2012年2月6日月曜日

柏市の「除染実施計画」(案)

柏市の「除染実施計画」(案)

 昨日(2/5)、千葉県柏市の「根戸近隣センター」で市の除染計画に関する住民説明会が行われた。(柏市は放射線被曝線量が年間1ミリシーベルト以上の、国が「除染特別地域」に指定した8県102市町村の一つ。国は各地域の民有地・民家・私道等の除染費用に関し、基本的に各自治体がそれぞれ自前で行うこととしている。)
 柏市が公表しているデータなど、参考になるかもしれないいくつかの情報を記しておきたい。

1、柏市は、「柏市除染実施計画(案)」 を作成した。これに関し、昨年12月2日から12月8日にかけ、市はパブリックコメントを募集した(44名から205件の意見が寄せらたという)。これを受け市は何点か当初の素案を修正している。その中には肯定的に評価できるものもある。

①除染の最終目標
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・「毎時0.23マイクロシーベルト」,「地上50cm~1mの測定位置」は国が示している除染費用の負担のための基準でありますが,科学的な知見からは妥当なものであると考えています。
 ただし,市民の方々のご意見等を踏まえ,市独自の方針として,子どもの生活環境である小学校,保育園等は「事故前にできるだけ近づける」,「測定位置として地上5cmも加える」ことなど,さらに踏み込んで除染に取り組むこととします。

・空間線量率が毎時0.23マイクロシーベルトを下回ることで十分個々人の追加被ばく線量は年間1ミリシーベルトを下回るとの考えから,空間線量率毎時0.23マイクロシーベルトが国の助成基準になっておりますが,小学校,保育園等の子ども生活環境の施設については,毎時0.23マイクロシーベルト未満の場合にも市の独自措置として除染を行い,できるだけ原発事故前の環境に近づけるよう取り組みます。

・最終目標としては,内部被ばくと外部被ばくを合わせて年間1ミリシーベルトを超えないようにすることを目指すこととします。ただし,当面は国の方針に従い外部被ばく分として空間放射線量率が時間あたり0.23マイクロシーベルトを下回ることを目標として除染に取り組むとともに,内部被ばくもできるだけ低減するように食品の放射能濃度の検査体制を強化することとします。内部被ばくと外部被ばくを合わせて年間1ミリシーベルトを超えないという目標の達成のため,継続的な取り組みが重要と考えています。
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 福島第一原発「事故」の収束以前の段階における「除染」については、その効果・実現可能性・財源・人材などをめぐり、さまざまな懐疑的意見がこれまでもあったし今もある。しかし、実際に汚染が広がり、汚染地域に人が住んでいる以上、除染を進める以外にない、と私は思う。その上で、ここに示した柏市の「除染の最終目標」に関する「基本的考え方」は、「これでも不十分だ」という意見はあると思うが、
●放射線量の測定位置に関し、「市独自の方針として,子どもの生活環境である小学校,保育園等は「事故前にできるだけ近づける」,「測定位置として地上5cmも加える」ことなど,さらに踏み込んで除染に取り組む」、
●「毎時0.23マイクロシーベルト未満の場合にも市の独自措置として除染を行い,できるだけ原発事故前の環境に近づける」、
●「内部被ばくと外部被ばくを合わせて年間1ミリシーベルトを超えないようにする」といった方針は、概ね了承できる内容であるように思う。(もちろん、問題は「その効果・実現可能性・財源・人材」などであることは言うまでもないのだが・・・)

②「除染ボランティア」
 パブリックコメントでは「除染の推進主体」に関する「市の役割」について、このような意見が出た。
・除染の主体はあくまでも「公」であるべきです.市として責任を持って除染に取り組むのであれば,まずはボランティアに頼るのではなく,必要な人的コストを支払い,大々的な除染プロジェクトを市として立ち上げることが必要です.
・業者ごとに差が出てしまったりしないよう,柏市が専門家に依頼をして業者に除染指導をしていただき,徹底的な除染を強く求めます。
・高圧噴射機,線量計は,町会に配布か貸与していただいても,結構です。その代わり除染効果の結果を義務付ければいいと思います。

 これらに対する市の回答。
・市では,除染の推進のため最大限の努力をしていきますが,市全域の速やかな除染のためには,市民の皆様一人ひとりのご協力が不可欠であると考えております。
・除染を業者等に依頼する場合には,市の職員に除染に関する教育を実施したうえで,各除染作業に関与していくようにします。
・市では,町会やボランティア団体の除染活動等に対する支援について検討をしておりますが,詳細が決まり次第改めてお知らせしてまいります。

 国が除染をせず、自治体では対処しきれないときに(と自治体は言うのだが)、「子どもや家族を被ばくから守るために自力で除染する」という考え方は十分理解できるし、柏市ではすでにボランティア組織「ここ掘れワンワン隊」が組織されている。

 これをどのように考えるべきか? 東北・関東など8県102市町村におよぶとはいえ、「ホットスポット」はあくまでも「局所的」と捉えられている傾向が強いだけにこれらの自治体内でも関心は決して強くないと思えるが、間違いなく全汚染地域、いや日本全体に突きつけられている問題である。

参考サイト
⇒「放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染廃棄物対策地域、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域の指定について」(環境省)

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2号機原子炉、70度超続く=注水量、さらに増加―福島第1
 東京電力は6日、福島第1原発2号機原子炉の圧力容器底部の温度について、冷却水の注入量を増やしたにもかかわらず、依然として70度超の状態が続いていると発表した。ただ、同底部の別の温度計は45度程度で安定しているため、温度計の不具合の可能性もあるという。  東電によると、1日夜時点で52.0度だった同底部の温度計は上昇が続き、5日午後4時に71.7度に上昇。冷却水の注水量を毎時1トン増加した後の同日午後11時時点でも70.3度だったため、東電は6日午前1時29分、注水量をさらに毎時1トン増やし同10.6トンにしたが、6日午前5時時点で70.6度あるという。 (時事)

放射性セシウム:福島県川内村のミミズから検出(毎日)

原発再稼働へ「何度でも足運ぶ」=東電社長、柏崎市長らと会談
 東京電力の西沢俊夫社長は6日、新潟県を訪れ、同社の柏崎刈羽原発がある柏崎市の会田洋市長、刈羽村の品田宏夫村長と相次ぎ会談した。西沢社長は今後の電力需給について、「冬は何とか乗り切れそうだが春先から夏は非常に厳しい。柏崎刈羽は重要な電源だ」と再稼働への協力に期待感を表明。その上で「地元の懸念、質問に丁寧に答え、理解してもらうまで何度でも足を運んで説明させていただく」と述べ、地元の意向を最大限尊重する考えを示した。
 一方、柏崎市の会田市長は会談後、同原発の再稼働について「(福島第1原発事故を踏まえ)安全性がきちんと確認できることが前提。その上でのことになる」と述べた。西沢社長は6日午後、泉田裕彦新潟県知事とも会談する予定。 (時事)
⇒「東電一時「国有化」=(電気料金値上げ+増税)+(柏崎刈羽+福島第二再稼働)?」(12/6)

原子力委3人に業界から寄付 5年間で1800万円
 東京電力福島第一原発事故後の原子力政策の基本方針(原子力政策大綱)を決めるため内閣府原子力委員会に設けられている会議の専門委員23人のうち、原子力が専門の大学教授3人全員が、2010年度までの5年間に原発関連の企業・団体から計1839万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べでわかった。
 会議では、福島の事故後に政府が打ち出した減原発方針が大綱にどう反映されるかが焦点となっている。原子力委の事務局は3人の選定理由を「安全性などの専門知識を期待した」と説明するが、電力会社や原発メーカーと密接なつながりがあったことになる。  3人は東京大の田中知(さとる=日本原子力学会長)、大阪大の山口彰京都大の山名元(はじむ)の各教授。3人は寄付を認めたうえで、「会議での発言は寄付に左右されない」などと話している。 (朝日)
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ナノ材料、国が安全評価へ 吸引で健康被害の懸念(朝日)

「批評する工房のパレット」内関連ページ
⇒「ナノテクノロジーの「リスク」」(2011/3/2)
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 問題は、ナノテクノロジーに「リスク」があるか否かではなく、それが「管理」できるか否かにある。