2013年4月13日土曜日

オスプレイ日本配備と東南アジアの叛乱鎮圧作戦

オスプレイ日本配備と東南アジアの叛乱鎮圧作戦

・オスプレイ、米比合同演習参加=沖縄拠点展開、有事即応-米海兵隊
 在沖縄米海兵隊は4月上旬からフィリピンで始まった、米比合同演習に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)配備の海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイを派遣した。

 オスプレイは今年1月にフィリピンで低空飛行訓練を行い、2月にはタイで行われた多国間合同軍事演習「コブラゴールド」にも参加した。沖縄を拠点にした長距離展開能力を高め、朝鮮半島有事や東南アジアでの紛争に備え、在沖縄海兵隊の即応体制を強化する狙いがある。(時事 2013/04/12)

軍事演習「コブラゴールド」オスプレイ タイでの訓練にも
 アメリカとタイが共催する多国間軍事演習「コブラゴールド」に2013年、普天間基地所属のオスプレイが初めて参加しています。 東南アジア最大級の多国間軍事演習「コブラゴールド」は1982年から毎年行われていて、2013年はアメリカとタイに加え、日本、韓国、シンガポールなど、7ヵ国から1万2000人以上が参加しています。
 タイ・チョンブリ県の海岸で行われた空と海からの攻撃による強襲上陸作戦を想定した訓練に、普天間基地所属のオスプレイが参加しました。訓練中、オスプレイが姿を見せたのは一度だけで、固定翼モードの水平飛行で上空を猛スピードで通過していきました。
コブラゴールドは21日までの予定で、17日には有事の際に現地から日本人を脱出させる訓練などが予定されています。(琉球朝日放送 2/14)

【参考サイト】
→「多国間共同訓練コブラ・ゴールド13」(防衛省 統合幕僚監部)
  「目的      多国間共同訓練コブラ・ゴールド13に参加して、自衛隊の国際平和協力活動及び在外邦人等輸送に係る統合運用能力の向上等を図る」
→「深南部(タイ)」wikipedia
→「タイ南部の分離独立運動
 タイ南部パタニ県周辺は14〜19世紀にかけ、マレー系王朝で最も早くイスラム化したとされる「パタニ王国」が統治。こうした歴史を背景に南部ではイスラム教徒10+件のマレー系住民らが分離独立運動を展開してきた。武装勢力は80年代にいったん壊滅状態となったが、04年に再び活発化、これまで5000人以上が襲撃や爆弾テロで犠牲となった。武装勢力には複数のグループが存在するが、指導部の構成など実態は不明だ。(毎日)

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フィリピン武装勢力、マレーシア東部に上陸(新紛争地図)
  マレーシア東部のサバ州を巡る領有権争いが再燃している。きっかけは中世以降栄えた「スールー王国」の末裔(まつえい)を称するフィリピン人が領有権を訴えて突如上陸したことだ。マレーシア軍との銃撃戦で60人が死亡。友好関係を優先して棚上げしていた領有権問題に思わぬ形で火が付き、好調な比経済のリスク要因に浮上している。
 3月下旬。比外務省は「サバ州についてマレーシアの主権を認める表現や発言をしないように」と全省庁に通達した。比はかつてサバ州の領有権を主張していたが、1980年代に事実上放棄。それを覆すような通達を出したのは、イスラム系比人がサバ州で多数死亡したことが背景にある。

 「スールー王国軍」を名乗る武装勢力ら約200人がサバ州に上陸したのは2月中旬。かつて比南部やサバ州などを支配したスールー王国のスルタン(王)の子孫、キラム3世らが「マレーシアは我々にサバ州の租借料を毎年支払っている」として領有権の正当性を訴えた。「不法占拠」された格好のマレーシア側は軍による掃討に動いた。
 スールー側が突如兵を挙げたのは、比政府と反政府組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」が昨年、和平の枠組み合意に達したことが遠因。和平交渉の中で、同じイスラム系住民であるスールーへの言及がなかったことに反発した。

 マレーシアは比政府とMILFの和平交渉の仲介国。懸念されるのは比政府が最優先課題とするミンダナオ和平への影響だ。南部ミンダナオ島は政府とMILFとの紛争で開発が遅れており、和平達成により開発と経済発展が一気に進むことが期待されている。それだけに、和平が頓挫すれば比政府の成長戦略が大幅に狂うことになる。
 サバ州は、15~19世紀のスールー王国による支配の後、英国保護領北ボルネオを経てマレーシア領になった。地理的には比南部のタウィタウィ州から50キロ程度しか離れておらず、いまも80万人のフィリピン人が暮らす。長い歴史の中で線引きしきれなかった領有権問題が、「王国末裔」の反乱により明るみに出た形だ。・・・。」(日経 マニラ=佐竹実)

・マレーシア、比武装集団の不法上陸に苦慮 総選挙控え収拾急ぐ
  マレーシア政府が、東部のサバ州に不法上陸しているフィリピンのイスラム系武装勢力への対応に苦慮している。マレーシア軍は(3月)5日に掃討作戦を開始、これまでの衝突で少なくとも19人が死亡した。マレーシアは4月に総選挙を控え、撤退を拒否する武装勢力に弱腰にはなれない。領有権の棚上げも遠因のため、フィリピンとの外交問題に発展する懸念もある。
 「スールー王国軍」を名乗る武装勢力ら約200人は2月中旬、サバ州に上陸。マレーシア軍は3週間たった5日、武装勢力の掃討に動いた。これまでマレーシアの警官8人と武装勢力側の11人が死亡した。
 ナジブ首相は「平和的解決を目指す」として警官隊を派遣したが、犠牲者は拡大。政権重鎮のムスタパ通産相は5日、「混乱の拡大でサバ州民は怒っている」と掃討作戦の理由を説明した。・・・。」(日経 マニラ=佐竹実)

→「モロ・イスラム解放戦線(MILF)和平交渉団の来日」(外務省 3月11日)
【参考】ミンダナオ和平問題について
(1)フィリピン政府とミンダナオを拠点とするモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平プロセスは,約40年にわたる武力衝突を経て,2003年の停戦合意,2004年からの国際監視団(IMT:International Monitoring Team)の活動により進展。
 2008年8月,懸案の土地問題の解決をめぐる国内調整に失敗して武力衝突が再燃したが,2010年2月に和平交渉が再開された。2011年8月には、アキノ大統領とムラドMILF議長とのトップ同士による会談が成田で行われたことを契機として和平交渉が進展し、2012年10月、フィリピン政府とMILFとはミンダナオ和平に関する「枠組み合意」に署名するに至り、2016年にバンサモロ自治政府を創設することで一致した。

(2)日本政府は,ミンダナオ和平がアジアの平和及び繁栄に不可欠であるとの認識の下,IMT社会経済開発部門への開発専門家派遣,元紛争地域における経済協力の集中的実施,和平交渉にオブザーバー参加して助言を行う国際コンタクト・グループ(International Contact Group:ICG)への参加等を通じ,ミンダナオ和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発に貢献してきている。特に,我が国支援案件の総称「J-BIRD(Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)」(※Bangsamoroはミンダナオのイスラム教徒を指す。)は,ミンダナオの住民の間でも広く知られている。
→「ミンダナオ新自治政府の円滑な発足に向けて(フィリピン)-「バンサモロ移行委員会」メンバーらが来日-4月1日」(JICA)