核保有国のダブル・スタンダード 【IPS コラム=レイ・アチソン】
Feb 14 2011 (IPS)
2月5日、新しい戦略兵器削減条約(START)が発効した。新START は、いかなる時点においても核弾頭の配備数を1550発までに制限する米露間の協定である(旧協定では上限が1700~220 0発)。しかし、協定では核弾頭保有数までは制限していない。現在、米国が8500発、ロシアが1 万1000発保有しているとみられている。
軍備管理や軍縮を求める多くの人々が、新START はひとつの勝利であるとして歓迎した。彼らによれば、条約は軍縮にはそれほど寄与しないが、実際の削減への道を開き、核兵器二大保有国の関係強化に資するという。
しかし、現実には、条約は核軍縮の未来にとって深刻な帰結をもたらしている。オバマ政権は、米上院による条約批准と引き換えに、核兵器とその運搬手段、関連インフラを今後20年にわたって近代化するために1850億ドルを投資することを約束したのである。
同じく、ロシア下院(ドゥーマ)は、新型の戦略攻撃兵器の開発・製造と、戦略的核戦力に必要な研究開発基盤と生産能力の保持・発展にロシア政府が投資を行うという条件付きで、条約を批准した。
2010年5月、ロシアと米国を含む、核不拡散条約(NPT)の全加盟国である189ヶ国が核軍縮と不拡散を進める行動計画に合意した。同計画の「行動1」は、「NPT および『核兵器のない世界』という目的に完全に合致した政策を追求すること」を加盟国に義務づけている。
2005年と2010年には、NPT 上の5つの核兵器保有国(中国、フランス、ロシア、英国、米国―これらは国連安全保障理事会の常任理事国でもある)が、核兵器の完全廃棄を達成するという「明確な約束」をおこなった。軍縮義務は、NPT 第6条に埋め込まれた、条約の主要部分である。第6条はまた、核軍拡競争の終了に向けて交渉を行うよう核兵器保有国に義務づけることによって、核兵器の近代化や投資を終わらせることを義務づけている。
こうした法的義務があるにもかかわらず、すべての核兵器保有国は、自国の核兵器および関連施設を今後数十年で近代化する計画に着手するか、あるいはそうした計画を持っている。
米国の既存核弾頭の近代化が進行中だが、その目的は、弾頭の耐用年数の延長と、場合によっては新規の能力を追加することにある。核兵器の部品を組み立てるための新規インフラへの投資を増やすことも続けられている。
ロシア政府も、核戦力の三本柱である大陸間弾道ミサイル、潜水艦搭載ミサイル、長距離爆撃機を強化する意向を明らかにしている。
2010年、フランス海軍は、M-51とよばれる潜水艦搭載弾道ミサイルを配備した。2010年代末には、新型弾道が装着されるものとみられる。
英国はトライデント・システム近代化の計画を延期したが、計画事態を廃棄したわけではない。
中国は新型の移動ミサイルと新しいクラスの弾道ミサイル搭載潜水艦を配備している。核弾頭の数も増やしているとされる。
NPT 非加盟国に関して言えば、米国の最新の諜報報告書によると、
パキスタンが最近の数年間で核戦力を強化して弾頭数を90~110発にまで伸ばし、兵器用核分裂物質の生産能力を強化しようとしている。NGO が2010年に推定したところでは、
インドは攻撃的核戦力の三本柱を強化しつづけているだけではなく、弾道ミサイル、弾道ミサイル搭載原潜、さらにおそらくは核巡航ミサイルまでも導入する計画を持っている。
イスラエルの計画についてはわからないことが多い。
こうした核兵器の強化が国際安全保障と核不拡散体制の安定性にもたらす意味合いには、非常に大きなものがある。2010年のNPT 運用検討会議では、核兵器を保有しない大多数の加盟国が、核保有国のダブル・スタンダードを批判した。つまり、核兵器保有国が核不拡散を抑制しようとする一方で、自らの核兵器は強化しようとの姿勢のことである。
多くの核兵器保有国の指導者らが「核兵器なき世界」を追求するといまや口にしはじめたものの、これらの国の予算や政策をみれば、その約束が裏切られているのは明らかである。こうした状況が非核兵器保有国の中に苛立ちと冷笑をうみ、NPT 体制の信頼性に傷をつけているのである。
ノルウェー大使はこのようの警告している。
「核兵器なき世界というものをたんなるビジョンに留めておくことはできない。それは、我々NPT 加盟国が達成しなくてはならない目標なのである」。
核拡散を防止するために核技術にさらに制限をかけようとする西側諸国は、そうした方向性を押し付けることができなかった。なぜなら、非核兵器保有国の大部分は自国の活動に制約がかけられることを拒み、核兵器保有国は核兵器保有国で自国兵器への投資を続け、完全軍縮へのプロセスとスケジュールに合意することを拒んだからである。
核兵器を近代化する計画は、核軍縮実現に向けた短期的見通しに暗い影を投げかけている。一部の政府と大多数の市民社会は核兵器禁止条約(NWC)の交渉を開始させるべく努力を続けているが、核保有国核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議は多国間軍縮協議に加わる用意が当面なさそうである。
しかし、核戦争の危機を取り除こうと思うのならば、永続的な核兵器の脅威を生み出すことをやめるべきである。それが、プロセスの最後ではなく、まず最初に考えられなくてはならないことである。
IPS Japan
※レイ・アチソン氏は、「リーチング・クリティカル・ウィル」の代表。
同プロジェクトは、核軍縮を唱道し核兵器問題の監視を続ける婦人国際平和自由連盟(WILPF)によるもの。アチソン氏は、同プロジェクトによる出版物の編集、および、NGO による論集『軍備管理を超えて―核軍縮への選択と挑戦』の編集にも携わった。
【参考記事】
米の核性能実験 「核なき世界」はどこへ
北朝鮮の地下核実験は許せないのに、自国の核を温存する実験は当然だというのだろうか。
米国が核兵器の性能を調べるための実験を昨年に2回行っていたと発表した。2010年から通算8回に上る。
北朝鮮の核開発を断念させようと、国際社会は足並みをそろえている。米国の二重基準は、北朝鮮に正当化の言い訳を与えるようなものだ。国を問わず核実験は、核兵器の開発や維持が目的である。 昨年末には臨界前核実験も実施している。オバマ大統領が掲げた「核兵器なき世界」からますます遠ざかっていると言わざるを得ない。被爆地からも抗議が相次いだ。当然であろう。
今回の実験はニューメキシコ州の研究所にある「Zマシン」という装置で行われた。少量のプルトニウムに強力なエックス線を当てて核爆発の瞬間に近い高温、高圧状態をつくり、反応を調べるものだ。臨界前核実験を補完する最新の実験である。
大爆発を伴う臨界には至らない。このため米エネルギー省傘下の核安全保障局(NNSA)は、地下核実験などとは別だと位置付けている。 だがこのような実験ができるのも、米国が地下、地上、水中で千回以上の核爆発を重ね、膨大なデータを蓄積しているからにほかならない。
これを前例として是認すれば、核開発をあくまで継続しようと考える国がほかにも出かねない。「持てる国」の横暴は決して看過されるべきではない。広島、長崎から粘り強く声を上げる理由でもある。
NNSAは年に4回、核兵器の維持に関するさまざまな実験の実施回数を発表している。核開発を断念するよう北朝鮮に圧力をかける時期であろうがなかろうが、お構いなしである。一貫した方針に見える。 核兵器廃絶を求める国際世論への配慮よりも、米国内世論へのアピールを優先しているのだろう。Zマシンの実験などが、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を実現させる切り札になるというのだ。
条約批准の権限を持つ上院では、共和党が「米核戦力の優位性が崩れる」と批准に抵抗している。一方、オバマ政権は「爆発を伴わない実験であれば、いくらでも可能だ」とCTBTの抜け穴を前面に掲げて説得する。8千個近く保有する核弾頭の維持管理にも、膨大な予算を割いている。 国際社会が発効を悲願とする条約が、米国では核実験を温存する根拠に使われる。大いなる矛盾ではないか。
「核兵器なき世界」の足踏みが、オバマ氏の本気度だけの問題ではないことも示していよう。核兵器に固執する国にどれほど厳しい目が向けられているか。被爆地から米世論に働き掛けることを、さらに心掛けたい。 ところが日本政府の姿勢は、広島、長崎からの訴えに水を差している。菅義偉官房長官はきのう、米国に抗議するつもりはないと明言した。
米国は、核兵器の維持管理策が「同盟国を安心させるためだ」と繰り返し表明している。責められるべきは米国だけではないだろう。核兵器廃絶を唱えながら、米国の核の傘を求める被爆国のちぐはぐさをも、今回の実験は示してはいないか。(中国新聞社説 3/12)
・・・
・米、ミサイル実験延期 北朝鮮の「誤解」懸念か
米国がカリフォルニア州で計画していたミサイル実験を延期する見通しとなったことが7日までに分かった。北朝鮮の「誤解」を招く恐れがあるためとされる。国防総省当局者が匿名を条件に語った。実験は9日に同州のバンデンバーグ空軍基地で実施されることになっていた。
北朝鮮とは関係のない計画だったが、「最近の朝鮮半島の緊張」を考慮して延期を決めたという。実験を予定していたミサイルの型などは明らかでない。 同当局者はこれを「賢明」な決断だと評価したうえで、
「米国は近いうちに次回の実験を実施し、引き続き断固として核抑止力の維持に努める」と強調した。・・・」(ワシントン(CNN))
↓
「朝鮮民主主義人民共和国は、近いうちに次回の実験を実施し、引き続き断固として核抑止力の維持に努める」・・・。 まったく同じディスコースではないか。
・アフガン:NATO空爆で子供ら11人死亡
「アフガニスタン東部クナル州で6日深夜、北大西洋条約機構(NATO)軍が民家を空爆し、中に立てこもっていた武装勢力8人と、民家にいた子供10人と女性1人が死亡した。ほかに女性5人が負傷した。州政府当局者が7日、明らかにした。
駐留米軍やNATO軍による空爆でこれまでも多数の民間人の犠牲者が出ているが、一度に10人の子供が死亡するのは異例。
州政府当局者によると、NATO軍とアフガン軍の合同部隊が6日夜、武装勢力の攻撃を受け、激しい戦闘となった。武装勢力が民家に立てこもって中からNATO軍などを銃撃したため、NATO軍が空爆支援を要請した。カルザイ大統領は、アフガン軍にNATO軍の空爆支援要請を禁じている。NATO軍は「民間人の犠牲者が出たことは認識している」(??))としている。・・・」(毎日 ニューデリー杉尾直哉)
Feb 14 2011 (IPS)
2月5日、新しい戦略兵器削減条約(START)が発効した。新START は、いかなる時点においても核弾頭の配備数を1550発までに制限する米露間の協定である(旧協定では上限が1700~220 0発)。しかし、協定では核弾頭保有数までは制限していない。現在、米国が8500発、ロシアが1 万1000発保有しているとみられている。
軍備管理や軍縮を求める多くの人々が、新START はひとつの勝利であるとして歓迎した。彼らによれば、条約は軍縮にはそれほど寄与しないが、実際の削減への道を開き、核兵器二大保有国の関係強化に資するという。
しかし、現実には、条約は核軍縮の未来にとって深刻な帰結をもたらしている。オバマ政権は、米上院による条約批准と引き換えに、核兵器とその運搬手段、関連インフラを今後20年にわたって近代化するために1850億ドルを投資することを約束したのである。
同じく、ロシア下院(ドゥーマ)は、新型の戦略攻撃兵器の開発・製造と、戦略的核戦力に必要な研究開発基盤と生産能力の保持・発展にロシア政府が投資を行うという条件付きで、条約を批准した。
2010年5月、ロシアと米国を含む、核不拡散条約(NPT)の全加盟国である189ヶ国が核軍縮と不拡散を進める行動計画に合意した。同計画の「行動1」は、「NPT および『核兵器のない世界』という目的に完全に合致した政策を追求すること」を加盟国に義務づけている。
2005年と2010年には、NPT 上の5つの核兵器保有国(中国、フランス、ロシア、英国、米国―これらは国連安全保障理事会の常任理事国でもある)が、核兵器の完全廃棄を達成するという「明確な約束」をおこなった。軍縮義務は、NPT 第6条に埋め込まれた、条約の主要部分である。第6条はまた、核軍拡競争の終了に向けて交渉を行うよう核兵器保有国に義務づけることによって、核兵器の近代化や投資を終わらせることを義務づけている。
こうした法的義務があるにもかかわらず、すべての核兵器保有国は、自国の核兵器および関連施設を今後数十年で近代化する計画に着手するか、あるいはそうした計画を持っている。
米国の既存核弾頭の近代化が進行中だが、その目的は、弾頭の耐用年数の延長と、場合によっては新規の能力を追加することにある。核兵器の部品を組み立てるための新規インフラへの投資を増やすことも続けられている。
ロシア政府も、核戦力の三本柱である大陸間弾道ミサイル、潜水艦搭載ミサイル、長距離爆撃機を強化する意向を明らかにしている。
2010年、フランス海軍は、M-51とよばれる潜水艦搭載弾道ミサイルを配備した。2010年代末には、新型弾道が装着されるものとみられる。
英国はトライデント・システム近代化の計画を延期したが、計画事態を廃棄したわけではない。
中国は新型の移動ミサイルと新しいクラスの弾道ミサイル搭載潜水艦を配備している。核弾頭の数も増やしているとされる。
NPT 非加盟国に関して言えば、米国の最新の諜報報告書によると、
パキスタンが最近の数年間で核戦力を強化して弾頭数を90~110発にまで伸ばし、兵器用核分裂物質の生産能力を強化しようとしている。NGO が2010年に推定したところでは、
インドは攻撃的核戦力の三本柱を強化しつづけているだけではなく、弾道ミサイル、弾道ミサイル搭載原潜、さらにおそらくは核巡航ミサイルまでも導入する計画を持っている。
イスラエルの計画についてはわからないことが多い。
こうした核兵器の強化が国際安全保障と核不拡散体制の安定性にもたらす意味合いには、非常に大きなものがある。2010年のNPT 運用検討会議では、核兵器を保有しない大多数の加盟国が、核保有国のダブル・スタンダードを批判した。つまり、核兵器保有国が核不拡散を抑制しようとする一方で、自らの核兵器は強化しようとの姿勢のことである。
多くの核兵器保有国の指導者らが「核兵器なき世界」を追求するといまや口にしはじめたものの、これらの国の予算や政策をみれば、その約束が裏切られているのは明らかである。こうした状況が非核兵器保有国の中に苛立ちと冷笑をうみ、NPT 体制の信頼性に傷をつけているのである。
ノルウェー大使はこのようの警告している。
「核兵器なき世界というものをたんなるビジョンに留めておくことはできない。それは、我々NPT 加盟国が達成しなくてはならない目標なのである」。
核拡散を防止するために核技術にさらに制限をかけようとする西側諸国は、そうした方向性を押し付けることができなかった。なぜなら、非核兵器保有国の大部分は自国の活動に制約がかけられることを拒み、核兵器保有国は核兵器保有国で自国兵器への投資を続け、完全軍縮へのプロセスとスケジュールに合意することを拒んだからである。
核兵器を近代化する計画は、核軍縮実現に向けた短期的見通しに暗い影を投げかけている。一部の政府と大多数の市民社会は核兵器禁止条約(NWC)の交渉を開始させるべく努力を続けているが、核保有国核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議は多国間軍縮協議に加わる用意が当面なさそうである。
しかし、核戦争の危機を取り除こうと思うのならば、永続的な核兵器の脅威を生み出すことをやめるべきである。それが、プロセスの最後ではなく、まず最初に考えられなくてはならないことである。
IPS Japan
※レイ・アチソン氏は、「リーチング・クリティカル・ウィル」の代表。
同プロジェクトは、核軍縮を唱道し核兵器問題の監視を続ける婦人国際平和自由連盟(WILPF)によるもの。アチソン氏は、同プロジェクトによる出版物の編集、および、NGO による論集『軍備管理を超えて―核軍縮への選択と挑戦』の編集にも携わった。
【参考記事】
米の核性能実験 「核なき世界」はどこへ
北朝鮮の地下核実験は許せないのに、自国の核を温存する実験は当然だというのだろうか。
米国が核兵器の性能を調べるための実験を昨年に2回行っていたと発表した。2010年から通算8回に上る。
北朝鮮の核開発を断念させようと、国際社会は足並みをそろえている。米国の二重基準は、北朝鮮に正当化の言い訳を与えるようなものだ。国を問わず核実験は、核兵器の開発や維持が目的である。 昨年末には臨界前核実験も実施している。オバマ大統領が掲げた「核兵器なき世界」からますます遠ざかっていると言わざるを得ない。被爆地からも抗議が相次いだ。当然であろう。
今回の実験はニューメキシコ州の研究所にある「Zマシン」という装置で行われた。少量のプルトニウムに強力なエックス線を当てて核爆発の瞬間に近い高温、高圧状態をつくり、反応を調べるものだ。臨界前核実験を補完する最新の実験である。
大爆発を伴う臨界には至らない。このため米エネルギー省傘下の核安全保障局(NNSA)は、地下核実験などとは別だと位置付けている。 だがこのような実験ができるのも、米国が地下、地上、水中で千回以上の核爆発を重ね、膨大なデータを蓄積しているからにほかならない。
これを前例として是認すれば、核開発をあくまで継続しようと考える国がほかにも出かねない。「持てる国」の横暴は決して看過されるべきではない。広島、長崎から粘り強く声を上げる理由でもある。
NNSAは年に4回、核兵器の維持に関するさまざまな実験の実施回数を発表している。核開発を断念するよう北朝鮮に圧力をかける時期であろうがなかろうが、お構いなしである。一貫した方針に見える。 核兵器廃絶を求める国際世論への配慮よりも、米国内世論へのアピールを優先しているのだろう。Zマシンの実験などが、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を実現させる切り札になるというのだ。
条約批准の権限を持つ上院では、共和党が「米核戦力の優位性が崩れる」と批准に抵抗している。一方、オバマ政権は「爆発を伴わない実験であれば、いくらでも可能だ」とCTBTの抜け穴を前面に掲げて説得する。8千個近く保有する核弾頭の維持管理にも、膨大な予算を割いている。 国際社会が発効を悲願とする条約が、米国では核実験を温存する根拠に使われる。大いなる矛盾ではないか。
「核兵器なき世界」の足踏みが、オバマ氏の本気度だけの問題ではないことも示していよう。核兵器に固執する国にどれほど厳しい目が向けられているか。被爆地から米世論に働き掛けることを、さらに心掛けたい。 ところが日本政府の姿勢は、広島、長崎からの訴えに水を差している。菅義偉官房長官はきのう、米国に抗議するつもりはないと明言した。
米国は、核兵器の維持管理策が「同盟国を安心させるためだ」と繰り返し表明している。責められるべきは米国だけではないだろう。核兵器廃絶を唱えながら、米国の核の傘を求める被爆国のちぐはぐさをも、今回の実験は示してはいないか。(中国新聞社説 3/12)
・・・
・米、ミサイル実験延期 北朝鮮の「誤解」懸念か
米国がカリフォルニア州で計画していたミサイル実験を延期する見通しとなったことが7日までに分かった。北朝鮮の「誤解」を招く恐れがあるためとされる。国防総省当局者が匿名を条件に語った。実験は9日に同州のバンデンバーグ空軍基地で実施されることになっていた。
北朝鮮とは関係のない計画だったが、「最近の朝鮮半島の緊張」を考慮して延期を決めたという。実験を予定していたミサイルの型などは明らかでない。 同当局者はこれを「賢明」な決断だと評価したうえで、
「米国は近いうちに次回の実験を実施し、引き続き断固として核抑止力の維持に努める」と強調した。・・・」(ワシントン(CNN))
↓
「朝鮮民主主義人民共和国は、近いうちに次回の実験を実施し、引き続き断固として核抑止力の維持に努める」・・・。 まったく同じディスコースではないか。
・アフガン:NATO空爆で子供ら11人死亡
「アフガニスタン東部クナル州で6日深夜、北大西洋条約機構(NATO)軍が民家を空爆し、中に立てこもっていた武装勢力8人と、民家にいた子供10人と女性1人が死亡した。ほかに女性5人が負傷した。州政府当局者が7日、明らかにした。
駐留米軍やNATO軍による空爆でこれまでも多数の民間人の犠牲者が出ているが、一度に10人の子供が死亡するのは異例。
州政府当局者によると、NATO軍とアフガン軍の合同部隊が6日夜、武装勢力の攻撃を受け、激しい戦闘となった。武装勢力が民家に立てこもって中からNATO軍などを銃撃したため、NATO軍が空爆支援を要請した。カルザイ大統領は、アフガン軍にNATO軍の空爆支援要請を禁じている。NATO軍は「民間人の犠牲者が出たことは認識している」(??))としている。・・・」(毎日 ニューデリー杉尾直哉)