2014年6月22日日曜日

フィリピン最高裁へ米国との防衛協定阻止を求め提訴

フィリピン最高裁へ米国との防衛協定阻止を求め提訴
APA‐Jニュースフラッシュ
フィリピン、マニラ 
5月26日、二人の元上院議員、弁護士ら、支援者たちが、国内の基地で米軍の利用拡大を許すことになる米国との合意に合憲性があるかの判断を求め、フィリピン最高裁判所に提訴した。さらに裁判所が裁定を下すまで、合意された協定の履行差し止め処分も要請した。

先月、オバマ大統領がフィリピンを訪れる数時間前に署名された「防衛協力強化協定(The Enhanced Defense Cooperation Agreement)」は、20年以上を経て再び、米軍部隊数千人がフィリピンに一時的に拠点を置くことを可能にする。

過去数十年間にわたり、戦争やテロリズムそして今は中国の軍事力と影響力拡大に神経をとがらせるなかで、歩み寄ったり離れたりしてきた両国の
同盟関係において、この協定はより緊密な連携を内外に知らしめることになる。

元上院議員レネ・サギサッグとウィグベルト・タニャーダ(1991年に米軍基地をフィリピンから追い出すことに投票した12人の上院議員のうちの2人)と納税者10人は、大統領ベニグノ・アキノ三世の、国防相、外相、予算管理相および官房長官と、国軍参謀総長ら5人を職権乱用で訴えて、裁判所に申立書を提出した。

申立書は、有効期間10年のこの協定が、全上院議員3分の2の承認を得た条約でなければ、外国の軍事基地や部隊の駐留を認めないとする憲法の禁止事項に違反すると主張している。

憲法はまた、国会の要請がある場合、当該協定はフィリピン国民による国民投票で過半数の賛同を得なければならず、さらに締結相手国においても二国間条約としての承認が必要と明記している。

「防衛協力強化協定(EDCA)は、フィリピン国憲法違反であるのみならず、実質的にみても長期的にみても本当の利益とはならず、米国と比して我々の側は、利点も発展性もひどく曖昧なものになっている」と申立書は訴えている。

またこの合意は、 上院による同意 という憲法の必須要件を回避するために、1951年の相互防衛条約や1998年の訪問米軍の地位協定を推進する形をとった、不当なでっち上げであるとも訴える。

過去の取り決めを推進するどころか、1951年の条約に対しては1987年成立の憲法および「憲法に明記された国内政策の手段としての戦争放棄」の方が優先されるし、今回の新しい協定のもとでの米軍の駐留は「訪問」の域を超え、歯止めとしての1998年合意を無視することになると、申立書は述べている。

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出典:AP通信(2014年5月26日)
翻訳:四季(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:原田唯 監修:APA‐Jデスクチーム
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