2014年4月4日金曜日

武器輸出大国への道 ---「防衛装備移転3原則」?(2)

武器輸出大国への道 ---「防衛装備移転3原則」?(2)

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・三菱重、米にミサイル部品輸出 防衛装備三原則で初
 政府は武器輸出の基準を大幅に緩和した防衛装備移転三原則を踏まえ、その第1弾としてミサイルの基幹部品の対米輸出に踏み切る方針だ。米企業からのライセンスで、これまで自衛隊向けに生産していた三菱重工業が新たに米国向けに輸出する見通し。

 対米輸出する部品は、迎撃ミサイル「パトリオット2(PAC2)」で使われる高性能センサー。ミサイルの先端部分にあり、標的を識別・追尾する赤外線シーカーに組み込んである。ミサイルの姿勢や位置をつかむ機能を持ち、標的へ正確に誘導するのに欠かせない部品だ。
 米国では防衛大手レイセオンが生産してきた経緯があるが、現在は生産の主力をPAC3に移したため「PAC2向けのセンサーはほとんど生産していない」(防衛省幹部)という。

 三菱重工はレイセオンからライセンスを受けてPAC2用のセンサーを自衛隊向けに生産している。米政府は「戦闘機向けにPAC2も使い続ける必要がある」と判断し、三菱重工製の調達の検討に入ったようだ。
 日本政府は米政府からの正式要請を踏まえ、センサーの輸出審査に入る。防衛装備移転三原則に基づき、安倍晋三首相と小野寺五典防衛相らによる国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合で輸出の可否を審査する。

 PAC2は航空機を念頭に置いた地対空の迎撃ミサイル。発射後、目標物の近くで爆発し、飛散した多数の破片で目標物の誘爆などを促す。高性能の弾道ミサイルの迎撃には対応できないとされる。一方、後継のPAC3はミサイル防衛を主な目的とし、弾道ミサイルに直撃して破壊する性能を持つとされる。
 政府はこれまでの武器輸出三原則で、米国からライセンス生産した装備や部品を米国に納入することも「武器輸出にあたる」とみなし、禁じてきた。新たな防衛装備移転三原則は「日本の安全保障に資する」などと判断できれば、こうした輸出も認められる。(日経

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・装備品共同開発で初協議=日仏 
 日仏両政府は9日、防衛装備品の共同開発に関する初の課長級協議を防衛省で開催した。
 今年1月にパリで開いた外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)での合意に基づくもので、初協議では、共同開発した装備品をフランスが第三国に移転する場合は日本の事前同意取り付けを義務付ける協定の締結に向けた作業に入ることを確認した。

 両政府は今後、共同開発する装備品の分野を絞り込む。フランス側は無人機や次世代型ヘリコプターなどに関心を示しており、安倍晋三首相が5月に予定する訪仏の際のオランド大統領との首脳会談でも議題となる見通しだ。(時事

・日豪、防衛装備共同開発で一致、新三原則後の第一弾 中国想定し安保でも連携
 安倍晋三首相は7日、オーストラリアのアボット首相との首脳会談で、防衛装備品の日豪共同開発の推進で一致した。武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」の決定を受けた措置の第1弾で、国内企業の国際共同開発・生産を促進するのが狙い。
 同時に、アジア太平洋地域の戦略的利益が合致する両国の安全保障協力を強めることで、台頭する中国を牽制(けんせい)する戦略もにじむ。

 安倍首相がオーストラリアを重視するのは、第2次安倍政権の発足直後に発表した論文「安全保障のダイヤモンド」構想からもうかがえる。日本と米太平洋軍の拠点ハワイ、そしてインド、オーストラリア両国をひし形に結び、西太平洋とインド洋の海洋安全保障の強化を目指す構想だ。安倍首相は、その一角を占めるアボット首相を「特別なパートナー」(安倍首相)と持ち上げ歓待した。

 さらに安倍首相は、国家安全保障会議(NSC)特別会合にアボット首相を招待し、「安保協力をさらに引き上げ、地域の安定のためにどのような貢献ができるか議論したい」と語った。そこで両首脳が一致したキーワードが「法の支配」。会合冒頭のあいさつで国名の言及は避けたが、高圧的な海洋進出を続ける中国軍の動向が念頭にあることは明らかだった。
 日豪両国はそれぞれ対中関係を重要な2国間関係と位置付けているものの、対中関係が冷え切っている日本とは状況が異なる。それだけに、安倍首相が思い描くような日豪関係を構築できるかは不透明だ。(産経

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・米と包括的覚書締結へ=防衛共同開発促進-防衛省
 防衛省は3日、装備品の調達改革策「防衛生産・技術基盤戦略」の骨格をまとめた。政府が武器輸出三原則に代わる防衛装備移転三原則を閣議決定したのを踏まえ、米英などとの装備品の共同開発を迅速に進めるのが狙い。米国とは近く共同開発に関する包括的覚書を締結する。

 基盤戦略には「政府主導の下に積極的に国際共同開発・生産などの装備や技術協力を推進する」と明記。次世代型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)の米国との共同開発など、従来は案件ごとに覚書を結んでいた。しかし、今後は「互恵的な防衛調達にかかる枠組み」を構築するため、米国と包括的覚書を交わす方針を掲げた。 

 政府はフランス、オーストラリアと防衛装備品の共同開発に関する協定締結に向けた協議に入ることにしており、既に協定を結んでいる米英を含む4カ国との共同開発が進められることになる。
 戦略ではまた、装備品の調達コストを下げるために、長期契約の導入検討も盛り込んだ。財政法で調達費の支払いは原則5年以内となっているのを、法改正で10年程度に延長するよう求めている。
 戦略は、防衛省の有識者会議が2012年に防衛装備品の調達制度の見直しを提言したことを受けて策定に着手。5月の取りまとめを目指している。(時事

国内にF35整備拠点 防衛省が基盤戦略の概要提示
 防衛省は3日、武器や関連技術の輸出ルールを定めた防衛装備移転三原則の閣議決定を受け、防衛産業を強化するための「防衛生産・技術基盤戦略」の概要を自民党の国防部会などに提示した。日本企業が国際共同生産に参画するF35戦闘機については、アジア太平洋地域における整備拠点を国内に設置するよう関係国と調整する方針を示した。同省では来月中に最終案をまとめる予定だ。

 概要には、防衛装備品における国内企業の国際共同開発・生産を推進する考えを明記。
 同盟国である米国以外で協力関係を築く国として英国、フランスなどの欧州主要国やオーストラリア、インド、東南アジアを列挙した。その上で、センサーや半導体など国内企業が強い分野で、国際的な後方支援に貢献していくとした。
 国内で開発されている警戒監視任務用の小型無人機については、研究開発ビジョンを策定し、将来を見据えた計画を示すとした。

 一方、契約制度をめぐっては、防衛産業の基盤強化のために随意契約や長期契約を推進する方針を明記。防衛装備品の研究開発を進めるべく、大学や独立行政法人の研究機関と連携を深める考えも記した。(産経
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・韓国のF35採用に期待 米ロッキード社幹部「日米韓で相互運用性を」
 航空自衛隊が次期主力戦闘機に導入するF35の開発主体、米ロッキード・マーチン社の幹部が(2013年10月)30日、ニューヨークで共同通信の取材に応じ、韓国が次世代戦闘機にF35を採用することに強い期待を示した。
 F35は米、英、オーストラリアなどが共同開発中の最新鋭ステルス戦闘機。同社で各国や米軍、国防総省との調整を担当するオブライエン氏は取材に対し、日米韓が同じ戦闘機を運用することで「米国の海空軍や海兵隊、日本の航空自衛隊との相互運用性が高まり(アジア太平洋)地域の安定につながる」と語った。

 韓国防衛事業庁は9月下旬、2017年の実戦配備を目指す次世代戦闘機について最終候補だった米ボーイングのF15SEの採用案を退け、選定作業のやり直しを決めている。
 オブライエン氏は、北朝鮮による軍事的脅威を念頭に「F35の能力は、脅威にさらされたアジア地域に戦略的な抑止をもたらす」と強調した。(共同)
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・武器輸出三原則の見直し、米側「歓迎する」 
 日本が武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を定めて輸出規制を緩和させたことについて、米国務省のハーフ副報道官は2日の会見で、
 「米国の防衛産業との協力拡大や手続きの簡素化につながるものであり、歓迎する。日本と米国を含めた協力国双方の利益に資するものだ」と話し、武器の共同開発や生産が円滑に進むことへの期待を示した。(朝日 ワシントン)

・武器輸出 実質解禁 平和国家が紛争助長も
 政府は一日の閣議で、武器や関連技術の海外提供を原則禁止してきた武器輸出三原則を四十七年ぶりに全面的に見直し、輸出容認に転換する「防衛装備移転三原則」を決定した。武器輸出の拡大につながる抜本的な政策転換で、憲法の平和主義の理念が大きく変質する。
 日本でつくられたり、日本の技術を用いた武器弾薬が海外で殺傷や破壊のために使われ、紛争を助長する恐れもある。

 小野寺五典防衛相は一日の記者会見で、新たな三原則の閣議決定を受け「従来の三原則に抵触する可能性を抜きに、さまざまな検討ができる環境になった」と武器輸出の実質解禁を宣言した。 新原則は
(1)国連安全保障理事会の決議に違反する国や、紛争当事国には輸出しない
(2)輸出を認める場合を限定し、厳格審査する
(3)輸出は目的外使用や第三国移転について適正管理が確保される場合に限る-と定めた。

 足かせが多いように見えるが、政府統一見解で輸出を原則禁じ、例外として限定的に許可してきた従来の三原則からの大転換。一定の審査を通れば輸出が可能な仕組みになり、重要な案件は国家安全保障会議(日本版NSC)が非公開会合で可否を最終判断する。認めた場合には適宜、公表するという。

 防衛省によると、新原則で禁輸対象となる「国連安全保障理事会の決議に基づく義務に違反する」のは十二カ国。従来の原則から紛争の「恐れのある国」との表現を削除した「紛争当事国」は現時点で該当国はない。輸出の審査基準も「わが国の安全保障に資する場合」などと曖昧で、政権側の都合で拡大解釈される懸念が強い。

 武器輸出の解禁は、安倍晋三首相が強い意欲を示す集団的自衛権の行使容認に向けて、同盟国の米国や友好国と共同開発や技術協力で軍事的な連携を強める狙いもある。小野寺氏は「共同開発に積極参画できる」と言う。
 首相は二〇〇六年に発足した第一次政権時から、将来的な改憲を意識。約一年の在任中、防衛庁の省昇格や国民投票法の制定など、安全保障体制を強化する政策を実行した。

 五年ぶりに政権復帰すると、米国などと機密情報を密接に交換するための日本版NSCをつくり、情報漏えいへの罰則を強化する特定秘密保護法も制定した。武器輸出解禁で安倍政権の安全保障体制強化の取り組みがまた一歩進み、次の目標は集団的自衛権の行使容認に移った。

<従来の武器輸出三原則> 
 佐藤栄作首相が1967年、(1)共産圏(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争の助長の恐れのある国-への武器輸出の禁止を国会で表明。
 76年には、三木武夫首相が三原則の対象地域以外も「『武器』の輸出を慎む」として原則禁止にした。原則禁止のため、武器輸出は個別の事例ごとに、政府が官房長官談話などで例外的に認めてきた。(東京

〔アングル〕-武器輸出、新原則で海外進出を後押し 競争力欠く日本製
[東京 1日 ロイター] - 政府が1日に決めた武器輸出の新原則には、国内メーカーの海外進出を後押しするという狙いがある。国際的な共同開発への参加を促し、装備品の輸出を増やして自衛隊の調達コストを引き下げようとしている。しかし、日本の防衛産業は世界的に競争力が低いとされ、政府の思惑通りに輸出が進まない可能性を指摘する声もある。

 <輸送機C2への期待>
    川崎重工業 が手掛ける潜水艦用エンジンは、ディーゼルながら燃焼に空気を必要としない。頻繁に浮上せずに済むため、敵から身を隠す必要のある潜水艦には貴重な技術だ。これに目をつけたのが、潜水艦の新造を計画するオーストラリア。日本の政府筋によると、防衛省関係者が同国を昨年訪れた際、採用に意欲をみせたという。
   
    武器の輸出基準を見直す日本に対し、関心を寄せているのはオーストラリアだけではない。新明和工業 の救難飛行艇をインドに輸出する案件は正式に話が進んでいる。「引き合いは非常に増えている」と、防衛省関係者は話す。
    これまで日本の防衛企業の納入先は、ほぼ防衛省に限られていた。メーカーの売上高に占める武器関連の割合は小さく、最大手の三菱重工業 でも1割に満たない。そのためコストが割高で、自衛隊の調達費を圧迫する一因になっていた。
   
    新たなルールの下で、市場が世界に広がれば「輸出が増えて生産コストが下がる。企業にもいい話だし、防衛省にとっても調達コストの削減につながる」と、前出の同省関係者は言う。
    日本は向こう5年間の防衛費を24兆6700億円と計画しているものの、実際には調達改革などで23兆9700億円に圧縮する方針だ。輸出拡大によるコスト低減をその手段の1つと考えており、川崎重工が開発中の輸送機C2などは「候補になるだろう」と、同関係者は期待する。

<共同開発で先端技術にアクセス>
    しかし、関心は高くても、実際に商談が実るかどうかはわからない。米国のボーイング やロッキード・マーチン 、英BAEシステムズ など世界のライバルに比べて事業規模が小さいため、「価格やコスト面で競争力があるのか」と、大和証券の田井宏介アナリストは指摘する。
    さらに一部を除き、日本製の武器は技術的な評価もそれほど高くない。防衛省関係者が期待するC2は今年1月、試験中に貨物扉が脱落する不具合が発生。過去にもトラブルが発生し、当初計画から開発がすでに3年遅れている。
   
    防衛装備品の輸出政策に詳しい拓殖大学の佐藤丙午教授は「日本の防衛産業のように閉ざされた市場で生きていると、技術開発が明らかに遅れる」と話す。そのうえで新たな輸出原則について「日本企業にとってはどんどん輸出が増えるというよりは、国際的な共同開発や生産に参画して、最先端の技術にアクセスできるようになるメリットが大きい」と指摘する。
   
    最近の武器は高度化とともに開発コストがふくらみ、次期戦闘機F35のように数カ国で共同開発するのが、主流になりつつある。産業側も輸出より、共同開発への期待が大きく、経団連防衛生産委員会の続橋聡事務局長は「米国やそれ以外とも技術交流が進み、鎖国状態から脱することができる」と語る。
    オーストラリアが関心を寄せた川崎重工の潜水艦用エンジンは、その後本格的な協議には発展していない。同国のアボット首相がまもなく来日するが、安倍晋三首相との首脳会談でも議題に上らない見通しだ。関係者によると、オーストラリア海軍はスウェーデンの技術にも興味を示しているようだという。
   
◎防衛装備品の売り上げ 世界上位10社 2012年
   
        社名            国   金額(百万ドル)
    1 ロッキード・マーチン      米    36000
    2 ボーイング           米    27610
    3 BAEシステムズ        英    26850
    4 レイセオン           米    22500 
    5 ゼネラル・ダイナミクス     米    20940
    6 ノースロップ・グラマン     米    19400 
    7 EADS(現エアバス)     欧    15400
    8 ユナイテッド・テクノロジーズ  米    13460
    9 フィンメッカニカ        伊    12530 
  10 L─3コミュニケーションズ   米    10840
  29 三菱重工            日     3010
  45 NEC             日     2050   
  51 川崎重工            日     1860
  55 三菱電機            日     1554
   
    (出所:ストックホルム国際平和研究所)  (久保信博 編集:田巻一彦)

・早くも防衛産業強化策 武器輸出容認転換わずか2日
 防衛省は三日、武器の禁輸政策を撤廃する防衛装備移転三原則の閣議決定を受け、防衛産業の強化戦略案をまとめた。共同生産に参加している新型戦闘機F35の整備拠点の新設や無人機開発の国際的な技術協力、補助金を活用した防衛産業支援を盛り込んだ。安全保障体制の強化を目指す安倍政権は武器輸出の原則容認決定からわずか二日後、具体的な国内軍需産業の振興に乗り出した。

 戦略案は「政府主導の下、積極的、戦略的に、国際共同開発・生産などの装備・技術協力を推進」と、官民一体で武器輸出を推進する方針を示した。 米国との協力として
 「弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの共同開発・生産やF35への製造参画について積極的に推進」を挙げた。共同開発は従来の武器輸出三原則では禁輸の例外として事案ごとに官房長官談話を出すなどして抑制的に参加してきたが、新原則下では関与をより強める。

 F35に関しては「国内企業の製造参画を戦略的に推進」とした上で「将来的にアジア太平洋地域の維持・整備拠点を設置することも視野に、関係国と調整に努める」と明記。拠点は機体製造を担当する三菱重工業の小牧南工場(愛知県豊山町)に設ける方向で米国などと協議する。

 米国以外では、英国やフランスと武器の共同開発を推進し、軍事的な協力関係を築く。中国の沖縄・尖閣諸島周辺や南シナ海への海洋進出をにらみオーストラリアやインド、東南アジア諸国と巡視艇や潜水艦、救難飛行艇などを輸出できるかどうか協議を始める。

 防衛省の外局として二〇一五年度にも発足する防衛装備庁には国際共同開発や輸出交渉の窓口の機能を持たせる。米国などで導入が進む無人機は「国際的な装備・技術協力の可能性を含め、研究開発ビジョンを策定し、技術基盤の強化を図る」とした。 戦略案は三日の自民党の国防部会に示された。政府は、五月にも戦略を決定する。(東京


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⇒「武器輸出大国への道 ---「防衛装備移転3原則」?」