オスプレイの「安全神話」? ~このまま、なし崩し的に「本土低空飛行訓練」を許してよいのか
オスプレイの「本土低空飛行訓練」が、今日から三日間(3/6-3/8)、愛媛、高知、徳島と和歌山をつなぐ通称「オレンジルート」で行われる。
マスコミ報道では、「米軍の環境審査報告書」の情報から、オスプレイの飛行ルートは7つあるとされている。
南から北に列挙すると、それらは、
(1)沖縄本島北部と奄美諸島(パープル)、
(2)福岡、熊本、大分、宮崎県付近(イエロー)、
(3)紀伊半島と四国(オレンジ)、
(4)群馬、長野、新潟県付近(ブルー)、
(5)山形、秋田、青森県付近(ピンク)、
(6)福島(!)、宮城、岩手、青森県付近(グリーン)、
これに非公表の、
(7)中国山地を飛行する「ブラウン」と呼ばれるルートが加わる、とされている。
しかし、例えば、左の東京新聞の記事にある「訓練ルート」地図は、本土におけるオスプレイの「低空飛行訓練」なるものの実態と全貌を報道するものになっていない、と言わざるをえない。その「実態と全貌」を米軍が情報公開せず、日本政府・防衛省が米国政府・米軍に対して情報公開を要求せず、そしてそれが安倍内閣が言うところの「回復された日米同盟」なるものの実態と全貌なのであるから、マスコミも私たちも正確には知る由もないのだが、参考になる資料を二つ、紹介しておこう。
その一つとしては、昨日、岩国で行われたオスプレイ配備に反対する市民集会への参加を呼びかけた下のチラシがある。まずこの地図から北海道の「北方ルート」という、これも非公表の第8のルートがあることが確認できる。
おそらく、「北方ルート」とは、日高山脈の山間部や釧路・帯広一帯で行われる訓練ルートなのだろうが、これでオスプレイの飛行訓練は北海道から本州全域、四国・九州・沖縄と、まさに日本全土を網羅するものであることが理解できるはずである。
国の領土全域にわたり、米軍に軍事訓練をさせる国家、それが「日米同盟という欺瞞」と「日米安保という虚構」の〈体制〉下にある日本という国家なのだ。そして、それが安倍内閣が言うところの「日米同盟の強化」なるものの実態なのである。
四国・紀伊半島の次は、おそらく当初計画されていた九州での訓練が待ち受けているだろう。さらにその次には、東北・北陸・関東・東海・中国・北海道と、なし崩し的に訓練領域が拡大するだろう。
本当に、このままでよいのだろうか?
陸自第43普通科連隊(宮崎県都城市)が7、8両日、大分県の日出生台演習場で81ミリ迫撃砲の射撃訓練を予定。防衛省は突然の訓練変更について、「あくまで米軍側の判断」とした上で、日出生台演習場は「おおむね(イエロールートの)周辺にある。(飛行)高度300メートルの飛行ならば迫撃砲が届きうる」としている。
6日からの訓練には普天間配備の12機のうち3機が参加。6日に沖縄県・普天間飛行場から山口県の岩国基地に移動し、8日中に普天間飛行場へ戻る。 米軍側は飛行高度について、日中は500フィート(約150メートル)以上、夜間は千フィート(約300メートル)以上としている。ただ、どの時間帯にどのような訓練を行うかなど具体的な情報は明らかにしていない。
県は6~8日、職員2人を長岡郡本山町に派遣し、情報収集の態勢を強化する。高松清之・県危機管理部長は「飛行ルートや高度など日米合意に反する飛行があれば、厳重抗議する」と話した。 一方、陸自中部方面航空隊が8日に、室戸市の市中央公園で巨大地震を想定した災害訓練を実施する予定だが、防衛省日米防衛協力課は「(室戸市での訓練を)米軍が把握していたかは分からないが、米軍側には安全に十分配慮して飛ぶようにこれまでも申し入れている」(???)と述べた。
米軍の新型輸送機MV22オスプレイの低空飛行訓練が6日、四国から紀伊半島にかけてのオレンジルートで始まる。昨年10月の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備完了後、本土上空での訓練は初めてだ。 米軍からの連絡は突然で、しかも当初は本県を含む九州4県を通過するイエロールートとしていたが、急きょ変更する混乱ぶり。訓練ルートに入る可能性があった本県北部の市町村や住民も振り回された格好だ。地元への説明不足は明らかだ。
運用の既成事実だけを積み重ねることは許されない。政府には、米側に詳細な情報を開示させ、関係自治体には十分な説明をする義務がある。
■過去には死亡事故も■
訓練には、普天間のオスプレイ12機のうち3機が米軍岩国基地(山口県岩国市)に移動して3日間の日程で実施される。
低空訓練は、レーダーに捕捉されないことを目的に谷筋を縫うように飛行するため危険性が高い。過去には、高知県の早明浦ダム上流に米空母艦載機が墜落し、乗員2人が死亡する事故なども起きている。今回は夜間訓練も実施する予定で、当然ながら危険性は増すことになる。
また情報不足は不安を増幅させる。いつ、どこを、どのように飛行するのかも分からない。本県の関係自治体も情報の少なさを指摘し、困惑するばかりだ。 ほかにも聞きたいことは多い。
■沖縄では約束骨抜き■
安全確保も忘れてはならない。日米が昨年9月に合意した安全確保策では、低空訓練でも150メートル以上を飛行することになっている。また原発や史跡、学校、病院などの上空は飛行しない。
ただし「安全高度を下回らざるを得ないこともある」「標準的な慣行として」の条件付きだ。沖縄でも、住宅密集地上空の飛行は避けるなどの約束が「可能な限り」の条件付きで骨抜きにされる事態が起きており、信用できない。
政府は自治体と協力して、訓練の状況などを監視することが必要だ。警戒・監視のためにも、詳細な飛行情報の開示が欠かせない。 米軍の環境審査報告書によると、オスプレイの低空飛行訓練ルートは6ルートがあり、ほかに1ルートも想定されている。 計画される飛行訓練は年間300回以上。国民の理解を得ないまま、訓練がなし崩し的に各地に拡散することがあってはならない。
安倍晋三首相は2月の日米首脳会談後、「日米同盟は完全に復活した」と胸を張った。しかし、国民不在の同盟などあり得ない。
・・・
・昨年衆院選は「違憲」=1票の格差訴訟―無効請求は棄却・東京高裁 (時事通信)
オスプレイの「本土低空飛行訓練」が、今日から三日間(3/6-3/8)、愛媛、高知、徳島と和歌山をつなぐ通称「オレンジルート」で行われる。
マスコミ報道では、「米軍の環境審査報告書」の情報から、オスプレイの飛行ルートは7つあるとされている。
南から北に列挙すると、それらは、
(1)沖縄本島北部と奄美諸島(パープル)、
(2)福岡、熊本、大分、宮崎県付近(イエロー)、
(3)紀伊半島と四国(オレンジ)、
(4)群馬、長野、新潟県付近(ブルー)、
(5)山形、秋田、青森県付近(ピンク)、
(6)福島(!)、宮城、岩手、青森県付近(グリーン)、
これに非公表の、
(7)中国山地を飛行する「ブラウン」と呼ばれるルートが加わる、とされている。
しかし、例えば、左の東京新聞の記事にある「訓練ルート」地図は、本土におけるオスプレイの「低空飛行訓練」なるものの実態と全貌を報道するものになっていない、と言わざるをえない。その「実態と全貌」を米軍が情報公開せず、日本政府・防衛省が米国政府・米軍に対して情報公開を要求せず、そしてそれが安倍内閣が言うところの「回復された日米同盟」なるものの実態と全貌なのであるから、マスコミも私たちも正確には知る由もないのだが、参考になる資料を二つ、紹介しておこう。
その一つとしては、昨日、岩国で行われたオスプレイ配備に反対する市民集会への参加を呼びかけた下のチラシがある。まずこの地図から北海道の「北方ルート」という、これも非公表の第8のルートがあることが確認できる。
おそらく、「北方ルート」とは、日高山脈の山間部や釧路・帯広一帯で行われる訓練ルートなのだろうが、これでオスプレイの飛行訓練は北海道から本州全域、四国・九州・沖縄と、まさに日本全土を網羅するものであることが理解できるはずである。
国の領土全域にわたり、米軍に軍事訓練をさせる国家、それが「日米同盟という欺瞞」と「日米安保という虚構」の〈体制〉下にある日本という国家なのだ。そして、それが安倍内閣が言うところの「日米同盟の強化」なるものの実態なのである。
四国・紀伊半島の次は、おそらく当初計画されていた九州での訓練が待ち受けているだろう。さらにその次には、東北・北陸・関東・東海・中国・北海道と、なし崩し的に訓練領域が拡大するだろう。
本当に、このままでよいのだろうか?
2
もう一つ、オスプレイの「飛行訓練」の実態と全貌に迫る資料を紹介する。
「RIMPEACE 追跡! 在日米軍」に掲載されたことのある、この地図。
この地図が物語っているのは何か?
(つづく)
【参考サイト】
●「米本国の軍用機低空飛行ルート、国民への開示度は? その1」(「RIMPEACE 追跡! 在日米軍」)
●「オスプレイ低空飛行 これが直下自治体 日本の空は誰のもの」(日本共産党)⇒オスプレイの各飛行ルートの実態が、より詳しく地図で明示されているという意味で参考になる。
・・・
・オスプレイ高知県で訓練 きょうから8日まで (高知新聞)
米海兵隊が6~8日に予定している新型輸送機MV22オスプレイの本土での低空飛行訓練について、在日米軍は5日、当初予定していた九州上空のルート「イエロールート」を、本県を含む四国上空などに設定した「オレンジルート」に変更すると防衛省に通告した。同日、防衛省が発表し、関係自治体に伝えた。大分県で7、8日に行われる陸上自衛隊の射撃訓練が影響したとみられる。期間中は夜間訓練も計画している。本県は全市町村に、オスプレイの飛来情報を提供するよう通知。定期検査中の防災ヘリを除き、ドクターヘリと県警ヘリの運用についても注意喚起した。
沖縄に配備後、本土での訓練は初めて。 陸自第43普通科連隊(宮崎県都城市)が7、8両日、大分県の日出生台演習場で81ミリ迫撃砲の射撃訓練を予定。防衛省は突然の訓練変更について、「あくまで米軍側の判断」とした上で、日出生台演習場は「おおむね(イエロールートの)周辺にある。(飛行)高度300メートルの飛行ならば迫撃砲が届きうる」としている。
県は6~8日、職員2人を長岡郡本山町に派遣し、情報収集の態勢を強化する。高松清之・県危機管理部長は「飛行ルートや高度など日米合意に反する飛行があれば、厳重抗議する」と話した。 一方、陸自中部方面航空隊が8日に、室戸市の市中央公園で巨大地震を想定した災害訓練を実施する予定だが、防衛省日米防衛協力課は「(室戸市での訓練を)米軍が把握していたかは分からないが、米軍側には安全に十分配慮して飛ぶようにこれまでも申し入れている」(???)と述べた。
オスプレイの低空飛行訓練
敵地でレーダーに捕捉されないよう、低高度で山間地などを飛ぶ。米軍は昨年6月の環境審査報告書で、青森―福島、青森―山形、新潟―岐阜、和歌山―愛媛、九州中部付近の周回、奄美諸島からトカラ列島の6ルートを明示したほか、中国山地のルートの存在も認めている。
日米両政府はオスプレイ配備を前に、航空法の安全高度150メートル以上の順守▽可能な限り人口密集地や原発施設、学校、病院などの上空を避ける―などとする安全確保策に合意している。
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オスプレイの飛行訓練強行を論じた報じた新聞報道では、当初訓練が予定されていた宮崎県の宮崎日日新聞の今日付の社説が一読に値する。
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・オスプレイ低空飛行訓練 情報を開示し説明すべきだ米軍の新型輸送機MV22オスプレイの低空飛行訓練が6日、四国から紀伊半島にかけてのオレンジルートで始まる。昨年10月の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備完了後、本土上空での訓練は初めてだ。 米軍からの連絡は突然で、しかも当初は本県を含む九州4県を通過するイエロールートとしていたが、急きょ変更する混乱ぶり。訓練ルートに入る可能性があった本県北部の市町村や住民も振り回された格好だ。地元への説明不足は明らかだ。
運用の既成事実だけを積み重ねることは許されない。政府には、米側に詳細な情報を開示させ、関係自治体には十分な説明をする義務がある。
■過去には死亡事故も■
訓練には、普天間のオスプレイ12機のうち3機が米軍岩国基地(山口県岩国市)に移動して3日間の日程で実施される。
低空訓練は、レーダーに捕捉されないことを目的に谷筋を縫うように飛行するため危険性が高い。過去には、高知県の早明浦ダム上流に米空母艦載機が墜落し、乗員2人が死亡する事故なども起きている。今回は夜間訓練も実施する予定で、当然ながら危険性は増すことになる。
また情報不足は不安を増幅させる。いつ、どこを、どのように飛行するのかも分からない。本県の関係自治体も情報の少なさを指摘し、困惑するばかりだ。 ほかにも聞きたいことは多い。
「この飛行訓練で、沖縄の基地負担がどの程度軽減されるのか」
「米本土では住民の反対運動で低空飛行訓練が延期されたのはなぜか」
「今後の訓練の頻度は」 などに関し、米軍は情報を開示すべきだし、政府は関係自治体に説明した上で疑問にも答えるべきだ。
■沖縄では約束骨抜き■
安全確保も忘れてはならない。日米が昨年9月に合意した安全確保策では、低空訓練でも150メートル以上を飛行することになっている。また原発や史跡、学校、病院などの上空は飛行しない。
ただし「安全高度を下回らざるを得ないこともある」「標準的な慣行として」の条件付きだ。沖縄でも、住宅密集地上空の飛行は避けるなどの約束が「可能な限り」の条件付きで骨抜きにされる事態が起きており、信用できない。
政府は自治体と協力して、訓練の状況などを監視することが必要だ。警戒・監視のためにも、詳細な飛行情報の開示が欠かせない。 米軍の環境審査報告書によると、オスプレイの低空飛行訓練ルートは6ルートがあり、ほかに1ルートも想定されている。 計画される飛行訓練は年間300回以上。国民の理解を得ないまま、訓練がなし崩し的に各地に拡散することがあってはならない。
安倍晋三首相は2月の日米首脳会談後、「日米同盟は完全に復活した」と胸を張った。しかし、国民不在の同盟などあり得ない。
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・昨年衆院選は「違憲」=1票の格差訴訟―無効請求は棄却・東京高裁 (時事通信)
「1票の格差」を是正せずに実施された昨年12月16日の衆院選は違憲として、弁護士らのグループが東京1区の選挙無効を求めた訴訟の判決が6日、東京高裁であり、難波孝一裁判長は「違憲状態に至っていた選挙区割りが、合理的期間内に是正されなかった」として、選挙は違憲と判断した。選挙無効の請求は棄却した。
昨年の衆院選をめぐり、二つの弁護士グループが選挙無効を求めて全国14の高裁・高裁支部に起こした16件の訴訟で、判決は初めて。27日までに一連の訴訟の判決が出そろう予定。
昨年の衆院選をめぐり、二つの弁護士グループが選挙無効を求めて全国14の高裁・高裁支部に起こした16件の訴訟で、判決は初めて。27日までに一連の訴訟の判決が出そろう予定。