2014年6月1日日曜日

『福島と生きる』メールマガジン 第17号

『福島と生きる』メールマガジン第17号
――息長く〈福島〉とつながり続けるために――

2014年5月31日発行(不定期刊)
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―目次―
◆イベント情報
◆活動・キャンペーン情報
◆保養情報
◆次号特別号予告
◆ニュースクリップ

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◆イベント情報
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(イベント情報は変更されることもあります。必ず主催者サイトでご確認下さい)

1.写真とことば、記憶の種 福島-東京 展
  5月23日(金)-6月8日(日)11:00-19:00
  (東京都世田谷区・生活工房ワークショップB/生活工房ギャラリー)
  ※福島にくらす、又はくらした1人1人が日々の中で撮影した写真。それらをもとに記憶を語り、そのことばを様々な人が聞き取り、詩ができました。写真とともにそれらの詩を展示します。あわせて、写真家による「写真とことば」をテーマにした作品の展示や、関連のシンポジウムなども行います。
  ※[写真出品](福島から)安斎徹/佐川美佳子/岡本易 ほか 
         (写真家)新井卓/村越としや/高橋宗正/鷲尾和彦/
         Thomas Neumannほか
  ※写真展のほかワークショップ、トークセッション、シンポジウムなど
  ※詳細: http://www.setagaya-ldc.net/program/248/

2.福島の大地に希望の種を―原発50キロ圏で有機農業しながら都市との交流を続ける若い女性の思い
  6月7日(土)15:00~17:00(予定)(東京下北沢・ふくしまオルガン堂)
  ※菅野瑞穂(きぼうのたねカンパニー)さんのお話。
  ※PARC自由学校 連続講座「ふくしま発 内発的復興 ―「食べる・食べない」  「とどまる・移住する」を超えて」(6月ー10月、全5回、定員18人)の第1回
  ※詳細: http://act.parc-jp.org/s/fs/2014-05.html

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◆活動・キャンペーン情報
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●「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」ら4団体が福島県に抗議 ――漫画「美味しんぼ」への福島県の対応について

 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」など4団体が、漫画「美味しんぼ」への福島県の対応について5月15日付けで抗議文を提出しました。 以下、抜粋。

 「この「灰色の評価」(引用者注:健康への被曝の影響があるともないとも断定できないこと)をめぐって、福島県の見解と異なるというだけで、これらの見解を根拠のない噂=風評と決めつけ、「本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず」と非難しています。
 それは前述した「権威の座にある人たちの気に食わない意見を発表する自由」を保障しないことにほかならず、表現の自由に対する重大な侵害です。

 のみならず、双葉町の前町長や福島大学の准教授の見解は彼らの個人的な見解にとどまらず、世界で最も過酷な「福島の現実」と向き合おうとしている多くの人たちにとって注目し共感せずにおれない重要な見解です。福島県の非難は、こうした人々の声を上げる自由をも抑圧するものであり、民主主義社会の基盤である自由な発言と討論の広場を奪う結果になっているという由々しき事態を深く自覚すべきです。」

 抗議文は「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」のウェブサイトからダウンロードできます → http://kodomofukushima.net/

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◆保養情報
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「ほよ~ん相談会」
※各地の保養情報、受け入れ活動の情報など
http://hoyou.isshin.cc/

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◆次号特別号予告(6月上旬発行予定)
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佐藤 緑さん(シャプラニール=市民による海外協力の会 いわき事務所)インタビュー ――いわきでこそ生きる交流の場の重要性~地元の人たちが担う支援活動に向けて(仮)

I 震災から3年 いわき市の避難者・被災者の状況
II 交流サロン「ぶらっと」の意義と他団体との協働
III 「風化」にどう対抗していくか
IV 「よそもの」としてのNGOが果たす役割

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◆ニュースクリップ
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1.原発事故:福島の現状報告…「美味しんぼ」登場の荒木田氏
  毎日新聞 2014年5月29日
  http://mainichi.jp/select/news/20140530k0000m040014000c.html
  鼻血と被ばくに関する表現が話題を呼んでいる漫画誌の連載「美味(おい)しんぼ」にも実名で登場した、福島大の荒木田岳(たける)・准教授(44)=行政学=が28日、金沢市内で講演し、東京電力福島第1原発事故から3年余りが過ぎた福島の現状について報告した。
 荒木田氏は、原発事故による住民への影響を明確に説明しない国や福島県の姿勢を批判、「人々が被ばくし続けている現状を人権問題としてとらえ、改善しないといけない」と訴えた。  (中略)

 被ばくに対する福島の県民世論については「住民も本当は不安で仕方ないが、『風評被害を招く』として、国に対する懐疑論は表に出てこない。復興ムードが多様な考えを抑圧している」と指摘。「言えない苦しさを推し量って、被災者や自主避難者を支援してほしい」と呼び掛けた。 (後略)

2.県外最終処分を法に明記 中間貯蔵廃棄物 環境相が大熊、双葉町長に言明  福島民報 2014年5月28日
  http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/05/post_10075.html
  東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐり、石原伸晃環境相は27日、郡山市で大熊町の渡辺利綱町長、双葉町の伊沢史朗町長と会談し、廃棄物の30年以内の県外最終処分を法律に明記すると初めて伝えた。
 施設を管理・運営する国の特殊会社の関連法を改正し、施設整備から最終処分まで政府が責任を持つとの内容も盛り込む。(中略)

 会談で石原環境相は、地元の求める中間貯蔵施設用地の賃貸借と地域振興策について明確な回答を避けた。
 石原環境相は用地の補償について「将来使えるようになる土地」とした上で、適正な金額を支払うと説明。土地売却後も住民票を残せるよう政府内で調整していると明らかにした。しかし、地元住民が求める用地の賃借については「検討する」との回答にとどめた。(後略)

3.福島原発事故の聞き取り調書、同意得られれば公開へ
  TBS 2014年5月26日
  http://news.tbs.co.jp/20140526/newseye/tbs_newseye2210282.html
  
  政府が東京電力・福島第一原発の事故をめぐる関係者への聞き取り調書を、条件付きで公開する方針を固めました。  (中略)
  ただ、事故当時の対応を指揮した東京電力・福島第一原発の吉田昌郎・元所長から聞き取った調書は本人の意向をふまえて公開しない考えです。

4.子どもの甲状腺エコー検査 県内自治体初助成へ
      東京新聞 2014年5月24日
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20140524/CK2014052402000149.html?ref=rank
 松戸市は六月から、子どもの甲状腺エコー検査の費用助成を始める。東京電力福島第一原発事故のヨウ素などによる放射線被ばくで、健康への影響を心配する住民の不安軽減が目的。 助成は県内自治体で初めて。
 原発事故の影響で、松戸を含む県北西部の九市は除染の汚染状況重点調査地域に指定されている。柏、我孫子両市は助成について「松戸の動向を注視したい」、流山市は「特に予定はない」としている。(後略)

5.ひたち海浜公園で基準値超の放射線 3カ所で利用制限
  東京新聞 2014年5月24日
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20140524/CK2014052402000155.html
 国土交通省関東地方整備局は二十三日、ひたちなか市の国営ひたち海浜公園内の三カ所で基準値(一時間当たり〇・二三マイクロシーベルト)を超える放射線を観測し、周辺の計約一万二千平方メートルの立ち入りを制限したと発表した。(中略)
 同公園は毎月、園内三十七カ所の空間放射線量を計測しており、今月も全地点で基準値を下回ったと発表した。園内の線量の高さが雑誌に報じられたことから、記事に従い、普段は計測していない場所を二十三日に測ったところ、基準値を超える地点を見つけた。


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『福島と生きる』メールマガジン 第17号(2014年5月31日発行)
※『福島と生きる』メールマガジンは、『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』の共同執筆者の団体や活動の関連情報を発信していきます。
発行人=中野憲志・藤岡美恵子
(『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』共編者)

・・・
・中間貯蔵、初の住民説明会 「農業できない」「分断」
 東京電力福島第1原発事故による除染で出た汚染土壌などを保管する中間貯蔵施設について、国による初の住民説明会が31日、福島県いわき市と茨城県日立市で開かれ、施設への不安や、最終処分に対する賛否の意見が出た。

 説明会は第1原発があり施設の候補地とされる福島県双葉、大熊両町の住民と、候補地に土地や建物を持つ人が対象で、6月15日まで福島県内外で計16回開催。福島県や2町は住民の意見を踏まえて国と協議し、受け入れの是非を判断する。
 約540人が参加したいわき市の会場では「風評被害が起き、農業ができなくなる」「町が分断されてしまう」と懸念する声が出た。(共同)
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■緊急集会
「川内原発の再稼働を考える――鹿児島だけの問題ではない」
<日 時>
2014年6月1日(日)午後2時~4時
<会 場>
熊本県水俣市公民館2階第一研修室
(水俣市浜町2-10-26)

<出席者>
【脱原発をめざす首長会議】
 上原公子(元東京都国立市長、脱原発をめざす首長会議事務局長)
 佐藤和雄(元東京都小金井市長、脱原発をめざす首長会議事務局次長)
 井戸川克隆(前福島県双葉町長)

 【原子力市民委員会】
 吉岡斉(九州大学大学院教授、元政府原発事故調査委員会委員、原子力市民委員会座長代理)
 荒木田岳(福島大学行政政策学類准教授)
 満田夏花(国際環境NGO FoE Japan 理事)

<参加費>
500円
<問い合わせ>
「脱原発をめざす首長会議」事務局
TEL:03-6851-9791
FAX:03-3363-7562
E-mail:mayors@npfree.jp

■川内原発再稼働についての自主的公聴会
<日 時>
2014年5月31日(土)午後1時30分~4時30分
<会 場>
川内まごころ文学館多目的映像ホール (薩摩川内市中郷町2-2-6)

<出席者>
 吉岡斉(九州大学大学院教授、元政府原発事故調査委員会委員、原子力市民委員会座長代理)
 荒木田岳(福島大学行政政策学類准教授)
 満田夏花(国際環境NGO FoE Japan 理事)
 滝田紘一(元原子力技術者、元原子力安全委員会事務局技術参与)

<参加費>
500円
<問い合わせ先>
 原子力市民委員会事務局
TEL:03-3358-7064
E-mail:email@ccnejapan.com

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◆報道ステーション(5月30日)
「原発審査に火山学者が異論」概要まとめ
 杉原浩司です。ご覧になった方も多いかと思いますが、昨夜のテレビ朝日 「報道ステーション」の火山リスク特集、とても気合いの入ったものでした。コメントも「オールスター」キャストという感じ。今後の取り組みにも活用できる内容だと思います。以下、ツイートをもとにした概要まとめです。ご参考までに。[転送・転載歓迎/重複失礼]

・鹿児島市吉野町、眼前に桜島。井村隆介・鹿児島大准教授が案内。
 錦江湾 の海底は直系20kmの巨大な窪地。カルデラ噴火の跡。「火砕流は数百度、 完全に想像を超える噴火が起こる」。姶良(あいら)カルデラは今も活動中。
・井村隆介さんが案内して川内原発から2.8km地点へ。
 「シラス」と呼ばれ る、固いがさらさらした白っぽい土が火砕流の跡。3万年前に姶良カルデ ラから出た。九州電力は当初、「火砕流の痕跡は川内原発にはない」とし ていたが、3月19日、火砕流が原発に及ぶ可能性を認めた。

・規制委の火山影響評価ガイドでは「(運用期間中の原発に)火砕流到達の 可能性がある場合、"立地不適"」とされている。
 九電が原発敷地内に火砕 流が及ぶ可能性を認めた以上、立地不適となると思われたが「運用期間中 に噴火する可能性は低い」との九電の主張を規制委が追認してしまった。
 井村隆介さんは「新規制基準では、地震の影響は十数万年レベルで検証し ているのに、火山では数万年レベルのことすら考慮されていないのはおかしい」と。

・報道ステーションによる火山学者へのアンケート結果(34人が回答)。
 「川内原発の運転に影響がない、とした規制委の判断は妥当か?」→ Yes :5人、No:21人、その他:8人。
 「巨大カルデラの噴火の前兆を捉えるこ とは可能か?」→ Yes:9人、No:17人、その他:8人。

・石原和弘・日本火山学会原子力問題対応委員長
 「(規制委が)非常に楽天 的なのに驚いた。50年100年先にどんな状況になるか見当がつかない。火 山の場合、噴火により前兆やプロセス、噴火様式が変わる。海底にあるカ ルデラ火山の観測はほとんどなされていない」。
・藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会会長
 「稼働期間内に噴火があるかどうかの 判断すら難しいのに、それがいかにもできるように書いてあるのがまずおかしい。今(火山噴火の)中長期の予知はできない。噴火は規則正しく起 きるのではない。過去を調べて統計的に噴火を予測する手法は確立してい ない」。

・テレビ朝日の記者が会見で質問。
 「藤井火山噴火予知連会長は『姶良カル デラが運用期間中に破局的噴火を起こさないと断言できない。モニタリン グでは破局的噴火かどうか兆候は判断できない』と答えているが?」。
 田 中俊一規制委員長
 「最近の研究ではカルデラ噴火の場合、数十年前頃から マグマが大量に蓄積する。当然、地殻変動とかが検知できる」。
・規制委による火山影響評価ガイド作成の際に意見を聞かれた中田節也・東大地震研教授
「大きな噴火でも予兆が出ることは間違いないが、数年前にわかるかと言われるとまず"不可能"だろう。モニタリングさえすれば何で も分かるという感じでガイドがまとめられたのは不本意」。 
 記者の質問に田中委員長は「現時点で火山影響評価ガイドを見直す考えは ない」としたが、規制委は巨大カルデラ噴火に関して新たな基準作成のた めの調査を開始している。しかし、姶良カルデラは過去のデータが少ない などの理由で調査の対象外!

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・川内原発: 原子力市民委が公聴会 再稼働反対の声相次ぐ
 脱原発実現に向け政策提言するシンクタンク「原子力市民委員会」が31日、九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市で、市民からの意見を聞く公聴会を実施した。同原発の再稼働に向けて原子力規制委員会が優先的に審査を進めているが、参加者から反対する意見が相次いだ。
 この日は、市民委員会から福島第1原発事故の政府事故調委員だった吉岡斉・九州大大学院教授ら4人が出席し、県内外から集まった100人を超える市民と意見交換した。

 吉岡教授は「(規制委の)新規制基準は不十分な点が多い。避難計画を審査せずに無責任」などと批判。会場からは「行政側は規制基準をクリアすれば安全とはき違えている」「川内原発の基準地震動の決め方は問題」などと批判の声が出た。
 同会は意見をまとめて原子力規制庁に提出する予定。同会は昨年4月に設立。これまで全国各地で市民との意見交換会を重ね、今年4月に原発ゼロを目指す市民版の政策大綱を発表した。【毎日 宝満志郎】

・東通原発再稼働16年3月目標 東北電、地元に延期説明
 東北電力の安倍宣昭、井上茂両副社長は30日、それぞれ青森県庁と同県東通村を訪れ、2015年7月としていた東通原発の再稼働時期を16年3月に先送りすることを伝えた。
 同時に再稼働の前提となる原子力規制委員会への安全審査申請に向け、事前了解願を提出した。了解を得られ次第、速やかに申請する。

 県庁で佐々木郁夫副知事と会談した安倍副社長は、新規制基準に対応した安全対策や、想定される最大規模の地震の揺れの強さ(基準地震動)を450ガルから600ガルに見直した経緯を説明した上で、「耐震工事の量と工程を精査した結果、再稼働時期を延期した」と報告した。
 佐々木副知事は「国の基準クリアに満足することなく、責任を持って安全、安心対策に力を傾注してほしい」と述べた。

 東通村では、井上副社長が越善靖夫村長に概要を説明した。越善村長は「地元との信頼関係を損なわないよう努力してほしい。一日も早い再稼働を期待する」と語った。
 東北電は阿部広悦県議会議長、小笠原清春村議会議長とも面会した。
 事前了解は安全審査申請など施設の変更をする場合、地元自治体と事業者が結ぶ安全協定に基づいて行う。県と村は安全対策の内容を確認した上で了解する方針。 規制委は現在、東通原発の敷地内断層が活断層かどうかを判断する評価会合を続けている。(河北新報