●2号機温度、約75度に上昇=冷却水、毎時1トン増で対応―福島第1
東京電力は11日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部に3カ所ある温度計のうち、60度台後半で推移していた温度計が同日夕から再び上昇し始めたため、冷却水の注入量を毎時1トン増やして同14.6トンとした。同温度計は11日午後11時に74.9度を示す一方、同じ高さにある残り2カ所の温度計は35度程度で推移しているという。(時事)→12日午前10時、温度はさらに78・3度に上昇。「格納容器内からは放射性キセノンが検出されていない」「臨界していない」、と東電は言っている。→さらに温度は上昇し82度に。冷却水を毎時3トン増やし、過去最大レベルの同約18トンに。
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福島の〈農〉の再生とそれへの〈支援〉をどう考えるか
今日、都内で脱原発の集会とデモがある。
その後、私は、仲間とともに、「福島県有機農業ネットワーク」理事長の菅野正寿さんと会い、お話をきかせて頂くことになっている。その準備をしているところに、以下のようなメールが飛び込んできた。読者はどのような感想や印象を持つだろうか。非常に重要な問題を提起していると思うので、実名は伏せて、掲載しようと思う。
「福島の「〈農〉の再生」には何が必要か、それを〈支援〉するにはどうすればよいか」を考えながら、読んでいただきたい。
メールの執筆者は
・「耕作をせず、とりあえずはそれまで生えていたものもそのままにしておいたほうが、事故が収束した後に、生えているものを刈り取り、土の表面数センチをはぐことで、農地を再生させる可能性が残されるのであって、耕して放射性物質を鋤込むことをしなかったこの判断は、きわめて賢明であったといえます」
・「農家を保護するはずの農業委員会が、こうした「指導」を行うことは、農民と、その農民が生産する農産物、更にはその農民が生産する農産物を体内に摂取する私たち日本国民のいのちを軽視する、ひどい話し」
と言う。しかし、ほんとうにそう言えるのだろうか。
一見、「正論」であるように思えるのだが、このような主張には「何か」が欠けていはいないか?
私は、このように断言することに、とてもためらいがある。まさに、今、考えている最中だ。結論を急ぎたくない。それを考えるためにも、菅野さんのお話を聞こうと考えた。
脱原発派は、福島の人々とどのようにつながり、支えようとしているのか?
どうやら〈問題〉はここに行きつくように思われる。
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●全国に広がりつつある汚染!!
福島県の伊達市で同市農業委員会が、福島原発事故によって放射能汚染されたため、耕作を見合わせている農家に対して、「農地として適切に利用されていない」として、「耕すように指導」しているという東京新聞の報道を以下にお知らせします。
「指導」を受けているのは、市内の小野寛さん(51)。事故によって田畑は3マイクロシーベルト毎時の放射線値を示すようになったそうです。そのため、 ここで耕作をしても収穫物を食べることはできないと考えて、耕作を断念。さらに被曝を避けるために、それまで植えられていた小麦なども収穫しませんでした。
これは極めて妥当な措置だったと思います。小野さんが懸念したように、放射能汚染された作物を収穫すると、放射性物質が舞い、吸い込んで内部被曝してしまう可能性が強くあります。また土いじりの仕事である農作業は他の様々な面からも、被曝の可能性が高く、汚染地帯での作業は危険性が高いために避けることがのぞましいからです。
また汚染された土地から収穫したものは、当然ながら汚染されてしまうため食べられないとの判断も妥当です。それどころか、耕作をせず、とりあえずはそれまで生えていたものもそのままにしておいたほうが、事故が収束した後に、生えているものを刈り取り、土の表面数センチをはぐことで、農地を再生させる可能性が残されるのであって、耕して放射性物質を鋤込むことをしなかったこの判断は、きわめて賢明であったといえます。
むしろ国や県、各自治体の農業対策室は、こうした判断を昨年3月の時点で示し、耕作中止を呼びかけるべきだったのであり、今回の措置は、そうした失策を振り返らないばかりか、自らの被曝を避け、田畑への放射性物質の鋤込を回避して農家に、被災農地での被曝を伴う耕作を強制するものであって、まったく間違っています。
---以下東京新聞記事より------
・耕作放棄じゃない 除染待つ間に農地利用促す通知(東京新聞 2012年2月8日)
米から国の基準を上回る放射性物質が検出された福島県伊達市で、土壌汚染や被ばくへの懸念から耕作できなかった農家に対し、市農業委員会が田畑を耕作放棄地と扱う通知を出した。「農地として適切に利用されていない」として耕すよう指導。一月中旬に通知を受けた同市の小野寛さん(51)は「耕すと放射性物質が土に混ざる」と困惑している。 (中崎裕)
各自治体の農業委員会は農地法に基づき、年に一度、耕作放棄地を調査。最初の指導通知が届いた時点で耕作放棄地扱いとなり、所有者は原則的に新たな農地取得ができなくなる。同市農業委は今回、二百件ほどの指導通知を出した。小野さんは二千平方メートルの田畑で米と小麦を栽培。主に自家用だが、一部を販売している。米は、秋から育てたライ麦を刈り倒して雑草などを抑える独自の有機栽培をしてきた。
昨年三月の原発事故で、田畑は毎時三マイクロシーベルトと高い線量が検出された。単純計算で年間二〇ミリシーベルトを超え、政府が避難を促す基準を超える値だ。「作っても食べられない」と判断し田植えをやめた。土ぼこりなどを吸って被ばくする懸念があったため、ライ麦と小麦の収穫もせず、田畑はそのままにしていた。「除染さえできれば耕作するつもりだった。放棄したわけじゃない」。小野さんは農業委員会に通知を取り消すよう求めたが、受け入れられな かった。
農地法には、災害時などは耕作放棄地扱いしないとの規定がある。農林水産省の担当者は「農業委に判断は委ねられるが、一般論として原発事故があった福島なら放射線への懸念は災害にあたるだろう」と説明する。しかし、市農業委は「高線量のホットスポット以外の地域は、放射能への懸念があっても特別扱いはしていない」との見解。一方で、伊達市では農地の除染方法を検討中としてまだ決めていない。
小野さんは「耕作すれば放射性物質が混ざり、自然になくなるのを待つしかない。セシウムは半減期が三十年もあるのに、どうすればいいのか」と力なく語る。
<原発事故による耕作規制>
農林水産省は昨年、避難区域と土壌調査で1キログラム当たり5000ベクレルを超える地域の米の作付けを制限。伊達市は対象外だが、避難区域に近い地域では米から国の暫定規制値(1キログラム当たり 500ベクレル)を超えるセシウムが検出された。規制値は1キログラム当たり 100ベクレルに引き下げられる見込みで、農水省は今年も作付け制限を検討。
除染方法は、表土を地中深くに埋めるなど農水省がいくつか案を示しているが、最終的には自治体が方法を決めることになっている。
----以上、東京新聞より---------
農家を保護するはずの農業委員会が、こうした「指導」を行うことは、農民と、その農民が生産する農産物、更にはその農民が生産する農産物を体内に摂取する私たち日本国民のいのちを軽視する、ひどい話しです。
先日、京都大学農学部の食料・環境経済学科(かっての農林経済学科)の農学原論講座や経営学講座有志主催の「福島第一原発事故と農業」というシンポジウムに、私も出席しましたが、「今回の福島の放射能の汚染はたいしたものではない」「そもそも、農業経営学や農学原論などの文化系の学問をやっている者には、放射能のことなんか解るはずないから、基準値がどうこうという話題は本日の討議対象から除外します」
・・・などといった、驚くべき発言が、会議の冒頭、司会者の原論講座准教諭の口から、堂々と、飛び出す始末!!農学研究者として失格だなぁ・・と、同大学(かっての同農林経済学科農学原論講座)出身の私は、つくづく情けな く、また恥ずかしく思いました。
まさに、『農学栄えて農業滅ぶ』を、地で行くような、こうしたありさま・・・原子力ムラの体質は、原発関連集団だけでなく、農業関連の生産者・農協や農業委員会など各種農業団体・農学者からなる「農業関連ムラ」にも、今回の原発事故の起こるずっと以前からも、広範に根深く巣くっています。
汚染は、また、福島県外にも、全国的規模で拡散するきざしが鮮明になりつつあります。沖縄でも、東京湾でもセシウムが拡散しています。
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「汚染は、また、福島県外にも、全国的規模で拡散するきざしが鮮明になりつつあります。沖縄でも、東京湾でもセシウムが拡散しています」。
その通りである。
で、どうするのか?
⇒「数値に翻弄される社会」につづく。
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原発を問う民衆法廷の大阪学習会の案内
■2月12日(日)14時~エルおおさか504号室
http://l-osaka.or.jp/pages/access.html
■報告:前田朗「原発民衆法廷の今日的意義」
■主催:原発 を問う民衆法廷関西実行委員会
*原発事故で、福島の子ども たちの45%が内部被曝した。少なからぬ 人々が死に追いやられた。多くの人々 が住む家を追われた。福島の人々に降りかかった災厄はいったい誰のせいなのか。体内に入ったヨウ素、セシウム等は「無主物」?大地・ 故郷が放射能で汚染されたのは「津波」のせい? そうではない。
フクシマ事故は人災であり、犯罪だ。その責任の所在は東電、政府以外にはあり得ない。原発は、歴代の日本政府が 推進してきました。このたびの原発事故は、その結果引き起こされたものです。
民衆法廷とは、現在の裁判 所に代わって、市民の運動によって新しい法規範を確立する取り組みです。民衆法廷が出す判決(勧告)は法の正義を実現し、法規範をつくっ ていきます。 原発に関係する法律は、「原子力基本法」や「原子力損害賠償法」などがあります。残念ながら、これらの法律は 原発を推進することを前提にした法体系です。 民衆法廷は、被災者のすべての権利を実現し、原発政策そのものを問いただすため、民衆の知恵と創意で、正義の 法規範につくりかえるために行います。
原発の被害者などから申し 立て(訴え)を受けます。民衆法廷は判事団、代理人、被告で構成します。判事は、日本国憲法、各種の法律、国際法の経験を持つ者です。裁 判は、第1回の東京をスタートに、各地を巡回し 公判を開きます。原発事故と原発政策を推進した政府と電力会社の「原発犯罪」、その責任を法により明確にします。
第1回の東京公判に続い て、各地で公判を開催していき、被災者の避難の権利、損賠賠償、内部被ばく、原発の危険性など、原発の課題を検証し、実際に提訴されてい る裁判に対し、民衆法廷の判決(勧告)、検証の内容などを生か し、支援します。
*原発を問う民衆法廷実行委員会*
第1回公判のご案内
■2012年2月25日(土)午後1時30分~6時30分
(参加傍聴費 一般1000、高校生以下500円)
■定員 250席 先着順
■場所 機械振興会館 東京タワーの向かいの建物
■最寄駅 日比谷線「神谷町」、三田線「御成門」 、浅草線「大門」、JR「浜松町」
■連絡先 090-2466-5184/qqq568d9k@extra.ocn.ne.jp/045-434-4225 (tel/fax)
表面 http://wwwb.dcns.ne.jp/~yaginuma/120204omote.pdf
裏面 http://wwwb.dcns.ne.jp/~yaginuma/120204ura.pdf