2012年2月3日金曜日

〈脱原発法学〉のために

〈脱原発法学〉のために

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福島第1原発事故 2号機原子炉の温度が2日以降、上昇続ける 5日朝時点で67.4度
 福島第1原発2号機の原子炉の温度が、2月2日以降、上昇を続けていて、東京電力は5日未明、原子炉への注水量を増やし、温度が低下するか確認することにしている。 2号機の原子炉圧力容器下部の温度は、2月2日におよそ52度だったが、その後、上がり続けていて、5日午前5時の時点で67.4度と、およそ15度上昇している。
 これを受けて、東京電力は5日未明、原子炉への注水量を1時間あたり8.6トンから9.6トンに増やし、温度が低下するか監視するとしている。 原因について東京電力は、現時点で明確にはわからないとしているが、「冷温停止状態」の判断には影響はないとしている。(FNN)

「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「政府・東電は「冷温停止」前倒し宣言を撤回し、謝罪すべきである
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 「原発の国民投票」をめざしている、ある弁護士が書いた文章が転送されてきた。話のとっかかりとして、実名は伏せて、紹介しよう。「停止中原発の再稼働の法的根拠とは何か?」を考えながら読んでほしい。  若干の混乱がある、と私は思う。
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●来日していたIAEA調査団が、ストレステストの審査方法を妥当とする報告書を保安院に提出しました。予想された結果とはいえ、国民の安全や生命に関連する問題を、いとも簡単に処理するやり方に怒りを覚えます。保安院の暴走は加速されるでしょう。経産省から、「地元自治体」への説得工作は近日中になされるでしょう。闘いは急がなければなりません。 福井県は、まだイエスと言っていません信濃毎日新聞がIAEAの調査は、安全の根拠にならない、という社説を発表しました。まことに立派です。

●去る1月31日に、九州を中心に1704人が玄海原発1~4号機の運転差し止めをもとめて、佐賀地裁に提訴しました。全国各地の原発訴訟の原告団の人数という点をみれば、全国最大の原告団です。佐賀地裁には、すでに、玄海原発プルサーマル裁判の会などの市民が玄海原発1~4号機の運転差し止め等を求めて提訴しており、これらの原告団・弁護団は、協力・連携して裁判闘争を進めていくことになると思われます。

●1月28日の『朝日新聞』に、原発訴訟の審理につき、最高裁判所が裁判官の研究会を開いたという小さな記事が掲載されました。 最高裁判所が重要な問題につき裁判官の集まりを開き(普通、この集まりは裁判官会同と呼ばれています)、そこで示された最高裁の見解に地方の裁判官が“右習え”する傾向があることは、知る人ぞ知る、日本の裁判所の恥部です。裁判官は、裁判官の独立を自ら投げ捨て、自分の頭で考えなくなるのです。最高裁の見解に自分の見解をあわせて「上昇」しようとする裁判官も生まれます。この裁判官会同の「成果」に泣かされた日本の民衆・弁護士の数は、数えることができないほどです。したがって、原発訴訟の今後の行方に黒雲が立ち始めたといっても過言ではありません。
 しかも、その内容の一端が、朝日新聞に漏れています。今後の原発訴訟で、1992年の伊方原発最高裁判決を指針とすることが事実上決められたようです。伊方原発訴訟については、概略を以下で見てください

●伊方原発最高裁判決の最大の問題点は、裁判において原発が危険だということを立証する責任を、住民に負わせた点です。したがって、この基準でいけば、国や電力会社は、ストレステストをやったこと、IAEAもOKを出したことを立証すればよく、後は住民側が原発は危険であること、廃炉または運転停止する以外に道がないことを完全に(!)立証しなければならなくなります。これは非常に困難なことです。
 私たちは、今回の原発事故につき裁判所批判・最高裁批判が民衆の側で十分になされなかったことを憂慮してきました。これだけ国民が怒っているだろうから、裁判官も少しは考えているだろう、というのは完全な幻想です。私たちは、裁判闘争を取り組んでいる者も、そうでない者も、今後、共同して裁判所批判・最高裁批判をやりぬく決意を固める必要があるのではないでしょうか。

●また、私たちは、原発の廃炉を全国的に一斉にやりぬくには、裁判闘争では限界があること、苦しい道ではあるが広範な市民運動を展開するしかないことを訴えたいと思います(私たちは、広範な市民運動の究極の目標として国民投票を考えています)。そして、裁判闘争を取り組んでいる者も、そうでない者も、当面する原発の運転再開を阻止するために全力をあげるよう訴えたいと思います。原発の運転が再開されれば、裁判闘争も市民運動も、非常に大きな困難に見舞われることは、火を見るより明らかだと思います。立ち上がる時は、今なのです。
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 上の主張のポイントは、
①最高裁判所が「裁判官会同」を開催し、そこにおいて、
②「今後の原発訴訟で、1992年の伊方原発最高裁判決を指針とすることが事実上決められた」ようであること、そして、
③「伊方原発最高裁判決の最大の問題点」が、「裁判において原発が危険だということを立証する責任を、住民に負わせた点」にあり、ゆえに、
④「原発の廃炉を全国的に一斉にやりぬくには、裁判闘争では限界があること、苦しい道ではあるが広範な市民運動を展開するしかない」にある。

 まず、①に関して言えば、私としては全国的な「脱原発訴訟」が昨春より準備され、すでに開始されているのだから、「司法当局」の側がそれに備えることは「時間の問題」というか、「自然の成り行き」だと考えている。
 ②については、「判例主義」的司法制度の在り方から言えば、「さもありなむ」と言う程度のことに過ぎず、
 ③については、少なくもこのことを大前提にして「脱原発の〈思想〉と〈科学〉が問われている」ことを論じてきた者としては、「専門家はもう少し早く気付いていてほしかった」と言いたい気持ちがある。最後に、
 ④については、「裁判闘争では限界がある」のではなく、どのような「裁判闘争」を「展開」するのか、その中身・内容こそが〈問題〉であることを指摘しておきたい。
 「裁判闘争」と「市民運動」は、何か別々の「闘争」や「運動」なのではない。それぞれが互いに、有機的に、影響/反響し合うもの、と思うのである。

 だから、総論的に言えば、私は「ん?」という印象を持ったのだが、おそらくは福島第一原発の「原子力緊急事態」の「解除宣言」以降に待ち構えているであろう停止中原発の再稼働問題を考えるにあたって、その「たたき台」を提出して頂いたものとして受け止めたいと考えている。
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原発再稼働、自ら地元説明へ=枝野経産相
 枝野幸男経済産業相は4日、民放テレビの報道番組に出演し、原発の再稼働に対する地元の理解を得るためには「所管大臣である私が説明を丁寧にしないといけない」と述べ、安全性の確認後に地元自治体への説明に乗り出す考えを示した。  枝野経産相は原発への依存度を下げる方針を示す一方で、「ある程度の時期までは原発を使わざるを得ない」と指摘。原子力安全・保安院や原子力安全委員会による安全性の確認を経て再稼働を進めると強調した。(時事)


 〈原発(再稼働)の「工学的耐性」と「社会的耐性」について〉 

①私が言う「脱原発法学」とは、これまでの原発訴訟の「係争点」に欠けていた論点を埋めるもの、と理解してもらえばよい。分かりやすく言えば、「3・11」以前の原発訴訟は、当然にも、「3・11」と「3・11以後」を想定も前提にもしておらず、これらに対し、これからの原発・再稼働阻止訴訟は、「3・11」と「3・11以後」の様々な事象を「係争点」に織り込みながらたたかわれるべき/たたかわれて然るべきである。
 その「係争点」の柱の一つ。それが「3・11以後」の「修復的正義/司法」である。そして、もう一つが原発の「社会的耐性」、つまりは原発の工学的安全・安心(という名の神話)とは別次元で議論・評価されるべき、今回の事態を大前提とした「市民の安全・安心」(なんてありえない)に関わる領域の問題である。

 今、〈私たち〉は国や東電その他の電力会社と、今夏以降の停止中原発の再稼働問題をめぐり「こう着状態」というか「我慢合戦」状況にある。「豪雪・厳冬のエネルギー不足」キャンペンーンに足をすくわれ、私たちが「根気負け」をすれば、停止中原発の再稼働がいつでもできるように、「ストレステスト」→「安全性に問題ない」→再稼働に向けた行政的手続きを、国と電力企業は着実に進めている。

 しかし、そこで審査・評価されているのは、ただ単なる原発の「工学的耐性」であって、日本という国、社会総体が、政治的・経済的・精神的に、また「防災」上の観点からも、「第二の3・11」に備え、耐えうるかという「社会的耐性」をめぐるそれではない。この事実に、改めて読者の注意を喚起したい。

 たとえば、私は、福島や首都圏の「ホットスポット」の除染(⇒累積総額100兆円規模のビッグビジネス?)問題に触れ、「私が除染や「除染ボランティア」問題を取り上げるのは、これらの問題解決の具体的・現実的展望が出るまでは、再稼働云々の話を国・立地自治体・東電や電力会社はすべきではない、と考えるからだ。 除染が一向に進まず、しかもその進まない除染、福島以外の地域では国と自治体が財政負担の転嫁合戦をしている除染に、地元住民までが「ボランティア」として動員される/しようというのは、どう考えても理不尽すぎる」と書いた。

 なぜ、「再稼働云々の話」を「すべきでない」のか? その理由は、こういうことである。

(つづく)

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<福島第1原発>水漏れで地面の線量2シーベルトに
 東京電力は3日、福島第1原発で、汚染水浄化システムのタンクから放射性物質を含む水が漏れたと発表した。漏れた量は1リットル以下だが、地面での表面線量がベータ線で毎時2000ミリシーベルト(2シーベルト)と高く、作業員が最大2.3ミリシーベルトの被ばくをした。海への流出はなく、原子炉への注水にも影響はないとしている。
 3日午後0時半ごろ、汚染水から取り除いた塩分を含む濃縮塩水をためる屋外タンク(直径12メートル、高さ11メートル)側面の鋼板の継ぎ目から水がにじんでいるのを、東電社員と協力企業の作業員が発見。漏れていた水の放射能濃度は1立方センチ当たり約27万ベクレルで、タンク下のコンクリート面に漏れた跡と見られるにじみがあり、その表面の線量は毎時2000ミリシーベルトに達した。
 継ぎ目のボルトを締め直すと漏れは止まったため、東電は気温の低下で鋼板が縮むなどして継ぎ目のパッキンが緩んだのが原因とみている。1月10日にも同様の水漏れがあったが、百数十基あるタンクの目視点検をしただけで、ボルトの締め直しなどの対策はしていなかった。 経済産業省原子力安全・保安院は3日、速やかに原因を究明し、再発防止策を報告するよう東電に指示した。【毎日、岡田英、河内敏康】

福島第一原発、事故後初の保安検査へ 保安院6日から
 枝野幸男経済産業相は3日、東京電力福島第一原発で冷温停止状態を維持する設備の運転などが適切かを確認するため、原子力安全・保安院が6日から保安検査を実施すると発表した。同原発で保安検査が実施されるのは事故後初めて
 保安院は昨年12月、安定的な冷温停止状態を維持するのに必要な設備の施設運営計画を反映した東電の保安規定を認可。規定に基づき、原子炉注水設備や使用済み核燃料プールなど7設備の運転状況や設備の改善などが適切かを、約3週間かけ、現地でマニュアルや運転記録などを確認する。
 保安検査の結果は内閣府の原子力安全委員会に報告し、公表。枝野経産相は「地元自治体に現状を丁寧に説明したい」と述べた。(朝日)
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 福島第一の「冷温停止状態」を維持する「設備の運転」が適切かどうか? すでに「適切ではない」という答えは出ているのはないか? 約3週間もかけて、「マニュアルや運転記録」などを「確認」するというが、「第二の3・11」クラスの地震あるいは津波が来たら、「一巻の終わり」であることは誰もが認めるところだろう。
 しかし、時間がない。これについてはまた改めて論じることにしたい。

横浜市の小学校近くで高い空間放射線量 近く除染へ
 横浜市は3日、同市瀬谷区二ツ橋町の廃止された水路の跡地で、地上1センチの空間放射線量が、市の除染基準毎時0.59マイクロシーベルトを大きく上回る同6.85マイクロシーベルトを記録したと発表した。市は「非常に高い値で、福島第1原発によるものとみられる」とし、今後周辺の除染を行う。
 市は原因について「勾配(こうばい)があり雨水などがたまりやすく、放射性物質が蓄積したのでは」と分析している。
 現場は市立二つ橋小学校と民有地との間に挟まれた市有地。独自に調査した市民から2日に通報を受け、市が3日に調査した。市環境科学研究所で土壌の核種分析を行った結果、放射性セシウム134と137が1キロ当たり計6万2900ベクレル検出された。
 市は「現場はフェンスで仕切られ、人が立ち入れない場所」としているが、二つ橋小グラウンド内にコーン標識などで付近の立ち入り禁止措置を取った。二つ橋小グラウンドで空間放射線量を測定した結果は地上1センチで毎時0.08マイクロシーベルト、地上50センチで同0.21マイクロシーベルト。市の除染基準は地上50センチで同0.23マイクロシーベルトと近い値だが、市は「安全な線量」としている。 市は今後、除染範囲などを専門家と協議し、周辺の堆積(たいせき)物を除去する。 市の測定で、これまでの空間放射線量最高値は昨年12月、都筑区の鴨池公園にある「こどもログハウス」雨どい下の地上1センチの場所で検出された、毎時1.03マイクロシーベルトの放射線量だった。(産経)

米、原発内プールに転落 加州で作業員
 【ワシントン共同】燃料交換のため停止している米カリフォルニア州南部のサンオノフレ原発2号機で、作業員が原子炉内を循環する冷却水が入ったプールに転落していたことが3日、分かった。AP通信が報じた。同原発では水漏れなどトラブルが続いている。 作業員は1月27日、作業中にバランスを崩してプールに落ちた。プールには放射性物質を含んだ冷却水が入っていた。ただ、既に燃料を取り除いており、冷却水には汚染されていない水を加えてあったことから、冷却水の放射線量は低く、1回の胸部エックス線検査よりもわずかに多い線量の被ばくで済んだという。