2013年4月17日水曜日

MOX燃料: 日本への積み出し開始

MOX燃料: 日本への積み出し開始

・MOX到着は6月後半 高浜原発向け、関電が発表
 関西電力は18日、福井県高浜町の高浜原発3号機向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船2隻が17日(日本時間18日)、フランス・シェルブール港を出発し、同国の領海外に出たと発表した。6月後半に日本の領海に到着する予定。

 日本向けのMOX燃料輸送は東京電力福島第1原発事故後初めて。関電によると、輸送船は南アフリカの喜望峰を経由するルートを通るという。
 高浜原発3号機は長期停止中だが、関電は今年7月の再稼働を目指すとしている。輸送されるMOX燃料は、関電が2008年に発注。11年中に輸送予定だったが、東日本大震災で延期されていた。(共同)

MOX燃料:積み出し開始で抗議続く 仏シェルブール
 福井県の高浜原発で使用されるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の積み出し作業が17日午前、仏北西部シェルブールで始まった。燃料を積み出すシェルブール港周辺では住民や環境保護団体の抗議活動が続いた。抗議の激化に備え、市内には軍や警察当局約1000人が出動、警戒した。

 AFP通信によると、MOX燃料の運搬車3台は、警察車両の護衛を付け、同日午前0時半ごろ、アレバ社ラアーグ核燃料再処理工場から、約40キロ東のシェルブール港に向け出発した。燃料は港で待機する2隻の英国の専用輸送船に積み込まれた後、高浜原発に向け運ばれる。
 アレバ社によると、フランスから日本へのMOX燃料輸送は2010年以来5回目。今回分は11年4月の輸送が計画されたが、直前の3月に起きた東京電力福島第1原発事故で延期されていた。アレバ社は輸送航路について、安全上の理由から公表していない。

 地元メディアによると15日早朝、積み出し港付近に約10人の不審者が侵入する事件があった。シェルブール大審裁判所はアレバ社の要請を受け、輸送車から500メートル以内、積み出し港から300メートル以内への立ち入りを禁止した。 港付近で抗議活動を続けた元教員のアニ・ルゲベルさん(65)は
 「MOXの輸送は危険で無責任。日本人と連帯し、明け方までここで抗議する」と話した。 環境保護団体グリーンピースの広報担当者は 「抗議を続け、平和的な方法で輸送を断念させたい」と語った。 (毎日 シェルブール(フランス北西部)宮川裕章)

参考サイト
グリーンピース
●「2013/4/15 グリーンピース声明、不要かつ危険なMOX燃料国際輸送は直ちに中止を――福島第一原発事故後初、高浜原発へのMOX燃料輸送を受けて
●「「利用の見通し」に基づかないプルトニウムは生産しないで「在庫量の削減」を、と原子力委員会鈴木委員長代理──六ヶ所再処理工場運転開始とMOX燃料輸送
 3月26日の原子力委員会定例会議で、鈴木達治朗原子力委員会委員長代理は、電気事業者等に対し、プルトニウムの「供給ありきという考え方からの転換」を促し、
「利用目的のないプルトニウムを持たないという原則はたぶん十分ではなくて、利用の見通しを明確にし、その見通しの上で再処理をするという方向で検討していただきたい」と述べるとともに、在庫量の削減の重要性を強調しました。
 この考えに従えば、英仏及び日本国内に44トンものプルトニウムを抱える状況で、六ヶ所再処理工場の稼働はあり得ないことになります(「核情報」より)
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関西電力プレスリリース
仏国からのMOX燃料輸送の実施について(積出港名および輸送船名の公表)」
1.MOX燃料集合体の概要 (PWR燃料)
・燃料の種類  ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)
・全 長  約4.1m
・断面寸法  約0.2m
・燃料体の構造(配列)  17行×17列(うち燃料棒264本)
・最高燃焼度  45,000MWd/t
2.輸送容器の概要  (PWR燃料用)
・名 称  TN-12P(M)II型
・全 長  約6.2m
・外 径  約2.5m
・重 量  約108.1トン(最大収納時)
・収納体数  最大8体
・材 質  炭素鋼等
3.輸送船の概要
[パシフィック・ヘロン号]
・全 長  約104m
・全 幅  約17m
・総トン数  約7,000トン
・載貨重量  約5,000トン
・船 籍  英国
[パシフィック・イーグレット号]
  同上

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高浜原発3号用にMOX燃料輸送へ 仏側の要請に関電、装荷は未定
 関西電力は(3月)21日、高浜原発3号機(福井県高浜町)で導入されているプルサーマル向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料をフランスから海上輸送すると発表した。東京電力福島第1原発事故後、MOX燃料の輸送は初めて。長期保管の解消を求める仏側の要請に応じた。関電は実際に装荷するかどうかは未定としている。

 高浜3号機には2010年6月末にMOX燃料が輸送され、11年1月に関電としては初めて、国内では4番目となるプルサーマル発電を始めた。さらに追加で装荷するためMOX燃料20体を仏で製造し、既に完成している。ただ、福島事故の影響で実施のめどが立たなくなり、輸送を見合わせていた。
 関電は、方向性が不透明になっていた核燃料サイクル政策をめぐり、政府が昨年9月に決めたエネルギー・環境戦略の中で「政策の着実な推進が約束された」と判断。
 また、製造元のアレバ社や仏政府から長期保管の解消を求める声が強まり、両国政府を含めた関係者間で調整が進んでいた。19日に経済産業省から調整終了の通知を受けたという。
 核防護上の理由から積み出し港や船名は出発日の数日前まで公表されない。出発日、輸送ルート、日本到着のおおよその時期は仏出発後に明らかにされる。20体のうち何体を輸送するかも到着後の公表となる。

 高浜3号機は昨年2月に定期検査に入り、停止中。関電は7月の新安全基準の施行を受け4号機とともに再稼働を目指すとみられるが、MOX燃料の装荷については再稼働の議論や地元の判断を踏まえて決める方針で「現時点では判断していない」としている。
 野瀬豊高浜町長は輸送に関し「政府間、事業者間の問題。警備上の態勢を含めて、万全を期してもらいたい」とのコメントを発表。一方、装荷については従来、核燃料サイクル政策の位置付けを明確にする必要があるとの姿勢で、この日も「事業者から説明を受けていないため、現時点で申し上げることは特にない」とするにとどめた。
(福井新聞 3/22)

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大飯原発差し止め却下に原告団憤り 大阪地裁の決定「ひどい判断」
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転停止を求めた仮処分申し立てを却下した大阪地裁の16日の決定に、原告団は会見で「ひどい判断。政府や関電を後押しする決定だ」と憤った。福井県から加わった原告も「地元に住む者として不安が払拭(ふっしょく)されるどころか2倍、3倍にもなった」と無念さを隠せなかった。
 代理人弁護士は、争点となった
地震発生時に核分裂反応を抑える制御棒を、原子炉に挿入するまでに時間がかかり危険
との主張を、危険性は認められないと退けた点に「全く予想だにできなかった」と、あきれともとれる表情で述べた。
 大飯原発近くに三つの活断層が連動することについては「考慮すべき」との決定内容に一定の「進歩」と受け止めた。しかし、決定は「断層は地滑りが有力」との見解も示しており「断層調査は継続中で、結論は出ていない」と批判した。 今後は抗告を含めて「有効な争い方を考えていきたい」とした。
 
 福井県から参加した原告団の一人、石地優さん(60)=若狭町=は主張の多くが認められなかったことで「日本の先行きが心配になった」と肩を落とした。一方「この結果を福井の人に伝えて、これからも頑張りたい」と先を見据えた。
 同じく原告の中嶌哲演さん(71)=小浜市=は「司法も行政の波に飲み込まれた」。福井地裁で係争中の同原発運転差し止め訴訟の原告団にも名を連ねており「福井は立地県だけに経済面や行財政界などの特別な影響がある。簡単ではないが、声を上げていくしかない」と力を込めた。
(福井新聞)

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・【福島第1原発の現状】 タンク増設で森林伐採 行き詰まる汚染水対策
  東京電力は、福島第1原発で増え続ける汚染水を保管するため、敷地南側に残る森林を伐採し、タンク設置場所の造成を始めた。地下貯水槽から汚染水が漏えいし、タンク増設計画を前倒しするためだが、対策は行き詰まりつつある。
 1~3号機では、事故で溶けた燃料を冷やすため原子炉に水を注入し続けている。冷却を終えた水は放射性物質で汚染されているが、これを回収して放射性セシウムや塩分を取り除き再び原子炉に注入、循環させている。これだけでは汚染水は増えないが、原子炉建屋などに1日約400トンの地下水が流れ込むため、新たに汚染水となって増え続けている。

 東電はタンク増設で対応、置き場所確保のためこれまでも森林を伐採してきた。今回の場所は敷地南側の森林約10万平方メートル。30万トン分のタンク設置を見込み、既に地盤調査を終え夏にも設置を始める。
 第1原発内のタンクの容量は約26万6千トンで、9日現在、約25万4千トン入っている。
 今月5日、地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚。地下貯水槽の約2万3600トンを6月中に地上タンクへ移送することが決まり、一気に切迫した。
 東電は計画を前倒しして9月末までにタンクの貯蔵容量を約45万トンまで増やす。森林を伐採して設置するタンクを含め2015年中に70万トンまで増設するが、根本的な解決にはならない。(共同、4/15)