的再現」)である理由はそこにある。
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周辺断層、地表に 耐震設計上「考慮せず」
 経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力が耐震設計上、考慮する必要がないとしていた断層のうち、福島第1原発に近い「湯ノ岳断層」(福島県いわき市)について、東日本大震災の余震でずれ、一部が地表に出現していたことを明らかにした。保安院は6日付の文書で、8月末までに各電力会社に同様のケースがないかを調べるよう指示した。
 この地震は4月11日に発生し、マグニチュード7.1を記録した。土木研究所(茨城県つくば市)などの現地調査で、湯ノ岳断層が動いた可能性が判明した。全長は13.5キロで、福島第1原発から約50キロ、第2原発から約40キロ離れている。 保安院は震災後の4月、原発の耐震設計上、考慮すべき断層の有無を報告するよう各電力会社に指示。これに対し、東電は5月末の報告書で、湯ノ岳断層について「地表に出たものは、別の断層の活動に伴う副次的な結果の可能性がある」と回答していた。【毎日・中西拓司】
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 メルトダウンし、原子炉まで損壊したというのにその原子炉の「冷温停止」を語ること自体が科学的ナンセンスであり、政治的欺瞞である
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原発敷地外でプルトニウム ごく微量、事故で放出か
 東京電力福島第1原発の正門から約1.7キロの福島県大熊町内の土壌に、今回の原発事故で放出されたとみられる放射性物質のプルトニウムがごく微量含まれていることが5日、山本政儀金沢大教授の分析で分かった。プルトニウムは文部科学省の調査でも、原発敷地外でごく微量検出されているが、過去の大気圏内核実験によるものとされており、事故の影響とみられる検出は初めて
 山本教授によると、この地点のプルトニウムの濃度自体が、過去の核実験の影響で検出される国内の平均的なレベルよりかなり低く、「人体への影響は心配ない」としている。 山本教授によると、土壌は原発周辺20キロ圏内の警戒区域が設定される4月22日より前に、北海道大の研究者らが採取。プルトニウムの3種類の同位体の比率から、核実験ではなく今回の事故が原因と考えられるという。(毎日)
「人も家畜も住めない」 農水省職員が発言、謝罪
 富岡町は2日、郡山市のビッグパレットふくしまで、家畜の殺処分に関する説明会を開いたが席上、農林水産省の担当者が、警戒区域を「人も家畜も住めないような所」と発言、参加者が撤回を求め、担当者が謝罪する場面があった。同町の畜産農家に補償内容や家畜の処分法を説明したが、会場は安楽死同意に否定的な空気に包まれた。(福島民友ニュース
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 私たちにできること/しなければならないことは、現在進行している「チェルノブイリの空間的再現」の規模を極小化する、その程度のことなのだ。今後の作業過程において、(1)再臨界しない、(2)温度が低い(最高でも100度以下)状態が安定している、(3)(汚染水を含む)放射性物質の放出がないことは、そのための必要かつ最低限の条件になる。


 「冷温停止」とは「正常」に稼働している原発を、「正常」なまま稼働「停止」することである。もっと分かり易く言えば、発電を停止することである。核反応とか崩壊とか小難しい話をする必要などない。福島第一原発で言えば、水があってこそ核爆発し、その爆発のエネルギーを発電のエネルギーに換えるタイプの原子炉を止めること。そこで「冷温」が問題になるのは、「高温」になると水が蒸発し、原子炉内の気圧が上がることと核燃料棒の露出の恐れがでてくるからである。(「冷温」の「基準」を水の沸点の100度とすることも無茶苦茶だと思うが、それについては今は触れない)。

 では、何らかの「事故」を起こした原発の「冷温停止」についてはどうか。その必要十分条件は原子炉の「健全性」が保たれていることである。
 思い出してほしい。「3・11」直後からしばらく、東電や保安院が「原子炉や格納容器の健全性は保たれている」とウソを言っていたことを。スリーマイル島の原発事故の場合、原子炉内の核燃料棒露出→メルトダウンと原子炉外の配管系等の破損による放射能漏出が起こったが、原子炉そのものの「健全性」は保たれていた(少なくとも、そのように私たちは知らされている。ここで言う「健全性」とは、福島第一のように核燃料棒が完全露出し、原子炉・格納容器に「穴」を開けるような事態までにはならなかった、という程度の意味である)。

 つまり、スリーマイル「程度」の事故であれば、一度露出した核燃料棒と原子炉内を水の注入によって冷却しつつ再冠水し、一方で配管系統の修復によって放射性蒸気の放出を止める、ということはイメージできる。当初東電・保安院が、原子炉内の状態を何も把握できていないというのに、、しきりに「冷温停止」を言っていたのは、スリーマイル「程度」の「事故」だろうと、「そうあって欲しい」という能天気過ぎる主観的願望もが交錯しながら、おそらく本気で考えていたからなのだと推察する。ところが。そうではなかったのだ。

 菅内閣は、早急に「冷温停止」の「定義」を公表するという。果たして、何が出てくるか。それが何であれ、問題は今後8ケ月程度で国が定義したその状態にすることが技術的かつ財源的に可能かどうかにある。私には根拠があるとはどうしても思えないが、きっと菅内閣・「対策室」には奇跡の秘策があるのだろう。楽しみにしていよう。


〈「冷温停止」の補足〉
 「言ってることがよくわからない」と言う人がいる。
 つまり、「冷温停止」とは、稼働させた原子炉を、核燃料棒が溶融しない状態に保ったまま、止めること。原子炉が稼働するということは、「使用前」の核燃料が「使用中」になるということであり、一度「使用中」状態になった核燃料は、「使用済み」になるまで、人間の手ではどうすることもできない。「健全」な原子炉の中で、核燃料棒が溶融しない状態に保ったまま保管し続けるか、その状態に保ったままどこか(どこ?)に移管するか、二つに一つしかない。
 その意味で言えば、「冷温停止」とは、「健全」な原子炉の中で、「使用中」核燃料が「冷温」状態のまま「使用済み」になる→「反応しなくなる」(いつ?)ということである。
 「問題」になっているのは、「水冠」を「一時断念」した現「工程表」路線のベースとなった、例の原子力学会のプロジェクトチームに隠退(?)した日立や東芝の技術者たちが加わり作成したプランが、どの程度まで「チェルノブイリの空間的再現」を極小化しうるのか=「全部」水漬けにすることができるかどうか、配管を原子炉にどのように、誰が貫通させるのか、等々である。(「アトムに作業をやってもらうしかない、としか思えない」という疑問に対する確たる回答を、未だ私たちはもらっていない)
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汚染水の処理に2~3カ月かかる 仏アレバ社幹部
 フランスの原子力複合産業体、アレバ社米国法人のジャック・ベスネイノイ最高経営責任者(CEO)は6日、記者会見し、福島第1原発にたまっている高濃度の放射性物質を含む汚染水の処理に2~3カ月かかるとの見通しを明らかにした。 アレバ社は100人以上の技術者を日本に派遣し、汚染水の処理システムを設置するための技術協力をしており、同CEOによると、システムは数日から数週間以内に稼働する予定。 同CEOは、原発を冷温停止させるために「まずは、作業員が原子炉に近づくのを妨げている汚染水の処理が重要になる」と強調した。
 また、冷温停止(???)した後、廃炉の手続きに入る前に原発内の使用済み燃料を取り除くための包括的な計画を立てる必要性があるとの認識を示した。(共同)
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 「包括的な計画」を早く情報開示してほしい。「廃炉の手続き」とアレバの請求書の明細と一緒に。
 「対策室」の会議内容の記録・公開とともに、日米仏原子力複合体の今後の意思決定とその過程を記録・公開するよう圧力をかける必要がある。「責任の所在」を歴史に記すために。
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 アイデアは、とにかく再臨界と爆発を阻止するというものだったが、実際私たちには、1~3号機にまだ溶け残っている燃料があるのかどうかさえわからない。東電が何を知っていて、何を知らないのかもわからない。何かものすごく、はてしなく虚しい「議論」を私たちはしているかもしれないのである。なぜなら、私たちは、あれから三ヶ月ちかくになろうとして、ようやく国と東電が「メルトスルー」を認めるという、まだそんな地点にいるのだから。
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核燃料、最悪の圧力容器貫通の可能性…福島原発
 東京電力福島第一原子力発電所の事故について、政府が国際原子力機関(IAEA)に提出する報告書の全容が7日明らかになった。 報告書は、破損した1~3号機の原子炉圧力容器の底部から溶融した核燃料が漏れ出し、格納容器内に堆積している可能性を指摘した。
 格納容器まで溶けた核燃料が落下する現象は「メルトスルー」(原子炉貫通)と呼ばれ、「メルトダウン」(炉心溶融)を上回る最悪の事象。これまで圧力容器底部で、制御棒の貫通部などが破損し、高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏出したことは明らかになっていたが、政府が公式にメルトスルーの可能性を認めたのは初めて。 また報告書は、原子力安全規制の行政組織が縦割りで、国民の安全を確保する責任が不明確だったと認め、原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、原子力安全委員会なども含めて、体制を抜本的に見直す方針なども打ち出した。(読売)
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冷温停止、メルトダウン…定義曖昧 「事故認識に混乱も」割れる専門家意見
 菅直人首相が自身の退任のめどとして挙げた東京電力福島第1原発の「冷温停止」。だが、言葉の定義は曖昧で、どの時点を指すのか、はっきりしていない。事故をめぐっては、他にも「炉心溶融(メルトダウン)」など一般に聞き慣れない用語が多用され、定義が定まらないまま使われるケースがある。専門家からは「事故に対する国民の認識に混乱を招きかねない」と危惧する声も上がっている。
■100度未満
 「放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止になるのが、原発事故の一定のめどだ」
 菅内閣不信任案が採決された6月2日、菅首相が退任時期をめぐり使った「冷温停止」という表現。事故収束に向けた工程表では、来年1月までに「冷温停止」と目標を掲げている。 通常、冷温停止は原子炉の水温が100度未満の安定した状態を指す。水の蒸発量が少なくなり、原子炉の安定した冷却が可能となる基準だ。しかし、今回の事故では冷却システムが不安定な状況で、100度未満に達しても通常の冷温停止とは意味が異なる。 経済産業省原子力安全・保安院も「事故(を起こした原子炉)に対しては定義がない」としており、工程表などで多用しながら、何をもって「冷温停止」とするのか、厳密には定まっていない。
 日本原子力学会の沢田隆副会長は「当然、通常運転中の原子炉とは定義が違う」と指摘。九州大の工藤和彦特任教授(原子力工学)も「水をかけて蒸気にし、冷やす状態では冷温停止といえない。早急に定義づけが必要だ」と訴える。細野豪志原発事故担当相(当時首相補佐官)は6月27日の会見で、「温度が安定的に100度を下回り、外に放射能(放射性物質)が出ていないことを示すことが必要だ」との見解を示した。それでも、明確とはいえない。
■英語版と違い
 一方、炉心が損傷し、燃料の形状が維持されず溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」については、当局の見解が示されている。保安院は4月、原子力安全委員会に対し、メルトダウンについて「(燃料損傷の)規模は少量から多量まで」などと定義。政府や東電もこれに従うとした。 だが、沢田副会長は「保安院の定義は不適切。規模が少量なら炉心溶融とはいわず、学会では『燃料溶融』というのが一般的だ」と、意見が割れている。
 また、政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書の英語版では、炉心溶融について、メルトダウンではなく「コアメルト」と表現した。保安院は「メルトダウンの定義はしたが、公式文書では使っていない。コアメルトと炉心溶融は同義だが、メルトダウンと同義といえるかは分からない」と煮え切らない説明に終始する。 深刻な事態を正確に表現できない現状に、沢田副会長は「原子力用語の定義が追いついていない。国民の理解を妨げることになりかねない」と危惧している。(産経・原子力取材班)

冷温停止後の具体的手順検討始める…政府・東電
 日本政府と東京電力は(6月)21日、東電福島第一原子力発電所の事故について、工程表で示した原子炉の冷温停止以降の具体的な手順の検討に入った。 日本原子力研究開発機構が近く溶けた状態で内部に残る核燃料や汚染水の浄化作業で生じた高濃度の放射性廃棄物の処理方法などの研究に着手する。
 ウィーンで開催中の国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議での演説で、海江田経済産業相は、損傷した燃料の処理・処分などに取り組む姿勢を強調し、個別対談した各国の閣僚らにも早期の事故収束を強く約束した。これを受け、経産省などが事故対応で生じた放射性廃棄物の最終処分について、新法の必要性も含めて検討することを決めた。【読売・ウィーン=高田真之
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 「溶けた状態で内部に残る核燃料」「高濃度放射性廃棄物」の「処理方法」? それをこれから「研究」? そのための「新法」? 私にはまったく意味が分からない記事です。
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1、2号機炉心溶融 「東電解析より早期」
 経済産業省原子力安全・保安院は(6月)6日、地震直後の東京電力福島第1原発1~3号機の様子を解析した結果を発表した。東電の解析に比べ、メルトダウン(炉心溶融)は1号機で10時間、2号機で29時間早く、1日以上早く放射性物質の放出が始まった可能性がある。3号機では東電の解析より事故の進行は遅かった。両者の差は解析方法の違いだが、保安院は「より実態に近い」と語った。一方、放出された放射性物質を、圧力抑制プールが損傷した2号機で過小評価があったとして、従来の37万テラベクレル(テラは1兆)を77万テラベクレルに修正した。
 全電源喪失で冷却機能が失われ、1号機で燃料の損傷が始まったのは3月11日午後6時ごろ(地震発生3時間後)で、東電の解析より1時間早かった。東電が「同12日午前6時ごろ(同15時間後)」としていた圧力容器の破損時間は同11日午後8時ごろ(同5時間後)と推定し、その前にメルトダウンした可能性がある。 
 2号機の燃料損傷の開始は東電とほぼ一致したが、圧力容器の破損時間では「同14日午後10時50分ごろ(同80時間後)」と推定した。東電の109時間後より29時間早まった。
 3号機の燃料の損傷は同13日午前10時20分ごろ(同44時間後)、圧力容器の破損時間は同14日午後10時10分ごろ(同79時間後)に始まり、東電の解析より2~13時間遅い。 解析結果は、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する日本政府の報告書に盛り込まれる。【毎日・中西拓司、平野光芳】

放射性物質:85万テラベクレル…総放出量を上方修正
 経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質の総量について、これまでの37万テラベクレル(ベクレルは放射線を出す能力の強さ、テラは1兆倍)から85万テラベクレルへと上方修正する解析結果をまとめた。内閣府原子力安全委員会の推計の63万テラベクレルに対し、過小評価との指摘が出ていた。安全委員会に報告したうえで、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する日本政府の報告書にも盛り込む。 総放出量は4月12日、国際原子力事象評価尺度(INES)でチェルノブイリ原発事故(総放出量520万テラベクレル)と同じ最悪のレベル7に引き上げた際に、保安院と安全委員会がそれぞれ発表した。
 安全委は原発周辺で計測された放射線量などから、事故直後から4月5日までの間の大気中への放出量の逆算を試みた。一方、保安院は炉内の状態から試算。今回の見直しでは、2号機、3号機の爆発後の放出量を加えるなどした。 INESでは、数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出がある場合をレベル7と定めており、上方修正でもレベルは変わらない。【毎日・足立旬子】

温室ガス25%削減目標を削除 前環境相ら、自民に試案
 2020年に温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減する目標を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案について、民主党の小沢鋭仁前環境相らが、この目標を削除した「修正試案」をまとめ、法案撤回を求めている自民党に示していたことが5日、明らかになった。原発の停止など東日本大震災を理由にしている。 温暖化対策税の導入時期の明記をやめ、排出量取引の導入も見合わせるなど大幅に後退。25%目標の堅持を明言した菅直人首相の国会答弁を否定する内容で、環境保護団体など各方面からの批判が出るのは確実。 【共同通信】⇒もう何もかもが、グダグダになってゆく。

福島のがれきを焼却や埋め立て 処理加速で環境省が容認へ
 環境省は5日、福島第1原発事故で放射性物質の汚染の可能性がある福島県内のがれき処理を加速するため、警戒区域と計画的避難区域を除く沿岸部や県中央部のがれきについて、焼却や埋め立て処分を認める方針を決めた。汚染の除去や管理を確実に行うことが前提。汚染レベルが低い会津地方と県南部など10町村で既に通常処分を認めており、規制解除を拡大する。 19日の同省有識者検討会で正式決定し、早ければ今月後半にも仮置き場からの移動を認める方向。ただし、県外への持ち出しは引き続き認めず、校庭などの汚染土壌や下水汚泥などは対象外となる。新たに移動規制を解除する地域では、木くずや金属くずなどをリサイクルする際、含まれる放射性物質が規制値以下であれば一般廃棄物と同様に扱うことが可能とした。(共同)

1号機湯気から4000ミリシーベルト計測
 東京電力は4日、福島第1原発1号機の原子炉建屋1階南東で湯気が立ち上り、毎時4000ミリシーベルトの放射線量を計測したと発表した。事故後に屋内外で測定された空間線量の中では最高で、同原発事故対応に限って引き上げられた被ばく上限の250ミリシーベルトを約4分で超える高い値だ。
 1号機では、原子炉圧力容器内の核燃料の大半が溶けたとされている。建屋地下1階には圧力容器を覆う格納容器の圧力抑制プールがあり、核燃料由来の高濃度の汚染水がたまっている。湯気が見つかった付近には、地下1階からつながる配管があり、壊れたプールから漏れた水が湯気となって、高濃度の放射線量が検出されたとみられる。 放射線量は、3日に遠隔操作ロボットが入って測定した。東電は「これほど高い線量が出ているのは建屋内の限定的な範囲で、従来の収束計画に大きな影響が出るとは考えていない」としている。 4000ミリシーベルトは、一般人の年間線量限度(1ミリシーベルト)の4000倍に相当し、一気に浴びると半数が死ぬとされる。【毎日・平野光芳】
1号機建屋内、高濃度汚染水の湯気 ロボット撮影(朝日)