2011年6月28日火曜日

福島県知事と沖縄県知事の決断

福島県知事と沖縄県知事の決断

 佐藤福島県知事が、脱原発へと大きく踏む込む発言した
 「原発の安全神話は根底から覆されたと思っている」「私自身も、県として原子力に依存しない社会を目指すべきであるとの思いを強く持つに至った」。昨日の県議会での知事の発言である。

 また、仲井真沖縄県知事も政府に対し、普天間問題をめぐりかなり踏み込んだ発言をした。琉球新報によると、知事は「日米安全保障協議委員会(2プラス2)で普天間飛行場の代替施設として名護市辺野古にV字形滑走路を建設するとした日米合意を撤回し、県外移設を検討するよう求めた」。
 具体的には、①目に見える基地負担軽減の実現、②米軍施設の返還を米軍再編のパッケージから切り離して実行すること―などを求めたという。

 佐藤知事の「脱原発」表明(「宣言」とまでは言えない)については「余りに遅すぎる」という批判はありえるだろうし、最終的に県の「復興ビジョン」がどのようにまとまるかについても未知数のところがある。しかし、自民党県連も「脱原発」を表明した以上、もう後戻りはできないだろう。当然と言えば当然の表明ではあるのだが、それでも原発立地自治体の首長としての「脱原発」表明の意義は大きい。高く評価し、支持したい(福島県の南相馬市と白河市も、「脱原発」に賛成の手続きを進めている)。

 一方、仲井真知事の発言についても、これ自体「当然」であり、何か新しい内容があるわけではない。しかし今この時期に、「日米合意の撤回」、「米軍施設の返還(→基地撤去)」を「米軍再編のパッケージを切り離す」ことを政府に突きつけた意義ははかりしれなく大きい。
 福島(原発)と沖縄(安保)、両知事の決断を受け、これから菅政権が何をするか/しないか、また両知事が、一方では「原子力複合体」の、他方では日米安保族からの有形無形の圧力に抗しきれるか否かを、しっかり見届ける必要がある。

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玄海原発の再稼働問題 佐賀県、7月8日に説明会
 玄海原発2、3号機の再稼働問題で、佐賀県は28日、県主催の県民向け説明会を7月8日に同県多久市内で開くと発表した。県内の全20市町を通じて参加者550人を募集し、2時間程度の予定。経済産業省の担当者が説明し、古川康知事も出席する方向で調整中。 佐賀県では26日、経産省が原発立地県で初めて説明会を開いたが、参加県民を7人に絞り、時間も1時間半だったことに批判が続出。古川知事が県主催で改めて開くと表明していた。

経産相、玄海原発の再開要請へ 佐賀知事と29日会談
 運転停止中の九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働問題で、海江田万里経済産業相が29日に佐賀県を訪問することが28日、分かった。玄海町の岸本英雄町長、同県の古川康知事と会談、再稼働を直接要請する。現在、日程の最終調整を進めている。東京電力福島第1原発の事故後、停止中の原発の再稼働を求めて経産相が立地自治体を訪れるのは初めて。 関係者によると、海江田経産相には経産省と原子力安全・保安院、資源エネルギー庁の幹部も同行する方向で調整している。

 経産相らは29日午前、まず玄海町を訪れ岸本町長や町議会幹部らと会談。午後に佐賀県庁を訪問し、古川知事らと会談する予定。経産相は会談で、玄海原発は政府が停止を要請した中部電力浜岡原発とは違って大規模地震の切迫性が少なく、運転再開しても支障はないとの見解を改めて強調。盛夏期の電力不足への懸念なども伝え、玄海2、3号機の再稼働について両首長の理解を求めるとみられる。 経産相の来県は佐賀県側が要請。経産相も28日午前の閣議後の記者会見で「正式な話があれば、私の望むところなのでお邪魔をして話したい」と述べ、佐賀県の訪問に積極的な姿勢を示していた。(日経)

埋め立て免許延長認めず 上関原発で知事が表明(山口新聞)
東電株主総会:相次ぐ厳しい質問 会場外で抗議行動も(毎日)
怒号飛び交う東電株主総会、議長不信任動議も(読売)
◇「東京電力は28日、都内で開いた定時株主総会で原子力発電からの撤退を定款に盛り込むように求めた株主提案の賛成票は8%だったと発表した。新規の増設をせず、原子炉は古いものから順次廃炉にするように求めたが、総会での採決は否決だった。 提案の反対票は89%、無効・白票は3%だった。(日経)
中電株主総会過去最長、株主提案すべて否決(読売)
◇「株主からは、東京電力福島第一原発の事故を受け、「第2の東京電力とならないよう浜岡原発を即刻停止すべき」などの意見が相次いだ。浜岡原発停止による収益悪化の懸念から株価が下落していることについて不満も出た」
◇「一方、個人株主93人から浜岡原発の全号機の廃炉などを求める株主提案6議案が提出されたが、すべて否決された。株主総会には過去最多の2688人が出席。3時間40分に及び、07年の3時間39分を抜いて過去最長となった」
総会で「脱原発」発言へ 関電筆頭株主の大阪市長(大阪日日)

⇒「「連載・原発崩壊」」(福島民報
⇒「“脱原発”意見書を撤回 敦賀市会・特別委」(福井新聞)
・「委員会後、高野委員長は「議論が足りなかったといわれればそうなる。持ち帰って会派で検討してもらうという選択肢もあった。敦賀市にとって何がよりベターなのか、市会として議論を深める必要がある」と弁明した。意見書提出を提案した今大地晴美議員は「これが原発と生きてきた街の現状だなとあらためて認識した」と話し、本会議に再提出を目指すという。
⇒「原発ニュース」(福井新聞)
福島第1原発:循環注水冷却、稼働直後に停止(毎日)
◇「そもそも、循環注水冷却の実施は、政府と東電の「希望的観測」で遅れた。東電が4月に発表した最初の工程表には循環注水冷却ではなく、格納容器全体を水で満たして冷却する「冠水(水棺)」が収束の決め手として明記された。
◇「ところが、その後の分析で、格納容器に穴が開いていると判明。注水するほど汚染水が発生することが裏付けられた。メルトダウン(炉心溶融)や格納容器の損傷はないとしてきた政府と東電の対応が、初動対応を遅らせた。」
◇「日本原子力学会のチームは、事故から約2週間後の3月28日に循環注水冷却を提言した。チーム代表の奈良林直・北海道大教授は「冠水にこだわり時間をロスした。データを分析すれば格納容器の損傷は当初から明らかだったはずだ」と話す。」
・「六ケ所原燃PRセンター」の「反原発シール事件」で26日、青森県野辺地署が「建造物侵入」の「疑い」で新たに一人逮捕。
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阪大、学内に企業研究所OK カネカなど利用決定
 大阪大学は学内に企業の研究所を設置できる新制度を設けた。企業が社員を常駐させ、将来、阪大と共同で取り組む可能性があるテーマを研究する。共同研究に進む前でも、企業は大学の専門家と交流しながら独自テーマに単独で取り組める。カネカなどが新制度の利用を決めた。企業側の自由度を広く認めた学内組織は珍しい。
 企業の研究者が大学に常駐する場合、一般的には大学との共同研究が前提となる。企業が自主的なテーマに取り組むことはできず、自由がきかなかった。(→当然のことじゃないの? 民間企業の商品開発のための研究と「学問の自由」と「真理探究」のための国立大学の研究との間には「利益相反」があるのだから。)
 阪大の新制度では企業ごとに「協働研究所」を学内に設け、所長に阪大の専門家を据える。実際に研究するのは企業側の人員だけでよく、10~20人程度を常駐させられる。阪大が吹田キャンパス(大阪府)に新設したテクノアライアンス棟を使える。利用料は1平方メートルあたり3000円。期間は3~10年。カネカや日東電工などが新制度を利用する。 将来、阪大との共同研究の可能性さえあれば、企業が単独で進めることを認める(???)。また、共同の成果を事業化する最終段階の研究にも取り組める。阪大は共同成果に加え、学内でのインターンシップによる学生の育成に役立つと期待している。(日経)
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 今、この問題について論じる余裕がない。ここでは一言だけ。この新制度の導入は、阪大だけでなく医・理工系大学院博士課程をもつ全大学の、今後の「研究・開発」を変える「画期的」な「事件」である。「協働研究所」というのが「ミソ」だ。これを仕掛けているのが、文部科学省と経済産業省であることを忘れぬように。
 旧帝大系を軸に「国際産学連携」が制度化されてきた基盤の上に立つなら、これで阪大は「理論的」には、グローバル軍事・原子力産業との「協働研究所」を学内に設置し、ロボット兵器・無人戦闘機・第三世代原子炉の「安全性向上」・第四世代原子炉の「研究・開発」ができるようになった。あとは、「大学で行う研究はあくまでも「平和のための研究」」と言い張ればよいだけである。
 時代は、さらに変わってゆく。

 「国家(官僚機構)、産業(資本)、大学(知)のトライアングルの関係から言えば、資本主義体制下の大学が、官僚機構による大学行政を通じて国家戦略と産業戦略に奉仕すべく位置づけられてしまうのは必然であり、それが大学の宿命でもあるだろう。だから大学研究や教育の、ある要素/側面が国家戦略や産業戦略と一体化すること、そのことのみをもって「大学無用」論や「大学解体」論を主張しても意味がないし、虚しいだけである。
 しかし、上のトライアングルが「鉄のトライアングル」と化し、そのことに対する批判をいろんな「大学利権」に既得権、自らの職業・立場の安定と安全を考慮するあまりに、大学研究・教育者がしない/できない状況になっているとしたら、どうだろう? 

 大学(院)研究と軍産複合体の研究開発の「利益相反」は、後に述べるように、軍事に転用されるテクノロジーと産業部門の「イノベーション」に転用されるテクノロジーの境界線が「融合」しているところで派生する。
 現在の大学院の「最先端融合科学」研究が、軍事と産業の「両用技術」開発を担っている/担わされてきたところに根本的な問題があるのだ。この傾向は、いわゆる「武器輸出(禁止)三原則」の「規制緩和」⇒撤廃に向けた動きと連動し、今後さらに進展するだろう」(「続・大学を解体せよ--人間の未来を奪われないために」より)